説明

液晶表示装置

【課題】表示品位の良好な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1ゲート配線及び第2ゲート配線と、前記第1ゲート配線と前記第2ゲート配線との間に配置されるとともに前記第1ゲート配線から第1距離をおいて形成された非直線状の第1エッジ及び前記第2ゲート配線から前記第1距離よりも短い第2距離をおいて形成された第2エッジを含むコモン配線と、前記第1ゲート配線と前記第2ゲート配線との間に配置されるとともに前記コモン配線にコンタクトした第1電極と、前記第1電極の上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜の上に配置され前記第1電極と向かい合うとともに前記コモン配線の前記第1エッジの直上に延在し且つスリットが形成された第2電極と、を備えた第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を生かして、パーソナルコンピュータなどのOA機器やテレビなどの表示装置として各種分野で利用されている。近年では、液晶表示装置は、携帯電話などの携帯端末機器や、カーナビゲーション装置、ゲーム機などの表示装置としても利用されている。
【0003】
このような液晶表示装置においては、情報量の増加に伴う画像の精細度の向上や、動画対応に向けた表示速度の向上、広視野角化といった要求が高まっている。TFT(Thin Film Transistor)アレイ構造の微細化と共に、これらの要求を満たす液晶モードとして、ネマチック液晶を用いたOCB(Optically Compensated Bend)方式、VAN(Vertical Aligned Nematic)方式、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式、π配列方式、IPS(In−Plane Switching)方式、FFS(Fringe Field Switching)方式などが提案されている。
【0004】
特に、FFS方式は、高コントラスト、広視野角、高透過率を実現する液晶表示モードとして既に広い分野で採用されている。FFS方式において特徴的な構成としては、絶縁層を挟み対向した2種類の透明電極を同一基板上に設け、さらにその上層電極にスリットパターンを設けたことにある。このような2種類の透明電極間に形成される電界を制御することにより、液晶分子の配向を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−10110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施形態の目的は、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態によれば、
第1ゲート配線及び第2ゲート配線と、前記第1ゲート配線と前記第2ゲート配線との間に配置されるとともに前記第1ゲート配線から第1距離をおいて形成された非直線状の第1エッジ及び前記第2ゲート配線から前記第1距離よりも短い第2距離をおいて形成された第2エッジを含むコモン配線と、前記第1ゲート配線と前記第2ゲート配線との間に配置されるとともに前記コモン配線にコンタクトした第1電極と、前記第1電極の上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜の上に配置され前記第1電極と向かい合うとともに前記コモン配線の前記第1エッジの直上に延在し且つスリットが形成された第2電極と、を備えた第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0008】
本実施形態によれば、
絶縁基板と、前記絶縁基板の上に配置された第1ゲート配線及び第2ゲート配線と、前記絶縁基板の上において前記第1ゲート配線と前記第2ゲート配線との間に配置されるとともに前記第1ゲート配線から第1距離をおいて形成され前記絶縁基板に対して第1角度で傾斜した第1端面及び前記第2ゲート配線から前記第1距離よりも短い第2距離をおいて形成され前記絶縁基板に対して前記第1角度より大きな第2角度で傾斜した第2端面を含むコモン配線と、前記絶縁基板の上において前記第1ゲート配線と前記第2ゲート配線との間に配置されるとともに前記コモン配線にコンタクトした第1電極と、前記第1電極の上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜の上に配置され前記第1電極と向かい合うとともに前記コモン配線の前記第1端面の直上に延在し且つスリットが形成された第2電極と、を備えた第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0009】
本実施形態によれば、
第1方向に沿って形成されたゲート配線と、前記第1方向に直交する第2方向に沿って形成されたソース配線と、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に沿って形成されたコモン配線と、前記コモン配線にコンタクトした第1電極と、前記第1電極の上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜の上に配置され前記第1電極と向かい合うとともに前記コモン配線の直上に延在し且つスリットが形成された第2電極と、を備えた第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0010】
本実施形態によれば、
第1方向に沿って形成されたゲート配線と、前記第1方向に直交する第2方向に沿って形成されたソース配線と、前記第1方向に沿って形成されるとともに前記ゲート配線から第1距離をおいて形成された第1配線部及び前記第1配線部に繋がり前記ゲート配線から前記第1距離よりも長い第2距離をおいて形成された第2配線部を含むコモン配線と、前記コモン配線にコンタクトした第1電極と、前記第1電極の上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜の上に配置され前記第1電極と向かい合うとともに前記コモン配線の前記第1配線部及び前記第2配線部の直上に延在し且つスリットが形成された第2電極と、を備えた第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示パネルの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【図3】図3は、図2に示したアレイ基板における画素の構造の第1構成例を対向基板の側から見た概略平面図である。
【図4】図4は、図3に示した画素を切断した液晶表示パネルの断面構造を概略的に示す図である。
【図5】図5は、図2に示したアレイ基板における画素の構造の第2構成例を対向基板の側から見た概略平面図である。
【図6】図6は、図2に示したアレイ基板における画素の構造の第3構成例を対向基板の側から見た概略平面図である。
【図7】図7は、図6に示したコモン配線の概略断面図である。
【図8】図8は、図2に示したアレイ基板における画素の構造の第4構成例を対向基板の側から見た概略平面図である。
【図9】図9は、図2に示したアレイ基板における画素の構造の第5構成例を対向基板の側から見た概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、本実施形態における液晶表示装置1の構成を概略的に示す平面図である。
【0014】
すなわち、液晶表示装置1は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPN、液晶表示パネルLPNに接続された駆動ICチップ2及びフレキシブル配線基板3などを備えている。
【0015】
液晶表示パネルLPNは、第1基板としてのアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板としての対向基板CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された図示しない液晶層と、を備えて構成されている。これらのアレイ基板ARと対向基板CTとは、シール材SEによって貼り合わせられている。図示しない液晶層は、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に形成されたセルギャップにおいてシール材SEによって囲まれた内側に保持されている。このシール材SEは、例えば、アレイ基板ARと対向基板CTとの間において、略矩形枠状に形成されている。このようなシール材SEは、例えば、樹脂材料によって形成されている。
【0016】
このような液晶表示パネルLPNは、シール材SEによって囲まれた内側に、画像を表示する略矩形状のアクティブエリアACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数である)。駆動ICチップ2及びフレキシブル配線基板3は、アクティブエリアACTよりも外側の周辺エリアPRPにおいて、アレイ基板ARに実装されている。
【0017】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNの構成及び等価回路を概略的に示す図である。ここでは、液晶表示パネルLPNのアレイ基板ARが第1電極(あるいは下部電極、共通電極などと称する場合もある)E1及び第2電極(あるいは上部電極、画素電極などと称する場合もある)E2を備え、これらの第1電極E1と第2電極E2との間に形成される横電界(すなわち、基板の主面にほぼ平行な電界)を主に利用して液晶層LQを構成する液晶分子をスイッチングするFFS方式の液晶モードを適用した構成について説明する。
【0018】
アレイ基板ARは、アクティブエリアACTにおいて、第1方向Xに沿ってそれぞれ形成されたn本のゲート配線G(G1〜Gn)及びn本のコモン配線C(C1〜Cn)、第1方向Xに略直交する第2方向Yに沿ってそれぞれ形成されたm本のソース配線S(S1〜Sm)、各画素PXに配置されゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されたスイッチング素子SW、各画素PXに配置されコモン配線Cに電気的に接続された第1電極E1、各画素PXに配置されるとともに第1電極と向かい合いスイッチング素子SWに電気的に接続された第2電極E2などを備えている。保持容量Csは、例えば、第1電極E1と第2電極E2との間に形成される。液晶層LQは、第1電極E1と第2電極E2との間に介在する。
【0019】
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、第1駆動回路GDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、第2駆動回路SDに接続されている。各コモン配線Cは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、第3駆動回路CDに接続されている。これらの第1駆動回路GD、第2駆動回路SD、及び、第3駆動回路CDは、アレイ基板ARに形成され、駆動ICチップ2と接続されている。
【0020】
図示した例では、駆動ICチップ2は、液晶表示パネルLPNのアクティブエリアACTの外側において、アレイ基板ARに実装されている。なお、フレキシブル配線基板の図示は省略しており、アレイ基板ARには、フレキシブル配線基板を接続するための端子Tが形成されている。これらの端子Tは、各種配線を介して駆動ICチップ2に接続されている。
【0021】
図3は、図2に示したアレイ基板ARにおける画素PXの構造の第1構成例を対向基板CTの側から見た概略平面図である。
【0022】
第1ゲート配線GA及び第2ゲート配線GBは、第1方向Xに沿って略直線状に形成されている。ソース配線Sは、第2方向Yに沿って略直線状に形成されている。なお、第1ゲート配線GAとソース配線Sとの交差部近傍には、第1ゲート配線GA及びソース配線Sに電気的に接続されたスイッチング素子が配置されているが、ここではそのスイッチング素子の図示を省略している。
【0023】
コモン配線Cは、第1ゲート配線GAと第2ゲート配線GBとの間に配置され、第1ゲート配線GA及び第2ゲート配線GBから離間している。しかも、このコモン配線Cは、第1ゲート配線GAと第2ゲート配線GBとの間において第2ゲート配線GB側に偏在している(つまり、コモン配線Cは第2ゲート配線GBに近接している)。
【0024】
このようなコモン配線Cは、第1ゲート配線GAに対向する第1エッジED1と、第2ゲート配線GBに対向する第2エッジED2と、を含んでいる。第1エッジED1は、第1ゲート配線GAから第1距離D1をおいて形成されている。第2エッジED2は、第2ゲート配線GBから第1距離D1よりも短い第2距離D2をおいて形成されている。
【0025】
第1エッジED1と第2エッジED2とは、それぞれの平面形状が非対称である。すなわち、第1エッジED1は非直線状であり、第2エッジED2は略一直線状である。図示した例では、第1エッジED1は、櫛歯状に形成されている。このため、第1エッジED1の長さは、第2エッジED2の長さよりも長い。
【0026】
第1電極E1は、各画素PXに対応して形成されている。図示した例では、第1電極E1は、略長方形状に形成されている。この第1電極E1は、第1ゲート配線GAと第2ゲート配線GBとの間に配置され、第1ゲート配線GA及び第2ゲート配線GBから離間している。また、この第1電極E1は、コモン配線Cにコンタクトしている。
【0027】
第2電極E2は、各画素PXに対応して形成されている。図示した例では、第2電極E2は、略長方形状に形成されている。この第2電極E2は、第1電極E1の上方に配置され、第1電極と向かい合っている。また、この第2電極E2は、コモン配線Cの第1エッジED1の直上に延在している。図示した例では、第2電極E2は、コモン配線Cの直上を通り、第1エッジED1及び第2エッジED2の直上に延在するとともに、さらに、第2ゲート配線GBの直上にも延在している。
【0028】
また、第2電極E2には、複数のスリットSLが形成されている。図示した例では、スリットSLの各々は、互いに平行であり、第1方向X及び第2方向Yと交差する方向に略直線状に延出している。つまり、スリットSLの延出方向は、コモン配線C及びソース配線Sと交差する方向である。これらのスリットSLは、第1電極E1の上方に形成されている。多くのスリットSLは、第1ゲート配線GAとコモン配線Cとの間の直上に位置している。また、スリットSLの一部は、コモン配線Cの第1エッジED1の直上付近に形成されている。なお、第2エッジED2の直上付近には、スリットSLは形成されていない。
【0029】
このような第2電極E2は、図示を省略したスイッチング素子に電気的に接続されている。
【0030】
図4は、図3に示した画素PXを切断した液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す図である。
【0031】
すなわち、アレイ基板ARは、ガラス板などの光透過性を有する第1絶縁基板20を用いて形成されている。このアレイ基板ARは、第1絶縁基板20の内面(すなわち、対向基板CTに対向する面)にスイッチング素子SWを備えている。ここに示したスイッチング素子SWは、ボトムゲート型の薄膜トランジスタ(TFT)である。ここに示したスイッチング素子SWは、ボトムゲート型の薄膜トランジスタであり、アモルファスシリコンによって形成された半導体層SCを備えているが、スイッチング素子SWの構成はこの例に限らない。例えば、スイッチング素子SWは、トップゲート型の薄膜トランジスタであっても良いし、ポリシリコンによって形成された半導体層SCを備えていても良い。
【0032】
スイッチング素子SWのゲート電極WGは、第1絶縁基板20の上に配置されている。このゲート電極WGは、第1ゲート配線GAに電気的に接続されており、図示した例では、ゲート電極WGは、第1ゲート配線GAと一体的に形成されている。また、コモン配線C及び第2ゲート配線GBも、第1絶縁基板20の上に配置されている。これらのゲート電極WG、第1ゲート配線GA、第2ゲート配線GB、及び、コモン配線Cは、同一の導電材料によって形成され、同一工程で形成可能である。
【0033】
第1電極E1は、第1絶縁基板20の上に配置されている。この第1電極E1は、第1ゲート配線GA(あるいはゲート電極WG)と、第2ゲート配線GBとの間に位置し、コモン配線Cにコンタクトしている。このような第1電極E1は、光透過性を有する導電材料、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの透明な酸化物導電材料によって形成されている。
【0034】
これらのゲート電極WG、第1ゲート配線GA、第2ゲート配線GB、コモン配線C、及び、第1電極E1は、第1層間絶縁膜21によって覆われている。また、第1層間絶縁膜21は、第1絶縁基板20の上にも配置されている。
【0035】
スイッチング素子SWの半導体層SCは、第1層間絶縁膜21の上に配置されている。この半導体層SCは、ゲート電極WGの直上に位置している。スイッチング素子SWのソース電極WS及びドレイン電極WDは、第1層間絶縁膜21の上に配置されている。ソース電極WS及びドレイン電極WDのそれぞれの一部は、半導体層SCにコンタクトしている。ソース電極WSは、ソース配線Sに電気的に接続されている。図示した例では、ソース電極WSは、ソース配線Sと一体的に形成されている。
【0036】
スイッチング素子SWのゲート電極WG、ソース電極WS、及び、ドレイン電極WDや、第1ゲート配線GA、第2ゲート配線GB、コモン配線C、ソース配線Sなどは、例えば、モリブデン、アルミニウム、タングステン、チタンなどの導電材料によって形成されている。
【0037】
ソース電極WS及びドレイン電極WDは、第2層間絶縁膜22によって覆われている。また、この第2層間絶縁膜22は、第1層間絶縁膜21の上にも配置されている。これらの第1層間絶縁膜21及び第2層間絶縁膜22は、例えば窒化シリコン(SiN)などの無機系材料によって形成されている。
【0038】
第2電極E2は、第2層間絶縁膜22の上に配置されている。この第2電極E2は、第2層間絶縁膜22を貫通するコンタクトホールを介してドレイン電極WDにコンタクトしている。この第2電極E2も、第1電極E1と同様にITOやIZOなどの透明な酸化物導電材料によって形成されている。
【0039】
このような第2電極E2は、第1層間絶縁膜21及び第2層間絶縁膜22を介して第1電極E1と向かい合っている。すなわち、この第2電極E2は、第1エッジED1及び第2エッジED2を含むコモン配線Cの直上に延在している。さらに、この第2電極E2は、第2ゲート配線GBの直上にも延在している。なお、この第2電極E2には、第1電極E1に向かい合うスリットSLが形成されているが、ここでは、スリットSLの図示は省略する。このような第2電極E2、及び、第2層間絶縁膜22は、第1配向膜23によって覆われている。
【0040】
一方、対向基板CTは、ガラス板などの光透過性を有する第2絶縁基板30を用いて形成されている。この対向基板CTは、第2絶縁基板30の内面(すなわち、アレイ基板ARに対向する面)に、各画素PXを区画するブラックマトリクス31、及び、各画素PXに配置されたカラーフィルタ32を備えている。
【0041】
ブラックマトリクス31は、第2絶縁基板30の上に配置され、アレイ基板ARに設けられたゲート配線Gやソース配線S、さらにはスイッチング素子SWなどの配線部の直上に位置している。このようなブラックマトリクス31は、格子状またはストライプ状に形成されている。このブラックマトリクス31は、例えば、黒色に着色された樹脂材料やクロム(Cr)などの遮光性の金属材料によって形成されている。
【0042】
カラーフィルタ32は、第2絶縁基板30の上に配置されている。なお、カラーフィルタ32の一部は、ブラックマトリクス31の上に積層されている。このようなカラーフィルタ32には、詳述しないが、赤色画素に対応して配置される赤色カラーフィルタ、青色画素に対応して配置される青色カラーフィルタ、及び、緑色画素に対応して配置される緑色カラーフィルタが含まれる。これらの赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ、及び、緑色カラーフィルタは、例えば、それぞれの色に着色された樹脂材料によって形成されている。
【0043】
このカラーフィルタ32は、第2配向膜33によって覆われている。第1配向膜23及び第2配向膜33は、例えば、水平配向性を呈するポリイミドによって形成されている。また、これらの第1配向膜23及び第2配向膜33は、スリットSLが延出した方向と略平行な方向にラビング処理されている。なお、第1配向膜23のラビング方向と第2配向膜33のラビング方向とは互いに逆向き(面内で180°異なる方向)である。
【0044】
なお、上述したような横電界を利用した液晶モードにおいては、対向基板CTの液晶層LQに接する面が平坦であることが望ましく、対向基板CTは、さらに、ブラックマトリクス31及びカラーフィルタ32と、第2配向膜33との間にオーバーコート層を備えていてもよい。このようなオーバーコート層は、例えば、透明な樹脂材料によって形成される。
【0045】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、第1配向膜23及び第2配向膜33が向かい合うように配置されている。このとき、アレイ基板ARと対向基板CTとの間には、図示しないスペーサ(例えば、樹脂材料によってアレイ基板ARまたは対向基板CTに一体的に形成された柱状スペーサ)が配置され、これにより、所定のセルギャップが形成される。アレイ基板ARと対向基板CTとは、所定のセルギャップが形成された状態で図示しないシール材によって貼り合わせられている。
【0046】
液晶層LQは、これらのアレイ基板ARの第1配向膜23と対向基板CTの第2配向膜33との間に形成されたセルギャップに封入された誘電異方性が正の液晶材料によって構成されている。
【0047】
液晶表示パネルLPNの一方の外面、すなわちアレイ基板ARを構成する第1絶縁基板20の外面には、図示しない第1偏光板が配置されている。また、液晶表示パネルLPNの他方の外面、すなわち対向基板CTを構成する第2絶縁基板30の外面には、図示しない第2偏光板や位相差板などが配置されている。第1偏光板の偏光軸は、第2偏光板の偏光軸と直交している。
【0048】
FFS方式において、スリットSLが形成された第2電極E2においては、スリットSL以外に残った部分の面積が十分確保できず、特に下層配線と重なる部分においてはその段差に起因して第2電極E2が途切れてしまうおそれがある。このような不具合が発生した場合には、第2電極E2の一部に電位が供給できないため、輝度が低い画素になってしまうばかりか、ゲート配線電位の影響を受ける画素領域と受けにくい画素領域が高抵抗で接続される形になるため、焼き付きの原因になってしまう。
【0049】
本実施形態においては、スリットSLを有する第2電極E2は、コモン配線Cの直上に延在しているため、コモン配線Cに起因して形成される段差を乗り越えて配置されている。図4に示した例において、例えば、コモン配線Cの第1エッジED1の直上付近で第2電極E2が途切れてしまった場合には、第2電極E2について、第1ゲート配線GAから第1エッジED1付近までは、スイッチング素子SWに電気的に接続される一方で、コモン配線Cから第2ゲート配線GB付近までは、フローティング状態となってしまう。
【0050】
そこで、上記の例においては、コモン配線Cは、第2ゲート配線GBの側に略直線状の第2エッジED2を有する一方で、第1ゲート配線GAの側に非直線状の第1エッジED1を有している。このような第1エッジED1及び第2エッジED2を含むコモン配線Cの上には、それぞれ第1電極E1、第1層間絶縁膜21、及び、第2層間絶縁膜22が積層されている。
【0051】
第2電極E2の下地となる第2層間絶縁膜22の表面22Aは、第1エッジED1及び第2エッジED2のそれぞれの形状に応じた斜面SS1及びSS2を含んでいる。第1エッジED1の長さが第2エッジED2の長さよりも長いため、第1エッジED1の上方に形成された斜面SS1は、第2エッジED2の上方に形成された斜面SS2よりもなだらかな順テーパー形状となる。つまり、斜面SS1は、斜面SS2よりも緩斜面となる。
【0052】
このため、第2層間絶縁膜22の表面22Aに配置される第2電極E2については、急斜面では途切れやすい傾向にあるが、第1エッジED1の上方付近に形成された斜面SS1は緩斜面であるため、斜面SS1を乗り越えて形成される。したがって、第2電極E2において、第1エッジEDの上方付近にスリットSLが形成されスリットSL以外に残った部分の面積が比較的小さい場合であっても、第2電極E2の途切れを抑制することが可能となる。
【0053】
このように、第2電極E2の途切れを抑制することにより、第1電極E1と第2電極E2との間に電場を印加することにより、表示ムラや焼き付の発生を抑制することができ、透過率が高く、明るく、視野角が広い良好な表示品位を実現することが可能となる。
【0054】
なお、第2エッジED2の上方付近では、第2電極E2にスリットSLが形成されていないため、例え斜面SS2が急峻であっても、第2電極E2の途切れは発生しにくい。しかしながら、第2エッジED2の上方付近にもスリットSLが形成される場合には、第2電極E2の途切れを抑制するために、第2エッジED2は、第1エッジED1と同様に非直線状に形成されることが望ましい。
【0055】
上述したように、第2電極E2の途切れを抑制するためには、第2電極E2に重なる下層配線のエッジのエッジ長を十分に長く取ることが有効であるが、開口率の低下を招いたり、開口率のバラツキが拡大したりするおそれがある。発明者の検討によれば、一直線状のエッジの配線長に対して、1.1〜2.0倍程度の配線長となるように非直線状に形成することが望ましいことが確認された。
【0056】
図5は、図2に示したアレイ基板ARにおける画素PXの構造の第2構成例を対向基板CTの側から見た概略平面図である。
【0057】
この第2構成例は、図3に示した第1構成例と比較して、コモン配線Cの第1エッジED1が非直線状である点は同一であるが、その形状が相違している。すなわち、第2構成例では、コモン配線Cは、第1ゲート配線GAの側に突出した第1突出部CV1及び第2突出部CV2を有し、非直線状の第1エッジED1を形成している。
【0058】
このような形状のコモン配線Cを適用した第2構成例においても、第1エッジED1のエッジ長を長く取ることができる。特に、第1突出部CV1及び第2突出部CV2のエッジは、ほとんどの部分でスリットSLと重なることはない。このため、スリットSL以外に残った部分の面積の十分に大きく確保することができ、第1構成例と同様に、第2電極E2の途切れを抑制することが可能となる。
【0059】
図6は、図2に示したアレイ基板ARにおける画素PXの構造の第3構成例を対向基板CTの側から見た概略平面図である。
【0060】
この第3構成例は、図3に示した第1構成例と比較して、コモン配線Cが第1ゲート配線GAに対向する第1端面ES1及び第2ゲート配線GBに対向する第2端面ES2を有し、第1端面ES1と第2端面ES2とが非対称の形状である点で相違している。第1端面ES1は、第1ゲート配線GAから第1距離D1をおいて形成されている。第2端面ES2は、第2ゲート配線GBから第1距離D1よりも短い第2距離D2をおいて形成されている。
【0061】
図7は、図6に示したコモン配線Cを含むアレイ基板ARの概略断面図である。なお、この図7では、説明に必要な構成のみを図示している。
【0062】
この第3構成例においては、第1端面ES1と第2端面ES2とは、それぞれの断面形状が非対称である。すなわち、第1端面ES1は、第1絶縁基板20に対して第1角度θ1で傾斜した緩斜面である。第2端面ES2は、第1絶縁基板20に対して第1角度θ1より大きな第2角度θ2で傾斜した急斜面である。
【0063】
このような第1端面ES1及び第2端面ES2を含むコモン配線Cと第2電極E2との間には、第1電極E1、第1層間絶縁膜21、及び、第2層間絶縁膜22が積層されている。第2層間絶縁膜22の表面22Aについて、第1端面ES1の上方においては斜面SS1が形成され、第2端面ES2の上方においては斜面SS2が形成されている。第1端面ES1の上方に形成された斜面SS1は、第2端面ES2の上方に形成された斜面SS2よりもなだらかな順テーパー形状となる。つまり、斜面SS1は、斜面SS2よりも緩斜面となる。
【0064】
このため、第1端面ES1の上方において第2電極E2が重なる面積は、第2端面ES2の上方において第2電極E2が重なる面積よりも大きくなる。したがって、第1構成例と同様に、第2電極E2の途切れを抑制することが可能となる。
【0065】
なお、第2端面ES2の上方付近にもスリットSLが形成される場合には、第2端面ES2の上方での第2電極E2の途切れを抑制するために、第2端面ES2は、第1端面ES1と同様に緩斜面として形成されることが望ましい。
【0066】
上述したように、第2電極E2の途切れを抑制するためには、第2電極E2に重なる下層配線の端面の面積を十分に大きく取ることが有効であるが、開口率の低下を招いたり、開口率のバラツキが拡大したりするおそれがある。発明者の検討によれば、緩斜面を形成する端面の第1絶縁基板20とのなす角度(例えば第1端面ES1と第1絶縁基板20との成す角度θ1)は、20°〜60°にすることが望ましいことが確認された。
【0067】
図8は、図2に示したアレイ基板ARにおける画素PXの構造の第4構成例を対向基板CTの側から見た概略平面図である。
【0068】
この第4構成例は、図3に示した第1構成例と比較して、第1ゲート配線GA及び第2ゲート配線GBが第1方向Xに沿って形成され、ソース配線Sが第2方向Yに沿って形成されている一方で、コモン配線Cが第1方向X及び第2方向Yに交差する第3方向DR3に沿って形成された点で相違している。
【0069】
なお、このコモン配線Cが延出する第3方向DR3は、スリットSLが延出する第4方向DR4とは異なる。つまり、第3方向DR3は、第4方向DR4と交差する。図示した例では、第1方向Xと第3方向DR3とのなす角度θ3は、第1方向Xと第4方向DR4とのなす角度θ4より小さい鋭角である。
【0070】
この第4構成例においては、コモン配線Cは、ともに略一直線状の第1エッジED1及び第2エッジED2を有している。第1ゲート配線GAと第1エッジED1との第1距離D1は、図中の左側から右側に向かうに従って次第に短くなる。逆に、第2ゲート配線GBと第2エッジED2との第2距離D2は、図中の左側から右側に向かうに従って次第に長くなる。このように、第4構成例においては、第2電極E2に重なるコモン配線Cと第1ゲート配線GA及び第2ゲート配線GBとの間隔は一定ではない。
【0071】
図示した例では、第2エッジED2は、スリットSLとは重なっていない。第1エッジED1は、僅かにスリットSLと重なっているが、ほとんどの部分でスリットSLと重なることはない。このように、コモン配線Cの第1エッジED1及び第2エッジED2がスリットSLと重ならないようなレイアウトを適用することにより、スリットSL以外に残った部分の面積の十分に大きく確保することができ、第2電極E2の途切れを抑制することが可能となる。このような第4構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0072】
図9は、図2に示したアレイ基板ARにおける画素PXの構造の第5構成例を対向基板CTの側から見た概略平面図である。
【0073】
この第5構成例は、図3に示した第1構成例と比較して、第1ゲート配線GA及び第2ゲート配線GBが第1方向Xに沿って形成され、ソース配線Sが第2方向Yに沿って形成されている一方で、コモン配線Cが第1ゲート配線GAから第1距離D1をおいて形成された第1配線部CA及び第1配線部CAに繋がり第1ゲート配線GAから第1距離D1よりも長い第2距離D2をおいて形成された第2配線部CBを含んでいる点で相違している。換言すると、第1配線部CAは、第2配線部CBよりも第2ゲート配線GBに近接して配置されている。これらの第1配線部CA及び第2配線部CBは、ともに第1方向Xに沿って直線状に形成されている。このように、第5構成例においても、第4構成例と同様に、第2電極E2に重なるコモン配線Cと第1ゲート配線GA及び第2ゲート配線GBとの間隔は一定ではない。
【0074】
図示した例では、第1配線部CAの第1ゲート配線GA側のエッジは、スリットSLと交差している。第2配線部CBの第1ゲート配線GA側のエッジは、ほとんどの部分でスリットSLと重なることはない。このように、コモン配線Cを構成する一部の配線部のエッジがスリットSLと重ならないようなレイアウトを適用することにより、スリットSL以外に残った部分の面積の十分に大きく確保することができ、第2電極E2の途切れを抑制することが可能となる。このような第5構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0076】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…液晶表示装置
LPN…液晶表示パネル AR…アレイ基板 CT…対向基板
ACT…アクティブエリア PX…画素
E1…第1電極 E2…第2電極 SL…スリット
LQ…液晶層
G…ゲート配線 S…ソース配線
C…コモン配線
ED1…第1エッジ ED2…第2エッジ
CV1…第1突出部 CV2…第2突出部
ES1…第1端面 ES2…第2端面
CA…第1配線部 CB…第2配線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、前記絶縁基板の上に配置され第1方向に沿って形成された第1ゲート配線及び第2ゲート配線と、前記絶縁基板の上において前記第1ゲート配線と前記第2ゲート配線との間に配置されるとともに前記第1ゲート配線から第1距離をおいて形成され前記絶縁基板に対して第1角度で傾斜した第1端面及び前記第2ゲート配線から前記第1距離よりも短い第2距離をおいて形成され前記絶縁基板に対して前記第1角度より大きな第2角度で傾斜した第2端面を含むコモン配線と、前記絶縁基板の上において前記第1ゲート配線と前記第2ゲート配線との間に配置されるとともに前記コモン配線にコンタクトした第1電極と、前記第1電極の上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜の上に配置され前記第1電極と向かい合うとともに前記コモン配線の前記第1端面の直上に延在したスリットを含む第2電極と、を備えた第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記絶縁膜の表面は、前記第1端面の上方に形成された第1斜面と、前記第2端面の上方に形成された第2斜面とを含み、前記第1斜面は前記第2斜面よりもなだらかな緩斜面であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1端面の上方において前記第2電極が重なる面積は、前記第2端面の上方において前記第2電極が重なる面積よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1角度は、20°〜60°であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1基板は、さらに、前記第1方向に直交する第2方向に沿って形成されたソース配線を備え、
前記第2電極の前記スリットは、前記コモン配線及び前記ソース配線と交差する方向に形成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−226368(P2012−226368A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−154642(P2012−154642)
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【分割の表示】特願2010−164243(P2010−164243)の分割
【原出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】