説明

液晶表示装置

【課題】本発明は、マザーガラスから液晶表示装置を分断する際に、引出配線にクラック等が発生するのを抑制することができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置1であって、一方の外周部に他方の外周から外側に張り出した張出領域3を有する一対の透明基板2と、一対の透明基板2に設けられた配向膜4と、配向膜4の間に配設された液晶5と、一対の透明基板2の周縁部に設けられたシール材6と、一方の透明基板2に設けられた張出領域3に引き出された複数の引出配線7とを備え、少なくとも複数の引出配線7上の一部に、配向膜4から離隔して配向膜4と同一材料からなる配線保護膜8が設けられており、配線保護膜8は、一部がシール材6と重なっている重なり部8aを有するとともに、張出領域3側に位置する他方の透明基板2の外周よりも外側に位置するように重なり部8aから張出領域3に延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、デジタルカメラあるいは携帯型情報端末などの様々な用途に用いられる液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、互いに対向して配置されているとともに、一方の透明基板の外周部が他方の透明基板の外周から張り出した張出領域を有する一対の透明基板のそれぞれの対向面に配向膜が設けられ、周縁部に一対の透明基板を貼り合わせるシール材を備えており、配向膜同士の間に液晶が配設されている。そして、透明基板上に駆動用半導体素子と電気的に接続するために表示領域から張出領域にかけて引出配線が設けられており、シール材から離隔した領域の引出配線の上に、引出配線を保護するために配向膜と同一材料からなる配線保護膜が設けられている。このような液晶表示装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−118429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記液晶表示装置は、一対の透明基板からなるマザーガラスから製造されるが、一方の透明基板の外周部が他方の透明基板の外周から張り出した張出領域を形成するために、他方の透明基板は引出配線が設けられている領域の上方で分断される。引出配線の上にはシール材から離隔した領域に配線保護膜が設けられているが、他方の透明基板の分断ラインに沿った領域には配線保護膜が設けられていない。したがって、他方の透明基板が分断ラインに沿って分断される際に一方の透明基板に設けられた引出配線にクラック等が発生しやすいという問題があった。なお、張出領域は、一方の透明基板の外周部が他方の透明基板の外周から張り出すように他方の透明基板の所定の位置を分断することによって形成される。そして、分断ラインは一対の透明基板を所定の大きさに分断する位置に設定される。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、マザーガラスから液晶表示装置の張出領域を形成するために分断ラインに沿って分断する際に、引出配線にクラック等が発生するのを抑制することができる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明における液晶表示装置は、互いに対向して配置されて表示領域を有するとともに、一方の外周部に他方の外周から外側に張り出した張出領域を有する一対の透明基板と、前記一対の透明基板のそれぞれの対向面に設けられた、配向処理が施された配向膜と、前記一対の透明基板の前記配向膜同士の間に配設された液晶と、前記一対の透明基板の周縁部に設けられた、前記一対の透明基板を貼り合わせるシール材と、一方の前記透明基板の他方の前記透明基板と対向する側の面に設けられた、前記表示領域から前記張出領域に引き出された複数の引出配線とを備えた液晶表示装置において、少なくとも前記複数の引出配線上の一部に、前記配向膜から離隔した、前記配向膜と同一材料からなる配線保護膜が設けられており、前記配線保護膜は、平面透視して一部が前記シール材と重なっている重なり部を有するとともに、前記張出領域側に位置する他方の前記透明基板の外周よりも外側に位置するように前記重なり部から前記張出領域に延在して
いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液晶表示装置は、マザーガラスから液晶表示装置を分断する際に、引出配線にクラック等が発生するのを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る液晶表示装置であって、(a)は、液晶表示装置の平面図、(b)は、(a)の液晶表示装置のB部の拡大図である。
【図2】図1に示す液晶表示装置のシール材、透明基板と配線保護膜との位置関係を示す平面図である。
【図3】図1に示す液晶表示装置をA−Aで切断した断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る変形例1の液晶表示装置であって、(a)は、液晶表示装置の平面図、(b)は、(a)の液晶表示装置のC部の拡大図である。
【図5】第1の実施の形態に係る変形例2の液晶表示装置の断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る液晶表示装置の他の例を示す平面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る液晶表示装置の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態1>
以下、本発明の第1の実施の形態に係る液晶表示装置1について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
【0010】
実施の形態1に係る液晶表示装置1は、図1に示すような構成であり、互いに対向して配置されて表示領域を有するとともに、一方の外周部に他方の外周から外側に張り出した張出領域3を有する一対の透明基板2と、一対の透明基板2のそれぞれの対向面に設けられた、配向処理が施された配向膜4と、一対の透明基板2の配向膜4同士の間に配設された液晶5と、一対の透明基板2の周縁部に設けられた、一対の透明基板2を貼り合わせるシール材6と、一方の透明基板2の他方の透明基板2と対向する側の面に設けられた、表示領域から張出領域3に引き出された複数の引出配線7とを備えた液晶表示装置1において、少なくとも複数の引出配線7上の一部に、配向膜4から離隔した、配向膜4と同一材料からなる配線保護膜8が設けられており、配線保護膜8は、平面透視して一部がシール材6と重なっている重なり部8aを有するとともに、張出領域3側に位置する他方の透明基板2の外周よりも外側に位置するように重なり部8aから張出領域3に延在している。
【0011】
液晶表示装置1は、図1乃至図3に示すように、互いに対向して配置されて、画像表示の際に画像が表示される表示領域を有し、第1の透明基板2aの外周部に第2の透明基板2bの外周から外側に張り出した張出領域3を有する一対の透明基板2を備えている。なお、張出領域3は、図2に示すように、第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3に沿って分断することによって第1の透明基板2aの外周部に形成される。
【0012】
液晶表示装置1は、第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3に沿って分断することによって第1の透明基板2aの外周部に張出領域3を形成しているが、張出領域3の形態はこれに限定されない。例えば、第1の分断ラインのみを設定して第1の透明基板2aの外周部に張出領域3を形成する形態であってもよい。
【0013】
第1の透明基板2aの第2の透明基板2bとの対向面上には、複数のゲート配線、ゲート絶縁膜、複数のソース配線、複数の薄膜トランジスタ、透明電極9等が設けられている。また、透明電極9は、図3に示すように、画素電極9a、共通電極9bである。
【0014】
透明基板は、例えば、ガラス、プラスチック等の透光性を有する材料からなる。第1の透明基板2aおよび第2の透明基板2bの対向面の反対の外側面には偏光板が配設され、また、第1の透明基板2a側の偏光板の外側には光源装置が配設される。
【0015】
液晶表示装置1では、第1の透明基板2aに設けられた画素電極9aと共通電極9bとの間で電界を発生させて液晶5中の液晶分子の方向を制御する横電界方式を採用しているが、この方式に限定されるものではなく、例えば、第1の透明基板2aおよび第2の透明基板2bにそれぞれ透明電極を設けた縦電界方式を採用してもよい。
【0016】
液晶表示装置1は、例えば、第1の透明基板2aとなる画素内に薄膜トランジスタが形成されたアレイ基板および第2の透明基板2bとなるカラーフィルタ基板からなる一対のガラス基板からなる透明基板2からなり、一対の透明基板2の周縁部に沿って配置されたシール材6を介して一体化して構成されている。シール材6の幅は、例えば、300(μm)〜3000(μm)である。なお、一対の透明基板2の間隔、すなわち、アレイ基板とカラーフィルタ基板とのギャップ間隔は、例えば、2(μm)〜8(μm)である。
【0017】
一対の透明基板2のそれぞれの対向面には、表示領域に配向処理が施された配向膜4が設けられており、配向膜4同士の間には液晶5が配設されている。配向膜4は、シール材6から離隔してシール材6の内側に設けられている。なお、配向膜4は、第1の透明基板2aおよび第2の透明基板2bに、配向膜4の形成領域に対応する所定のパターンを有する印刷版を用いた印刷法によって設けられ、印刷の後に、180(℃)〜240(℃)で数時間焼成される。配向膜4は、例えば、ポリイミド樹脂等の材料からなる。また、配向膜4の膜厚は、例えば、0.04(μm)〜0.1(μm)である。
【0018】
配向膜4を形成する印刷版は、細かい凹凸部が無数に形成されている。配向膜4は、この細かい凹凸部の間に保持された配向膜4の材料を第1の透明基板2aおよび第2の透明基板2bに転写することによって設けられる。
【0019】
また、配向膜4は、液晶5の液晶分子を一定方向に配列させるために、ラビング布が設けられたラビングローラを回転させることによって第1の透明基板2aおよび第2の透明基板2bに設けられた配向膜4上を一定の方向に擦る配向処理が施されている。
【0020】
一対の第1の透明基板2aには、図1に示すように、第2の透明基板2bと対向する側の面に表示領域から張出領域3の半導体素子搭載11まで引き出された複数の引出配線7が所定のパターンで設けられている。引出配線7は、液晶表示装置1を駆動するための電圧が印加される配線であり、例えば、ゲート配線、ソース配線、共通電極等に接続されている。
【0021】
また、液晶表示装置1では、2箇所の半導体素子搭載部11aおよび半導体素子搭載部11b、第1のフレキシブル基板搭載部12aが張出領域3に設けられている。半導体素子搭載部11aとフレキシブル基板搭載部12aの間は配線によって電気的に接続されている。また、半導体素子搭載部11bとフレキシブル基板搭載部12aの間を電気的に接続するために張出領域3内を引き回された引回配線13が設けられている。なお、引回配線13は、引出配線7と同じ層で設けても異なる層で設けてもよい。
【0022】
液晶表示装置1では、図1に示すように、引回配線13は、半導体素子搭載部11bとフレキシブル基板搭載部12aの間を引き回される際に張出領域3内で直角に屈曲するように引き回されているが、これに限定されない。引回配線13は、例えば、半導体素子搭載部11bとフレキシブル基板搭載部12aの間を引き回される際に張出領域3内で引出配線7に沿って設けられ、第2の透明基板2bの角部の周辺部で斜めに屈曲するように引
き回されていてもよい。
【0023】
また、引出配線7の上には絶縁膜10が設けられている。絶縁膜10の上に、有機絶縁膜を形成してもよい。絶縁膜10は、例えば、窒化ケイ素、酸化ケイ素等の材料からなる。絶縁膜10の厚みは、例えば、0.1(μm)〜1.0(μm)である。なお、絶縁膜10は、単層で形成されているが、これに限らず、複数層で形成されてもよい。
【0024】
また、引出配線7および引回配線13は、導電性を有する材料からなり、例えば、アルミニウム、モリブデン、チタン、ネオジウム、クロム、銅等またはこれらを含む合金からなる。なお、引出配線7および引回配線13は、これらの導電性材料を積層させた構造でもよい。液晶表示装置1の高精細化に伴い、引出配線7の線幅も狭くなっており、例えば、2(μm)〜10(μm)である。また、引出配線7は、例えば、0.1(μm)〜1(μm)の厚みを有している。引回配線13の線幅は、例えば、2(μm)〜10(μm)である。また、引回配線13は、例えば、0.1(μm)〜1(μm)の厚みを有している。
【0025】
第1の透明基板2aは、図3に示すように、半導体素子搭載部11およびフレキシブル基板搭載部12で絶縁膜10にそれぞれスルーホールが形成され、スルーホール部にはITO等の導電層が形成されて接続パッド部が設けられている。
【0026】
そして、半導体素子搭載部11には、液晶表示装置1のゲート配線、ソース配線等の駆動を制御する駆動用の半導体素子が導電性接合材料を介して接続パッド部に電気的に接続される。また、フレキシブル基板搭載部12には、駆動用の半導体素子を駆動する電圧を印加するフレキシブル基板が導電性接合材料を介して接続パッド部に電気的に接続される。
【0027】
液晶表示装置1は、少なくとも複数の引出配線7上の一部に、配向膜4と同一材料からなる配線保護膜8が設けられている。そして、配線保護膜8は、配向膜4から離隔して設けられ、平面透視して一部がシール材6と重なっている重なり部8aを有している。そして、配線保護膜8は、張出領域3側に位置する第2の透明基板の外周よりも外側に位置するように重なり部8aから張出領域3に延在している。例えば、配線保護膜8は、重なり部8aから半導体素子搭載部11aおよび半導体素子搭載部11bの付近まで延在して設けられている。
【0028】
また、配線保護膜8は、図2に示すように、第1の分断ライン2b2と第2の分断ライン2b3とが交差する第2の透明基板2bの角部の外側を含んだ領域に設けられている。第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3の交差部周辺の張出領域3側に引回配線13が位置している場合には、引回配線13は角部の外側周辺部に設けられた配線保護膜8によって保護性が向上する。
【0029】
また、第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3に沿って液晶表示装置1を分断する際に分断ラインからずれて分断されても、また、配線保護膜8を印刷する際に印刷ずれが生じても、第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3の交差部周辺では、配線保護膜8が角部の周辺部を含んで張出領域側に設けられているため、引出配線7を十分に保護することができる。
【0030】
第2の透明基板の端面2b1から配線保護膜8の端までの距離Yは、図3に示すように、液晶表示装置1を第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3で分断する際の分断工程のプロセス交差を考慮して、例えば、200(μm)以上に設定されている。また、重なり部8aの距離Xは、図3に示すように、同様に分断工程のプロセス交差を考
慮して、例えば、200(μm)〜1000(μm)に設定されている。
【0031】
配線保護膜8は、図3に示すように、第2の透明基板の端面2b1よりも第1の透明基板2aの張出領域3側に延在するように設けられているため、第2の透明基板の端面2b1から下方への延長線上には配線保護膜8が設けられることになる。すなわち、配線保護膜8は、図2に示すように、平面透視して第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3が配線保護膜8の内側に位置するように設けられている。
【0032】
また、配線保護膜8は、配線保護膜8の形成領域に対応する所定のパターンを有する印刷版を用いた印刷法によって設けられる。なお、配線保護膜8は、第1の透明基板2aに配向膜4と同一材料、例えば、ポリイミド樹脂を用いて同一工程で同時に形成され、印刷の後に同時に焼成される。印刷版は、同一材料を用いて同一工程で同時に配向膜4および配線保護膜8を形成するために、配向膜4の形成領域に対応する所定のパターンおよび配線保護膜8の形成領域に対応する所定のパターンを有している。配線保護膜8は、配向膜4と同一材料および同一工程で形成されるため、製造プロセスを増加せずに設けることができる。
【0033】
液晶表示装置1は、張出領域3を形成するために第1の分断ライン2b2および第2の分断ラインに沿って分断されるが、分断時の衝撃が第1の透明基板2aに対して発生しやすく、引出配線7上には絶縁膜10が設けられているものの、分断時の衝撃によって引出配線7にクラック等が発生したり、液晶表示装置1の高精細化に伴い配線幅が狭くなり断線等が発生したりする虞がある。
【0034】
しかしながら、液晶表示装置1では、配線保護膜8が、引出配線7を保護するために配線保護膜8の一部がシール材と重なるとともに、張出領域3側に位置する第2の透明基板の端面2b1よりも外側に位置するように設けられている。すなわち、液晶表示装置1は、第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3の下方に位置する第1の透明基板2aの部分に配線保護膜8が設けられているため、分断時の衝撃によって引出配線7にクラックや断線等が発生するのを抑制することができる。したがって、引出配線7に対する配線保護性が向上する。また、分断工程以後の工程で引出配線7が傷つくのを抑制することができる。なお、分断時の衝撃は、分断はガラス基板をダイヤモンドなどの超硬材を用いてガラス基板に切断線を引っかき、引っかいた部分を叩くことで発生する。
【0035】
また、配線保護膜8は、第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3に沿って分断する際の分断工程のプロセス交差を考慮して設けられているので、第1の分断ライン2b2及び第2の分断ライン2b3からずれて液晶表示装置1が分断されたとしても引出配線7を保護することができる。
【0036】
配向膜4は、液晶5の液晶分子を配列させるためにラビングローラによって配向処理が施されているが、液晶表示装置1では、配線保護膜8は配向膜4と同様の配向処理を施してもよい。すなわち、配線保護膜8は、一対の透明基板2の対向面に設けられた配向膜4と同一工程で同時に配向処理が施される。配線保護膜8の厚みは、例えば、0.02(μm)〜0.3(μm)である。
【0037】
配線保護膜8は、配向処理が施されることによって配線保護膜8の表面が擦られるため、表面に微細な凹凸が形成される。これによって、配線保護膜8は、シール材6との重なり部8a部分の接着性が向上する。したがって、接着性が向上することによって、配線保護膜8とシール材6との界面における剥がれが生じにくくなる。これによって、液晶表示装置1は信頼性を向上させることができる。
【0038】
また、液晶表示装置1では、配線保護膜8の厚みは、配向膜4の厚みよりも厚くしてもよい。配線保護膜8の厚みが、配向膜4の厚みよりも厚く設けられることによって、さらに、分断時の衝撃を受けにくくなり、引出配線7のクラック等の発生を抑制することができる。また、製造プロセス中のクラック等に対する引出配線7の保護性が向上する。
【0039】
印刷版は、細かい凹凸部が無数に形成されており、この凹凸部の間に保持される材料を転写するが、凹凸部の間に保持される材料の保持量は、印刷版の全面積に対する凸部の占有率が小さくなると増加し、大きくなると減少する。印刷版の全面積に対する凸部占有率が、配向膜4が形成される領域では大きく、配線保護膜8が形成される領域では小さくなるような印刷版を用いることによって、膜厚の異なる配向膜4および配線保護膜8を同時に設けることができる。
【0040】
このような印刷版を用いて、配向膜4の材料を第1の透明基板2aの配向膜4の形成領域および配線保護膜8の形成領域に印刷すると、配向膜4の材料の保持量が配向膜4の形成領域では小さく、配線保護膜8の形成領域では大きいため、第1の透明基板2aに配向膜4よりも膜厚の厚い配線保護膜8を同一工程で同時に印刷することができる。
【0041】
本発明は上述の第1の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。以下、第1の実施の形態の変形例について説明する。なお、第1の実施の形態の変形例に係る液晶表示装置のうち、第1の実施形態に係る液晶表示装置1と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0042】
<実施の形態1の変形例1>
以下、第1の実施の形態に係る変形例1の液晶表示装置1Aについて、図4を参照しながら説明する。
【0043】
液晶表示装置1Aは、図4に示すような構成であり、第1の実施の形態の液晶表示装置1と比較して、第1の透明基板2aに設けられる配線保護膜8の形成領域が異なっている。
【0044】
液晶表示装置1Aは、図4に示すように、第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3の下方に位置する第1の透明基板2aの領域にも配線保護膜8が設けられている。すなわち、配線保護膜8は、第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3に沿って第1の透明基板2aの外周部まで設けられている。
【0045】
このような構成にすることによって、第1の透明基板2aにおいて、配線保護膜8は引出配線7の上に設けられるとともに、張出領域3の引回配線13の上にも設けられることになる。したがって、第1の分断ライン2b2および第2の分断ライン2b3に沿った部分に位置する引回配線13は、引出配線7と同様に分断時の衝撃によってクラックや断線等の発生が抑制される。したがって、配線保護膜8によって引回配線13の保護性が向上する。また、分断工程以後の工程で引回配線13が傷つくのを抑制することができる。
【0046】
また、配線保護膜8は、第1の透明基板2aの外周よりも内側に位置するように設けてもよい。これによって、マザーガラスから一対の透明基板2を分断する際に配線保護膜8が破損しにくくなる。
【0047】
<実施の形態1の変形例2>
以下、第1の実施形態に係る変形例2の液晶表示装置1Bについて、図5を参照しながら説明する。
【0048】
液晶表示装置1Bは、図5に示すような構成であり、液晶表示装置1または液晶表示装置1Aは配線保護膜8が露出しているのに対して、変形例2の液晶表示装置1Bは、第1の透明基板2aに設けられている配線保護膜8を封止するように第2の透明基板の端面2b1から第1の透明基板2aの対向面にかけて封止樹脂14が設けられている。また、第1の透明基板2bの外周部に配線保護膜8が設けられている場合には同様に配線保護膜8の部分にも封止樹脂14が設けられる。すなわち、液晶表示装置1Bは、液晶表示装置1または液晶表示装置1Aの第1の透明基板2aに設けられている配線保護膜8を封止するように封止樹脂14で封止されている。
【0049】
液晶表示装置1Bは、配線保護膜8が封止樹脂14で封止されているため、配線保護膜8からシール材を経由して水分等が表示領域に侵入するのを抑制することができる。これによって、液晶表示装置1Bは信頼性が向上する。
【0050】
また、液晶表示装置1Aにおいて、配線保護膜8は、第1の透明基板2aの外周よりも内側に位置するように設けてもよい。なお、第1の透明基板2aの外周より内側の位置は、第1の透明基板2aの外周と最も外側に位置する引回配線13との間であって、最も外側の引回配線13の上に配線保護膜8が配設されるような位置である。
【0051】
これによって、配線保護膜8が第1の透明基板2aの外周よりも内側に位置するため、封止樹脂14は配線保護膜8を封止しやすくなり、配線保護膜8は、一対の透明基板2の外周から露出することなく封止樹脂14によって封止される。したがって、配線保護膜8から水分等が表示領域に侵入するのを抑制することができる。
【0052】
本発明は、上述した実施の形態および変形例に特に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更および改良が可能である。
【0053】
液晶表示装置1は、張出領域3に半導体素子が搭載される構成であるが、図6に示すように、張出領域3に半導体素子を搭載することなく、第1のフレキシブル基板搭載部12aおよび第2のフレキシブル基板搭載部12bを有し、引出配線7とフレキシブル基板搭載部12とが直接接続されている構成の液晶表示装置1Cであってもよい。
【0054】
また、図7に示すように、張出領域3に半導体素子が搭載されるとともに、例えば、ゲート用半導体素子が内蔵されて引回配線13がフレキシブル基板搭載部12aに電気的に接続されている構成の液晶表示装置1Dであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1、1A、1B、1C、1D 液晶表示装置
2 透明基板
2a 第1の透明基板
2b 第2の透明基板
2b1 第2の透明基板の端面
2b2 第1の分断ライン
2b3 第2の分断ライン
3 張出領域
4 配向膜
5 液晶
6 シール材
7 引出配線
8 配線保護膜
8a 重なり部
9 透明電極
9a 画素電極
9b 共通電極
10 絶縁膜
11 半導体素子搭載部
11a 第1の半導体素子搭載部
11b 第2の半導体素子搭載部
12 フレキシブル基板搭載部
12a 第1のフレキシブル基板搭載部
12b 第2のフレキシブル基板搭載部
13 引回配線
14 封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置されて表示領域を有するとともに、一方の外周部に他方の外周から外側に張り出した張出領域を有する一対の透明基板と、前記一対の透明基板のそれぞれの対向面に設けられた、配向処理が施された配向膜と、前記一対の透明基板の前記配向膜同士の間に配設された液晶と、前記一対の透明基板の周縁部に設けられた、前記一対の透明基板を貼り合わせるシール材と、一方の前記透明基板の他方の前記透明基板と対向する側の面に設けられた、前記表示領域から前記張出領域に引き出された複数の引出配線とを備えた液晶表示装置において、
少なくとも前記複数の引出配線上の一部に、前記配向膜から離隔した、前記配向膜と同一材料からなる配線保護膜が設けられており、前記配線保護膜は、平面透視して一部が前記シール材と重なっている重なり部を有するとともに、前記張出領域側に位置する他方の前記透明基板の外周よりも外側に位置するように前記重なり部から前記張出領域に延在していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置であって、
前記配線保護膜は、前記配向膜と同様の配向処理が施されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置であって、
前記配線保護膜の厚みは、前記配向膜の厚みよりも厚いことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液晶表示装置であって、
前記配線保護膜を封止するように前記他方の透明基板の端面から前記一方の透明基板の対向面にかけて封止樹脂が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−50472(P2013−50472A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186675(P2011−186675)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】