説明

液晶表示装置およびヘッドアップディスプレイ

【課題】液晶表示装置の構成が複雑になるのを抑制しながら、黒色を表示することが可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】この液晶表示装置(フィールドシーケンシャル液晶表示装置100)は、液晶234と液晶234に電圧を印加する画素電極232および共通電極233を含む画素23と、マトリクス状に配置される複数の画素23が設けられる表示部2と、LED27a〜27cとを備え、LED27a〜27cが順番に発光する発光に応じて、画素23の共通電極233に印加される電圧の大きさを変化させることにより、液晶234に印加される電圧を調整するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置およびヘッドアップディスプレイに関し、特に、複数の光源が順番に発光するフィールドシーケンシャル駆動の液晶表示装置およびヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の光源が順番に発光するフィールドシーケンシャル駆動の液晶表示装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、赤(R)、緑(G)および青(B)のそれぞれのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、逆ガンマ補正回路およびガンマ補正回路を含み、デジタル信号の強度レベルを変換するレベル補正回路とを備えた液晶表示装置が開示されている。ところで、応答速度の速いベンド配向セルを用いた場合、ベンド配向セルは、液晶に印加する電圧と透過率との関係が照射光の波長によって異なるという特性がある。このため、たとえば黒を表示しようとして一定の電圧を液晶に印加しても、照射光の波長によって透過率が異なるので、本来の黒色を表示できないという不都合があった。そこで、上記特許文献1では、レベル補正回路(逆ガンマ補正回路およびガンマ補正回路)によりRGBのデジタル信号の強度レベルをRGBごとに変換し、液晶に印加する電圧をRGBごとに異ならせることによって、目標の透過率または反射率を実現している。
【0004】
【特許文献1】特開2002−148584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の液晶表示装置では、RGBのデジタル信号の補正を逆ガンマ補正回路の処理とガンマ補正回路の処理との複数の処理によって行っているので、液晶表示装置の構成が複雑になるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、液晶表示装置の構成が複雑になるのを抑制しながら、黒色を表示することが可能な液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の第1の局面による液晶表示装置は、液晶と液晶に電圧を印加する画素電極および共通電極を含む画素と、マトリクス状に配置される複数の画素が設けられる表示部と、複数の光源とを備え、複数の光源が順番に発光する発光に応じて、画素の共通電極に印加される電圧の大きさを変化させることにより、液晶に印加される電圧を調整するように構成されている。
【0008】
この第1の局面による液晶表示装置では、上記のように、画素の共通電極に印加される電圧の大きさを変化させることにより、画素の黒電圧を調整することによって、画素の共通電極に印加される電圧の大きさを変化させるという1つの処理だけで画素の黒電圧を調整するので、複数の処理を行う場合と異なり、液晶表示装置の構成が複雑になるのを抑制しながら、黒色を表示することができる。また、たとえば、赤色、緑色および青色の光源を有する場合、各色の黒電圧を調整することにより、黒が表示される部分を確実に黒色に表示することができる。
【0009】
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、画素の共通電極に印加される電圧の大きさは、複数の光源の色ごとに変化され、複数の光源の色ごとの画素の透過率が最小になる黒表示の透過率が略等しくなるように調整されるように構成されている。このように構成すれば、透過する複数の光源の光量が略同じになるので、たとえば、複数の光源の色を赤、緑および青にすることにより、黒色を表示することができる。
【0010】
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、共通電極に印加される電圧は、パルス状である。このように構成すれば、画素電極に印加する電圧を共通電極に印加する電圧の逆極性のパルス状にすることにより、共通電極に印加される電圧のパルスと同じ振幅の電圧により液晶表示装置を駆動することができる。これにより、共通電極に印加される電圧が直流の場合のように共通電極に印加される電圧を挟んでプラス側とマイナス側に画素電極に電圧を印加する場合と異なり、画素電極に印加する電圧のパルスの振幅が小さくなるので、液晶表示装置の消費電力を小さくすることができる。
【0011】
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、液晶は、液晶を相転移させる電圧を印加した後に液晶の構成分子が弓なり状に配列されるベンド配向になるように構成されている。このように構成すれば、弓のしなりによって液晶分子の配向の変化が加速されるので、応答速度の速い液晶表示装置を構成することができる。
【0012】
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、画素は、発光する光源が切り替わるごとに画素の共通電極に印加される電圧を切り替えることによって液晶に印加される電圧の極性が切り替わる反転駆動である。このように構成すれば、液晶に印加される電圧の方向が発光する光源が切り替わるごとに変化するので、液晶の焼きつきを抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、複数の光源が発光する色は、それぞれ、赤、緑および青のうちから選択された互いに異なる色である。このように構成すれば、赤、緑および青の色を表示するとともに、赤、緑および青の加法混色により、様々な色を表示することができる。
【0014】
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、画素の画素電極に印加される電圧の大きさは、複数の光源の色ごとに変化され、複数の光源の色ごとの画素の最大透過率が略等しくなるように調整されるように構成されている。このように構成すれば、透過する複数の光源の光量が略同じになるので、たとえば複数の光源の色を赤、緑および青にすることにより、白色を表示することができる。
【0015】
この場合、好ましくは基準電圧が印加され、デジタルの映像信号をアナログの映像信号に変換するとともに、画素電極に電圧を印加する第1回路と、基準電圧を生成する電源および第1回路の間に配置される第2回路とをさらに備え、共通電極に印加される電圧を基準電圧に加えることにより、画素電極に印加される電圧の大きさを変化させるように構成されている。このように構成すれば、共通電極に印加される電圧によって、容易に、画素電極に印加される電圧の大きさを変化させることができる。
【0016】
上記第1回路と第2回路とを備える液晶表示装置において、好ましくは、第2回路は、非反転増幅器から構成されている。このように構成すれば、共通電極に印加される電圧を第2回路に接続される基準電圧に加えることにより、容易に、第2回路から出力される電圧を大きくすることができる。
【0017】
ヘッドアップディスプレイは、請求項1〜12のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備える。このように構成すれば、液晶表示装置の構成が複雑になるのを抑制しながら、黒色を表示することが可能なヘッドアップディスプレイを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるフィールドシーケンシャル液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。図2は、本発明の第1実施形態による画素の構成を示す図である。まず、図1および図2を参照して、第1実施形態によるフィールドシーケンシャル液晶表示装置100の構造について説明する。なお、第1実施形態では、液晶表示装置の一例であるフィールドシーケンシャル液晶表示装置100に本発明を適用した場合について説明する。
【0020】
第1実施形態によるフィールドシーケンシャル液晶表示装置100は、図1に示すように、駆動部1と表示部2とから構成されている。以下、詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、駆動部1は、A/Dコンバータ11と、PLL(位相同期)回路12と、メモリ制御部13と、メモリ14と、アナログドライバ15と、タイミング制御回路16と、レベル変換回路17と、RGBトランスミッタ18と、LED制御回路19と、共通電極ドライバ20と、マイコン部21とから構成されている。
【0022】
A/Dコンバータ11と、PLL回路12と、メモリ制御部13とは接続されている。A/Dコンバータ11は、アナログのビデオ信号をR(赤)G(緑)B(青)のデジタル信号に変換する機能を有する。また、PLL回路12は、水平同期信号からメモリ14に書き込むクロックを生成するとともに、フィールドシーケンシャル駆動に必要なクロックを生成する機能を有する。また、メモリ制御部13は、RGBのデジタル信号に変換されたビデオ信号をRGBごとにメモリ14に格納するタイミング信号を生成するとともに、フィールドシーケンシャル駆動に必要な呼び出しのタイミング信号を生成する機能を有する。
【0023】
また、A/Dコンバータ11とメモリ14とは、接続されている。また、メモリ制御部13とメモリ14とは、接続されている。メモリ14は、RGBのデジタル信号を記憶する機能を有する。
【0024】
また、メモリ14とアナログドライバ15とは、接続されている。アナログドライバ15は、RGBのデジタル信号をRGBのアナログ信号に変換するとともに、RGBのアナログ信号を表示部2に供給する機能を有する。
【0025】
また、タイミング制御回路16は、メモリ14と、レベル変換回路17と、RGBトランスミッタ18と、LED制御回路19とに接続されている。タイミング制御回路16は、後述する画素23を駆動する信号を生成する機能を有する。レベル変換回路17は、画素23を駆動するためのパルス(水平・垂直コントロール信号、フィールドシーケンシャル駆動用コントロール信号)を生成する機能を有する。RGBトランスミッタ18は、共通電極ドライバ20に接続されており、赤(R)、緑(G)および青(B)の画像の信号ごとに、後述する共通電極233に印加する電圧の信号を共通電極ドライバ20に送信する機能を有する。また、共通電極ドライバ20は、共通電極233に印加する電圧を決定し、画素23へ供給する機能を有する。また、LED制御回路19は、フィールドシーケンシャル駆動のタイミングに合せて後述するLED27の発光および発光の停止を制御する機能を有する。
【0026】
また、マイコン部21は、駆動部1に含まれる全ての回路と接続されており、駆動部1全体の動作を制御する機能を有している。
【0027】
また、図1に示すように、表示部2は、基板22と、複数の画素23と、複数の画素23に接続されるHドライバ24およびVドライバ25と、Hドライバ24およびVドライバ25を駆動する内部駆動回路26と、LED27とから構成されている。なお、LED27は、本発明の「光源」の一例である。ここで、第1実施形態では、LED27は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)を発光するLED27a〜27cから構成されている。
【0028】
また、図2に示すように、基板22上には、複数の信号線31と、複数の走査線32とが互いに直交するように配置されている。信号線31は、Hドライバ24に接続されているとともに、走査線32は、Vドライバ25に接続されている。信号線31と走査線32とが交差する位置には、画素23が配置されている。なお、図2には、簡素化のために4画素分の構成のみを示している。各々の画素23は、nチャネルトランジスタ231と、画素電極232と、画素電極232に対向配置された共通電極233と、画素電極232と共通電極233との間に挟持された液晶234と、補助容量235とによって構成されている。ここで、第1実施形態では、液晶234は、液晶234を相転移させる電圧を印加した後に液晶234の構成分子が弓なり状に配列されるベンド配向になるOCB(Optically Compensated Bend)液晶である。そして、nチャネルトランジスタ231のドレイン領域Dは、信号線31に接続されているとともに、ソース領域Sは、画素電極232と補助容量235の一方の電極とに接続されている。また、nチャネルトランジスタ231のゲートGは、走査線32に接続されている。
【0029】
図3は、本発明の第1実施形態によるフィールドシーケンシャル液晶表示装置の反転駆動の動作を説明するための図である。図4および図5は、本発明の第1実施形態による共通電極および画素電極に印加される電圧を示す波形図である。図6は、本発明の第1実施形態による液晶に印加される電圧と透過率との関係を表す図である。次に、図1および図3〜図6を用いて、本発明の第1実施形態によるフィールドシーケンシャル液晶表示装置100の動作について説明する。
【0030】
まず、図1に示すように、アナログのビデオ信号がA/Dコンバータ11に入力されるとともに、アナログのビデオ信号がRGBのデジタル信号に変換される。また、水平・垂直同期信号がPLL回路12に入力される。また、メモリ制御部13によって生成された、赤色、緑色および青色の信号ごとにメモリ14に格納するタイミング信号にしたがって、RGBのデジタル信号が、メモリ14に格納される。
【0031】
また、タイミング制御回路16により、RGBの画像データの書込みのタイミング、および、LED27の発光のタイミング信号が生成される。このタイミング制御回路16によって生成されたタイミング信号に基づいて、水平・垂直コントロール信号およびフィールドシーケンシャル駆動用コントロール信号がレベル変換回路17を介して、表示部2に供給される。また、RGBトランスミッタ18によって、共通電極233(図2参照)に印加される電圧の信号が共通電極ドライバ20に送信される。なお、第1実施形態では、共通電極233に印加される電圧の大きさは、赤(R)、緑(G)および青(B)の画像データごとに異なる。そして、共通電極ドライバ20によって、共通電極233に印加される電圧が表示部2に供給される。また、LED制御回路19によって、フィールドシーケンシャル駆動のタイミングに合せてLED27の発光の制御が行われる。
【0032】
また、第1実施形態では、図3に示すように、マトリクス状に配置される画素23の共通電極233(図2参照)には、行ごとに印加される電圧の極性が正(+)電圧と負(−)電圧とに異なるライン反転駆動が行われる。また、第1実施形態では、図4に示すように、共通電極233に印加される電圧は、パルス状である。共通電極233に印加される電圧は、高い電圧(High)と低い電圧(Low)とが交互に繰り返される。また、低い電圧(Low)は、接地(GND)の電圧である。また、画素電極232に印加される電圧も、パルス状である。また、共通電極233に印加される電圧が高い電圧(High)から低い電圧(Low)に反転するのに伴って、画素電極232に印加される電圧も反転する。なお、画素電極232に印加される電圧と共通電極233に印加される電圧との差が、最大になる電圧が黒電圧である。また、画素電極232に印加される電圧と共通電極233に印加される電圧との差が、最小になる電圧が白電圧である。
【0033】
また、図6に示すように、OCB液晶では、液晶234に印加される電圧(画素電極232に印加される電圧と共通電極233に印加される電圧との差)を大きくすることにより、初期の分子配列であるスプレイ配向から、液晶の構成分子が弓なり状に配列されるベンド配向へと変化する。なお、OCB液晶では、液晶234に印加される電圧と、画素23の透過率との関係は、赤(R)、緑(G)および青(B)の光によってそれぞれ異なっている。図6に示す例では、液晶234に印加される電圧が4Vの場合、青(B)、緑(G)および赤(R)の順に透過率が小さくなってゆく。
【0034】
ここで、第1実施形態では、画素23の透過率が最小になる電圧を黒電圧とする。図6に示すように、赤(R)、緑(G)および青(B)の黒電圧は、赤(R)、緑(G)および青(B)の順に大きくなっている。そして、黒を表示しようとして所定の電圧を液晶234に印加しても、赤(R)、緑(G)および青(B)の黒電圧が異なることにより、赤(R)、緑(G)および青(B)の光の透過率が異なるので、黒が表示されなくなる。
【0035】
そこで、第1実施形態では、図5に示すように、赤(R)の色の画像の表示する場合の共通電極233に印加される電圧を図4に示す場合よりも、パルスの振幅が大きくなるように変化させる。つまり、高い電圧(High)側により大きく、低い電圧(Low)側により小さく変化させる。これにより、黒電圧(画素電極232に印加される電圧と共通電極233に印加される電圧との差が最大になる電圧)が変化する。また、図示しないが、緑(G)の色の画像の表示する場合の共通電極233に印加される電圧を図4と図5に示すパルスの振幅の間の大きさ変化させる。なお、図4は、青(B)の色の画像の表示する場合の共通電極233に印加される電圧である。そして、赤(R)の黒電圧を大きくすることにより、図6に示す赤(R)の黒電圧が、青(B)側に移動する。同様に、緑(G)の黒電圧を大きくすることにより、図6に示す緑(G)の黒電圧が、青(B)側に移動する。そして、第1実施形態では、赤(R)、緑(G)および青(B)の黒電圧が略等しくなるように調整される。
【0036】
次に、表示部2に黒色の画像が表示される場合のフィールドシーケンシャル液晶表示装置100の動作について説明する。
【0037】
まず、図3に示すマトリクス状に配置される画素23の奇数行目(1ライン目、3ライン目・・・)の画素23の共通電極233には、正(+)電圧が印加される。また、マトリクス状に配置される画素23の偶数行目(2ライン目、4ライン目・・・)の画素23の共通電極233には、負(−)電圧が印加される。そして、アナログドライバ15からの信号により、表示部2の画素23に赤色画像が順次書き込まれる。その後、赤色のLED27aが発光される。
【0038】
次に、マトリクス状に配置される画素23の奇数行目の画素23の共通電極233には、負(−)電圧が印加される。また、マトリクス状に配置される画素23の偶数行目の画素23の共通電極233には、正(+)電圧が印加される。そして、アナログドライバ15からの信号により、表示部2の画素23に緑色画像が順次書き込まれる。その後、緑色のLED27bが発光される。
【0039】
次に、マトリクス状に配置される画素23の奇数行目の画素23の共通電極233には、正(+)電圧が印加される。また、マトリクス状に配置される画素23の偶数行目の画素23の共通電極233には、負(−)電圧が印加される。そして、アナログドライバ15からの信号により、表示部2の画素23に青色画像が順次書き込まれる。その後、青色のLED27cが発光される。上記の動作を繰り返すことにより、フィールドシーケンシャル液晶表示装置100が駆動される。
【0040】
図7および図8は、本発明の第1実施形態による液晶表示装置を用いたヘッドアップディスプレイを説明するための図である。次に、図7および図8を参照して、本発明の第1実施形態による液晶表示装置100を用いたヘッドアップディスプレイ400について説明する。
【0041】
本発明の第1実施形態による液晶表示装置100は、図7に示すように、ヘッドアップディスプレイ400に用いることが可能である。液晶表示装置100は、被表示体(たとえば、自動車のフロントガラスなど)401に表示光L1を投射することが可能なように所定の装置に装着されている。具体的には、液晶表示装置100は、表示部2とLED27とを含み、表示部2は、LED27と凹面鏡402との間に配置されている。そして、液晶表示装置100から出射される表示光L1は、LED27からの光L2が表示部2に入射されることによって生成される。また、液晶表示装置100から出射される表示光L1は、凹面鏡402により被表示体401側に反射されて被表示体401に投射される。なお、上記した液晶表示装置100および凹面鏡402は、表示光L1を透過させるための窓部403aを有するケース403の内部に収納されている。このような車載用のヘッドアップディスプレイ400は、図8に示すように、自動車の運転に必要な情報表示(たとえば、方向指示、車間距離、走行距離、各種警告情報、道路情報や道案内情報、人や物等の障害物情報など)に用いられる。なお、背景の色は黒色である。そして、本発明の液晶表示装置100は、黒色が表示される表示装置であるため、このようなヘッドアップディスプレイ400に好適な液晶表示装置とすることができる。
【0042】
第1実施形態では、上記のように、画素23の共通電極233に印加される電圧の大きさを変化させることにより、画素23の黒電圧を調整することによって、画素23の共通電極233に印加される電圧の大きさを変化させるという1つの処理だけで画素23の黒電圧を調整するので、複数の処理を行う場合と異なり、液晶表示装置100の構成が複雑になるのを抑制しながら、黒色を表示することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、画素23の共通電極233に印加される電圧の大きさを、複数のLED27a〜27cの色ごとに変化させ、複数のLED27a〜27cの色ごとの画素23の透過率が略等しくなるように調整することによって、透過する複数のLED27a〜27cの光量が略同じになるので、赤色のLED27a、緑色のLED27bおよび青色のLED27cにより、黒色を表示することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、共通電極233に印加される電圧と画素電極232に印加する電圧とを、パルス状にすることによって、共通電極233に印加される電圧のパルスと同じ振幅の電圧により液晶表示装置100を駆動することができる。これにより、共通電極233に印加される電圧が直流の場合のように、共通電極233に印加される電圧を挟んでプラス側とマイナス側に画素電極232に電圧を印加する場合と異なり、画素電極232に印加する電圧のパルスの振幅が小さくなるので、液晶表示装置100の消費電力を小さくすることができる。
【0045】
また、第1実施形態では、上記のように、液晶234を、液晶234を相転移させる電圧を印加した後に液晶234の構成分子が弓なり状に配列されるベンド配向になるように構成することによって、弓のしなりによって液晶分子の配向の変化が加速されるので、応答速度の速い液晶表示装置100を構成することができる。
【0046】
また、第1実施形態では、上記のように、表示部2の駆動を、発光するLED27が切り替わるごとに画素23の共通電極233に印加される電圧の極性が切り替わる反転駆動にすることによって、液晶234に印加される電圧の方向が発光するLED27が切り替わるごとに変化するので、液晶234の焼きつきを抑制することができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、LED27が発光する色を、それぞれ、赤、緑および青のうちから選択された互いに異なる色にすることによって、赤、緑および青の色を表示するとともに、赤、緑および青の加法混色により、様々な色を表示することができる。
【0048】
また、第1実施形態では、上記のように、複数の光源をLED27から構成することによって、容易に、赤、緑および青の光源を形成することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態によるフィールドシーケンシャル液晶表示装置の白電圧を変化させるための回路図である。図9を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、黒電圧を変化させるとともに、白電圧も変化させるフィールドシーケンシャル液晶表示装置100aについて説明する。
【0050】
この第2実施形態によるフィールドシーケンシャル液晶表示装置100aは、図9に示すように、アナログドライバ15と、アナログドライバ15用の基準電圧を生成する電源41との間に非反転増幅器42が配置されている。なお、アナログドライバ15は、本発明の「第1回路」の一例である。また、電源41と非反転増幅器42の入力端子の一方(+)とは、抵抗43を介して接続されている。また、非反転増幅器42の出力側は、アナログドライバ15と接続されている。また、共通電極ドライバ20には、+側の電圧を生成する回路と−側の電圧を生成する回路とから構成されており、共通電圧信号がそれぞれの回路に入力されている。また、共通電極ドライバ20の出力側には、スイッチ44が配置され、共通電極ドライバ20の+側の電圧を生成する回路または−側の電圧を生成する回路の一方と接続するように構成されている。そして、スイッチ44を介して、共通電圧が共通電極233に印加されるように構成されている。ここで、第2実施形態では、共通電極ドライバ20の+側の電圧を生成する回路から出力される電圧が、抵抗45を介して非反転増幅器42の入力端子の一方(+)に印加されるように構成されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0051】
次に、図4〜図6および図9を参照して、フィールドシーケンシャル液晶表示装置100aの動作について説明する。
【0052】
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、図5に示すように、共通電極233に印加される電圧を図4に示す場合よりも、パルスの振幅が大きくなるように変化させる。つまり、高い電圧(High)側により大きく、低い電圧(Low)側により小さく変化させる。これにより、黒電圧(画素電極232に印加される電圧と共通電極233に印加される電圧との差が最大になる電圧)が変化する。たとえば、赤(R)の黒電圧を大きくすることにより、図6に示す赤(R)の黒電圧が、青(B)側に移動する。同様に、緑(G)の黒電圧を大きくすることにより、図6に示す緑(G)の黒電圧が、青(B)側に移動する。そして、赤(R)、緑(G)および青(B)の黒電圧が略等しくなるように調整される。このとき、白電圧(画素電極232に印加される電圧と共通電極233に印加される電圧との差が最小になる電圧)も大きくなる方向に変化する。つまり、図6に示す赤(R)および緑(G)の白電圧も、高い電圧側に移動する。なお、第2実施形態では、画素23の透過率が最大になる電圧を白電圧とする。そして、白電圧が移動することにより、白電圧では、透過率が最大にならなくなる。ここで、第2実施形態では、図9に示すように、共通電極ドライバ20の+側の電圧を生成する回路から出力される電圧を、抵抗45を介して非反転増幅器42の入力端子の一方(+)に印加する。これにより、非反転増幅器42によって、アナログドライバ15に印加される電圧も大きくなり、画素電極232に印加される電圧も大きくなる。その結果、画素電極232と共通電極233との間の電圧の差が小さくなり、白電圧が小さくなる。これにより、画素23の透過率が最大になる電圧に白電圧が調節される。ここで、第2実施形態では、画素23の画素電極232に印加される電圧の大きさを、LED27a〜27cの色ごとに変化させ、LED27a〜27cの色ごとの画素23の透過率が略等しくなるように調整される。
【0053】
なお、第2実施形態のその他の動作は、上記第1実施形態と同様である。
【0054】
第2実施形態では、上記のように、画素の共通電極233に印加される電圧の大きさを変化させることにより、画素23の黒電圧を調整した状態で、画素電極232に印加される電圧を変化させることにより、画素23の白電圧を調整することによって、LED27a〜27cの色の透過率が略同じになるように白電圧を調整することができるので、黒色とともに白色も表示することができる。
【0055】
また、第2実施形態では、上記のように、白電圧は、画素23の透過率が最大になる電圧であり、画素23の画素電極232に印加される電圧の大きさは、LED27a〜27cの色ごとに変化させ、LED27a〜27cの色ごとの画素23の透過率が略等しくなるように調整することによって、透過するLED27a〜27cの光量が略同じになるので、赤のLED27c、緑のLED27bおよび青のLED27cにより、白色を表示することができる。
【0056】
また、第2実施形態では、上記のように、共通電極233に印加される電圧を基準電圧に加えることにより、画素電極232に印加される電圧の大きさを変化させることによって、容易に、画素電極232に印加される電圧の大きさを変化させることができる。
【0057】
また、第2実施形態では、上記のように、非反転増幅器42を用いることによって、共通電極233に印加される電圧を非反転増幅器42に接続される基準電圧に加えることにより、容易に、非反転増幅器42から出力される電圧を大きくすることができる。
【0058】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0059】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0060】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、光源としてLEDを用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、有機ELのような他の発光体を用いてもよい。
【0061】
また、上記第1および第2実施形態では、赤、緑および青の色の光を発光するLEDを用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、シアン、マゼンダおよびイエローの色の光を発光するLEDを用いてもよい。これにより、減法混色により、容易に、カラー画像を表示することができる。
【0062】
また、上記第1および第2実施形態では、液晶に印加する電圧(画素電極に印加する電圧と共通電極に印加する電圧との差)を大きくするように変化させる例を示したが、本発明はこれに限らず、液晶に印加する電圧を小さくするように変化させてもよい。
【0063】
また、上記第1および第2実施形態では、液晶表示装置の駆動としてライン反転駆動を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、ライン反転駆動以外の、たとえばドット反転駆動を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態によるフィールドシーケンシャル液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態による画素の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるフィールドシーケンシャル液晶表示装置の反転駆動の動作を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態による共通電極および画素電極に印加される電圧を示す波形図である。
【図5】本発明の第1実施形態による共通電極および画素電極に印加される電圧を示す波形図である。
【図6】本発明の第1実施形態による液晶に印加される電圧と透過率との関係を表す図である。
【図7】本発明の第1実施形態による液晶表示装置を用いたヘッドアップディスプレイを説明するための図である。
【図8】本発明の第1実施形態による液晶表示装置を用いたヘッドアップディスプレイを説明するための図である。
【図9】本発明の第2実施形態によるフィールドシーケンシャル液晶表示装置の白電圧を変化させるための回路図である。
【符号の説明】
【0065】
2 表示部
15 アナログドライバ(第1回路)
23 画素
27 LED(光源)
27a LED(光源)
27b LED(光源)
27c LED(光源)
41 電源
42 非反転増幅器(第2回路)
232 画素電極
233 共通電極
234 液晶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶と前記液晶に電圧を印加する画素電極および共通電極を含む画素と、
マトリクス状に配置される複数の前記画素が設けられる表示部と、
複数の光源とを備え、
前記複数の光源が順番に発光する発光に応じて、前記画素の前記共通電極に印加される電圧の大きさを変化させることにより、前記液晶に印加される電圧を調整するように構成されている、液晶表示装置。
【請求項2】
前記画素の前記共通電極に印加される電圧の大きさは、前記複数の光源の色ごとに変化され、前記複数の光源の色ごとの前記画素の透過率が最小になる黒表示の透過率が略等しくなるように調整されるように構成されている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記共通電極に印加される電圧は、パルス状である、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶は、前記液晶を相転移させる電圧を印加した後に前記液晶の構成分子が弓なり状に配列されるベンド配向になるように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記画素は、前記発光する前記光源が切り替わるごとに前記画素の前記共通電極に印加される電圧を切り替えることによって前記液晶に印加される電圧の極性が切り替わる反転駆動である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記複数の光源が発光する色は、それぞれ、赤、緑および青のうちから選択された互いに異なる色である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記画素の前記画素電極に印加される電圧の大きさは、前記複数の光源の色ごとに変化され、前記複数の光源の色ごとの前記画素の最大透過率が略等しくなるように調整されるように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
基準電圧が印加され、デジタルの映像信号をアナログの映像信号に変換するとともに、前記画素電極に電圧を印加する第1回路と、
前記基準電圧を生成する電源および前記第1回路の間に配置される第2回路とをさらに備え、
前記共通電極に印加される電圧を前記基準電圧に加えることにより、前記画素電極に印加される電圧の大きさを変化させるように構成されている、請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第2回路は、非反転増幅器から構成されている、請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備える、ヘッドアップディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−175297(P2009−175297A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12207(P2008−12207)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】