説明

液体漂白剤組成物

【課題】 洗浄性能、作業性に適した液体物性でありながら、計量キャップ等への残留が少ない液体漂白剤組成物及び容器入り液体漂白剤物品の提供。
【解決手段】 (a)過酸化水素、(b)界面活性剤、(c)ジカルボン酸成分及び(ポリ)アルキレングリコール成分を含有するポリエステル及び(d)水を含有し、組成物中の(a)成分の含有量が0.5〜5質量%、(b)成分の含有量が2〜20質量%、(c)成分の含有量が0.1〜5質量%、(d)成分の含有量が70〜95質量%であり、(a)成分と(b)成分との質量比(b)/(a)が1.5〜7である液体漂白剤組成物、並びにこの液体漂白剤組成物が充填された、計量キャップを有する容器入り液体漂白剤物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体漂白剤組成物、及び液体漂白剤組成物が充填された計量キャップを有する容器入り液体漂白剤物品に関する。特に、衣料用に好適な液体漂白剤組成物、及び液体漂白剤組成物が充填された計量キャップを有する容器入り液体漂白剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
過酸化水素を主基剤とする液体漂白剤は、衣類等の繊維製品の色柄物に使用でき、且つ汚れに直接塗布でき、そのまま衣料用洗剤と共に洗濯できるなどの利点から、家庭で好まれて使用されている。一方、液体漂白剤組成物を繊維製品のような吸収性のある被洗浄物に対して使用する場合、液体漂白剤組成物が表面に残り、汚れに対して十分な漂白力を発揮することができるように、また作業上の点からも液体漂白剤組成物の粘度を高める試みがなされている。
【0003】
一般的に、水溶液の粘度を高める方法として、アクリル酸系ポリマー、キサンタンガム又はポリビニルアルコール等の高分子系増粘剤や、スメクタイト等の粘土物質を配合することが挙げられるが、過酸化水素系の液体漂白剤組成物は、安定性を考慮して、酸性に調整されるため、酸性で十分な安定性を示し、経済的にも優れ、更には外観的に濁りなどを生じさせずに十分な増粘効果を得ることは難しい。
【0004】
例えば、アクリル酸系ポリマーでは酸性系で増粘させることが難しく、キサンタンガム等の糖系増粘剤の配合は、貯蔵後の粘度が低下してしまう。また、ポリビニルアルコールを使用する場合、多量に配合する必要があるため、効果的な増粘を行うことが難しい。粘土物質に至っては、過酸化水素自体の分解を促進する恐れがある。
【0005】
これら問題を解決するために、高分子増粘剤に加えて、粘度安定性のためのフェノール化合物を含有する配合系が提案されており(例えば、特許文献1参照)、また糖類等のポリオールとホウ素化合物を含有する系が提案されている(例えば、特許文献2参照)が、これらの液体漂白剤組成物は、特殊な粘度安定化剤を配合しなければならないため、不経済である。また特定のポリオキシアルキレン誘導体が過酸化水素配合系での増粘に効果的であることが知られている(例えば、特許文献3参照)が、より強い漂白性能の高い酸素系の液体漂白剤組成物が望まれている。
【0006】
液体漂白剤組成物の使用方法は、計量キャップ等に計量して使用する場合と、ボトルから直接使用する場合が考えられるが、衣類等に直接塗布して使用する場合は、一般的には計量キャップ等に計量して使用することになる(例えば、特許文献4参照)。前出のように、洗浄性能、作業上の点から液体漂白剤組成物の粘度は高い方が有利ではあるが、計量キャップ等を使用した場合、粘度が高いとキャップ内に液体漂白剤が残留するという問題がある。
【特許文献1】特開平11−193399号公報
【特許文献2】特開平10−72598号公報
【特許文献3】特開平10−130693号公報
【特許文献4】特開2001−171704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、洗浄性能、作業性に適した液体物性でありながら、計量キャップ等への残留が少ない液体漂白剤組成物、及び該液体漂白剤組成物が充填された計量キャップを有する容器入り液体漂白剤物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有し、組成物中の(a)成分の含有量が0.5〜5質量%、(b)成分の含有量が2〜20質量%、(c)成分の含有量が0.1〜5質量%、(d)成分の含有量が70〜95質量%であり、(a)成分と(b)成分との質量比(b)/(a)が1.5〜7である液体漂白剤組成物、並びにこの液体漂白剤組成物が充填された、計量キャップを有する容器入り液体漂白剤物品を提供する。
(a)過酸化水素
(b)界面活性剤
(c)ジカルボン酸成分及び(ポリ)アルキレングリコール成分を含有するポリエステル
(d)水
また本発明は更に、(e)成分としてホスホン酸系金属捕捉剤を含有する上記液体漂白剤組成物及び容器入り液体漂白剤物品を提供する。
【0009】
また本発明は更に、(f)成分としてフェノール系ラジカルトラップ剤を含有する上記液体漂白剤組成物及び容器入り液体漂白剤物品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、洗浄性能、作業性に適した液体物性でありながら、計量キャップ等への残留が少ない液体漂白剤組成物、並びに計量キャップを有する容器入り液体漂白剤物品が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[(a)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は(a)成分として過酸化水素を含有する。
【0012】
[(b)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は(b)成分として界面活性剤を含有する。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、モノまたはジアルキルアミン及びそのポリオキシエチレン付加物、モノまたはジ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、カルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0013】
洗浄性能、液体物性、安定性の観点から、組成物中に非イオン界面活性剤(以下(b−1)成分という)及び陰イオン界面活性剤(以下(b−2)成分という)を含有することが好ましく、(b−1)成分と(b−2)成分との質量比(b−1)/(b−2)は、1〜5が好ましく、1.2〜4がより好ましく、1.4〜3が更に好ましく、1.6〜2.8が特に好ましい。
【0014】
(b−1)成分としては、アルキルグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー(プルロニック)、脂肪酸モノグリセライド又はアミンオキサイド等が挙げられ、これらの中でも直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する非イオン界面活性剤又は炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する非イオン界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(特にエチレンオキサイド平均付加モル数3〜15、好ましくは4〜9、アルキル基の炭素数10〜18、好ましくは12〜14)が更に好ましい。
【0015】
(b−2)成分としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する陰イオン界面活性剤、又は炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する陰イオン界面活性剤が挙げられ、その例として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、α−オレフィンスルホン酸塩等を挙げることができる。これらの中でもアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩が好ましい。
【0016】
[(c)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は(c)成分として、ジカルボン酸成分及び(ポリ)アルキレングリコール成分を含有するポリエステルを含有する。ここで、(ポリ)アルキレングリコール成分とは、アルキレングリコール又はポリアルキレングリコール成分を意味する。
【0017】
ジカルボン酸成分としては、脂肪族、脂環族または芳香族ジカルボン酸又はそれらの低級アルキルエステルが挙げられ、例えば、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、ジグリコール酸等の炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、又はそれらのメチル、エチル、プロピルエステル等の低級アルキルエステルが挙げられる。中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。これらのジカルボン酸成分は1種又は2種以上を用いることができる。
【0018】
(ポリ)アルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの混合ポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらの(ポリ)アルキレングリコール成分は1種又は2種以上を用いることができる。
【0019】
(c)成分のポリエステルは、ジカルボン酸成分と(ポリ)アルキレングリコール成分を反応させて得られるポリエステル、更にこれらポリエステルの2種類以上をグラフトさせたポリエステル等でも良い。具体的には、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とエチレングリコールを反応させて得られるポリエステルと、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とポリエチレングリコールを反応させて得られるポリオキシエチレンカルボキシレートをグラフト重合させたポリマー、例えばポリエチレンテレフタレート−ポリオキシエチレンテレフタレート(PET−POET)ポリマー、ポリエチレンイソフタレート−ポリオキシエチレンイソフタレート(PEI−POEI)ポリマー、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンイソフタレート−ポリオキシエチレンテレフタレート(PET−PEI−POET)ポリマーなどが挙げられる。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は2,000〜50,000が好ましく、13,000〜30,000がより好ましく、15,000〜25,000が更に好ましい。
【0020】
洗浄性能、液体物性、安定性の観点から、(c)成分は、下記一般式(I)で表される化合物(以下化合物(I)という)が好ましい。
【0021】
【化2】

【0022】
〔式中、R1は1,4−フェニレン基、R2は1,3−フェニレン基、R3は1,4−フェニレン基又は1,3−フェニレン基、n及びmは、それぞれ独立に、32〜100の数、aは30〜65の数、bは15〜40の数である。〕
化合物(I)は、ジカルボン酸成分と(ポリ)エチレングリコール成分とのブロック共重合体であり、ジカルボン酸成分と(ポリ)エチレングリコール成分とのモル比が40/60〜50/50であることが好ましい。化合物(I)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは13,000〜30,000、さらに好ましくは15,000〜25,000である。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸及びそのメチル、エチル、プロピルエステル等のアルキルエステルなどが挙げられる。(ポリ)エチレングリコール成分としては、エチレングリコール、数平均分子量1,000〜8,300のポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0023】
[液体漂白剤組成物]
本発明の液体漂白剤組成物は、必須成分として、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有する。
【0024】
本発明の組成物中の(a)成分の含有量は、洗浄性能、液体物性の観点から、0.5〜5質量%であり、0.5〜4質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましく、1.5〜2.5質量%が更に好ましい。また、(b)成分の含有量は、洗浄性能、液体物性の観点から、2〜20質量%であり、4〜15質量%が好ましく、6〜10質量%がより好ましい。また、(c)成分の含有量は、洗浄性能、液体物性の観点から、0.1〜5質量%であり、0.3〜3質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。(d)成分の含有量は、洗浄性能、液体物性の観点から、70〜95質量%であり、75〜92質量%が好ましく、80〜88質量%がより好ましい。
【0025】
本発明の組成物中の(a)成分と(b)成分との質量比(b)/(a)は、洗浄性能、液体物性の観点から、1.5〜7であり、2〜6が好ましく、2.5〜5がより好ましい。また、本発明の組成物中の(a)成分と(c)成分との質量比(c)/(a)は、洗浄性能、液体物性の観点から、0.05〜2が好ましく、0.1〜1.5がより好ましく、0.2〜1が更に好ましい。
【0026】
本発明の液体漂白剤組成物は、更に、安定性、液体物性の観点から(e)成分として、ホスホン酸系金属捕捉剤を含有することが好ましい。本発明の組成物中の(e)成分の含有量は、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
【0027】
ホスホン酸系金属捕捉剤としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体やその塩を挙げることができる。これらの中でも1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やその塩が好ましい。
【0028】
本発明の液体漂白剤組成物は、更に、安定性、液体物性の観点から(f)成分として、フェノール系ラジカルトラップ剤を含有することが好ましい。本発明の組成物中の(f)成分の含有量は、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
【0029】
フェノール系ラジカルトラップ剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物又はフェノール性水酸基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が挙げられる。このような化合物として、より具体的には、クレゾール、チモール、クロロフェノール、ブロモフェノール、メトキシフェノール、ニトロフェノール、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエン、ナフトール、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノキシエタノール、フェノールなどが挙げられる。これらの中でも4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、カテコールがより好ましく、更にラジカルトラップ剤の安定性を考慮すれば、これらの中でも4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸が更に好ましく、4−メトキシフェノールが特に好ましい。
【0030】
本発明の液体漂白剤組成物の20℃におけるpHは、安定性、洗浄性能、液体物性の観点から、好ましくは3〜7.5、より好ましくは3.5〜7、更に好ましくは4〜6.5である。このようなpHに調整するためのpH調整剤としては塩酸、硫酸等の無機酸、もしくはクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸等の有機酸などの酸剤、又は水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニア及びその誘導体、アミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸から選ばれる酸剤、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0031】
また、本発明に係わる液体漂白剤組成物の20℃における粘度は、洗浄性能、液体物性の観点から、好ましくは30〜200mPa・s、より好ましくは40〜150mPa・s、更に好ましくは50〜100mPa・sである。
【0032】
本発明の液体漂白剤組成物の粘度は、B型粘度計〔(株)東京計器製、VISCOMETER MODEL DVM−B〕を用い、使用するローターは1、回転数60r/min、測定時間60秒の条件で測定されたものである。
【0033】
本発明の液体漂白剤組成物は、優れた漂白効果、安定性の長期間維持を得る目的からホウ素化合物を含有することが好ましい。本発明の組成物中のホウ素化合物の含有量は0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜3質量%がより好ましく、0.1〜2質量%が更に好ましく、0.5〜1質量%が特に好ましい。
【0034】
ホウ素化合物としては、ホウ酸やホウ酸塩等を挙げることができるが、中でも4ホウ酸ナトリウム・5水塩、4ホウ酸ナトリウム・10水塩が製造上好ましい。
【0035】
本発明の液体漂白剤組成物は、漂白効果を向上させる目的から漂白活性化剤を含有することが好ましい。本発明の組成物中の漂白活性化剤の含有量は0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましく、0.4〜1質量%が更に好ましい。
【0036】
漂白活性化剤としては、アルカノイルオキシベンゼン型漂白活性化剤が好ましく、特に炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸もしくは炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はこれらの塩が好ましい。より具体的に好ましい例としてはオクタノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、オクタノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ノナノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、デカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、及びこれらの塩が挙げられる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましく、特にナトリウム塩が溶解性の点から好ましい。これらの中でも特にノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸及びこれらの塩が漂白効果の点から好ましい。
【0037】
本発明の液体漂白剤組成物は、漂白効果を高める目的から分散剤を含有することが好ましい。本発明の組成物中の分散剤の含有量は0.05〜14質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。特に、重量平均分子量5千〜4万、好ましくは5千〜1万のポリアクリル酸もしくはその塩又はポリメタクリル酸もしくはその塩、重量平均分子量1万〜10万、好ましくは3万〜7万のアクリル酸とマレイン酸とのコポリマーもしくはその塩から選ばれるカルボン酸系ポリマー、及び/又は重量平均分子量4千〜2万、好ましくは5千〜1万のポリエチレングリコールから選ばれる非イオン性ポリマーが好ましい。
【0038】
本発明の液体漂白剤組成物は、漂白繊維に対する漂白効果を増すために蛍光増白剤として、チノパールCBS(チバ・ガイギー社製)、チノパールSWN(チバ・ガイギー社製)や、カラー・インデックス蛍光増白剤28、40、61、71等のような蛍光増白剤や、漂白性能を向上させるために酵素(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)を含有することができる。また染料や顔料のような着色剤、香料、シリコーン類、殺菌剤、紫外線吸収剤等の種々の微量添加物を適量配合してもよい。
【0039】
[液体漂白剤物品]
本発明の液体漂白剤物品は、本発明に係わる液体漂白剤組成物を、計量キャップを有する容器に充填したものである。
【0040】
計量キャップを有する容器としては、特開2001−3100号公報、特開2001−171704号公報、特開2001−199466号公報、特開2005−112370号公報等に記載された計量キャップを有する容器等を用いることができる。
【0041】
本発明に用いられる計量キャップを有する容器としては、液垂れ、液残留防止の観点で、容器本体に対して設けられたノズル部材に内容液を注出するためのノズルを有し、該ノズルを覆うための計量キャップを着脱可能に設け、前記容器本体又はノズル部材が、ノズルの基部から周囲に広がる環状のノズル底部を経て上方に、前記ノズルとの間に環状の空間を隔てて立ち上がる筒状壁部を有し、前記キャップが、この環状の空間のところで、前記キャップの外壁面と前記筒状壁部との間に0.05〜2.0mmの範囲内の間隙を形成するように前記容器本体又はノズル部材に取り付けられ、前記の筒状壁部又は前記キャップの外壁面のうちのいずれかに、少なくとも1本の縦リブが形成されている液剤注出容器が好ましい。
【0042】
好ましい計量キャップを有する容器の一例を図1に示す。図1において、計量キャップ1は、計量部2の外周中間部に連続する外筒部3にねじ部4を備え、容器本体11のノズル部材12に螺着された状態で容器本体11を封止し、ノズル部材12から取外された状態で、ノズル部材12のノズル13から注出される容器本体11の内容液を受入れて計量可能とする。
【0043】
計量キャップ1の内面に付着した液体は、計量キャップ1の内面から、ノズル部材12の液溜まり部14を流れ、ひいては該液溜まり部14の底部15から容器本体11に戻される。
【0044】
ノズル部材12は、ノズル13の基部16から周囲に広がる環状のノズル底部を経て上方に、ノズル13との間に環状の空間17を隔てて立ち上がる筒状壁部18を有し、計量キャップ1が、この環状の空間17のところで、計量キャップ1の外壁面19と筒状壁部18との間に0.05〜2.0mmの範囲内の間隙を形成するようにノズル部材12に取り付けられ、筒状壁部18又は計量キャップの外壁面19のうちのいずれかに、少なくとも1本の縦リブが形成されている。
【実施例】
【0045】
実施例1〜8及び比較例1〜5
下記成分を用い、表1に示す組成の液体漂白剤組成物を調製した。得られた液体漂白剤組成物について、以下に示す方法により、キャップ残留量の評価及び塗布洗浄力の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0046】
<配合成分>
(a)成分
(a)−1;過酸化水素
(b−1)成分
(b−1)−1;CH3(CH2)11-O-(C24O)8-H
(b−1)−2;CH3(CH2)11-O-(C24O)5-(C36O)2-(C24O)3
(b−1)−3;CH3(CH2)11-O-(C24O)4-H
(b−2)成分
(b−2)−1;LAS−Na:炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(b−2)−2;AOS−Na:炭素数14〜18のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム
(c)成分
(c)−1;Texcare SRN−300(Clariant社製、テレフタル酸とPEGとの重合物)
(c)−2;Texcare SRN−100(Clariant社製、テレフタル酸とPEGとの重合物)
比較のポリエステル
(c’)−1;ポリアクリル酸(平均分子量:8,000)
(e)成分
(e)−1;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ディクエスト2010、ソルーシア社製)
(f)成分
(f)−1;4−メトキシフェノール
その他の成分
(g)−1;ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸
(g)−2;ノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸
(g)−3;デカノイルオキシ−p−ベンゼンカルボン酸
(g)−4;メタホウ酸
<キャップ残留量の評価>
液体漂白剤組成物を20℃に調整し、図1に示す計量キャップ(内径32mm、材質:ポリプロピレン、特開2001−199466号公報記載の計量キャップ)に液体漂白剤組成物を40g量り取る。次に計量キャップを95度傾けて3秒間保持し、量り取った液体漂白剤組成物を排出する。この操作による液体漂白剤組成物の計量キャップへの残留量を測定した。
【0047】
<塗布洗浄力>
EMPA社より購入したNo.111汚染布を8cm×8cmの試験片(血液汚染布)とした。
液体漂白剤組成物を20℃に調整し、血液汚染布1枚につき液体漂白剤組成物1gを均一に塗布した。1サンプルにつき5枚を一組とした。塗布後5分間放置した後、JIS K 3362:1998記載の洗浄力判定用指標洗剤溶液(蛍光増白剤無添加)を用い、ターゴトメーターで20℃、10分洗浄した後、水洗い、乾燥後、下式により漂白率を求めた。
反射率計は日本電色工業(株)製NDR−101DPで460nmフィルターを使用して測定した。
【0048】
【数1】

【0049】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に用いられる計量キャップを有する容器の一例を示す口首部の断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 計量キャップ
2 計量部
3 外筒部
4 ねじ部
11 容器本体
12 ノズル部材
13 ノズル
14 液溜まり部
15 底部
16 ノズルの基部
17 環状の空間
18 筒状壁部
19 計量キャップの外壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有し、組成物中の(a)成分の含有量が0.5〜5質量%、(b)成分の含有量が2〜20質量%、(c)成分の含有量が0.1〜5質量%、(d)成分の含有量が70〜95質量%であり、(a)成分と(b)成分との質量比(b)/(a)が1.5〜7である液体漂白剤組成物。
(a)過酸化水素
(b)界面活性剤
(c)ジカルボン酸成分及び(ポリ)アルキレングリコール成分を含有するポリエステル
(d)水
【請求項2】
前記組成物中の(a)成分と(c)成分との質量比(c)/(a)が0.05〜2である請求項1記載の液体漂白剤組成物。
【請求項3】
(b)成分として、(b−1)非イオン界面活性剤及び(b−2)陰イオン界面活性剤を含有し、前記組成物中の(b−1)成分と(b−2)成分との質量比(b−1)/(b−2)が1〜5である請求項1又は2記載の液体漂白剤組成物。
【請求項4】
(c)成分が、下記一般式(I)で表される化合物である請求項1〜3何れか記載の液体漂白剤組成物。
【化1】

〔式中、R1は1,4−フェニレン基、R2は1,3−フェニレン基、R3は1,4−フェニレン基又は1,3−フェニレン基、n及びmは、それぞれ独立に、32〜100の数、aは30〜65の数、bは15〜40の数である。〕
【請求項5】
更に(e)成分としてホスホン酸系金属捕捉剤を含有する請求項1〜4何れか記載の液体漂白剤組成物。
【請求項6】
更に(f)成分としてフェノール系ラジカルトラップ剤を含有する請求項1〜5何れか記載の液体漂白剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6何れか記載の液体漂白剤組成物が充填された、計量キャップを有する容器入り液体漂白剤物品。
【請求項8】
前記計量キャップを有する容器が、容器本体に対して設けられたノズル部材に内容液を注出するためのノズルを有し、該ノズルを覆うための計量キャップを着脱可能に設け、前記容器本体又はノズル部材が、ノズルの基部から周囲に広がる環状のノズル底部を経て上方に、前記ノズルとの間に環状の空間を隔てて立ち上がる筒状壁部を有し、前記キャップが、この環状の空間のところで、前記キャップの外壁面と前記筒状壁部との間に0.05〜2.0mmの範囲内の間隙を形成するように前記容器本体又はノズル部材に取り付けられ、前記の筒状壁部又は前記キャップの外壁面のうちのいずれかに、少なくとも1本の縦リブが形成されている液剤注出容器である請求項7記載の液体漂白剤物品。

【図1】
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【公開番号】特開2007−39596(P2007−39596A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227366(P2005−227366)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】