説明

液体貯蔵タンクの漏洩検査装置

【課題】液体の漏洩による液面レベルの微小な変動を検出できる液体貯蔵タンクの漏洩検査装置を提供すること。
【解決手段】液面に浮遊するフロート4と、下端にフロートを吊支するワイヤー5と、枢軸2に中途を固定されるとともに枢軸2の軸線周りに揺動可能に配設され、かつ、一端をワイヤー5に固定するとともに他端にウエイト7を取り付けたスイングバランサー3とを有する液体貯蔵タンクの漏洩検査装置Cにおいて、スイングバランサー3の他端の変位をセンサ機構9によって電気的に計測するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンスタンド、工場等に設置されている液体貯蔵タンクからの液体漏洩の有無を検査する漏洩検査装置に関する。なお、本願において「漏洩」とは、液体貯蔵タンクからの貯蔵液体の流出と、液体貯蔵タンクへの雨水、地下水等の流入の両方を意味するものとする。
【背景技術】
【0002】
地下などに埋設された液体貯蔵タンクは、長期に使用されるため、隔壁部の腐食により穴や亀裂等が発生し、又はその他の理由により、内部に貯蔵された液体が外部に流出し、又は外部から雨水、地下水等が流入することがある。
【0003】
従来、このような漏洩の有無を検査するための装置としては、特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の漏洩検査装置は、液面に浮遊するフロートと枢軸周りに揺動可能なスイングバランサーとをワイヤーで連結し、前記枢軸に指示針を設けたものである。すなわち、特許文献1に記載の漏洩検査装置では、液体の漏洩によりフロートが上下動するとスイングバランサーを支持する枢軸が回動し、これに伴い指示針が揺動するので、この指示針の揺動を記録盤に記録して監視することで、漏洩の有無を検査する。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の漏洩検査装置では、液体の漏洩によるフロートの上下動(液面レベルの変動)が微小な場合、指示針の揺動も微小となり、漏洩有無の検査が困難であるという問題があった。すなわち、米国の基準に準じた漏洩有無の目安としては、液量変化が0.38L/h以上の場合に漏洩有りと判定するが、これを液面レベルの変動に換算すると例えば10kLのタンクの場合0.05mm程度の微小なものとなり、特許文献1に記載の漏洩検査装置では、このような微小な液面レベルの変動を検出するのは困難であった。
【0005】
また、液体貯蔵タンクの漏洩有無を検査する定期検査では、検査時間を短縮するために気相部に圧力(正圧又は負圧)をかけて気相部と液相部を同時に検査するのが好ましいが、特許文献1に記載の漏洩検査装置は気密構造になっていないので、液相部の漏洩検査をする漏洩検査装置を取り付けた状態では、気相部に圧力をかけることはできない。したがって、気相部と液相部の検査を個別に実施しなければならず、検査時間が長くなるという問題があった。
【0006】
さらに、気相部の検査のため気相部に圧力(正圧又は負圧)をかけると、液体貯蔵タンクの内部圧力が変化し、その結果、液体貯蔵タンク内の液体及び液体貯蔵タンク自体が膨張又は収縮するので、大気圧状態(無圧力状態)で調整した漏洩検査装置のゼロ点がずれてしまうことになる。そのため、ゼロ点再調整のために、圧力をかけた状態でゼロ点のずれ量を計測し、その後、大気圧状態に戻してゼロ点のずれ量を見込んで再調整するという面倒な作業が必要であった。
【特許文献1】実公平2−32638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする第1の課題は、液体の漏洩による液面レベルの微小な変動を検出できる液体貯蔵タンクの漏洩検査装置を提供することにある。
【0008】
第2の課題は、液体貯蔵タンクの気相部と液相部の漏洩検査を同時に実施することができる液体貯蔵タンクの漏洩検査装置を提供することにある。
【0009】
第3の課題は、ゼロ点調整を外部から簡単に実施することができる液体貯蔵タンクの漏洩検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、液面に浮遊するフロートと、下端にフロートを吊支するワイヤーと、枢軸に中途を固定されるとともに枢軸の軸線周りに揺動可能に配設され、かつ、一端を前記ワイヤーに固定するとともに他端にウエイトを取り付けたスイングバランサーとを有する液体貯蔵タンクの漏洩検査装置において、前記スイングバランサーの他端の変位を計測するセンサ機構を設けたことを特徴とする。
【0011】
前記センサ機構としては、発光体と、前記スイングバランサーの他端に固定された反射板と、受光体とを有し、前記発光体から斜めに発する光を前記反射板にて反射させて戻って来た光を前記受光体で受光し、その受光位置の変化により前記スイングバランサーの他端の変位を電気的に計測するものを使用できる。
【0012】
また、スイングバランサーにおける枢軸からセンサ機構設置位置までの長さを、枢軸からワイヤー固定位置までの長さよりも長くすることにより、スイングバランサーの他端の変位をワイヤー取り付け位置の変位よりも増幅させることができる。
【0013】
さらに、本発明は、液面に浮遊するフロートと、下端にフロートを吊支するワイヤーと、枢軸に中途を固定されるとともに枢軸の軸線周りに揺動可能に配設され、かつ、一端を前記ワイヤーに固定するとともに他端にウエイトを取り付けたスイングバランサーとを有する液体貯蔵タンクの漏洩検査装置において、前記枢軸の回転量を電気的に計測するセンサ機構を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明では、液体貯蔵タンクに連通する部分を気密構造とすることが好ましく、また、枢軸を上下動させるゼロ点調整機構を、外部から操作可能に設けることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明では、センサ機構の近傍に、そのセンサ部から取得した、又は演算によって得られたデータを表示監視する表示部を設けることが好ましい。表示部の設置位置は、適宜変更することできる。
【0016】
加えて、本発明では、装置外面に透明あるいは半透明の窓等を設けることによって、スイングバランサーを外部から目視可能とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、液面に浮遊するフロートの上下動に伴い揺動するスイングバランサーの変位、又はスイングバランサーの回転軸となる枢軸の回転量を、センサ機構により計測するので、液体の漏洩による微小な液面レベルの変動を検出することができ、高精度の漏洩検査が可能となる。
【0018】
また、液体貯蔵タンクに連通する部分を気密構造とすることにより、漏洩検査装置を取り付けた状態で液体貯蔵タンクの気相部に圧力をかけることができるので、気相部と液相部の漏洩検査を同時に実施することができ、検査時間を短縮することができる。
【0019】
さらに、スイングバランサーの枢軸を上下動させるゼロ点調整機構を外部から操作可能に設けることにより、ゼロ点調整を外部から簡単に実施できるようになり、ゼロ点調整のための作業時間を短縮することができる。
【0020】
加えて、センサ機構の近傍に表示部を設けることにより、ゼロ点調整、液面レベル変動等の状況を作業場所で確認できるので、作業性の向上を図ることができる。
【0021】
また、装置内部のスイングバランサーを外部から目視可能とすることにより、スイングバランサーの位置や姿勢を確認しながらのゼロ点調整が可能となり、ゼロ点調整をより簡単に実施できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明をガソリンスタンドの地下タンクの漏洩検査装置として適用した実施例により、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の漏洩検査装置を適用したガソリンスタンドの概略構成図である。ガソリンスタンドには地下タンクAが埋設され、その上方にはマンホールBが設けられている。そして、マンホールBの上方には、漏洩検査装置Cの本体ケース1が設置され、本体ケース1と地下タンクAとは連通パイプDによって連通されている。
【実施例1】
【0024】
図2は、漏洩検査装置Cの第1実施例の要部を示す正面図である。
【0025】
漏洩検査装置Cの本体ケース1には、枢軸2が回動自在かつ上下動可能に支持されており、この枢軸2にはスイングバランサー3の中途が固定されている。スイングバランサー3の一端にはフロート4を吊支するためのワイヤー5の中途が固定機構6によって固定され、他端にはウエイト7が取り付けられている。ワイヤー5の下端には、地下タンクA中の液面に浮遊するフロート4が連結されており、このフロート4が浮遊している際に、スイングバランサー3が平衡状態を保持するようにフロート4の浮力とウエイト7の重力との関係が調節されている。なお、ワイヤー5の上端は回転ロール8に巻回されている。
【0026】
図3は、スイングバランサー3にワイヤー5を固定する固定機構6を示す断面図である。
【0027】
この固定機構6においては、スイングバランサー3に貫通する穴を設け、その間に筒体6aとこの筒体6a中の挿入自在な挿入体6bとからなる挟持機構を設けている。筒体6aと挿入体6bはスプリング6cによって離反方向に付勢されており、その重合部分にそれぞれワイヤー挿入孔6d,6d’を設け、これらのワイヤー挿入孔6d,6d’にワイヤー5を挿通する。筒体6aと挿入体6bは離反方向に付勢されているので、それぞれのワイヤー挿入孔6d,6d’が互い違いの方向に付勢されてワイヤー5が固定される。
【0028】
このような固定機構6を採用すると、筒体6aと挿入体6bの両端面を押圧することによって、ワイヤー5とスイングバランサー3との固定を速やかに解除して、地下タンクA内の初期液面レベルに合わせて容易にワイヤー5を昇降させることができる。
【0029】
図2に戻って、スイングバランサー3の他端側(ウエイト7の取り付け側)には、スイングバランサー3他端の上下方向の変位を電気的に計測するセンサ機構9が設けられている。スイングバランサー3における枢軸2からセンサ機構9設置位置までの長さは、枢軸2からワイヤー固定位置(固定機構6)までの長さより長くしている。これによって、ワイヤー固定位置の変位よりもセンサ機構9設置位置の変位が大きくなる。
【0030】
センサ機構9は、発光体9aと受光体9bと反射板9cと演算部9dとからなり、発光体9aから斜めに発する光を反射板9cで反射させて受光体9bで受光するようになっている。受光体9bはある程度の大きさを有しており、その受光位置を示す受光信号が信号線10を介して演算部9dに送信される。演算部9dは、受光体9bからの受光信号に基づき、受光体9bにおける受光位置のデータを取得する。
【0031】
ここで、発光素子9aと受光素子9bは本体ケース1に固定され、反射板9cはスイングバランサー3の他端に固定されており、また、センサ機構9の発光体9aは斜め方向に光を発するので、スイングバランサー3の他端が変位すると受光素子9bにおける受光位置が変化する。演算部9dは、この受光素子9bにおける受光位置の変化によりスイングバランサー3の他端の変位量、すなわち液面レベルの変動を検出し、それを記録、出力あるいは表示部9eに表示させる。表示部9eについては本体ケース1に内蔵することも可能であり、複数箇所に設けることも可能である。
【0032】
本実施例では、上述のようなセンサ機構9を用いることによって、液面レベルの変動を0.005mm単位で検出できるようになった。
【0033】
また、本実施例では、地下タンクAに連通する本体ケース1のうち、図2の太線内の領域を気密構造としている。これによって、漏洩検査装置Cを取り付けた状態で地下タンクAの気相部に圧力(正圧又は負圧)をかけることが可能となっている。気密構造としている領域のうち、センサ機構9の発光体9a、受光体9bと反射板9cとの間には透明ガラス11を配置し透光性を確保している。また、気密構造としている領域の正面側は、アクリル板等の透明あるいは半透明の部材により形成し、本体ケース1の内部を目視可能としている。
【0034】
さらに、本実施例では、枢軸2を上下動させて漏洩検査装置Cのゼロ点を調整するゼロ点調整機構として調整ねじ12を設けている。この調整ねじ12は、気密シール材13を介して本体ケース1に上下動(進退)可能に取り付けられており、本体ケース1外から操作可能である。調整ねじ12は、その操作により上下動し、調整部14を介して枢軸2を上下動させる。
【0035】
枢軸2が上下動すると、スイングバランサー3の一端側はワイヤー5に固定されているので、そこを支点としてスイングバランサー3が傾動する。その結果、スイングバランサー3の他端が上下動し、その他端に固定されているセンサ機構9の反射板9cと発光体9a、受光体9bとの距離が変化する。このように、調整ねじ12を外部から操作することにより、センサ機構9の反射板9cと発光体9a、受光体9bとの距離を調整して、ゼロ点を調整することができる。
【0036】
また、本実施例では、ゼロ点調整や液面レベルデータの変移状況を確認するために、センサ部からの出力値や演算によって得られるデータを表示監視するための表示部9eをセンサ部の近傍に設けているので、作業性の向上を図ることができる。
【0037】
ゼロ点調整は上述のとおり表示部9eに表示されるデータを確認しながら行うが、スイングバランサー3が大きく傾いてセンサ機構9の計測範囲外の場合には、表示部9eにはエラー表示しかされず、スイングバランサー3を調整ねじ12によりどちらの方向に傾動させたら良いか分からなくなる。これに対して、本実施例では上述のとおり、本体ケース1の気密構造としている領域の正面側を透明あるいは半透明の部材により形成し、本体ケース1の内部を目視可能としているので、スイングバランサー3の位置や姿勢を目視で確認しながら調整を行うことができ、スイングバランサー3がセンサ機構9の計測範囲外まで大きく傾いていたとしてもゼロ点調整作業を簡単に行うことができる。
【0038】
なお、実施例では本体ケース1の気密構造としている領域の正面側全体を透明あるいは半透明の部材で形成したが、その一部を透明あるいは半透明の部材で形成して、少なくともスイングバランサー3が外部から目視可能となるようにすることもできる。
【0039】
図4〜図6には、スイングバランサーの他端の変位を電気的に計測するセンサ機構の他の実施例を示す。
【0040】
図4に示すセンサ機構15は、スイングバランサー3の他端に固定された鉄芯15aと、本体ケース1に固定されたトランス15bと、演算部15cとからなる差動トランス方式の変位センサである。このセンサ機構15では、液面レベルの変動に伴い鉄芯15aが上下方向に移動するとトランス15bの二次側のコイルに誘導電圧が発生し、演算部15cにて誘導電圧の大きさからスイングバランサー3の他端の変位量、すなわち液面レベルの変動を演算し検出する。
【0041】
図4に示す実施例では、地下タンクAに連通する本体ケース1のうち、図4の太線内の領域を気密構造としている。なお、センサ機構15の鉄芯15aと気密構造としている領域の境界部は、気密シール材16によって鉄芯15aが上下動可能にシールされている。また、気密構造としている領域の正面側は、アクリル板等の透明あるいは半透明の部材により形成し、本体ケース1の内部を目視可能としている。
【0042】
また、図4に示す実施例でも、図2の実施例と同様に、ゼロ点調整機構として調整ねじ12を設けている。この調整ねじ12を外部から操作することにより、センサ機構15の鉄芯15aとトランス15bとの上下方向の位置を調整して、ゼロ点を調整することができる。
【0043】
さらに、ゼロ点調整や液面レベルデータ変移の状況を確認するために、センサ部からの出力値や演算によって得られるデータを表示監視するための表示部15dをセンサ部の近傍に設けているので、作業性の向上を図ることができる。加えて、気密構造としている領域の正面側を透明あるいは半透明の部材により形成しているので、スイングバランサー3がセンサ機構15の計測範囲外まで大きく傾いていたとしても、スイングバランサー3の位置や姿勢を目視で確認しながらゼロ点調整作業を簡単に行うことができる。
【0044】
図5に示すセンサ機構17は、スイングバランサー3の他端に固定された磁石17aと、本体ケース1に固定された磁歪線17b及び検出部17cと、演算部17dとからなる磁歪方式の変位センサである。このセンサ機構17では、磁石17aから発生する磁界と、磁歪線17bに供給されるパルス電流の相互作用により、磁石17aの位置する場所の磁歪線17bにねじれ歪の超音波振動パルスが発生する。そして、検出部17cにて超音波振動パルスを受信するまでの時間を電気的に検出し、演算部17dにてその時間から磁石17aの位置を演算し、これによって、スイングバランサー3の他端の変位量、すなわち液面レベルの変動を演算し検出する。
【0045】
図5に示す実施例では、地下タンクAに連通する本体ケース1のうち、図5の太線内の領域を気密構造としている。なお、センサ機構17の磁歪線17bと気密構造としている領域の境界部は、気密シール材16によってシールされている。また、気密構造としている領域の正面側は、アクリル板等の透明あるいは半透明の部材により形成し、本体ケース1の内部を目視可能としている。
【0046】
また、図5に示す実施例でも、図2の実施例と同様に、ゼロ点調整機構として調整ねじ12を設けている。この調整ねじ12を外部から操作することにより、センサ機構17の磁石17aと磁歪線17bとの上下方向の位置を調整して、ゼロ点を調整することができる。
【0047】
さらに、ゼロ点調整や液面レベルデータ変移の状況を確認するために、センサ部からの出力値や演算によって得られるデータを表示監視するための表示部17eをセンサ部の近傍に設けているので、作業性の向上を図ることができる。加えて、気密構造としている領域の正面側を透明あるいは半透明の部材により形成しているので、スイングバランサー3がセンサ機構17の計測範囲外まで大きく傾いていたとしても、スイングバランサー3の位置や姿勢を目視で確認しながらゼロ点調整作業を簡単に行うことができる。
【0048】
図6に示すセンサ機構18は、スイングバランサー3の他端に固定された磁石18aと、本体ケース1に固定された磁力センサ18bと、演算部18cとからなる。このセンサ機構18では、磁石18aから発生する磁力を磁力センサ18bで検出し、演算部18cにて磁力の大きさからスイングバランサー3の他端の変位量、すなわち液面レベルの変動を演算し検出する。
【0049】
図6に示す実施例では、地下タンクAに連通する本体ケース1のうち、図6の太線内の領域を気密構造としている。なお、気密構造としている領域のうち、センサ機構18の磁石18aと磁力センサ18bとの間には透明ガラス等の非磁性板19を配置し、磁石18aからの磁力の透過を阻害しないようにしている。また、気密構造としている領域の正面側は、アクリル板等の透明あるいは半透明の部材により形成し、本体ケース1の内部を目視可能としている。
【0050】
また、図6に示す実施例でも、図2の実施例と同様に、ゼロ点調整機構として調整ねじ12を設けている。この調整ねじ12を外部から操作することにより、センサ機構18の磁石18aと磁力センサ18bとの距離を調整して、ゼロ点を調整することができる。
【0051】
さらに、ゼロ点調整や液面レベルデータ変移の状況を確認するために、センサ部からの出力値や演算によって得られるデータを表示監視するための表示部18dをセンサ部の近傍に設けているので、作業性の向上を図ることができる。加えて、気密構造としている領域の正面側を透明あるいは半透明の部材により形成しているので、スイングバランサー3がセンサ機構18の計測範囲外まで大きく傾いていたとしても、スイングバランサー3の位置や姿勢を目視で確認しながらゼロ点調整作業を簡単に行うことができる。
【実施例2】
【0052】
図7は、漏洩検査装置Cの第2実施例の要部を示す正面図である。図7において第1実施例と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
本実施例は、スイングバランサー3の回転軸となる枢軸2の回転量を電気的に計測することにより、液面レベルの変動を検出するようにしたものである。
【0054】
本実施例では、枢軸2の回転量を電気的に計測するためのセンサ機構としてロータリーエンコーダ20を用いている。ロータリーエンコーダ20では、そのセンサ部20aが枢軸2の回転量に対応するパルス信号を発信し、演算部20bにてパルス信号から枢軸2の回転量を演算し、これによって、スイングバランサー3の他端の変位量、すなわち液面レベルの変動を演算し検出する。
【0055】
また、本実施例では、地下タンクAに連通する本体ケース1の全体を気密構造としている。これによって、漏洩検査装置Cを取り付けた状態で地下タンクAの気相部に圧力(正圧又は負圧)をかけることが可能となっている。また、気密構造としている領域の正面側は、アクリル板等の透明あるいは半透明の部材により形成し、本体ケース1の内部を目視可能としている。
【0056】
さらに、本実施例では、第1実施例と同様に、枢軸2を上下動させて漏洩検査装置Cのゼロ点を調整するゼロ点調整機構として調整ねじ12を設けている。この調整ねじ12の操作により枢軸2が上下動すると、スイングバランサー3の一端側はワイヤー5に固定されているので、そこを支点としてスイングバランサー3が傾動する。それに伴いスイングバランサー3の枢軸2が回転する。このように、調整ねじ12を外部から操作することにより、枢軸2の回転量を調整して、ゼロ点を調整することができる。
【0057】
加えて、ゼロ点調整や液面レベルデータ変移の状況を確認するために、センサ部からの出力値や演算によって得られるデータを表示監視するための表示部20cをセンサ部の近傍に設けているので、作業性の向上を図ることができる。さらに、気密構造としている領域の正面側を透明あるいは半透明の部材により形成しているので、スイングバランサー3がセンサ機構(ロータリーエンコーダ20)の計測範囲外まで大きく傾いていたとしても、スイングバランサー3の位置や姿勢を目視で確認しながらゼロ点調整作業を簡単に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、ガソリンスタンド、工場等に設置されている、あらゆる液体貯蔵タンクからの液体の漏洩を検査する漏洩検査装置として適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の漏洩検査装置を適用したガソリンスタンドの概略構成図である。
【図2】漏洩検査装置の第1実施例の要部を示す正面図である。
【図3】スイングバランサーにワイヤーを固定する固定機構を示す断面図である。
【図4】スイングバランサーの他端の変位を計測するセンサ機構の他の実施例を示す。
【図5】スイングバランサーの他端の変位を計測するセンサ機構の他の実施例を示す。
【図6】スイングバランサーの他端の変位を計測するセンサ機構の他の実施例を示す。
【図7】漏洩検査装置の第2実施例の要部を示す正面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 本体ケース
2 枢軸
3 スイングバランサー
4 フロート
5 ワイヤー
6 固定機構
6a 筒体
6b 挿入体
6c スプリング
6d,6d’ ワイヤー挿入孔
7 ウエイト
8 回転ロール
9 センサ機構
9a 発光体
9b 受光体
9c 反射板
9d 演算部
9e 表示部
10 信号線
11 透明ガラス
12 調整ねじ(ゼロ点調整機構)
13 気密シール材
14 調整部
15 センサ機構
15a 鉄芯
15b トランス
15c 演算部
15d 表示部
16 気密シール材
17 センサ機構
17a 磁石
17b 磁歪線
17c 検出部
17d 演算部
17e 表示部
18 センサ機構
18a 磁石
18b 磁力センサ
18c 演算部
18d 表示部
19 非磁性板
20 ロータリーエンコーダ
20a センサ部
20b 演算部
20c 表示部
A 地下タンク
B マンホール
C 漏洩検査装置
D 連通パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面に浮遊するフロートと、
下端にフロートを吊支するワイヤーと、
枢軸に中途を固定されるとともに枢軸の軸線周りに揺動可能に配設され、かつ、一端を前記ワイヤーに固定するとともに他端にウエイトを取り付けたスイングバランサーとを有する液体貯蔵タンクの漏洩検査装置において、
前記スイングバランサーの他端の変位を計測するセンサ機構を設けたことを特徴とする液体貯蔵タンクの漏洩検査装置。
【請求項2】
前記センサ機構が、発光体と、前記スイングバランサーの他端に固定された反射板と、受光体とを有し、前記発光体から斜めに発する光を前記反射板にて反射させて戻って来た光を前記受光体で受光し、その受光位置の変化により前記スイングバランサーの他端の変位を電気的に計測するものである請求項1に記載の液体貯蔵タンクの漏洩検査装置。
【請求項3】
スイングバランサーにおける枢軸からセンサ機構設置位置までの長さを、枢軸からワイヤー固定位置までの長さよりも長くした請求項1又は2に記載の液体貯蔵タンクの漏洩検査装置。
【請求項4】
液面に浮遊するフロートと、
下端にフロートを吊支するワイヤーと、
枢軸に中途を固定されるとともに枢軸の軸線周りに揺動可能に配設され、かつ、一端を前記ワイヤーに固定するとともに他端にウエイトを取り付けたスイングバランサーとを有する液体貯蔵タンクの漏洩検査装置において、
前記枢軸の回転量を電気的に計測するセンサ機構を設けたことを特徴とする液体貯蔵タンクの漏洩検査装置。
【請求項5】
液体貯蔵タンクに連通する部分を気密構造とした請求項1〜4の何れかに記載の液体貯蔵タンクの漏洩検査装置。
【請求項6】
枢軸を上下動させるゼロ点調整機構を、外部から操作可能に設けた請求項1〜5の何れかに記載の液体貯蔵タンクの漏洩検査装置。
【請求項7】
スイングバランサーを外部から目視可能とした請求項6に記載の液体貯蔵タンクの漏洩検査装置。
【請求項8】
前記センサ機構が、そのセンサ部から取得した、又は演算によって得られたデータを表示監視する表示部を有する請求項1〜7の何れかに記載の液体貯蔵タンクの漏洩検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−23274(P2006−23274A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36784(P2005−36784)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000187024)昭和機器工業株式会社 (34)
【Fターム(参考)】