説明

液滴付着装置における流体の取扱い

【課題】ノズル開口部からのインクの漏れを減少させる。
【解決手段】概して、第1の態様において、液滴付着装置であって、液滴を排出できる1つ以上のモジュールを備えた噴射アセンブリ112、噴射アセンブリ112と流体連絡した複数の導管、および流体が導管を通って流れるのが実質的に妨げられる第1の状態と、流体が導管を通って流れるのが許可される第2の状態との間で調節可能な、導管に連結されたバルブ101を含む液滴付着装置を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体取扱装置に関し、より詳しくは、液滴付着装置における流体取扱いに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、基体に液滴を付着させるための装置の1つのタイプである。インクジェットプリンタは、1つ以上のプリントヘッドモジュールを有する噴射アセンブリを備えることができる。プリントヘッドモジュールは、インク供給源をノズル流路に連結するインク流路を備えている。ある装置において、インクは、離れたインク供給源から噴射アセンブリに供給される。このノズル流路はノズル開口部が終端となり、インク液滴がそこから排出される。インク液滴の排出は、一般に、インク流路内のインクをアクチュエータで加圧することにより制御される。このアクチュエータは、例えば、圧電式デフレクタ、サーマルバブルジェット(登録商標)発生器、または静電偏向素子であってよい。ノズル流路に供給を行うインク供給源中のインクは、負圧に保持することができる。この負圧により、ノズルが作動されていないときのノズル開口部からのインクの漏れを減少させることができる。
【0003】
典型的なプリントヘッドは、対応するノズル開口部および関連するアクチュエータを持つインク流路のアレイを有する。各ノズル開口部からの液滴の排出は、独立して制御することができる。ドロップ・オン・デマンド式プリントヘッドモジュールにおいて、各アクチュエータは、噴射アセンブリと印刷基体が互いに対して動かされながら、画像の特定のピクセル位置で一滴を選択的に排出するように発射を行う。高性能プリントヘッドにおいて、ノズル開口部は、直径が、一般に、50マイクロメートル以下、例えば、約25マイクロメートル辺りであり、100〜300ノズル/インチ(2.54cm)のピッチで隔てられ、解像度が100から3000dpi以上であり、液滴の体積が約1から120ピコリットル(pl)以下である。液滴排出周波数は、一般に、約10kHz以上である。
【0004】
圧電式アクチュエータは圧電材料の層を有し、この層は、印加された電圧に応答して、形状を変化させたり、曲がったりする。圧電層の曲がりによって、インク流路に沿って位置するポンプ室内のインクが加圧される。圧電式インクジェットプリントヘッドモジュールが、ここにその内容全てを引用する、フィッシュベック(Fishbeck)等の特許文献1、ハイン(Hine)の特許文献2、モイニハン(Moynihan)等の特許文献3、およびホイジントンの特許文献4にも記載されている。
【特許文献1】米国特許第4825227号明細書
【特許文献2】米国特許第4937598号明細書
【特許文献3】米国特許第5659346号明細書
【特許文献4】米国特許第5757391号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は概して、第1の態様において、液滴付着装置であって、液滴を排出できる1つ以上のモジュールを備えた噴射アセンブリ、噴射アセンブリと流体連絡した複数の導管、および流体が導管を通って流れるのが実質的に妨げられる第1の状態と、流体が導管を通って流れるのが許可される第2の状態との間で調節可能な、導管に連結されたバルブを含む液滴付着装置を特徴とする。
【0006】
本発明は概して、さらに別の態様において、噴射アセンブリに連結された複数の管を通る流体流を制御するためのバルブであって、管に機械的に連結されたアクチュエータを備え、そのアクチュエータが、バルブが各管の一部を圧縮して流体が管を通って流れるのを実質的に妨げる第1の状態と、流体が管を通って流れるのが許可される第2の状態との間で調節可能であるバルブを特徴とする。
【0007】
液滴付着装置および/またはバルブの実施の形態は、以下の特徴を1つ以上含むであろう。液滴付着装置はさらに、導管の少なくともいくつかと流体連絡したポンプを備えることもできる。液滴付着装置は、導管の少なくともいくつかと流体連絡した流体供給源を備えることもできる。前記ポンプは、液体供給源から噴射アセンブリに流体をポンプで送り込むように構成できる。ある実施の形態において、前記ポンプは、噴射アセンブリから気体をポンプで引き抜くように構成された真空ポンプである。前記導管は管を含み、その管は柔軟な管であって差し支えない。前記バルブは、第1の状態において柔軟な管の一部を圧縮するように構成できる。前記モジュールは、ドロップ・オン・デマンド式インクジェットプリントヘッドモジュール(例えば、圧電式アクチュエータを含むドロップ・オン・デマンド式インクジェットプリントヘッドモジュール)であって差し支えない。液滴付着装置は、噴射アセンブリを実質的に囲い込むプリント外囲器を備えることができる。バルブは、プリント外囲器の外部から動作可能であり得る。バルブは、各管の一部と接触した要素を含むことができ、ここで、第1の状態において、アクチュエータは、その要素を管に対して押し付けることによって、管を圧縮する。各管の一部と接触した要素の表面は湾曲していても差し支えない。ある実施の形態において、バルブは、それぞれ、1つ以上の管と接触した一対の要素を含むことができ、ここで、第1の状態において、アクチュエータは、それらの要素を管に対して押し付けることによって、管を圧縮する。前記要素は、アクチュエータの対向側に配置することができる。バルブは、管をそこに通して配置できる1つ以上の開口部を含むハウジングを備えることができる。アクチュエータは、それぞれ、第1の状態と第2の状態に対応する第1の位置と第2の位置の間で回転するように構成されたカムシャフトを備えることができる。第1と第2の位置は、シャフト軸の周りのカムシャフトの90度の回転に対応するものであって差し支えない。前記流体は、液体(例えば、インク)または気体(例えば、空気)である。バルブは、アクチュエータが第1と第2の状態の間でそれによって機械的に切り換えられる、アクチュエータに連結されたレバーを備えることもできる。あるいは、またはそれに加え、バルブは、アクチュエータが、第1と第2の状態の間でそれによって電気機械的に切り換えられる、アクチュエータに連結されたスイッチを備えることもできる。
【0008】
本発明の実施の形態は、以下の利点を1つ以上有するであろう。ある実施の形態において、液体付着装置は、流体の漏れと浪費が最小の状態で、容易に使用できる。例えば、噴射アセンブリ内の全てのプリントヘッドモジュールへの液体および真空ラインの供給を同時に遮断するバルブを使用することによって、例えば、噴射アセンブリの点検・修理中に、噴射アセンブリがオフラインにある間、モジュールからの液体の漏れを減少させる(例えば、防ぐ)ことができる。漏れは、1つ以上の流体ラインが、例えば、液体(例えば、インク)供給源または真空ポンプから取り外されたときに、減少させる(例えば、防ぐ)ことができる。
【0009】
このバルブを用いた装置は、様々な機関の基準(例えば、労働安全衛生局(OSHA)基準)に容易に適合できる。例として、ある産業環境において、OSHA就業規則では、任意のアクセルパネルが装置の任意の部分で開かれる前に、完全に装置の動力源を絶つことが要求され得る。バルブアクチュエータが、プリント外囲器のパネルを開かずにアクセスできる場合、プリント外囲器内の噴射アセンブリへの全ての供給および/または空気ラインは、プリント外囲器を開かずに動力源を絶つことができる。したがって、そのようなバルブを用いた装置は、作動が比較的容易な状態にありながら、OSHA基準に適合できる。
【0010】
多数の管を閉じるのに用いられるバルブは、管内の流体と接触バルブ部材を用いずに動作できる。例えば、バルブは、管の一部の圧縮を制御することによって動作できる。したがって、バルブの部材は、管の外面と接触し、管内で運搬される流体とは接触しない。このことにより、バルブでの流体の漏れが減少し、および/またはバルブ部材の錆びおよび/または流体の残留物がバルブ部材がくっつくことなどの、バルブ部材と管との間で生じるかもしれない相互作用の影響が減少するであろう。
【0011】
ある実施の形態において、バルブは、管の寿命を実質的に減少させずに、数多くのサイクルに亘り、動作できる。例えば、バルブの機械部材は、管にそれほどの応力を与えずに、管の部分を圧縮し、開放することができる。したがって、バルブの開閉に関連する管の磨耗も減少させることができる。
【0012】
さらに、バルブは、管を介してプリント装置の他の部材に著しい応力を与えずに動作できる。例えば、バルブが、圧縮力を管を印加するために、カムシャフトなどの回転要素を使用する場合、回転力は、バルブが管を開閉するときに、管が著しく変形しないように管から外すことができる。バルブ部材への応力を減少させると、バルブの動作寿命を延長することができる。
【0013】
本発明の1つ以上の実施の形態の詳細が、添付の図面と以下の説明に述べられている。本発明の他の特徴および利点は、その説明と図面、および特許請求の範囲から明らかになる。特定の文献が参照によりここに含められる。争いがあった場合、本明細書が統制する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】インクジェットプリント装置の概略図
【図1B】図1Aに示したインクジェットプリント装置の部材の斜視図
【図2】プリントヘッドモジュールの断面図
【図3A】バルブの等角図
【図3B】バルブが開いているときのバルブの一部の断面図
【図3C】バルブが閉じているときのバルブの一部の断面図
【図4A】バルブの別の実施の形態の等角図
【図4B】図4Aに示したバルブの前面の等角図
【図4C】図4Aに示したバルブの上面の等角図
【発明を実施するための形態】
【0015】
様々な図面の同じ参照記号は、同じ要素を示す。
【0016】
図1Aと1Bを参照する。プリント装置100は、インク液滴111を基体120上に付着させて、基体120上に画像を形成する噴射アセンブリ112を含むプリント外囲器110を備えている。ポンプ装置130(例えば、1つ以上の蠕動ポンプを含む)が、離れたインク供給源140内のインク容器141〜144からインクを、それぞれ、インク供給管145〜148に通して噴射アセンブリ112に供給する。さらに、空気管155〜158が真空ポンプ150を噴射アセンブリ112に連結している。動作中、真空ポンプ150は、噴射アセンブリ112内のインク貯蔵部115〜118から空気をポンプで引き込んで、噴射アセンブリ112内に存在するインクへの負圧を維持する。この負圧により、噴射アセンブリ112からのインクの漏れを減少させることができる。バルブ101も、プリント外囲器110内に収容されている。バルブ101が、インク供給管145〜148および空気管155〜158を通る流体流を制御する。
【0017】
噴射アセンブリ112は4つのプリントヘッドモジュール105〜108を備えている。各プリントヘッドモジュールは、そこを通してインクを排出できる複数のノズル開口部(例えば、128または256個のノズル開口部)を備えている。噴射アセンブリ112は4つのインク貯蔵部115〜118も備えており、これは、インク供給源140からインクを受け取り、インクをそれぞれプリントヘッドモジュール105〜108に供給する。ある実施の形態において、各モジュールは、異なる色のインク(例えば、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック、または赤、緑、青、および黒)を排出して、プリント装置100がフルカラー画像を基体120上にプリントすることができる。あるいは、ある実施の形態において、各モジュールが同じ色のインクを排出しても差し支えない。適切なインクの例としては、溶媒ベースのインク(例えば、水溶性または有機溶媒など)を含まれるであろう。
【0018】
一般に、基体120の組成は、様々であって差し支えなく、典型的に、プリント装置100が用いられる特定の用途に基づいて選択される。基体の例としては、紙(例えば、白色紙または新聞印刷用紙)、ボール紙、高分子フイルム、木製品および/または食品が挙げられる。さらに、基体のサイズは、用途に応じて様々であり得る。プリントは、基体に対して噴射アセンブリを一回または多数回通過させることで完了できる。ある実施の形態において、基体120は、噴射アセンブリ112に対して巻取紙搬送装置により搬送される連続巻取紙である。噴射アセンブリは、巻取紙搬送装置に対して固定されている。あるいは、またはそれに加えて、噴射アセンブリ112は、プリント中に基体に亘り噴射アセンブリを前後に走査する可動ステージに取り付けることもできる。
【0019】
プリント外囲器110は、噴射アセンブリ112を実質的に取り囲み、基体120に面するアセンブリの部分のみを露出させている。したがって、噴射アセンブリ112への作業者のアクセスは限られている。一般に、作業者は、アセンブリ112にアクセスするためにプリント外囲器110の1つ以上のパネルを取り除かねばならない。プリント外囲器110は開口部165〜172を備え、そこを通して、管145〜148および155〜158が提供される。さらに、バルブ101のための停止レバー102がプリント外囲器110の側面にある別の開口部103を通して突出している。一般に、プリント外囲器110は、他のライン(例えば、電気ライン)をそこに通して提供できる追加の開口部を備えることができる。
【0020】
先に論じたように、バルブ101は、インク供給管145〜148および空気管155〜158を通る流体流を制御する。バルブ101は、プリント外囲器110の開口部113を通って突出した停止レバー102を操作することにより、「開」および「閉」状態の間で切り換えることができる。バルブ101は、噴射アセンブリ112がまだプリント外囲器110により完全に取り囲まれている間に、開および閉状態の間で切り換えることができる。
【0021】
バルブは、プリント装置100の通常の動作中は開状態に配置され、このとき、インク供給管145〜148の全てでインクがインク供給源140から噴射アセンブリ112に流れることができる。さらに、開状態において、全ての空気ラインにより、真空ポンプ150が貯蔵部115〜118内のインクへの圧力を減少させることができる。閉状態において、インク管145〜148および空気管155〜158は遮断され、インク供給源140から貯蔵部115〜118へのインク流が実質的に妨げられ、真空ポンプ150が貯蔵部115〜118内のインクを真空に引くのが実質的に妨げられる。ある実施の形態において、閉状態において、インクは、プリントヘッドモジュールのノズル開口部から全く漏れない。一般に、バルブ101は、例えば、噴射アセンブリ112のメンテナンスまたは貯蔵中に、閉状態に配置される。
【0022】
以下に論じるように、ある実施の形態において、バルブ101は、管145〜148および155〜158を圧縮することにより動作する。したがって、管145〜148および155〜158は、押し出しされたポリマー(例えば、有機またはシリコーンポリマー)などの柔軟な弾性材料から形成されるべきである。この材料は、管の動作寿命を実質的に短縮し得る著しい磨耗なく、管のチャンネルを塞ぐのに十分に圧縮できるように十分に柔軟であるべきである。さらに、その管は、管に印加された圧縮力が一旦解放されたら、管が圧縮前の形態を実質的に取り戻し、管のチャンルを再度開くように十分に柔軟であるべきである。
【0023】
図2を参照する。プリントヘッドモジュールの一例は、ノズル開口部230を通して排出するためにポンプ室210内のインクを加圧する圧電素子220を有するモジュール200である。インクは、貯蔵部(図2には示されていない)から供給流路240を介してポンプ室210に供給される。ある実施の形態において、プリントヘッドは、噴射を容易にするために媒体を所望の粘度に加熱するためのヒータを備えている。適切なプリントヘッドモジュールは、ニューハンプシャー州、ハノーバー所在のスペクトラ社(Spectra, Inc.)から得られるNOVAプリントヘッドである。適切な圧電式インクジェットプリントヘッドモジュールは、前出のフィッシュバックの特許文献1、ハインの特許文献2、モイニハンの特許文献3およびホイジントンの特許文献4、並びにここに引用する国際公開第01/25018号パンフレットにも論じられている。
【0024】
図3A〜3Cを参照する。バルブの一例は、インク供給管および空気管をそこに通して配置できる8つの開口部を持つバルブハウジング310を備えたバルブ300である。開口部は、一列に配置されており、図3Aの参照番号320で示された末端を有する。バルブ300はさらに、開口部の例に対して平行に延在する軸333の周りに回転するように構成されたカムシャフト330を備えている。カムシャフト330は、例えば、ボールベアリングによりバルブハウジング310に連結することができる。停止レバー340はカムシャフト330に取り付けられ、作業者が軸333の周りにカムシャフト330を回転させることができる。ピンチプレート350が、カムシャフト330とバルブハウジング内の開口部に挿入された管、例えば、管370(図3Bおよび3Cにおいて)との間に位置している。一端で、ピンチプレート350はピン360に取り付けられ、このピンチプレートは、取付点で軸355上で旋回する。
【0025】
図3Bに示された第1の位置と、図3Cに示された第2の位置との間でカムシャフト330を回転させることにより、バルブ300が、例えば、管370を通る流れを制御できる。第1の位置において、カムシャフト330により、ピンチプレート350が、シャフト軸333に最も近いカムの表面に支えられ、管370が開いたままになり、流体が流れることができる。第2の位置において、停止レバーが第1の位置に対して90°回転し、カムシャフト330がピンチプレート350を管370に対して押して、管の内径を閉じ、流体が管を通って流れるのを実質的に妨げる。バルブハウジング310は、停止レバー340の移動範囲を制限するための1つ以上の突出部(例えば、第1と第2の位置でレバーを停止させる突出部)を含んでもよい。
【0026】
カムシャフト330は、湾曲した断面外形(例えば、D形の外形)を有し、第1と第2の位置の間で調節されたときに、ピンチプレート350に連続的に変動する力を印加することができる。カムシャフト330は、金属(例えば、アルミニウム)または合金(例えば、ステンレス鋼)、合成ポリマー(例えば、テフロン(登録商標)、ナイロン、PEEK(商標))、またはセラミックなどの比較的剛性の材料から形成できる。
【0027】
さらに、ある実施の形態において、管370に接触するピンチプレート350の表面は湾曲し、カムシャフトが第1と第2の位置の間で調節されるときに、管に印加される応力を制限することができる。一般に、ピンチプレート350も、金属または合金、もしくは合成ポリマーなどの比較的剛性の材料から形成することができる。ピンチプレート350は、管を圧縮したときに実質的に変形しないように、管370よりも剛性であるべきである。
【0028】
図4A〜4Bを参照する。別の実例において、バルブ400は、一列ではなく、二列に配列された開口部を持つハウジング410を備えている。開口部は、4つの管460(例えば、空気管)がカムシャフト430の一方の側に配列され、他の4つの管470(例えば、インク供給管)がカムシャフト430の他方の側に配列されるように配列されている。バルブ400は、カムシャフト430の両側に位置する、二枚のピンチプレート441および442を備えている。図4A〜4Cにおいて、バルブ400は、管460および470が全て開いている第1の位置にあるのが示されている。カムシャフト430がこの位置から90°回転されたときに、ピンチプレート441および442にそれぞれ管460および470を圧縮させ、それによって、管を閉じる。カムシャフトの片側のみに位置する管を持つバルブと比較して、バルブ400におけるように、カムシャフトの両側に位置する管を持つバルブを開閉するのには、少ないトルクしか必要ないであろう。さらに、カムシャフトの両側に管を配置させると、カムシャフトの片側のみに位置する管を持つバルブと比較して、よりコンパクトなバルブが提供されるであろう。
【0029】
図3A〜3Cおよび4A〜4Cに示したバルブは手動で作動されるが、バルブは電気機械的に作動できるものであって差し支えない。例えば、ある実施の形態において、バルブ300および400を開閉するのに用いられるカムシャフトは、スイッチが入れられたときに、カムシャフトを回転させる電気モータに連結することができる。
【0030】
さらに、図3A〜3Cおよび4A〜4Cに示したバルブはカムシャフトにより作動されているが、他のタイプの作動を用いても差し支えない。例えば、ピンチプレートに係合し、それらを管に対して押し付けるように直線的に伸びるアクチュエータを用いてもよい。
【0031】
ある実施の形態において、アクチュエータからの力を管に印加するのに追加の部材(例えば、ピンチプレート)を用いずに、管に直接係合するアクチュエータを使用してもよい。
【0032】
プリント装置100は、4つのプリントヘッドモジュールを有する噴射アセンブリを備えているが、一般に、噴射アセンブリ内のプリントヘッドモジュールの数は、所望なように様々であって差し支えない。例えば、噴射アセンブリは、プリントヘッドモジュールを4つより多く(例えば、8個のプリントヘッドモジュール、12個のプリントヘッドモジュール)を備えていても差し支えない。
【0033】
さらに、バルブにより開閉される、噴射アセンブリに連結された流体ラインの数も様々であってよい。一般に、噴射アセンブリに連結された流体ラインの数は、このアセンブリ内のプリントヘッドモジュールの数、並びにプリントヘッドモジュールへとそこから搬送する必要のある異なる流体に依存する。例えば、プリント装置に使用できるインクラインおよび空気ライン以外に、いくつかのプリントヘッドモジュールは圧力ライン(例えば、プリントヘッドモジュールをフラッシュするための加圧気体を運ぶため)を用いてもよい。さらに、バルブが、例えば、噴射アセンブリを洗浄するために、噴射アセンブリへの追加のラインを制御してもよい。
【0034】
プリントシステム100は、基体に画像をプリントするために用いてもよいが、一般に、そのような装置は、他の目的に液滴を排出するのに用いても差し支えない。例えば、そのような装置は、基体に材料を正確に付着するために製造環境において使用できる。その例は、ディスプレイ製造産業であり、そこでは、プリント装置は、例えば、有機発光ダイオード材料またはカラーフィルタ材料を付着させて、基体上にそのような材料のアレイを形成するために使用できる。異なる材料を精確に分配するためにプリント装置が用いられる研究所の環境におけるように、流体の精確な秤量が望ましい場合に、その装置を使用できる。
【0035】
本発明の多数の実施の形態を記載してきた。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な改変を行ってもよいことが理解されよう。したがって、他の実施の形態も添付の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
100 プリント装置
110 プリント外囲器
112 噴射アセンブリ
120 基体
130 ポンプ装置
140 インク供給源
150 真空ポンプ
200 プリントヘッドモジュール
210 ポンプ室
220 圧電素子
230 ノズル開口部
300,400 バルブ
310,410 バルブハウジング
330,430 カムシャフト
350,441,442 ピンチプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射アセンブリに連結された複数の管を通る流体流を制御するためのバルブにおいて、
前記管に機械的に連結されたアクチュエータであって、前記バルブが各管の一部を圧縮して流体が該管を通って流れるのを実質的に防ぐ第1の状態と、流体が前記管を通って流れることのできる第2の状態との間で調節可能であるアクチュエータ、および
前記1つ以上の管とそれぞれが接触した一対の要素、
を備え、
前記第1の状態において、前記アクチュエータが、前記管に前記要素を押し付けることによって該管を圧縮し、前記要素が前記アクチュエータの両側に位置していることを特徴とするバルブ。
【請求項2】
各管の一部と接触したさらなる要素を含み、前記第1の状態において、前記アクチュエータが、前記管に前記さらなる要素を押し付けることによって該管を圧縮することを特徴とする請求項1記載のバルブ。
【請求項3】
前記各管の一部と接触した前記さらなる要素の表面が湾曲していることを特徴とする請求項2記載のバルブ。
【請求項4】
前記管をそこに通して配置できる1つ以上の開口部を備えたハウジングをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のバルブ。
【請求項5】
前記アクチュエータが、それぞれ、前記第1の状態と前記第2の状態とのに対応する第1の位置と第2の位置との間で回転するように構成されたカムシャフトを備えることを特徴とする請求項1記載のバルブ。
【請求項6】
前記第1と第2の位置が、シャフト軸の周りの前記カムシャフトの90度の回転に対応することを特徴とする請求項5記載のバルブ。
【請求項7】
前記流体が液体であることを特徴とする請求項1記載のバルブ。
【請求項8】
前記液体がインクであることを特徴とする請求項7記載のバルブ。
【請求項9】
前記流体が気体であることを特徴とする請求項1記載のバルブ。
【請求項10】
前記アクチュエータが前記第1と第2の状態の間でそれによって機械的に切り換えられる、該アクチュエータに連結されたレバーをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のバルブ。
【請求項11】
前記アクチュエータが前記第1と第2の状態の間でそれによって電気機械的に切り換えられる、該アクチュエータに連結されたスイッチをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のバルブ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2012−197943(P2012−197943A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129606(P2012−129606)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2007−532562(P2007−532562)の分割
【原出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(502122794)フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド (73)
【Fターム(参考)】