説明

液晶表示装置の製造方法

【課題】液晶パネルの表示品位および強度が劣化するのを抑制することを手間をかけるこ
となく可能とする液晶表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】この液晶パネル(液晶表示装置)100aの製造方法は、複数の液晶パネル
100aに対応した部分を有する対向基板1およびTFT基板2を貼り合わせて、貼り合
わせ基板100を形成する真空貼り合わせ工程S17と、貼り合わせ基板100に偏光板
7および8を貼り付ける偏光板貼付工程S21と、偏光板7および8を複数の液晶パネル
100aに対応した部分に分断する偏光板分断工程S22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の製造方法に関し、特に、液晶表示装置に設けられる配向膜を
ラビング法により配向処理する液晶表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置に設けられる配向膜をラビング法により配向処理する液晶表示装置
の製造方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の液晶表示装置の製造方法では、対向基板(第1基板)およびア
クティブマトリクス基板(第2基板)に貼り付ける配向膜をラビング法により配向処理し
ている。また、配向処理後の配向膜は、第1基板および第2基板の互いに対向する表面に
形成されている。そして、第1基板および第2基板の配向膜が形成されている側同士を貼
り合わせ、第1基板と第2基板との間に液晶が封入される。その後、予め所定の大きさに
分割された状態の偏光板を第1基板および第2基板の表面に順次貼り付けることにより、
液晶パネルが形成される。
【0004】
【特許文献1】特開2000−221461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の液晶表示装置では、偏光板を予め液晶パネルに
対応した所定の大きさに分断してから、貼り付けるため、液晶パネル毎にアライメントマ
ークを設けて、位置合わせをする必要があり、精度良く貼り合わせるには非常に手間がか
かるという問題がある。また、偏光軸を測定して切断する時および偏光板を液晶パネルに
貼り付ける時の両方で誤差が発生し、この誤差により液晶パネルのコントラスト低下や色
付きという、表示品位の劣化という問題がある。さらに、偏光板を予め所定の大きさに分
割し、その後、基板の表面に順次貼り付けているため、液晶パネルとなる基板の表面に傷
がつきやすいという不都合がある。その結果、基板の表面についた傷により液晶パネルの
表示品位および液晶パネルの強度が劣化するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つ
の目的は、液晶パネルの表示品位および強度が劣化するのを抑制することを手間をかける
ことなく可能とする液晶表示装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による液晶表示装置の製造方法は、複数の液晶パネルに対応した部
分を有する第1基板および第2基板を貼り合わせて、貼り合わせ基板を形成する工程と、
貼り合わせ基板に偏光板を貼り付ける工程と、偏光板を複数の液晶パネルに対応した部分
に分断する工程とを備える。
【0008】
この発明の一の局面による液晶表示装置の製造方法では、上記のように、貼り合わせ基
板に偏光板を貼り付ける工程と、偏光板を複数の液晶パネルに対応した部分に分断する工
程とを備えることによって、偏光板を予め所定の大きさに分断してから個々に基板の表面
に貼り付ける場合と異なり、偏光板を基板に貼り付けた後に偏光板と基板とを所定の大き
さに分断するので、液晶パネル毎に偏光板の位置合わせをする手間を省くことができると
ともに、偏光板を基板に貼り付ける際に発生する基板表面の傷を抑制することができる。
さらに、偏光軸を測定して切断した偏光板を液晶パネル毎に貼り付ける場合と異なり、切
断時の誤差、貼り付け時の誤差の両方を持つことがないので、貼り付け誤差を減らすこと
ができる。これにより、液晶パネルの表示品位および液晶パネルの強度が劣化するのを抑
制することができる。
【0009】
上記一の局面による液晶表示装置の製造方法において、好ましくは、偏光板を貼り付け
る工程に先立って、偏光板の偏光軸方位を検査する工程をさらに備え、偏光板を貼り付け
る工程は、偏光軸方位を検査する工程の検査結果に基づいて、偏光板を貼り合わせ基板に
貼り付ける工程を含む。このように構成すれば、偏光板を貼り合わせ基板に貼り合わせる
際に、偏光軸方位を検査する工程の検査結果に基づいて貼り付けられるので、基板に対す
る偏光板の偏光軸方位のばらつきを抑制することができる。これにより、表示パネルのコ
ントラストの低下を抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による液晶表示装置の製造方法において、好ましくは、第1基板に形成さ
れた第1配向膜および第2基板に形成された第2配向膜と、液晶とのうち少なくとも一方
の配向方位を検査する工程をさらに備え、配向方位を検査する工程の検査結果に基づいて
、配向膜のラビング処理方法を補正する工程をさらに備える。このように構成すれば、配
向方向の検査結果を配向膜のラビング処理方法にフィードバックすることができるので、
配向膜または液晶の配向方位のばらつきを抑制することができる。これにより、表示パネ
ルのコントラストの低下をより抑制することができる。
【0011】
上記一の局面による液晶表示装置の製造方法において、好ましくは、貼り合わせ基板を
形成する工程に先立って、第1基板に形成された第1配向膜および第2基板に形成された
第2配向膜のラビング処理が行われた後に、第1配向膜および第2配向膜の配向方位を検
査する工程をさらに備え、偏光板を貼り付ける工程は、第1配向膜および第2配向膜の配
向方位を検査する工程の検査結果に基づいて、偏光板を貼り合わせ基板に貼り付ける工程
を含む。このように構成すれば、容易に、第1配向膜および第2配向膜の配向方位に対す
る偏光板の偏光軸方位を一定に保つことができる。
【0012】
この場合、好ましくは、第1配向膜および第2配向膜の配向方位を検査する工程の後、
貼り合わせ基板を形成する工程に先立って、第1基板および第2基板のうち少なくとも一
方に液晶を滴下する工程をさらに備える。このように構成すれば、第1配向膜および第2
配向膜を検査した後に液晶を滴下してから、第1基板と第2基板とを貼り合わせるので、
第1基板と第2基板とを貼り合わせた貼り合わせ基板に偏光板が貼られた状態で、液晶を
注入する必要がなくなるので、液晶パネルに付着した液晶を洗浄することによって偏光板
にダメージを与えることを抑制することができる。
【0013】
上記第1配向膜および第2配向膜の配向方位を検査する工程を備える液晶表示装置の製
造方法において、好ましくは、第1配向膜および第2配向膜の配向方位を検査する工程は
、基板に設けられている位置決め用アライメントマークを基準に第1配向膜および第2配
向膜の配向方位を検査する工程を含む。このように構成すれば、容易に、第1配向膜およ
び第2配向膜の配向方位を検出することができるとともに、偏光板を貼り付ける際にも基
準とするアライメントマークを基準としているので精度良く貼り付けることができる。
【0014】
上記一の局面による液晶表示装置の製造方法において、好ましくは、貼り合わせ基板を
形成する工程の後、液晶の配向方位を検査する工程をさらに備え、偏光板を貼り付ける工
程は、液晶の配向方位を検査する工程の検査結果に基づいて、偏光板を貼り合わせ基板に
貼り付ける工程を含む。このように構成すれば、容易に偏光板を液晶の配向方位に対して
所定の位置に貼り付けることができる。
【0015】
この場合、好ましくは、貼り合わせ基板を形成する工程に先立って、第1基板および第
2基板のうち少なくとも一方に液晶を滴下する工程をさらに備え、液晶の配向方位を検査
する工程は、貼り合わせ基板を形成する工程の後に実行する。このように構成すれば、液
晶を滴下する工程により容易に液晶を封入することができるとともに、貼り合わせ基板に
液晶が封入された状態で配向方位を検査できるため、より簡単な方法で貼り合わせ基板の
液晶の配向方位を検査することができる。
【0016】
上記一の局面による液晶表示装置の製造方法において、好ましくは、偏光板を分断する
工程の後に、貼り合わせ基板を個々の液晶パネルとなる部分に分断する工程をさらに備え
る。このように構成すれば、基板を分断するためのカッターに偏光板の粘着材などが付着
することがない。よって、貼り合わせ基板の分断工程に先立って偏光板を分断することに
より、基板を分断するためのカッターに偏光板の粘着材などが付着することなく、分断工
程における分断品位の劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1〜図3は、本発明の第1実施形態による液晶表示装置の全体構成を示す図である。
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態による液晶パネル100aについて
説明する。なお、液晶パネル100aは、本発明の「液晶表示装置」の一例である。
【0019】
第1実施形態による液晶パネル100aは、図1〜図3に示すように、対向基板1bと
TFT基板2bとが互いに所定の間隔を隔てて対向するように配置されている。TFT基
板2bは、画素トランジスタを構成するTFT(薄膜トランジスタ)が形成された基板で
あり、対向基板1bは、TFT基板2bに対して対向するように配置される基板である。
なお、対向基板1bは、本発明の「第1基板」または「第2基板」の一例であり、TFT
基板2bは、本発明の「第2基板」または「第1基板」の一例である。また、対向基板1
bとTFT基板2bとは、所定の間隔を隔てて対向した状態でシール3により、貼り合わ
されている。また、対向基板1bとTFT基板2bとの間には、液晶4が充填されている
。また、対向基板1bの液晶4と接する面には、ラビング処理(配向処理)が施された配
向膜5aが形成されている。また、TFT基板2の液晶4と接する面にもラビング処理が
施された配向膜6aが形成されている。この配向膜5aおよび6aは、ポリイミドからな
る。また、対向基板1bの液晶4と接しない側の表面には、偏光板7aが貼り付けられて
いる。また、TFT基板2bの液晶4と接しない側の表面には、偏光板8aが貼り付けら
れている。
【0020】
図4は、本発明の第1実施形態による液晶パネルの製造プロセスを説明するためのフロ
ー図である。図5〜図8は、配向膜の配向方位を検査する工程を説明するための図である
。図9〜図12は、対向基板とTFT基板とを貼り合わせる工程を説明するための図であ
る。図13〜図16は、貼り合わせ基板に偏光板を貼り付ける工程を説明するための図で
ある。次に、図4〜図16を参照して、本発明の第1実施形態による液晶パネル100a
の製造プロセスについて説明する。
【0021】
まず、本発明の第1実施形態による液晶パネル100aの製造プロセスは、図4および
図5に示すように、ラビング工程S11により、大型の対向基板1の表面上に形成された
配向膜5のラビング処理を行う。なお、配向膜5は、本発明の「第1配向膜」の一例であ
る。このラビング処理は、液晶4を所定の方向に配向させるための処理である。また、図
5に示すように、大型の対向基板1の四隅には、4つの位置決め用のアライメントマーク
1aが設けられている。また、対向基板1は、後述する工程で複数の対向基板1bに分割
可能なように構成されている。また、図4および図6に示すように、TFT基板2側も同
様に、ラビング工程S11により、大型のTFT基板2の表面上に形成された配向膜6の
ラビング処理を行う。なお、配向膜6は、本発明の「第2配向膜」の一例である。また、
図6に示すように、大型のTFT基板2の四隅には、4つの位置決め用のアライメントマ
ーク2aが設けられている。また、TFT基板2は対向基板1と同様に、後述する工程で
複数のTFT基板2bに分割可能なように構成されている。
【0022】
次に、第1実施形態では、図4、図7および図8に示すように、配向膜配向方位検査工
程S12により、対向基板1の配向膜5およびTFT基板2の配向膜6の配向膜配向方位
検査を行う。配向膜配向方位検査工程S12では、まず、図7に示すように、XYθステ
ージ31の表面上に大型の対向基板1を載置する。この対向基板1の上方には、カメラ3
2を2個以上配置する。このカメラ32により、対向基板1の端面と対向基板1のアライ
メントマーク1aとの角度のずれを検出する。具体的には、カメラ32により撮影された
画像を画像処理することによって対向基板1の端面を認識させるとともに、アライメント
マーク1a間を結ぶアライメントマーク基準線を認識させる。これにより、第1実施形態
では、対向基板1の端面を基準にして、対向基板1の端面とアライメントマーク1a間を
結ぶアライメントマーク基準線との角度のずれが検出される。また、TFT基板2の配向
膜6についても同様の検査を行う。
【0023】
次に、図8に示すように、XYθステージ31上に載置された大型の対向基板1の上方
に2つの無回転の偏光素子33と、レーザ光源34と、受光素子35とを配置する。この
後、一方の偏光素子33側のレーザ光源34から対向基板1の方向に向かってレーザ光を
照射し、他方の偏光素子33側の受光素子35でレーザ光を受光する。この時、偏光素子
33は回転せずに、XYθステージ31は所定の方向に回転する。これにより、対向基板
1のアライメントマーク1aのアライメントマーク基準線を基準にして、対向基板1の配
向膜5aの配向方位角度が検出される。また、TFT基板2の配向膜6についても同様の
検査を行う。
【0024】
この後、上述したカメラ32を用いた検査と、偏光素子33を用いた検査とから、対向
基板1の端面を基準にした配向方位角度が算出される。また、TFT基板2の配向膜6に
ついても同様の算出を行う。第1実施形態では、この算出結果を上述したラビング工程S
11にフィードバックさせ、ラビング処理方法が補正される。このフィードバックにより
、基板端面とアライメントマーク基準線との角度ずれが小さくなるように補正される。
【0025】
次に、図4に示すように、ラビング後洗浄工程S13により、対向基板1およびTFT
基板2の洗浄を行う。このラビング後洗浄工程S13により、対向基板1およびTFT基
板2に付着したラビング処理時のゴミなどを洗浄する。
【0026】
次に、シール塗布工程S14により、図9に示すように、対向基板1側の複数の液晶パ
ネル100a(図1参照)となる部分毎にシール3を環状に塗布する。次に、図4に示す
ように、導通材塗布工程S15により、TFT基板2側に導通材(図示せず)を塗布する
。なお、シール塗布工程S14と導通材塗布工程S15とを入れ替えて、シール塗布工程
S14をTFT基板2に対して行い、導通材塗布工程S15を対向基板1に対して行って
もよい。
【0027】
次に、第1実施形態では、図4および図9に示すように、液晶滴下工程S16により、
大型のTFT基板2の分断後にTFT基板2bに対応した部分毎に液晶4を滴下する。こ
の液晶滴下工程S16には、ODF(液晶滴下貼り合わせ方式)を適用する。なお、液晶
滴下工程S16は、TFT基板2側に液晶4を滴下せずに、対向基板1側の対向基板1b
に対応した部分毎に液晶4を滴下してもよい。
【0028】
次に、第1実施形態では、図4および図10〜図13に示すように、真空貼り合わせ工
程S17により、複数の液晶パネル100aに対応した部分を有する大型の対向基板1と
大型のTFT基板2とを真空中で貼り合わせることによって、貼り合わせ基板100を形
成する。この後、貼り合わせ基板100を大気開放する。これにより、貼り合わせ基板1
00は、貼り合わせ基板100の真空が保持されている内側と、外側の大気圧との差圧に
より加圧される。その結果、対向基板1とTFT基板2との間に所定のセルギャップが形
成される。
【0029】
次に、図4に示すように、UV照射(シール硬化)工程S18により、貼り合わせ基板
100に対して平面的にUV(紫外線)を照射する。これにより、基板に塗布したシール
3を硬化させることによって、対向基板1とTFT基板2との接着を強固にする。
【0030】
次に、図4に示すように、加熱(シール硬化・液晶等方性処理)工程S19により、貼
り合わせ基板100の加熱処理を行う。これにより、基板に塗布したシール3をさらに硬
化させることによって、対向基板1とTFT基板2との接着をより強固にする。これと同
時に、対向基板1とTFT基板2との間に充填されている液晶4の等方性処理(配向処理
)が行われ、液晶4が所定の方向に配向される。
【0031】
次に、第1実施形態では、図4に示すように、偏光板軸検査工程S20により、偏光板
7および8(図13参照)の軸方位検査を行う。偏光板軸検査工程S20では、まず、偏
光軸方位が既知である基準になる偏光板を準備する。次に、基準になる偏光板の上方また
は下方に検査する偏光板を配置する。そして、基準になる偏光板および検査する偏光板の
下方から光を照射する。この照射した光が偏光板を透過する光の強度を観察する。この透
過した光の強度が最大になった場合は、基準の偏光板の偏光軸と検査する偏光板の偏光軸
とが一致していると判断する。また、透過した光の強度が最小になった場合は、基準の偏
光板の偏光軸と検査する偏光板の偏光軸とが90度ずれていると判断する。このように偏
光板を透過する光の強度を用いて、検査する偏光板の軸方位が判断されるとともに、軸方
位と偏光板の端面との角度のずれが算出される。
【0032】
次に、第1実施形態では、図4および図13〜図16に示すように、偏光板貼付工程S
21により、貼り合わせ基板100の対向基板1側に偏光板7を貼り付け、TFT基板2
側に偏光板8を貼り付ける。具体的には、最初に対向基板1側の中心と偏光板7の中心と
を合わせる。次に、対向基板1と偏光板7との端面を基準にして、上述した配向膜配向方
位検査工程S12および偏光板軸検査工程S20により検出した配向方位データ(角度)
および軸方位データ(角度)に基づいて偏光板7が回転される。これにより、貼り合わせ
基板100の配向方位と偏光板7の軸方位とが所定の角度に設定された状態で貼り合わさ
れる。なお、TFT基板2側に偏光板8を貼り付ける工程も対向基板1側に偏光板7を貼
り付ける工程と同様の工程により行う。
【0033】
次に、第1実施形態では、図4に示すように、偏光板分断工程S22により、偏光板7
および8を個々の液晶パネル100aとなる部分に分断する。その後、スクライブブレイ
ク工程S23により、貼り合わせ基板100の対向基板1およびTFT基板2を個々の液
晶パネル100aとなる部分に分断する。これにより、所定の大きさの複数の液晶パネル
100a(図1参照)が形成される。
【0034】
次に、図4に示すように、パネルクリーニング工程S24により、液晶パネル100a
のクリーニングを行う。このパネルクリーニング工程S24では、上述した工程により液
晶パネル100aの表面などに付着したガラスの切りくずやゴミなどを吸引または吹き飛
ばすことによりクリーニングを行う。その後、パネル検査工程S25により、液晶パネル
100aが正常に製造されたか否かを検査し、正常に製造されていると判断された場合は
、図1〜図3に示した液晶パネル100aが完成される。
【0035】
第1実施形態では、上記のように、貼り合わせ基板100に偏光板7および8を貼り付
ける偏光板貼付工程S21と、偏光板7および8を複数の液晶パネル100aに対応した
部分に分断する偏光板分断工程S22とを備えることによって、偏光板7および8を予め
所定の大きさに分断してから個々に貼り合わせ基板100の表面に貼り付ける場合と異な
り、偏光板7および8を貼り合わせ基板100に貼り付けた後に偏光板7および8と貼り
合わせ基板100とを所定の大きさに分断するので、液晶パネル100a毎に偏光板7お
よび8の位置合わせをする手間を省くことができるとともに、偏光板7および8を貼り合
わせ基板100に貼り付ける際に発生する貼り合わせ基板100表面の傷を抑制すること
ができる。さらに、偏光軸を測定して切断した偏光板7および8を液晶パネル100a毎
に貼り付ける場合と異なり、切断時の誤差、貼り付け時の誤差の両方を持つことがないの
で、貼り付け誤差を減らすことができる。これにより、液晶パネル100aの表示品位お
よび液晶パネル100aの強度が劣化するのを抑制することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、上記のように、偏光板7および8を貼り付ける偏光板貼付工
程S21を、偏光軸方位を検査する偏光板軸検査工程S20の検査結果に基づいて、偏光
板7および8を貼り合わせ基板100に貼り付ける偏光板貼付工程S21を含むことによ
って、偏光板7および8を貼り合わせ基板100に貼り合わせる際に、偏光軸方位を検査
する偏光板軸検査工程S20の検査結果に基づいて貼り付けられるので、貼り合わせ基板
100に対する偏光板の偏光軸方位のばらつきを抑制することができる。これにより、表
示パネル100aのコントラストの低下を抑制することができる。
【0037】
また、第1実施形態では、上記のように、配向方位を検査する配向膜配向方位検査工程
S12の検査結果に基づいて、配向膜5および6のラビング処理方法を補正する工程をさ
らに備えることによって、配向方向の検査結果を配向膜5および6のラビング処理方法に
フィードバックすることができるので、配向膜5および6または液晶4の配向方位のばら
つきを抑制することができる。これにより、表示パネル100aのコントラストの低下を
より抑制することができる。
【0038】
また、第1実施形態では、上記のように、偏光板7および8を貼り付ける偏光板貼付工
程S21を、配向膜5および6の配向方位を検査する配向膜配向方位検査工程S12の検
査結果に基づいて、偏光板7および8を貼り合わせ基板100に貼り付ける偏光板貼付工
程S21を含むことによって、容易に、配向膜5および6の配向方位に対する偏光板7お
よび8の偏光軸方位を一定に保つことができる。
【0039】
また、第1実施形態では、上記のように、対向基板1およびTFT基板2のうち少なく
とも一方に液晶4を滴下する液晶滴下工程S16を備えることによって、配向膜5および
6を検査した後に液晶4を滴下してから、対向基板1およびTFT基板2を貼り合わせる
ので、対向基板1およびTFT基板2を貼り合わせた貼り合わせ基板100に偏光板7お
よび8が貼られた状態で、液晶4を注入する必要がなくなるので、液晶パネル100aに
付着した液晶4を洗浄することによって偏光板7および8にダメージを与えることを抑制
することができる。
【0040】
また、第1実施形態では、上記のように、配向膜5および6の配向方位を検査する配向
膜配向方位検査工程S12は、対向基板1またはTFT基板2にそれぞれ設けられている
位置決め用アライメントマーク1aまたは2aを基準に配向膜5および6の配向方位を検
査する配向膜配向方位検査工程S12を含むことによって、容易に、配向膜5よび6の配
向方位を検出することができるとともに、偏光板7および8を貼り付ける際にも基準とす
るアライメントマーク1aまたは2aを基準としているので精度良く貼り付けることがで
きる。
【0041】
また、第1実施形態では、上記のように、偏光板7および8を分断する偏光板分断工程
S22を備えることによって、基板を分断するためのカッターに偏光板の粘着材などが付
着することがない。よって、貼り合わせ基板100のスクライブブレイク工程S23に先
立って偏光板7および8を分断することにより、基板を分断するためのカッターに偏光板
の粘着材などが付着することなくスクライブブレイク工程S23における分断品位の劣化
を抑制することができる。
【0042】
(第2実施形態)
図17は、本発明の第2実施形態による液晶パネルの製造プロセスを示すフロー図であ
る。図17を参照して、この第2実施形態では、上記した第1実施形態と異なり、加熱(
シール硬化・液晶等方性処理)工程S19の後に、液晶配向方位検査工程S12aを行う
場合について説明する。
【0043】
この第2実施形態による液晶パネル100aの製造プロセスでは、加熱(シール硬化・
液晶等方性処理)工程S19の後に、液晶配向方位検査工程S12aを行う。この液晶配
向方位検査工程S12aでは、貼り合わせ基板100の対向基板1とTFT基板2との間
に充填されている液晶4の配向方位を検査する。具体的には、対向基板1およびTFT基
板2のいずれか一方から液晶4を観察し、対向基板1およびTFT基板2の表面に設けら
れたそれぞれの位置決め用のアライメントマーク1aおよび2aのアライメントマーク基
準線に対する液晶4の配向方位の角度値を算出する。この算出された角度値がラビング工
程S11にフィードバック(補正)され、ラビング工程S11のラビング処理方法が補正
される。また、算出された角度値(配向方位データ)に基づいて、偏光板貼付工程S21
の偏光板貼付方法が補正される。
【0044】
なお、第2実施形態の製造プロセスのその他のプロセスは、上記第1実施形態と同様で
ある。
【0045】
第2実施形態では、上記のように、偏光板7および8を貼り付ける偏光板貼付工程S2
1を、液晶4の配向方位を検査する液晶配向方位検査工程S12aの検査結果に基づいて
、偏光板7および8を貼り合わせ基板100に貼り付ける偏光板貼付工程S21を含むこ
とによって、容易に、偏光板7および8を液晶4の配向方位に対して所定の位置に貼り付
けることができる。
【0046】
また、第2実施形態では、上記のように、液晶4の配向方位を検査する液晶配向方位検
査工程S12aを、貼り合わせ基板を形成する真空貼り合わせ工程S17の後に実行する
ことによって、液晶滴下工程S16により、容易に液晶4を封入することができるととも
に、液晶配向方位検査工程S12aにおいて、貼り合わせ基板100に液晶4が封入され
ているため、液晶4の配向方位を検査することができるので、簡単な方法で容易に検査す
ることができる。
【0047】
(第3実施形態)
図18は、本発明の第3実施形態による液晶パネルの製造プロセスを示すフロー図であ
る。図18を参照して、この第3実施形態では、上記した第1実施形態と異なり、配向膜
配向方位検査工程S12を省略する場合について説明する。
【0048】
この第3実施形態による液晶パネル100aの製造プロセスでは、ラビング工程S11
の後に、配向膜配向方位検査工程S12を行わずに、ラビング後洗浄工程S13を行う。
【0049】
なお、第3実施形態の製造プロセスのその他のプロセスは、上記第1実施形態と同様で
ある。
【0050】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと
考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範
囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が
含まれる。
【0051】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、第1基板および第2基板を貼り合わせる工程
として、ODF(液晶滴下貼り合わせ方式)を適用する例を示したが、本発明はこれに限
らず、ODF(液晶滴下貼り合わせ方式)以外の方法で第1基板および第2基板を貼り合
わせてもよい。
【0052】
また、上記第1〜第3実施形態では、偏光板を貼り付ける工程として、偏光板と貼り合
わせ基板とのそれぞれの中心と端面とを基準に貼り付ける例を示したが、本発明はこれに
限らず、偏光板にアライメントマークを設け、偏光板と貼り合わせ基板とのアライメント
マークを基準に偏光板を貼り合わせ基板に貼り付けてもよい。
【0053】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の配向膜の配向処理方法の一例として、ラ
ビング法を適用したラビング工程S11を示したが、本発明はこれに限らず、配向処理方
法として、光配向法やイオンビーム法などのラビング法以外の配向処理方法でも適用可能
である。
【0054】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の配向膜5aおよび6aの一例として、ポ
リイミドを示したが、本発明はこれに限らず、配向膜としてポリアミドなどの有機物質や
酸化ケイ素などの無機物質などポリイミドに限らず配向膜として使用することが可能な物
質に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態による液晶パネルの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態による液晶パネルの全体構成を示す図である。
【図3】図2の200−200線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による液晶パネルの製造プロセスを説明するためのフロー図である。
【図5】本発明の第1実施形態による配向膜の配向方位を検査する工程を説明するための図である。
【図6】本発明の第1実施形態による配向膜の配向方位を検査する工程を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態による配向膜の配向方位を検査する工程を説明するための図である。
【図8】本発明の第1実施形態による配向膜の配向方位を検査する工程を説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施形態による対向基板とTFT基板とを貼り合わせる工程を説明するための図である。
【図10】本発明の第1実施形態による対向基板とTFT基板とを貼り合わせる工程を説明するための図である。
【図11】本発明の第1実施形態による対向基板とTFT基板とを貼り合わせる工程を説明するための図である。
【図12】図11の300−300線に沿った断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態による貼り合わせ基板に偏光板を貼り付ける工程を説明するための図である。
【図14】本発明の第1実施形態による貼り合わせ基板に偏光板を貼り付ける工程を説明するための図である。
【図15】本発明の第1実施形態による貼り合わせ基板に偏光板を貼り付ける工程を説明するための図である。
【図16】図15の400−400線に沿った断面図である。
【図17】本発明の第2実施形態による液晶パネルの製造プロセスを説明するためのフロー図である。
【図18】本発明の第3実施形態による液晶パネルの製造プロセスを説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
【0056】
1 対向基板(第1基板)
1a アライメントマーク
2 TFT基板(第2基板)
2a アライメントマーク
4 液晶
5 配向膜(第1配向膜)
6 配向膜(第2配向膜)
7 偏光板
8 偏光板
100 貼り合わせ基板
100a 液晶パネル(液晶表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液晶パネルに対応した部分を有する第1基板および第2基板を貼り合わせて、貼
り合わせ基板を形成する工程と、
前記貼り合わせ基板に偏光板を貼り付ける工程と、
前記偏光板を前記複数の液晶パネルに対応した部分に分断する工程とを備える、液晶表
示装置の製造方法。
【請求項2】
前記偏光板を貼り付ける工程に先立って、前記偏光板の偏光軸方位を検査する工程をさ
らに備え、
前記偏光板を貼り付ける工程は、前記偏光軸方位を検査する工程の検査結果に基づいて
、前記偏光板を前記貼り合わせ基板に貼り付ける工程を含む、請求項1に記載の液晶表示
装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1基板に形成された第1配向膜および前記第2基板に形成された第2配向膜と、
液晶とのうち少なくとも一方の配向方位を検査する工程をさらに備え、
前記配向方位を検査する工程の検査結果に基づいて、前記配向膜のラビング処理方法を
補正する工程をさらに備える、請求項1または2に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記貼り合わせ基板を形成する工程に先立って、前記第1基板に形成された第1配向膜
および前記第2基板に形成された第2配向膜のラビング処理が行われた後に、前記第1配
向膜および前記第2配向膜の配向方位を検査する工程をさらに備え、
前記偏光板を貼り付ける工程は、前記第1配向膜および前記第2配向膜の配向方位を検
査する工程の検査結果に基づいて、前記偏光板を前記貼り合わせ基板に貼り付ける工程を
含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1配向膜および前記第2配向膜の配向方位を検査する工程の後、前記貼り合わせ
基板を形成する工程に先立って、前記第1基板および前記第2基板のうち少なくとも一方
に前記液晶を滴下する工程をさらに備える、請求項4に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1配向膜および前記第2配向膜の配向方位を検査する工程は、前記基板に設けら
れている位置決め用アライメントマークを基準に前記第1配向膜および前記第2配向膜の
配向方位を検査する工程を含む、請求項4または5に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記貼り合わせ基板を形成する工程の後、前記液晶の配向方位を検査する工程をさらに
備え、
前記偏光板を貼り付ける工程は、前記液晶の配向方位を検査する工程の検査結果に基づ
いて、前記偏光板を前記貼り合わせ基板に貼り付ける工程を含む、請求項1〜3のいずれ
か1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記貼り合わせ基板を形成する工程に先立って、前記第1基板および第2基板のうち少
なくとも一方に液晶を滴下する工程をさらに備え、
前記液晶の配向方位を検査する工程は、前記貼り合わせ基板を形成する工程の後に実行
する、請求項7に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記偏光板を分断する工程の後に、前記貼り合わせ基板を個々の前記液晶パネルとなる
部分に分断する工程をさらに備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置
の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−210852(P2009−210852A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54441(P2008−54441)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】