説明

液晶関連装置における圧着装置の押圧面間の平行度検出装置

【課題】 加圧ツールおよび圧着台の押圧面間に圧力測定フィルムを自動的に挿入し、両押圧面間で加圧された圧力測定フィルムを撮像位置に移動して撮像装置により撮像することにより、両押圧面間の平行度を自動的に効率的に検出する。
【解決手段】 フィルム自動巻取り装置25により圧力測定フィルム23の未加圧部分が自動的に使用位置24に繰り出される。使用位置に繰り出された未加圧部分が加圧ツール15および圧着台16の押圧面17,18間の加圧位置26に移動される。両押圧面間で加圧された測定フィルムの既加圧部分が撮像位置27に移動されて撮像装置28により撮像される。両押圧面間で加圧された測定フィルムの既加圧部分の撮像画像に関する情報が出力装置53に出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧着台上に載置された基板の圧着部材装着部に液晶駆動用IC、FPC基板、ACFテープ等の圧着部材を圧着する液晶関連圧着装置における圧着装置の押圧面間の平行度を検出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶関連圧着装置において、LCDガラス基板に液晶駆動用IC、または電子部品が複数搭載されたFPC基板等の圧着部材を熱圧着する熱圧着装置、またはLCDガラス基板上の部品装着部にテープ状の異方性導電膜(ACFテープ)を貼付するACF貼付装置等の圧着装置は、互いに対向する押圧面を有する加圧ツールおよび圧着台を備えている。液晶駆動用IC等の圧着部材を基板に熱圧着する熱圧着装置は、圧着部材が異方性導電材を介在して装着された基板の圧着部材装着部を圧着台上に載置した状態で、加熱された加圧ツールを下降させ、圧着部材を基板の圧着部材装着部に押圧して圧着する。圧着部材をLCDガラス基板に確実に熱圧着するためには、圧着台および加圧ツールの対向する押圧面の平行度が高く、かつ押圧面に磨耗や欠損がなく、LCDガラス基板および圧着部材が両押圧面により均一に加圧されることが必要となる。
【0003】
そこで従来から、加圧ツールおよび圧着台の対向する押圧面間の平行度の調整が行われ、調整の前段階として両押圧面間の平行度が測定されている。両押圧面間の平行度を測定するために、加圧ツールおよび圧着台の押圧面間に圧力測定フィルムを挿入した状態で、加圧ツールを圧着台に押圧し、フィルムの着色濃度の変化から両押圧面間の平行度を求めることが特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平10−246618号公報(第2頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加圧ツールおよび圧着台の押圧面間に圧力測定フィルムを手作業で挿入することは非効率的であり、特に液晶関連圧着装置の台数が多い場合は作業時間が長くなる不具合があった。また、測定結果を定量的に把握できなかったので、押圧面間の平行度を修正するための作業に正確に測定結果を用いることができなかった。
【0005】
本発明は係る不具合を解消するためになされたもので、加圧ツールおよび圧着台の押圧面間に圧力測定フィルムを自動的に挿入し、両押圧面間で加圧された圧力測定フィルムを撮像位置に移動して撮像装置により撮像することにより、両押圧面間の平行度を自動的に安全かつ効率的に検出することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、基台に加圧ツールが圧着台に向かって相対的に移動可能に装架され、前記加圧ツールの押圧面と前記圧着台の押圧面との間で基板の圧着部材装着部上に圧着部材を圧着する圧着装置と、前記基板を保持して水平面内で移動するステージを有し、前記圧着部材装着部を前記押圧面上に載置するステージ装置とを備えた液晶関連圧着装置において、圧力測定フィルムの未加圧部分を使用位置に繰り出し既加圧部分を巻き取るフィルム自動巻取り装置と、前記加圧ツールおよび前記圧着台の押圧面間の加圧位置に隣接する撮像位置に配置され前記両押圧面間で加圧された前記圧力測定フィルムの既加圧部分を撮像する撮像装置と、前記フィルム自動巻取り装置の使用位置を前記加圧位置と前記撮像位置との間で移動させるために、前記自動巻取り装置を進退移動させる進退装置と、前記加圧位置で前記加圧ツールおよび前記圧着台の押圧面間で加圧された前記圧力測定フィルムの既加圧部分を前記撮像位置で前記撮像装置により撮像した画像に関する情報を出力する出力装置とを設けたことである。
【0007】
請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記撮像装置により撮像された前記圧力測定フィルムの既加圧部分の画像情報から前記既加圧部分の画像を着色濃度が等しい区域別に区分けして等濃度区域分布を演算する演算手段を設け、該等濃度区域分布を前記出力装置に出力することである。
【0008】
請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記撮像装置により撮像された前記圧力測定フィルムの既加圧部分の画像情報から前記既加圧部分の着色濃度の変化度合および変化方向を演算し、この着色濃度の変化度合および変化方向に基づいて前記両押圧面間の傾斜度合および傾斜方向を演算する演算手段を設け、該演算手段により演算された前記両押圧面間の傾斜度合および傾斜方向を前記出力装置に出力することである。
【0009】
請求項4に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記圧着部材が、IC部品、FPC基板またはACFテープであることである。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、圧力測定フィルムの未加圧部分を自動的に使用位置に繰り出して、加圧ツールおよび圧着台の両押圧面間に効率的に安全に挿入することができる。そして、両押圧面間で加圧された測定フィルムの既加圧部分を撮像位置に移動して撮像装置により撮像し、既加圧分の撮像画像に関する情報を出力装置に出力するので、両押圧面間の平行度を簡単な構成で自動的に安全かつ効率的に検出することができ、特に液晶関連圧着装置の台数が多い場合は作業時間を極めて短縮することができる。
【0011】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、撮像装置により撮像された圧力測定フィルムの既加圧部分の画像情報から既加圧部分の画像を着色濃度が等しい区域別に区分けした等濃度区域分布を演算し、この等濃度区域分布を出力装置に出力するので、押圧面の湾曲、押圧面に生じた欠損等を簡単な構成で効率的に確実に検出することができる。
【0012】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、撮像装置により撮像された圧力測定フィルムの既加圧部分の画像情報から既加圧部分の着色濃度の変化度合および変化方向を求め、この着色濃度の変化度合および変化方向に基づいて両押圧面間の傾斜度合および傾斜方向を演算して出力するので、両押圧面間の平行度の修正を正確に容易に行うことができる。
【0013】
上記のように構成した請求項4に係る発明によれば、IC部品、FPC基板またはACFテープは、多数の液晶関連圧着装置により基板に圧着するケースが多いが、係る多数の圧着装置の両押圧面間の平行度を安全かつ効率的に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る液晶関連圧着装置における圧着装置の押圧面間の平行度検出装置を液晶表示装置のLCDガラス基板の端子上に圧着部材を装着する場合に適用した第1の実施形態を図面を参照して説明する。図1において10はLCDガラス基板などの基板11の圧着部材装着部12上に位置合せして仮圧着された圧着部材13を圧着する液晶関連圧着装置であり、加圧ツール15の押圧面17と圧着台16の押圧面18との間で基板11の圧着部材装着部12上に圧着部材13を熱圧着する熱圧着装置20と、基板11を保持して水平面内および上下方向に移動するステージ21を有するステージ装置22と、両押圧面17,18間で加圧される圧力測定フィルム23の未加圧部分を使用位置24に繰り出し既加圧部分を巻き取るフィルム自動巻取り装置25と、両押圧面17,18間の加圧位置26に隣接する撮像位置27に配置され両押圧面17,18間で加圧された圧力測定フィルム23の既加圧部分を撮像する撮像装置28と、フィルム自動巻取り装置25の使用位置24を加圧位置26と撮像位置27との間で移動させるために、自動巻取り装置25を進退移動させる進退装置29と、各装置の作動を制御するとともに、各種演算を行なう制御装置30等から構成されている。
【0015】
基板11に圧着部材13が圧着された装置、例えば液晶表示装置31は、図3に示すように、透明基板11であるLCDガラス基板と、LCDガラス基板11の中央に設けられた液晶部32と、LCDガラス基板11の縁部に圧着された圧着部材13であるFPC(Flexible Printed Circuit)から構成されている。LCDガラス基板11の一側縁部に設けられた圧着部材装着部12の上面には、図4に示すように、複数の電極33が狭いピッチにて形成されるとともに、これら電極33の近傍に一対のアライメントマーク34が形成されている。FPCは透明または半透明のフレキシブル基板に電子回路が形成されたもので、その先端縁下面に設けられた電極部35には、図5に示すように基板11の各電極33およびアライメントマーク34に対応する複数の電極36およびアライメントマーク37が形成されている。FPC13の電極部35は、ACF(Anisotropic Conductive Film)テープ等の異方性導電膜38を介在してLCDガラス基板11の圧着部材装着部12に熱圧着される。
【0016】
熱圧着装置20は、基台14上に圧着台16が固定され、基台14に立設された架台19にスライダ40が上下方向に摺動可能に装架され、スライダ40はシリンダ装置41により圧着台16に向かって昇降されるようになっている。スライダ40の下端に加圧ツール15が固定され、加圧ツール15はヒータ42により加熱される。基板11の圧着部材装着部12上に圧着部材13が位置合せし異方性導電膜38を介在して仮圧着された状態で圧着部材装着部12が圧着台16上に載置され、スライダ40がシリンダ装置41により下降されると、加圧ツール15の押圧面17と圧着台16の押圧面18との間で圧着部材13が圧着部材装着部12上に熱圧着される。
【0017】
ステージ装置22は、基板11をステージ21の上面に保持し、ステージ21を水平面内および上下方向に移動させるとともに割出し回転させて基板11の圧着部材装着部12を圧着台16の押圧面18上に載置するもので、基台14上を水平なX軸に沿って往復動するX軸テーブルと、X軸テーブル上をX軸と直交する水平なY軸に沿って往復動するY軸テーブルと、Y軸テーブル上をX,Y軸と直交する上下方向のZ軸に沿って往復動するZ軸スライダと、Z軸スライダに回転可能に支承されサーボモータによりθ軸周りに割出し回転されるステージ21を備えている。X,Y軸テーブルおよびZ軸スライダは周知のリニアガイド等により直線案内され、ボールネジを介してサーボモータにより移動される。ステージ21の上面には、真空ポンプに切替弁を介して接続された複数の吸着穴が開口されており、吸着穴が真空ポンプに接続されると基板11は負圧によりステージ21の上面に吸着保持され大気に接続されると開放される。
【0018】
図2に示すようにフィルム自動巻取り装置23は、圧着台16を挟んでステージ装置22の反対側に配置され、フィルム自動巻取り装置23の支持台43が架台19に水平方向に移動可能に装架されている。支持台43はコの字状に形成され両側突出部の先端部分には、モータ44により水平軸線回りに回転駆動されるローラ45が圧着台16と平行に支承され、両側突出部を結ぶ後端基部には2本のローラ46,47がローラ45と平行に軸承されている。ローラ46には未加圧の圧力測定フィルム23のAフィルム23aが、ローラ47にはCフィルム23cが巻装され、ローラ45にはA,Cフィルム23a,23cの既加圧部分が巻き取られている。ローラ46とローラ45との間の使用位置24において平行に延在するA,Cフィルム23a,23cを非加圧時に分離するためのスペーサ48,49がA,Cフィルム23a,23c間に介在され支持台43の両側突出部間に架設されている。モータ44によりローラ45が回転駆動されると、圧力測定フィルム23のA,Cフィルム23a,23cの未加圧部分がローラ46,47から使用位置24に繰り出され、既加圧部分がローラ45に巻き取られる。Aフィルム23aは、例えばPETをベースとするフィルムに発色剤の入ったマイクロカプセルが塗布されたものであり、Cフィルム23cはPETをベースとするフィルムに顕色剤が塗布されたものである。A,Cフィルム23a,23bが加圧されると、加圧力に応じてAフィルムのマイクロカプセルが破壊され、発色剤と顕色剤が反応してCフィルム23bが加圧力に応じた濃度に着色する。
【0019】
進退装置29であるシリンダ装置のピストンロッドが支持台43の後端基部に連結され、フィルム自動巻取り装置23はシリンダ装置29の作動により圧着台16より僅かに上方の前進位置と圧着台16から離間した後退位置との間で進退される。これにより、フィルム自動巻取り装置23の使用位置24は加圧ツール15および圧着台16の押圧面17,18間の加圧位置26とこの加圧位置26に隣接する撮像位置27との間で移動される。撮像位置27のCフィルム23cの下方には、両押圧面17,18間で加圧された圧力測定フィルム23の既加圧部分を下方から撮像する撮像装置28が配置されている。
【0020】
制御装置30はコンピュータを内蔵し、その記憶装置50には、撮像装置28により撮像された圧力測定フィルム23の既加圧部分の画像情報から求めた既加圧部分の着色濃度の変化度合と、この圧力測定フィルム23を加圧したときの加圧ツール15および圧着台16の押圧面17,18間の傾斜度合との関係が記憶されている。このため、例えば加圧ツール15の押圧面17を圧着台16の押圧面18に対して既知の傾斜方向に既知の傾斜度合で相対的に傾斜させた状態で、圧力測定フィルム23を押圧面17,18間で所定圧力で加圧することを、多数の傾斜方向において多数の傾斜度合について予め実行する。このように各傾斜方向において各傾斜度合で相対的に傾斜した押圧面17,18間で加圧された圧力測定フィルム23の既加圧部分を撮像装置28により撮像する。撮像装置28により撮像された画像情報に基づいて、傾斜方向に離間した2点における着色濃度の差と2点間距離との割合を着色濃度の変化度合として演算し、この着色濃度の変化度合と押圧面17,18間の傾斜度合との関係を多数の既知傾斜方向において事前に求め、この関係が記憶装置50に記憶されている。記憶装置50には、熱圧着装置20の押圧面17,18の傾斜度合を測定する測定プログラム、および撮像装置28により撮像された圧力測定フィルム23の既加圧部分の画像情報から既加圧部分の画像を着色濃度が等しい区域に区分けして等濃度区域分布を演算するとともに、この等濃度区域分布から既加圧部分の着色濃度の変化度合および変化方向を演算し、この着色濃度の変化度合および変化方向に基づいて両押圧面17,18間の傾斜度合および傾斜方向を演算する図7に示す平行度検出プログラム52が記憶されている。
【0021】
次に、上述した液晶関連圧着装置における熱圧着装置の押圧面間の平行度検出装置の作動を図6,7に示す測定プログラム51および平行度検出プログラム52に基づいて説明する。フィルム自動巻取り装置25のモータ44によりローラ45が回転駆動され、圧力測定フィルム23のA,Cフィルム23a,23cの未加圧部分がローラ46,47から使用位置24に繰り出され、既加圧部分がローラ45に巻き取られる(ステップS1)。フィルム自動巻取り装置25がシリンダ装置29により前進され、使用位置24が加圧ツール15および圧着台16の押圧面17,18間の加圧位置26に移動される(ステップS2)。スライダ40がシリンダ装置41により下降され、加圧ツール15の押圧面17が使用位置24に繰り出された圧力測定フィルム23のA,Cフィルム23a,23cの未加圧部分を圧着台16の押圧面18との間で所定圧力で加圧する(ステップS3)。加圧後、スライダ40延いては加圧ツール15はシリンダ装置41により後退端まで上昇される。フィルム自動巻取り装置25がシリンダ装置29により後退され、使用位置24が撮像位置27に移動され(ステップS4)、両押圧面17,18間で加圧された圧力測定フィルム23のCフィルム23aの既加圧部分が撮像装置28により撮像される(ステップS5)。
【0022】
撮像が完了すると平行度検出プログラム52が実行され、撮像装置28により撮像された圧力測定フィルム23のCフィルム23aの既加圧部分の画像情報が制御装置30に入力される(ステップS11)。入力された画像情報を画像処理し、Cフィルム23aの既加圧部分の画像を着色濃度が等しい区域別に区分けして等濃度区域分布を演算し、等濃度区域別に色分けする(ステップS12)。同色の等濃度区域が許容値以上に湾曲している場合、或いは破断している場合は(ステップS13)、押圧面17,18の平行度が悪い、或いは押圧面17,18に欠損があり、押圧面17,18間の平行度が不良であると判定する(ステップS14)。
【0023】
同色の等濃度区域が直線状で、破断していない場合、等濃度区域分布から既加圧部分の着色濃度の変化度合および変化方向を演算する(ステップS15)。即ち、等濃度区域の方向を平均的に求め、この等濃度区域の平均的な方向と直角な方向に離間した2点における着色濃度の差と2点間距離との割合である着色濃度の変化度合を演算する。等濃度区域の平均的な方向と直角な方向を押圧面17と押圧面18とが相対的に傾斜する傾斜方向として求め、記憶装置50に記憶された複数の既知傾斜方向の中からこの等濃度区域から求めた傾斜方向に近い傾斜方向を選択し、該選択した傾斜方向における着色濃度の変化度合と傾斜度合との関係から押圧面17と押圧面18とが相対的に傾斜する傾斜度合を演算する(ステップS16)。傾斜度合が許容値以下であれば(ステップS17)、押圧面17,18間の平行度は良好と判定する(ステップS18)。傾斜度合が許容値を超えると、押圧面17と押圧面18とが相対的に傾斜する傾斜方向および傾斜度合を制御装置30の出力装置、例えば表示装置53に表示する(ステップS19)。作業者は表示装置53に表示された傾斜方向および傾斜度合を参考にして加圧ツール15の取付け角度を調整し、両押圧面17,18間の平行度を修正する。
【0024】
係る加圧ツール15および圧着台16の押圧面17,18の平行度の良否判定および加圧ツール15の取付け角度の調整は、液晶関連圧着装置10を組付けるときに組付け誤差を修正するため、所定使用回数使用したときに行われるメンテナンスにおいて液晶関連圧着装置10を再調整するため、或いは故障原因の調査、修理のために行われる。なお、スライダ40と加圧ツール15との間に自動傾動装置を介在し、制御装置30が傾斜方向および傾斜度合に応じて自動傾動装置を作動させ、加圧ツール15の取付け角度を自動的に調整するようにしてもよい。
【0025】
このように押圧面17,18間の平行度を調整された液晶関連圧着装置10においては、圧着部材13が異方性導電膜38により圧着部材装着部12に仮圧着された基板11がステージ21上面に載置されると、ステージ装置22は制御装置30からの指令に基づいてステージ21上面に開口する吸着穴を真空ポンプに接続し、基板11をステージ21の上面に吸着保持する。そして、ステージ21をX軸およびY軸テーブルの移動により水平面内で移動させるとともにZ軸スライダ上で割出回転させて、基板11の圧着部材装着部12を圧着台16の上方に搬送し、その後ステージ21の上面が圧着台16の押圧面18と同一水平面内に位置するまでZ軸スライダを下降して基板11の圧着部材装着部12を圧着台16の押圧面18上に載置する。その後スライダ40がシリンダ装置41により下降され、ヒータ42により過熱された加圧ツール15の押圧面17が圧着部材13を基板11の圧着部材装着部12に均一な所定圧力で押圧し、圧着部材13を基板11の圧着部材装着部12に良好に熱圧着する。
【0026】
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、液晶関連圧着装置10は、基板11の圧着部材装着部12に異方性導電膜38により仮圧着された圧着部材13を熱圧着装置20により本圧着しているが、第2の実施形態では、液晶関連圧着装置60は、ステージ装置22が基板11を搬送して圧着部材装着部12を圧着台16の押圧面18上に載置し、この圧着部材装着部12上に熱圧着装置が圧着部材13を仮圧着する。以下に、第2の実施形態を第1の実施形態と相違する構成部分について説明し、第1の実施形態と同一構成部分については同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0027】
液晶関連圧着装置60は、基台14に固定された架台62上をY軸に沿って往復動するY軸スライダ63と、Y軸スライダ63上を上下方向のZ軸に沿って往復動するZ軸スライダ64と、Z軸スライダ64にR軸周りに回転可能に支承された回転ホルダ65からなる熱圧着装置70を備えている。Y,Z軸スライダ63,64は、架台62およびY軸スライダ63に夫々取り付けられたリニアガイドによりY,Z軸方向に案内され、ボールネジ66.67を介してサーボモータ68,69により移動される。 回転ホルダ65はZ軸スライダ64に固定されたサーボモータ71により歯車を介して回転される。
【0028】
回転ホルダ65には、中間部材72が相対回転を規制されてZ軸方向に移動可能に装架されている。中間部材72は、シリンダ73を介して回転ホルダ65に連結され、シリンダ73の内部圧力が所定値以上となると減圧する減圧弁がシリンダ73に接続されている。圧着部材13を基板11の圧着部材装着部12に仮圧着する力が所定値以上になるとシリンダ73内の液圧が減圧弁を通って排出され中間部材72が回転ホルダ65に対して後退し、圧着部材13は所定圧力で圧着部材装着部12に仮圧着される。
【0029】
中間部材72の下端には直方体形状の加圧ツール74が設けられ、加圧ツール74の細長い方形状の押圧面77には、真空ポンプに切替弁を介して接続された複数の吸着穴が開口されており、吸着穴が真空ポンプに接続されると圧着部材13は負圧により加圧ツール74の押圧面77に吸着保持され、大気に接続されると圧着部材13は加圧ツール74から開放される。加圧ツール74はヒータにより過熱され吸着保持された圧着部材13を加熱する。これにより、熱圧着装置70は、圧着台16からY軸方向に離間して配置された部品供給装置75から圧着部材13を加圧ツール74でピックアップし、圧着台16と対向する実装位置までY軸方向に移送し、基板11の圧着部材装着部12上に仮圧着する。部品供給装置75と圧着台16との間には、加圧ツール74の押圧面77に吸着された圧着部材13を撮像し、この圧着部材13の加圧ツール74に対する吸着誤差を検出するための部品撮像装置76が配置されている。
【0030】
圧着台16上に搬入された基板11の圧着部材装着部12に設けられたアライメントマーク34を撮像する撮像装置78は圧着台16の下方に配置されている。圧着台16はガラス等の透明な部材で形成され、撮像装置78はアライメントマーク34を圧着台16および基盤11を透過して撮像する。
【0031】
フィルム自動巻取り装置25は、圧着台16を挟んでステージ装置22の反対側に配置され、フィルム自動巻取り装置25の支持台43が架台62に水平方向に移動可能に装架されている。
【0032】
加圧ツール74および圧着台16の押圧面77,18の平行度の良否の判定、両押圧面77,18間の傾斜度合および傾斜方向の演算は、第1の実施形態と同様に行われる。
【0033】
異方性導電膜38を圧着部材装着部12に貼付けられた基板11がステージ21上に吸着保持されてステージ装置22により搬送され、圧着部材装着部12が圧着台16の押圧面18上に載置されると、撮像装置78は圧着部材装着部12のアライメントマーク34を撮像する。制御装置30は撮像された一対のアライメントマーク34の画像データに基づいて圧着部材装着部12の位置誤差および角度誤差を演算する。熱圧着装置70は、部品供給装置75上に載置された圧着部材13を加圧ツール74で吸着保持し、圧着台16上方の実装位置までY軸方向に搬送する。加圧ツール74の押圧面77に吸着された圧着部材13は、途中で部品撮像装置76により撮像され、制御装置30は圧着部材13の画像情報を入力され、圧着部材13の一対のアライメントマーク37の位置から加圧ツール74に対する位置誤差および角度誤差を演算する。制御装置30は、圧着部材装着部12の位置誤差および角度誤差と、圧着部材13の加圧ツール74に対する位置誤差および角度誤差とに基づいてステージ装置22にステージ21をθ軸回りに角度補正させるとともに、X,Y軸方向に位置補正させ、圧着部材13の一対のアライメントマーク37と基板11の圧着部材装着部12の一対のアライメントマーク34とが夫々一致するように位置補正する。その後にZ軸スライダ64が下降され、ヒータにより過熱された加圧ツール74の押圧面77に吸着された圧着部材13を、基板11の圧着部材装着部12に貼付された異方性導電膜38を介在して所定の圧力・温度で仮圧着する。
【0034】
次に、第3の実施形態について説明する。上記第1の実施形態では、液晶関連圧着装置10は、基板11の圧着部材装着部12に異方性導電膜38により仮圧着された圧着部材13を熱圧着装置20により本圧着しているが、第3の実施形態では、液晶関連圧着装置80は、ステージ装置22がLCDガラス基板11を搬送して圧着部材装着部12を圧着台16の押圧面18上に載置し、ACF貼付装置81がテープ状の異方性導電膜(ACFテープ)を基板11の圧着部材装着部12に圧着して貼付する。以下に、第3の実施形態を第1の実施形態と相違する構成部分について説明し、第1の実施形態と同一構成部分については同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0035】
液晶関連圧着装置80は、ACF貼付ヘッド82の押圧面83と圧着台16の押圧面18との間で基板11の圧着部材装着部12上にACFテープ84を圧着するACF貼付装置81と、基板11を保持して水平面内および上下方向に移動するステージを有するステージ装置22と、両押圧面18,83間で加圧される圧力測定フィルムの未加圧部分を使用位置に繰り出し既加圧部分を巻き取るフィルム自動巻取り装置25と、圧着台16を挟んでステージ装置22と反対側で両押圧面18,83間の加圧位置84に隣接する撮像位置27に配置され、両押圧面18,83間で加圧された圧力測定フィルムの既加圧部分を撮像する撮像装置28と、フィルム自動巻取り装置25の使用位置を加圧位置85と撮像位置27との間で移動させるために、自動巻取り装置を進退移動させる進退装置29と、各装置の作動を制御するとともに、各種演算を行なう制御装置等から構成されている。ACF貼付ヘッド82および圧着台16の押圧面83,18の平行度の良否の判定、両押圧面83,18間の傾斜度合および傾斜方向の演算は、第1の実施形態と同様に行われる。この場合、ACFテープ84が圧着部材13であり、ACF貼付ヘッド82が加圧ツール、ACF貼付装置81が圧着装置として機能する。
【0036】
ACF貼付装置81は、基台14上に圧着台16が固定され、基台14に立設された架台19にスライダ40が上下方向に摺動可能に装架され、スライダ40はシリンダ装置41により圧着台16に向かって昇降されるようになっている。スライダ40の下端にACF貼付ヘッド82が固定されている。架台19にはACFテープ84がセパレータ87に重ねられて粘着剤で接着された状態で巻回されたACF供給リール88が適宜回転抵抗を付与されて回転可能に支承されている。ACF供給リール88から繰出されたセパレータ87は、架台19に自由回転可能に支承された複数の案内ロール89にガイドされ、ACF貼付ヘッド82の押圧面83の下方で圧着台16の押圧面18上に載置された基板11の圧着部材装着部12の上方近傍を水平に張架されて通過する。その後、セパレータ87は、モータにより回転駆動される一対の駆動ローラ91間に挟持され適宜張力を付与されて駆動され、廃棄ボックス90に収納される。ACF供給リール88からセパレータ87とともに繰出されたACFテープ84は、途中で図略のカット装置により所定長さに切断され、この所定長さのACFテープ84が圧着部材装着部12の上方に送られると駆動ローラ91が停止される。駆動ローラ91が停止するとACF貼付ヘッド82がシリンダ装置41により下降され、ACFテープ84がセパレータ87を介して基板11の圧着部材装着部12上に圧着され貼付される。ACF貼付ヘッド82が上昇されると、セパレータ87は圧着部材装着部12に貼付された所定長さのACFテープ84から剥離して張力により水平状態に復帰し、駆動ローラ91により所定長さ送られて上述のACFテープ貼付作動が繰返される。
【0037】
上記実施の形態では、圧力測定フィルム23をAフィルムとCフィルムとで構成しているが、加圧されると着色する1枚のフィルムで構成してもよい。この場合、フィルム自動巻取り装置25のローラ46およびスペーサ48,49は不要となる。
【0038】
上記実施の形態においては、圧力測定フィルム23を圧着台16の押圧面18上に接近して張出させた状態で、加圧ツール15(74,82)および圧着台16の押圧面間で加圧しているが、圧力測定フィルム23を圧着台16の押圧面18上に載置された基板11の上面に接近して張出させた状態で、加圧ツール15(74,82)を下降させ、押圧面17(77,83)と基板11の上面との間で加圧するようにしてもよい。このようにすると、押圧面17(77,83),18間の平行度に基板11の上下面の平行度を加えた状態で、加圧ツール15(74,82)の押圧面17(77,83)と基板11の上面との平行度を検出することができる。この場合、押圧面17(77,83),18間の平行度は、加圧ツール15(74,82)の押圧面17(77,83)と基板11の上面との平行度に含まれた状態で検出されていることとなる。
【0039】
上記実施の形態においては、圧着部材13はポリイミドフィルムをベース材に用いたFPC(Flexible Printed Circuit)であるが、圧着部材13はチップでもよい。
【0040】
また、上述した実施の形態においては、加圧ツール15を上下方向に移動させているが、圧着台16を上下方向に移動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の実施形態に係る液晶関連圧着装置における熱圧着装置の平行度測定装置を示す図。
【図2】フィルム自動巻取り装置を示す図。
【図3】図1に示す液晶関連圧着装置で圧着部材が基板に圧着される液晶表示装置の平面図。
【図4】図3に示す液晶表示装置の電極周辺を示す部分拡大底面図。
【図5】図3に示す圧着部材を示す部分拡大底面図。
【図6】測定プログラムを示す図。
【図7】平行度検出プログラムを示す図。
【図8】第2の実施形態を示す図。
【図9】第3の実施形態を示す図。
【符号の説明】
【0042】
10,60,80…液晶関連圧着装置、11…基板、12…圧着部材装着部、13…圧着部材、14…基台、15,74…加圧ツール、16…圧着台、17,18,77,83…押圧面、19,62,86…架台、20,70…熱圧着装置、21…ステージ、22…ステージ装置、23…圧力測定フィルム、24…使用位置、25…フィルム自動巻取り装置、26,85…加圧位置、27…撮像位置、28,76,78…撮像装置、29…進退装置、30…制御装置、31…液晶表示装置、34,37…アライメントマーク、38…異方性導電膜、40…スライダ、41…シリンダ装置、42…ヒータ、43…支持台、44…モータ、45〜47…ローラ、48,49…スペーサ、50…記憶装置、51…測定プログラム、52…平行度検出プログラム、53…出力装置、81…ACF貼付装置、82…ACF貼付ヘッド、84…ACFテープ、87…セパレータ、88…ACF供給リール、91…駆動ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に加圧ツールが圧着台に向かって相対的に移動可能に装架され、前記加圧ツールの押圧面と前記圧着台の押圧面との間で基板の圧着部材装着部上に圧着部材を圧着する圧着装置と、
前記基板を保持して水平面内で移動するステージを有し、前記圧着部材装着部を前記押圧面上に載置するステージ装置とを備えた液晶関連圧着装置において、
圧力測定フィルムの未加圧部分を使用位置に繰り出し既加圧部分を巻き取るフィルム自動巻取り装置と、
前記加圧ツールおよび前記圧着台の押圧面間の加圧位置に隣接する撮像位置に配置され前記両押圧面間で加圧された前記圧力測定フィルムの既加圧部分を撮像する撮像装置と、
前記フィルム自動巻取り装置の使用位置を前記加圧位置と前記撮像位置との間で移動させるために、前記自動巻取り装置を進退移動させる進退装置と、
前記加圧位置で前記加圧ツールおよび前記圧着台の押圧面間で加圧された前記圧力測定フィルムの既加圧部分を前記撮像位置で前記撮像装置により撮像した画像に関する情報を出力する出力装置とを設けたことを特徴とする液晶関連圧着装置における圧着装置の押圧面間の平行度検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記撮像装置により撮像された前記圧力測定フィルムの既加圧部分の画像情報から前記既加圧部分の画像を着色濃度が等しい区域別に区分けして等濃度区域分布を演算する演算手段を設け、該等濃度区域分布を前記出力装置に出力することを特徴とする液晶関連圧着装置における圧着装置の押圧面間の平行度検出装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記撮像装置により撮像された前記圧力測定フィルムの既加圧部分の画像情報から前記既加圧部分の着色濃度の変化度合および変化方向を演算し、この着色濃度の変化度合および変化方向に基づいて前記両押圧面間の傾斜度合および傾斜方向を演算する演算手段を設け、該演算手段により演算された前記両押圧面間の傾斜度合および傾斜方向を前記出力装置に出力することを特徴とする液晶関連圧着装置における圧着装置の押圧面間の平行度検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記圧着部材が、IC部品、FPC基板またはACFテープであることを特徴とする液晶関連圧着装置における圧着装置の押圧面間の平行度検出装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−84238(P2006−84238A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267359(P2004−267359)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】