説明

液体洗浄剤製品および液体柔軟剤製品

【課題】 詰め替え作業性が長期の使用期間にわたって良好な液体製品を提供すること、内容物である組成物の品質を安定に保持できる液体製品を提供すること、次回の詰め替え作業までの間に組成物が袋体から流出などすることなく保存しやすい液体製品を提供すること、のうち少なくとも1つを課題とする。
【解決手段】 25℃での粘度が10〜500mPa・sである液体洗浄剤組成物または液体柔軟剤組成物と、開閉自在な注出部が形成され、前記液体洗浄剤組成物または液体柔軟剤組成物を収納する袋体とを有することを特徴とする液体製品により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤製品および液体柔軟剤製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体洗浄剤組成物や液体柔軟剤組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレ−トなどのプラスチック製のボトルや袋体などの容器に収納されて製品として販売されている。特に、最近では、簡易型のボトルや袋体に収納された詰め替え用の液体製品も広く流通し、長期使用が可能な容器に内容物を詰め替えて使用することが一般的になってきている。
このような詰め替え用の液体製品には、内容物の品質が安定に保持されることや、詰め替え時の作業性が良好であることなどが求められる。
【0003】
このような背景下、例えば特許文献1には、詰め替え用途に使用され、長期保存時の液体洗浄剤組成物の香気安定性に優れた、収納袋入り液体洗浄剤組成物として、少なくとも1層が白以外の着色インキ層である2層以上のインキ層を有し、全光線透過率が25%以下である多層フィルム製の収納袋に、酸化防止剤を含有する液体洗浄剤組成物が収納されたものが開示されている。
特許文献2には、内容物の品質を保持する包装材料として、白インキ層と金赤インキ層との二層からなる遮光層を含み、遮光性に優れたものが記載されている。また、特許文献3には、プラスチックフィルムの片面に、少なくとも白色の第1印刷層、茶色または銀色の第2印刷層を設け、かつ着色樹脂層を介してシーラント層を設けてなる遮光性包装材料が記載されている。
【特許文献1】特開2001−98300号公報
【特許文献2】特開平09−66578号公報
【特許文献3】特開平09−314719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された収納袋は、切断誘導線に沿って切除部を切断することによって注出口が形成される形態のもので、切除部を一旦切断してしまうと再封緘できないという問題があった。すなわち、詰め替え用製品に使用されている収納袋や容器は、内容物を詰め替えた後には廃棄物になってしまうため、環境面、コスト面などからは、再封緘可能であって内容物を複数回にわたって詰め替えられる形態のものが好ましいと考えられるが、特許文献1に記載された収納袋では、事実上内容物を1回しか詰め替えられない。
【0005】
また、内容物を複数回にわたって詰め替える型の液体製品においては、まず、初回の詰め替え時から最終回の詰め替え時まで、容易に詰め替え作業が行えること、すなわち詰め替え作業性が長期の使用期間にわたり良好であることが求められる。具体的には、袋体内の内容物の残量にかかわらず、作業者が1回分の注入液量を適切に制御しつつ、短時間で詰め替え作業を行えることや、詰め替え時に液が飛び散らないことなどが求められる。
また、初回の詰め替え時から最終回の詰め替え時まで、内容物の品質が安定に保持されることが求められる。例えば、皮膜形成しやすい内容物の場合には、詰め替え回数を重ねる毎に、内容物の一部が固化してしまう可能性があるので、このような不都合を抑制することが重要である。
さらに、次回の詰め替え作業までの間、内容物が袋体から流出したり、製品ごと落下した場合でもこぼれたりせず、長期間保存しやすいことが必要である。
ところが、特許文献1には、注ぎ口の角度と外径が規定され、詰替えの簡便性が評価されているものの、長期にわたる詰め替え作業性、内容物の品質安定性、保存しやすさなどについては全く記載されていない。また特許文献1に記載された収納袋は、これらの特性に具備したものでもない。
【0006】
また、特許文献2および3に記載された発明は、いずれも主に食品を包装対象とし、その光による酸化抑制または香料の香調劣化抑制を目的としたものであって、液体洗浄剤組成物や液体柔軟剤組成物の品質を安定に維持することについては一切示唆、記載されていないし、また、安定に維持できるものでもない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、詰め替え作業性が長期の使用期間にわたって良好な液体製品を提供すること、内容物である組成物の品質を安定に保持できる液体製品を提供すること、次回の詰め替え作業までの間に組成物が袋体から流出などすることなく保存しやすい液体製品を提供すること、のうち少なくとも1つを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討し、袋体に収納される液体洗浄剤組成物や液体柔軟剤組成物の粘度や組成を適切に制御し、また、袋体を特定のものとすることによって、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の液体洗浄剤製品は、25℃での粘度が10〜500mPa・sである液体洗浄剤組成物と、開閉自在な注出部が形成され、前記液体洗浄剤組成物を収納する袋体とを有することを特徴とする。この液体洗浄剤製品によれば、詰め替え作業性が長期の使用期間にわたって良好であるとともに、注出部が開閉自在とされていることから、次回の詰め替え作業までの間の組成物の保存しやすさに優れる。
本発明の第2の液体洗浄剤製品は、界面活性剤(A)5〜50質量%と、アルコール(B−1)1〜20質量%とを含有する液体洗浄剤組成物と、開閉自在な注出部が形成され、前記液体洗浄剤組成物を収納する袋体とを有することを特徴とする。この液体洗浄剤製品によれば、内容物である組成物の品質を安定に維持できるとともに、注出部が開閉自在とされていることから、次回の詰め替え作業までの間の組成物の保存しやすさに優れる。
また、本発明の第1の液体柔軟剤製品は、25℃での粘度が10〜500mPa・sである液体柔軟剤組成物と、開閉自在な注出部が形成され、前記液体柔軟剤組成物を収納する袋体とを有することを特徴とする。この液体柔軟剤製品によれば、詰め替え作業性が長期の使用期間にわたって良好であるとともに、注出部が開閉自在とされていることから、次回の詰め替え作業までの間の組成物の保存しやすさに優れる。
また、本発明の第2の液体柔軟剤製品は、長鎖炭化水素基とエステル基を有する3級アミン、該3級アミンの中和物、該3級アミンの4級化物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン系化合物(C)3〜40質量%と、アルコール(B−2)0.5〜10質量%とを含有する液体柔軟剤組成物と、開閉自在な注出部が形成され、前記液体柔軟剤組成物を収納する袋体とを有することを特徴とする。この液体柔軟剤製品によれば、内容物である組成物の品質を安定に維持できるとともに、注出部が開閉自在とされていることから、次回の詰め替え作業までの間の組成物の保存しやすさに優れる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、詰め替え作業性が長期の使用期間にわたって良好な液体製品を提供できる。また、内容物である組成物の品質を安定に保持可能な液体製品を提供できる。また、次回の詰め替え作業までの間に組成物が袋体から流出などすることなく保存しやすい液体製品を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の液体洗浄剤製品について詳細に説明する。
[第1の液体洗浄剤製品]
本発明の第1の液体洗浄剤製品は、25℃での粘度が10〜500mPa・sである液体洗浄剤組成物と、開閉自在な注出部が形成され、該液体洗浄剤組成物を収納する袋体とを具備して構成される。
【0011】
(液体洗浄剤組成物)
第1の液体洗浄剤製品に使用される液体洗浄剤組成物は、この組成物の被洗物への浸透性を高めるとともに被洗物を洗浄する機能を担う界面活性剤を少なくとも1種含有し、かつ、25℃での粘度が10〜500mPa・sに制御されたものであれば特に制限はない。25℃での粘度が10〜500mPa・sの範囲であると、初回の詰め替え時から最終回の詰め替え時までの詰め替え性が良好、すなわち、詰め替え作業性が長期の使用期間にわたって良好である。具体的には、袋体内の組成物量にかかわらず作業者が1回分の注入液量を適切に制御しつつ、短時間で詰め替え作業を行え、かつ、詰め替え時に液が飛び散らない。25℃における粘度が10mPa・s未満では、特に2回以上詰め替え可能な量の組成物が入っている袋体から内容物を詰め替える場合などに、1回分の注入液量の制御が困難で、組成物が飛び散ったりこぼれたり、詰め替え先の容器から組成物が溢れだしたりしやすい。また、袋体内の組成物の残量が少なくなった場合にも、組成物が飛び散ったりこぼれたりしやすい。一方、粘度が500mPa・sを超えると、詰め替え作業に時間がかかりすぎる。
【0012】
界面活性剤としては、通常使用されるアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が例示でき、これらを1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。液体洗浄剤組成物中における界面活性剤の含有量には特に制限はないが、十分な洗浄力を発現するとともに、組成物の粘度を上記範囲に制御しやすいことから通常5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。
【0013】
また、液体洗浄剤組成物には、界面活性剤の他、必要に応じて他の任意成分を配合することができる。
配合可能な他の成分としては、例えば、洗浄性能向上や配合安定性向上等を目的として、酵素(プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等)、安定化剤(安息香酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム等)、防腐剤、ハイドロトロープ剤、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、酸化防止剤、ソイルリリース剤等を配合することができる。
その他、商品の付加価値向上等を目的として、着色剤や着香剤を配合することもできる。着色剤としては、アシッドレッド138、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青1号、青色205号、ターコイズP−GR等(いずれも商品名)の色素や顔料が使用でき、その好ましい配合量は、0.00005〜0.0005質量%程度である。着香剤としては「実施例」の項で使用されている香料等が使用でき、その好ましい配合量は、0.1〜1質量%である。
【0014】
液体洗浄剤組成物の調製方法は特に制限されるものではなく、界面活性剤と、必要に応じて上記任意成分、さらに必要に応じて水を配合して粘度を上記範囲に制御することによって調製できる。
また、その使用方法は特に限定されないが、衣料用の液体洗浄剤組成物である場合には、洗濯機内に被洗物を投入した後、洗濯機槽内に水を充満させ、さらに適当な濃度になるように組成物を添加、溶解させて洗濯液を得、これによって被洗物を洗浄することができる。その他の用途の場合には、通常の使用方法で行えばよい。
【0015】
(袋体)
液体洗浄剤組成物を収納する袋体の一例として、図1のスタンディングタイプの袋体10が挙げられる。
この袋体10は、樹脂フィルムの周縁が熱融着により閉じられ、袋状に形成された袋体本体11と、この袋体本体11の上端部11aの中央に形成され、内容物である液体洗浄剤組成物を注ぎ出すための注出部12とを具備して構成されている。注出部12は、外周面に図示略のネジ部が形成され、袋体本体11に熱融着により取り付けられた樹脂製の筒部材12aと、内周面にネジ部が形成され、筒部材12aに螺合する図示略のキャップ部材とからなり、開閉自在となっている。袋体本体11の下端部11bは、この袋体本体11を形成している樹脂フィルムが折り込まれた折り込み部11cが形成されるとともに一部熱融着してなる底部であり、袋体本体11内に組成物が充填された際に折り込み部11cが開くことにより、袋体10が自立(スタンディング)可能となっている。また、この例において、図中H=300mm,W=180mm,H=324mm,H(底折り幅)=50mm、L=26.9mm、L=24.0mm、L=90mm、d=16mmであり、袋体10の容量は1500mlである。
【0016】
ここで袋体本体11を形成する樹脂フィルムとしては特に制限はなく、単層フィルムでも多層フィルムでもよいが、内層(組成物と接する層)として、熱融着による接着性を備えた熱接着性樹脂からなるフィルムを備え、外層として、機械的、物理的、化学的などの各性質に優れた樹脂からなるフィルムを備えた多層フィルムを使用することが好ましい。
【0017】
内層を形成する熱接着性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等の樹脂が挙げられ、これらのうち1種を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
外層を形成する樹脂としては、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリアセタール系等の樹脂が挙げられ、これらのうち1種を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。また、外層に使用するフィルムは未延伸フィルムでもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルムでもよい。
【0018】
また、内層と外層の間には、酸素ガス、水蒸気ガス等のガスバリア性や遮光性を付与するための中間層が設けられてもよい。ガスバリア性や遮光性を付与でき、中間層に好適に使用される材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔;ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニリデン等のフィルム;ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリビニルアルコール等のフィルムにポリ塩化ビニルデンを塗工したフィルム:これらフィルムにアルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着を施したフィルムなどが挙げられる。また、中間層は、ガスバリア性、遮光性に加えて、例えば、機械的強靭性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等の機能を付与する目的で設けられてもよい。その場合には、これらの機能を備えたポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン等のフィルムとガスバリア性および遮光性を備えたフィルムとを組み合わせて中間層としてもよい。
【0019】
以上の各層の厚みには特に制限はなく、内層は熱融着により良好に接着可能な厚さであればよいが、好ましくは100〜200μmである。外層は内容物である液体洗浄剤組成物を収納するのに耐えうる強度、剛性を備えていればよいが、好ましくは5〜50μmである。また、中間層も目的とする効果が発現する厚さであればよいが、好ましくは5〜50μmである。
また、袋体本体11を形成する樹脂フィルムの総厚には制限はないものの、組成物の保護性、袋体の自立しやすさ(スタンディング性)から、100〜300μmが好ましく、さらに好ましくは140〜250μmである。
【0020】
注出部12を構成する筒部材12aおよびキャップ部材の材質としては、注出部12を開閉可能に形成できる限り制限はないが、筒部材12aおよびキャップ部材を成形しやすいとともに、筒部材12aとキャップ部材とを螺合した際の液密性に優れる、筒部材12aと内層との熱融着性に優れることなどから、袋体本体11の内層と同じ材質の樹脂の使用が好ましい。また、筒部材12aの内径(図中dで示す。)には制限はないが、液体洗浄剤組成物の注出速度が適切な範囲となるように、液体洗浄剤組成物の粘度に応じて決定することが好ましく、通常5〜40mm、好ましくは5〜25mmである。また、筒部材12aの断面形状にも特に制限はないが、通常円形または楕円形である。なお、楕円形の場合の内径とはここでは長径を指す。図示例の袋体10の筒部材12aは断面円形であって、内径は16mmである。
【0021】
また、袋体10の外表面には、意匠性を付与するための絵柄や商品名などを適宜印刷してもよい。印刷に使用するインキは、含金属顔料として、フタロシアニン系顔料、含チタン顔料、酸化クロム、コバルト、シリカ、アルミナ等を、一般顔料として、アゾ系顔料、アントラキノン顔料、ベリノン系顔料、チオインジゴ系顔料の有機顔料などを1種単独、あるいは2種以上含有するものを使用できる。これらの顔料を、例えばアルコ−ル系溶剤、エステル系溶剤、エ−テルアルコ−ル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤などの溶剤と、バインダ樹脂などとともに、例えば、ミキサー、ニーダー等でプレミキシングし、次いでロールミル、ボールミル、サンドミル等で十分に混練することにより、インキを製造することができる。バインダ樹脂としては特に制限はないが、密着性の優れたウレタン樹脂が好ましい。
【0022】
袋体10の外表面に印刷する方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリ−ン印刷、フレキソ印刷等の通常の印刷法、あるいはリバースロールコート、フローティングナイフコート、キスロールコート、スプレーコート等の通常の塗布法等が挙げられる。これらのなかでは、通常、グラビア印刷が汎用に用いられる。
なお、必要があれば、袋体10の内表面に目的に応じた何らかの印刷をしても構わない。
【0023】
このような袋体10によれば、開閉自在な注出部12が形成されていて、内容物である組成物を詰め替える場合にはキャップ部材を筒部材12aからはずして、組成物を他の容器などに注ぎ出すことができ、一方、組成物を保存する場合には、筒部材12aとキャップ部材とを螺合してこの注出部12を液密に閉じ、組成物の流出を防ぐことができる。よって、収納している組成物を複数回にわたって詰め替える際に、次回の詰め替え作業までの間に内容物が袋体から流出したり、製品ごと落下した場合でもこぼれたりせず、組成物を袋体10内に確実に収納することができる。
【0024】
なお図示例の袋体10はスタンディングタイプであり、店頭での陳列時などの省スペース性に優れるとともに、購買者への訴求性にも優れるものであるが、袋体の形態はスタンディングタイプには限定されず、いかなるものでもよい。
また、この袋体10は、樹脂フィルムの周縁が熱融着により閉じられ、袋状に形成された袋体本体11を備えているが、袋体本体11はこのようなヒートシールタイプに限らず、超音波などでシールされたものでもよいし、他の成形法で形成されたものでもよい。
また、この例で注出部12は、袋体本体11の上端部11aの中央に形成されていて、スタンディングタイプの袋体10の場合には詰め替え時の使用性などに優れるが、注出部12の形成位置には特に制限はなく、同じく使用性に優れる上端部11aの角部の他、下端部11bの任意の部分など袋体本体11のいかなる部分に形成されてもよい。
また、注出部12も、筒部材12aとキャップ部材とからなり、螺合することにより液密性が発現する形態のものに限らず、押し込み式嵌合キャップ型、ヒンジキャップ型、プッシュプル型、スクリューキャップ型など、注出部12を閉じた場合に液密性が発現可能であればいかなる形態であってもよい。
【0025】
[第2の液体洗浄剤製品]
本発明の第2の液体洗浄剤製品は、界面活性剤(A)5〜50質量%と、アルコール(B−1)1〜20質量%とを含有する液体洗浄剤組成物と、開閉自在な注出部12が形成され、該液体洗浄剤組成物を収納する図1のような袋体10とを具備して構成される。
【0026】
(液体洗浄剤組成物)
第2の液体洗浄剤製品に使用される液体洗浄剤組成物は、この組成物の被洗物への浸透性を高めるとともに被洗物を洗浄する機能を担う少なくとも1種の界面活性剤(A)を5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%含有し、かつ、袋体10の注出部12付近や組成物の表面などで組成物が皮膜状に固化する(皮膜形成性)ことを防ぐためのアルコール(B−1)を1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%含有するものである。ここで界面活性剤(A)が5質量%未満では組成物の洗浄力が不十分で、一方50質量%を超えると組成物の皮膜形成性が高まって流動性の低下、注出部12の閉塞などの不都合を生じやすく、詰め替え性が低下するとともに、洗浄力も向上しない。また、アルコール(B−1)が1質量%未満では、組成物の皮膜形成性を十分に抑制できない。また、その結果、次回の詰め替え時における詰め替え性が低下する。一方、20質量%を超えてアルコール(B−1)を配合しても、皮膜形成性の抑制効果は飽和し向上しない。
【0027】
界面活性剤(A)としては、先に[第1の液体洗浄剤製品]において例示した界面活性剤を同様に使用できる。
アルコール(B−1)としては特に制限はなく、一価のアルコールおよび多価のアルコールを使用できるが、詰め替えのために袋体10の注出部12を何度も開放した場合でも揮発しにくく、液体洗浄剤組成物の皮膜形成性を長期にわたって十分に抑制できることから、多価アルコールが好ましい。
このようなアルコール(B−1)の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、グリセリン、ショ糖、ソルビトール、フェノキシエタノール、ブチルカルビトール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、トリアルキレングリコールモノブチルエーテルなどの1価または多価のアルコールが挙げられ、これらのうち1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、その他に、ジエタノールアミン、ポリエチレングリコ−ルなどを使用してもよい。
【0028】
液体洗浄剤組成物には、界面活性剤(A)およびアルコール(B−1)の他、必要に応じて他の任意成分を配合可能であり、任意成分としては[第1の液体洗浄剤製品]において例示したものを同様に使用できる。また、液体洗浄剤組成物の調製方法、使用方法についても、[第1の液体洗浄剤製品]と同様である。
【0029】
(袋体)
第2の液体洗浄剤製品において使用される袋体としては、開閉自在な注出部が形成され、該液体洗浄剤組成物を収納可能なものであれば特に制限はなく、先に[第1の液体洗浄剤製品]で例示した袋体10を同様に好適に使用できる。
【0030】
[第1の液体柔軟剤製品]
本発明の第1の液体柔軟剤製品は、25℃での粘度が10〜500mPa・sである液体柔軟剤組成物と、開閉自在な注出部12が形成され、該液体洗浄剤組成物を収納する図1のような袋体10とを具備して構成される。
【0031】
(液体柔軟剤組成物)
第1の液体柔軟剤製品に使用される液体柔軟剤組成物は、繊維製品に柔軟性を付与する界面活性剤を少なくとも1種含有し、かつ、25℃での粘度が10〜500mPa・sに制御されたものであれば特に制限はない。25℃での粘度が10〜500mPa・sの範囲であると、初回の詰め替え時から最終回の詰め替え時までの詰め替え性が良好であって、袋体内の組成物量にかかわらず作業者が1回分の注入液量を適切に制御しつつ、短時間で詰め替え作業を行え、かつ、詰め替え時に液が飛び散らない。25℃における粘度が10mPa・s未満では、特に2回以上詰め替え可能な量の組成物が入っている袋体から内容物を詰め替える場合に、1回分の注入液量の制御が困難で、組成物が飛び散ったりこぼれたり、詰め替え先のボトルから組成物が溢れだしたりしやすい。また、袋体内の組成物の残量が少なくなった場合にも、組成物が飛び散ったりこぼれたりしやすい。一方、粘度が500mPa・sを超えると、詰め替え作業に時間がかかりすぎる。
【0032】
界面活性剤としては、柔軟性を付与するために通常使用されるアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が例示でき、これらを1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。液体柔軟剤組成物中における界面活性剤の含有量には特に制限はないが、繊維製品に十分に柔軟性を付与できるとともに、組成物の粘度を上記範囲に制御しやすいことから好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%である。ここで界面活性剤が3質量%未満では、この組成物を大量に使用しないと、繊維製品に十分な柔軟性を付与できず、また、輸送コストの点からも好ましくない。一方40質量%を超えると組成物の皮膜形成性が高まって流動性の低下、注出口の閉塞などの不都合を生じやすく、詰め替え性が低下する。
【0033】
また、液体柔軟剤組成物には、柔軟性を付与するための必須成分である界面活性剤の他、必要に応じて他の任意成分を配合することができる。
任意成分としては、防腐・殺菌剤、液体柔軟剤組成物の安定性向上のためのキレート剤、酸化防止剤、泡立ちを抑制し柔軟剤の計量性を向上させるための消泡剤、着色剤、着香剤が挙げられる。さらに、他の界面活性剤、アニオン性高分子化合物、ヘキサン酸とグリセリン又はペンタエリスリトールとの部分エステル化物や、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムなどの水溶性塩、流動パラフィン、高級アルコールなどの油剤、尿素、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、pH調整剤などを適宜配合してもよい。
【0034】
液体柔軟剤組成物の調製方法は特に制限されるものではなく、界面活性剤と、必要に応じて上記任意成分、さらに必要に応じて水を配合して粘度を上記範囲に制御することによって調製できる。
また、その使用方法は特に限定されないが、衣料などの繊維製品を洗濯した際に、すすぎの段階ですすぎ水に液体柔軟剤組成物を分散させて処理をしたり、また、たらいのような容器を用いこの組成物を水に分散させ、さらに衣料を入れて浸漬処理する方法などが挙げられる。繊維製品の処理はいずれの方法で行ってもよいが、浴比(繊維製品に対する処理液の比率)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。
【0035】
(袋体)
第1の液体柔軟剤製品において、液体柔軟剤組成物を収納する袋体としては、開閉自在な注出部が形成され、該液体柔軟剤組成物を収納可能であれば特に制限はなく、先に[第1の液体洗浄剤製品]において例示した袋体10を同様に使用できる。
【0036】
[第2の液体柔軟剤製品]
本発明の第2の液体柔軟剤製品は、長鎖炭化水素基とエステル基を有する3級アミン、該3級アミンの中和物、該3級アミンの4級化物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン系化合物(C)3〜40質量%と、アルコール(B−2)0.5〜10質量%とを含有する液体柔軟剤組成物と、開閉自在な注出部12が形成され、該液体柔軟剤組成物を収納する図1のような袋体10とを具備して構成される。
【0037】
(液体柔軟剤組成物)
第2の液体柔軟剤製品に使用される液体柔軟剤組成物は、繊維製品に柔軟性を付与する特定のアミン系化合物(C)を3〜40質量%、好ましくは5〜30質量%含有するとともに、この組成物が、袋体10の注出部12付近や組成物表面などで皮膜状に固化する(皮膜形成性)ことを防ぐためのアルコール(B−2)を0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量%含有するものである。ここでアミン系化合物(C)が3質量%未満では、この組成物を大量に使用しないと、繊維製品に十分な柔軟性を付与できず、また、輸送コストの点からも好ましくない。一方40質量%を超えると組成物の皮膜形成性が高まって流動性の低下、注出口の閉塞などの不都合を生じやすく、詰め替え性が低下する。また、アルコール(B−2)が0.5質量%未満では、組成物の皮膜形成性を十分に抑制できない。また、その結果、次回の詰め替え時における詰め替え性が低下する。一方、10質量%を超えると、組成物の分散安定性が低下する。
【0038】
ここでアミン系化合物(C)としては、長鎖炭化水素基とエステル基を有する3級アミン、この3級アミンの有機酸または無機酸による中和物、この3級アミンの4級化物からなる群より選ばれる1種を使用することもできるし、2種以上の混合物を使用することもできる。長鎖炭化水素基とエステル基を有する3級アミンとしては、下記一般式(1)〜(7)に示すエステルアミンを例示できる。これらはカチオン性界面活性剤であり、これらを混合して使用する場合において各化合物のRはすべて同一であっても、それぞれ異なっていても構わない。
【0039】
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【0040】
式中Rは長鎖炭化水素基で、炭素数10〜24の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であり、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸のいずれからか誘導される基である。ここで不飽和脂肪酸から誘導された基を備えたエステルアミンを使用する場合、不飽和脂肪酸として、シス体とトランス体との質量比率がシス体/トランス体=25/75〜100/0のものを使用するのが好ましく、40/60〜80/20のものを使用するのが特に好ましい。
炭素数10〜24の脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられ、これらのうち1種を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。中でも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸を所定量組み合わせ、飽和/不飽和比率が95/5〜50/50(wt/wt)、シス体/トランス体の質量比率が40/60〜80/20、ヨウ素価が10〜50、炭素数18の比率が80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸を2質量%以下、炭素数22の脂肪酸を1質量%以下となるように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
また、この際、繊維製品の柔軟性を良好にするために、Rを2つまたは3つ有するエステルアミンの質量比率は脂肪酸組成物中50%以上であることが好ましい。
【0041】
3級アミンの中和に用いる酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸などが挙げられる。中和方法としては、3級アミンを予め酸で中和し、それを水に分散してもよいし、3級アミンを予め水に分散し、その中に酸を投入してもよい。または、酸水溶液中に3級アミンを液状又は固体状で投入してもよい。もちろん3級アミンと酸成分を同時に投入してもよい。
3級アミンの4級化に用いる4級化剤としては、塩化メチルやジメチル硫酸などが挙げられる。
【0042】
液体柔軟剤組成物に使用されるアミン系化合物(C)としては、上述のように3級アミン、その中和物、3級アミンの4級化物を使用でき、これらの混合物も使用できる。これらのなかでは、少なくとも4級化物を含むものを使用することが好ましい。
【0043】
なお、一般式(1)および(2)のエステルアミンは、脂肪酸組成物またはこれに対応する脂肪酸メチルエステル組成物と、メチルジエタノールアミンとの縮合反応により、これらの混合物として得ることができる。その際、分散安定性を良好にする観点から、一般式(1)と(2)のエステルアミンの存在比率は質量比で、(1)/(2)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、低分子量であり4級化に所要する4級化剤質量が少ない点で塩化メチルがより好ましい。その際、一般式(1)と(2)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、分散安定性の観点から質量比で(1)の4級化物/(2)の4級化物=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、一般式(1)および(2)のエステルアミンを4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0044】
一般式(3)、(4)および(5)のエステルアミンは、脂肪酸組成物またはこれに対応する脂肪酸メチルエステル組成物と、トリエタノールアミンとの縮合反応により、これらの混合物として得ることができる。その際、分散安定性を良好にする観点から、これらのエステルアミンの存在比率は質量比で、[(3)+(4)]/(5)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、反応性の観点からジメチル硫酸がより好ましい。その際、エステルアミンの4級化物の存在比率も、分散安定性を良好にする観点から質量比で、[(3)の4級化物+(4)の4級化物]/(5)の4級化物=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、一般式(3)、(4)、(5)のエステルアミンを4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0045】
一般式(6)および(7)のエステルアミンは、上述した脂肪酸組成物と、N−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物よりJ.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により、合成することができる。その際、一般式(6)と(7)のエステルアミンの存在比率は質量比で(6)/(7)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
更にその4級化物を用いる場合には塩化メチルで4級化するが、エステルアミンの4級化物の存在比率も質量比で(6)の4級化物/(7)の4級化物=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、一般式(6)および(7)のエステルアミンを4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0046】
液体柔軟剤組成物に使用されるアルコール(B−2)としては特に制限はなく、一価のアルコールおよび多価のアルコールを使用できるが、詰め替えのために袋体10の注出部12を何度も開放した場合でも揮発しにくく、液体柔軟剤組成物の皮膜形成性を長期にわたって十分に抑制できることから、多価アルコールが好ましい。
このようなアルコール(B−2)としては、先に[第2の液体洗浄剤製品]においてアルコール(B−1)として例示したものを1種単独で、または2種以上混合して同様に使用できる。
【0047】
液体柔軟剤組成物には、柔軟性を付与するための必須成分である界面活性剤の他、必要に応じて他の任意成分を配合することができる。任意成分としては[第1の液体柔軟剤製品]において例示したものを同様に使用できる。また、液体柔軟剤組成物の調製方法、使用方法についても、[第1の液体柔軟剤製品]と同様である。
【0048】
(袋体)
第2の液体柔軟剤製品において、液体柔軟剤組成物を収納する袋体としては、開閉自在な注出部が形成され、該液体柔軟剤組成物を収納可能であれば特に制限はなく、先に[第1の液体洗浄剤製品]において例示した袋体10を同様に使用できる。
【実施例】
【0049】
以下、例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
[液体洗浄剤製品]
(試験例1〜31)
各例においては、配合組成を変えた以外は同様として液体洗浄剤組成物を調製し、図1の形状を有する袋体10に該組成物を1500ml充填して液体洗浄剤製品を得、評価した。各例の配合組成、使用した袋体の種類、評価結果を表1〜5に示す。表中の配合量の単位は質量%を示す。なお、各例の組成物においては、pH調整剤として硫酸または水酸化ナトリウムを適量添加するとともに水量を調整し、全成分の合計が100質量%となり、かつ、表中記載のpHとなるようにしている。
【0050】
試験例1〜31で用いた界面活性剤(a−1)〜(a−15)について表6に、アルコール(b−1)〜(b−15)、任意成分について表7に、香料A〜Dについて表8に示す。また、各例で用いた袋体10を形成している多層フィルムの構成について表9に示す。
【0051】
(評価方法)
1)詰替え速度
各例で得られた液体洗浄剤製品から、内容物である液体洗浄剤組成物を、800mlのの容器2本に半分(750ml)ずつ詰め替え、詰め替えに要する時間を測定した。測定は5回行い、その平均値を求めた。表中の記号は以下の内容を示す。
○ :2分以下
△:2分〜3分
×:3分以上
【0052】
2)飛び散り性
各例で得られた液体洗浄剤製品から、内容物である液体洗浄剤組成物を、800mlのの容器2本に半分(750ml)ずつ詰め替え、その際の飛び散り性を目視評価した。表中の記号は以下の内容を示す。
○ :飛び散りが無い
△:若干飛び散りがある
×:飛び散りがある
【0053】
3)粘度
各液体洗浄剤組成物を25℃に温度調整し、ブルックフィルード型粘度計(BL型粘度計、東京計器(株)製)を用い、No.1ローターで回転数60回転(10mPa・s以下)、No.2ローターで回転数30回転(10〜1000mPa・s)又はNo.3ローターで回転数30回転(1000mPa・s以上)で1分後の粘度を測定した。
【0054】
4)皮膜形成性
50mlビーカーに各試験例で調製した液体柔軟剤組成物を20g入れ、20℃恒温室にて3時間放置後、目視判定を行った。
○ :皮膜を形成していない
×:皮膜を形成、もしくは、固化している
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
【表5】

【0060】
【表6】

【0061】
【表7】

【0062】
【表8】

【0063】
【表9】

LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン
ONY:ポリアミド
OPP:ポリプロピレン樹脂
EVOH:エチレン―酢酸ビニル共重合体ケン化物
PET:強化ポリエチレンテレフタレ−ト
【0064】
[液体柔軟剤製品]
(試験例32〜54)
各例においては、配合組成を変えた以外は同様として液体柔軟剤組成物を調製し、それぞれ袋体に充填して、液体柔軟剤製品を得、試験例1〜31と同様にして評価した。各例の配合組成、使用した袋体の種類を表10〜12に示す。表中の配合量の単位は質量%を示す。なお、各例の組成物においては、共通成分として、以下の成分を配合し、全成分の合計が100質量%となるように、水量を適宜調整した。
(共通成分)
塩化カルシウム(トクヤマ(株)製):0.3質量%、
部分硬化牛脂脂肪酸(牛脂45°硬化脂肪酸HFA、日本油脂(株)製):1質量%
イソチアゾロン液(ケーソンCG/ICP、ローム&ハース社製):100ppm
2−ブロモ−2−ニトロ−1,3プロパンジオール(Protectol BN、BASFジャパン(株)製):50ppm
【0065】
各例で用いたアミン系化合物(c−1)〜(c−3)について示す。
(c−1):
特開2003−12471号公報の実施例1に記載された方法でカチオン性界面活性剤を製造し(ただし、反応終了後にエタノールは添加していない。)、これをアミン系化合物(c−1)として用いた。得られたカチオン性界面活性剤は、式(8)〜(18)で示される化合物を含む混合物である。組成(質量部)を表13に示す。また、式中Rは、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、パルミチン酸メチル、エライジン酸メチルのいずれかのアルキル基またはアルケニル基に由来する。
【0066】
(c−2):
特開2003−12471号公報の実施例4に記載された方法でカチオン性界面活性剤を製造し(ただし、反応終了後にエタノールは添加していない。)、これをアミン系化合物(c−2)として用いた。得られたカチオン性界面活性剤は、式(8)〜(18)で示される化合物を含む混合物である。組成(質量部)を表13に示す。また、式中Rは、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、パルミチン酸メチル、エライジン酸メチルのいずれかのアルキル基またはアルケニル基に由来する。
【0067】
(c−3)の合成:
N−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミン66gと、硬化牛脂脂肪酸284gとを、撹拌機、温度計及び脱水管を備えた4つ口フラスコに仕込み、180℃まで昇温した。その温度で約10時間、生成する水を留去しながら加熱した結果、反応物(c−3)を300g得た。
得られた反応物の酸価、ケン化価、水酸基価、全アミン価、3級アミン価を測定し、反応物の組成を調べた結果、ジアルキル体が86質量%、モノアルキルアミド体が10質量%、未反応脂肪酸が4質量%であった。また、ガスクロマトグラフィーによる分析から、未反応のN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンが反応物中に0.1質量%含有されていた。その他の詳細な合成条件等は、特開平5−230001号公報に準じる。
【0068】
試験例32〜54で用いたアルコール(b−20)〜(b−27)について表14に、任意成分である(d−1)〜(d−10)について表15に示す。香料については表8に示したとおりである。
【0069】
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【0070】
【表10】

【0071】
【表11】

【0072】
【表12】

【0073】
【表13】

【0074】
【表14】

【0075】
【表15】

【0076】
各試験例の結果から、袋体10内に収納された組成物の粘度が10mPa・s未満では、詰め替え時において液が飛び散り、一方、粘度が500mPa・sを超えると詰め替えに時間を要すことが明らかとなった。また、アルコールが特定量添加されていない組成物は、皮膜の形成や固化が起こりやすいことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明で使用される袋体の一例を示す(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図である。
【符号の説明】
【0078】
10 袋体
11 袋体本体
12 注出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃での粘度が10〜500mPa・sである液体洗浄剤組成物と、
開閉自在な注出部が形成され、前記液体洗浄剤組成物を収納する袋体とを有することを特徴とする液体洗浄剤製品。
【請求項2】
界面活性剤(A)5〜50質量%と、アルコール(B−1)1〜20質量%とを含有する液体洗浄剤組成物と、
開閉自在な注出部が形成され、前記液体洗浄剤組成物を収納する袋体とを有することを特徴とする液体洗浄剤製品。
【請求項3】
25℃での粘度が10〜500mPa・sである液体柔軟剤組成物と、
開閉自在な注出部が形成され、前記液体柔軟剤組成物を収納する袋体とを有することを特徴とする液体柔軟剤製品。
【請求項4】
長鎖炭化水素基とエステル基を有する3級アミン、該3級アミンの中和物、該3級アミンの4級化物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン系化合物(C)3〜40質量%と、アルコール(B−2)0.5〜10質量%とを含有する液体柔軟剤組成物と、
開閉自在な注出部が形成され、前記液体柔軟剤組成物を収納する袋体とを有することを特徴とする液体柔軟剤製品。



【図1】
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【公開番号】特開2006−77207(P2006−77207A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265468(P2004−265468)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】