説明

液晶テンプレーテッド堆積法

金属、または金属の化合物、例は、金属塩を備える液晶相から金属の化合物を電気化学的な手段により堆積するとき、イオン性界(表)面活性剤を普通に用いられる非イオン性界面活性剤の代わりに用いることによって、塩の高濃度を採用しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩類または他のその化合物からの良好なメソ構造を持つ金属を、液晶テンプレーティング(鋳型)技術を用いて堆積する方法に関する。
【0002】
本発明において生成させるメソ構造化した(mesostructured)材料(物質)は、概して、本来多孔性であり、およびそして、“メソ多孔性”として記載されうるもので、それはときには“ナノ構造化された”として言及される。しかし、接頭辞の“ナノ”は厳密にいえば10-9を意味し、そしてそのような材料において孔は通常、大きさで10-8から10-9までのmで変動するので、それらには、本明細書において本出願人らが称するように、“メソ構造化された”として言及するのがより一層良好である。
【背景技術】
【0003】
液晶相の調製および使用は、米国特許第6,503,382号および第6,203,925号明細書において開示され、その開示内容を、本明細書において参照することによって組み込む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般用語では、液晶テンプレーティングは、一般的に結晶様の規則的アレイ(配列構造)(regular array)においてアレンジ(配置)される少なくとも2つの“柔らかい状況(soft matter)”を備える液晶を形成することを包含する。この柔らかい状況は、“液状”、それゆえに、用語“液晶”としておおざっぱに言及されることが多い。固形材料は、化学的に、または電気化学的にのいずれかで、これらの相の1種から堆積され、および自然にその相の立体配置を仮定し(assumes)、それから、それが堆積される。次いで、柔らかい状況が除去される。これは、任意の他のやり方においては達成することができなかった多少の(more-or-less)規則的な構造を持つ材料の調製を許容する。
【0005】
液晶相は通常、界(表)面活性剤の援助を伴って調製され、および多くのそのような界面活性剤は、双方のイオン性および非イオン性の界面活性剤を含め、プロセス(方法、処理)における使用のために提案されている。しかし、実際には、少数(2、3くらい)のアカデミック(学術的)なエクササイズ(行使)は別として、非イオン性界面活性剤だけが現実に使用され、および一般的に、これらは実験室試験において良好な結果を与えた。
【0006】
実験室の実験では、堆積がかなりの時間の期間にわたって起こるのが許容されることを受け入れることができる。まったく、堆積が緩徐に起こるべきことは望ましくさえありえ、その結果、反応の進行(progress)をより一層密接に観察することができる。しかし、産業上の生産において、製造プロセスが過度に延長されならなければならないことは望ましくなく、およびそれらが良好な収率において望ましい生成物を取得し、および所要な特性を持つことと一致するのと同じくらい急速に完了されることが普通に望まれる。金属が金属塩または類似化合物から堆積される電気化学的な液晶テンプレーティング堆積方法において、これらの望みのもの(desiderata)を達成する1種のやり方は、金属塩または他の金属化合物の濃度を、達成可能なのと同じくらい高いレベル(水準)に増加させることによるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
残念なことに、本出願人らは、高い金属化合物濃度を慣習的な電気化学的プロセスにおいて用いるとき、液晶が不安定になり、および良好なメソ構造を持つ金属を調製することが不可能になることを見出した。驚くべきことに、メソ多孔性の材料が化学的堆積方法によって形成されるとき、これは問題になるように見えない。これは、Brij(R) (ブリジ(商標))のファミリー(族)のような、それらが低コストであるために普通に採用されるものであり、その“インピュア(混ざりもののあるよう)”な非イオン性界面活性剤の使用を伴うことで悪化する。液晶が不安定になる濃度レベルは、ある金属から他の金属の間で(from metal to metal)で変動するが、単純な実験によって簡単に定められる。ニッケルの場合、それは金属の1種であり、それは、液晶テンプレーティング堆積のためのもので、特定の値のものであり、液晶相が不安定になる濃度は特に低く、およびこの不安定な性質は、実験室のプロセスをスケールアップする(up-scaling)ときの大きな問題である。しかし、不安定な性質の理由は完全には明らかでない。これにもかかわらず、本出願人らは驚くべきことに、慣習的な非イオン性界面活性剤の代わりにイオン性界面活性剤を使用することが不安定性の問題を回避することを見出した。
【0008】
このように、1種の局面では、本発明は、次の、すなわち、金属化合物を含む混合物を形成する工程であり、混合物は、金属または金属の化合物がそこから堆積しうるものであり、溶媒および界面活性剤が混合物において液晶相を形成するのに十分な量において備わる工程、および金属化合物から金属または金属の化合物を電気化学的に堆積させる工程を具えているプロセスにおいて構成され、そこで、界面活性剤はイオン性界面活性剤であり、および金属化合物は、液晶相含有混合物の水性成分においてある濃度にて存在し、それは、一般式CH3-(CH2)15-(CH2CH2O)y-OHの化合物で、式中、yがある数であり、およびyのその値を持つ化合物の存在量(abundance)が次の表において示されるくらいであるものの混合物によって、イオン性界面活性剤が置き換えられる以外、その液晶相含有混合物と同一の比較の混合物においては、不安定であるべき液晶相が生じ、またはイオン性界面活性剤を用いて取得される陰極の電荷密度の値の半分より少ない陰極の電荷密度を有する堆積物が、同じ堆積の電荷密度を伴って生成することになることにおいて特徴付けられる。
【0009】
【表1】

【発明を実施するための形態】
【0010】
式CH3-(CH2)15-(CH2CH2O)y-OHの化合物の混合物で、上記表において示すyの異なる値の相対的な存在量を持つものの商業上入手可能なものは、Brij 56であり、それは広く、例は、Univar Ltd(ユニバー社)、United Kingdom(英国)から入手可能である。
【0011】
本明細書において言及する陰極の電荷密度は、以降の例5において詳細に記載する方法によって測定されうる。
【0012】
さらなる局面では、本発明は、次の、すなわち、金属化合物を含む混合物を形成する工程であり、混合物は、金属または金属の化合物がそれから堆積しうるものであり、溶媒および界面活性剤が混合物において液晶を形成するのに十分な量で備わる工程、および金属または金属の化合物を金属化合物から電気化学的に堆積させる工程を具えるプロセスにおいて構成され、界面活性剤はイオン性界面活性剤であり、および金属化合物は液晶相含有混合物の水性成分において少なくとも0.4Mの濃度にて存在することにおいて特徴付けられる。
【0013】
混合物を含む液晶相の形成は、今は良好に確立された技術であり、およびそのような混合物の調製の詳細は、この技術における熟練者によく知られており、それで、本明細書において説明を必要としない。
【0014】
溶媒は、金属化合物を溶解し、および液晶相を界面活性剤と関連して(in conjunction with)形成するために、混合物において含有され、それによって媒体を堆積反応のために提供する。概して、水が好適な溶媒として用いられる。しかし、一定の場合には、非水性環境での反応を遂行することが、望ましく、または必要かもしれない。これらの状況では、適切な有機溶媒、例えば、ホルムアミドまたはエチレングリコールが用いられる。
【0015】
本発明の混合物において、液晶相を形成することが可能な、任意のイオン性界面活性剤を用いうる。好ましい界面活性剤は、直接または間接に、少なくとも8つの炭素原子、なるべくなら8から30までの炭素原子を持つ1種またはそれよりも多くの炭化水素鎖に付着するイオン性基を持つものである。“イオン性基”によって、本出願人らは、アンモニウム基のような基を意味し、それには、すでにイオン、またはアミン基のような基が含まれ、それは簡単にイオンを形成することができる。そのような化合物の例は、例えば、式NR1R2R3またはN+R1R2R3R4X-のアミンおよびアンモニウムの化合物が含まれ、式中、R1、R2およびR3またはR1、R2、R3およびR4の少なくとも1種は、少なくとも8、好ましくは少なくとも10、より一層好ましくは8から30まで、および最も好ましくは10から20までの炭素原子を持つ炭化水素基を表し、X-はアニオン(陰イオン)を表す。他の例には、長鎖脂肪酸または炭化水素残基を含む塩類が包含され、前記残基の各々は、少なくとも8、好ましくは少なくとも10、より一層好ましくは8から30まで、および最も好ましくは10から20までの炭素原子を持つ。好ましい界面活性剤の特定の例には、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ヘキサデシル(hexadecyl)アミン(HAD)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(DTAC)およびスルホコハク酸ジオクチルナトリウム(dioctyl sodium sulphosuccinate)(また、Aerosol(エアロゾル)OT- AOTとしても知られる)が包含される。AOTおよびSDSはアニオン(陰イオン)性界面活性剤である一方、式NR1R2R3またはN+R1R2R3R4X-によって特定される他のものはカチオン(陽イオン)性である。これらのうち、好ましい界面活性剤は、アンモニウム化合物、特に臭化セチルトリメチルアンモニウムである。
【0016】
本発明は、任意の金属または金属の化合物と関連して用いうるもので、それは液晶相から堆積によってメソ構造中に形成されるよう求められる。そのような金属の例には、以下のものが含まれ、すなわち、ニッケル、プラチナ(白金)、コバルト、鉄、スズ、鉛、セレン、マンガン、クロム、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、チタン、パラジウム、金、銀、カドミウム、および水銀、またはその任意の2またはそれよりも多くの混合物または合金である。本発明は、ニッケル、コバルト、亜鉛、鉄、スズ、銅、鉛、セレン、またはカドミウム、またはその任意の2またはそれよりも多くの混合物または合金、より一層好ましくはニッケルまたはコバルトまたはその混合物または合金、特に、ニッケルおよびニッケルと他の金属との混合物、例は、ニッケル/コバルトに関連して特に価値があり、それは、これらの場合に、液晶システム(系)の不安定性が比較的低い濃度レベルで明白だからである。液晶システムを形成するのに採用する金属化合物は、好ましくは金属塩類である。用いられる塩類はもちろん、金属または堆積すべき金属の化合物に依存し、および採用される溶媒において溶解しなければならない。そのような塩類の例には、塩化物、アセテート(酢酸塩)、サルフェート(硫酸塩)、臭化物、硝酸塩、スルファミン酸塩、およびテトラフルオロホウ酸塩、特に上記金属のもの、および好ましくはニッケル(II)塩化物、ニッケル(II)アセテート、ニッケル(II)サルフェート、ニッケル(II)臭化物、ニッケル(II)硝酸塩、ニッケル(II)スルファミン酸塩、およびニッケル(II)テトラフルオロホウ酸塩が包含される。
【0017】
反応の条件により、金属自体は堆積しうるもので、または金属の化合物は堆積しうる。金属のそのような化合物の例には、酸化物および水酸化物が含まれる。
【0018】
これらの塩類、または他の金属化合物は、反応混合物の水性成分において比較的高い濃度で存在し、非イオン性界面活性剤で、デカエチレングリコールモノヘキサデシルエーテルのようなものを用いることができた安定な液晶相の形成が許容されるよりも高い。一般的には、塩の濃度で、水性成分は少なくとも0.4M、より一層好ましくは0.6Mである。最大濃度は、もちろん、飽和であり、およびこれは1種の塩からその別のものまでで変動するが、任意の塩についての値がよく知られており、または簡単に定めることができる。なおより一層好ましくは、濃度は0.4Mから4Mまでであり、より一層好ましくは0.6Mから3Mまで、および最も好ましくは0.8Mから2Mまでである。
【0019】
異なる金属の2またはそれよりも多くの塩類の混合物が採用される場合、最小の濃度の0.4Mだけを最も高い濃度を持つ塩に適用する。他の塩または塩類は、より一層低い濃度で存在しうる。例えば、ニッケルおよびコバルトの塩の混合物が採用される場合、それは通常ニッケル塩であり、それはより一層高い濃度である。同じ金属の2またはそれよりも多くの塩類の混合物が用いられるならば、2またはそれよりも多くの塩類の合計の濃度は少なくとも0.4Mにすべきである。
【0020】
溶媒、界面活性剤および金属塩、随意に他の成分を例えばだが、伴う混合物は、この技術においてよく知られており、液晶相を形成する。望ましい金属は次いで、慣習的な電気化学的手段を用いて混合物から堆積される。メソ構造化された材料が構造強度を不足することが多いので、それらは、好ましくは基材、例は、金、銅、銀、プラチナ、スズ、アルミニウム、ニッケル、ロジウムまたはコバルト、または任意のこれらの金属を含む合金のような金属の上に堆積させる。基材は、必要に応じて、微小孔性でよく、好ましくは20から500までのマイクロメートルの範囲でのサイズ(大きさ)の孔を有する。基材が金属ホイル(箔)である場合、基材は好ましくは2から50までのマイクロメートルの範囲での厚さを持つ。基材は好ましくは、ニッケルホイルである。
【0021】
メソ多孔性材料を基材上にフィルム(薄膜)として電気化学的な堆積によって堆積させるための適切な方法は、この技術において既知である。例えば、適切な電気化学的な堆積方法は、欧州特許出願公開EP-A-993,512号;Nelson(ネルソン)ら、“Mesoporous Nickel/Nickel Oxide Electrodes for High Power Applications(高出力適用のためのメソ多孔性ニッケル/ニッケル酸化物電極)”、J. New Mat. Electrochem. Systems(ジャーナル・オブ・ニュー・マテリアルズ・フォー・エレクトロケミカル・システムズ)、5、63-65(2002年);Nelsonら、“Mesoporous Nickel/Nickel Oxide - a Nanoarchitectured Electrode(メソ多孔性ニッケル/ニッケル酸化物−ナノアーキテクチャー化電極)”、Chem. Mater.(ケミストリー・オブ・マテリアルズ)、2002年、14、524-529において開示される。
【0022】
好ましくは、メソ多孔性の材料は、電気化学的堆積によって離液性の液晶相から形成される。一般的な方法に従い、鋳型を、自己集合によって上記記載の長鎖界面活性剤および水から、望ましい液晶相中に形成する。メソ多孔性の構造は、規定された、認識可能なトポロジーまたはアーキテクチャー(構造様式)、例えば、キュービック(立方体)、ラメラ(薄板状)、傾斜した(oblique)、中心に位置する矩形(centred rectangular)、体心斜方晶系の(body-centred orthorhombic)、体心正方晶の(body-centred tetragonal)、菱面体晶の(rhombohedral)、六方晶系の(hexagonal)ものを有する孔の周期的アレンジメント(配置)を持つ。好ましくは、メソ多孔性の構造は、六方晶系である周期的な孔の配置をもち、そこでは、メソ多孔性の金属または金属の化合物は、孔の六角形に配向されたアレイによって穿孔され(perforated)、それらは均一な直径のもので、および金属または金属の化合物の厚さを通して連続的である。
【実施例】
【0023】
本発明をさらに、次の非制限的な例によって例示する。
(例1)
【0024】
液晶テンプレートを、臭化セチルトリメトルアンモニウム(CTAB)の30gと、0.56Mのニッケル(II)塩化物(NiCl2)および0.24Mのコバルト(II)塩化物(CoCl2)から構成する水性溶液の30gとを混合することによって作成した。電解質としての混合された液晶と、ニッケルホイルの正電極および負電極とを用いる電気化学的セル(電池)を次いで、組立てた。飽和させた甘汞(塩化第一水銀)基準電極(参照電極)(SCE)をまた、ナノ多孔性の材料のその後の電着を調節するために挿入した。メソ多孔性のニッケル/コバルトを含む層の電着を、-0.75Vの定電位をSCE参照と対比してニッケルホイルの1種に適用することによって遂行した。電着を50分間遂行し、その時間の後、-2.0 C/cm2の電荷密度を通した。電着したフィルムを次いで、液晶テンプレートを取り除くために、脱イオン化した水において24時間洗浄した。
【0025】
洗浄してから、電着したフィルムの電荷蓄積容量を、6Mの水酸化カリウム(KOH)溶液において水銀/水銀酸化物の基準電極(Hg/HgO、6MのKOHを伴う)と対比してサイクリック(周期的)ボルタンメトリーを用いて測定した。20mV/sの走査速度にて、フィルムを0Vおよび0.55Vの間で連続的にサイクルさせ(循環させ)た。第3のサイクル上で、フィルムは416mC/cm2の陰極の電荷密度を持った。
(例2)
【0026】
液晶テンプレートを、臭化セチルトリメトルアンモニウム(CTAB)の30gと、0.84Mのニッケル(II)塩化物(NiCl2)および0.36Mのコバルト(II)塩化物(CoCl2)から構成する水性溶液の30gとを混合することによって作成した。電解質としての混合された液晶と、ニッケルホイルの正電極および負電極とを用いる電気化学的セルを、次に組立てた。飽和させた甘汞基準電極(SCE)をまた、ナノ多孔性の材料のその後の電着を調節するために挿入した。
【0027】
メソ多孔性のニッケル/コバルトを含む層の電着を、-0.75Vの定電位をSCE参照と対比してニッケルホイルの1種に適用することによって遂行した。電着を25分間遂行し、その時間の後、-2.0 C/cm2の電荷密度を通した。電着したフィルムを次いで、液晶テンプレートを取り除くために、脱イオン化した水において24時間洗浄した。
【0028】
洗浄してから、電着したフィルムの電荷蓄積容量を、6Mの水酸化カリウム(KOH)溶液において水銀/水銀酸化物の基準電極(Hg/HgO、6MのKOHを伴う)と対比してサイクリックボルタンメトリーを用いて測定した。20mV/sの走査速度にて、フィルムを0Vおよび0.55Vの間で連続的にサイクルさせた。第3のサイクル上で、フィルムは324mC/cm2の陰極の電荷密度を持った。
(例3)
【0029】
液晶テンプレートを、臭化セチルトリメトルアンモニウム(CTAB)の30gと、0.84Mのニッケル(II)塩化物(NiCl2)および0.36Mのコバルト(II)塩化物(CoCl2)から構成する水性溶液の30gとを混合することによって作成した。電解質としての混合された液晶と、負電極としてのニッケルホイルと、正電極としての黒鉛シートとを用いる電気化学的セルを次いで、組立てた。飽和させた甘汞基準電極(SCE)をまた、ナノ多孔性の材料のその後の電着を調節するために挿入した。メソ多孔性のニッケル/コバルトを含有する層の電着を、-0.75Vの定電位をSCE参照と対比してニッケルホイルの1種に適用することによって遂行した。電着を40分間遂行し、その時間の後、-2.6 C/cm2の電荷密度を通した。電着したフィルムを次いで、液晶テンプレートを取り除くために、脱イオン化した水において24時間洗浄した。
【0030】
洗浄してから、電着したフィルムの電荷蓄積容量を、6Mの水酸化カリウム(KOH)溶液において水銀/水銀酸化物の基準電極(Hg/HgO、6MのKOHを伴う)と対比してサイクリックボルタンメトリーを用いて測定した。20mV/sの走査速度にて、フィルムを0Vおよび0.55Vの間で連続的にサイクルさせた。第3のサイクル上で、フィルムは442mC/cm2の陰極の電荷密度を持った。
(例4)
【0031】
液晶テンプレートを、臭化セチルトリメトルアンモニウム(CTAB)の30gと、0.84Mのニッケル(II)塩化物(NiCl2)および0.36Mのコバルト(II)塩化物(CoCl2)から構成する水性溶液の30gとを混合することによって作成した。電解質としての混合された液晶と、負電極としてのニッケルホイルと、正電極としての黒鉛シートとを用いる電気化学的セルを次いで、組立てた。飽和させた甘汞基準電極(SCE)をまた、ナノ多孔性の材料のその後の電着を調節するために挿入した。メソ多孔性のニッケル/コバルトを含有する層の電着を、-0.75Vの定電位をSCE参照と対比してニッケルホイルの1種に適用することによって遂行した。電着を75分間遂行し、その時間の後、-3.2 C/cm2の電荷密度を通した。電着したフィルムを次いで、液晶テンプレートを取り除くために、脱イオン化した水において24時間洗浄した。
【0032】
洗浄してから、電着したフィルムの電荷蓄積容量を、6Mの水酸化カリウム(KOH)溶液において水銀/水銀酸化物の基準電極(Hg/HgO、6MのKOHを伴う)と対比してサイクリックボルタンメトリーを用いて測定した。20mV/sの走査速度にて、フィルムを0Vおよび0.55Vの間で連続的にサイクルさせた。第3のサイクル上で、フィルムは614mC/cm2の陰極の電荷密度を持った。
(例5)
(比較)
【0033】
先行する例において記載したものに似た手法を繰り返したが、種々の濃度にてニッケルまたはコバルト塩またはこれらの塩類の混合物を用い、および臭化セチルトリメチルアンモニウムをBrij 56(R) の等価量によって置き換えた。このBrijの界面活性剤に基づく六角形の相の液晶テンプレートから、ニッケルとニッケル/コバルトを含有するフィルムを、約20時間の期間にわたって電着させることが可能であるが、それは実際には、商業的に魅力的であるにはあまりに長く、そのとき、金属イオン(ニッケルおよび/またはコバルト)の濃度は約0.2Mであったことがわかった。しかし、0.5Mのより一層高い金属イオン濃度の組成を用いれば、電着プロセスはより一層迅速であったが、堆積物はクラック(ひび)が入り、および斑点状(patchy)であった。0.8Mの金属イオン濃度にて、液晶相は、得られる不十分な(poor)品質の電着物を伴いわずか3分後に不安定化することが目によって見えた。ここでは、液晶テンプレートは、30gのBrij 56(R)と、0.8Mのニッケル(II)塩化物(NiCl2)および0.36Mのコバルト(II)塩化物(CoCl2)から構成する水溶液の30gとを混合することによって作成した。電解質としての混合された液晶、負極としてのニッケルホイルおよび正極としての黒鉛シートを用いる電気化学的セルを、その後組立てた。飽和させた甘汞基準電極(SCE)をまた、材料のその後の電着を調節するために挿入した。ニッケル/コバルトを含む層の電着を、-0.75Vの定電位をSCE参照と対比してニッケルホイルの1種に適用することによって遂行した。電着を75分間遂行し、その時間の後、-3.2C/crn2の電荷密度を通した。電着させたフィルムを次いで、液晶テンプレートを取り除くために、脱イオン化した水において24時間洗浄した。
【0034】
洗浄してから、電着したフィルムの電荷蓄積容量を、6Mの水酸化カリウム(KOH)溶液において水銀/水銀酸化物の基準電極(Hg/HgO、6MのKOHを伴う)と対比してサイクリックボルタンメトリーを用いて測定した。20mV/sの走査速度にて、フィルムを0Vおよび0.55Vの間で連続的にサイクルさせた。第3のサイクル上で、フィルムは21mC/cm2の陰極の電荷密度を持った。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、次の、すなわち、金属化合物を含む混合物を形成する工程であり、混合物は、金属または金属の化合物がそこから堆積しうるものであり、溶媒および界面活性剤が混合物において液晶相を形成するのに十分な量において備わる工程、および金属化合物から金属または金属の化合物を電気化学的に堆積させる工程を具えており、そこで、界面活性剤はイオン性界面活性剤であり、および金属化合物は、液晶相含有混合物の水性成分においてある濃度にて存在し、それは、一般式CH−(CH15−(CHCHO)−OHの化合物で、式中、yがある数であり、およびyのその値を持つある化合物の存在量(濃度)が次の表において示されるくらいであるものの混合物によって、イオン性界面活性剤が置き換えられる以外、その液晶相含有混合物と同一の比較の混合物においては、不安定であるべき液晶相が生じ、またはイオン性界面活性剤を用いて取得される陰極の電荷密度の値の半分未満の陰極の電荷密度を有する堆積物が、同じ堆積の電荷密度を伴って生成することになることを特徴とする、方法。
【表1】

【請求項2】
方法であって、次の、すなわち、金属化合物を含む混合物を形成する工程であり、混合物は、金属または金属の化合物がそこから堆積しうるものであり、溶媒および界面活性剤が混合物において液晶相を形成するのに十分な量において備わる工程、および金属化合物から金属または金属の化合物を電気化学的に堆積させる工程を具えており、そこで、界面活性剤はイオン性界面活性剤であり、および金属化合物は、液晶相含有混合物の水性成分において少なくとも0.4Mの濃度にて存在することを特徴とする、方法。
【請求項3】
金属は、ニッケル、白金、コバルト、鉄、スズ、鉛、セレン、マンガン、クロム、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、チタン、パラジウム、金、銀、カドミウム、および水銀、またはその任意の2またはそれよりも多くのものの混合物または合金である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
金属は、ニッケル、コバルト、亜鉛、鉄、スズ、銅、鉛、セレン、またはカドミウム、またはその任意の2またはそれよりも多くのものの混合物または合金である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
金属は、ニッケルまたはコバルトまたはその混合物または合金である、請求項3記載の方法。
【請求項6】
金属の化合物は、酸化物または水酸化物またはその混合物である、先行する請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記金属化合物の濃度は少なくとも0.6Mである、先行する請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記金属化合物の濃度は0.4Mから4Mまで、より一層好ましくは0.6Mから3Mまで、より一層好ましくは0.8Mから2Mまで、および最も好ましくは1.2Mから2Mまでである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
界面活性剤は、直接または間接に、少なくとも8つの炭素原子を持つ1種またはそれよりも多くの炭化水素鎖に付着するイオン性基を持つ、先行する請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
界面活性剤は、式NRまたはN+の化合物であり、式中、R、RおよびRまたはR、R、RおよびRの少なくとも1種は、少なくとも8、好ましくは少なくとも10の炭素原子を持つ炭化水素基を表し、およびXはアニオンを表す、請求項9記載の方法。
【請求項11】
界面活性剤は、長鎖脂肪酸または炭化水素残基を含有する塩であり、前記残基の各々は、少なくとも8、好ましくは少なくとも10の炭素原子を持つ、請求項8記載の方法。
【請求項12】
界面活性剤は、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシルアミン、塩化ドデシルトリメチルアンモニウムまたはジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(dioctyl sodium sulfosuccinate)である、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
界面活性剤は臭化セチルトリメチルアンモニウムである、請求項12記載の方法。


【公表番号】特表2010−502839(P2010−502839A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527205(P2009−527205)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003389
【国際公開番号】WO2008/029160
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(509066064)ナノテクテューレ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】