説明

液晶滴下装置

【課題】
基板上に所望量の液晶剤を供給する場合に、供給過程で液晶剤中の溶存する空気が気泡となり、供給量が変化することで滴下精度を悪化させ、しいてはパネルの精度が落ちるという課題がある。
【解決手段】
タンク内部の圧力を真空雰囲気から大気圧若しくは正圧にする正圧源と、タンク内部の圧力を真空雰囲気にする負圧源を備え、液晶剤を前記マイクロシリンジ内に計量充填する場合には、正圧源をタンクに接続し、液晶剤を基板上滴下する場合は、負圧源をタンクに接続するための電磁弁を設けた構成とした。これにより、生産中ペーストに溶解する空気を極力少なくし,かつ負圧吸引時には気泡を混入することなくスムースに液晶剤を充填させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの組立て装置に係り、特に、基板上の所望位置に所望量の液晶剤を滴下する液晶滴下装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルの製造には、透明電極や薄膜トランジスタアレイを付けた2枚のガラス基板のうち、一方の基板上にシール剤をクローズしたパターンに描画し、さらに、そのパターンの内側に液晶剤を滴下しておいて他方の基板を一方の基板上に配置し、真空中で上下の基板を接近させて貼り合せる特許文献1などで提案された方法がある。
【0003】
液晶剤の滴下方法としては、特許文献2で提案されている方法等がある。液晶剤は例えば特許文献2のようなタンクタイプや、液晶ボトル等により保管されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−165622号公報
【0005】
【特許文献2】特開2003−164783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液晶剤を液晶供給装置に取付ける前には液晶剤を真空環境に晒し、液晶剤の精製や輸送、保管時に液晶剤に溶存する空気抜き処理(以下脱泡処理という)を行い、充分に脱泡処理した後、生産に用いている。
【0007】
基板に供給した液晶剤を真空中で封入する場合、液晶剤は真空環境に晒されることになるが、この時にも液晶剤に溶存する空気が多い場合には脱気される前に対向基板を重ねて液晶剤を封入してしまうため、基板内に空気まで封入してしまうことになり、これは液晶パネルの表示むらの要因であることから生産性を低下させることになる。
【0008】
また、液晶剤の供給精度の面からは特許文献2にあるタンクタイプのシリンジではタンク内を加圧してニードルの開時間を調整しているため空気の溶存の進行を増す方向に作用している。
【0009】
また、マイクロシリンジタイプ(たとえば米TecanSystems,Inc社XL3000等)では溶存空気があるとマイクロシリンジ内に液晶材料を負圧吸引する際に気泡が生じて滴下精度が不安定になってしまうため、気泡が生じないよう充填速度を遅くすると生産性を低下することになってしまう。
【0010】
液晶供給装置の面からは装置の占有面積を小さくするため、液晶供給器を基板の主面に平行な方向に動かしながら基板に液晶を供給する構成を取ることがある。この場合液晶が入ったボトルを揺らしながら生産を行うため、空気の溶存の進行を増す方向に作用している。
【0011】
また、液晶剤を自然放置すると再度液晶剤に空気が溶解していく。この過程は液晶供給装置における生産中にも進行する現象である。
【0012】
そこで、本発明の目的は、供給する液晶剤の量を正確に計測供給するために、タンク内からマイクロシリンジへの液晶剤を供給する場合、液晶在中に空気の溶存を極力抑制し、供給量を決定するマイクロシリンジ内で気泡を発生しない装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するため、タンク内部の圧力を真空雰囲気から大気圧若しくは正圧にする正圧源と、タンク内部の圧力を真空雰囲気にする負圧源を備え、液晶剤を前記マイクロシリンジ内に計量充填する場合には、正圧源をタンクに接続し、液晶剤を基板上滴下する場合は、負圧源をタンクに接続するための電磁弁を設けた構成とした。これにより、生産中ペーストに溶解する空気を極力少なくし、かつ負圧吸引時には気泡を混入することなくスムースに液晶剤を充填させる液晶滴下装置を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、液晶剤に気泡を混入することなく精度良く安定して基板に滴下供給し、かつ、液晶タンク内の液晶剤に空気の混入を抑制することで、液晶パネルの生産性を向上させるが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。図1は本発明による液晶滴下装置の一実施例を示す斜視図である。図1において、架台1上には、タンク107やノズルを備えた液晶ディスペンサ9をY軸方向に移動させるためのY軸移動機構支持架台2a,2bが設けられている。このY軸移動機構支持架台2a,2b上には、Y軸方向に並行にY軸移動機構4a,4bが設けられ、このY軸移動機構4a,4b上に塗布ヘッドをX軸方向に移動させるX移動機構軸支持架台3が設けてある。更に、X軸移動機構支持袈台3の下側の架台1上には、θ軸移動テーブル6が設けられ、θ軸移動テーブル6の上に基板7を保持するための基板保持機構5が設けてある。
【0016】
Y軸移動機構4a,4bは、リニアサーボモータと案内部(リニアレール)からなりY軸移動機構支持架台2a,2b側にリニアレールがX軸移動機構支持架台3側リニアサーボモータを設けてある。すなわち、X移動機構軸支持架台3をY軸方向に移動させる構成としてある。X軸移動機構3aは、リニアサーボモータと案内部からなり、X移動機構軸支持架台3側にリニアレールが、液晶ディスペンサ支持ブラケット8側にリニアサーボモータを設けた構成としてある。これにより、ディスペンサ支持ブラケット8上に搭載された液晶ディスペンサ9をX軸方向に移動させる構成としてある。
【0017】
またディスペンサ支持ブラケット8側には、照明の可能な光源を備えた鏡筒と画像認識用カメラ15が取り付けてある。画像認識用カメラは、基板7の位置合わせマークの観察やペーストの形状認識などのために、基板7に対向するように設けられている。
【0018】
さらに、架台1の下側内部には、XY軸移動機構の駆動を行なうリニアモータ3m,4am,4bmとθ軸移動テーブルを駆動するサーボモータ6mを制御する主制御部17と、ディスペンサ制御部18とが設けられている。この主制御部17とディスペンサ制御部18の間は信号ケーブル21で接続されている。ディスペンサ制御部18は、後述するマイクロシリンジのピストン102を駆動するZ軸モータ110や流路切り替えバルブ103を駆動するR軸モータ103Mやタンク107の調圧用の電磁弁121などを制御する。
【0019】
主制御部17にはモニタ19やキーボード20、外部記憶装置であるハードディスク22が接続されている。そして、主制御部17での各種処理のためのデータがキーボード20から入力され、画像認識カメラ15で捉えた画像や主制御部17での処理状況がモニタ19で表示される。また、キーボード20から入力されたデータなどは、外部記憶装置であるハードディスク22に記憶保管される。
【0020】
次に、液晶ディスペンサ9の構造を図2に示す。
【0021】
液晶ディスペンサ9はマイクロシリンジ部M1、流路切替部M2、吸い込み部M3、吐出部M4、駆動部M5、ディスペンサ制御部18から構成されている。
【0022】
マイクロシリンジ部M1は、ガラス製のマイクロシリンジ101と駆動部により矢印方向に移動するピストン102で構成してある。
【0023】
流路切替部M2は、流路A、流路B、流路Cを図示せぬR軸モータ103Mにより流路切替ポート104を回転させて流路切替を行う切替バルブ103と、継手105で構成している。切替バルブ103の切替タイミングは、図示せぬモータをピストン102の移動と重複しないようにディスペンサ制御部18で制御している。
【0024】
本図では流路A―Bを繋ぐよう流路切替ポート104の向きを設定しており、この位置を吸い込みポート位置という。また、流路切替ポート104の向きを回転させB−Cを繋ぐようにした位置を、吐出ポート位置という。
【0025】
吸い込み部M3は、チューブ106と、既に脱泡処理された液晶剤120が充填された液晶タンク107とで構成されている。液晶タンク107にはチューブ106とチューブ128のそれぞれ一端側が挿入され、空気の洩れがないようシールできる蓋125が取り付けられている。チューブ106の一端側は、液晶タンク107の底面近くにその端部が位置するように液晶タンク107内に配置され、他端側は継手105を介して流路Aに接続されている。チューブ128の一端側は液晶タンク107の上部の蓋125の近くに配置され、他端側には液晶剤中への異物の混入を防止するためのフィルタ122を介して電磁弁121に接続されている。この電磁弁121には、タンク内の雰囲気を大気圧若しくは正圧雰囲気や負圧雰囲気に調圧するための正圧源と負圧源が接続されている。
【0026】
吐出部M4側は、チューブ108と、チューブ108の先端に取り付けたノズル109とで構成している。チューブ108の他端側は継手105を介して、流路Cに接続されている。ノズル109は図示せぬブラケットによりディスペンサ9の最下部に位置するように取り付けられ、図示せぬ高さ調整機構により基板から2mm程度の高さになるように調整できるよう構成されている。
【0027】
駆動部M5は、ピストン102を精密に位置決め駆動するため、主制御部18からの駆動信号に基づいて、Z軸モータ110の回転させ、Z軸モータ110の軸に接続されたねじ111を介してナット112を案内機構114に沿って移動させる。本図では上下方向に移動させて、連結部113を介してピストン102を上下に駆動している。
【0028】
次に、本実施例における制御方法について説明する。
【0029】
図3は、図1における主制御部の構成を示すブロック図である。図において、主制御部17は、マイクロコンピュータ17aがデータ通信バス17cを介して、モータコントローラ17bと、外部インターフェース17d及び画像認識部17eとを接続した構成となっている。モータコントローラ17bには、X軸リニアモータ用ドライバ17fと、Y軸リニアモータ用ドライバ17g、17hと、θ軸モータ用ドライバ17iとが接続されている。
【0030】
同図において、主制御部17には、種々の外部機器が接続され、夫々の機器を制御している。例えば、X、Y、θの各軸を駆動するモータ3m、4am、4bm、6mとそれぞのモータに設けてあるエンコーダとが各軸のドライバ17f〜17iに接続され、画像認識用カメラ15で得られる映像信号は画像処理部17eに接続され、外部インターフェース17dは、ディスペンサ制御部18や、モニタ19やキーボード20、ハードディスク22等に接続されている。また、マイクロコンピュータ17aには図示しないが、主演算部や後述する塗布描画を行なうための処理プログラムを格納したROM、主演算部での処理結果や外部インターフェース17d及びモータコントローラ17bからの入力データを格納するRAM、外部インターフェース17dやモータコントローラ17bとデータをやりとりする入出力部などを備えている。
【0031】
同図において、外部インターフェース17dには、ネットワークケーブル25が接続されており、このネットワークケーブル25を介して、図示していない本装置が使用される生産工場の稼動状況などを管理する管理用コンピュータや他装置を接続しているネットワーク26に接続されている。このような構成とすることで本装置の運転状況や運転条件の自動切換え制御、基板の搬入搬出の制御等の管理を行っている。
【0032】
各モータ3m,4am,4bm,6mには、前述のように位置を検出するリニアスケールと回転量を検出するエンコーダが内蔵されており、その検出結果をX,Y,θの各軸ドライバ17f〜17iに送信し、そのけ結果に基づいて位置制御を行なっている。
【0033】
図4は、図1におけるディスペンサ制御部の構成を示すブロック図である。ディスペンサ制御部18の内部は、マイクロコンピュータ18aが、データ通信バス18cを介してモータコントローラ18bと外部インターフェース18dとが接続されている。更に、モータコントローラ18bには、マイクロシリンジ101内のピストン102を上下に制御するZ軸モータ用ドライバ18eと、液晶流路切替弁103を駆動するR軸モータ用ドライバ18fとが接続されている。
【0034】
また、マイクロコンピュータ18aには図示しないが、主演算部や液晶供給時のピストン位置制御を行なうための処理プログラムを格納したROM、主演算部での処理結果や外部インターフェース18d及びモータコントローラ18bからの入力データを格納するRAM、外部インターフェース18dやモータコントローラ18bとデータをやりとりする入出力部などを備えている。
【0035】
また、外部インタフェース18dには、電磁弁121と、正圧源130に接続されて液晶タンク107に印加する圧力を調整する正圧レギュレータ123と、負圧源131に接続されて液晶タンク107に印加する圧力を調整する負圧レギュレータ124とが接続されている。
【0036】
ここで正圧源130には、圧縮乾燥され異物が取り除かれた空気又は、圧縮された窒素、ヘリウム、ネオン等の内の一種類の不活性ガスなどを使用する。また、液晶タンク107内を正圧にしない場合には、正圧源や正圧レギュレータを使用せず、大気雰囲気に連通してもよい。
【0037】
主制御部17とディスペンサ制御部18との連携した制御のもと、各モータ3m,4am,4bm,6mが、キーボード20から入力されてマイクロコンピュータ17aのRAMに格納されているデータに基いて移動・回転する。これにより、基板保持機構5(図1)に保持された基板7に対して、ノズル13a(図2)を、X,Y軸方向に任意の距離を移動し、その移動中にピストン102を移動させることでノズル109の先端部の吐出口から液晶剤が吐出され、基板7に所望のペーストパターンが塗布される。
【0038】
図5に本実施例における装置の動作のフローチャートを示す。
【0039】
図5において、まず、電源を投入する(ステップ100)。次に、液晶供給装置の初期設定が実行される(ステップ200)。この初期設定工程では、マイクロシリンジ内に液晶剤を必要量だけ充填する処理と液晶剤供給データの設定などを行う。
【0040】
初期設定工程における液晶充填動作のフローチャートを図6に示す。液晶充填動作では、まず、液晶タンク107内の気圧を大気圧若しくは正圧にする(ステップ201)。液晶タンク107内の気圧が大気圧若しくは正圧になったことを図示せぬ圧力センサで確認した後、R軸モータ103Mにより流路切替弁を駆動して吸込み側とマイクロシリンジ101を連通させる吸い込みポート位置に移動させる。(ステップ202)。次にZ軸を駆動してピストン102を動かし液晶剤をマイクロシリンジ内に流入させる動作を行う(ステップ203)。この処理ではピストン102を流路切替弁103の方向(上死点方向)から反対方向(下死点方向)にピストンを動かす際にマイクロシリンジ内が負圧になることで液晶剤120を液晶タンク107から吸込む動作をするものである。本実施例では、予め液晶タンク107内の圧力を正圧にすることで、タンク内の液晶剤がマイクロシリンジ側に送出しやすくすることで、ピストンの動作に対応して液晶剤を送出でき液晶剤中への空気の混入を抑制することができるものである。
【0041】
必要量の流入が終了すると、再度R軸モータ103Mにより流路切替弁を駆動して、吐出側とマイクロシリンジ101を連通させる吐出ポート位置に移動させる(ステップ204)。続いて液晶タンク内の気圧を真空(負圧)にして(ステップ205)、液晶充填動作を終了する(ステップ206)。液晶タンクの真空度は10〜10Pa程度の低真空で良い。尚、最後に液晶タンク内を負圧にすることでタンク内の液晶剤に空気の溶存を防止して滴下精度の低下を防ぐものである。
【0042】
なお、液晶剤をマイクロシリンジに供給する時、ピストンの移動速度が液晶の流入速度に対して速すぎると、液晶剤内に僅かに溶存する空気が抜けて気泡が生じて気泡溜りができてしまい、この気泡がクッションとなり液晶剤の供給精度を低下させる要因となる。このため、液晶タンク内を正圧することで、供給がスムーズに行われる。また、ピストンの移動速度を気泡の発生を抑制するため、液晶ボトルに加える正圧と、ピストンの移動速度を準備試験により予め決定しておくと良い。
【0043】
また、ノズル109(図2)を、その液晶吐出口が液晶供給を開始する位置(即ち、液晶供給開始点)となるように、所定の原点位置に設定する。さらに、液晶供給位置データや基板位置データ、液晶供給終了位置データの設定を行なうものである。
【0044】
ここで,液晶供給経路データの例を図7に示す。これは6枚の液晶パネルを1枚の基板から取る例である。50はガラス基板、51は分割して液晶パネルになる領域、52は供給する液晶剤、53は供給動作経路、54の点線は液晶パネル間の移動経路を示している。各液晶パネル領域51A、51B、51C、51D、51E、51Fの順にそれぞれの液晶パネル領域に所望の液晶剤を供給する。ここで、ひとつの液晶パネル領域には対象の画面サイズとセルギャップの設計値から最適な液晶の供給量がそれぞれパネルの仕様により設定されており、例えば対角20インチの液晶パネルでは700mg程度の液晶剤供給量が設定されており、この例では6面分を一度に充填するため4200mgの液晶剤を充填しておくことになる。
【0045】
かかるデータの入力は、キーボード20(図1)から行なわれ、入力されたデータは、前述したように、マイクロコンピュータ17(図3)に内蔵されたRAMに格納される。この初期設定工程(ステップ200)が終了すると、次に、基板7を基板吸着機構5(図1)に搭載して保持させる(ステップ300)。続いて、基板予備位置決め処理(ステップ400)を行なう。この処理では、基板保持機構5に搭載された基板7の位置決め用マークを画像認識カメラ15で撮影し、位置決め用マークの重心位置を画像処理で求めて基板7のθ方向での傾きを検出し、これに応じてサーボモータ6m(図3)を駆動し、このθ方向の傾きを補正する。以上により、基板予備位置決め処理(ステップ400)を終了する。
【0046】
次に、液晶滴下処理(ステップ500)を行なう。
マイクロコンピュータ17aのRAMに格納された液晶滴下位置をなめらかに繋ぐ経路データ(以下、滴下経路データという)に基づいてリニアモータ3m、4am、4bmが駆動され、これにより、ノズル109の先端部の吐出口が基板7に対向した状態で、X、Y方向に移動すると共に移動位置に応じてピストン102を間欠移動させ、ノズル109の先端部の吐出口からの液晶の間欠吐出を開始する。これにより、基板7への液晶滴下動作が開始する。
【0047】
そして、先に説明したように、ディスペンサ制御部18のマイクロコンピュータ18aは、主制御部17からノズル109のXY方向の位置データから生成される供給信号を入力し予め主制御部から設定された所望の供給量で液晶剤を供給することができる。
【0048】
そして、液晶滴下が滴下経路データの終端に達し,かつ所望の液晶が基板に滴下されるまで液晶滴下動作を継続する。滴下経路データの終端に達すると、液晶滴下工程(ステップ500)が終了する。
【0049】
次に、基板排出処置(ステップ600)に進み、基板7の保持を解除し、装置外に排出する。そして、以上の全工程を停止するか否かを判定し(ステップ700)、複数枚の基板に同じパターンで液晶滴下を行う場合には、基板搭載処理(ステップ300)から繰り返され、全ての基板についてかかる一連の処理が終了すると、作業が全て終了(ステップ800)となる。
【0050】
以上のように,この実施例では空気が溶存しやすく、かつ高精度な滴下が要求される液晶剤の滴下について述べたが、液晶剤に限らず、滴下できる材料ならばいかなる材料でもよい。
【0051】
また、滴下方法について述べているが、シリンジを間欠動作でなく連続して動作させて線引き塗布を行う方式でもよい。
【0052】
以上説明したように、本発明によれば、液晶剤に気泡を混入することなく精度良く安定して基板に滴下供給できるために、液晶パネルの生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】液晶滴下装置の全体構成を示す図である。
【図2】液晶剤の供給流路構成を示す図である。
【図3】主制御装置の機能配置のブロック線図である。
【図4】副制御装置の機能配置のブロック線図である。
【図5】液晶滴下の手順をを示すフローチャートを示す図である。
【図6】マイクロシリンジ内への液晶供給手順を説明するフローチャートを示す図である。
【図7】基板上に液晶剤を滴下する手順を示した図である。
【符号の説明】
【0054】
1…架台、2a,2b…Y軸移動機構支持架台、3…X軸移動機構支持架台、4a,4b…Y軸移動機構、5…基板保持機構、6…θ軸移動テーブル、7…基板、8…ディスペンサ支持ブラケット、9…液晶ディスペンサ、101…マイクロシリンジ、102…ピストン、103…切換弁、105…継手、107…液晶タンク、108…ノズル、121…電磁弁、122…フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル上に載置した基板に対向して吐出口から液晶剤の滴下を行うノズルと、基板に供給する液晶剤が貯蔵された液晶タンクと、前記液晶タンク内の液晶剤を計量充填し、前記ノズルより定量滴下を行うマイクロシリンジとを具備し、前記マイクロシリンジ内に充填した液晶剤を前記基板と前記ノズルとの相対位置関係を変化させて前記吐出口から前記基板上に滴下させることにより、前記基板上の所望位置に所望量の液晶剤を供給する液晶滴下装置において、
前記液晶タンク内部の圧力を真空雰囲気から大気圧若しくは正圧にする正圧源と、前記液晶タンク内部の圧力を真空雰囲気にする負圧源を備え、液晶剤を前記マイクロシリンジ内に計量充填する場合には、前記正圧源を前記液晶タンクに接続し、前記液晶剤を前記基板上に滴下する工程では前記負圧源を前記液晶タンクに接続する電磁弁を設けたことを特徴とする液晶滴下装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶滴下装置において、
前記液晶タンクから前記マイクロシリンジに液晶剤を供給する流路と、前記マイクロシリンジから前記ノズルへ液晶剤を供給する流路を切換える流路切換手段を備えたことを特徴とする液晶滴下装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液晶滴下装置において、
前記マイクロシリンジは、ピストンを備え、前記ピストンを駆動する駆動量で充填する液晶剤の量を規定すると共に、前記液晶タンクに加える正圧力に応じて前記ピストンの移動速度を決定することを特徴とする液晶滴下装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−106150(P2006−106150A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289503(P2004−289503)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000233077)株式会社 日立インダストリイズ (97)
【Fターム(参考)】