説明

液晶ポリエステル樹脂組成物、成形体およびアンテナ

【課題】アンテナ用基体を構成する液晶ポリエステル樹脂組成物において、組成物ペレットを安定的に生産する。
【解決手段】液晶ポリエステル樹脂組成物は、液晶ポリエステル50〜80体積%と高誘電性フィラー20〜50体積%とを含有している。この液晶ポリエステルは、以下の式(1)で示される構造単位を全構造単位に対して80モル%以上含むとともに、全構造単位における全芳香族基の中で2,6−ナフタレンジイル基を60モル%以上含み、流動開始温度が280℃以上であり、流動開始温度より高い温度で測定されるメルトテンションの最大値が0.0098N以上である。
(1)−O−Ar1 −CO−
(式中、Ar1 は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基および4,4’−ビフェニレン基からなる群から選ばれる1種以上の芳香族基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリエステルと高誘電性フィラー(高誘電材料からなるフィラー)とを含む液晶ポリエステル樹脂組成物、この液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形体、この成形体を用いて構成されるアンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、衛星通信機器、携帯電話、PHS等の移動通信、無線LANシステム、或いは高速道路のETC(電子料金徴収システム)やGPS(全地球無線測位システム)などの車載用通信に代表されるような無線情報通信網の発達に伴い、この無線情報通信網に不可欠な情報通信機器に使用されるアンテナの需要が急増している。このようなアンテナは、より小型軽量で、かつ安価であることが要望されていることから、アンテナ製造用の基体(以下、「アンテナ用基体」という。)には、熱可塑性樹脂を用いてなる成形体が使用されている。
【0003】
そして、アンテナを製造するに当たっては、前記アンテナ用基体に、電極となり得る導体層を形成する必要がある。この電極の形成手段としては、はんだ付、金属メッキ等の手段が採用されるため、アンテナ用基体には、これらの電極形成手段によって、その特性が損なわれない程度の耐久性が要求される。このような特性を満足させるために、アンテナ用基体の製造に使用される熱可塑性樹脂としては、液晶ポリエステルが注目されている。液晶ポリエステルは、高水準の耐熱性と加工性とを併せて有し、低吸水性でもあることから、アンテナ製造に係る耐久性はもとより、アンテナの経時使用に対する耐久性も良好となる。
【0004】
一方、既述のような情報通信機器においては、情報の更なる高密度化に伴い、より高周波域の電磁波を用いる情報通信に対する適合性が検討されており、それに従って、より誘電特性に優れたアンテナ用基体が求められるようになってきた。
【0005】
こうしたアンテナ用基体で求められる誘電特性とは、高周波領域の電磁波に対して高誘電性である(比誘電率が高い)こと、かつ低誘電正接である(誘電正接が低い)ことが重要視されている。これは、高誘電性のアンテナ用基体であれば、比較的小型のアンテナにおいても、アンテナ特性を著しく低下させることがないためであり、低誘電正接のアンテナ用基体であると、アンテナ利得が増大する傾向にあるためである。高誘電性のアンテナ用基体を得るには、高誘電材料を充填剤、つまり高誘電性フィラーとして用い、この高誘電性フィラーと液晶ポリエステルとを含む樹脂組成物からアンテナ用基体を得るといった方法が用いられる。例えば、特許文献1には、液晶ポリエステル25〜35体積%およびセラミック粉65〜75体積%を含む組成物を溶融混合し、その後、打錠機によって常温タブレット化したアンテナ部品用錠剤が提案され、溶融混合時にワックス成分を併用することで、形状保持性に優れたアンテナ部品用錠剤となることが開示されている。
【0006】
また、本出願人は、高誘電性かつ低誘電正接の成形体が得られる樹脂組成物として、特定の構造単位からなる液晶ポリエステルとセラミック粉とを含む樹脂組成物を提案している(特許文献2参照)。
【0007】
ところで、液晶ポリエステルとフィラーとを含む樹脂組成物は、この樹脂組成物を成形して成形体を得る前に、予め液晶ポリエステルとフィラーとを溶融混練して、ペレット状の組成物(以下、「組成物ペレット」という。)を得ることが一般的に実施されている。この組成物ペレットを作製する方法としては、ストランド法、つまり、液晶ポリエステルと充填剤とを溶融混錬して、溶融状態の液晶ポリエステル樹脂組成物を紐状に押し出してストランド(紐状組成物)を得、このストランドを冷却固化し、これを切断して組成物ペレットを得るという製造方法が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−161953号公報
【特許文献2】特開2006−233118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1で提案されているように、液晶ポリエステルに高誘電性フィラーが高充填された樹脂組成物では、これにストランド法を適用しようとしても、ストランド自体が得られ難いことから、組成物ペレットを安定的に得ることができないという問題がある。そこで、特許文献1の樹脂組成物では、打錠機によって錠剤化する製造方法を採用している。ところが、このような製造方法は、操作が比較的煩雑で大量生産には不向きであり、工業生産に適したものとは言えない。
【0010】
一方、特許文献2で本出願人が提案した樹脂組成物は、高誘電性フィラーの充填量が少ないながらも、優れた誘電特性の成形体が得られる樹脂組成物であり、特許文献1が開示するような樹脂組成物よりストランドを得やすい傾向にある。しかし、工業的に安定的かつ生産性よく組成物ペレットを得る上では、ストランド法に対する適合性は必ずしも十分とは言えない。したがって、アンテナ用基体の製造用に適用可能であって、ストランド法など通常の組成物ペレット製造方法によって安定的に製造可能であり、より工業生産に適した液晶ポリエステル樹脂組成物の実現が切望されていた。
【0011】
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、工業生産に好適なストランド法などを適用することができ、組成物ペレットを安定的に生産することが可能な液晶ポリエステル樹脂組成物、成形体およびアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明者が鋭意検討したところ、特定の構造を有する液晶ポリエステルが良好なストランド性を発現しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明は、液晶ポリエステル50〜80体積%と高誘電性フィラー20〜50体積%とを含有する液晶ポリエステル樹脂組成物であって、前記液晶ポリエステルは、以下の式(1)で示される構造単位を全構造単位に対して80モル%以上含むとともに、全構造単位における全芳香族基の中で2,6−ナフタレンジイル基を60モル%以上含み、流動開始温度が280℃以上であり、流動開始温度より高い温度で測定されるメルトテンションの最大値が0.0098N以上であることを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物としたことを特徴とする。
(1)−O−Ar1 −CO−
(式中、Ar1 は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基および4,4’−ビフェニレン基からなる群から選ばれる1種以上の芳香族基を表す。なお、Ar1 は、その芳香環に結合している水素原子の一部が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基に置換されていてもよい。)
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記高誘電性フィラーが、チタン系セラミックスを含有するフィラーであることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加え、前記チタン系セラミックスが、TiO2 、BaTiO3 、SrTiO3 、CaTiO3 、MgTiO3 、BaSrTi2 6 、BaNd2 Ti4 12、BaNd2 Ti5 14およびBaBi2 Nd2 TiO9 から選ばれる1種以上のセラミックスを主として含むことを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物であって、その製造方法が、前記液晶ポリエステルおよび前記高誘電性フィラーを熱溶融して溶融物を得る工程と、前記溶融物を紐状に押し出してストランドを得る工程と、前記ストランドを切断してペレット化する工程とを有する製造方法であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物を用いて構成されている成形体としたことを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の成形体に電極が形成されているアンテナとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、液晶ポリエステル樹脂組成物に含まれる液晶ポリエステルの構造を特定したので、液晶ポリエステルと高誘電性フィラーとの溶融物のストランド性が良好となることから、工業生産に好適なストランド法などを適用することができ、組成物ペレットを安定的に生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係るアンテナを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0022】
図1には、本発明の実施の形態1を示す。
【0023】
この実施の形態1に係るアンテナ1は、図1に示すように、板状のアンテナ用基体2を有しており、アンテナ用基体2の上面(図1上側の面)には放射電極3が形成されている。また、アンテナ用基体2にはグランド電極5および給電電極6が、いずれも放射電極3と平行に配置された形で形成されている。なお、グランド電極5および給電電極6はいずれも、その大部分がアンテナ用基体2に埋設されている。
【0024】
ここで、アンテナ用基体2は、液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形体から構成されており、この液晶ポリエステル樹脂組成物は、液晶ポリエステル50〜80体積%と高誘電性フィラー(高誘電材料からなるフィラー)20〜50体積%とを含有する混合物である。
【0025】
この液晶ポリエステルとは、溶融時に光学異方性を示し、450℃以下の温度で異方性溶融体を形成し得るポリエステルである。この液晶ポリエステルは、必須の構成成分として、以下の式(1)で示される構造単位を全構造単位に対して80モル%以上含むとともに、全構造単位における全芳香族基(以下、「全芳香族基合計」という。)の中で2,6−ナフタレンジイル基を60モル%以上含み、流動開始温度が280℃以上であり、流動開始温度より高い温度で測定されるメルトテンションの最大値が0.0098N以上のものである。
(1)−O−Ar1 −CO−
【0026】
ここで、式中、Ar1 は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基および4,4’−ビフェニレン基からなる群から選ばれる1種以上の芳香族基を表す。なお、Ar1 は、その芳香環に結合している水素原子の一部が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基に置換されていてもよい。
【0027】
このように、アンテナ用基体2を構成する液晶ポリエステル樹脂組成物は、液晶ポリエステル50〜80体積%と高誘電性フィラー20〜50体積%とを含有し、しかも、この液晶ポリエステルは、上記の式(1)で示される構造単位を全構造単位に対して80モル%以上含むとともに、全芳香族基合計の中で2,6−ナフタレンジイル基を60モル%以上含み、流動開始温度より高い温度で測定されるメルトテンションの最大値が0.0098N以上であるため、液晶ポリエステルと高誘電性フィラーとの溶融物のストランド性が良好となる。したがって、工業生産に好適なストランド法などを適用することができ、組成物ペレットを安定的に生産することが可能となる。
【0028】
また、この液晶ポリエステルは、上述したとおり、流動開始温度が280℃以上であるため、耐熱性(特に、高密度実装技術として、はんだリフロー処理に耐えうる耐熱性)を向上させることができる。
【0029】
液晶ポリエステル樹脂組成物に含まれる液晶ポリエステルは、当該液晶ポリエステルを製造する段階で、2,6−ナフタレンジイル基を含むモノマーと、それ以外の芳香環を有するモノマーとを、得られる液晶ポリエステル中の、2,6−ナフタレンジイル基を有する構造単位が60モル%以上になるように、原料モノマーを選択し、重合させることで得ることができる。液晶ポリエステルに関し、さらに好ましいものは、全芳香族基合計100モル%に対し、2,6−ナフタレンジイル基が、65モル%以上である液晶ポリエステルであり、より好ましくは2,6−ナフタレンジイル基が70モル%以上の液晶ポリエステルであり、特に好ましくは2,6−ナフタレンジイル基が76モル%以上の液晶ポリエステルである。このように、芳香族基として、2,6−ナフタレンジイル基をより多く含む液晶ポリエステルは、後述するように、メルトテンションの最大値を0.0098N以上とすることにより、ストランド法などによって安定的に組成物ペレットを製造することが可能となる。また、2,6−ナフタレンジイル基をより多く含む液晶ポリエステルは、得られる成形体の更なる低誘電正接化が達成可能であるという利点もある。
【0030】
一方、前記液晶ポリエステルにおいて、全芳香族基合計100モル%に対して、2,6−ナフタレンジイル基が60モル%を下回る場合は、得られる成形体の誘電正接が大きくなる傾向にある。
【0031】
この組成物ペレットは操作性が良好であるため、射出成形などによって簡便に成形体を得ることができる。そして、この成形体は、高誘電性かつ低誘電正接が求められる種々の用途、特に高周波の電磁波が適用される情報通信機器のアンテナ用基体2に好適に使用することができる。この点で、産業上極めて有用である。
【0032】
また、本発明に用いられる液晶ポリエステルは、上記の式(1)で表される構造単位の他に、以下の式(2)および(3)で表される構造単位を含んでいてもよい。
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−O−Ar3 −O−
【0033】
ここで、式中、Ar2 、Ar3 は、それぞれ独立に、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基および4,4’−ビフェニレン基からなる群から選ばれる1種以上の2価の芳香族基を表す。なお、Ar2 およびAr3 は、その芳香環に結合している水素原子の一部が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基に置換されていてもよい。
【0034】
本発明に用いられる液晶ポリエステルを構成する構造単位の合計(以下、「全構造単位合計」ということがある。)を100モル%としたとき、(1)で表される構造単位(以下、「(1)構造単位」という。)の合計が80〜100モル%、(2)で表される構造単位(以下、「(2)構造単位」という。)の合計が0〜10モル%、(3)で表される構造単位(以下、「(3)構造単位」という。)の合計が0〜10モル%であることが好ましい。また、(1)構造単位の合計が90〜100モル%、(2)構造単位の合計が0〜5モル%、(3)構造単位の合計が0〜5モル%であることがさらに好ましい。
【0035】
ここで、(1)構造単位、(2)構造単位および(3)構造単位の全構造単位合計に対するモル比率(共重合比率)が前記の範囲である液晶ポリエステルは、高度の液晶性を発現することに加えて、実用的な温度で溶融し得るものとなり、溶融成形が容易となるため好ましい。
【0036】
液晶ポリエステルは、より高度の耐熱性が得られる点で、全芳香族液晶ポリエステルであると好ましく、前記の(1)構造単位、(2)構造単位および(3)構造単位以外の構造単位を有さないものであると好ましい。したがって、全構造単位合計に対する(2)構造単位の合計のモル比率と、(3)構造単位の合計のモル比率とは実質的に等しくなる。
【0037】
ここで、(1)構造単位は芳香族ヒドロキシカルボン酸から誘導される構造単位であり、(1)構造単位を誘導するモノマーとしては、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、p−ヒドロキシ安息香酸、4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸が挙げられる。さらに、これらのモノマーのベンゼン環またはナフタレン環に結合している水素原子の一部が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で置換されてなるモノマーも用いることができる。この中で、2,6−ナフタレンジイル基を有する構造単位を誘導するモノマーは、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸である。
【0038】
また、(2)構造単位は芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位であり、(2)構造単位を誘導するモノマーとしては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸が挙げられる。さらに、これらのモノマーのベンゼン環またはナフタレン環に結合している水素原子の一部が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で置換されてなるモノマーも用いることができる。この中で、2,6−ナフタレンジイル基を有する構造単位を誘導するモノマーは、2,6−ナフタレンジカルボン酸である。
【0039】
さらに、(3)構造単位は芳香族ジオールから誘導される構造単位であり、(3)構造単位を誘導するモノマーとしては、2,6−ナフタレンジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニルが挙げられる。また、これらのモノマーのベンゼン環またはナフタレン環に結合している水素原子の一部が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で置換されてなるモノマーも用いることができる。この中で、2,6−ナフタレンジイル基を有する構造単位を誘導するモノマーとは、2,6−ナフタレンジオールである。
【0040】
前述したように、(1)構造単位、(2)構造単位または(3)構造単位は、いずれも芳香環(ベンゼン環またはナフタレン環)に前記のような置換基を有していてもよい。これらの置換基を簡単に例示すると、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等で代表されるアルキル基であり、これらは直鎖でも分岐していてもよく、脂環基でもよい。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等で代表される炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。
【0041】
また、(1)構造単位、(2)構造単位または(3)構造単位を誘導するモノマーは、ポリエステルを製造する過程で、重合を容易にするために、エステル形成性誘導体に転換して用いることが好ましい。このエステル形成性誘導体とは、エステル生成反応を促進するような基を有する化合物を意味し、具体的に例示すると、カルボキシル基を有するモノマーでは、そのカルボキシル基を酸ハロゲン化物、酸無水物に転換したようなエステル形成性誘導体であり、ヒドロキシル基(水酸基)を有するモノマーでは、そのヒドロキシル基を低級カルボン酸を用いてエステルにしたようなエステル形成性誘導体である。
【0042】
液晶ポリエステルの製造方法としては公知の方法が採用できるが、好ましくは、前記エステル形成性誘導体として、モノマー分子内のヒドロキシル基を低級カルボン酸を用いてエステルに転換したエステル形成性誘導体を用いて液晶ポリエステルを製造する方法が挙げられる。中でも、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオールのヒドロキシル基をアシル基に転換(アシル化)してなるエステル形成性誘導体を用いる製造方法が好ましい。アシル化は、通常、ヒドロキシル基を有するモノマー(芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオール)を無水酢酸と反応させることで実施できる。このようにして得られたエステル形成性誘導体は、芳香族ジカルボン酸と脱酢酸重縮合させることにより、容易にポリエステルを製造することができる。
【0043】
前記エステル形成性誘導体を用いた液晶ポリエステル製造方法としては、例えば、特開2002−146003号公報に記載された製造方法を例示することができる。本発明に用いられる液晶ポリエステルの製造に関し、この公報に記載されているような製造方法を適用することを簡単に説明する。前記の(1)構造単位を形成するモノマーを80モル%以上、および必要に応じて(2)構造単位および(3)構造単位を形成するモノマーを、2,6−ナフタレンジイル基を有する構造単位を誘導できるモノマーが、全モノマーの合計に対して、60モル%以上になるように選択し、(1)構造単位を誘導する芳香族ヒドロキシカルボン酸および必要に応じて(3)構造単位を誘導する芳香族ジオールをアシル化してエステル形成性誘導体に転換した後、必要に応じて(2)構造単位を形成する芳香族ジカルボン酸と溶融重合させ、比較的低分子量の液晶ポリエステル(以下、「プレポリマー」と略記することがある。)を得る。次いで、このプレポリマーを粉末とし、この粉末を加熱することにより固相重合させる。このように固相重合を用いると、重合がより進行しやすく、液晶ポリエステルの高分子量化を図ることができるため、得られる液晶ポリエステルの流動開始温度をより高温化できるという利点がある。また、後述するように、液晶ポリエステルのメルトテンションを調整するためにも、この固相重合は有効である。
【0044】
溶融重合により得られたプレポリマーを粉末とするには、プレポリマーを冷却固化した後に、各種公知の粉砕手段によって粉砕すればよい。粉末の粒子径は、平均で0.05mm以上3mm程度以下の範囲が好ましく、0.05mm以上1.5mm程度以下の範囲がより好ましい。粉末の粒子径がこのような範囲であれば、芳香族液晶ポリエステルの高重合度化が促進されることからより好ましく、0.1mm以上1.0mm程度以下の範囲であれば、粒子間のシンタリングを生じることなく液晶ポリエステルの高重合度化が促進されるため、さらに好ましい。
【0045】
固相重合における加熱条件について、好適なものを以下に例示する。まず、室温からプレポリマーの流動開始温度より20℃以上低い温度まで昇温する。このときの昇温時間は、特に限定されるものではないが、反応時間の短縮といった観点からは、1時間以内で行うことが好ましい。
【0046】
次いで、プレポリマーの流動開始温度より20℃以上低い温度から280℃以上の温度まで昇温させる。昇温は、0.3℃/分以下の昇温速度で行うことが好ましく、0.1〜0.15℃/分程度の昇温速度がより好ましい。この昇温速度が0.3℃/分以下であれば、粉末の粒子間のシンタリングが生じ難いため、より高重合度の液晶ポリエステルの製造が比較的容易に実施できる。
【0047】
また、液晶ポリエステルの重合度をさらに高めるためには、280℃以上の温度で、好ましくは280℃〜400℃の温度範囲で30分以上反応させることが好ましい。とりわけ、液晶ポリエステルの熱安定性をより良好にする観点からは、反応温度280〜350℃で30分〜30時間反応させることが好ましく、反応温度285〜340℃で30分〜20時間反応させることがさらに好ましい。かかる加熱条件は、当該液晶ポリエステルの製造に用いたモノマーの種類により、適宜最適化することができる。
【0048】
このように固相重合を用いれば、液晶ポリエステルの流動開始温度を280℃以上にすることが比較的短時間で実施可能であり、このような流動開始温度を有する液晶ポリエステルを本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物に適用すれば、得られる成形体は高度の耐熱性を有するものとなる。なお、流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのダイスを取り付けた毛細管型レオメーターを用い、9.8MPa(100kgf/cm2 )の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポアズ)を示す温度を意味し、この流動開始温度は、本発明の技術分野で液晶ポリエステルの分子量を表す指標として周知である(例えば、小出直之編「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」第95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行を参照)。
【0049】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物をアンテナ用基板2の製造用に使用する場合、電極形成プロセスに対する耐熱性をより良好にするために、前記液晶ポリエステルの流動開始温度を290℃以上にすることがより好ましく、295℃以上にすることがさらに好ましい。一方、当該アンテナ用基板2を実用的な温度範囲で成形する観点からは、流動開始温度は380℃以下であると好ましく、350℃以下であればさらに好ましい。
【0050】
また、かかる流動開始温度の測定において、被測定サンプルとなる液晶ポリエステルの形状は、パウダー状のものはもちろん、この液晶ポリエステルを公知の手段によりペレット状にしてもよい。
【0051】
前述の流動開始温度測定に供する被測定サンプルとして、液晶ポリエステルをペレット状にしてもよいことを記したが、かかるペレット状にした液晶ポリエステルは、後述のメルトテンション測定にも使用できるため、簡単にその作製手段を説明する。
【0052】
使用する押出機としては、例えば、単軸または多軸押出機が挙げられ、二軸押出機、バンバリー式混錬機、ロール式混練機がより好ましい。液晶ポリエステルを、その流動開始温度Tp[℃]を基点として、Tp−10[℃]〜Tp+100[℃]の温度範囲で溶融させて、ペレットを得る。液晶ポリエステルの熱劣化を十分に防止するといった観点から、Tp−10[℃]〜Tp+70[℃]の温度範囲で溶融させることが好ましく、Tp−10[℃]〜Tp+50[℃]の温度範囲で溶融させることがさらに好ましい。
【0053】
本発明に用いる液晶ポリエステルは、その流動開始温度より高い温度で測定されるメルトテンションの最大値が0.0098N以上を示すことが必要である。好ましくはメルトテンションが1.5g以上の液晶ポリエステルであり、より好ましくは2.0g以上液晶ポリエステルである。特に、流動開始温度より25℃程度高い温度で測定されるメルトテンションが0.0098N以上である液晶ポリエステルは、後述するような高誘電性フィラーを比較的多量に用いて液晶ポリエステル樹脂組成物としたとしても、安定的に組成物ペレットが製造できる傾向にある。なお、ここでいうメルトテンションとは、キャピログラフに液晶ポリエステル(ペレット化した液晶ポリエステル)を充填し、シリンダーバレル径1mm、ピストンの押し出し速度は5.0mm/分、速度可変巻取機で自動昇速しながら試料を糸状に引き取り、破断したときの張力(g)を意味するそして、測定に供する液晶ポリエステルの流動開始温度より高い温度において、数点メルトテンション測定を行い、求められたメルトテンションの中で、一点でもメルトテンションが0.0098N以上であれば、本発明でいう「流動開始温度より高い温度で測定されるメルトテンションの最大値が0.0098N以上の液晶ポリエステル」と定義する。
【0054】
また、液晶ポリエステル樹脂組成物に含まれる高誘電性フィラーは、高誘電性組成物に適用されている各種公知のフィラーを用いることができる。具体的には、特開2004−307607号公報(段落〔0030〕)に例示されているようなフィラー、すなわち、二酸化チタン系、チタン酸バリウム系、チタン酸ジルコン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウムネオジウム系、チタン酸バリウム錫系、マグネシウムニオブ酸バリウム系、マグネシウムタンタル酸バリウム系、チタン酸鉛系、ジルコン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、マグネシウムニオブ酸鉛系、ニッケルニオブ酸鉛系、タングステン酸鉛系、タングステン酸カルシウム系およびマグネシウムタングステン酸鉛系から選ばれる高誘電材料からなるフィラーが適用可能である。
【0055】
前述した高誘電性フィラーの中でも、より高誘電率の成形体を得る観点からは、チタン系セラミックスフィラー(チタン系セラミックスを含有するフィラー)が好ましい。「チタン系セラミックスフィラー」とは、チタンをその構成元素成分として有するセラミックスからなるフィラーであり、このセラミックスとしては、チタンの酸化物または金属チタン酸塩を具体的に挙げることができる。ここで金属チタン酸塩とは、バリウム、ストロンチウム、ビスマス、ランタン、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、カルシウムおよびマグネシウムからなる郡から選ばれる金属のチタン酸塩またはかかる群から選ばれる複数の金属が固溶してなるチタン酸塩を挙げることができる。
【0056】
また、より低誘電正接の成形体が得られる観点から、このチタン系セラミックスフィラーのなかでも、TiO2 、BaTiO3 、SrTiO3 、CaTiO3 、MgTiO3 、BaSrTi2 6 、BaNd2 Ti4 12、BaNd2 Ti5 14、BaBi2 Nd2 TiO9 等からなるフィラーが好ましく、TiO2 、BaTiO3 、SrTiO3 、BaSrTi2 6 、BaNd2 Ti4 12およびBaNd2 Ti5 14からなる群から選ばれるチタン系セラミックスからなるフィラーがさらに好ましい。本発明に用いられるチタン系セラミックスフィラーは、かかるチタン系セラミックスを主として含むものであり、企図せず含まれる不純物を排除するものではなく、後述するような表面処理を施したものであってもよい。
【0057】
これらの高誘電性フィラーは、2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの高誘電性フィラーは、チタネート系カップリング剤、アルミ系カップリング剤、シラン系カップリング剤などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0058】
ここで、好適なチタン系セラミックスフィラーについて詳述する。
【0059】
上述したチタン系セラミックスは、公知の手段で製造することができる。例えば、バリウム、ストロンチウム、ビスマス、ランタン、ネオジウム、アルミニウム、カルシウムおよびマグネシウムからなる群から選ばれる金属の炭酸塩と、酸化チタンとを混合・焼成した後、必要に応じて解砕、粉砕または分級などの操作を行うことにより、チタン系セラミックスフィラーを製造することができる。
【0060】
また、市場から容易に入手できるチタン系セラミックスフィラーを使用してもよく、入手性と経済性の観点から勘案すると、TiO2 またはBaTiO3 からなるフィラーが好ましい。具体的に入手容易な市販品を例示すると、BaTiO3 ならなるフィラーは、富士チタン工業(株)製「HPBT−1」を挙げることができる。また、TiO2 からなるフィラーとしては石原産業(株)製の「CR−60」、「CR−58」、「CR−97」や「タイペークPFR404」、堺化学(株)製の「SR−1」を挙げることができる。なお、チタン系セラミックスフィラーに含有されるチタン系セラミックスは、単結晶、多結晶のいずれであってもよく、その結晶形も特に限定されるものではない。
【0061】
高誘電性フィラーの形状についても、特に限定されるものではなく、微粉状、繊維状、板状のいずれであってもよいが、後述する液晶ポリエステル樹脂組成物の調製方法において、液晶ポリエステルの溶融物(加熱溶融体)と良好に分散できるような形状のフィラーを選択することが好ましい。このように溶融物に良好に分散できるようなフィラーを用いた液晶ポリエステル樹脂組成物は、この樹脂組成物を成形して成形体を得たときに、成形体中に高誘電性フィラーがほぼ均一に存在して、フィラーに係る特性が良好に発現する傾向にある。操作性の面から見た場合、チタン系セラミックスフィラーは、その形状が微粉末状であると好ましい。微粉末状のフィラーとしては、その平均粒径が0.01〜100μmであるとより好ましく、0.10〜20μmであると、さらに好ましい。このような平均粒径は、この平均粒径が20μm以下である場合は電子顕微鏡による外観観察で求められるものであり、平均粒径が20μmを越える場合はレーザー回折式光散乱法で求められるものである。
【0062】
平均粒径が20μm以下の微粉末状のチタン系セラミックスフィラーである場合、その平均粒径を求める方法について簡単に説明する。まず、チタン系セラミックスフィラーの外観を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてSEM写真を測定し、得られたSEM写真を画像解析装置(例えば、(株)ニレコ社製の「ルーゼックスIIIU」)を用いて、一次粒子の各粒径区間における粒子量(%)をプロットして分布曲線を作成し、その累積した分布曲線より、累積度50%の粒径を求め、これをチタン系セラミックスフィラーの平均粒径とする。
【0063】
液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形体に関し、衝撃強度などの機械強度を向上させる観点からは、チタン系セラミックスフィラーの平均粒径が0.23〜5μmであると好ましく、0.25〜1.5μmの微粉末状であるとより好ましく、0.26〜0.30μmの微粉末状であると、さらに好ましい。
【0064】
また、曲げ強度などの機械強度を向上させる観点からは、繊維状のチタン系セラミックスフィラーを用いるとよい。かかる繊維状のチタン系セラミックスフィラーにおいて、その数平均繊維長が0.5μmを越えて10μm以下であると好ましく、数平均繊維径が0.1μm以上1μm以下であり、アスペクト比(数平均繊維長を数平均繊維径で除した値)2以上の繊維状であるとさらに好ましく、数平均繊維長が1μm以上10μm以下であり、数平均繊維径が0.1μm以上0.5μm以下であり、アスペクト比3以上の繊維状であると、より好ましい。このような数平均繊維長や数平均繊維径は、走査型電子顕微鏡による外観観察で求められるものである。
【0065】
上述した市場から容易に入手できるチタン系セラミックスフィラーを形状別に整理すると、前記の「HPBT−1」、「CR−60」、「CR−58」、「CR−97」、「SR−1」は、いずれも微粉状のチタン系セラミックスフィラーであり、前記の「タイペークPFR404」は、繊維状のチタン系セラミックスフィラーである。
【0066】
以下、液晶ポリエステル樹脂組成物の調製方法について説明する。
【0067】
本発明に用いられる液晶ポリエステル樹脂組成物は、液晶ポリエステルと高誘電性フィラーとを混合することにより得られる。
【0068】
ここで、液晶ポリエステル樹脂組成物における液晶ポリエステルと高誘電性フィラーとの含有比率は、用いる高誘電性フィラーの誘電特性が十分に発現され、かつ溶融加工性が良好となるようなバランスを勘案して決定される。具体的には、配合される液晶ポリエステルと高誘電性フィラーの合計量100体積%に対し、高誘電性フィラーが20〜50体積%であると好ましく、高誘電性フィラーの含有比率が22〜45体積%であるとさらに好ましい。
【0069】
次に、前記のストランド法による組成物ペレットの作製方法について説明する。
【0070】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を得る調製方法において、各原料成分を溶融混練できる範囲であれば、その配合手段は特に限定されない。具体的には、液晶ポリエステルと高誘電性フィラーとをそれぞれ別々に溶融混合機に供給する方法、これらの原料成分を乳鉢、ヘンシェルミキサー、ボールミル、リボンブレンダーなどを利用して予備混合してから溶融混合機に供給する方法などが挙げられる。このような溶融混練(熱溶融)により、液晶ポリエステル樹脂組成物は溶融物を形成する。
【0071】
溶融混練における温度条件は、使用している液晶ポリエステルの流動開始温度Tp[℃]を基点にして適宜最適化できる。好ましくは、Tp−10[℃]以上Tp+100[℃]以下の範囲であり、より好ましくは、Tp−10[℃]以上Tp+70[℃]以下の範囲であり、特に好ましくは、Tp−10[℃]以上Tp+50[℃]以下の範囲である。また、液晶ポリエステルとして2種類以上を併用する場合は、これらの液晶ポリエステルの混合物に対して、既述した方法で流動開始温度を求め、その流動開始温度を基点にすればよい。
【0072】
溶融混練で得られた液晶ポリエステル樹脂組成物の溶融物は、例えば、単軸または多軸押出機、好ましくは二軸押出機、バンバリー式混錬機、ロール式混練機等により紐状に押し出してストランドとした後、このストランドを冷却固化し、これを切断するといった一連の操作により、組成物ペレットに加工できる。また、前記ストランドを冷却固化させることなく、押出機のダイスから吐出した直後、ダイスカッターにより、切断してペレットに加工するホットカット法を用いることもできる。但し、ストランド法とホットカット法を生産性の観点から比較すると、より生産性が良好となる面でストランド法が有利である。
【0073】
このように、単軸または二軸押出機を用いた組成物ペレットの調製方法は、溶融混練からペレット化までを連続して行うことができることから操作性が容易となる。
【0074】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物においては、高誘電性フィラーを比較的高充填したとしても、ストランド法やホットカット法に代表される公知のペレット製造手段により、組成物ペレットを安定的に生産性よく製造することが可能である。
【0075】
前記のようにして得られる組成物ペレットの形状は、円柱状でも角柱状でもよい。また、断面形状は種々考えられ、例えば、円形、略円形、楕円形、星形のいずれでもよい。一般的には円柱状の組成物ペレットとするのがよい。なお、この断面形状は押出機の押出口の形状によって適宜最適化することができる。
【0076】
組成物ペレットの長さは、後述する成形方法によって適宜好適な長さが採用されるが、平均で表して0.1〜10mmの長さのものが好ましく、1〜5mmの長さのものがより好ましい。ペレットの直径/長さの比は、0.1〜10の範囲が好ましく、0.2〜3の範囲がさらに好ましく、0.3〜1の範囲が特に好ましい。
【0077】
こうして得られたペレット状の液晶ポリエステル樹脂組成物は、種々慣用の成形方法に適用可能である。成形方法としては、例えば、射出成形またはプレス成形などの溶融成形が好ましく、特に射出成形が好ましい。射出成形としては、一般射出成形、射出圧縮成形、2色成形、サンドイッチ成形等を具体的に挙げることができ、これらの中でも一般射出成形、射出圧縮成形が好ましい。これらの成形方法のいずれにおいても、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、操作性に優れた組成物ペレットとして得られるので、成形機に連続して供給するのも容易であり、計量・保管の面でも良好である。
【0078】
このような成形方法により、金型等を適宜最適化して、所望の形状・寸法の成形体を得ることができる。この成形体は、既述のとおり、優れた誘電特性と高機械強度を兼ね備え、さらに液晶ポリエステルが有する高度の耐熱性が十分に確保されているので、アンテナ1を製造するための部材、特にアンテナ用基体2に好適に使用することができる。
【0079】
そして、このアンテナ用基体2は、必要に応じてエッチング等を施し、電極(放射電極3、グランド電極5および給電電極6)を形成することにより、アンテナ1を製造することができる。電極となり得る導電層の形成手段としては、金属めっき、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、はんだ付などの公知の方法を採用することができる。また、所望の電極形状に加工された金属箔を接着剤等で接着または圧着してもよく、或いは、予め金属箔を成形体表面に接着または圧着させた後に、所望の形状となるように、接着または圧着された金属箔をパターニングしてもよい。
【0080】
こうして得られるアンテナ1は、アンテナ用基体2の誘電特性や機械強度が極めて優れるため、従来のものより、小型化が容易であり、例えば、ブルートゥース(登録商標)などの無線LAN用、携帯電話、PHSまたはモバイル機器用、GPS用、ETC用、衛星通信用その他のアンテナ1として、特に好適に用いられる。
【0081】
このように、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を用いて得られるアンテナ1は、高機械強度、高耐熱性等によって、外環境に対する耐久性に優れているので、屋外設置用のアンテナ1に好適に使用可能である。また、優れた誘電特性による小型化の効果を活かして、自動車搭載用または携帯機器用のアンテナ1として用いることもできる。
[発明のその他の実施の形態]
【0082】
なお、上述した実施の形態1では、アンテナ用基体2を構成する液晶ポリエステル樹脂組成物が液晶ポリエステルおよび高誘電性フィラーを含有する場合について説明した。しかし、この液晶ポリエステル樹脂組成物は、本発明の目的を著しく損なわない範囲であれば、これらの液晶ポリエステルおよび高誘電性フィラーの他に、必要な特性に応じて補強剤などの添加剤が含有されていてもよい。
【0083】
この添加剤としては、例えば、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの繊維状補強剤;ホウ酸アルミニウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの針状の補強剤;ガラスビーズ、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ドロマイトなどの無機充填剤;フッ素樹脂、金属石鹸類などの離型改良剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0084】
また、この添加剤として、外部滑剤効果を有する添加剤、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤などを用いることも可能である。さらに、少量であれば、液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂(たとえば、ポリアミド、結晶性ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド等)や熱硬化性樹脂(たとえば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等)を含有させてもよい。このような液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用する場合、液晶ポリエステル自身の液晶性や成形加工性を損なわないようにして、その種類や添加量を選択することが必要である。
【実施例】
【0085】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<合成例1>
【0086】
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1144.13g(6.08モル)、パラヒドロキシ安息香酸265.19g(1.92モル)、無水酢酸898.39g(8.80モル)を添加し、室温で15分間攪拌した後、攪拌しながら昇温した。内温が145℃となったところで、同温度(145℃)を保持したまま3時間攪拌した。
【0087】
次に、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から305℃まで4時間30分かけて昇温した。同温度(305℃)で1時間保温して液晶ポリエステルを得た。こうして得られた液晶ポリエステルを室温に冷却し、粉砕機で粉砕して、粒子径が約0.1〜1mmの液晶ポリエステルの粉末(プレポリマー1)を得た。
【0088】
このプレポリマー1は、使用したモノマーのモル比率から、全芳香族基合計に対する2,6−ナフタレンジイル基の含有比で表すと、76モル%となる。
<合成例2>
【0089】
合成例1で得られたプレポリマー1を25℃から250℃まで1時間かけて昇温した後、同温度(250℃)から280℃まで5時間かけて昇温し、次いで、同温度(280℃)で3時間保温して固相重合させた。固相重合後、冷却したところ、液晶ポリエステルが粉末状で得られた。この液晶ポリエステルをLCP1とする。このLCP1は、使用したモノマーのモル比率から、全芳香族基合計に対する2,6−ナフタレンジイル基の含有比で表すと、76モル%となる。
<合成例3>
【0090】
合成例1と同様の反応器に、p―ヒドロキシ安息香酸を911g(6.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを409g(2.2モル)、イソフタル酸を91g(0.55モル)、テレフタル酸を274g(1.65モル)、無水酢酸を1235g(12.1モル)用いて攪拌した。次いで、1−メチルイミダゾールを0.17g添加し反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して1時間還流させた。その後、1−メチルイミダゾールを1.7g添加した後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。こうして得られた液晶ポリエステルを室温に冷却し、粉砕機で粉砕して、粒子径が約0.1〜1mmの液晶ポリエステルの粉末(プレポリマー2)を得た。
【0091】
得られたプレポリマー2を25℃から250℃まで1時間かけて昇温した後、同温度(250℃)から285℃まで5時間かけて昇温し、次いで、同温度(285℃)で3時間保温して固相重合させた。固相重合後冷却したところ、液晶ポリエステルが粉末状で得られた。この液晶ポリエステルをLCP2とする。
【0092】
このLCP2は、使用したモノマーのモル比率から、全芳香族基合計に対する2,6−ナフタレンジイル基の含有比は、0モル%となる。
<合成例4>
【0093】
得られたプレポリマー2を25℃から250℃まで1時間かけて昇温した後、同温度(250℃)から290℃まで5時間かけて昇温し、次いで、同温度(290℃)で3時間保温して固相重合させた。固相重合後冷却したところ、液晶ポリエステルが粉末状で得られた。この液晶ポリエステルをLCP3とする。
【0094】
このLCP3は、使用したモノマーのモル比率から、全芳香族基合計に対する2,6−ナフタレンジイル基の含有比は、0モル%となる。
<実施例1>
【0095】
高誘電性フィラーとして、チタン酸バリウム(BaTiO3 )からなるフィラー(富士チタン工業(株)製の「HPBT−1」)を用い、これと合成例2で得られたLCP1とを27:73(容量比)で配合して(混合粉末合計4.0kg)、液晶ポリエステル樹脂組成物を製造した。
<実施例2>
【0096】
高誘電性フィラーとして、酸化チタン(TiO2 )からなるフィラー(石原産業(株)製の「CR−60」、平均粒径0.21μm)を用い、これと合成例2で得られたLCP1とを25:75(容量比)で配合すること以外は、実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂組成物を製造した。
<実施例3>
【0097】
高誘電性フィラーとして、酸化チタン(TiO2 )からなるフィラー(石原産業(株)製の「CR−58」、平均粒径0.28μm)を用い、これと合成例2で得られたLCP1とを25:75(容量比)で配合すること以外は、実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂組成物を製造した。
<実施例4>
【0098】
高誘電性フィラーとして、酸化チタン(TiO2 )からなるフィラー(石原産業(株)製の「CR−97」、平均粒径0.25μm)を用い、これと合成例2で得られたLCP1とを25:75(容量比)で配合すること以外は、実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂組成物を製造した。
<実施例5>
【0099】
高誘電性フィラーとして、酸化チタン(TiO2 )からなるフィラー(堺化学工業(株)製の「SR−1」、平均粒径0.26μm)を用い、これと合成例2で得られたLCP1とを25:75(容量比)で配合すること以外は、実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂組成物を製造した。
<比較例1>
【0100】
合成例1で得られたプレポリマー1と、実施例1で用いたものと同じ高誘電性フィラーとを73:27(容量比)で配合して(混合粉末合計4.0kg)、液晶ポリエステル樹脂組成物を製造した。
<比較例2>
【0101】
合成例3で得られたLCP2と、実施例1で用いたものと同じ高誘電性フィラーとを73:27(容量比)で配合して(混合粉末合計4.0kg)、液晶ポリエステル樹脂組成物を製造した。
<比較例3>
【0102】
合成例4で得られたLCP3と、実施例1で用いたものと同じ高誘電性フィラーとを73:27(容量比)で配合して(混合粉末合計4.0kg)、液晶ポリエステル樹脂組成物を製造した。
<比較例4>
【0103】
合成例3で得られたLCP2と、実施例2で用いたものと同じ高誘電性フィラーとを75:25(容量比)で配合して(混合粉末合計4.0kg)、液晶ポリエステル樹脂組成物を製造した。
<比較例5>
【0104】
合成例3で得られたLCP2と、実施例3で用いたものと同じ高誘電性フィラーとを75:25(容量比)で配合して(混合粉末合計4.0kg)、液晶ポリエステル樹脂組成物を製造した。
<流動開始温度の測定>
【0105】
合成例1〜4についてそれぞれ、粉末状の液晶ポリエステルの流動開始温度を測定した。すなわち、フローテスター((株)島津製作所製の「CFT−500型」)を用いて、試料約2gを内径1mm、長さ10mmのダイスを取り付けた毛細管型レオメーターに充填する。9.8MPa(100kgf/cm2 )の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルをノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポアズ)を示す温度を流動開始温度とした。
【0106】
また、合成例1〜4についてそれぞれ、粉末状の液晶ポリエステルを造粒してペレット状にし、このペレット状の液晶ポリエステルの流動開始温度を測定した。すなわち、合成例1〜4の液晶ポリエステル粉末各500gを用いて、二軸押出機((株)池貝製の「PCM−30」)によって各液晶ポリエステルの粉末の流動開始温度〜流動開始温度+10℃高い温度で造粒し、ペレットを得た。こうして得られた合成例1〜4に相当するペレットについて、上述した粉末状の液晶ポリエステルと同様にして、流動開始温度を測定した。その結果、流動開始温度は、プレポリマー1が267℃、LCP1が328℃、プレポリマー2が257℃、LCP2が327℃、LCP3が336℃であった。これらの結果をまとめて表1に示す。
【表1】

<メルトテンションの測定>
【0107】
合成例1〜4についてそれぞれ、ペレット状の液晶ポリエステルのメルトテンションを測定した。このとき、各ペレットについては、ペレットの流動開始温度より高い温度でメルトテンション測定を実施し、メルトテンションの最大値を求めた。また、試料が糸状に引き取れず、メルトテンション測定が実施できない限界温度についても調べた。
【0108】
すなわち、溶融粘度測定試験機((株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1B型)を用いて、試料約10gを仕込み、シリンダーバレル径1mm、ピストンの押し出し速度は5.0mm/分、速度可変巻取機で自動昇速しながら試料を糸状に引き取り、試料が破断したときの張力をメルトテンション(単位:N)とした。これらの結果をまとめて表1に示す。
【0109】
なお、合成例1で得られたプレポリマー1では、測定温度が300℃以下であるとストランドを形成することができなかった。一方、測定温度が310℃以上では、樹脂がストランドを形成するよりも流動液状化して、メルトテンション測定ができなかった。また、測定温度300〜310℃の間においてもメルトテンション測定を試みたが、得られたストランドが容易に破断してしまうため、メルトテンションを算出することができなかった。
【0110】
LCP1では、測定温度315℃、330℃、335℃および340℃でメルトテンションが0.0098N以上であった。LCP2では、測定温度330〜360℃で測定したメルトテンションが何れも0.0098N以上であった。LCP2およびLCP3は、測定温度350℃でメルトテンションが0.0098N以上であった。
<ストランド性の良否の判定>
【0111】
実施例1〜5および比較例1〜5についてそれぞれ、ストランド性の良否(ストランドの得られやすさ)を判定した。すなわち、二軸押出機((株)池貝製の「PCM−30」)を用いて、溶融温度340℃(但し、比較例1については溶融温度295℃、比較例2、3については溶融温度345℃)によりストランド法にてペレット化を試みた。ストランドが得られることを確認した後、混合粉末0.5kgを使用した時点を開始点とし、混合粉末3.0kgを使用した時点を終了点として、開始点から終了点までの間でストランドが切れる回数(ストランド切れ回数)をカウントすることにより、ストランド性の良否を判定した。これらの結果をまとめて表2、表3に示す。
【表2】

【表3】

【0112】
その結果、実施例1〜5では、表2に示すように、そのいずれにおいても、ストランド切れは認められず(ストランド切れ回数:0回)、安定的にストランドが得られることが判明した。
【0113】
これに対して、比較例1では、表3に示すように、ストランド法にてペレット化を試みたが、ストランドを得ることができなかった。また、造粒温度の種々変更してストランドが引けるかどうかを試みたが、造粒温度を変更するだけでは、やはりストランドを得ることができなかった。
【0114】
また、比較例2では、混合粉末0.5kgを使用した時点から混合粉末3.0kgを使用した時点まで、ストランド切れ回数をカウントしたところ、ストランド切れ回数は29回であり、安定的にストランドを得ることはできなかった。
【0115】
また、比較例3では、混合粉末0.5kgを使用した時点から混合粉末3.0kgを使用した時点まで、ストランド切れ回数をカウントしたところ、ストランド切れ回数は24回であり、安定的にストランドを得ることはできなかった。
【0116】
さらに、比較例4、5ではいずれも、ストランド切れが多発した(ストランド切れ:40回以上)。なお、ストランド切れ回数のカウントは40回までとし、それ以降のカウントを実施しないことにした。
<はんだ発泡試験の実施>
【0117】
実施例1〜5および比較例1〜5についてそれぞれ、はんだ発泡試験を実施した。すなわち、実施例1〜5および比較例5の液晶ポリエステル樹脂組成物を造粒して得られた組成物ペレットを120℃で3時間乾燥した後、射出成形機(日清樹脂工業(株)製の「PS40E5ASE型」)を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度130℃でJIS K71131(1/1)号ダンベル(厚さ1.2mm)の試験片(サンプル)を成形した。こうして得られた試験片を260℃のH60Aはんだ(スズ60%、鉛40%)に60秒間浸漬した。その後、この試験片を引き上げ、発泡や膨れの発生の有無を目視で確認した。これらの結果をまとめて表4に示す。
【表4】

【0118】
その結果、比較例5では、発泡および膨れが発生したのに対して、実施例1〜5では、そのいずれにおいても、発泡や膨れは発生しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、ブルートゥース(登録商標)などの無線LAN用、携帯電話、PHSまたはモバイル機器用、GPS用、ETC用、衛星通信用など各種のアンテナに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1……アンテナ
2……アンテナ用基体
3……放射電極
5……グランド電極
6……給電電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリエステル50〜80体積%と高誘電性フィラー20〜50体積%とを含有する液晶ポリエステル樹脂組成物であって、
前記液晶ポリエステルは、以下の式(1)で示される構造単位を全構造単位に対して80モル%以上含むとともに、全構造単位における全芳香族基の中で2,6−ナフタレンジイル基を60モル%以上含み、流動開始温度が280℃以上であり、流動開始温度より高い温度で測定されるメルトテンションの最大値が0.0098N以上であることを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物。
(1)−O−Ar1 −CO−
(式中、Ar1 は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基および4,4’−ビフェニレン基からなる群から選ばれる1種以上の芳香族基を表す。なお、Ar1 は、その芳香環に結合している水素原子の一部が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基に置換されていてもよい。)
【請求項2】
前記高誘電性フィラーが、チタン系セラミックスを含有するフィラーであることを特徴とする請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項3】
前記チタン系セラミックスが、TiO2 、BaTiO3 、SrTiO3 、CaTiO3 、MgTiO3 、BaSrTi2 6 、BaNd2 Ti4 12、BaNd2 Ti5 14およびBaBi2 Nd2 TiO9 から選ばれる1種以上のセラミックスを主として含むことを特徴とする請求項2に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物であって、その製造方法が、
前記液晶ポリエステルおよび前記高誘電性フィラーを熱溶融して溶融物を得る工程と、
前記溶融物を紐状に押し出してストランドを得る工程と、
前記ストランドを切断してペレット化する工程と
を有する製造方法であることを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物を用いて構成されていることを特徴とする成形体。
【請求項6】
請求項5に記載の成形体に電極が形成されていることを特徴とするアンテナ。

【図1】
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【公開番号】特開2011−52037(P2011−52037A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199422(P2009−199422)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】