説明

液体検出装置及び液体量検出装置

【課題】液体の電気分解を防止して液体の特性が変化しないようにする。
【解決手段】容器T1、T2内の液体に接するように配置された電極部26(26a〜26e)、インピーダンス22及び交流信号源21を有し、交流信号源21からインピーダンス22を介して直流分を含まない交流信号を電極部26に入力して電極部26の通電状態を表す信号を出力するとともに、その出力信号に基づいて電極部26の通電の有無を表す2値化信号を出力するように構成した液体検出回路20と、液体検出回路20から出力される2値化信号に基づいて、電極部26における液体の有無を判定する判定手段31とを備え、交流信号の周波数は、電極部に100Hz時の交流信号が入力された場合のインピーダンスに対して、少なくとも3桁低いインピーダンスとなる周波数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェットプリンタのインクタンク内のインク残量を検出するときに用いられ、導電性を有する液体を内部に収容した容器内の液体又は液体量を検出する液体検出装置又は液体量検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタでは、インクタンク内にインクが貯留されており、このインクタンクからインク流路を通してインク吐出部(ヘッド)にインクを送り、インク液滴を吐出させている。ここで、インクジェットプリンタでは、比較的精度良くインクの有無を検出できるようにする必要がある。その理由としては、第1に、インクタンクの外見からインク残量を目視により判別することは困難だからである。
【0003】
また、第2に、インクが完全に無くなるまでインクの吐出動作を行うと、“呼び水”としてのインクが無くなり(即ち、空気がインク流路に混入してしまい、その結果、インクがノズル部に送られなくなってしまい)、インクの充填作業をやり直さなければインクの吐出が出来なくなったり、インク吐出部を劣化させてしまうおそれがあるからである。ここで、インクジェットプリンタにおけるインクの吐出方式の1つとして、インク室内にあるインクを発熱素子で急速に加熱してインク液滴を吐出させるサーマル方式が知られているが、インクが無いにもかかわらず発熱素子を加熱すると、発熱素子を劣化させるおそれがある。したがって、インク残量があるレベルに到達した段階でインクの吐出(印画)を停止する必要がある。
【0004】
さらにまた、第3に、大判の印画紙に印画を行う場合、精度良くインク残量を検出することができないと、印画中にインクが無くなり、それまでの印画が無駄になってしまう場合があり得るからである。
このような安全性や経済性等の観点から、インクの残量を正確に検出する必要がある。
【0005】
インクの残量を検出する方法としては、(1)メカニカル型、(2)光学検出型、(3)電気抵抗変化検出型、(4)容量変化検出型、(5)吐出量カウント型、等が知られている。
例えば(3)の電気抵抗変化検出型としては、a)特開平6−226990号公報(特許文献1)、b)特許第2772015号(特許文献2)、及びc)特許第2798948号(特許文献3)、d)特開平11−179936号公報(特許文献4)、等が挙げられる。
【0006】
この電気抵抗変化検出型のうち、特許文献1〜特許文献3の方法は、液体中に一対の電極を設け、この電極に直流電源から高抵抗を介して電流を流すものである。そして、一対の電極での液体の有無により、一対の電極にかかる電位が変化することを利用する、すなわち液体を導通抵抗の高い抵抗体として使用するものである。また、特許文献4の方法は、液体の検出のために交流を用いたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述の従来の技術では、以下の問題点があった。
第1に、特許文献1〜特許文献3におけるように液体に直流を流すと、電極の種類や液体の成分によっては電気分解が生じ、電極表面が変化しやすく、液体中に金属イオンが溶出してしまい、液体(インク)特性が変化するおそれがあるという問題がある。また、直流電流を流す方式では、後述の発明の実施の形態において詳述するが、回路システムとしてのインピーダンスが高くなる結果、検出速度を上げにくくなるという問題がある。
【0008】
なお、上記特許文献3では、この欠点を解消するために、測定時間ごとに電極に流す電流の方向を逆転させる方法が採られているが、この方法は、測定そのものを直流で行っており、この直流による測定によって生じてしまったイオンを消去するために、同じ時間だけ逆方向に直流を流すことで、生じてしまったイオンを戻す方法であるので、測定の速度が遅いという問題がある。
【0009】
さらにまた、上記特許文献4では、交流を用いるので電気分解等の問題は生じないが、キャパシタンスの容量変化に基づいて液体の変化量を検出するという、アナログ的な方法で液体を検出するものであるので、検出レベルが不安定であり、検出結果の信頼性に欠けるという問題がある。
【0010】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、液体の電気分解(イオン化)を防止して液体の特性が変化しないようにするとともに、信頼性の高い検出を行うようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の1つである請求項2に記載の発明は、導電性を有する液体を内部に収容した1又は2以上の容器内の液体量を検出する液体量検出装置であって、少なくとも一部が前記容器内の液体に接するように配置された一対の電極からなるものであって液体が接することにより前記一対の電極間が通電状態となる電極部、インピーダンス及び交流信号源を有し、前記交流信号源から前記インピーダンスを介して直流分を含まない交流信号を前記電極部に入力して前記一対の電極間の通電状態を表す信号を出力するとともに、その出力信号に基づいて前記一対の電極間の通電の有無を表す2値化信号を出力するように構成した液体検出回路と、前記液体検出回路から出力される2値化信号に基づいて、前記電極部における液体の有無を判定する判定手段とを備え、ここで、直流成分を含まない前記交流信号の周波数は、前記電極部に100Hz時の前記交流信号が入力された場合のインピーダンスに対して、少なくとも3桁低いインピーダンスとなる周波数であることを特徴とする。
【0012】
(作用)
上記発明においては、交流信号源からインピーダンスを介して直流分を含まない交流信号が電極部に入力される。
交流信号が電極部に入力されると、電極部の一対の電極間の通電状態を表す信号が出力され、さらに出力信号に基づいて、一対の電極間の通電の有無を表す2値化信号が出力される。この2値化信号に基づいて、電極部における液体の有無が判定される。
【0013】
したがって、直流分を含まない交流信号を電極部に入力するので、液体には直流は流れず、液体の特性は変化しない。また、導通抵抗が小さくなり、検出速度も速くなる。
さらにまた、2値化信号を出力して液体の有無を判定するので、デジタル的な処理を行うことができ、検出の信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、液体には直流が流れないので、液体の特性を変化しないようにすることができる。また、導通抵抗を小さくすることができる。さらにまた、検出速度を速くすることができる。
さらに、2値化信号を出力して液体の有無を判定するので、デジタル的な処理を行うことができ、検出の信頼性を高めることができる。
また、直流成分を含まない交流信号の周波数は、電極部に100Hz時の交流信号が入力された場合のインピーダンスに対して、少なくとも3桁低いインピーダンスとなる周波数であるので、この周波数帯で信号源側から直列抵抗を経てスイッチに交流信号が加えられたときは、短絡比の大きいスイッチを得ることができる。さらにまた、液体中でも距離によって抵抗値の差がシャープに出るので、少し距離が離れた所にある電極の影響を受けない。特に検出の出力値が2値であれば、この傾向はさらに強くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本発明は、一対の電極を液体内に入れ、この一対の電極間の電流の流れによって液体の有無を判別するものであるが、ここで用いる電流として、直流ではなく交流を用いる。その理由を以下に説明する。
【0016】
液体に接触させた電極間の電気抵抗をテスター等で計測すると、電極間の距離にはあまり左右されず、最初は大きな抵抗値を示すが、少し時間が経過すると、抵抗値が低い方にずれていく。この現象は、電極の材料、表面処理状態、接触表面積、液体の性質等によっても大きく変わるが、このような現象が起こるのは、電極間に電流を流して測定する結果、電気分解が進んでイオンが増大しているためと説明される。ここで、Lを電極間の距離、Aを電流が通過する電極の断面積としたとき、L/Aは、一定の容器では一定値(=K)になる。また、電極間の液体の抵抗Rは、kを液体の伝導度として、R=K/kとなる。
【0017】
これらのことから電極間のインピーダンス(Zx)を考えると、図1に示すインピーダンス等価回路が妥当であると考えられる。図1において、抵抗Rdcは、直流で短時間測定したときの液体の抵抗である。さらにまた、キャパシターCxは、液体の静電容量であり、抵抗Racは、交流で測定したときの液体の抵抗である。ここで、直流での測定と交流での測定とで測定数値が異なるため、抵抗Racには、キャパシターCxを直列に接続している。
【0018】
図2は、図1のインピーダンス等価回路のシミュレーション結果を示す図である。図2では、液体としてインクジェットプリンタ用インクを用いた。図2において、横軸は周波数であり、縦軸は抵抗値(オーム)である。また、図2に示す回路において、信号源V1は交流信号源であり、抵抗R2は信号源抵抗である。
図2から明らかなことは、このシミュレーションで使用した液体及び電極の状況では、交流の抵抗値は、周波数が100Hz以下では直流で測定した抵抗値とほぼ等価の数メグオームを示すが、それ以上では1kHzあたりにかけて劇的に低下し(3メグオームから500オーム)、液体や電極の条件によっては、1/10000程度まで低下する特性をしている。
【0019】
このことは、次のことを意味している。
(1)導電性液体の検出において液体の電気抵抗(導電度)をスイッチとして使用する場合、直流を使用すると、導通状態(電極間に液体が存在する状態)で、高い導通抵抗しか得られないが、数kHz以上の交流を使用すると、全体のインピーダンスを3桁〜4桁下げることができる。
【0020】
(2)上記シミュレーションから、交流使用時の液体の抵抗値は、かなり広帯域にわたり低い一定値を示すので、この周波数帯で信号源側から直列抵抗を経てスイッチに交流信号が加えられたときは、短絡比の大きいスイッチを得ることができる。
(3)液体中でも距離によって抵抗値の差がシャープに出るので、少し距離が離れた所にある電極の影響を受けない。特に検出の出力値が2値であれば、この傾向はさらに強くなる。
【0021】
図3は、直流検出方式と交流検出方式との相違による回路インピーダンスの違いを具体的に示す図である。図中、上図は直流検出モデルであり、下図は交流検出モデルである。また、図3において、V1及びV2は、それぞれ信号源であり、抵抗Rgは信号源抵抗である。Csは、電極間の浮遊容量である。また、S−Swは電極選択スイッチであり、W−Swは液体の導通によるスイッチである。
【0022】
直流検出と交流検出との主な相違は、直流の場合は判定ラインが1箇所(あるレベルを超えるか否か)であるのに対し、交流検出では一般的には0を中心に2箇所の判定ラインが必要になることである。
そして、直流検出では、イオン化問題を軽減するために、電極に流す電流は極力低くすることが要求される。
この理由により、図3の直流検出モデルに見られるように、信号源抵抗Rg、電極間抵抗Rdcも、極めて大きな値にする必要がある。このため、信号源抵抗Rgから電極に至るまでの配線や電極そのものに起因する浮遊容量Csの影響は、その分大きく影響する。
図3の例では、直流検出方式と交流検出方式とでは、信号源抵抗Rgは、3桁も違うことになる。この差は、電極の状況が安定して測定を開始できるまでの時間差である。
【0023】
例えば、直流検出方式の場合に、浮遊容量Csを5(PF)と仮定すると、Tdc=50(usec)程度の大きな値となり、電極の少ない(粗い精度の検出で良い、又はモニターする容器数が少ない等)場合、あるいは全体の検出動作サイクルが遅くても良い場合には、1つの検出回路で対応できる。
しかし、インクジェットプリンタのように、高速かつ高精度で、4〜7色の異なる容器のインク残量を検出し、電極から容器までの距離が遠くなる場合がある、という条件があるときは、各色ごとに検出回路が必要になったりして検出回路が1つでは足りなくなったり、回路構造が複雑化するという可能性がある。
【0024】
さらに、直流方式では、与えられた時間内で電極に加えられた電圧がどこまで上昇するかを見るため、尖塔値(ピーク値)の測定が重要になり、通常は、ピーク検出器が用いられる。ピーク検出は、原理的に検出値をその値が有効なデータとして取り出されるまで保持し、次の測定にあたってはクリアされる必要がある。すなわち、直流方式においては、立ち上がりに時間がかかるのみでなく、その計測においてもアナログ的に浮遊容量が持つ遅れや、ピーク検出器の前値クリア動作のために、余分な時間がかかり、全体としての計測に時間がかかることになる。
【0025】
一方、交流検出方式では、液体の導電度特性によって元々の回路インピーダンスが下がる結果、ピーク値に収束する時間は、直流検出方式よりも極めて早くなり、さらにピークを検出するタイミングは与える信号によって精度良く予測することができる。
例えば、正弦波であれば90度の位置で最大になり、一次形の積分回路を通った矩形波なら波形の極性変化の直前がそれぞれの極(+/−)における最大の振幅になる。
以上により、液体の検出においては、直流を用いるより交流を用いた方が有利であるので、本発明では、交流を用いている。
【0026】
続いて、本実施形態における液体量検出装置について説明する。
(第1実施形態)
図4は、本実施形態の液体量検出装置10を示す構成図である。図4に示すように、液体量検出装置10の検出対象物である液体(導電性を有する液体)は、容器T(T1及びT2)内に収容されている。
液体量検出装置10が例えばインクジェットプリンタに用いられるものであれば、容器Tは、インクタンクであり、容器T内の液体は、インクジェットプリンタ用のインクである。複数色のインクを用いるカラーインクジェットプリンタである場合には、各色ごとの容器T(インクタンク)が設けられる。
【0027】
本実施形態の液体量検出装置10は、液体検出回路20と、制御部30と、残量表示部40とを備える。
液体検出回路20は、交流信号源(V1)21、インピーダンス(Zs)22、切替えスイッチ(SW)23、閾値検出部24、データ抽出部25、及び電極部26(26a〜26e)を有する検出基板27を備える。なお、液体検出回路20の具体的回路構成については後述する。
交流信号源21により発生した交流信号は、インピーダンス22を介することで直流分を含まない交流信号として電極部26側に供給されるとともに、電極部26が液体に接しているか否かによって十分な電位差が生じるようになる。
【0028】
切替えスイッチ23は、交流信号源21からインピーダンス22を介して送られてきた交流信号を、選択されたいずれか1つの電極部26に入力するように切替え制御されるスイッチである。
電極部26は、少なくとも一部が容器T内の液体に接するように配置された一対の電極26a〜26eからなるものであって、液体が接することにより一対の電極26a〜26e間が通電状態となるものである。本実施形態では、電極部26は、検出基板27上に設けられ、この検出基板27が容器T内に配置されている。
なお、本実施形態では、電極部26は容器T内に配置されており、液体検出装置10の電極部26以外の部分は、容器T外に配置されている。
【0029】
本実施形態では、1つの容器T内には、一対の電極(26a〜26dと26e)が4つ設けられている(図4中、一対の電極を楕円点線で囲んでいる)。一対の電極は、検出電極26a〜26dと、共通電極26eとからなる。そして、検出電極26aと共通電極26e、検出電極26bと共通電極26e、検出電極26cと共通電極26e、及び検出電極26dと共通電極26eがそれぞれ互いに近隣に配置されて、一対の電極を構成している。
【0030】
各検出電極26a〜26dは、図中、鉛直方向に等間隔で並設されている。ここで、容器T内にある液体が使用により減少すると、液面は、図中、上側から下側に向かう。すなわち、鉛直下方向が液体の減少時の液面の低下方向である。
そして、検出電極26aは、検出電極26a〜26d中、最も上側に配置されている。この位置は、容器T内の液体が満タンのときに接する位置である。また、検出電極26dは、容器T内の底面近傍位置に配置されている。
【0031】
さらにまた、共通電極26eは、1つの検出基板27では1つ設けられており、4つの全ての検出電極26a〜26dに対応する1つの共通電極26eとなっている。また、共通電極26eは、グラウンド(GND)に接地されている(電極に直流が流れなければ必ずしもグラウンドでなくとも良いが、通常はグラウンドを電位の基準点に取るので、この様な構成とした)。
上記の全ての検出電極26a〜26d及び共通電極26eは、そのインピーダンス特性が共通するように、電極の表面積、形状等がほぼ同一に形成されている。電極部26ごとにインピーダンス特性が異なってしまうと、検出信号の振幅に対する正しい検出範囲がその分だけ減るからである。
【0032】
なお、図4では、2つの容器T1及びT2を図示しているが、容器Tの数はいくつであっても良い。容器Tをさらに設けるときには、各容器Tごとに上述の検出基板27が設けられる。そして、図4に示すように、検出電極26a〜26dに対応する切替えスイッチ23の接点23aを設ければ良い。また、共通電極26eは、容器T1及びT2の共通電極26eが接続されている配線に接続し、グラウンドに接地されるようにすれば良い。
【0033】
閾値検出部24は、一対の電極26a〜26dと26eとの間の通電状態を表す信号を出力するものである。
また、データ抽出部25は、閾値検出部24からの出力信号に基づいて一対の電極26a〜26dと26eとの間の通電の有無を表す2値化信号を出力するものである。
【0034】
制御部30は、CPUとメモリ(記憶部)とを有し、液体検出回路20から出力される2値化信号に基づいて電極部26における液体の有無を判定する判定部31を備える。さらに、制御部30は、切替えスイッチ23の接点23aの切替えを制御する(Node Select)機能を備える。
残量表示部40は、制御部30の判定部31の判定結果に基づいて、容器T内の液体残量を段階表示するものであり、本実施形態では、5段階表示を行う。
【0035】
交流信号源21から交流信号が出力されると、その交流信号は、インピーダンス22を通る。これにより、交流信号の直流分がカットされる。そして、この交流信号が切替えスイッチ23側に送られる。
切替えスイッチ23により、交流信号源21と、いずれか1つの検出電極26a〜26dとが電気的に接続される。すなわち、切替えスイッチ23により、インピーダンス22を通った交流信号が、選択されたいずれか1つの検出電極26a〜26dに送られる。
【0036】
一対の電極26a〜26dと26eとの間に液体が存在するときには、検出電極26a〜26dと共通電極26eとが導通されるので、電流は、検出電極26a〜26dから共通電極26eに流れてグラウンドに送られるので、閾値検出部24への入力は、電圧変化の殆どない信号となる。これに対し、一対の電極26a〜26dと26eとの間に液体が存在しないときには、検出電極26a〜26dと共通電極26eとが導通されないので、電流は、検出電極26a〜26dから共通電極26eには流れない。よって、閾値検出部24への入力は、電圧変化のある信号となる。
【0037】
閾値検出部24に上記信号が入力されると、閾値の検出が行われ、その出力値がデータ抽出部25に入力される。データ抽出部25では、同期検波が行われる。このデータ抽出部25には、閾値検出部24から入力される信号と同期するように制御された、検波のためのクロック信号が交流信号源21から入力される。ここで、上記クロック信号と上記交流信号は、元々、上記交流信号源21から発せられる同一信号であるので、両信号の周期は同期しており、従って、上記両信号は同期状態にあるので、上記同期検波が行われる結果、計測速度を上げることができる。無論、上記クロック信号を上記交流信号と別の信号源から発することも可能であり、この場合は、上記両信号を同期させることで、上記同期検波が行いやすくなり、上記したように上記クロック信号と上記交流信号が同一信号源から発せられた同一信号である場合と同様な効果を得ることが可能となる。
【0038】
そして、データ抽出部25により、一対の電極26a〜26dと26eとの間の通電の有無を表す2値化信号が出力される。判定部31には、この2値化信号が入力される。そして、判定部31は、この2値化信号の組合せに基づいて、その電極部26における液体の有無を判定する。
【0039】
さらに、判定部31で判定された結果(信号)は、残量表示部40に入力される。残量表示部40は、例えばディスプレイを有し、各容器Tごとに、液体の残量について5段階での段階表示を行う。例えば1つの容器T内の液体残量について、4つの全ての電極部26で液体が検出されたときには、「4」と表示する。また、1番上の電極部26(検出電極26aと共通電極26e)では液体が検出されなかったが、それより下の3つの電極部26では液体が検出されたときには、「3」と表示する。このようにして、4つの全ての電極部26で液体が検出されなかったときには、「0」と表示する。
【0040】
図5は、本実施形態の検出動作を説明する波形図である。尚、図5に示す検出動作例は、あくまでも、検出動作の理解のための動作例であり、図4に示した容器T中の各電極部26の位置とインク量との相関は考慮していない。即ち、図5に示した検出動作例では、説明の為に、インク有り→インク無し→インク有り→インク無しの場合を用いて説明した。
図5において、(A)は、交流信号源21から出力される交流信号の波形図である。交流信号は、2(usec)の周期を有する矩形波であり、その振幅が+5.0(V)〜0(V)であることを示している。
また、(B)は、上記の交流信号から、直流分をカットしたときの波形図である。交流信号源21からの交流信号を、インピーダンス22を介して直流分をカットしたものであり、その振幅は+2.5(V)〜−2.5(V)である。
【0041】
(B)中、P1で示すように、この交流信号の周期(2(usec))で、切替えスイッチ23と接点23aとの接続が切り替えられる。また、矢印P2で示す位置、すなわち矩形波の立ち下がりエッジのタイミングで切替えスイッチ23と接点23aとの接続が切り替えられる。
【0042】
これにより、交流信号の最初の1周期目(0〜2(usec))は、切替えスイッチ23は、容器T1の検出電極26aの接点23aに接続される。そして、2(usec)の時点で切替えスイッチ23が、上記接点23aから、容器T1の検出電極26bの接点23aに切り替えられる。これにより、次の2周期目(2〜4(usec))では、交流信号源21からの交流信号は、検出電極26b側に送られる。このようにして、交流信号源21からの交流信号に同期させて切替えスイッチ23の切替えを行うように制御すれば、効率良く電極部26との接続切替えを行うことができる。
【0043】
また、1つの容器T1内の液体の検出に限らず、上記のようにして、順次、全ての容器T1、T2、・・について電極部26との接続を切り替えていけば、1つの液体検出回路20で、時分割で、全ての容器Tの電極部26との接続を行うことができる。
【0044】
図5において、(C)は、各電極部26からの入力信号(閾値検出部24への入力信号)を示す波形図である。最初の0〜2(usec)は、容器T1の検出電極26aと共通電極26eとの間の通電状態を表している。また、次の2〜4(usec)は、容器T1の検出電極26bと共通電極26eとの間の通電状態を表している。
この各電極部26からの入力信号は、閾値検出部24に入力され、閾値の検出が行われる。
【0045】
(D)は、閾値検出部24からの出力信号を示す波形図である。この例では、−(マイナス)側に閾値P3(本例では、ほぼ−1(V))を設けて、電極部26の信号減衰状況を出力している。すなわち、各電極部26からの入力値は、+2.5(V)〜−2.5(V)の範囲であるが、閾値よりさらに−(マイナス)側となったときの値((C)中、楕円点線で囲んだ部分を参照)を反転させて出力している。
【0046】
(E)は、データ抽出部25からの出力信号を示す波形図である。(D)の波形図において、クロック信号の周期に合わせて同期検波を行い、約+5(V)の電圧を有するか否かを、2値化信号として出力する。図5の例では、判定(検波)は、1、3、5、・・(usec)のタイミングで行っている(矢印P4)。例えば、最初の0〜2(usec)の周期では1(usec)のときに判定が行われる。ここで、(D)の波形図では約+5(V)の電圧を有するので、「電圧あり」を表す信号を出力する。この信号は、次の判定まで維持される。
【0047】
次の判定は、3(usec)のときであるが、このタイミングでは、(D)の波形図では、約+5(V)の電圧を有さないので、「電圧なし」を表す信号を出力する。そして、上記と同様に、次の判定時である5(usec)のときまで維持される。このように、クロック信号と同期をとって判定(検波)を行うことにより、出力結果が安定したタイミングで行うことができる。
【0048】
続いて、上述した液体検出回路20の具体的回路構成について説明する。図6は、本実施形態の液体検出回路20の回路図である。
交流信号源V1(21)は、本実施形態では、CMOSロジック回路に使用される0−5(V)、250(kHz)の信号が使用される。
キャパシターC1は、交流信号源V1から送られてくる交流信号の直流分をカットするキャパシターであり、抵抗R1(4.7kオーム)を介してグラウンドに接地されている。また、切替えスイッチ23側には、抵抗R4(22kオーム)を介して信号が送られる。すなわち、この回路図では、インピーダンス網Zsは、キャパシターC1と抵抗R1、R4からなるT型回路である。
【0049】
トランジスタQ1及びQ2は、トランジスタQ3及びQ4で差動アンプを構成するものであり、トランジスタQ4のベースで予め設定された閾値(ほぼ−1(V))と、トランジスタQ3のベースに接続された検出電極(26a〜26d)での信号変化を比較検出する。
また、この接続により、トランジスタQ4のコレクターには、トランジスタQ3のベース電位がトランジスタQ4のものより低下したときのみ電流が流れるように構成されている。実質的に、この状態は、検出に加えられた信号が−側に振れていて、閾値より低い状態のとき(電極部26に液体が接触していないとき)にだけ電流が流れる。
【0050】
トランジスタQ5及びQ6は、トランジスタQ4のコレクター電流を反転してトランジスタQ6のコレクターに流し、抵抗R5(3.3kオーム)に電圧を発生させる。抵抗R5に電圧が発生するのは、検出を行った電極部26が液体に接触していないと判断されるときだけである。
【0051】
なお、抵抗R5で発生する電圧は、トランジスタQ6が飽和状態(最高電位である約5(V))になるようにトランジスタQ6のコレクター電流と抵抗R5の関係が選ばれていて、これにより抵抗R5に電圧が発生したときには次の同期検波を行うCMOSのDFF(Dタイプフリップフロップ)での判定に十分な信号がD入力端子に与えられる。
DFFには、交流信号源V1から、上述の交流信号と全く同じクロック(検出信号)がCLK入力端子から入力され、判定が行われる。
【0052】
なお、図6において、交流信号源V1から出力され、キャパシターC1に入力される交流信号、及びDFFのCLK入力端子に入力されるクロック信号は、上記の図5の波形図(A)に対応するものである。また、キャパシターC1を通過した後の直流分を含まない交流信号は、図5の波形図(B)に対応するものである。
【0053】
さらにまた、電極部26からの入力信号(Detector−Input)は、図5の波形図(C)に対応するものである。さらに、DFFのD入力端子に送られる信号(Detector−Output)は、図5の波形図(D)に対応するものである。また、DFFからの出力信号(Phase−Detector−Output)は、図5の波形図(E)に対応するものである。
【0054】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態を示す波形図であり、第1実施形態の図5に対応する図である。
第1実施形態では、直流分がカットされた交流信号は矩形波であったが、第2実施形態は、正弦波(sin波)を用いたものである。
図7において、交流信号源21から出力される最初の信号は、(A)に示すように矩形波であるが、この信号を例えばローパスフィルターを通して、(B)に示す正弦波に変換したものである。
【0055】
また、(B)では、矩形波が正弦波に変換されているが、さらに直流分が取り除かれている。なお、(A)では、図5の(A)と比較して、位相が1/4ずれている(P5参照)。これにより、正弦波では、1、2、3、・・(usec)のときに0(V)の点を通るようになる。
そして、クロック信号の立ち上がり時(正弦波で最小電位となる点)に、判定(検波)を行うようにする(判定のタイミングを、図5と同様に、矢印P4で示している)。
【0056】
正弦波を使用したときには、矩形波と比較すると、信号の必要とする帯域が狭くても良いというメリットがある。そして、帯域が狭くて良いので、不要輻射等の心配が少ない。また、検出途中の環境や条件に波形があまり影響を受けないので、検出点までの距離が遠い大型の装置でも問題なく適用することができる。さらにまた、矩形波を使用する場合と比較して検出速度を速くすることができる。ただし、上述のように、システムに同期させた正弦波が必要になる。
【0057】
なお、矩形波にある種のローパスフィルターをかけたものを使用することも可能である。この場合には、インピーダンス(Zs)22としては、ローパスフィルターに、インピーダンス調整用の抵抗を加えたものとなる。
【0058】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態を示す回路図であり、第1実施形態の図6に対応する図である。また、図9は、図8の回路図に対応する波形図であり、第1実施形態の図5に対応する図である。
図6で示したように、第1実施形態では、±5(V)の電源を必要としたが、第3実施形態では、図8に示すように、+5(V)の電源V2だけで、第1実施形態と同様の機能が達成できるようにしたものである。
【0059】
この回路においては、測定の平均電圧がクロック信号の直流成分と同じになるので、5Vが電源として使用されると、2.5Vを中心とした測定がなされるが、それの比較に使用されるのが、トランジスタQ2のベースに接続されている直流電源V3(2.2V)である。
【0060】
さらに、第1実施形態では、切替えスイッチ23の接点23aは、全て検出電極26a〜26dと接続されていたが、第3実施形態では、接点の1つに、共通電極26e、すなわちグラウンドに接地されている接点23a’を新たに設けている。
そして、例えば液体検出装置10の電源がオフにされているときには、切替えスイッチ23が接続される接点として、接点23a’が選択される。
【0061】
例えば、液体検出装置10の電源の立上げ時又は遮断時には、この接点23a’が選択され、キャパシターC1の充放電が短時間になされ、かつ液体に接触している電極部26には流れないようにしたものである。すなわち、液体検出装置の電源投入直後等や非作動時には、一対の電極間(検出電極26a〜26dと共通電極26eとの間)に残留電位差が生じる。この残留電位差は時間の経過とともに減衰していくものであるが、これが何回も繰り返されると、液体の電気分解が進むおそれがある。そこで、第3実施形態では、このような事態を回避するため、電源の立上げ時又は遮断時には、切替えスイッチ23が接点23a’と接続されるようにしている。
【0062】
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態を示す回路図であり、第1実施形態の図6に対応する図である。また、図11は、図10の回路図に対応する波形図であり、第1実施形態の図5に対応する図である。
第4実施形態の回路は、第3実施形態と同様に、+5Vの単一の電源V2である。また、第3実施形態では検出の比較を2.2Vの直流電源V3を用いたが、第4実施形態では、抵抗R2及びR5を通ったクロック信号を、直流成分を保ったまま、閾値検出部24の入力部となるトランジスタQ1及びQ2のベースに等しく加えて、閾値検出を約1/2電源電圧(2.5V)で行うようにしている。
【0063】
さらに、閾値分だけトランジスタQ1のベース電位を高く保つ(本実施形態では、中間点より−側の信号だけで判定する)必要があるため、抵抗R4(220kオーム)で若干分圧することで、トランジスタQ2のベース電位を下げている。
【0064】
このような回路構成とすることで、万一、電源電圧が変動しても安定した検出を行うことができる。さらに、電極部26が液体に接しているときのトランジスタQ1のベース側に残る信号電圧と、トランジスタQ2のベース側に加わる信号電圧とをほぼ等しくすることができ、出力にほとんど現れないようにすることができる。すなわち、検出のS/N比を上げることができる(ダイナミックレンジを大きくすることができる)。
【0065】
図11の波形図において、(B)(Vb(Q1)−Vb(Q2))からわかるように、その直下のV(Detector−Input)で現れていたクロック信号(信号源の抵抗R2(20kオーム)と、液体の交流での導通抵抗(本例では500オームとして計算)との比によって減衰する値)がほとんどキャンセルされている(同図(B)の楕円点線で囲んだP6部分参照)。
原理的には、切替えスイッチ23の抵抗と、電極部26が液体に接しているときの導通抵抗との合算値が、抵抗R1(本例では820オーム)と等しい値になれば、クロック信号の減衰した値をほとんどキャンセルすることができるので、抵抗R1を可変抵抗にしておき、実際の状態に合わせて調整しても良い。
【0066】
本実施形態では、上述したように構成したので、以下の効果がある。
(1)検出電極26a〜26dには、必ず1サイクル又は数サイクルの完結した交流が流れるので、液体のイオン化を防止することができ、液体の特性を変化させることがない。
(2)電気信号処理は、容器Tとは切り離した所で行われ、直流は流れず、交流も弱電流しか流れないので、水系の液体を扱うシステムとして安全性が高い。
【0067】
(3)アナログ量の測定でなく、個々の電極部26における測定は、有/無の判定であるので、無調整にすることができ、信頼性が高く、計測精度は電極部26の設置数だけで決めることができる。
(4)測定のための電極部26が設けられていれば、液体検出回路20は1つでいいので、液体量検出装置10が簡便かつ安価に構成することができる。
(5)直流方式にくらべて導通抵抗が小さいので、電極部26の面積を小さくすることができる。これにより、場所をとらず、精度の高い検出を行うことができ、多くの電極部26を設けることができるようになる。
【0068】
(6)直流方式にくらべて瞬時に測定を行うことができるので、全体の測定及び表示速度を速くすることができる。
(7)低消費電力であり、バッテリーの使用でも十分に動作させることができる。
(8)オーディオ周波数帯〜AM周波数帯程度の信号を使用することができるので、不要輻射対策もほとんど必要がなくなる。
【0069】
(9)全ての検出電極26a〜26dについて、常に1つの液体検出回路20のみを動作させれば良いので、観測/検出時に相互のストロークの影響が全くないようにすることができる。
(10)容器T内には、電極部26のみを収容すれば良いので、容器Tの構造を簡素化することができる。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)本実施形態の液体量検出装置10は、インクジェットプリンタのインクの残量検知に限らず、種々の容器T内に収容した種々の液体の有無又は残量を検知さらには表示する装置に広く適用することができる。
【0071】
(2)本実施形態では、容器T内の残量表示を、「0」〜「4」の数値により表示するようにした。しかし、このような表示に限らず、各容器Tごとに4つのLEDを設け、LEDの点灯/消灯により、液体の残量を表示しても良い。例えば、4つの全ての電極部26で液体が検出されたときには全てのLEDを点灯させる。また、一番上の電極部26(検出電極26a及び共通電極26e)では液体が検出されなかったが、それより下の3つの電極部26では液体が検出されたときには、3つのLEDを点灯させ、1つのLEDを消灯させる。さらにまた、4つの全ての電極部26で液体が検出されなったときには、全てのLEDを消灯させる。以上のような表示方法も可能である。
【0072】
(3)第3実施形態及び第4実施形態では、切替えスイッチ23の接点の1つに、グラウンドに接地されている接点23a’を設けた。しかし、これに限らず、例えば切替えスイッチ23がいずれの接点にも接続されないようにしても良い。すなわち、検出電極26a〜26dとの接続状態を解除できれば、どのような構成であっても良い。
【0073】
(4)本実施形態では、全ての電極部26について、液体の有無を検出するようにしたが、例えば、1つの容器T内で、一番上の電極部26(検出電極26a及び共通電極26e)から順次検出を行うとともに、液体ありと判定された電極部26の下側に配置されている電極部26については、液体の有無の判定を行うことなく、パスするようにしても良い。
【0074】
また、液体の有無又は残量の検出は、必ずしも容器T内の液体に限られることなく、他の部分にある液体の検出を併せて行うことができる。例えばインクジェットプリンタに本装置を適用した場合に、プリンタヘッドの直前に設けられているチェンバー(インク溜め)に電極部26を設け、このチェンバー内のインクの有無を判定するようにしても良い。さらには、チェンバー内にインクがないと判定されたときには、プリンタヘッドの保護の観点から、例えば印画を中止するように制御する等を併せて行うことも可能である。
【0075】
(5)交流信号源21からの直流分をカットするためのインピーダンス22は、1又は2以上のコンデンサ若しくは抵抗又はこれらの組合せ等、種々のものが挙げられる。特に、交流信号源21から発生される信号に最初から直流分を含まない場合には、抵抗のみからなるインピーダンス22で良い。また、直流分をカットする場合には、抵抗にコンデンサを直列に又は並列に接続したものであれば良い。
【0076】
(6)本実施形態では、1つの容器T内に複数の電極部26を設けて、容器T内の液体残量を検知するようにしたが、例えば容器T内の底部に1つの電極部26を設け、容器T内の液体の有無のみを検出するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】インピーダンス等価回路を示す図である。
【図2】図1のインピーダンス等価回路のシミュレーション結果を示す図である。
【図3】直流検出方式と交流検出方式との相違による回路インピーダンスの違いを具体的に示す図である。
【図4】本実施形態における液体量検出装置を示す構成図である。
【図5】第1実施形態の検出動作を説明する波形図である。
【図6】第1実施形態の液体検出回路を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示す波形図であり、第1実施形態の図5に対応する図である。
【図8】本発明の第3実施形態を示す回路図であり、第1実施形態の図6に対応する図である。
【図9】図8の回路図に対応する波形図であり、第1実施形態の図5に対応する図である。
【図10】本発明の第4実施形態を示す回路図であり、第1実施形態の図6に対応する図である。
【図11】図10の回路図に対応する波形図であり、第1実施形態の図5に対応する図である。
【符号の説明】
【0078】
10 液体量検出装置
20 液体検出回路
21 交流信号源(V1)
22 インピーダンス(Zs)
23 切替えスイッチ
23a、23a’ 接点
24 閾値検出部
25 データ抽出部
26 電極部
26a〜26d 検出電極
26e 共通電極
27 検出基板
30 制御部
31 判定部
40 残量表示部
T(T1、T2) 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する液体を内部に収容した1又は2以上の容器内の液体を検出する液体検出装置であって、
少なくとも一部が前記容器内の液体に接するように配置された一対の電極からなるものであって液体が接することにより前記一対の電極間が通電状態となる電極部、インピーダンス及び交流信号源を有し、前記交流信号源から前記インピーダンスを介して直流分を含まない交流信号を前記電極部に入力して前記一対の電極間の通電状態を表す信号を出力するとともに、その出力信号に基づいて前記一対の電極間の通電の有無を表す2値化信号を出力するように構成した液体検出回路と、
前記液体検出回路から出力される2値化信号に基づいて、前記電極部における液体の有無を判定する判定手段と
を備え、
ここで、直流成分を含まない前記交流信号の周波数は、前記電極部に100Hz時の前記交流信号が入力された場合のインピーダンスに対して、少なくとも3桁低いインピーダンスとなる周波数である
ことを特徴とする液体検出装置。
【請求項2】
導電性を有する液体を内部に収容した1又は2以上の容器内の液体量を検出する液体量検出装置であって、
少なくとも一部が前記容器内の液体に接するように配置された一対の電極からなるものであって液体が接することにより前記一対の電極間が通電状態となる電極部、インピーダンス及び交流信号源を有し、前記交流信号源から前記インピーダンスを介して直流分を含まない交流信号を前記電極部に入力して前記一対の電極間の通電状態を表す信号を出力するとともに、その出力信号に基づいて前記一対の電極間の通電の有無を表す2値化信号を出力するように構成した液体検出回路と、
前記液体検出回路から出力される2値化信号に基づいて、前記電極部における液体の有無を判定する判定手段と
を備え、
ここで、直流成分を含まない前記交流信号の周波数は、前記電極部に100Hz時の前記交流信号が入力された場合のインピーダンスに対して、少なくとも3桁低いインピーダンスとなる周波数である
ことを特徴とする液体量検出装置。
【請求項3】
導電性を有する液体を内部に収容した1又は2以上の容器内の液体を検出する液体検出装置であって、
少なくとも一部が前記容器内の液体に接するように配置された一対の電極からなるものであって液体が接することにより前記一対の電極間が通電状態となる電極部、インピーダンス及び交流信号源を有し、前記交流信号源から前記インピーダンスを介して直流分を含まない交流信号を前記電極部に入力して前記一対の電極間の通電状態を表す信号を出力するとともに、その出力信号を予め設定された閾値と比較して、前記出力信号と前記閾値との差分を前記一対の電極間の通電の有無を表す2値化信号として出力するように構成した液体検出回路と、
前記液体検出回路から出力される2値化信号に基づいて、前記電極部における液体の有無を判定する判定手段と
を備え、
ここで、直流成分を含まない前記交流信号の周波数は、前記電極部に100Hz時の前記交流信号が入力された場合のインピーダンスに対して、少なくとも3桁低いインピーダンスとなる周波数である
ことを特徴とする液体量検出装置。
【請求項4】
導電性を有する液体を内部に収容した1又は2以上の容器内の液体量を検出する液体量検出装置であって、
少なくとも一部が前記容器内の液体に接するように配置された一対の電極からなるものであって液体が接することにより前記一対の電極間が通電状態となる電極部、インピーダンス及び交流信号源を有し、前記交流信号源から前記インピーダンスを介して直流分を含まない交流信号を前記電極部に入力して前記一対の電極間の通電状態を表す信号を出力するとともに、その出力信号を予め設定された閾値と比較して、前記出力信号と前記閾値との差分を前記一対の電極間の通電の有無を表す2値化信号として出力するように構成した液体検出回路と、
前記液体検出回路から出力される2値化信号に基づいて、前記電極部における液体の有無を判定する判定手段と
を備え、
ここで、直流成分を含まない前記交流信号の周波数は、前記電極部に100Hz時の前記交流信号が入力された場合のインピーダンスに対して、少なくとも3桁低いインピーダンスとなる周波数である
ことを特徴とする液体量検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体量検出装置において、
前記一対の電極間の通電の有無を表す2値化信号は、前記交流信号源から発生させる交流信号の周期に基づいて出力される
ことを特徴とする液体量検出装置。
【請求項6】
請求項4に記載の液体量検出装置において、
前記液体検出回路は、前記一対の電極間の通電の有無を表す2値化信号を出力するためのクロック信号を発生させるとともに、前記交流信号源から発生させる前記交流信号と前記クロック信号とを同期させるように制御する
ことを特徴とする液体量検出装置。
【請求項7】
請求項4に記載の液体量検出装置において、
前記電極部は、1つの前記容器内に複数設けられるとともに、前記容器内の液体の減少に伴う液面の低下方向における複数位置に配置されており、
前記液体検出回路は、各前記一対の電極間の通電の有無を表す2値化信号を出力し、前記判定手段は、各前記一対の電極間の2値化信号に基づいて、前記容器内の液体残量を段階的に判定する
ことを特徴とする液体量検出装置。
【請求項8】
請求項4に記載の液体量検出装置において、
前記電極部は、複数の前記容器内にそれぞれ配置されており、
前記液体検出回路は、各前記容器内の前記一対の電極間の通電状態を表す信号を、時分割で順次出力するように制御する
ことを特徴とする液体量検出装置。
【請求項9】
請求項4に記載の液体量検出装置において、
前記液体検出回路のうち前記電極部は、前記容器内に配置され、
前記液体検出回路のうち前記電極部以外の部分、及び前記判定手段は、前記容器外に設けられている
ことを特徴とする液体量検出装置。
【請求項10】
請求項4に記載の液体量検出装置において、
前記電極部は、複数設けられており、
複数の前記電極部のインピーダンス特性は、2値化の判定を容易ならしめるよう、共通するように形成されていることを特徴とする液体量検出装置。
【請求項11】
請求項4に記載の液体量検出装置において、
前記液体検出回路は、前記交流信号のうち、少なくとも正極又は負極のいずれか一方の極の信号を用いて、前記一対の電極間の通電の有無を表す2値化信号を出力するように制御する
ことを特徴とする液体量検出装置。
【請求項12】
請求項4に記載の液体量検出装置において、
前記液体検出回路は、前記交流信号源と、前記電極部のうち前記交流信号源からの前記交流信号が入力される接点との接続状態を解除することが可能に構成されている
ことを特徴とする液体量検出装置。
【請求項13】
容器内の導電性を有する液体を検出する液体検出方法であって、
少なくとも一部が前記容器内の液体に接するように配置された一対の電極からなるものであって液体が接することにより前記一対の電極間が通電状態となる電極部に対して、交流信号源からインピーダンスを介して直流分を含まない交流信号を入力し、前記一対の電極間の通電状態を表す信号を出力する工程と、
その出力信号を予め設定された閾値と比較して、前記出力信号と前記閾値との差分を前記一対の電極間の通電の有無を表す2値化信号として出力する工程と、
2値化信号に基づいて、前記電極部における液体の有無を判定する工程と
を含み、
ここで、直流成分を含まない前記交流信号の周波数は、前記電極部に100Hz時の前記交流信号が入力された場合のインピーダンスに対して、少なくとも3桁低いインピーダンスとなる周波数である
ことを特徴とする液体検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−190919(P2007−190919A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32722(P2007−32722)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【分割の表示】特願2006−167980(P2006−167980)の分割
【原出願日】平成14年7月24日(2002.7.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】