説明

液晶媒体および液晶ディスプレイ

【課題】液晶媒体および液晶ディスプレイを提供する。
【解決手段】本発明は、式(I)の1種類以上の化合物、任意成分として式(II)および(III)の化合物群より選択される1種類以上の化合物、および、任意成分として式(IV)の1種類以上の化合物を含む誘電的に正の液晶媒体と、この媒体を含む液晶ディスプレイ、特にアクティブマトリクスディスプレイ、さらに、特にはTN、IPSおよびFFSディスプレイとに関する。


(式中、パラメータは明細書中で示される意味を有する。)


(式中、パラメータは明細書中で示される意味を有する。)


(式中、パラメータは明細書中で示される意味を有する。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶媒体およびこれらの媒体を含有する液晶ディスプレイ、特に、アクティブマトリクスによりアドレスされるディスプレイ、特には、ツイストネマチック(TN:Twisted Nematic)、インプレーンスイッチング(IPS:In Plane Switching)またはフリンジ−フィールドスイッチング(FFS:Fringe Field Switching)型のディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)は、情報を表示するために多くの分野で使用されている。LCDは、直視ディスプレイおよび投写型ディスプレイの両者で使用されている。使用される電気光学的モードは、例えば、ツイストネマチック(TN:Twisted Nematic)、スーパーツイストネマチック(STN:Super Twisted Nematic)、光学補償ベンド(OCB:Optically Compensated Bend)および電気制御複屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringence)モード、および、それらの種々の変法、その他である。これらのモードは全て、基板または液晶層に実質的に垂直な電界を用いる。これらのモードに加え、基板または液晶層に実質的に平行な電界を用いる電気光学的モード、例えば、インプレーンスイッチング(IPS:In Plane Switching)モード(例えば、ドイツ国特許第40 00 451号明細書(特許文献1)および欧州特許第0 588 568号明細書(特許文献2)に開示されている)、およびフリンジフィールドスイッチング(FFS:Fringe Field Switching)モード(このモードにおいては強力な「フリンジ場」が存在し、即ち、電極のエッジ近傍に強力な電界が存在し、セル全体にわたって、強力な垂直成分および強力な水平成分の両者を有する電界が存在する。)などがある。特に、これら後者2つの電気光学的モードは、最新のデスクトップモニターにおけるLCD用に使用され、テレビセットおよびマルチメディア用途向けディスプレイにおける使用が意図されている。本発明による液晶は、好ましくは、この型のディスプレイにおいて使用される。一般に、かなり低い値の誘電異方性を有する誘電的に正の液晶媒体がFFSディスプレイにおいて使用されているが、場合によっては、僅かに3程度または更に低い誘電異方性を有する液晶媒体でさえもIPSディスプレイにおいて使用されている。
【0003】
これらのディスプレイには、改良された特性を有する新規な液晶媒体が必要とされている。多くのタイプの用途のために、特に、アドレス時間が改良されなければならない。したがって、より低い粘度(η)、特に、より低い回転粘度(γ)を有する液晶媒体が必要とされている。回転粘度は80mPa・s以下、好ましくは60mPa・s以下、特には55mPa・s以下でなければならない。このパラメータに加えて、媒体は適切な幅および位置のネマチック相範囲および適当な複屈折(Δn)を有していなければならず、誘電異方性(Δε)は、適度に低い動作電圧を可能とするために、十分に高くなければならない。Δεは、好ましくは2より大きく、非常に好ましくは3より大きくなければならないが、好ましくは15以下、特には12以下であり、これにより、抵抗が少なくともかなり高くなることが防止される。
【0004】
本発明によるディスプレイは、好ましくは、アクティブマトリクス(Active Matrix LCD、略してAMD)、好ましくは、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)のマトリクスによりアドレスされる。しかしながら、本発明による液晶は、他の既知のアドレス手段を有するディスプレイにおいても有利に使用できる。
【0005】
低分子量の液晶材料と重合性材料の複合系を使用する多数の異なるディスプレイモードが存在する。例えば、例えば国際公開第91/05 029号パンフレット(特許文献3)において開示されている、ポリマー分散液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、ネマチック曲線配向相(NCAP:Nematic Curvilinearly Aligned Phase)およびポリマーネットワーク(PN:Polymer Network)系、または、軸対称微小領域(ASM:Axially Symmetric Microdomain)系、その他がある。これらとは対照的に、本発明による特に好ましいモードは、表面上で配向された液晶媒体を、そのまま使用する。これらの表面は、液晶材料の均一な配向を達成するため、典型的には予め処理される。本発明によるディスプレイモードは、好ましくは、複合層に実質的に平行な電界を使用する。
【0006】
LCDおよび特にはIPSディスプレイに適切な液晶組成物は、例えば、特開平07−181439号公報(特許文献4)、欧州特許第0 667 555号明細書(特許文献5)、欧州特許第0 673 986号明細書(特許文献6)、ドイツ国特許第195 09 410号明細書(特許文献7)、ドイツ国特許第195 28 106号明細書(特許文献8)、ドイツ国特許第195 28 107号明細書(特許文献9)、国際公開第96/23 851号パンフレット(特許文献10)および国際公開第96/28 521号パンフレット(特許文献11)より既に知られている。しかしながら、これらの組成物は重大な欠点を有する。欠点のなかでも、それらの殆どは、不都合なことに、アドレス時間が長くなり、不適切な抵抗値を有し、および/または、極めて高い動作電圧を必要とすることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ国特許第40 00 451号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 588 568号明細書
【特許文献3】国際公開第91/05 029号パンフレット
【特許文献4】特開平07−181439号公報
【特許文献5】欧州特許第0 667 555号明細書
【特許文献6】欧州特許第0 673 986号明細書
【特許文献7】ドイツ国特許第195 09 410号明細書
【特許文献8】ドイツ国特許第195 28 106号明細書
【特許文献9】ドイツ国特許第195 28 107号明細書
【特許文献10】国際公開第96/23 851号パンフレット
【特許文献11】国際公開第96/28 521号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、広いネマチック相範囲、使用されるディスプレイのタイプに対応する適切な光学異方性Δn、高いΔε、および、特に低い粘度などの実際の使用に適する特性を有する液晶媒体に対する相当なニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで驚くべきことに、適切に高いΔε、適切な相範囲およびΔnを有し、先行技術の材料の欠点を示さないか、または、少なくとも極めて少ない程度にしか示さない液晶媒体を実現できることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0010】
これらの改良された本出願による液晶媒体は、少なくとも以下の成分を含む。
【0011】
−以下のものを含む誘電的に正の成分である成分A。
【0012】
・式Iの1種類以上の誘電的に正の化合物。
【0013】
【化1】

式中、
11およびR12は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキル、またはフッ化アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキル、好ましくは、アルキルまたはアルケニルを表す。
【0014】
・任意成分として、式IIおよびIIIの化合物群より選択される1種類以上の化合物。
【0015】
【化2】

式中、
およびRは、互いに独立に、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニル、好ましくは、アルキルまたはアルケニルを表し、
【0016】
【化3】

好ましくは、
【0017】
【化4】

を表し、
21、L22、L31およびL32は、互いに独立に、HまたはFを表し、L21および/またはL31は、好ましくは、Fを表し、
およびXは、互いに独立に、ハロゲン、1〜3個のC原子を有するハロゲン化アルキルまたはアルコキシ、または2個または3個のC原子を有するハロゲン化アルケニルまたはアルケニルオキシ、好ましくは、F、Cl、−OCFまたは−CF、非常に好ましくは、F、Clまたは−OCFを表し、
は、−CHCH−、−CFCF−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−または単結合、好ましくは、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−または単結合、非常に好ましくは、−COO−、トランス−CH=CH−または単結合を表し、および
l、m、nおよびoは、互いに独立に、0または1を表す。
【0018】
−任意成分として、式IVの1種類以上の化合物を含み、誘電的に中性の成分である成分B。
【0019】
【化5】

式中、
41およびR42は、互いに独立に、式IIにおいてRに上で示される意味を有し、好ましくは、R41はアルキルを表し、R42はアルキルまたはアルコキシを表すか、または、R41はアルケニルを表し、R42はアルキルを表し、
【0020】
【化6】

好ましくは、
【0021】
【化7】

41およびZ42は、互いに独立に、およびZ41が2回出現する場合は、これらも互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−、−C≡C−または単結合を表し、好ましくは、それらの1個以上は単結合を表し、および
pは、0、1または2、好ましくは、0または1を表す。
【0022】
媒体は、好ましくは、パラメータが上で示されるそれぞれの意味を有し、Xが好ましくはFを表す式Iの1種類以上の誘電的に正の化合物を含む。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、媒体は、パラメータが上で示されるそれぞれの意味を有し、パラメータR11およびR12の一方がアルキルを表し、他方がアルキルまたはアルケニルを表し、好ましくは、両方がアルキルを表す式Iの1種類以上の化合物を含む。
【0024】
媒体における式Iの化合物の総濃度は、好ましくは1%〜50%、より好ましくは1%〜40%、更により好ましくは1%〜30%の範囲内である。特に好ましい実施形態において、媒体における式Iの化合物の総濃度は、2%〜20%、特に好ましくは4%〜17%の範囲内である。式Iの単一種類の同族化合物を媒体において使用する場合、それの濃度は、好ましくは、1%〜20%の範囲内であり、式Iの2種類以上の同族化合物を媒体において使用する場合、好ましくは、同族化合物をそれぞれ2%〜14%使用する。
【0025】
本発明による媒体は、好ましくは、3より大きい誘電異方性を有し、式IIおよびIIIの群より選択される1種類以上の誘電的に正の化合物を含む。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、媒体は、式II−1〜II−3の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0027】
【化8】

式中、パラメータは式IIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、式II−1においてパラメータL23およびL24は、互いにおよび他のパラメータとは独立に、HまたはFを表し、式II−2において、
【0028】
【化9】

を表す。
【0029】
媒体は、好ましくは、L21およびL22またはL23およびL24の両方がFを表す式II−1〜II−3の化合物群より選択される化合物を含む。
【0030】
好ましい実施形態において、媒体は、L21、L22、L23およびL24の全てがFを表す式II−1およびII−2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0031】
媒体は、好ましくは、式II−1の1種類以上の化合物、好ましくは、式II−1a〜II−1jの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0032】
【化10】

【0033】
【化11】

式中、パラメータは上で示されるそれぞれの意味を有し、L25〜L28は、互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、L27およびL28の両方がHを表し、特に好ましくは、L26がHを表す。
【0034】
媒体は、好ましくは、L21およびL22の両方がFを表すか、および/または、L23およびL24の両方がFを表す式II−1a〜II−1eの化合物群より選択される化合物を含む。
【0035】
好ましい実施形態において、媒体は、L21、L22、L23およびL24の全てがFを表す式II−1a〜II−1hの化合物群より選択される化合物を含む。
【0036】
特に好ましい式II−1の化合物は、以下のものである。
【0037】
【化12】

【0038】
【化13】

式中、RおよびXは上で示される意味を有し、Xは、好ましくは、Fを表す。
【0039】
媒体は、好ましくは、式II−2の1種類以上の化合物、好ましくは、式II−2a〜II−2cの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0040】
【化14】

式中、パラメータは上で示されるそれぞれの意味を有し、L21およびL22の両方は、好ましくは、Fを表す。
【0041】
媒体は、好ましくは、式II−3の1種類以上の化合物、好ましくは、式II−3a〜II−3eの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0042】
【化15】

式中、パラメータは上で示されるそれぞれの意味を有し、L25およびL26は、互いにおよび他のパラメータとは独立に、HまたはFを表し、好ましくは、
式II−3aおよびII−3bにおいて、L21およびL22の両方がFを表し、
式II−3cおよびII−3dにおいて、L21およびL22の両方がFを表すか、および/または、L23およびL24の両方がFを表し、
式II−3eにおいて、L21、L22およびL25はFを表す。
【0043】
特に好ましい式II−3の化合物は、以下のものである。
【0044】
【化16】

式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0045】
本発明の更なる好ましい実施形態において、媒体は、式III−1およびIII−2の群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0046】
【化17】

式中、パラメータは、式IIIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0047】
媒体は、好ましくは、式III−1の1種類以上の化合物、好ましくは、式III−1aおよびIII−1bの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0048】
【化18】

式中、パラメータは上で示されるそれぞれの意味を有し、パラメータL33およびL34は、互いにおよび他のパラメータとは独立に、HまたはFを表す。
【0049】
媒体は、好ましくは、式III−2の1種類以上の化合物、好ましくは、式III−2a〜III−2jの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0050】
【化19】

【0051】
【化20】

式中、パラメータは上で示されるそれぞれの意味を有し、パラメータL35およびL36は、互いにおよび他のパラメータとは独立に、HまたはFを表す。
【0052】
媒体は、好ましくは、式III−1aの1種類以上の化合物、好ましくは、式III−1a−1〜III−1a−6の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0053】
【化21】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0054】
媒体は、好ましくは、式III−1bの1種類以上の化合物、好ましくは、式III−1b−1〜III−1b−4、好ましくは式III−1b−4の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0055】
【化22】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0056】
媒体は、好ましくは、式III−2aの1種類以上の化合物、好ましくは、式III−2a−1〜III−2a−5の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0057】
【化23】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0058】
媒体は、好ましくは、式III−2bの1種類以上の化合物、好ましくは、式III−2b−1およびIII−2b−2、好ましくは式III−2b−2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0059】
【化24】


式中、Rは上で示される意味を有する。
【0060】
媒体は、好ましくは、式III−2cの1種類以上の化合物、好ましくは、式III−2c−1〜III−2c−5の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0061】
【化25】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0062】
媒体は、好ましくは、式III−2dおよびIII−2eの化合物群より選択される1種類以上の化合物、好ましくは、式III−2d−1およびIII−2e−1の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0063】
【化26】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0064】
媒体は、好ましくは、式III−2fの1種類以上の化合物、好ましくは、式III−2f−1〜III−2f−5の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0065】
【化27】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0066】
媒体は、好ましくは、式III−2gの1種類以上の化合物、好ましくは、式III−2g−1〜III−2g−5の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0067】
【化28】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0068】
媒体は、好ましくは、式III−2hの1種類以上の化合物、好ましくは、式III−2h−1〜III−2h−5の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0069】
【化29】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0070】
媒体は、好ましくは、式III−2iの1種類以上の化合物、好ましくは、式III−2i−1およびIII−2i−2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0071】
【化30】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0072】
媒体は、好ましくは、式III−2jの1種類以上の化合物、好ましくは、式III−2j−1およびIII−2j−2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0073】
【化31】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0074】
式III−1および/またはIII−2の化合物に代えて、または加えて、本発明による媒体は、式III−3の1種類以上の化合物を含んでもよい。
【0075】
【化32】

式中、パラメータは式IIIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、この化合物は、好ましくは、式III−3aおよびIII−3bの群より選択される。
【0076】
【化33】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0077】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、誘電的に中性の成分である成分Bを含む。この成分は、−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有する。それは、好ましくは、−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有する誘電的に中性の化合物を含み、より好ましくはこれらより主として成り、更により好ましくはこれらより実質的に成り、特に好ましくはこれらより完全に成る。この成分は、好ましくは、−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有し、誘電的に中性の式IVの1種類以上の化合物を含み、より好ましくはこれらより主として成り、更により好ましくはこれらより実質的に成り、非常に好ましくはこれらより完全に成る。
【0078】
誘電的に中性の成分である成分Bは、好ましくは、式IV−1〜IV−6の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0079】
【化34】

式中、R41およびR42は、式IVにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、式IV−1、IV−5およびIV−6において、R41は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくはアルケニルを表し、R42は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくはアルキルを表し、式IV−2において、R41およびR42は、好ましくはアルキルを表し、式IV−4において、R41は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、より好ましくはアルキルを表し、R42は、好ましくはアルキルまたはアルコキシ、より好ましくはアルコキシを表す。
【0080】
誘電的に中性の成分である成分Bは、好ましくは、式IV−1、IV−4、IV−5およびIV−6の化合物群より選択される1種類以上の化合物、好ましくは、式IV−1の1種類以上の化合物と、式IV−4およびIV−5の群より選択される1種類以上の化合物、より好ましくは、式IV−1、IV−4およびIV−5のそれぞれの1種類以上の化合物、非常に好ましくは、式IV−1、IV−4、IV−5およびIV−6のそれぞれの1種類以上の化合物を含む。
【0081】
好ましい実施形態において、成分Bは、好ましくは、式IV−5の、より好ましくは、それぞれがそのサブ式の式CCP−V−nおよび/またはCCP−nV−mおよび/またはCCP−Vn−mより選択され、より好ましくは、式CCP−V−nおよび/またはCCP−V2−nの、非常に好ましくは、式CCP−V−1およびCCP−V2−1の群より選択される1種類以上の化合物を含む。これらの略号(頭文字)の定義は下に表Dで示されるか、表A〜Cより明らかである。
【0082】
同様に好ましい実施形態において、成分Bは、好ましくは、式IV−1の、より好ましくは、それぞれがそのサブ式の式CC−n−m、CC−n−Vおよび/またはCC−n−Vmより選択され、より好ましくは、式CC−n−Vおよび/またはCC−n−Vmの、非常に好ましくは、式CC−3−V、CC−4−V、CC−5−V、CC−3−V1、CC−4−V1、CC−5−V1およびCC−3−V2の群より選択される1種類以上の化合物を含む。これらの略号(頭文字)の定義は同様に下に表Dで示されるか、表A〜Cより明らかである。
【0083】
好ましい実施形態において、本発明による媒体中の式CC−3−Vの化合物の濃度は、50%〜65%、特に好ましくは55%〜60%とすることができる。
【0084】
前のものと同一でも異なるものでもよい、本発明の更なる好ましい実施形態において、本発明による液晶混合物の成分Bは、上記の式IV−1〜IV−6の化合物群より選択される式IVの1種類以上の化合物に加えて、または代えて、好ましくは加えて、式IV−7〜IV−14の化合物群より選択される式IVの1種類以上の化合物を含む。
【0085】
【化35】

式中、
41およびR42は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、および
は、HまたはFを表す。
【0086】
好ましい実施形態において、成分Bは、好ましくは、式IV−7の、より好ましくは、それぞれがそのサブ式の式CPP−3−2、CPP−5−2およびCGP−3−2より選択され、より好ましくは、式CPP−3−2および/またはCGP−3−2の、非常に特に好ましくは、式CPP−3−2である1種類以上の化合物を含む。これらの略号(頭文字)の定義は下に表Dで示されるか、表A〜Cより明らかである。
【0087】
式IIおよび/またはIIIの化合物に代えて、または加えて、本発明による媒体の成分Aは、式Vの1種類以上の誘電的に正の化合物を含んでもよい。
【0088】
【化36】

式中、
は、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、好ましくは、アルキルまたはアルケニルを表し、
【0089】
【化37】


51およびL52は、互いに独立に、HまたはFを表し、L51は、好ましくは、Fを表し、
は、ハロゲン、1〜3個のC原子を有するハロゲン化アルキルまたはアルコキシ、または2個または3個のC原子を有するハロゲン化アルケニルまたはアルケニルオキシ、好ましくは、F、Cl、−OCFまたは−CF、非常に好ましくは、F、Clまたは−OCFを表し、
は、−CHCH−、−CFCF−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−または−CHO−、好ましくは、−CHCH−、−COO−またはトランス−CH=CH−、非常に好ましくは、−COO−またはトランス−CH=CH−を表し、および
qは、0または1を表す。
【0090】
本発明による媒体は、好ましくは、式Vの1種類以上の化合物、好ましくは、式V−1およびV−2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0091】
【化38】

式中、パラメータは上で示されるそれぞれの意味を有し、パラメータL53およびL54は、互いにおよび他のパラメータとは独立に、HまたはFを表し、Zは、好ましくは、−CH−CH−を表す。
【0092】
式V−1の化合物は、好ましくは、式V−1aおよびV−1bの化合物群より選択される。
【0093】
【化39】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0094】
式V−2の化合物は、好ましくは、式V−2a〜V−2dの化合物群より選択される。
【0095】
【化40】

式中、Rは上で示される意味を有する。
【0096】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、誘電的に中性の成分である成分Bにおいて、式VIの1種類以上の化合物を含む。
【0097】
【化41】

式中、
61およびR62は、互いに独立に、式IIにおいてRに上で示される意味を有し、好ましくは、R61はアルキルを表し、R62はアルキルまたはアルケニルを表し、
【0098】
【化42】

好ましくは、
【0099】
【化43】

61およびZ62は、互いに独立に、およびZ61が2回出現する場合は、これらも互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−または単結合を表し、好ましくは、それらの1つ以上が単結合を表し、および
rは0、1または2、好ましくは0または1を表す。
【0100】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、式VI−1およびVI−2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0101】
【化44】

式中、R61およびR62は式VIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、R61は、好ましくは、アルキルを表し、式VI−1において、R62は、好ましくは、アルケニル、好ましくは、−(CH−CH=CH−CHを表し、式VI−2において、R62は、好ましくは、アルキルを表す。
【0102】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、式VI−1およびVI−2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含み、式中、R61は、好ましくは、n−アルキルを表し、式VI−1において、R62は、好ましくは、アルケニルを表し、式VI−2において、R62は、好ましくは、n−アルキルを表す。
【0103】
好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式VI−1の1種類以上の化合物、より好ましくは、そのサブ式PP−n−2Vmの、更により好ましくは式PP−1−2V1の1種類以上の化合物を含む。これらの略号(頭文字)の定義は下に表Dで示されるか、表A〜Cより明らかである。
【0104】
好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式VI−2の1種類以上の化合物、より好ましくは、そのサブ式PGP−n−mの、更により好ましくは、そのサブ式PGP−3−mの、非常に好ましくは、式PGP−3−2、PGP−3−3、PGP−3−4およびPGP−3−5より選択される1種類以上の化合物を含む。これらの略号(頭文字)の定義は、同様に、下に表Dで示されるか、表A〜Cより明らかである。
【0105】
加えて、本発明による液晶混合物は、更なる任意成分である、負の誘電異方性を有し、誘電的に負の化合物、好ましくは式VIIの化合物を含み、好ましくはこれらより主として成り、より好ましくはこれらより実質的に成り、非常に好ましくはこれらより完全に成る成分Cを含んでもよい。
【0106】
【化45】

式中
71およびR72は、互いに独立に、式IIにおいてRに上で示される意味を有し、
【0107】
【化46】

【0108】
【化47】

71およびZ72は、互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−または単結合を表し、好ましくは、それらの1個以上が単結合を表し、非常に好ましくは、両者が単結合を表し、
71およびL72は、互いに独立に、C−FまたはNをを表し、好ましくは、それらの1個以上がC−Fを表し、非常に好ましくは、両者がC−Fを表し、および
sは、0または1を表す。
【0109】
既述の化合物に加え、本発明による液晶混合物は、成分Aにおいて、式VIIIの1種類以上の化合物を含んでもよい。
【0110】
【化48】


式中、
は、式IIにおいてRに上で示される意味を有し、
【0111】
【化49】

好ましくは、
【0112】
【化50】

その他は同一の意味を有するか、または、互いに独立に、
【0113】
【化51】

81およびZ82は、互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−または単結合を表し、好ましくは、それらの1つ以上が単結合を表し、非常に好ましくは、両者が単結合を表し、
tは、0、1または2、好ましくは、0または1、より好ましくは、1を表し、および
は式IIにおいてXに上で示される意味を有するか、あるいは、Rとは独立に、Rに示される意味を有していてもよく、
ただし、それらより、式Iの化合物は除く。
【0114】
本出願において、組成物に関して「含む」は、関連する物、即ち、媒体または成分が、示される1種類の成分または複数種類の成分、または1種類の化合物または複数種類の化合物を、好ましくは10%以上、非常に好ましくは20%以上の総濃度で含有することを意味する。
【0115】
この関係において、「主として成る」は、関連する物が、55%以上、好ましくは60%以上、非常に好ましくは70%以上の、示される1種類の成分または複数種類の成分、または1種類の化合物または複数種類の化合物を含有することを意味する。
【0116】
この関係において、「実質的に成る」は、関連する物が、80%以上、好ましくは90%以上、非常に好ましくは95%以上の、示される1種類の成分または複数種類の成分、または1種類の化合物または複数種類の化合物を含有することを意味する。
【0117】
この関係において、「完全に成る」は、関連する物が、98%以上、好ましくは99%以上、非常に好ましくは100.0%の、示される1種類の成分または複数種類の成分、または1種類の化合物または複数種類の化合物を含有することを意味する。
【0118】
成分Cは、好ましくは、式VIIの1種類以上の化合物、好ましくは、式VII−1〜VII−3の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含み、より好ましくはこれらより主として成り、非常に好ましくはこれらより完全に成る。
【0119】
【化52】

式中、
71およびR72は、式VIIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0120】
式VII−1〜VII−3において、R71は、好ましくは、n−アルキルまたは1E−アルケニルを表し、R72は、好ましくは、n−アルキルまたはアルコキシを表す。
【0121】
明らかには上述されていない他のメソゲン化合物も、本発明による媒体中において、任意成分として、有利に使用することができる。そのような化合物は、当業者には既知である。
【0122】
本発明による液晶媒体は、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、特に好ましくは70℃以上、非常に特に好ましくは75℃以上の透明点を有する。
【0123】
本発明による液晶媒体のΔnは、589nm(Na)および20℃において、好ましくは0.060以上〜0.140以下の範囲内、より好ましくは0.070以上〜0.130以下の範囲内、更により好ましくは0.080以上〜0.125以下の範囲内、非常に好ましくは0.090以上〜0.122以下の範囲内である。
【0124】
本出願の好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体のΔnは、好ましくは0.080以上、より好ましくは0.090以上、特に好ましい実施形態において、0.100以上である。
【0125】
本発明による液晶媒体のΔεは、1kHzおよび20℃において、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、特に好ましい実施形態において4以上、非常に好ましくは6以上である。特には、Δεは15以下である。
【0126】
本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも0℃以下〜70℃以上、より好ましくは少なくとも−20℃以下〜70℃以上、非常に好ましくは少なくとも−30℃以下〜75℃以上、特には少なくとも−40℃以下〜75℃以上に及ぶ。
【0127】
本発明の第1の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは0.090以上〜0.130以下の範囲内、より好ましくは0.095以上〜0.120以下の範囲内、非常に好ましくは0.100以上〜0.115以下の範囲内であり、一方、Δεは、好ましくは2以上〜12以下、好ましくは10以下の範囲内である。
【0128】
本発明の第2の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは0.085以上〜0.130以下の範囲内、より好ましくは0.090以上〜0.125以下の範囲内、非常に好ましくは0.095以上〜0.120以下の範囲内であり、一方、Δεは、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、更により好ましくは8.0以上、非常に好ましくは8.0以上〜10.0以下の範囲内である。
【0129】
この実施形態において、本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも−20℃以下〜70℃以上、より好ましくは少なくとも−20℃以下〜70℃以上、非常に好ましくは少なくとも−30℃以下〜70℃以上、特には少なくとも−40℃以下〜70℃以上に及ぶ。
【0130】
本発明の第3の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは0.070以上〜0.120以下の範囲内、より好ましくは0.075以上〜0.115以下の範囲内、非常に好ましくは0.080以上〜0.110以下の範囲内であり、一方、Δεは、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上〜14.0以下の範囲内、非常に好ましくは4.0以上〜6.0以下の範囲内であるか、または、特に好ましくは6.0以上〜11.0以下の範囲内である。
【0131】
この実施形態において、本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも−20℃以下〜75℃以上、より好ましくは少なくとも−30℃以下〜70℃以上、非常に好ましくは少なくとも−30℃以下〜75℃以上、特には少なくとも−30℃以下〜80℃以上に及ぶ。
【0132】
本発明の第4の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは0.080以上〜0.120以下の範囲内、より好ましくは0.085以上〜0.115以下の範囲内、非常に好ましくは0.090以上〜0.110以下の範囲内であり、一方、Δεは、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上〜8.0以下の範囲内、非常に好ましくは2.0以上〜6.0以下の範囲内であるか、または、特に好ましくは2.0以上〜4.0以下の範囲内である。
【0133】
この実施形態において、本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも−20℃以下〜65℃以上、より好ましくは少なくとも−30℃以下〜70℃以上、非常に好ましくは少なくとも−30℃以下〜75℃以上、特には少なくとも−30℃以下〜80℃以上に及ぶ。
【0134】
本発明の第5の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは0.110以上〜0.150以下の範囲内、より好ましくは0.120以上〜0.140以下の範囲内、非常に好ましくは0.125以上〜0.135以下の範囲内であり、一方、Δεは、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上〜8.0以下の範囲内、非常に好ましくは3.0以上〜7.0以下の範囲内である。
【0135】
この実施形態において、本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも−20℃以下〜70℃以上、より好ましくは少なくとも−30℃以下〜70℃以上、非常に好ましくは少なくとも−20℃以下〜75℃以上、特には少なくとも−30℃以下〜75℃以上に及ぶ。
【0136】
本発明の第6の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは0.110以上〜0.150以下の範囲内、より好ましくは0.120以上〜0.145以下の範囲内、非常に好ましくは約0.137以上〜0.100以下の範囲内、好ましくは2.0以上〜8.0以下の範囲内、非常に好ましくは3.0以上〜7.0以下の範囲内である。
【0137】
この実施形態において、本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも−20℃以下〜70℃以上、より好ましくは少なくとも−30℃以下〜70℃以上、非常に好ましくは少なくとも−30℃以下〜75℃以上、特には少なくとも−30℃以下〜80℃以上に及ぶ。
【0138】
本発明によれば、成分Aは、混合物全体の好ましくは1%〜50%、より好ましくは1%〜30%、より好ましくは2%〜30%、非常に好ましくは3%〜30%の濃度において使用される。
【0139】
式IIおよびIIIの化合物は、混合物全体の好ましくは2%〜60%、より好ましくは3%〜55%、更により好ましくは10%〜40%、更により好ましくは15%〜35%、非常に好ましくは25%〜30%の総濃度において使用される。
【0140】
式IVの化合物は、混合物全体の好ましくは0%〜70%、より好ましくは10%、好ましくは15%〜65%、更により好ましくは15%、好ましくは20%〜60%、非常に好ましくは15%〜55%の総濃度において使用される。
【0141】
式Vの化合物は、混合物全体の好ましくは0%〜50%、より好ましくは1%〜40%、更により好ましくは5%〜30%、非常に好ましくは7%〜25%の総濃度において使用される。
【0142】
成分Cは、混合物全体の好ましくは0%〜30%、より好ましくは0%〜15%、非常に好ましくは1%〜10%の濃度において使用される。
【0143】
物理的特性を調節するために、本発明による媒体は、更なる液晶化合物を任意成分として含んでよい。そのような化合物は、当業者に既知である。本発明による媒体中のそれらの濃度は、好ましくは0%〜30%、より好ましくは0.1%〜20%、非常に好ましくは1%〜15%である。
【0144】
上述の本発明の第1の好ましい実施形態において、式Iの化合物は、混合物全体の好ましくは1%〜30%、より好ましくは3%〜25%、非常に好ましくは5%〜20%の総濃度において使用され、一方、式VIの化合物は、混合物全体の好ましくは5%〜40%、より好ましくは8%〜35%、非常に好ましくは10%〜30%の濃度において使用される。
【0145】
この好ましい実施形態において、媒体は、好ましくは式VIの1種類以上の化合物、非常に好ましくは式VI−2の1種類以上の化合物を含む。
【0146】
特に上述の本発明の第2の好ましい実施形態において、成分Bは、好ましくは式IVの1種類以上の化合物、より好ましくは式IV−1の1種類以上の化合物、更により好ましくは、それぞれがそのサブ式である式CC−n−Vおよび/またはCC−n−Vm、より好ましくは式CC−n−V1および/またはCC−n−Vより選択される1種類以上の化合物、非常に好ましくは、式CC−3−V、CC−4−V、CC−5−VおよびCC−3−V1の群より選択される1種類以上の化合物を含む。これらの略号(頭文字)の定義は下に表Dで示される。
【0147】
液晶媒体は、好ましくは全体で50%〜100%、より好ましくは70%〜100%、非常に好ましくは80%〜100%、特には90%〜100%の、式I、II、III、IV、V、VI、VIIおよびVIII、好ましくは、式I、II、III、IV、V、VIおよびVII、特に好ましくは、式I、II、III、IV、VおよびVIの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0148】
本出願において、「誘電的に正」という表現はΔε>3.0である化合物または成分のことをいい、「誘電的に中性」は−1.5≦Δε≦3.0のものをいい、「誘電的に負」はΔε<−1.5のものをいう。Δεは1kHzの周波数および20℃において決定される。それぞれの化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物中の、個々の化合物それぞれの10%の溶液の結果より決定される。それぞれの化合物のホスト混合物中への溶解度が10%未満の場合、濃度を5%に低下する。試験混合物の静電容量は、ホメオトロピック配向を有するセル中およびホモジニアス配向を有するセル中の両方において決定する。両方のタイプのセルの厚さは、およそ20μmである。印加される電圧は1kHzの周波数および典型的には0.5V〜1.0Vの有効値を有する矩形波であるが、常に、それぞれの試験混合物の容量閾値よりも低く選択される。
【0149】
Δεは(ε−ε)と定義され、一方、εavは(ε+2ε)/3である。
【0150】
誘電的に正の化合物に使用されるホスト混合物は混合物ZLI−4792であり、誘電的に中性および誘電的に負の化合物に使用されるホスト混合物は混合物ZLI−3086であり、両者ともドイツ国メルク社製である。化合物の誘電率は、対象化合物を添加した際のホスト混合物のそれぞれの値の変化から決定される。その値を、対象化合物の濃度100%に外挿する。
【0151】
20℃の測定温度においてネマチック相を有する成分はそのままで測定され、他の全ては化合物と同様に処理される。
【0152】
両方の場合について、他に明記しない限り、本出願において「閾電圧」という表現は光学的閾値を言い、10%相対的コントラスト(V10)を指し、「飽和電圧」という表現は光学的飽和を言い、90%相対的コントラスト(V90)を指す。フレデリクス閾値(VFr)とも呼ばれる容量的閾電圧(V)は、明記した場合にのみ、使用する。
【0153】
本出願で示されるパラメータの範囲は、他に明記しない限り、全て限界値を含む。
【0154】
互いの組み合わせにおいて特性の様々な範囲に示される異なる上限および下限の値は、追加の好ましい範囲を与える。
【0155】
本出願を通じて、他に明記しない限り、以下の条件および定義を適用する。全ての濃度は重量パーセントで示され、それぞれ混合物全体に対するものであり、全ての温度は、摂氏度で示され、全ての温度差は差異度で示される。全ての物理的特性は、「Merck Liquid Crystals、Physical Properties of Liquid Crystals」、1997年11月、ドイツ国メルク社に従って決定され、他に明記しない限り、20℃の温度について示される。光学異方性(Δn)は、589.3nmの波長で決定される。誘電異方性(Δε)は、1kHzの周波数で決定される。閾電圧ならびに他の全ての電気光学的特性は、ドイツ国メルク社で製造された試験セルを使用して決定される。Δεの決定のための試験セルは、約20μmのセル厚みを有している。電極は、1.13cmの面積および保護リングを有する円形ITO電極である。配向層は、ホメオトロピック配向(ε)用には日本国日産化学社製SE−1211、ホモジニアス配向(ε)用には日本国日本合成ゴム社製ポリイミドAL−1054である。容量は、0.3Vrmsの電圧を有する正弦波を使用するSolatron1260周波数応答解析装置を使用して決定する。電気光学的測定において使用される光は、白色光である。ドイツ国Autronic Melchers社から商業的に入手可能なDMS装置を使用する装置構成を、ここでは用いる。特性電圧は、垂直観察の下で決定した。閾値(V10)、中間灰色(V50)および飽和(V90)電圧は、それぞれ10%、50%および90%相対コントラストで決定した。
【0156】
本発明による液晶媒体は、通常の濃度で、更なる添加剤およびキラルドーパントを含むことができる。これらの更なる構成成分の総濃度は、混合物全体の0%〜10%、好ましくは0.1%〜6%の範囲内である。使用される個々の化合物の濃度は、それぞれ、好ましくは0.1%〜3%の範囲内である。これら、および類似の添加剤の濃度は、本出願において、液晶媒体の液晶成分および液晶化合物の値および濃度範囲を示す場合には考慮されない。
【0157】
本発明による液晶媒体は、複数種類の化合物、好ましくは3〜30種類、より好ましくは4〜20種類、非常に好ましくは4〜16種類の化合物から成る。これらの化合物は、従来法で混合される。一般に、より少ない量で使用される化合物の所望量を、より多い量で使用される化合物に溶解する。より高い濃度で使用される化合物の透明点より温度が高い場合には、溶解過程の完了を観察することは特に容易である。しかしながら、他の従来法で、例えば、例えば化合物の同族または共融混合物である所謂プレ混合物を使用して、または、構成成分がそれ自身で使用可能な混合物である所謂「マルチ・ボトル」系を使用して媒体を調製することも可能である。
【0158】
適切な添加剤を加えることにより、TN、TN−AMD、ECB−AMD、VAN−AMD、IPS−AMD、FFS−AMD LCDなどの液晶媒体をそのまま使用するか、または、PDLC、NCAP、PN LCDなどの複合系、特にASM−PA LCDにおいてのいずれかの、全ての既知のタイプの液晶ディスプレイにおいて使用できるように、本発明による液晶媒体を改変することができる。
【0159】
例えば、液晶の融点T(C,N)またはT(C,S)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移点T(S,N)および透明点T(N,I)などの全ての温度は、摂氏度で示される。全ての温度差は差異度で示される。
【0160】
本発明および特に以下の例において、メソゲン化合物の構造は、頭文字とも呼ばれる略号を用いて示される。これらの頭文字において、化学式は、以下の通り、下の表A〜Cを使用して略記される。全ての基C2n+1、C2m+1およびC2l+1、またはC2n−1、C2m−1およびC2l−1は、それぞれ、n、mおよびl個のC原子を有する直鎖のアルキルまたはアルケニル、好ましくは1E−アルケニルを表す。表Aには化合物のコア構造の環要素に使用されるコードが列記されており、一方、表Bには結合基が示されている。表Cには、左側または右側の末端基のためのコードの意味が列記されている。表Dには、それらのそれぞれの略号と共に化合物の構造が例示されている。
【0161】
【表1】

【0162】
【表2】

【0163】
【表3】

【0164】
【表4】

式中、nおよびmはそれぞれ整数を表し、3つの点「...」は、この表からの他の略号のための余白である。
【0165】
以下の表には、それらのそれぞれの略号と共に構造が例示されている。これらは、略号についての規則の意味を説明するために示されている。それらは、更に、好ましく使用される化合物を表している。
【0166】
【表5】

【0167】
【表6】

【0168】
【表7】

【0169】
【表8】

【0170】
【表9】

【0171】
【表10】

【0172】
【表11】

【0173】
【表12】

【0174】
【表13】

【0175】
【表14】

以下の表の表Eに、本発明によるメソゲン媒体中で安定剤として使用できる化合物を例示する。
【0176】
【表15】

【0177】
【表16】

【0178】
【表17】

本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、表Eからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0179】
以下の表の表Fに、本発明によるメソゲン媒体中においてキラルドーパントとして好ましく使用できる化合物を例示する。
【0180】
【表18】

【0181】
【表19】

本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、表Fからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0182】
本出願によるメソゲン媒体は、好ましくは、上の表からの化合物から成る群より選択される2種類以上、好ましくは4種類以上の化合物を含む。
【0183】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、7種類以上、好ましくは8種類以上の化合物、好ましくは、表Dからの化合物群より選択される3種類以上、好ましくは4種類以上の異なる式を有する化合物を含む。
【実施例】
【0184】
以下の例は、本発明を一切制限することなく、本発明を説明する。
【0185】
しかしながら、物理的特性は、いかなる特性が達成でき、それらをいかなる範囲で改変できるかを当業者に示す。よって、特に、好ましく達成できる各種特性の組み合わせが、当業者のために十分に規定される。
【0186】
<例1>
以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。
【0187】
【表20】

この混合物は、TNモードにおけるディスプレイ、特に、パーソナルコンピュータのモニターとして使用するためのディスプレイに非常に適している。
【0188】
<例2>
以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。
【0189】
【表21】

この混合物は、TNモードにおけるディスプレイ、特に、パーソナルコンピュータのモニターとして使用するためのディスプレイに非常に適している。
【0190】
<例3>
以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。
【0191】
【表22】

この混合物は、IPSモードにおけるディスプレイ、特に、パーソナルコンピュータのモニターとして使用するためのディスプレイに非常に適している。
【0192】
<例4>
以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。
【0193】
【表23】

この混合物は、IPSモードにおけるディスプレイ、特に、パーソナルコンピュータのモニターとして使用するためのディスプレイに非常に適している。
【0194】
<例5>
以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。
【0195】
【表24】

この混合物は、IPSモードにおけるディスプレイ、特に、パーソナルコンピュータのモニターとして使用するためのディスプレイに非常に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体。
【化1】

(式中、
11およびR12は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキル、またはフッ化アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキルを表す。)
【請求項2】
式IIおよびIIIの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶媒体。
【化2】

(式中、
およびRは、互いに独立に、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、
【化3】

21、L22、L31およびL32は、互いに独立に、HまたはFを表し、
およびXは、互いに独立に、ハロゲン、1〜3個のC原子を有するハロゲン化アルキルまたはアルコキシ、または2個または3個のC原子を有するハロゲン化アルケニルまたはアルケニルオキシを表し、
は、−CHCH−、−CFCF−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−または単結合を表し、および
l、m、nおよびoは、互いに独立に、0または1を表す。)
【請求項3】
式IVの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶媒体。
【化4】

(式中、
41およびR42は、互いに独立に、請求項2においてRに示される意味を有し、
【化5】


41およびZ42は、互いに独立に、およびZ41が2回出現する場合は、これらも互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−、−C≡C−または単結合を表し、および
pは、0、1または2を表す。)
【請求項4】
媒体中の式Iの化合物の総濃度は1%〜30%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【請求項5】
11およびR12が、互いに独立に、アルキルを表す式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【請求項6】
請求項2で示される通りの式IIの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【請求項7】
請求項2で示される通りの式IIIの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【請求項8】
式VIの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【化6】

(式中、
61およびR62は、互いに独立に、請求項2においてRに示される意味を有し、
【化7】

61およびZ62は、互いに独立に、およびZ61が2回出現する場合、これらも互いに独立に、−CHCH−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CHO−、−CFO−または単結合を表し、および
rは、0、1または2を表す。)
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶媒体を含有することを特徴とする液晶ディスプレイ。
【請求項10】
アクティブマトリクスによってアドレスされることを特徴とする請求項9に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項11】
液晶ディスプレイにおける請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶媒体の使用。
【請求項12】
請求項1に記載の式Iの1種類以上の化合物と、1種類以上の更なる化合物と、および任意成分として1種類以上の添加剤とを混合することを特徴とする液晶媒体の調製方法。

【公表番号】特表2011−515506(P2011−515506A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546231(P2010−546231)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000498
【国際公開番号】WO2009/103402
【国際公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】