説明

液晶表示装置およびそれを用いたヘッドアップディスプレイ

【課題】コストが安く、小型の、外光が一定方向のみに反射しない液晶表示装置と、それ
を用いたヘッドアップディスプレイを提供する。
【解決手段】液晶セル2と、前記液晶セル2の表面側に臨む開口部11が形成され、前記
開口部11の周辺に額縁部12が形成され、前記液晶セル2を覆い、樹脂からなる枠体3
と、前記液晶セル2の背面側に臨む開口20が形成され、前記液晶セル2を支持し、前記
枠体3に固定されたフレーム4と、前記開口20を介して、前記液晶セル2を照明する光
源6とを備え、前記枠体3の額縁部12の表面は、外光が乱反射される形状とされている
ものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置およびそれを用いたヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】

ヘッドアップディスプレイは車両のフロントガラスに速度やカーナビゲーションなどの
虚像を表示するものである。従来、この種のヘッドアップディスプレイは特許文献1に示
されている。この特許文献1の図1によると、液晶プロジェクタ1からの画像がスクリー
ン2に映写され、映写された画像が反射鏡3A,3Bと、風防ガラス4に反射される。こ
れにより観察者は風景に重畳して液晶プロジェクタ1の虚像を視認することができる。
【0003】
このヘッドアップディスプレイでは、ダイクロイックミラー等を有する液晶プロジェク
タを用いるため、コストが高く、かつ表示装置が大型化する欠点がある。この欠点を解消
するために、液晶プロジェクタではなく、画像を表示する液晶表示パネルにすることが考
えられた。このヘッドアップディスプレイは特許文献2に示されている。この特許文献2
の図1によると、液晶表示パネル19が車両のダッシュボード12の中に配設され、液晶
表示パネル19の液晶セル23がその後方に配置された発光ダイオード20により透過照
光される。透過照光された光が偏光部材25を通って凹面鏡30で拡大・反射され、ダッ
シュボード12の外に出射し、車両のフロントガラス13で反射する。これにより観察者
は風景に重畳して液晶パネル19の虚像を視認することができる。
【特許文献1】特開2005−82103号公報
【特許文献2】特開2005−315931号公報
【特許文献3】特開2005−345974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2には直接外光が液晶表示パネル19に入射することを防止するための遮光壁
17cが設けられている。しかしながら、外光は反射器16で反射されて液晶表示パネル
19を照射する経路もある。この経路を遮光すると虚像ができなくなるために、この経路
の遮光はできない。
【0005】
外光が反射器16で反射されて液晶表示パネル19に入射すると、外光が液晶セルのみ
でなく液晶セルを支持する枠体も照射する。このために枠体が明るくなり、虚像として観
察者が視認するという問題が生じる。外光が強いと白っぽい虚像になることがある。また
、枠体に光を反射しやすい表示ラベルが貼り付けられることがあるが、この表示ラベルも
明るくなって虚像として観察者が視認するという問題が生じる。更に、枠体近傍にはフレ
キシブルプリント基板があり、このフレキシブルプリント基板の枠体近傍にラベルが貼り
付けられても表示ラベルを虚像として観察者が視認するという問題が生じる。
【0006】
また、液晶表示パネルは温度が低いと転移時間が遅くなって表示の応答が遅くなるとい
う問題がある。特に車載は低温での使用が想定される。このために、ヒータを備えて液晶
パネルを昇温させることが考えられた(特許文献3参照)。しかしながら、極めて低温な
状態ではヒータだけでは不十分で、より効果的にパネルを暖める必要があった。
【0007】
それ故、本発明は、この様な従来の欠点を考慮して、コストが安く、小型の、外光が一
定方向に反射しない、液晶表示装置およびそれを用いたヘッドアップディスプレイを提供
する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の本発明では、液晶セルと、前記液晶セルの表面
側に臨む開口部が形成され、前記開口部の周辺に額縁部が形成され、前記液晶セルを覆い
、樹脂からなる枠体と、前記液晶セルの背面側に臨む開口が形成され、前記液晶セルを支
持し、前記枠体に固定されたフレームと、前記開口を介して、前記液晶セルを照明する光
源とを備え、前記枠体の額縁部の表面は、光が乱反射される形状とされている。
【0009】
請求項2の本発明では、前記枠体において、前記開口部は、表面側に行く程、大きくな
る様に傾斜面が形成され、前記傾斜面は、光が乱反射される形状とされている。
【0010】
請求項3の本発明では、前記額縁部の表面および前記傾斜面は、シボ加工による乱反射
面が形成されている。
【0011】
請求項4の本発明では、1端が前記液晶セルの縁部近傍に接続され、他端およびその近
傍が前記枠体および前記フレームの外側に露出されたFPCが設けられ、露出された前記
FPCの所定の部分の上に表示ラベルが貼られている。
【0012】
請求項5の本発明では、液晶セルを背面側から支持するフレームの材質を金属にする。
【0013】
請求項6の本発明によるヘッドアップディスプレイでは、請求項1ないし請求項5のい
ずれか1つに記載された液晶表示装置と、前記液晶表示装置による表示像の進行方向を変
更する光学部品と、前記光学部品による前記表示像を反射させて、虚像を表示するコンバ
イナとを設けた。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の様に、枠体の額縁部の表面は、光が乱反射される形状とされているので、外
光が一定方向のみに反射される事を防止できる。このように乱反射されれば、反射鏡は小
さいので、コンバイナ(フロントガラス)へ向かう再射光の量が少なくなり、額縁部の虚
像の視認が減少する。
【0015】
請求項2の様に、枠体の傾斜面は、光が乱反射される形状とされているので、この傾斜
面において、外光が一定方向のみに反射される事を防止できる。
【0016】
請求項3の様に、額縁部の表面および傾斜面はシボ加工されているので、これらの表面
は、不規則な凹凸パターンが形成されている。その結果、これらの表面において、外光は
確実に乱反射され、一定方向のみに反射される事を防止できる。なお、艶消し塗装でも乱
反射の効果があるが、シボは金型をシボ処理すればよいので製作工程数は増加せず、大量
生産では艶消し塗装より安価である。
【0017】
請求項4の様に、露出されたFPCの所定の部分の上に、表示ラベルが貼られるので、
上記所定の部分を外光に当たらない位置に配置する事により、外光が表示ラベルにより一
定方向のみに反射されることを防止できる。なお、従来では、枠体の額縁部上に表示ラベ
ルを貼っていたので、外光は、この表示ラベルにより、一定方向のみに反射され、表示ラ
ベルを虚像として観察者が視認するという問題があった。
【0018】
フレームを乱反射処理する必要があるときは、板金加工ではシボ加工はできず、乱反射
のための艶消し処理は高価となるので、フレームをシボの樹脂にした方がよい。しかしな
がら、フレームは液晶セルの背面側に配設されるために外光が射光せず、乱反射の処理を
する必要がないので樹脂でなくてもよい。そこで、請求項5の様に、フレームの材質を熱
伝導率が高い金属にすることで、バックライトの熱と暖かいダッシュボードの熱を液晶パ
ネルに早く伝導することができる。これによりヒータに加えた昇温効果となり、液晶パネ
ルがより早く昇温する。液晶表示パネルが昇温すると転移時間が早くなって表示の応答が
早くなる。特に、車両の暖房の立上がり時に有効である。
【0019】
請求項6の様に、ヘッドアップディスプレイにおいて、枠体の額縁部の表面および傾斜
面は、外光により乱反射され、一定方向のみに反射されない。その結果、外光による反射
光の中で、光学部品と、コンバイナを介して、観察者に到達するものは、極めて少ない。
それ故、従来の様に、額縁部の虚像が視認されることがなく、明瞭な虚像が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、実施例及び図面を用いて詳細に説明す
る。以下の実施例は、本発明の技術思想を具体化するための液晶表示装置の一例を例示す
るものである。本発明は、特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく、種々の
変更を行ったものにも、均しく適用し得る。
【実施例】
【0021】
以下、図1ないし図6に従い、本実施例に係る液晶表示装置1を説明する。図1は液晶
表示装置1の正面図である。図2は図1のA1−A2断面図、図3は図1のB視図、図4
は図1のC1−C2断面図である。図5は液晶表示装置1に用いられる枠体の斜視図、図
6は液晶表示装置1に用いられるフレームの斜視図である。
【0022】
これらの図において、液晶表示装置1は、液晶セル2と、枠体3と、フレーム4と、F
PC5と、光源6等から構成されている。
【0023】
図2と図4に示す様に、液晶セル2は、第1絶縁基板7と、第2絶縁基板8と、第1偏
光板9と、第2偏光板10等から構成されている。
【0024】
第1絶縁基板7と第2絶縁基板8とはシール剤(図示せず)によって基板周辺で貼り合
わせられるとともに、両基板とシール剤によってできた空間には液晶(図示せず)が入れ
られている。
【0025】
第1絶縁基板7上には、R,G,Bの各カラーフィルタが形成され、それらの間にはブ
ラックマトリクスが形成されている。これらの層の上には、共通電極(共に図示せず)が
形成されている。
【0026】
第2絶縁基板8に背面には、マトリクス状に複数の走査電極と信号電極が形成されてい
る。各走査電極と各信号電極の交点近傍には、各TFTと各画素電極(共に図示せず)が
形成されている。
【0027】
各TFTのソースは各信号電極に接続され、各TFTのゲートは各走査電極に接続され
各TFTのドレインは各画素電極に接続されている。
【0028】
第1偏光板9は第1絶縁基板7の背面に固定されている。第2偏光板10は第2絶縁板
8の表面に固定されている。上記部品7,8,9,10等により、液晶セル2は構成され
ている。液晶セル2(正確には、第2絶縁基板8)は表面側から見て、矩形に形成されて
いる。
【0029】
FPC5は可撓性基板であり、1端が液晶セル2の縁部近傍に接続され(図2参照)、
各走査電極および各信号電極に電気的接続されている。
【0030】
枠体3は樹脂(プラスチック)からなる。枠体3は、液晶セル2の表面側に臨む開口部
11が形成されている。開口部11の周辺には、額縁部12が形成されている。
【0031】
枠体3において、開口部11は、表面側に行く程、大きくなる様に、傾斜面13a,1
3b,13c,13dが形成されている(図1、図2、図4参照)。
【0032】
図5に示す様に、枠体3は開口部11を有し、実質的に箱状に形成されている。箱を形
成する4つの側部14a,14b,14c,14dにおいて、各々が離れて位置し、共に
内側に突出する複数のリブ15a,15b,15c,15d,15e,15f,15g,
15hが形成されている。
【0033】
額縁部12の背面と、開口部11との間に、段部16が形成されている(図5参照)。
段部16は断面視して見れば(図2、図4参照)、額縁部12よりも肉薄に形成されてい
る。
【0034】
図5に示す様に、枠体3の1つの側部14cにおいて、背低部17が形成されている。
図1に示す様に、枠体3は表面側から見て、部分的に傾斜した傾斜部18が形成されてい
る。
【0035】
図5に示す様に、枠体3に形成された各側部14a,14b,14c,14dには、外
側に突出した突出部19a,19b,19c,19d,19e,19f,19gが形成さ
れている。
【0036】
この枠体3の特徴的な構成として、額縁部12の表面と、傾斜面13a,13b,13
c,13dは共に、光が乱反射される形状とされている。
【0037】
この額縁部12の表面と、傾斜面13a〜13dには後述の凹面鏡102と平面鏡10
1で反射された外光が照射される。そこで、枠体3の色は反射を防止するために黒色とな
っている。しかしながら、表面が光沢となっていれば一方向に反射するので、外光が照射
される額縁部12の表面と、傾斜面13a〜13dが乱反射するようにシボ加工する。乱
反射させる方法としては艶消し塗装を追加する方法もあるが、大量生産では金型にシボ処
理を施して製作工程数を増加させないシボの方が安価となる。以上の部分により、枠体3
は構成されている。
【0038】
液晶セル2を構成する第2絶縁基板8の4つの側面は、枠体3に形成された複数のリブ
15a〜15hに各々当接しており、このことにより液晶セル2は枠体3に収納される。
即ち、枠体3は液晶セル2を覆っている。
【0039】
フレーム4は例えば、ステンレス板等の金属からなる。フレーム4は、液晶セル2の背
面側に臨む開口20が形成されている(図6参照)。フレーム4は金属であり、熱伝導率
が高い。このために、ダッシュボードの熱や後述の光源6の熱を液晶セル2に伝導して昇
温させやすい。液晶セル2が昇温すると転移時間が早くなって表示の応答が早くなる。
【0040】
図6に示す様に、フレーム4は開口20を有し、実質的に箱状に形成されている。箱を
形成する複数の側部21a,21b,21c,21d,21eにつながって、支持部22
が形成されている。
【0041】
フレーム4は、枠体3の傾斜部18に沿う様に、表面側から見て、部分的に傾斜した傾
斜部分23が形成されている。傾斜部分23は、側部でもある。側部21c,21dの間
に、平坦部24が形成されている。この部分には、側部が形成されていない。
【0042】
側部21aは孔25aが形成され、側部21bは孔25b,25cが形成されている。
側部21cは孔25dが形成され、側部21dは孔25eが形成されている。側部21e
は、孔25f,25gが形成されている。以上の部分により、フレーム4は構成されてい
る。
【0043】
光源6は、例えば、導光板と、複数のLEDと、回路基板と、反射シート(共に図示せ
ず)等から構成されている。複数のLEDは、1側が回路基板に固定され、他側は導光板
に形成された各凹部に収納されている。
【0044】
導光板の各側面と底面を覆う様に、反射シートが設けられている。この構成により、各
LEDから出射された光は、導光板を通り、反射シートで反射され、フレーム4の開口2
0を介して、液晶セル2の背面側を照明する。以上の部品により、液晶表示装置1は構成
されている。
【0045】
次に、再び、図1ないし図6に従って、液晶表示装置1が組み立てられた状態を説明す
る。
【0046】
フレーム4に形成された支持部22の上と、平坦部24の上に、液晶セル2(正確には
、第1絶縁基板7の背面)は載置されている(図2、図4参照)。即ち、フレーム4は液
晶セル2を支持している。
【0047】
液晶セル2を覆って、枠体3が配置されている。枠体3に形成された突出部19a,1
9b,19c,19d,19e,19f,19gは各々、フレーム4に形成された孔25
a,25b,25c,25d,25e,25f,25gに挿入され、固定されている(図
2、図3参照)。この様にして、フレーム4は枠体3に固定されている。
【0048】
FPC5は、1端が液晶セル2の縁部近傍に接続されている(図2参照)。FPC5の
他端およびその近傍は、枠体3およびフレーム4の外側に露出されて位置している(図1
参照)。
【0049】
図1において、露出されたFPC5の所定の部分の上に、表示ラベル26が貼られてい
る。表示ラベル26は例えば、紙類またはプラスチックフィルム等からなり、その裏面に
接着材が設けられている。
【0050】
表示ラベル26には例えば、液晶表示装置1の型番や、ロットNOが表示されている。
FPC5の1端近傍は、枠体3に形成された背低部17と、フレーム4に形成された平坦
部24との隙間に位置する様に、配置されている。
【0051】
光源6は、接着材等により、フレーム4の背面側に固定されている。または、光源6は
支持体(図示せず)により支持され、その支持体は、フレーム4に固定されても良い。以
上の部品により、液晶表示装置1は組み立てられている。
【0052】
次に、この液晶表示装置1の特徴を、以下にまとめる。第1の特徴として、液晶セル2
が設けられている。液晶セル2の表面側に臨む開口部11が形成され、開口部11の周辺
に額縁部12が形成され、液晶セル2を覆い、樹脂からなる枠体3が設けられている。液
晶セル2の背面側に臨む開口20が形成され、液晶セル2を支持し、枠体3に固定された
フレーム4が設けられている。開口20を介して、液晶セル2を照明する光源6が設けら
れている。枠体3の額縁部12の表面は、外光が乱反射される形状とされている。
【0053】
第2の特徴として、枠体3において、開口部11は、表面側に行く程、大きくなる様に
傾斜面13a,13b,13c,13dが形成され、前記傾斜面13a〜13dは、外光
が乱反射される形状とされている。
【0054】
第3の特徴として、額縁部12の表面および傾斜面13a〜13dは、シボ加工による
乱反射面が形成されている。
【0055】
第4の特徴として、1端が液晶セル2の縁部近傍に接続され、他端およびその近傍が枠
体3およびフレーム4の外側に露出されたFPC5が設けられている。露出されたFPC
5の所定の部分の上に表示ラベル26が貼られている。
【0056】
第5の特徴として、枠体3は、開口部11を有し、実質的に箱状に形成されている。箱
を形成する複数の側部14a〜14dにおいて、各々が離れて位置し、共に内側に向かっ
て突出する複数のリブ15a〜15hが形成されている。各リブ15a〜15hが、液晶
セル2の各側面に当接する事により、液晶セル2は枠体3に収納されている。
【0057】
更に、第6の特徴として、枠体3の1つの側部14cにおいて、背低部17が形成され
ている。フレーム4の側部21c,21dにおいて、平坦部24が形成されている。液晶
セル2の縁部近傍において、1端が接続されたFPC5が設けられている。この1端から
離れた位置にあるFPC5の所定の部分は、背低部17と平坦部24との隙間に位置して
、配置されている。
【0058】
第7の特徴として、枠体3は表面側から見て、部分的に傾斜した傾斜部18が形成され
ている。フレーム4は枠体3に沿う様に、表面側から見て、部分的に形成された、傾斜部
分23が形成されている。
【0059】
次に、主に図7に従い、この液晶表示装置1を用いたヘッドアップディスプレイ107
を説明する。ヘッドアップディスプレイ107は、液晶表示装置1と、光学部品108と
コンバイナ103等からなる。
【0060】
液晶表示装置1を構成するFPC5は例えば、カーナビゲーション本体(図示せず)に
接続されている。上記本体は液晶表示装置1に対し例えば、地図による、自動車の進むべ
き進行方向を示す矢印(図7参照)を示す表示信号を送信したとする。
【0061】
光学部品108は例えば、平面鏡101と、凹面鏡102等からなる。光学部品108
は、液晶表示装置1による表示像(例えば、矢印のこと)の進行方向を変更し、集光する
ものである。
【0062】
コンバイナ103は例えば、自動車のフロントガラスに取り付けてある半透過のもので
ある。コンバイナ103は、光学部品108から入って来る表示像を反射させ、観察者1
04に到達させる。
【0063】
観察者104は、コンバイナ103を介して、前方視野内に表示される虚像105を見
ることができる。
【0064】
観察者104は、運転中に、通常、水平線109以下に視線を合わせて、遠方の物体を
観察している。従って、虚像105の位置は、水平線よりも、少し、下目に設定した方が
良い。この様にして、観察者104は、自動車の進むべき進行方向を、虚像105にて視
認する事ができる。
【0065】
この時、外光106(太陽光)は、図7に示した方向にて進入したとする。外光106
は、コンバイナ103を通り、凹面鏡102と、平面鏡101にて反射され、液晶表示装
置1に到達する。
【0066】
上記到達光は、液晶表示装置1の額縁部12の表面および傾斜面13a〜13dに設け
られた乱反射面により、色々な角度にて反射される。
【0067】
その結果、上記反射光の中で、平面鏡101、凹面鏡102、コンバイナ103を介し
て、観察者104に到達する量は、極めて少なくなる。
【0068】
それ故、従来の様に、額縁部12の虚像105が視認される事がなく、明瞭な虚像10
5が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施例に係る液晶表示装置1の正面図である。
【図2】図1のA1−A2断面図である。
【図3】図1のB視図である。
【図4】図1のC1−C2断面図である。
【図5】液晶表示装置1に用いられる枠体3の斜視図である。
【図6】液晶表示装置1に用いられるフレーム4の斜視図である。
【図7】ヘッドアップディスプレイの模式図である。
【符号の説明】
【0070】
2 液晶セル
3 枠体
4 フレーム
6 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セルと、前記液晶セルの表面側に臨む開口部が形成され、前記開口部の周辺に額縁
部が形成され、前記液晶セルを覆い、樹脂からなる枠体と、前記液晶セルの背面側に臨む
開口が形成され、前記液晶セルを支持し、前記枠体に固定されたフレームと、前記開口を
介して、前記液晶セルを照明する光源とを備え、前記枠体の額縁部の表面は、光が乱反射
される形状とされている事を特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記枠体において、前記開口部は、表面側に行く程、大きくなる様に傾斜面が形成され
、前記傾斜面は、光が乱反射される形状とされている事を特徴とする請求項1の液晶表示
装置。
【請求項3】
前記額縁部の表面および前記傾斜面は、シボ加工による乱反射面が形成されている事を
特徴とする請求項2の液晶表示装置。
【請求項4】
1端が前記液晶セルの縁部近傍に接続され、他端およびその近傍が前記枠体および前記
フレームの外側に露出されたFPCが設けられ、露出された前記FPCの所定の部分の上
に表示ラベルが貼られている事を特徴とする請求項1の液晶表示装置。
【請求項5】
前記フレームの材質は金属である事を特徴とする請求項1の液晶表示装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載された液晶表示装置と、前記液晶表示装
置による表示像の進行方向を変更する光学部品と、前記光学部品による前記表示像を反射
させて、虚像を表示するコンバイナとを設けた事を特徴とするヘッドアップディスプレイ


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−219489(P2007−219489A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295533(P2006−295533)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】