説明

液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープ

【課題】液晶表示モジュールの液晶表示パネルと、バックライト筐体とを貼着する際に使用され、液晶表示パネルとバックライト筐体とを強固に粘着させることができる一方、これらを容易に剥離することができる液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープを提供する。
【解決手段】液晶表示モジュールの液晶表示パネルとバックライト筐体とを貼着する際に用いられる液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープであって、(メタ)アクリル系樹脂とガス発生剤とを含有する液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示モジュールの液晶表示パネルと、バックライト筐体とを貼着する際に使用され、液晶表示パネルとバックライト筐体とを強固に粘着させることができる一方、これらを容易に剥離することができる液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示モジュール(液晶表示装置)は、ワープロやパソコンを始めとする広範な分野で用いられており、特に電子手帳、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)等においては益々小型化された電子機器の表示装置として用いられるようになってきている。
【0003】
このような液晶表示モジュールの中で、例えば、サイドライト型バックライト方式の液晶表示モジュールは、一般に、バックライト筐体の中に反射板、導光板、拡散板、プリズムシート及び液晶表示パネルが順に積層され、導光板の側方にランプリフレクタを設けたLED(Light Emitting Diode)が配置された構造となっており、液晶表示パネルとバックライト筐体との間には、両面粘着テープが挟み込まれている。この両面粘着テープは、通常、幅が約0.5〜10mm程度で額縁状に打ち抜かれた形状であり、液晶表示パネルとバックライト筐体のみでなく、プリズムシートにも接し、プリズムシートの下側に設置されている拡散板等を固定する役割も併せ有している。
【0004】
液晶表示モジュールは、組立後に性能確認のための点灯検査が実施される。検査により液晶表示パネルの不良やバックライト筐体の不良が発見された場合は、バックライト筐体と液晶表示パネルとを分離し、部品交換や清掃を行い、その後、再組立を行い、再び点灯検査を行うことが繰り返されている。この一連の作業をリペア作業という。
リペア作業中、バックライト筐体と液晶表示パネルとを分離する工程は、通常、作業者が手作業により、例えば、液晶表示モジュールを捻ったりすることにより変形させ、バックライト筐体全体に歪みを与えることにより分離したり、液晶表示パネルに接続されているフレキシブルプリント基板等の部品を引っ張ることによりバックライト筐体から液晶表示パネルを分離することが行われている。
しかしながら、このような方法では両面粘着テープの粘着力が強すぎると、バックライト筐体と液晶表示パネルとの分離の際に液晶表示パネルが破損してしまうことがあった。従って、両面粘着テープの接着力は、液晶表示パネルを破損しない程度に適度な接着力を示すことが必要である。
【0005】
また、リペア作業においては、液晶表示パネルのみがバックライト筐体から分離して、両面粘着テープは、バックライト筐体に貼着した状態のままでいることがその後のリペア作業を円滑に行う上で重要である。そのため、例えば、両面粘着テープが液晶表示パネル側に貼着した状態で分離されると、バックライト筐体に再度新たな両面粘着テープを貼着しなければならない。また、両面粘着テープの破断や粘着剤の一部が脱落したり欠損したりすると、再組立の際にバックライト筐体から破断した両面粘着テープを除去したり、脱落や欠損した粘着剤の欠片を除去するためバックライト筐体の内部を清掃しなければならず、作業効率が大幅にダウンする。現実に、液晶表示モジュールを変形させて液晶表示パネルを分離する際に、液晶表示パネルのエッジ部分が粘着剤の表面を擦り、粘着剤層の一部を脱落させたり、欠損させたりするトラブルが生じている。
【0006】
このような問題に対し、液晶表示パネルを破損させることなくリペア作業を行うための両面粘着テープとして、液晶表示パネル側に接着する粘着剤層の接着力を、バックライト筐体側に接着する粘着剤層の接着力より低下させ、更に該粘着剤層の損失正接の値及びピーク温度が特定の範囲を持つ再剥離型両面粘着テープが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、実際に、特許文献1に記載の再剥離型両面粘着テープを用いると、リペア作業の際に液晶表示パネルは破壊されないが、バックライト筐体から両面粘着テープが剥がれてしまったり、プリズムシートがずれてしまったりするという問題が発生する。このようにバックライト筐体から再剥離型両面粘着テープがはずれてしまう等すると、再組立作業が円滑に行えないという問題があった。
【0008】
これを解決するためには、液晶表示パネル側の粘着剤層の接着力を更に低下させ、バックライト筐体側の粘着剤層の接着力との差を大きくすることが必要である。粘着剤層の接着力を低くするには、粘着剤の架橋度を増加させる手段が一般に用いられている。
しかしながら、単に粘着剤を過度に硬化させて接着力を低くすると、粘着剤が脆くなり過ぎ、リペア作業時に粘着剤が脱落したり、欠損したりして、バックライト筐体に粘着剤の欠片が残留してしまうという問題があった。また、このような過度に硬化させた粘着剤を用いた両面粘着テープは、額縁状に打ち抜き、液晶表示パネル用の再剥離型両面粘着テープに加工する際にも粘着剤の脱落や欠損が発生し、製品中に脱落した粘着剤の破片が混入してしまうという問題もあった。
【0009】
ところで、液晶表示パネル側の粘着剤層の接着力を更に低下させた再剥離型両面粘着テープで液晶表示パネルとバックライト筐体を固定した場合は、液晶表示モジュールを消費者が様々な状況において使用する際に、液晶表示パネルが両面粘着テープから剥離して機器本体から外れてしまう危険性がある。これを防ぐため、ベゼルのような把持部品等の物理的な固定方法を組み合わせる手段が採用されることもある。このような手段を用いた場合、液晶表示パネル側には粘着剤層は不要と思われる。しかしながら、実際には、液晶表示パネル側にも粘着剤層が無いと、液晶表示モジュールの組立工程中或いは運搬作業中にバックライト筐体に嵌め込んだ液晶表示パネルがずれてしまい、ベゼル等の手段による固定作業が円滑に行えないという問題があった。
【特許文献1】特開2003−268325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、上記現状に鑑み、液晶表示モジュールの液晶表示パネルと、バックライト筐体とを貼着する際に使用され、液晶表示パネルとバックライト筐体とを強固に粘着させることができる一方、これらを容易に剥離することができる液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、液晶表示モジュールの液晶表示パネルとバックライト筐体とを貼着する際に用いられる液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープであって、(メタ)アクリル系樹脂とガス発生剤とを含有する液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープである。
以下に本発明を詳述する。
【0012】
本発明の液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープ(以下、本発明の両面粘着テープともいう)は、感光性樹脂を含有する。
本発明の両面粘着テープは、(メタ)アクリル樹脂を含有する。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「テープ」とは、ある程度の広がりをもって形成された形状、すなわち、シート状の形状も含む概念である。
【0013】
上記(メタ)アクリル樹脂としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの単独重合体、又は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとこれと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体(以下、(メタ)アクリル系共重合体ともいう)であることが好ましい。
【0014】
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては特に限定されないが、アルキル基の炭素数が1〜12の1級又は2級アルコールと、アクリル酸又はメタクリル酸とのエステルが好適に用いられる。
このような(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、具体的には、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0015】
上記(メタ)アクリル樹脂が上記(メタ)アクリル系共重合体である場合、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーは、得られる(メタ)アクリル系共重合体を改質して凝集力を高めるために用いられるものであり、例えば、分子内に含有する官能基と外部架橋剤との架橋反応によりポリマー同士の網目形成に寄与するもの等が用いられる。
【0016】
上記分子内に含有する官能基と外部架橋剤との架橋反応によりポリマー同士の網目形成に寄与するビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−メチロールアクリルアミド等の水酸基含有モノマー;グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;酢酸ビニル、スチレン等の高ガラス転移温度(Tg)モノマー等が挙げられる。
【0017】
上記(メタ)アクリル系共重合体において、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量としては特に限定されないが、モノマー組成中70重量%以上を占めることが好ましい。70重量%未満であると、本発明の両面粘着テープの粘着力が不充分となることがある。より好ましい下限90重量%、より好ましい上限は99.9重量%である。
【0018】
また、上記(メタ)アクリル系共重合体において、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーが、上記分子内に含有する官能基と外部架橋剤との架橋反応によりポリマー同士の網目形成に寄与するビニルモノマーを有する場合、該分子内に含有する官能基と外部架橋剤との架橋反応によりポリマー同士の網目形成に寄与するビニルモノマーの含有量としては、好ましい下限が0.01重量%、好ましい上限が30重量%である。0.01重量%未満であると、上記ビニルモノマーを共重合させる効果が殆ど得られず、30重量%を超えると、本発明の両面粘着テープの粘着力が不充分となることがある。より好ましい下限は0.05重量%、より好ましい上限は10重量%である。
【0019】
本発明の両面粘着テープにおいて、上記(メタ)アクリル系樹脂の分子量としては特に限定されないが、重量平均分子量の好ましい下限は20万、好ましい上限は70万である。20万未満であると、再剥離時に粘着力が低下せず、再剥離テープとしての機能が不充分となり、70万を超えると、本発明の両面粘着テープの粘着力が不充分となることがある。
なお、本明細書において、上記重量平均分子量とは、分子の重量をもとにした分子量の平均値のことである。
【0020】
上記(メタ)アクリル樹脂は、例えば、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重合する方法、又は、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとこれと共重合可能なビニルモノマーとの混合物を共重合することにより得ることができる。重合方法としては特に限定されず、例えば、溶液重合(沸点重合、沸点未満重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、リビング重合等の公知の重合方法を用いることができる。
【0021】
本発明の両面粘着テープにおいて、上記(メタ)アクリル系樹脂の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は50重量%、好ましい上限は95重量%である。50重量%未満であると、本発明の両面粘着テープの粘着力が不充分となることがあり、95重量%を超えると、本発明の両面粘着テープの再剥離性が不充分となることがある。より好ましい下限は70重量%、より好ましい上限は90重量%である。
【0022】
本発明の両面粘着テープは、ガス発生剤を含有する。
上記ガス発生剤を含有することで、本発明の両面粘着テープは、通常は強粘着であるが刺激を与えることで、その粘着力を低下させることができ再剥離が可能となる。すなわち、本発明の両面粘着テープを用いて、液晶表示パネルとバックライト筐体との貼着を行った場合、刺激の付与により上記ガス発生剤から発生したガスが上記液晶表示パネルとバックライト筐体との界面に放出され、液晶表示パネルと両面粘着テープとの粘着面の少なくとも一部を剥離するこめ、液晶表示パネルを本発明の両面粘着テープから粘着剤層の残渣を生じることなく容易に剥離することができる。
【0023】
上記ガス発生剤としては特に限定されないが、例えば、アゾ化合物、アジド化合物等が好適に用いられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジサルフェイトジハイドロレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾイリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシアシル)−2−メチル−プロピオンアミダイン]、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミダイン]プロパン}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアンカルボニックアシッド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。これらのアゾ化合物は、光、熱等による刺激により窒素ガスを発生する。
【0024】
上記アジド化合物としては、例えば、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン、テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジド;3−アジドメチル−3−メチルオキセタンを開環重合することにより得られるグリシジルアジドポリマー等のアジド基を有するポリマー等が挙げられる。これらのアジド化合物は、特定の波長の光、熱、超音波及び衝撃等による刺激を与えることにより分解して、窒素ガスを発生する。
【0025】
これらのガス発生剤のうち、上記アジド化合物は衝撃を与えることによっても容易に分解して窒素ガスを放出することから、取り扱いが困難であるという問題がある。更に、上記アジド化合物は、いったん分解が始まると連鎖反応を起こして爆発的に窒素ガスを放出しその制御ができないことから、爆発的に発生した窒素ガスによって被着体が損傷することがあるという問題もある。このような問題から上記アジド化合物の使用量は限定されるが、限定された使用量では充分な効果が得られないことがある。一方、上記アゾ化合物は、アジド化合物とは異なり衝撃によっては気体を発生しないことから取り扱いが極めて容易である。また、連鎖反応を起こして爆発的に気体を発生することもないため被着体を損傷することもなく、光の照射を中断すれば気体の発生も中断できることから、用途に合わせた粘着性の制御が可能であるという利点もある。従って、上記ガス発生剤としては、アゾ化合物を用いることがより好ましい。
【0026】
上記ガス発生剤からガスを発生させる刺激としては特に限定されず、例えば、熱や光が挙げられる。
【0027】
また、上記ガス発生剤は、10時間半減期温度が80℃以上であることが好ましい。10時間半減期温度が80℃未満であると、本発明の両面粘着テープの製造時にキャストにより粘着剤層を成形して乾燥する際に発泡を生じてしまったり、経時的に分解反応を生じて分解残渣がブリードしてしまったり、経時的に気体を発生し、貼り合わせた液晶表示パネルとの界面に浮きを生じさせてしまったりすることがある。10時間半減期温度が80℃以上であれば、耐熱性に優れていることから、高温での使用及び安定した貯蔵が可能である。
【0028】
10時間半減期温度が80℃以上であるアゾ化合物としては、下記化学式(1)で表されるアゾアミド化合物等が挙げられる。下記化学式(1)で表されるアゾアミド化合物は、耐熱性に優れていることに加え、上記(メタ)アクリル樹脂への溶解性にも優れ、接着性物質中に粒子として存在しないものとすることができる。
【0029】
【化1】

【0030】
本発明の両面粘着テープにおいて、上記ガス発生剤に与える刺激の条件としては特に限定されないが、加熱処理の場合、好ましい温度の下限は80℃、好ましい上限は150℃であり、処理時間の好ましい下限は10分、好ましい上限は60分である。また、光照射の場合、照射する光の強度の好ましい下限は500mJ/cm、好ましい上限は1万mJ/cmである。
このような条件で上記ガス発生剤に刺激を与えることで、上記ガス発生剤からガスを充分に発生させ、上記液晶表示パネルと本発明の両面粘着テープとを高効率かつ均一に除去することができる。
【0031】
上記ガス発生剤の配合量としては特に限定されないが、上記(メタ)アクリル樹脂100重量部に対して、好ましい下限は5重量部、好ましい上限は50重量部である。5重量部未満であると、ガス発生量が不足し、所望の剥離性が得られないことがある。50重量部を超えると、溶解性が悪化し、ブリード等の不具合が発生することがある。
【0032】
本発明の両面粘着テープは、粘着物性の改善を目的として粘着付与剤を含有してもよい。
上記粘着付与剤としては、例えば、ロジン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、不均化ロジンエステル樹脂類、重合ロジンエステル、水添ロジン樹脂、水添ロジンエステル樹脂類、テルペンフェノール樹脂類、クマロンインデン樹脂、アルキルフェノール樹脂、石油樹脂類等が挙げられる。
【0033】
また、本発明の両面粘着テープは、架橋剤を含有してもよい。上記架橋剤を含有することにより、上記(メタ)アクリル系樹脂(上記粘着付与剤を含有する場合、更に該粘着付与剤)中に導入された官能基と反応し、ポリマー同士、又は、ポリマーと粘着付与剤の架橋構造が形成され凝集力が高められる。上記架橋剤としては特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。
【0034】
本発明の両面粘着テープは、必要に応じて、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料等の添加剤を含有してもよい。
【0035】
このような組成の本発明の両面粘着テープは、120℃、10分間加熱した後の粘着力が、加熱前の粘着力の50%以下であることが好ましい。50%未満であると、本発明の両面粘着テープを用いて貼着した液晶表示パネルとバックライト筐体とを剥離するのに長時間を要し、液晶表示パネルに糊残り等の不具合が生じることがある。より好ましくは30%以下である。
なお、本明細書において、上記粘着力とは、JIS Z0237に順ずる方法により、剥離速度300mm/minで180°方向のピール試験を行ったときの剥離力を意味する。
【0036】
本発明の両面粘着テープの構造としては特に限定されないが、例えば、支持フィルムの両面に上述した(メタ)アクリル樹脂及びガス発生剤等を含有する粘着剤層を形成したサポートタイプであってもよく、上述した(メタ)アクリル樹脂及びガス発生剤等を含有する粘着財層のみからなるノンサポートタイプであってもよい。
上記サポートタイプである場合、上記支持フィルムとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムや、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリクロロプレン、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等からなるシート状成形体等が挙げられる。
【0037】
また、本発明の両面粘着テープの厚さとしては特に限定されないが、上記サポートタイプである場合、支持フィルム上に形成する粘着剤層の厚さの好ましい下限は5μm、好ましい上限は100μmである。一方、上記ノンサポートタイプである場合、好ましい下限は10μm、好ましい上限は200μmである。上記範囲の下限未満であると、本発明の両面粘着テープを用いて液晶表示パネルとバックライト筐体とを充分に粘着させるとができないことがあり、上記範囲の上限を超えると、液晶表示モジュールが厚くなったり、液晶表示パネルを剥離したときに粘着剤層の一部が残渣として付着したりすることがある。
【0038】
本発明の両面粘着テープを用いれば、組立工程中或いは運搬作業中に液晶表示パネルがずれたり、容易に剥がれたりすることのないが、液晶表示モジュールのリペア作業においてバックライト筐体から液晶表示パネルを剥がす際には、容易に剥離することを可能にすることができる。
【0039】
本発明の両面粘着テープの製造方法としては特に限定されないが、例えば、従来公知の加熱プレス法、押し出し成形法等により製造することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、液晶表示モジュールの液晶表示パネルと、バックライト筐体とを貼着する際に使用され、液晶表示パネルとバックライト筐体とを強固に粘着させることができる一方、これらを容易に剥離することができる液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
(1)アクリルポリマーの調製
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器にて、n−ブチルアクリレート79g、2−エチルヘキシルアクリレート18g、アクリル酸3g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.1g、ドデカンチオール0.05g、及び、酢酸ビニルモノマー5gからなるモノマー混合物を酢酸エチル82gに溶解し、還流点において、重合開始剤としてパーオキシケタール(ジ(t−ヘキシルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、10時間半減期:90℃)0.01gを重合開始時に加え、パーオキシエステル(t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、10時間半減期:70℃)0.01gを0.5時間に加え、更に、パーオキシエステル(t−ヘキシルパーオキシピバレート、10時間半減期:50℃)0.78gを1時間〜4.5時間に適宜加え、アクリルモノマーを重合させた。残留モノマーを低減した後、更なる残留モノマー低減、及び、残留開始剤低減のために6.5時間反応させた(重合終期)。得られた溶液を冷却し、アクリル系共重合体溶液を得た。
【0043】
(2)両面粘着テープの作製
得られたアクリル系共重合体100重量部に対して、ガス発生剤(Vam−110、和光純薬社製)22重量部、粘着付与樹脂A(重合ロジンD−135、荒川化学社製)14重量部、粘着付与樹脂B(エステル化ロジンA−115、荒川化学社製)14重量部、イソシアネート化合物(トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物の酢酸エチル溶液;日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートL55E」、固形分55重量%)を表1に示した配合で加え、アクリル系粘着剤組成物を得た。
【0044】
得られたアクリル系粘着剤組成物を、厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなるフィルムの片面に、乾燥後の厚みが20μmになるように塗布し、110℃で5分間溶剤を完全に乾燥除去し、50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレータに貼り合わせた。次に、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレータの片面に、乾燥後の厚みが20μmになるように得られたアクリル系粘着剤組成物を塗布し、110℃で5分間溶剤を完全に乾燥除去したものを、厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなるフィルムの反対側に貼り合わせ、両面粘着テープを製造した。その後、23℃中で7日間養生した。
【0045】
(比較例1)
ガス発生剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)を加えなかった以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
【0046】
(評価)
実施例及び比較例で得られた両面粘着テープについて、下記の評価を行った。結果を表1に示した。なお、表1中、粘着力の単位はNである。
【0047】
(粘着力評価)
得られた両面粘着テープを25mm幅の短冊状に細切して、被着体(ステンレス板)に2kgゴムローラ1往復の荷重にて貼り合わせ、23℃で30分間放置した。その後、JIS Z0237に順ずる方法により、剥離速度300mm/minで180°方向のピール試験を行い、剥離力を測定した。
【0048】
(加熱粘着力評価)
得られた両面粘着テープを25mm幅の短冊状に細切して、被着体(ステンレス板)に2kgゴムローラ1往復の荷重にて貼り合わせ、23℃で30分間放置した後、120℃オーブンに10分間入れ、オーブンから取り出して23℃で10分放熱した。その後、JIS Z0237に順ずる方法により、剥離速度300mm/minで180°方向のピール試験を行い、剥離力を測定した。
【0049】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、液晶表示モジュールの液晶表示パネルと、バックライト筐体とを貼着する際に使用され、液晶表示パネルとバックライト筐体とを強固に粘着させることができる一方、これらを容易に剥離することができる液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示モジュールの液晶表示パネルとバックライト筐体とを貼着する際に用いられる液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープであって、(メタ)アクリル系樹脂とガス発生剤とを含有することを特徴とする液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープ。
【請求項2】
120℃、10分間加熱した後の粘着力が、加熱前の粘着力の50%以下であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープ。
【請求項3】
ガス発生剤は、アゾ化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶モジュール用再剥離可能型両面粘着テープ。
【請求項4】
アゾ化合物は、10時間半減期温度が80℃以上であることを特徴とする請求項3記載の液晶表示モジュール用再剥離可能型両面粘着テープ。

【公開番号】特開2008−115320(P2008−115320A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301705(P2006−301705)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】