説明

液圧制御ユニット

【課題】部品点数を少なくするとともに、モータを基体に組み付けるときの工数を少なくすることができる液圧制御ユニットを提供することを課題とする。
【解決手段】液路が形成された基体10と、基体10の一面に取り付けられるモータ20と、を備えている液圧制御ユニット1であって、基体10の前面10aには、モータ20を挟んで対向する一対の取付部17,17が突設され、モータ20のケース22の外周部には、両取付部17,17の間に圧入されるフランジ部23が形成されている。さらに、フランジ部23には、取付部17の突出方向に延出された腕部24が形成され、腕部24が取付部17の内側面17aに圧接されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用ブレーキ液圧制御装置に用いられる液圧制御ユニットは、ブレーキ液路が形成された基体と、基体内に形成されたリザーバからブレーキ液を吸引するポンプを作動させるためのモータと、を備えている。
【0003】
従来の液圧制御ユニットとしては、ボルトを用いてモータを基体に取り付ける構成の他に、モータのフランジ部に取り付けられた筒状の部材を基体の取付穴に挿入した状態で、筒状の部材に球体を圧入して拡径させ、筒状の部材を取付穴に圧着させることで、モータを基体に固定しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−161913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来の液圧制御ユニットのように、ボルトや球体などの部品を用いてモータを基体に固定する場合には、液圧制御ユニットの部品点数が増えるとともに、モータを基体に組み付けるときの工数が増えるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、部品点数を少なくするとともに、モータを基体に組み付けるときの工数を少なくすることができる液圧制御ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、液路が形成された基体と、前記基体の一面に取り付けられるモータと、を備えている液圧制御ユニットであって、前記基体の一面には、前記モータを挟んで対向する一対の取付部が突設され、前記モータのケースの外周部には、前記両取付部の間に圧入されるフランジ部が形成されている。さらに、前記フランジ部には、前記取付部の突出方向に延出された腕部が形成され、前記腕部が前記取付部の側面に圧接されている。
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の他の構成としては、液路が形成された基体と、前記基体の一面に取り付けられるモータと、を備えている液圧制御ユニットであって、前記基体の一面には、前記モータの側方に一対の取付部が突設され、前記モータのケースの外周部には、前記両取付部の間に圧入されるフランジ部が形成されている。さらに、前記フランジ部には、前記取付部の突出方向に延出された腕部が形成され、前記腕部が前記取付部の側面に圧接されている。
【0009】
これらの構成では、モータのフランジ部を基体の両取付部の間に圧入することで、モータを基体に固定することができる。したがって、液圧制御ユニットの部品点数を少なくするとともに、モータを基体に組み付けるときの工数を少なくすることができる。
また、腕部が取付部の側面に圧接されることで、フランジ部と取付部との間の摩擦抵抗力が大きくなるため、モータを基体に対して確実に固定することができる。
【0010】
前記した液圧制御ユニットにおいて、前記腕部を前記モータの出力軸の軸方向において前記基体の一面から離れる方向に前記フランジ部を折り返して形成し、前記腕部を基端部から先端部に向かうに従って前記取付部の側面側に傾斜させた場合には、取付部の側面に対する腕部の押し付け力が大きくなるため、基体に対するモータの取り付け強度を大きくすることができる。
【0011】
前記した液圧制御ユニットにおいて、前記取付部の側面の基端部よりも先端部を他の前記取付部側に突出させ、腕部の先端部を取付部の側面に係合させた場合には、基体に対するモータの取り付け強度を大きくすることができる。
さらに、前記取付部の側面を、基端部から先端部に向かうに従って他の前記取付部側に傾斜した傾斜面に形成することで、腕部の先端部を取付部の側面に確実に係合させることができる。
【0012】
前記した液圧制御ユニットにおいて、ブレーキ配管が接続される接続孔が少なくとも一方の前記取付部に形成されていてもよい。このように、接続孔を形成するために基体の一面に突設された部位を取付部として利用することで、基体の加工が簡略化されるため、基体の製造コストを低減することができる。
【0013】
前記した液圧制御ユニットを、前記両取付部の側面同士が鉛直方向に対向した状態で、車両に搭載した場合には、腕部と側面とが鉛直方向に圧接され、車両の振動によって液圧制御ユニットに作用する鉛直方向の力に対する腕部の耐力が大きくなるため、モータを基体に対して安定させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液圧制御ユニットでは、部品点数を少なくするとともに、モータを基体に組み付けるときの工数が少なくなるため、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第一実施形態の液圧制御ユニットを示した側面図である。
【図2】第一実施形態の液圧制御ユニットを示した正面図である。
【図3】第一実施形態のフランジ部および取付部を示した図で、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図4】第一実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置における液圧回路図である。
【図5】第一実施形態の他の構成を示した図で、(a)は腕部の一部が側面側に折り曲げられた構成の斜視図、(b)は平面図、(c)は取付部の内側面が傾斜している構成の平面図である。
【図6】第二実施形態の液圧制御ユニットを示した正面図である。
【図7】第二実施形態のフランジ部および取付部を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0017】
<第一実施形態>
第一実施形態の液圧制御ユニットを用いた車両用ブレーキ液圧制御装置について説明する。
図4に示す車両用ブレーキ液圧制御装置Uは、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)などのバーハンドルタイプの車両に好適に用いられるものである。
車両用ブレーキ液圧制御装置Uは、マスタシリンダM1,M2とホイールシリンダB1,B2とを接続するブレーキ液路A,Bを有するブレーキ系統K1,K2と、ホイールシリンダB1,B2に作用するブレーキ液圧を制御する制御装置30と、を備えている。
【0018】
車両用ブレーキ液圧制御装置Uでは、前輪ブレーキに装着された第一のホイールシリンダB1と、後輪ブレーキに装着された第二のホイールシリンダB2とに付与するブレーキ液圧を適宜制御することによって、各ホイールシリンダB1,B2のアンチロックブレーキ制御が可能となっている。
【0019】
前輪のブレーキ系統K1は、入口ポート11から出口ポート12に至る系統である。入口ポート11はブレーキ配管を介してマスタシリンダM1に接続され、出口ポート12はブレーキ配管を介して第一のホイールシリンダB1に接続されている。マスタシリンダM1にはブレーキレバーL1が接続されている。
後輪のブレーキ系統K2は、入口ポート13から出口ポート14に至る系統である。入口ポート13はブレーキ配管を介してマスタシリンダM2に接続され、出口ポート14はブレーキ配管を介して第二のホイールシリンダB2に接続されている。マスタシリンダM2にはブレーキペダルL2が接続されている。
また、各ブレーキ系統K1,K2には、入口弁2、出口弁3、リザーバ5およびプランジャポンプ4がそれぞれ設けられている。
【0020】
プランジャポンプ4は、モータ20の回転力によって駆動し、リザーバ5に貯溜されたブレーキ液を吸入してブレーキ液路A,BのマスタシリンダM1,M2側に吐出するものである。
モータ20は、各ブレーキ系統K1,K2のプランジャポンプ4,4の共通の動力源であり、制御装置30からの指令に基づいて出力軸が作動する電動部品である。
制御装置30は、前輪用および後輪用の車輪速度センサからの出力に基づいて、入口弁2、出口弁3およびモータ20の作動を制御することで、ブレーキ液路A,B内のブレーキ液圧を変動させるように構成されている。
【0021】
車両用ブレーキ液圧制御装置Uに用いられる液圧制御ユニット1は、図1に示すように、ブレーキ液路が形成された基体10と、基体10の前面10a(特許請求の範囲における「一面」)に固着されたモータ20と、基体10の後面10bに固着された制御装置30と、を主に備えている。
【0022】
基体10は、略直方体に形成された金属部品であり、内部にはブレーキ液路A,B(図4参照)が形成されている。本実施形態の基体10は、アルミニウム合金製の押出形材に対して穴加工等を施すことによって形成されたものである。
基体10の前面10aの中央部分には、モータ20の出力軸21が挿入される有底の軸受穴15が開口している。
また、前面10aには入口ポート11,13(図4参照)が開口し、上面10cには出口ポート12,14(図4参照)が開口している。
また、図示されていないが、後面10bには、入口弁および出口弁の装着穴およびリザーバ穴が開口している。
さらに、左右の両側面10dには、プランジャポンプの各部品が装着されるシリンダ孔16が形成されている。
そして、基体10に設けられた各穴は、直接に、或いは基体10の内部に形成されたブレーキ液路A,Bを介して互いに連通している。
【0023】
図2に示すように、基体10の前面10aには、左右一対の取付部17,17が前方に向けて突設されている(図1参照)。取付部17は、前面10aの左右の側縁部に沿って上縁部から下縁部まで延設された略直方体の部位であり、押出形材を押出成形して基体10を成形するときに形成される。
前面10aにおいて両取付部17,17の間の領域は、モータ20が固着される領域となっている。すなわち、両取付部17,17は、モータ20を左右方向に挟んで対向する位置に形成されている。
なお、両取付部17,17は左右対称な形状であるため、以下の説明では、図2おいて右側の取付部17について詳細に説明し、左側の取付部17の説明は省略する。
【0024】
取付部17において左右方向の内側に面した内側面17aは、前面10aに対して垂直に立ち上げられている。
内側面17aの上下方向の中間部には、モータ20のフランジ部23との干渉を避けるために、フランジ部23の外周縁部に沿って円弧状に窪んだ逃げ部17bが形成されている。
【0025】
取付部17の上端部には、入口ポート13(11)が形成されている。入口ポート13(11)は、マスタシリンダに至るブレーキ配管の端部が接続される接続孔であり、取付部17の突端面17cに開口している。入口ポート13(11)の内周面には、ブレーキ配管の端部を螺合可能なようにねじ溝が形成されている。
【0026】
モータ20は、図1に示すように、有底円筒状のケース22の基部22aから突出した出力軸21の他に、図示は省略するが、コア、巻き線、ブラシなどを備えている。
出力軸21は円形断面の軸部材であり、その先端部は軸受穴15に挿入されている。また、出力軸21の先端部には偏心カム21aが取り付けられている。出力軸21が軸回りに回転すると、偏心カム21aが出力軸21の軸中心回りに回転し、偏心カム21aの外周面(カム面)によって、プランジャポンプ4(図4参照)のプランジャが軸方向に押される構成となっている。
【0027】
ケース22にはフランジ部23が形成されている。フランジ部23は、ケース22の周壁部22bの基端部の外周縁部に形成されており、周壁部22bに対して垂直に外方に向けて突出している(図1参照)。このフランジ部23は、前面10aに固着される部位であり、左右の取付部17,17の間に収まる大きさに形成されている。
フランジ部23には、ケース22の外周形状に沿って形成された環状部23aと、ケース22の上下左右の四箇所に対応する位置に形成された延出部23bと、が形成されている。
【0028】
延出部23bは、環状部23aよりも外方に拡張された部位である。この延出部23bは、正面視で直角三角形状を呈しており、上下方向の縦縁部23cと左右方向の横縁部23dとが直角に交わっている。
四箇所の延出部23bは、ケース22の中心位置を対称中心として点対称となるように形成されている。
【0029】
図3(a)に示すように、延出部23bの縦縁部23c(図2参照)には、取付部17の突出方向(前方)に延出された腕部24が形成されている。この腕部24は、延出部23bから左右方向の外方に延出させた長方形の部位を、モータ20の出力軸21(図1参照)の軸方向において、基体10の前面10aから離れる方向(図1の左側)に直角に折り曲げることで形成されている。
【0030】
図2に示すように、左右の腕部24,24の間隔は、フランジ部23を左右の取付部17,17の間に配置したときに、各腕部24,24の外側面24a,24aが、両取付部17,17の内側面17a,17aに圧接されるように設定されている。
【0031】
以上のような液圧制御ユニット1では、図2に示すように、モータ20を基体10の前方から両取付部17,17の間(前面10aの中央部)に挿入すると、フランジ部23の腕部24の外側面24aが取付部17の内側面17aに圧接される。そして、腕部24と取付部17との間の摩擦抵抗力によって、フランジ部23が前面10aに保持される。このように、フランジ部23を両取付部17,17の間に圧入することで、モータ20を基体10に固定することができる。
【0032】
したがって、液圧制御ユニット1では、部品点数が少なくなるとともに、モータ20を基体10に組み付けるときの工数が少なくなるため、生産性を向上させることができる。
また、腕部24が取付部17の内側面17aに圧接されることで、フランジ部23と取付部17との間の摩擦抵抗力が大きくなるため、モータ20を基体10に対して確実に固定することができる。
【0033】
また、入口ポート11,13に通じる液路を基体10内に確保しつつ、入口ポート11,13に接続される図示しないフレアパイプのナットやボルト等をねじ固定するためのねじ孔を形成するために、基体10の前面10aに突設された部位を取付部17として利用することで、基体10の加工が簡略化されるため、基体10の製造コストを低減することができる。
なお、ブレーキ配管の端部を接続するための入口ポートなどの接続孔は、左右の取付部17,17の一方のみに形成してもよい。さらには、両取付部17,17に接続孔が形成されていなくてもよい。
【0034】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、図3(b)に示す腕部24の先端部に対して、取付部17の突端面17cをかしめることで、腕部24の抜け止め部を形成してもよい。
【0035】
図5(a)に示す腕部25は、上部25aと下部25bに分割されており、上部25aは基端部から先端部(前端部)に向かうに従って内側面17a側に傾斜している。
この構成では、図5(b)に示すように、フランジ部23を両取付部17,17(図2参照)の間に圧入したときに、内側面17aに上部25aの先端部が押し込まれる。このとき、上部25aよりも突端面17c側では、上部25aよって押し込まれた内側面17aの部位が復元される。すなわち、内側面17aに生じたスプリングバックによって、上部25aの先端部が内側面17aに食い込んだ状態となり、上部25aよりも突端面17c側に腕部25の抜け止め部が形成される。
したがって、前記した腕部25では、内側面17aに対する腕部25の押し付け力が大きくなるとともに、腕部25の抜け止め部が形成されるため、基体10に対するモータ20の取り付け強度を大きくすることができる。
なお、図5(a)では、上部25aを傾斜させているが、上部25aおよび下部25bの少なくとも一方が傾斜していればよい。
【0036】
また、図5(c)に示すように、取付部17の内側面17aを、基端部から先端部(前端部)に向かうに従って他方の取付部17側(図2参照)に傾斜させてもよい。すなわち、内側面17aは、基端部から先端部に向かうに従ってモータ20(図2参照)の径方向の内側に向けて傾斜した傾斜面となっている。このような内側面17aは、押出形材を押出成形して基体10を成形するときに形成される。
この構成では、腕部24の先端部が内側面17aに対して前方に向けて係合するため、基体10に対するモータ20の取り付け強度を大きくすることができる。さらに、腕部24を基端部から先端部に向かうに従って内側面17a側に傾斜させることで、腕部24を内側面17aに対して確実に係合させることができる。
なお、内側面17aの先端部の一部を他方の取付部17側(図2参照)に突出させ、この突出部位に腕部24の先端部が係合するように構成してもよい。
【0037】
また、第一実施形態では、図2に示すように、フランジ部23の上下左右の四箇所に腕部24を形成しているが、腕部24の数および配置は限定されるものではない。例えば、フランジ部23の一箇所に形成された腕部24を一方の取付部17に圧接させ、この腕部24に対してケース22を挟んで反対側では、延出部23bや環状部23aを他方の取付部17に圧接してもよい。
【0038】
また、第一実施形態では、左右の腕部24,24の間隔よりもフランジ部23の左右方向の最大幅が大きいため、取付部17とフランジ部23との干渉を避けるために逃げ部17bが内側面17aに形成されているが、左右の腕部24,24の間隔をフランジ部23の左右方向の最大幅よりも大きく形成し、フランジ部23が内側面17aに干渉しないように構成した場合には、内側面17a全体を平坦に形成することができる。
また、内側面17aが傾斜や湾曲している場合には、内側面17aの形状に合わせて腕部24の外側面24aを形成することで、腕部24を内側面17aに対して確実に圧接させることができる。
【0039】
また、第一実施形態では、二つの取付部17,17が左右に配置されているが、二つの取付部17,17を鉛直方向(上下方向)に配置し、上下の取付部17,17の間にフランジ部23が圧入されるように構成してもよい。
この構成では、腕部24と内側面17aとが鉛直方向に圧接され、液圧制御ユニットを車両に搭載したときに、車両の振動によって液圧制御ユニットに作用する鉛直方向の力に対する腕部24の耐力が大きくなるため、モータ20を基体10に対して安定させることができる。
【0040】
<第二実施形態>
第二実施形態の液圧制御ユニット1Aは、図6に示すように、上下一対の取付部18,18がモータ20の左右両側方にそれぞれ形成され、モータ20のフランジ部26に形成された左右の延出部26b,26bが上下の取付部18,18の間に圧入される点が、前記した第一実施形態の液圧制御ユニット1(図1参照)と異なっている。
【0041】
第二実施形態の基体10では、前面10aの四隅に取付部18が形成されている。したがって、前面10aの中央部に固着されたモータ20のケース22を囲んで上下左右の位置に取付部18が配置される。
【0042】
上下の取付部18,18において上下方向の内側に面した内側面18aは、前面10aに対して垂直に立ち上げられており、両取付部18,18の内側面18a,18aは鉛直方向(上下方向)に対向している。
【0043】
内側面18aの左右方向の内側の領域には、フランジ部26との干渉を避けるために、フランジ部26の外周縁部に沿って円弧状に窪んだ逃げ部18bが形成されている。
また、前面10aの上部に形成された左右の取付部18,18には、ブレーキ配管の端部が接続される入口ポート11,13が形成されている。
【0044】
第二実施形態のフランジ部26には、ケース22の左右方向の外側に延出された延出部26b,26bが形成されている。
延出部26bは、環状部26aよりも左右方向の外方に拡張された部位であり、延出部26bの外端部には、上下方向に拡幅された拡幅部26cが形成されている。
【0045】
図7に示すように、拡幅部26cの上下端部には、取付部18の突出方向(前方)に延出された腕部27,27が形成されている。腕部27は、拡幅部26cから上下方向に延設された部位を直角に折り曲げることで形成されている。
図6に示すように、上下の腕部27,27の間隔は、延出部26bを上下の取付部18,18の間に挿入したときに、腕部27の外側面27aが内側面18aに圧接されるように設定されている。
【0046】
以上のような液圧制御ユニット1Aでは、図6に示すように、モータ20を前面10aの中央部に挿入し、延出部26bを上下の取付部18,18の間に圧入すると、腕部27の外側面27aが取付部18の内側面18aに圧接され、フランジ部26が前面10aに保持される。
このような液圧制御ユニット1Aでは、部品点数を少なくするとともに、モータ20を基体10に組み付けるときの工数が少なくなるため、生産性を向上させることができる。
また、腕部27が取付部18の内側面18aに圧接されることで、フランジ部26と取付部18との間の摩擦抵抗力が大きくなるため、モータ20を基体10に対して確実に固定することができる。
【0047】
また、上下の取付部18,18の間に延出部26bが圧入されるため、腕部27と内側面18aとが鉛直方向に圧接される。したがって、液圧制御ユニットを車両に搭載したときに、車両の振動によって液圧制御ユニットに作用する鉛直方向の力に対する腕部27の耐力が大きくなるため、モータ20を基体10に対して安定させることができる。
【0048】
なお、前記した第一実施形態と同様に、腕部27を基端部から先端部に向かうに従って内側面18a側に傾斜させてもよい。また、取付部18の内側面18aを基端部から先端部に向かうに従って他方の取付部18側に傾斜した傾斜面に形成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 液圧制御ユニット(第一実施形態)
1A 液圧制御ユニット(第二実施形態)
10 基体
10a 前面(一面)
11 入口ポート
13 入口ポート
17 取付部(第一実施形態)
17a 内側面
18 取付部(第二実施形態)
18a 内側面
20 モータ
22 ケース
23 フランジ部(第一実施形態)
23b 延出部
24 腕部(第一実施形態)
24a 外側面
25 腕部(第一実施形態の変形例)
26 フランジ部(第二実施形態)
26b 延出部
27 腕部(第二実施形態)
27a 外側面
30 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液路が形成された基体と、前記基体の一面に取り付けられるモータと、を備えている液圧制御ユニットであって、
前記基体の一面には、前記モータを挟んで対向する一対の取付部が突設され、
前記モータのケースの外周部には、前記両取付部の間に圧入されるフランジ部が形成されており、
前記フランジ部には、前記取付部の突出方向に延出された腕部が形成され、前記腕部が前記取付部の側面に圧接されることを特徴とする液圧制御ユニット。
【請求項2】
液路が形成された基体と、前記基体の一面に取り付けられるモータと、を備えている液圧制御ユニットであって、
前記基体の一面には、前記モータの側方に一対の取付部が突設され、
前記モータのケースの外周部には、前記両取付部の間に圧入されるフランジ部が形成されており、
前記フランジ部には、前記取付部の突出方向に延出された腕部が形成され、前記腕部が前記取付部の側面に圧接されることを特徴とする液圧制御ユニット。
【請求項3】
前記腕部は、前記モータの出力軸の軸方向において前記基体の一面から離れる方向に前記フランジ部を折り返して形成されており、
前記腕部は、基端部から先端部に向かうに従って前記取付部の側面側に傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液圧制御ユニット。
【請求項4】
前記取付部の側面は、基端部よりも先端部が他の前記取付部側に突出していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液圧制御ユニット。
【請求項5】
前記取付部の側面は、基端部から先端部に向かうに従って他の前記取付部側に傾斜した傾斜面であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液圧制御ユニット。
【請求項6】
少なくとも一方の前記取付部には、ブレーキ配管が接続される接続孔が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液圧制御ユニット。
【請求項7】
前記両取付部の側面同士を鉛直方向に対向させた状態で、車両に搭載されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液圧制御ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−101610(P2012−101610A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250278(P2010−250278)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】