説明

液体注出ノズルおよびこれを備えたカップ式自動販売機

【課題】飲料注出時にはカップ内に飲料を注出し、飲料注出動作の終了後には後垂れ液でカップの縁を汚すことのない液体注出ノズルおよびこれを備えたカップ式自動販売機を提供することを目的とする。
【解決手段】液体注出ノズル30によって飲料等の液体をカップCに供給して販売するカップ式自動販売機1において、液体注出ノズル30の下方に配設した後垂れ受け40の下部をカップCの外方に向けて下向きに傾斜させた曲面42とし、飲料注出動作の終了後に生じた後垂れ液を曲面42に沿わせて流下させてカップCの外に滴下させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機内で調理した飲料や希釈水等の液体をカップに注出する液体注出ノズル、およびこれを備えたカップ式自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からカップ式自動販売機では、カップを載置するベンドステージにコーヒー飲料、シロップ、シロップ希釈用冷水、炭酸水等を注出する液体注出ノズルの吐出口をカップの内方に向けて前傾姿勢に配置している。
係る構成で、コーヒー飲料はコーヒーブリュアで抽出したコーヒー液とキャニスタから供給した砂糖およびクリームをミキシングボウルで攪拌混合して液体注出ノズルからカップに注出する。一方、シロップ飲料は、シロップ、冷水または炭酸水および氷をカップに供給し、カップ内でこれらを攪拌混合して飲料としている。
【0003】
このように、ベンドステージに載置したカップには、コーヒー液と砂糖、クリームを攪拌混合したコーヒー飲料、シロップ、冷水、炭酸水等が液体注出ノズルから注出され、カップ式自動販売機の利用者に提供される(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−118140号公報
【特許文献2】特開2007−141147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ベンドステージに載置したカップにコーヒー飲料、シロップ、冷水、炭酸水等を液体注出ノズルからカップに注出した後には飲料の表面張力により吐出口外形下端にこれら飲料が維持され、これが後垂れ液として滴下してカップの縁を汚したり、次に販売する飲料に混入したり、さらには、吐出口外形下端にこれら飲料が固着する虞がある。
【0006】
このように飲料注出動作の終了後の後垂れ液がカップの縁に滴下すると見た目が悪くなるとともに、後垂れ液がカップ外側面に流れると、利用者が当該カップを取り出すときに手に付着するなどの不都合が生じる。また、次に販売する飲料に混入すると味に変化を生じさせることとなる。
このようなことを防ぐために、液体注出ノズルの吐出口下部に液体ガイドを設け、飲料注出動作後の後垂れ液を液体ガイドの底面に沿わせて流下させてカップの外に滴下させるようにした提案がなされている。
【0007】
しかしながら、このように液体注出ノズルの吐出口下部に液体ガイドを設けると、飲料注出時の飲料の本流および飲料注出終了直前の飲料の弱流が液体ガイドに導かれてカップの外に流下する、また、液体ガイドに導かれて流下する途中で滴下して前述した不具合を生じる虞がある。
本発明は、上記実情に鑑みて、飲料注出時にはカップ内に飲料を注出し、飲料注出動作の終了後には後垂れ液でカップの縁を汚すことのない液体注出ノズルおよびこれを備えたカップ式自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、カップの内方に向けて前傾姿勢に配置した吐出口から飲料等の液体を注出する液体注出ノズルであり、前記カップの外方に向けて下向きに傾斜させた底面を有する液体ガイドを前記吐出口下部に設けたものにおいて、
前記液体ガイドは前記吐出口外形と隙間を設けて配設し、液体注出動作の終了後に生じた後垂れ液のみを前記液体ガイドの底面に沿わせて流下させて前記カップの外に滴下させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、液体注出ノズルによって飲料等の液体をカップに供給して販売するカップ式自動販売機において、
前記液体注出ノズルの下方に配設した後垂れ受けの下部を前記カップの外方に向けて下向きに傾斜させた曲面とし、液体注出動作の終了後に生じた後垂れ液を当該曲面に沿わせて流下させて前記カップの外に滴下させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、カップの内方に向けて前傾姿勢に配置した吐出口から飲料等の液体を注出する液体注出ノズルであり、カップの外方に向けて下向きに傾斜させた底面を有する液体ガイドを吐出口下部に設けたものにおいて、液体ガイドは吐出口外形と隙間を設けて配設し、液体注出動作の終了後に生じた後垂れ液のみを液体ガイドの底面に沿わせて流下させてカップの外に滴下させるようにしたので、飲料注出時の飲料の本流および飲料注出終了直前の飲料の弱流が液体ガイドに導かれることを防ぐことができ、液体ガイドは飲料注出動作終了後の後垂れ液のみをカップの外へ導いて滴下させることができるので、飲料注出時にはカップ内に飲料を注出し、飲料注出動作の終了後に後垂れ液でカップの縁を汚すことのない液体注出ノズルを提供することが可能となる。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、液体注出ノズルによって飲料等の液体をカップに供給して販売するカップ式自動販売機において、液体注出ノズルの下方に配設した後垂れ受けの下部をカップの外方に向けて下向きに傾斜させた曲面とし、液体注出動作の終了後に生じた後垂れ液を当該曲面に沿わせて流下させてカップの外に滴下させるようにしたので、液体注出ノズルからの後垂れ液が後垂れ受けの端面付近に接触しても液体の表面張力により曲面に沿って流下することにより、カップ内に滴下することなく、カップの外へ導いて滴下させ、飲料注出動作の終了後に後垂れ液でカップの縁を汚すことのない液体注出ノズルを備えたカップ式自動販売機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るカップ式自動販売機の水回路図である。
【図2】本発明の実施形態に係るカップ式自動販売機および液体注出ノズルの断面側面図である。
【図3】図2に示した液体注出ノズルからの飲料の注出状態を示す断面側面図である。
【図4】図2に示した液体注出ノズルからの後垂れ液を示す断面側面図である。
【図5】図2に示した液体注出ノズルから後垂れ受けに流下する後垂れ液を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、液体注出ノズルを備えたカップ式自動販売機の水回路図を示している。カップ式自動販売機1には、弁を開閉して水道から供給される飲用水の給水・停止を行う水入口電磁弁11、水入口電磁弁11が開いて供給された飲用水を貯留するリザーバタンク12、リザーバタンク12に貯留している飲用水を各機器に圧送する給水ポンプ13、温水タンク20に飲用水を圧送するときに弁を開く飲用水電磁弁14、アイス飲料用の飲用水、炭酸水やシロップを冷却する冷却水槽15、炭酸ガスを貯蔵する炭酸ガスボンベ16、シロップを貯蔵するシロップタンク17、炭酸水を製造して貯留するカーボネータ18、リザーバタンク12から供給される飲用水で氷片を製造するオーガ式製氷機19、給水ポンプ13を運転して飲用水電磁弁14を開いてリザーバタンク12から圧送された飲用水を95℃〜97℃に加熱した温水を貯留する温水タンク20、キャニスタ22から供給されるコーヒー豆をミル23で挽いた挽き豆に温水供給電磁弁21を開いて温水タンク20から供給される温水を注いでコーヒー液を抽出するコーヒーブリュア24、コーヒーブリュア24で抽出したコーヒー液にキャニスタ25から供給される砂糖、クリームを攪拌混合してコーヒー飲料とするミキシングボウル26、ベンドステージ28に載置したカップCにコーヒー飲料、シロップ、冷水、炭酸水を注出する液体注出ノズル30を備えている。
【0014】
図2は、液体注出ノズル30を備えたカップ式自動販売機1の内部構造を断面側面図を用いて模式的に示している。カップ式自動販売機1は、カップ供給装置(図示せず)から供給されたカップCを載置するベンドステージ28を備え、その上方には機内で調理したコーヒー飲料やシロップを希釈する冷水、炭酸水等の液体をカップCの内方に向けて前傾姿勢に配置した吐出口32から注出する液体注出ノズル30がノズル取付部37および取付金具38で機内ベース金具39に取り付けられている。また、液体注出ノズル30下方で、カップCの上方となる位置には後垂れ受け40が配設されている。
【0015】
液体注出ノズル30は、ミキシングボウル26等に連通されている液体チューブ(図示せず)が一端に接続されるパイプ状のノズル31の他端を略垂直にカットした吐出口32下端に液誘引部33を設け、吐出口32外形と隙間34を設けてカップCの外方に向けて下向きに傾斜させた底面35を有する液体ガイド36を設けている。液誘引部33は、飲料注出動作終了後の飲料の表面張力を弱めて吐出口32に飲料が維持されることを防ぐために設けられている。
【0016】
後垂れ受け40は、その下部を端面41からカップCの外方に向けて下向きに傾斜させた曲面42を有している。
このように、カップCの内方に向けて前傾姿勢に配置した吐出口32から飲料等の液体を注出する液体注出ノズル30に、カップCの外方に向けて下向きに傾斜させた底面35を有する液体ガイド36を吐出口32下部に設け、液体ガイド36は吐出口32外形と隙間34を設けて配設し、液体(飲料)注出動作の終了後に生じた後垂れ液のみを液体ガイド36の底面35に沿わせて流下させてカップCの外に滴下させるようにしたので、図3に示すように、飲料注出時の飲料の本流および飲料注出終了直前の飲料の弱流が液体ガイド36に導かれることを防いでカップCに注出することができる。また、図4に示すように、液体ガイド36は飲料注出動作終了後の後垂れ液のみをカップCの外へ導いて滴下させることができるので、飲料注出時にはカップC内に飲料を注出し、飲料注出動作の終了後に後垂れ液でカップCの縁を汚すことのない液体注出ノズル30を提供することができる。
【0017】
さらに、液体注出ノズル30によって飲料等の液体をカップCに供給して販売するカップ式自動販売機1において、液体注出ノズル30の下方に配設した後垂れ受け40の下部をカップCの外方に向けて下向きに傾斜させた曲面42とし、液体(飲料)注出動作の終了後に生じた後垂れ液を曲面42に沿わせて流下させてカップCの外に滴下させるようにしたので、図5に示すように、液体注出ノズル30からの後垂れ液が後垂れ受け40の端面41付近に接触しても液体(飲料)の表面張力により曲面42に沿って流下することにより、カップC内に滴下することなく、カップCの外へ導いて滴下させ、飲料注出動作の終了後に後垂れ液でカップCの縁を汚すことのない液体注出ノズル30を備えたカップ式自動販売機1を提供することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 カップ式自動販売機
12 リザーバタンク
17 シロップタンク
18 カーボネータ
20 温水タンク
24 コーヒーブリュア
26 ミキシングボウル
28 ベンドステージ
30 液体注出ノズル
31 ノズル
32 吐出口
33 液誘引部
34 隙間
35 底面
36 液体ガイド
40 後垂れ受け
41 端面
42 曲面
C カップ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップの内方に向けて前傾姿勢に配置した吐出口から飲料等の液体を注出する液体注出ノズルであり、前記カップの外方に向けて下向きに傾斜させた底面を有する液体ガイドを前記吐出口下部に設けたものにおいて、
前記液体ガイドは前記吐出口外形と隙間を設けて配設し、液体注出動作の終了後に生じた後垂れ液のみを前記液体ガイドの底面に沿わせて流下させて前記カップの外に滴下させるようにしたことを特徴とする液体注出ノズル。
【請求項2】
液体注出ノズルによって飲料等の液体をカップに供給して販売するカップ式自動販売機において、
前記液体注出ノズルの下方に配設した後垂れ受けの下部を前記カップの外方に向けて下向きに傾斜させた曲面とし、液体注出動作の終了後に生じた後垂れ液を当該曲面に沿わせて流下させて前記カップの外に滴下させるようにしたことを特徴とするカップ式自動販売機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−181925(P2010−181925A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22268(P2009−22268)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】