説明

液晶表示装置

【課題】本発明は、部材を追加することなく、着色層に分散される材料が液晶に溶け出すことを防止することを目的とする。
【解決手段】液晶表示装置は、液晶20を駆動するために第1基板16に平行な電界を発生させるための電極構造層50を含む。電極構造層50は、液晶20及びカラーフィルタ層40の相互に対向する面を区画するように半導体酸化物又は半導体窒化物から形成された透明絶縁膜52と、透明絶縁膜52の両面にそれぞれ配置されたいずれも酸化物半導体からなる第1透明導電膜54及び第2透明導電膜56と、を有する。カラーフィルタ層40は、1層の着色層42からなる第1領域44と、2層又はそれ以上の積層された着色層42からなる第2領域46と、を含む。第2領域46では積層された着色層42によって凸部48が形成され、凸部48が第1基板16と第2基板18の間のギャップを保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置は、液晶を駆動するための薄膜トランジスタ(TFT)が形成されたTFT基板と、カラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板と、を有し、両者間に液晶が挟まれていた。TFT基板とカラーフィルタ基板の間には、液晶を注入するためのギャップを形成する必要があり、ギャップを保持するため、TFT基板とカラーフィルタ基板の間にはスペーサが設けられている。
【0003】
スペーサをカラーフィルタ基板に形成する場合、カラーフィルタを構成する着色層を積層してスペーサを形成することが知られている(特許文献1)。また、TFT基板にカラーフィルタを形成することが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−117103号公報
【特許文献2】特開2000−98422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
着色層からスペーサを形成すると、着色層に分散されている顔料が液晶に溶け出さないように、バリア層を追加する必要があった。このことは、TFT基板にカラーフィルタを形成する場合であっても同様である。
【0006】
本発明は、部材を追加することなく、着色層に分散される材料が液晶に溶け出すことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る液晶表示装置は、第1基板と、第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に配置された液晶と、前記第1基板の前記液晶を向く面に形成された薄膜トランジスタと、前記液晶と前記薄膜トランジスタの間に配置された、複数の着色層からなるカラーフィルタ層と、前記液晶と前記カラーフィルタ層との間に配置された、前記液晶を駆動するために前記第1基板に平行な電界を発生させるための電極構造層と、を含み、前記電極構造層は、前記液晶及び前記カラーフィルタ層の相互に対向する面を区画するように半導体酸化物又は半導体窒化物から形成された透明絶縁膜と、前記透明絶縁膜の両面にそれぞれ配置されたいずれも酸化物半導体からなる第1透明導電膜及び第2透明導電膜と、を有し、前記カラーフィルタ層は、1層の前記着色層からなる第1領域と、2層又はそれ以上の積層された前記着色層からなる第2領域と、を含み、前記第2領域では積層された前記着色層によって凸部が形成され、前記凸部が前記第1基板と前記第2基板の間のギャップを保持することを特徴とする。本発明によれば、電極構造層の透明絶縁膜、第1透明導電膜及び第2透明導電膜によって、着色層に分散される材料が液晶に溶け出すことを防止することができる。また、透明絶縁膜、第1透明導電膜及び第2透明導電膜は、液晶の駆動に必要な部材であるため、部材の追加が不要である。
【0008】
(2)(1)に記載された液晶表示装置において、前記カラーフィルタ層と前記薄膜トランジスタとの間に配置されたブラックマトリクスをさらに有することを特徴としてもよい。
【0009】
(3)(1)に記載された液晶表示装置において、前記液晶と前記第2基板との間に配置されたブラックマトリクスをさらに有することを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る液晶表示装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す液晶表示装置の液晶表示パネルの一部を示す概略平面図である。
【図3】図2に示す液晶表示パネルの一部をさらに詳細に示す平面図である。
【図4】図3に示す液晶表示パネルのIV−IV線断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る液晶表示装置の液晶表示パネルの一部を示す平面図である。
【図6】図5に示す液晶表示パネルのVI−VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る液晶表示装置を示す分解斜視図である。液晶表示装置は、液晶表示パネル10を有する。液晶表示パネル10は、上フレーム12及び下フレーム14によって支持されている。
【0013】
図2は、図1に示す液晶表示装置の液晶表示パネル10の一部を示す概略平面図である。図3は、図2に示す液晶表示パネル10の一部をさらに詳細に示す平面図である。図4は、図3に示す液晶表示パネル10のIV−IV線断面図である。
【0014】
液晶表示パネル10は、第1基板16及び第2基板18を有する(図4参照)。第1基板16及び第2基板18は、いずれも透明基板(例えばガラス基板)である。第1基板16及び第2基板18の間には、液晶20が配置されている。第1基板16及び第2基板18には、それぞれ、液晶20とは反対側の面に偏光板22がクロスニコル状態で貼り付けられている。
【0015】
第1基板16の液晶20を向く面には、薄膜トランジスタ24(TFT)が形成されている。薄膜トランジスタ24は、液晶20の駆動を制御するためのスイッチである。薄膜トランジスタ24は、制御用の走査電圧が印加されるゲート電極26が下に配置されるボトムゲート型である。第1基板16上にゲート電極26が形成されている。ゲート電極26を覆うように、無機材料(SiOなどの半導体酸化物又はSiNなどの半導体窒化物)からなるゲート絶縁膜28が、プラズマCVDなどによって形成されている。ゲート絶縁膜28の上には、例えばアモルファスシリコン又は微結晶シリコンからなる半導体層30が形成されている。半導体層30上には、画素電位が出力されるソース電極32及び映像信号が印加されるドレイン電極34が形成されている。ソース電極32及びドレイン電極34並びに半導体層30を覆うように、無機材料(SiOなどの半導体酸化物又はSiNなどの半導体窒化物)からなる絶縁層36が形成されている。絶縁層36によって半導体層30の湿度汚染が防止される。
【0016】
薄膜トランジスタ24の上方(絶縁層36上)にはブラックマトリクス38が配置されている。すなわち、薄膜トランジスタ24とカラーフィルタ層40との間にブラックマトリクス38が配置されている。ブラックマトリクス38は、黒顔料やカーボンを含む樹脂からなる。ブラックマトリクス38は、半導体層30のチャネル領域への光進行を防止する。そのため、ブラックマトリクス38の平面形状は島状あるいはストライプ状である。
【0017】
液晶20と薄膜トランジスタ24の間(例えばブラックマトリクス38及び絶縁層36の上)にカラーフィルタ層40が配置されている。カラーフィルタ層40は、複数(例えば、赤、緑、青の三色)の着色層42からなる。着色層42には、イオン化して液晶20に溶け込む粒子(例えば顔料)が分散されている。
【0018】
カラーフィルタ層40は、1層の着色層42からなる第1領域44を含む。カラーフィルタ層40では、異なる色の着色層42が隣同士に並んでおり、第1領域44ではカラーフィルタ本来の機能(特定の色の光のみを透過させる機能)を果たしている。
【0019】
カラーフィルタ層40は、異なる色の2層又はそれ以上(図4では3層)の積層された着色層42からなる第2領域46を含む。第2領域46では、隣同士に並ぶ2色の着色層42の端部同士が重なっており、図4に示す例では、さらにもう1色の着色層42が重なっている。
【0020】
第2領域46では積層された異なる色の複数の着色層42によって凸部48(1層の着色層42よりも高くなった部分)が形成される。凸部48によって、第1基板16と第2基板18の間のギャップを保持することができる。
【0021】
液晶20とカラーフィルタ層40との間に電極構造層50が配置されている。電極構造層50は、液晶20を駆動するために、印加された電圧によって第1基板16の表面に平行な電界を発生させる。すなわち、本実施の形態に係る液晶表示装置には、IPS(In Plane Switching)方式が適用されている。
【0022】
電極構造層50は、液晶20及びカラーフィルタ層40の相互に対向する面を区画するように、半導体酸化物(例えばSiO)又は半導体窒化物(SiN)から、プラズマCVDなどによって形成された透明絶縁膜52を含む。透明絶縁膜52がバリア層となって、着色層42又はブラックマトリクス38に分散される粒子(例えば顔料)が液晶20に溶け出さないようになっている。
【0023】
電極構造層50は、透明絶縁膜52の両面にそれぞれ配置されたいずれも酸化物半導体からなる第1透明導電膜54及び第2透明導電膜56を含む。第1透明導電膜54又は第2透明導電膜56は、スパッタリング法などで、ITO(酸化インジウムスズ)又は酸化インジウム亜鉛から形成してもよい。さらに、第1透明導電膜54又は第2透明導電膜56は、複数層で形成してもよい。
【0024】
第1透明導電膜54と第2透明導電膜56との間に印加された電圧によって横方向の電界が生じる。例えば、第1透明導電膜54はコモン電極を構成し、第2透明導電膜56は画素電極を構成している。また、第1透明導電膜54及び第2透明導電膜56は、透明絶縁膜52とともに、バリア層となって、着色層42又はブラックマトリクス38に分散される粒子(例えば顔料)が液晶20に溶け出さないようになっている。
【0025】
なお、第2基板18の液晶20を向く面には、その表面の傷を被覆する有機材料から構成されたオーバーコート膜58が形成されている。オーバーコート膜58は、顔料などのイオン化して液晶20に溶け込むような汚染源を含まず、透明な材料で構成されている。
【0026】
本実施の形態によれば、電極構造層50の透明絶縁膜52、第1透明導電膜54及び第2透明導電膜56によって、着色層42に分散される材料が液晶20に溶け出すことを防止することができる。したがって、液晶20を汚染して導電率又は誘電率を変化させないようになっている。また、透明絶縁膜52、第1透明導電膜54及び第2透明導電膜56は、液晶20の駆動に本来的に必要な部材であるため、部材の追加が不要である。
【0027】
電極構造層50は、カラーフィルタ層40の全体を覆っている。電極構造層50は、カラーフィルタ層40の第2領域46(積層された異なる色の着色層42)を覆う部分では、透明絶縁膜52、第1透明導電膜54及び第2透明導電膜56が切れ目なく存在する。
【0028】
電極構造層50は、カラーフィルタ層40の第1領域44を覆う部分では、第1透明導電膜54及び透明絶縁膜52に連通する第1貫通穴60を有する。また、1層からなる着色層42及び絶縁層36には連通する第2貫通穴62が形成されている。第1貫通穴60及び第2貫通穴62は連通する。第1貫通穴60及び第2貫通穴62に、第2透明導電膜56の一部が入り込み、ソース電極32と電気的に接続されている。また、第2透明導電膜56にも、図4に示すように、必要に応じて切り欠き、スリット又は穴が形成されている。電極構造層50は、カラーフィルタ層40の第1領域44上では、透明絶縁膜52は必ず存在するが、第1透明導電膜54及び透明絶縁膜52の少なくとも一方が存在しない部分がある。
【0029】
本実施の形態では、周知の液晶表示装置の構成(例えば配向膜)をさらに有しているがその詳細説明は省略する。
【0030】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る液晶表示装置の液晶表示パネルの一部を示す平面図である。図6は、図5に示す液晶表示パネルのVI−VI線断面図である。
【0031】
本実施の形態では、ブラックマトリクス138が液晶20と第2基板18との間(詳しくは液晶20とオーバーコート膜158の間)に配置されている点で第1の実施の形態と異なる。ブラックマトリクス138も顔料(例えばカーボン)を含んでおり、これが液晶20に溶け出すことをオーバーコート膜158が防いでいる。本実施の形態のその他の詳細は、第1の実施の形態で説明した内容が該当する。
【0032】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施の形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 液晶表示パネル、12 上フレーム、14 下フレーム、16 第1基板、18 第2基板、20 液晶、22 偏光板、24 薄膜トランジスタ、26 ゲート電極、28 ゲート絶縁膜、30 半導体層、32 ソース電極、34 ドレイン電極、36 絶縁層、38 ブラックマトリクス、40 カラーフィルタ層、42 着色層、44 第1領域、46 第2領域、48 凸部、50 電極構造層、52 透明絶縁膜、54 第1透明導電膜、56 第2透明導電膜、58 オーバーコート膜、60 第1貫通穴、62 第2貫通穴、138 ブラックマトリクス、158 オーバーコート膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に配置された液晶と、
前記第1基板の前記液晶を向く面に形成された薄膜トランジスタと、
前記液晶と前記薄膜トランジスタの間に配置された、複数の着色層からなるカラーフィルタ層と、
前記液晶と前記カラーフィルタ層との間に配置された、前記液晶を駆動するために前記第1基板に平行な電界を発生させるための電極構造層と、
を含み、
前記電極構造層は、前記液晶及び前記カラーフィルタ層の相互に対向する面を区画するように半導体酸化物又は半導体窒化物から形成された透明絶縁膜と、前記透明絶縁膜の両面にそれぞれ配置されたいずれも酸化物半導体からなる第1透明導電膜及び第2透明導電膜と、を有し、
前記カラーフィルタ層は、1層の前記着色層からなる第1領域と、2層又はそれ以上の積層された前記着色層からなる第2領域と、を含み、
前記第2領域では積層された前記着色層によって凸部が形成され、前記凸部が前記第1基板と前記第2基板の間のギャップを保持することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された液晶表示装置において、
前記カラーフィルタ層と前記薄膜トランジスタとの間に配置されたブラックマトリクスをさらに有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載された液晶表示装置において、
前記液晶と前記第2基板との間に配置されたブラックマトリクスをさらに有することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−17878(P2011−17878A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162319(P2009−162319)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】