説明

液晶表示装置

【課題】表示品位の良好な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】走査線GLと、走査線GLと交差する信号線SLと、信号線SLが延びる方向に延び走査線GLが延びる方向に並んで配置された複数の櫛歯画素電極PE1〜PE3を含む画素電極PEと、複数の櫛歯画素電極PE1〜PE3の間において信号線SLが延びる方向に延び、櫛歯画素電極PE1〜PE3と所定のスペースを置いて配置された複数の櫛歯共通電極CE1〜CE4を含む共通電極CEと、少なくとも信号線SLと信号線SLの近傍に配置された櫛歯画素電極PE1、PE3との間に配置され、共通電極CEと同じ電圧が印加された遮光部COM1と、を備えた第1基板101と、第1基板101と対向して配置された第2基板102と、第1基板101と第2基板102との間に挟持された液晶層LQと、を備えた液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置が盛んに開発されており、中でも液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を生かして、各種分野に適用されている。このような液晶表示装置は、一対の基板間に液晶層を保持した構成であり、画素電極と共通電極との間の電界によって液晶層を通過する光に対する変調率を制御し、画像を表示するものである。
【0003】
液晶表示装置は、一対の基板の基板面と略直交する方向の縦電界を液晶層に印加して液晶の配向状態を制御する方式と、一対の基板の基板面と略平行な方向の横電界(フリンジ電界も含む)を液晶層に印加して液晶の配向状態を制御する方式とが知られている。
【0004】
横電界を利用した液晶表示装置は、広視野角化の観点から特に注目されている。In-Plane Switching(IPS)モードや、Fringe Field Switching(FFS)モードなどの横電界方式の液晶表示装置は、第1基板に形成された画素電極と共通電極とを備えている。
【0005】
IPSモードの液晶表示装置では、画素電極と共通電極とが間隔を置いて基板面の略平行な方向に並んで配置され、画素電極と共通電極との間に生じる横電界により液晶分子の配向状態が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−8965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
IPSモード等の横電界を利用する液晶表示装置では、信号線からの漏れ電界の影響により、信号線近傍においてクロストークが発生することがあった。このクロストークによる表示品位の劣化を回避するために、信号線の下層に遮光層としてフローティングメタルを配置すると、遮光層の幅が大きくなり開口率が低下し、表示品位が低下する場合があった。
【0008】
本発明の実施形態は上記事情を鑑みて成されたものであって、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、走査線と、前記走査線と交差する信号線と、前記信号線が延びる方向に延び前記走査線が延びる方向に並んで配置された複数の櫛歯画素電極を含む画素電極と、前記複数の櫛歯画素電極の間において前記信号線が延びる方向に延び、前記櫛歯画素電極と所定のスペースを置いて配置された複数の櫛歯共通電極を含む共通電極と、少なくとも前記信号線と前記信号線の近傍に配置された前記櫛歯画素電極との間に配置され、前記共通電極と同じ電圧が印加された遮光部と、を備えた第1基板と、前記第1基板と対向して配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された液晶層と、を備えた液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一実施形態の液晶表示装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、一実施形態の液晶表示装置の表示画素の一構成例を概略的に示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態の液晶表示装置の表示画素の一構成例を説明するための図である。
【図4】図4は、第2実施形態の液晶表示装置の表示画素の一構成例を説明するための図である。
【図5】図5は、第1実施形態および第2実施形態の液晶表示装置について、電界遮蔽効果の一例を説明するための図である。
【図6】図6は、第3実施形態の液晶表示装置の表示画素の一構成例を説明するための図である。
【図7】図7は、第4実施形態の液晶表示装置の表示画素の一構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態の液晶表示装置について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に第1実施形態の液晶表示装置1の一構成例を概略的に示す。本実施形態に係る液晶表示装置1は、ノーマリブラックのIPSモードの液晶表示装置であって、互いに対向する一対の基板、すなわち第1基板101および第2基板102と、第1基板101と第2基板102との間に挟持された液晶層(図示せず)と、マトリクス状に配置された表示画素PXを含む表示部110と、を備えている。
【0013】
第1基板101および第2基板102は、光透過性絶縁基板であって、例えばガラス基板である。
【0014】
第1基板101は、表示部110において、表示画素PXが配列する行方向(第2方向)D2に沿って延びた複数の走査線GLと、表示画素PXが配列する列方向(第1方向)D1に沿って延びた複数の信号線SLと、走査線GLと信号線SLとの交差位置近傍に配置された画素スイッチSWと、各表示画素PXに配置された複数の画素電極PEと、複数の画素電極PEとの間に横電界を形成するように配置された共通電極CEと、を備えている。
【0015】
第1基板101上には、表示部110の周囲の領域にゲートドライバ121とソースドライバ122とが配置されている。複数の走査線GLは、表示部110の周囲の領域に延びてゲートドライバ121に接続されている。複数の信号線SLは、表示部110の周囲の領域に延びてソースドライバ122に接続されている。
【0016】
ゲートドライバ121は、複数の走査線GLを順次駆動して、走査線GLに接続された画素スイッチSWのソース−ドレイン間を導通させる。ソースドライバ122は、複数の信号線SLに映像信号を供給する。信号線SLに供給された映像信号は、対応する画素スイッチを介して画素電極PEに供給される。共通電極CEには、コモン配線COMを介して共通電圧が供給される。
【0017】
図2に、表示画素PXの一構成例を説明するための平面図を示す。
信号線SLと走査線GLとは交差するように延びている。画素スイッチSWは例えばアモルファスシリコンの半導体層SCを含む薄膜トランジスタである。なお画素スイッチSWはポリシリコンの半導体層を含む薄膜トランジスタであってもよい。画素スイッチSWのゲート電極GEは、対応する走査線GLに電気的に接続されている(あるいは一体に形成されている)。画素スイッチSWのソース電極SEは、対応する信号線SLに電気的に接続されている(あるいは一体に形成されている)。本実施形態に係る液晶表示装置1では、画素スイッチSWが2つのソース電極を備えている。画素スイッチSWのドレイン電極DEは、コンタクトホールCH1を介して対応する画素電極PEに接続されている。
【0018】
画素電極PEは、列方向D1における一方に配置された走査線GLによりゲート電位を制御される画素スイッチSWにより信号線SLとの電気的接続が切換られる。また、画素電極PEは、列方向D1における他方に配置された補助容量電極CsEとコンタクトホールCH3において電気的に接続されている。
【0019】
画素電極PEは例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明電極材料により櫛歯状に形成され、表示画素PXの配列する列方向D1と略平行に延びた複数の櫛歯画素電極PE1〜PE3を備えている。複数の櫛歯画素電極PE1〜PE3は表示画素PXの長手方向(列方向D1)の略中央部において屈曲し、「>」形状に延びている。
【0020】
共通電極CEは例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明電極材料により櫛歯状に形成され、表示画素PXの配列する列方向D1と略平行に延びた複数の櫛歯共通電極CE1〜CE4を備えている。複数の櫛歯共通電極CE1〜CE4は表示画素PXの長手方向(列方向D1)の略中央部において屈曲し、「>」形状に延びている。共通電極CEは、後述するコモン配線COMとコンタクトホールCH2において電気的に接続している。
【0021】
なお、図1において信号線SLは直線で記載されているが、図2に示すように信号線SLは画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3および共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4の形状と同様に、表示画素PXの長手方向の略中央部において屈曲して延びている。
【0022】
コモン配線COMは例えば走査線GLと同じ層において走査線GLが延びる方向(行方向D2)と略平行に延びて配置されている。コモン配線COMは行方向D2に並ぶ複数の表示画素PXに配置された共通電極CEと電気的に接続され、これらの共通電極CEへコモン電圧を印加している。
【0023】
また、信号線SLと、信号線SLの両脇に配置された櫛歯共通電極CE1、CE4との下層には遮光部COM1が配置されている。遮光部COM1にコモン配線COMと同じ電圧が印加されている。遮光部COM1は、後述する第2基板102の遮光層BMと共に表示画素PX間において光が透過することを防止するとともに、信号線SLからの漏れ電界を遮蔽している。
【0024】
補助容量電極CsEはコモン配線COMと対向して配置されている。補助容量電極CsEは信号線SLと同じ層に配置され、画素電極PEの1つの櫛歯画素電極PE2とコンタクトホールCH3により電気的に接続されている。補助容量電極CsEとコモン配線COMとの間で補助容量Csが形成される。
【0025】
画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3と、共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4とは、表示画素PXの配列する行方向D2において(あるいは信号線SLと略直交する方向において)、所定のスペースを置いて交互に配置されている。
【0026】
第2基板102は、表示部110において、信号線SLおよび走査線GLと対向するように格子状に配置された遮光層BMと、表示部110を囲むように配置された遮光層(図示せず)と、を備えている。また、カラー表示タイプの液晶表示装置である場合には、第2基板102はカラーフィルタ層(図示せず)を備える。
【0027】
カラーフィルタ層は、赤色の主波長の光を透過する赤色カラーフィルタ(図示せず)と、緑色の主波長の光を透過する緑色カラーフィルタ(図示せず)と、青色の主波長の光を透過する青色カラーフィルタ(図示せず)と、を備えている。複数色のカラーフィルタは、それぞれが1つの画素電極PEと対向するように配置される。
【0028】
第1基板101および第2基板102上には、液晶層を介して対向した一対の配向膜(図示せず)が配置されている。配向膜の表面は、液晶層に含まれる液晶分子の初期配向状態を規制するために、所定の方向にラビング処理や光学配向処理等の配向処理が成されている。櫛歯画素電極PE1〜PE3へ供給される映像信号と、櫛歯共通電極CE1〜CE4へ供給される共通電圧との電位差により生じる横電界により、液晶層の配向状態が制御される。
【0029】
図3は、図2の線III−IIIにおいて、本実施形態の液晶表示装置1の一構成例を説明する断面図である。線III−IIIは櫛歯画素電極PE1〜PE3および櫛歯共通電極CE1〜CE4が延びる方向と略直交する方向である。なお、図3では、遮光部COM1と、画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3と、共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4と、信号線SLと、遮光層BMとを図示し、その他の構成の記載を省略している。
【0030】
線III−IIIが延びる方向において、櫛歯画素電極PE1〜PE3および櫛歯共通電極CE2〜CE3の幅は略3μmであり、信号線SLの両脇に配置された櫛歯共通電極CE1、CE4の幅は略3μmであり、櫛歯信号線SLの幅は略3μmである。
【0031】
遮光部COM1の幅は略16μmである。遮光部COM1は、櫛歯共通電極CE1、CE4と信号線SLとの下層に配置されている。線III−IIIが延びる方向において、遮光部COM1の両端部は櫛歯共通電極CE1と櫛歯画素電極PE1との間、櫛歯共通電極CE4と櫛歯画素電極PE3との間に位置している。遮光部COM1は共通電極CEと同電位である。この遮光部COM1を信号線SLと対向するように配置することにより、信号線SLからの漏れ電界を遮ることが出来るとともに、信号線SL近傍を遮光することができる。
【0032】
図5は、本実施形態の液晶表示装置1について、電界遮蔽効果の一例を説明するための図である。図5に示すグラフの横軸は線III−IIIと略平行な方向における表示画素PXの位置[μm]であり、縦軸は透過率であって、信号線SLの中心の位置を矢印で示している。
【0033】
図5では、比較のために遮光部COMを配置しない場合の透過率と遮光部COM1を配置した場合の透過率とを示し、本実施形態で遮光部COM1の端部が配置された位置近傍の透過率を拡大して示している。図5に示す例は黒表示をした際の透過率である。
【0034】
いずれの場合も信号線SLの近傍における透過率は他の領域よりも高くなり、信号線SLから離れるに従って透過率が低下している。本実施形態で遮光部COM1の端部が配置された位置近傍の透過率を比較すると、遮光部COM1を配置した場合の透過率は遮光部COM1を配置しない場合の透過率よりも低くなっている。
【0035】
このように、本実施形態では共通電極CEと同じ電位の遮光部COM1を信号線SLの下層に配置することにより、信号線SLからの漏れ電界を遮蔽することができ、遮光部として電圧が印加されない部材を配置する場合と比較して、その幅を小さくすることが出来る。したがって、本実施形態によれば、開口率が低下することを回避し、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0036】
なお、遮光部COM1は、信号線SLからの漏れ電界を遮蔽するために十分な幅を有していることが望ましい。一方で、遮光部COM1の幅を大きくすると開口率が低下するため、漏れ電界を遮蔽することが出来る効果と開口率とを考慮して遮光部COM1の幅を設計することが望ましい。
【0037】
また、IPSモード等の横電界を利用する液晶表示装置では、画面を押圧すると液晶の配向状態が乱れる。大きな電界が印加された領域は、押圧により液晶の配向状態が乱れた場合、押圧をやめた後でも液晶の配向状態が元に戻らないドメインが発生することがあった。すなわち、遮光部COM1と櫛歯画素電極PE1、PE3との距離が小さい場合には局所的に大きな電界が印加される領域が発生する場合があった。この領域では押圧によりドメインが発生しやすくなり、表示画素PXにおいて液晶の配向状態が制御されない部分ができるため、表示ムラや輝度の低下を招き、表示品位が低下する恐れがあった。
【0038】
遮光部COM1と櫛歯画素電極PE1、PE3との間のスペース幅WAを大きくすると押圧によるドメインの発生を抑制することができるが、電極を移動できる幅は表示画素の幅により制限され、櫛歯画素電極PE1〜PE3と櫛歯共通電極CE1〜CE4と間のスペース幅W2〜W5が狭くなると同様に押圧によるドメインが発生しやすくなる。
【0039】
そこで本実施形態では、遮光部COM1を配置して信号線SLからの漏れ電界を十分遮蔽して開口率の低下を抑制し、かつ、遮光部COM1と櫛歯画素電極PE1、PE3との間のスペース幅WAを大きくして、表示画素PX全体における押圧によるドメインの発生を抑制できるようにしている。
【0040】
図3に示した例では、遮光部COM1と櫛歯画素電極PE1、PE3との間のスペース幅WAは4.5μm以上9μm以下であることが望ましい。
【0041】
遮光部COM1の幅およびスペース幅WAを十分大きくし、かつ、表示画素PX全体における押圧によるドメインの発生を抑制した結果、本実施形態では、線III−IIIが延びる方向において、画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3と、共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4との間のスペース幅が、画素中央部と画素端部とで異なっている。
【0042】
本実施形態では、線III−IIIが延びる方向において信号線SL近傍の櫛歯画素電極PE1、PE3と櫛歯共通電極CE1、CE4との間のスペース幅W1、W6は、行方向D2において隣り合う信号線SL間の中央部における櫛歯画素電極PE1〜PE3と櫛歯共通電極CE2、CE3との間のスペース幅W2、W3、W4、W5よりも大きい。
【0043】
ここで、線III−IIIが延びる方向において信号線SL近傍の櫛歯画素電極PE1、PE3と櫛歯共通電極CE1、CE4との間のスペース幅とは、画素スイッチSWを介して画素電極PEへ映像信号を供給する信号線SL側から1番目の櫛歯共通電極CE4と1番目の櫛歯画素電極PE3との間のスペース幅W6、および、4番目の櫛歯共通電極CE1と3番目の櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅W1である。
【0044】
なお、図3に示す例では、遮光部COM1の端部が櫛歯共通電極CE1、CE4と櫛歯画素電極PE1、PE3との間に位置しているため、スペース幅W1、W6は少なくともスペース幅WAよりも大きくなる。
【0045】
すなわち、各表示画素PXにおいて、隣の表示画素PXの画素電極PEへ映像信号を供給する信号線SLの脇に配置された櫛歯共通電極CE1と、櫛歯共通電極CE1の隣に並んで配置された櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅W1、および、自表示画素PXの画素電極PEへ映像信号を供給する信号線SLの脇に配置された櫛歯共通電極CE4と、櫛歯共通電極CE4の隣に並んで配置された櫛歯画素電極PE3との間のスペース幅W6は、櫛歯画素電極PE1と櫛歯共通電極CE2との間のスペース幅W2、櫛歯共通電極CE2と櫛歯画素電極PE2との間のスペース幅W3、櫛歯画素電極PE2と櫛歯共通電極CE3との間のスペース幅W4、および、櫛歯共通電極CE3と櫛歯画素電極PE3との間のスペース幅W5よりも大きい。なお、櫛歯共通電極CE1と櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅W1は、櫛歯画素電極PE3と櫛歯共通電極CE4との間のスペース幅W6と同一である。
【0046】
具体的には、本実施形態では、遮光部COM1と櫛歯画素電極PE1、PE3との間のスペース幅WAが略6μmであり、表示画素PXの端部におけるスペース幅W1、W6が略8μmである。これに対し、表示画素PXの中央部におけるスペース幅W2〜W5は略5μmである。
【0047】
このように、線III−IIIが延びる方向において、画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3と、共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4との間のスペース幅を、画素中央部よりも画素端部で大きくすることにより、遮光部COM1と櫛歯画素電極PE1、PE3との間のスペース幅WAを大きくすることが可能となる。遮光部COM1と櫛歯画素電極PE1、PE3との間のスペース幅WAを大きくすると、画素端部においてドメインが発生することを抑制することができる。したがって、本実施形態によればドメインの発生を抑制し、さらに表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0048】
次に、第2実施形態の液晶表示装置1について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において上述の第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
図4は、図2の線III−IIIにおいて、本実施形態の液晶表示装置1の一構成例を説明する断面図である。本実施形態の液晶表示装置は、遮光部COM1の構成が上述の第1実施形態と異なっている。
【0050】
遮光部COM1は、信号線SLの下層において、線III−IIIが延びる方向における信号線SLの両脇に配置され、信号線SLと対向する部分が除去されている。従って、遮光部COM1は信号線SLの両脇に配置された櫛歯共通電極CE1、CE4と対向して配置されている。信号線SLの両脇に配置された遮光部COM1はそれぞれ略5μmであって、信号線SLと対向する部分を含む幅略6μmが除去されている。
【0051】
このように信号線SLと対向する部分の遮光部COM1を除去すると、信号線SLと遮光部COM1との間に形成される絶縁膜の不良や静電気等により信号線SLと遮光部COM1とがショートすることを回避することができ、歩留まりを改善することが出来る。
【0052】
図5に、本実施形態の液晶表示装置1について電界遮蔽効果の一例を示す。本実施形態で遮光部COM1の端部が配置された位置近傍の透過率を比較すると、遮光部COM1を配置した場合の透過率は遮光部COM1を配置しない場合の透過率よりも低くなっている。なお、信号線SLと対向する位置を含み遮光部COM1が除去されている部分は、遮光層BMにより遮光されるため、他の部分よりも透過率が高くなっていても視認されることはない。
【0053】
このように、本実施形態では共通電極CEと同じ電位の遮光部COM1を信号線SLの下層において、信号線SLの両脇に配置することにより、信号線SLからの漏れ電界を遮蔽することができ、遮光部として電圧が印加されない部材を配置する場合と比較して、その幅を小さくすることが出来る。したがって、本実施形態によれば、開口率が低下することを回避し、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0054】
また本実施形態においても上述の第1実施形態と同様に、遮光部COM1と櫛歯画素電極PE1、PE3との間のスペース幅WAを大きくすることにより、本実施形態によればドメインの発生を抑制し、さらに表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0055】
次に、第3実施形態の液晶表示装置1について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において上述の第1実施形態および第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
図6は、図2の線III−IIIにおいて、本実施形態の液晶表示装置1の一構成例を説明する断面図である。本実施形態の液晶表示装置1は、櫛歯画素電極と櫛歯共通電極との構成が上述の第1実施形態および第2実施形態と異なっている。
【0057】
本実施形態では、線III−IIIと略平行な方向において、櫛歯画素電極と櫛歯共通電極との配置順が異なっている。すなわち、本実施形態では線III−IIIと略平行な方向において信号線SLの両脇には櫛歯画素電極が配置されている。
【0058】
すなわち、自表示画素PXの画素電極PEへ映像信号を供給する信号線SL側から隣の表示画素PXの画素電極PEへ映像信号を供給する信号線SL側に向かって、櫛歯画素電極PE4、櫛歯共通電極CE3、櫛歯画素電極PE3、櫛歯共通電極CE2、櫛歯画素電極PE2、櫛歯共通電極CE2、櫛歯画素電極PE1の順に配置されている。
【0059】
本実施形態では、線III−IIIと略平行な方向において、櫛歯画素電極PE2、PE3および櫛歯共通電極CE1〜CE3の幅は略3μmであり、櫛歯画素電極PE1、PE4の幅は略3μmである。また、線III−IIIと略平行な方向において、櫛歯画素電極PE1〜PE4と櫛歯共通電極CE1〜CE3との間のスペース幅W1〜W6は略5μmである。
【0060】
遮光部COM1は、信号線SLの下層において、信号線SLおよび櫛歯画素電極PE1、PE4と対向するように配置されている。
【0061】
本実施形態では、上述の第1実施形態と同様に、遮光部COM1を配置することにより信号線SLからの漏れ電界を遮蔽することができる。したがって、本実施形態によれば、開口率が低下することを回避し、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0062】
この例では、画素中央部と画素端部とにおける櫛歯画素電極PE1〜PE4と櫛歯共通電極CE1〜CE3との間のスペース幅が同じであり、画素端部に配置された櫛歯画素電極PE1、PE4と遮光部COM1との間のスペースWAは略2μmである。この場合、画素端部に配置された櫛歯画素電極PE1、PE4は遮光部COM1と対向して配置されているため、櫛歯画素電極PE1、PE4と遮光部COM1との間の強い電界によりドメインが発生した場合でも遮光部COM1により遮光された領域であるため視認されることはない。したがって、本実施形態によればドメインが視認されることを回避し、さらに表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0063】
次に、第4実施形態の液晶表示装置1について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において上述の第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図7は、図2の線III−IIIにおける、本実施形態の液晶表示装置1の一構成例を説明する断面図である。本実施形態の液晶表示装置1は、線III−IIIと略平行な方向において、信号線SLの両脇に配置された櫛歯共通電極CE1、CE4の構成が上述の第1実施形態と異なっている。
【0065】
本実施形態では、線III−IIIと略平行な方向における櫛歯共通電極CE1、CE4の幅が上述の第1実施形態よりも大きく、略7.5μmである。櫛歯共通電極CE1と櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅W1および櫛歯共通電極CE4と櫛歯画素電極PE3との間のスペース幅W6は、遮光部COM1と櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅WAよりも小さくなっている。
【0066】
この例では、櫛歯共通電極CE1と櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅W1および櫛歯共通電極CE4と櫛歯画素電極PE3との間のスペース幅W6は略2.5μmであり、遮光部COM1と櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅WAは略5μmである。すなわち、遮光部COM1は、信号線SLの下層において、櫛歯共通電極CE1、CE4の一部および信号線SLと対向するように配置されている。
【0067】
本実施形態では、上述の第1実施形態と同様に、遮光部COM1を配置することにより信号線SLからの漏れ電界を遮蔽することができる。したがって、本実施形態によれば、開口率が低下することを回避し、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0068】
また、本実施形態では遮光部COM1の端部よりも櫛歯共通電極CE1、CE4の端部が櫛歯画素電極PE1、PE3の近くに位置し、遮光部COM1からの電界が櫛歯共通電極CE1、CE4により遮蔽されるため、遮光部COM1と櫛歯画素電極PE1、PE3との間の強い電界によりドメインが発生することが抑制される。なお、この例では、遮光部COM1の端部と櫛歯共通電極CE1、CE4の端部との間のスペース幅(WA−W1)が2μm以上3.5μm以下とすることにより、遮光部COM1からの電界が遮蔽され強い電界によるドメインの発生を効果的に抑制することができた。したがって、本実施形態によればドメインの発生を抑制し、さらに表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0070】
例えば、第3実施形態および第4実施形態において、遮光部COM1は第1実施形態と同様に信号線SLと対向するように配置されていたが、第2実施形態のように信号線SLと対向する部分が除去され、信号線SLの両脇に配置されていてもよい。その場合であっても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0071】
PX…表示画素、GL…走査線、SL…信号線、SW…画素スイッチ、PE…画素電極、CE…共通電極、D1…列方向(第1方向)、D2…行方向(第2方向)、COM…コモン配線、COM1…遮光部、BM…遮光層、CsE…補助容量電極、Cs…補助容量、CH1〜CH3…コンタクトホールCH、PE1〜PE3…櫛歯画素電極、CE1〜CE4…櫛歯共通電極、101…第1基板、102…第2基板、110…表示部、121…ゲートドライバ、122…ソースドライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査線と、前記走査線と交差する信号線と、前記信号線が延びる方向に延び前記走査線が延びる方向に並んで配置された複数の櫛歯画素電極を含む画素電極と、前記複数の櫛歯画素電極の間において前記信号線が延びる方向に延び、前記櫛歯画素電極と所定のスペースを置いて配置された複数の櫛歯共通電極を含む共通電極と、少なくとも前記信号線と前記信号線の近傍に配置された前記櫛歯画素電極との間に配置され前記共通電極と同じ電圧が印加された遮光部と、を備えた第1基板と、
前記第1基板と対向して配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された液晶層と、を備えた液晶表示装置。
【請求項2】
前記遮光部は前記走査線と同層に配置されている請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記遮光部は前記信号線と対向するように配置されている請求項1または請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記遮光部は前記信号線が延びる方向と略直交する方向において前記信号線の両脇に配置され、
前記第2基板は前記信号線と対向する位置に配置された遮光層をさらに備える請求項1又は請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記櫛歯画素電極と前記櫛歯共通電極とは前記信号線が延びる方向と略直交する方向において交互に配置されるとともに、前記信号線の両脇に前記櫛歯共通電極が配置され、
前記信号線が延びる方向と略直交する方向において、前記信号線近傍に配置された前記櫛歯画素電極と前記櫛歯共通電極との間のスペース幅は、隣り合う前記信号線間の中央部における前記櫛歯画素電極と前記櫛歯共通電極との間のスペース幅よりも大きい請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記櫛歯画素電極と前記櫛歯共通電極とは前記信号線が延びる方向と略直交する方向において交互に配置されるとともに、前記信号線の両脇に前記櫛歯画素電極が配置され、
前記遮光部は前記信号線および前記信号線の両脇に配置された前記櫛歯画素電極と対向するように配置されている請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記櫛歯画素電極と前記櫛歯共通電極とは前記信号線が延びる方向と略直交する方向において交互に配置されるとともに、前記信号線の両脇に前記櫛歯共通電極が配置され、
前記信号線近傍に配置された前記櫛歯画素電極と前記櫛歯共通電極との間のスペース幅は、前記遮光部と前記信号線近傍に配置された前記櫛歯画素電極との間のスペース幅よりも小さい請求項1記載の液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−97190(P2013−97190A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240271(P2011−240271)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】