説明

液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法、適正電圧決定方法および液滴吐出装置

【課題】同時駆動個数に応じた吐出量変化に対応して、吐出量の取得や適正駆動電圧の決定を精度良く行うことができる液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法、適正電圧決定方法及び液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】ヘッドドライバーからの標準駆動電圧によって、1以上の吐出ノズル21を同時に駆動する吐出工程と、吐出工程により吐出された1以上の吐出ノズル21の各吐出量を測定する吐出量測定工程と、測定した1以上の吐出ノズル21の各吐出量を、吐出工程において同時に駆動した吐出ノズル21の同時駆動個数に応じた補正値によって、補正する吐出量補正工程と、補正した1以上の吐出ノズル21の各吐出量を取得する吐出量取得工程と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1のヘッドドライバーにより駆動される1以上の吐出ノズルを有する液滴吐出ヘッドを対象とした液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法、適正電圧決定方法および液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法として、複数の吐出ノズルうちの1以上の吐出ノズルから液滴を吐出する吐出工程と、吐出された1以上の吐出ノズルの各吐出量を測定する測定工程と、測定した1以上の吐出ノズルの各吐出量に基づいて、残余の吐出ノズルの各吐出量を補完する補完工程と、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−151219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような吐出量取得方法では、吐出工程において1以上の吐出ノズルを同時に駆動することになるが、この吐出ノズルの同時駆動個数に応じて各吐出ノズルの吐出量が変化してしまう。厳密には、同時駆動個数が変わると、ヘッドドライバーにかかる電気的負荷が変動してしまうため、ヘッドドライバーからの駆動波形が歪み、その結果、各吐出ノズルからの吐出量が変化してしまうという現象が起る。そのため、ヘッドドライバーからの共通の駆動電圧によって、各吐出ノズルを駆動したとしても、同時駆動個数によって各吐出量が変化してしまい、駆動電圧に対する各吐出量が一定とならないという問題があった。これによって、標準駆動電圧に対する吐出量の取得や、適正駆動電圧の決定を精度良く行うことができないという問題がある。
【0005】
本発明は、同時駆動個数に応じた吐出量変化に対応して、吐出量の取得や適正駆動電圧の決定を精度良く行うことができる液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法、適正電圧決定方法および液滴吐出装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法は、1のヘッドドライバーにより駆動される1以上の吐出ノズルを有する液滴吐出ヘッドを対象とし、標準駆動電圧に対する1以上の吐出ノズルの各吐出量を取得する液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法であって、ヘッドドライバーからの標準駆動電圧によって、1以上の吐出ノズルを同時に駆動する吐出工程と、吐出工程により吐出された1以上の吐出ノズルの各吐出量を測定する吐出量測定工程と、測定した1以上の吐出ノズルの各吐出量を、吐出工程において同時に駆動した吐出ノズルの同時駆動個数に応じた補正値によって、補正する吐出量補正工程と、補正した1以上の吐出ノズルの各吐出量を取得する吐出量取得工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法は、2以上のヘッドドライバーにより駆動される複数の吐出ノズルを有する液滴吐出ヘッドを対象とし、標準駆動電圧に対する複数の吐出ノズルの各吐出量を取得する液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法であって、複数の吐出ノズルを、各ヘッドドライバーにより駆動される1以上の吐出ノズルとして割り付けるノズル割付工程と、上記の液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法によって取得した、2以上のヘッドドライバーにより駆動される1以上の吐出ノズルの各吐出量を合わせ、複数の吐出ノズルの各吐出量として取得する全吐出量取得工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、測定した吐出量を、吐出工程(検査吐出時)における同時駆動個数に応じた補正値によって補正して取得することで、同時駆動個数に応じた吐出量変化をキャンセルすることができる。そのため、当該吐出量変化に対応することができ、吐出量を精度良く取得することができる。
【0009】
本発明の液滴吐出ヘッドの適正電圧決定方法は、上記の液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法によって取得した複数の吐出ノズルの吐出量に基づいて、各ヘッドドライバーにより駆動される1以上の吐出のノズルの平均吐出量を算出する平均吐出量算出工程と、算出したヘッドドライバーごとの平均吐出量と標準駆動電圧に基づいて、ヘッドドライバーごとの、適正吐出量に対する適正駆動電圧を算出する適正電圧算出工程と、ヘッドドライバーごとに、算出した適正駆動電圧を、描画処理において同時に駆動する吐出ノズルの同時駆動個数に応じた補正値によって、補正する適正電圧補正工程と、補正したヘッドドライバーごとの適正駆動電圧を、複数の吐出ノズルの適正駆動電圧に決定する適正電圧決定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の液滴吐出ヘッドの適正電圧決定方法は、1のヘッドドライバーにより駆動される1以上の吐出ノズルを有する液滴吐出ヘッドを対象とし、1以上の吐出ノズルの適正駆動電圧を決定する液滴吐出ヘッドの適正電圧決定方法であって、標準駆動電圧に対する1以上の吐出ノズルの平均吐出量に基づいて、適正吐出量に対する適正駆動電圧を算出する適正電圧算出工程と、算出した適正駆動電圧を、描画処理において同時に駆動する吐出ノズルの同時駆動個数に応じた補正値によって、補正する適正電圧補正工程と、補正した適正駆動電圧を、1以上の吐出ノズルの適正駆動電圧に決定する適正電圧決定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
これらの構成によれば、算出した適正駆動電圧を、描画処理時における同時駆動個数に応じた補正値によって補正することにより、同時駆動個数に応じた吐出量変化を駆動電圧側でキャンセルすることができる。そのため、当該吐出量変化に対応することができ、適正駆動電圧を精度良く決定することができる。
【0012】
本発明の液滴吐出装置は、ワークに対し液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、液滴吐出ヘッドを駆動して、ワークに対し描画処理を実施する液滴吐出装置であって、上記の液滴吐出ヘッドの適正電圧決定方法により決定した、適正駆動電圧に基づいて、液滴吐出ヘッドの駆動を制御することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、適正駆動電圧を精度良く決定することができる適正電圧決定方法を用いて、液滴吐出ヘッドの適正駆動電圧を決定することで、ワークに対する描画処理を精度良く実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】液滴吐出ヘッドの表裏外観斜視図である。
【図2】液滴吐出ヘッドの断面図である。
【図3】ポンプ部の部分分解斜視図である。
【図4】吐出検査装置を模式的に示した平面図である。
【図5】吐出検査装置の主制御系のブロック図である。
【図6】吐出検査装置における吐出検査動作および適正電圧決定動作を示したフローチャートである。
【図7】同時駆動個数と第1駆動数補正値との対応データ(a)、および同時駆動個数と第2駆動数補正値との対応データ(b)を示した図である。
【図8】液滴吐出装置を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法を適用した液滴吐出ヘッドの吐出検査装置について説明する。この吐出検査装置は、後述する液滴吐出装置に搭載する前の液滴吐出ヘッドの単体検査を行うものであり、1の液滴吐出ヘッドに対し、吐出の有無を判定する吐出検査をはじめ、飛行検査、飛行速度、吐出量測定等を実施する。また、検査シート上に液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して、複数の着弾ドットを形成すると共に、その各着弾ドットを撮像して、各吐出ノズルの吐出量を測定する。そこで先ず、吐出検査装置の説明に先立ち、検査対象となる液滴吐出ヘッドについて説明する。
【0016】
図1ないし図3に示すように、液滴吐出ヘッド1は、いわゆるピエゾ方式を採用したいわゆる2連のインクジェットヘッド(インクジェット方式の液滴吐出ヘッド1)であり、2連の接続針5を有する機能液導入部2と、機能液導入部2に連なる2連のヘッド基板3と、ヘッド基板3の下方に連なり機能液を吐出するヘッド本体4と、を備えている(図1(a)参照)。
【0017】
機能液導入部2は、一対の接続針5を有しており、配管アダプタ(図示省略)を介して機能液供給ユニット56(図4参照)から機能液の供給を受けるようになっている。ヘッド基板3には、2連のコネクタ6,6が設けられており、各コネクタ6はフレキシブルフラットケーブル(図示省略)を介して吐出検査装置31の制御装置36(図5参照)に接続されている。そして、この制御装置36(後述するヘッドドライバー88)から出力された駆動電圧(駆動波形)が各コネクタ6を介して各圧電素子(ピエゾ素子)17に印加されることで、各吐出ノズル21から機能液が吐出される。なお、当該液滴吐出ヘッド1は、機能液として特殊なインクや発光性の樹脂液を吐出し、液晶表示装置のカラーフィルターや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するのに用いられる。
【0018】
図2および図3に示すように、ヘッド本体4は、圧電素子17等で構成される2連のポンプ部11と、複数の吐出ノズル21が形成されたノズル面25を有するノズルプレート12と、を有している。各ポンプ部11は、吐出ノズル21の数に対応する圧電素子17を収容した機構部13と、機能液を貯留する貯留部14と、から構成されている。貯留部14は、圧電素子17の数に対応し、機能液を一時的に貯めるキャビティ15と、各キャビティ15に供給する機能液を溜めると共に上記の機能液導入部2に連通する共通室16と、から構成されている。機能液供給ユニット56から供給された機能液は、機能液導入部2を介して共通室16に流れ込む。そして、圧電素子17に電圧を印加して変形させることで、キャビティ15の体積変化を利用して共通室16からキャビティ15に機能液を導入すると共に、吐出ノズル21から機能液を吐出する。
【0019】
ノズルプレート12は、キャビティ15に貯留された機能液を吐出する吐出ノズル21が多数形成されている。多数の吐出ノズル21は、相互に平行、且つ半ピッチ位置ズレして列設された2列のノズル列22を構成しており、各ノズル列22は、等ピッチで並べた180個の吐出ノズル21で構成されている(図1(b)参照)。この場合、180個の吐出ノズル21のうち、両外端に位置する各10個の吐出ノズル21は、無効吐出ノズル23であり、実際の描画には使用しない。そのため、吐出検査では、無効吐出ノズル23(計20個)を除く有効吐出ノズル24(計160個)について吐出検査を実施する。
【0020】
次に、図4を参照して、上記した液滴吐出ヘッド1の吐出性能を検査する吐出検査装置31について説明する。吐出検査装置31は、機台32と、機台32上に載置され、液滴吐出ヘッド1の吐出性能を検査するヘッド検査装置33と、同様に機台32上に載置され、液滴吐出ヘッド1の機能維持および回復を行うメンテナンス装置34と、を有しており、これら各部はチャンバー35内に収容されている。また、チャンバー35外には、制御装置36(図5参照)が備えられており、液滴吐出ヘッド1、ヘッド検査装置33およびメンテナンス装置34を統括的に制御する。吐出検査装置31は、液滴吐出ヘッド1を1つずつ検査すべく、メンテナンス装置34により液滴吐出ヘッド1の機能維持・回復を行いながら、ヘッド検査装置33により機能液を吐出して、液滴吐出ヘッド1の吐出性能を検査する。
【0021】
メンテナンス装置34は、吐出ノズル21における機能液の増粘や目詰まりによる吐出不良を解消する吸引装置37と、吸引装置37と並ぶように配設され、液滴吐出ヘッド1のノズル面25を払拭するワイピング装置38と、を有している。
【0022】
吸引装置37は、液滴吐出ヘッド1のノズル面25に密接すると共に、R・G・B色に対応した3つのキャップ41と、各キャップ41を昇降させて、液滴吐出ヘッド1に対し離接するキャップ昇降機構40(図5参照)と、吸引チューブ(図示省略)を介して3つのキャップ41に接続されたイジェクター(図示省略)と、を有している。吸引装置37は、各キャップ41を液滴吐出ヘッド1のノズル面25に密接させ、イジェクターにより吸引を行うことで、吐出ノズル21の目詰まり等による吐出不良を解消する。
【0023】
ワイピング装置38は、ノズル面25に当接するワイピングシート42と、ワイピングシート42を繰り出すと共に巻き取るワイプシート送り機構43(図5参照)と、を有している。ワイピング装置38は、ワイピングシート42を吐出ノズル21のノズル面25に押し当て、吐出ノズル21を第1Y軸テーブル52によりY軸方向に前後させることで、吸引処理後の液滴吐出ヘッド1のノズル面25を払拭する。
【0024】
ヘッド検査装置33は、単一の液滴吐出ヘッド1を工具レスでセットするヘッドホルダ51と、ヘッドホルダ51を支持し、ヘッドホルダ51を介して液滴吐出ヘッド1をY軸方向に移動させる第1Y軸テーブル52と、後述する検査シート71上に形成された着弾ドットを撮像する撮像カメラ53と、撮像カメラ53を支持し、Y軸方向に移動させる第2Y軸テーブル54と、第1Y軸テーブル52を支持し、第1Y軸テーブル52およびヘッドホルダ51を介して液滴吐出ヘッド1をX軸方向に移動させると共に、第2Y軸テーブル54を支持し、第2Y軸テーブル54を介して撮像カメラ53をX軸方向に移動させるX軸テーブル55と、供給チューブ(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド1に機能液を供給する機能液供給ユニット56と、吐出された機能液の飛行曲がりや飛行速度を検査する飛行検査ユニット57と、吐出された機能液の吐出重量を測定する重量測定ユニット58と、検査シート71を有する被着弾ユニット59と、を備えている。機能液供給ユニット56は、X軸テーブル55に付設され、飛行検査ユニット57、重量測定ユニット58および被着弾ユニット59は、X軸テーブル55によりX軸方向に移動する液滴吐出ヘッド1の移動軌跡の鉛直方向下方に臨むよう、機台32上に並べて配設されている。
【0025】
ヘッド検査装置33により液滴吐出ヘッド1の吐出性能を検査する場合は、機能液供給ユニット56から液滴吐出ヘッド1に機能液を供給しつつ、X軸テーブル55および第1Y軸テーブル52により、液滴吐出ヘッド1をX軸方向およびY軸方向に移動させ、飛行検査ユニット57、重量測定ユニット58および被着弾ユニット59にそれぞれ臨ませて、各検査および検査シート71への検査吐出を行う。また、X軸テーブル55および第2Y軸テーブル54により、撮像カメラ53をX軸方向およびY軸方向に移動させて、被着弾ユニット59の検査シート71上に形成した各着弾ドットを撮像する。
【0026】
機能液供給ユニット56は、R・G・B色の機能液をそれぞれ貯留する3つの機能液タンク61を有しており、各機能液タンク61は、液滴吐出ヘッド1より上方に配設され、セットした液滴吐出ヘッド1に応じて選択的に使用される。このため、機能液は、自然水頭により各機能液タンク61から各供給チューブを介して液滴吐出ヘッド1へ供給される。
【0027】
飛行検査ユニット57は、パルス光源であるパルスレーザを有する照明部65と、照明部65に対向して配置され、パルスレーザによるパルス光を受光する顕微鏡カメラ66と、液滴吐出ヘッド1から吐出された機能液を受ける機能液受け部67と、を備えている。飛行速度の測定や飛行曲がりの検査を行う場合、照明部65と顕微鏡カメラ66を駆動させた状態で機能液を吐出する。吐出された機能液は、照明部65と顕微鏡カメラ66との間のパルスレーザを遮って、機能液受け部67に着弾する。そして、飛行検査ユニット57により高速度撮影された撮影結果に基づいて、飛行速度が計測されると共に、飛行曲がりがあるか否か、また吐出抜けがあるか否かを検査する。
【0028】
重量測定ユニット58は、液滴吐出ヘッド1から吐出された機能液を受ける容器62と、容器62内の機能液の重量を測定する電子天秤63と、を備えている。重量測定ユニット58により機能液の吐出重量を測定する場合は、ノズル列22単位で数万発の機能液を吐出し、電子天秤63によりその機能液の吐出重量を測定する。
【0029】
被着弾ユニット59は、液滴吐出ヘッド1からの検査吐出を受ける長尺状の検査シート71と、検査シート71が載置される測定ステージ72と、検査シート71の検査済み部分を測定ステージ72から送り出し、かつ未使用部分を測定ステージ72に送り込むように検査シート71を送る検査シート送り機構73と、を備えている。被着弾ユニット59は、検査吐出により検査シート71上に形成された着弾ドットが、撮像カメラ53によって撮像されると、その撮像済み部分を検査シート送り機構73により送り、未使用部分と差し替えることで、未使用部分にて検査吐出を受けることになる。なお、測定ステージ72は、吸着機構(図示省略)を有し、検査シート71を吸着セットすることが好ましい。
【0030】
長尺状の検査シート71は、吐出ノズル21から吐出された機能液を吸収する材質で形成されており、例えば、フィルム材や紙等で形成されている。吐出ノズル21から吐出された機能液が検査シート71上に着弾すると、機能液が検査シート71に吸収されて、円形の着弾ドットが描画(形成)される。なお、本実施形態では、検査シート71として、機能液を吸収する材質のものを用いたが、機能液を吸収せず、立体形状(ドーム状)の着弾ドットが形成されるものを使用しても良い。
【0031】
図5に示すように、制御装置36は、各種ドライバーを有する駆動制御部81と、各部に接続され、吐出検査装置31全体の統括制御を行う統括制御部82と、を備えている。駆動制御部81には、液滴吐出ドライバー83と、カメラドライバー84と、XY移動ドライバー85と、ワイプシート送りドライバー86と、キャップドライバー87と、を備えている。カメラドライバー84は、撮像カメラ53を駆動して着弾ドットの撮像を行う。XY移動ドライバー85は、X軸テーブル55、第1Y軸テーブル52および第2Y軸テーブル54を駆動して、液滴吐出ヘッド1および撮像カメラ53のXY方向移動を行う。ワイプシート送りドライバー86は、ワイピング装置38のワイプシート送り機構43を駆動して、ワイピングシート42のシート送りを行う。キャップドライバー87は、吸引装置37のキャップ昇降機構40を駆動して、キャップ41をノズル面25に対して離接させる。
【0032】
液滴吐出ドライバー83は、4つのヘッドドライバー88を有し、液滴吐出ヘッド1の各吐出ノズル21を駆動して液滴を吐出する。各ヘッドドライバー88は、それぞれDAコンバーター(Digital to Analog Converter)(図示省略)を有し、それぞれ異なる駆動電圧(駆動波形)を出力可能に構成されている。すなわち、各圧電素子17に対し、各ヘッドドライバー88からの4種の駆動電圧を選択的に入力することで、各吐出ノズル21に各駆動電圧を選択的に印加することができる。以下、共通のヘッドドライバー88から駆動電圧が印加される1以上の吐出ノズル21のグループを「COM」と呼称し、4つのヘッドドライバー88のCOMをそれぞれ、「COM1」、「COM2」、「COM3」、「COM4」と呼称する。詳細は後述するが、駆動する複数の吐出ノズル21を、各COMに割り付けて駆動し、液滴吐出を実施する。
【0033】
統括制御部82には、各手段を接続するためのインタフェース91と、一時的に記憶可能な記憶領域を有し、制御処理のための作業領域として使用されるRAM92と、各種記憶領域を有し、制御プログラムや制御データを記憶するROM93と、各手段からの各種データ等を記憶すると共に、各種データを処理するためのプログラム等を記憶するハードディスク94と、ROM93やハードディスク94に記憶されたプログラム等に従い、各種データを演算処理するCPU95と、これらを互いに接続するバス96と、が備えられている。
【0034】
そして、統括制御部82は、各部からの各種データを、インタフェース91を介して入力すると共に、ハードディスク94に記憶された(または、CD−ROMドライブ等により順次読み出される)プログラムに従ってCPU95に演算処理させ、その処理結果を、駆動制御部81(各種ドライバ)を介して各部に出力する。これにより、吐出検査装置31全体が制御され、各種処理が行われる。
【0035】
ここで図6を参照して、吐出検査装置31における液滴吐出ヘッド1の吐出検査動作および適正電圧決定動作について説明する。図6に示すように、吐出検査装置31では、吐出検査動作(S1〜S9)を実行した後、吐出性能検査で得られたデータ(吐出量データ)に基づいて、適正電圧決定動作(S10〜S14)を実行する。まず、吐出検査動作について説明する。なお、この吐出検査動作は、液滴吐出ヘッド1が、ヘッドホルダ51に予めセットされている状態にて行われるものとする。
【0036】
図6に示すように、吐出検査動作において、まず、統括制御部82は、液滴吐出ヘッド1、および液滴吐出ヘッド1に接続した供給チューブ内に機能液を充填する初期充填工程を実行する(S1)。すなわち、X軸テーブル55により、液滴吐出ヘッド1を吸引装置37に臨ませて、吸引装置37により液滴吐出ヘッド1を吸引し、機能液を充填する。その後、液滴吐出ヘッド1を駆動して、ウォームアップ(液滴吐出ヘッド1の温度上昇)を実施すると共に、液滴吐出ヘッド1をワイピング装置38に臨ませて、ワイピング装置38によりノズル面25を拭き取って初期充填を終了する。
【0037】
初期充填が終了したら、トリートメントフラッシング工程を実行する(S2)。すなわち、液滴吐出ヘッド1を重量測定ユニット58に臨ませて、予備吐出を実施する。これにより、クリーニング後に、機能液が一定量捨て吐出されるため、一定量吐出した状態から検査を行うことができる。例えば、クリーニング後の初期段階では、異常吐出が発現せず、一定量吐出すると異常吐出が発現する場合があり、トリートメントフラッシングを実施することで、このような検査不備を防止することができる。
【0038】
次に、液滴吐出ヘッド1を飛行検査ユニット57に臨ませて、各有効吐出ノズル24の飛行速度の測定工程を実行する(S3)。吐出された機能液滴を、飛行検査ユニット57により高速度撮影し、その撮影結果に基づいて、飛行速度を計測する。かかる際、飛行曲がり、吐出抜け、および異常吐出の検査も同時に行い、これらの検査により液滴吐出ヘッド1が不良と判断された場合、本動作を終了する。
【0039】
その後、再度、液滴吐出ヘッド1を重量測定ユニット58に臨ませて、吐出重量の重量測定工程を実行する(S4)。重量測定工程では、液滴吐出ヘッド1からノズル列22単位で重量測定ユニット58に液滴吐出を実施し、ノズル列22単位での吐出重量を測定する。この測定結果に基づいて、ノズル列22単位での、基準の適正駆動電圧(標準駆動電圧)を決定する。この基準の適正駆動電圧は、検査吐出の際に用いる駆動電圧であると共に、後述するCOMごとの適正駆動電圧を決定する際に、基準となる駆動電圧である。また、適正駆動電圧とは、1の吐出ノズル21から適正吐出量だけ吐出するために、ヘッドドライバー88から駆動される駆動電圧の電圧値である。具体的な決定方法としては、目標吐出重量(1ノズル列22当りの目標吐出重量)を吐出するための、およその電圧値があり、各ノズル列22において、その電圧値に前後する2つの電圧値で、重量測定を実施する。その後、当該測定結果(2つの電圧値での各吐出重量)に基づいて、電圧値と1ノズル列22当りの吐出重量との一次関数を求め、目標吐出重量をその一次関数に代入することで、目標吐出重量に対する電圧値を算出する。ここで求めた電圧値を基準の適正駆動電圧として決定する。
【0040】
次に、液滴吐出ヘッド1を被着弾ユニット59に臨ませて、被着弾ユニット59の検査シート71に対し検査吐出を実施して、ノズル列22ごとの着弾ドット列を形成するドット列形成工程(吐出工程)を実行する(S5)。ドット列形成工程では、検査吐出パターンに基づいて、検査シート71上に各着弾ドット列を形成する。検査吐出パターンは、各ノズル列22における各有効吐出ノズル24の吐出の有無を示すデータであり、ここでは検査吐出パターンとして、各ノズル列22において、複数の有効吐出ノズル24の検査吐出を間引いて行う検査吐出パターンを用いる。また、このドット列形成工程では、検査吐出する有効吐出ノズル24(以下、駆動吐出ノズルと呼称)に、上記した4つのCOMを、各ノズル列22の端から順番に且つ交互に割り付ける(ノズル割付工程)。例えば、駆動吐出ノズルを端から、COM1、COM2、COM3、COM4、COM1…と、循環的に割り付けていく。このように各駆動吐出ノズルを割り付けた後、各COMの駆動電圧を上記基準の適正駆動電圧とし、各駆動吐出ノズルを同時に駆動して、着弾ドット列を形成する。なお、各駆動吐出ノズルからの検査吐出は、1回を複数ショット(例えば、4ショット)で構成し、各着弾ドットを複数ショットで構成する。
【0041】
ノズル列22ごとの着弾ドット列を形成したら、統括制御部82は、X軸テーブル55により、液滴吐出ヘッド1を退避しつつ、撮像カメラ53を被着弾ユニット59に臨ませて、各着弾ドットの面積を測定する面積測定工程を実行する(S6)。すなわち、検査シート71上に形成された着弾ドット列の各着弾ドットをそれぞれ、撮像カメラ53により撮像し、その撮像結果に基づいて、各着弾ドットの面積を測定する。
【0042】
各着弾ドットの面積を測定したら、この測定結果に基づいて各駆動吐出ノズルの吐出量を算出する吐出量算出工程を実行する(S7)。具体的には、予め実験で得られた着弾ドットの面積と駆動吐出ノズルの吐出量との相関関係を表す回帰式に、各駆動吐出ノズルの面積を代入して、各駆動吐出ノズルの吐出量を算出する。これにより、基準の適正駆動電圧に対する各駆動吐出ノズルの吐出量から成る吐出量データを取得する。なお、各駆動吐出ノズルの吐出量を、全体の平均値で正規化した値を、吐出量データとしても良い。また、請求項にいう吐出量測定工程は、面積測定工程および吐出量算出工程により構成されている。
【0043】
次に、各種補正値によって吐出量データを補正する吐出量補正工程(S8)を実行する。吐出量補正工程では、まず、COMごとの第1駆動数補正値およびDAC補正値を取得する。第1駆動数補正値とは、検査吐出(ドット列形成工程)において同時に駆動した吐出ノズル21の数(以下、同時駆動個数)の差に対する吐出量の差異を補正する値である。一方、DAC補正値は、DAコンバーターの特性による吐出量の差異を補正する値である。統括制御部82は、同時駆動個数と第1駆動数補正値との対応関係を示す対応データを予め記憶しており、この対応データから各COMの同時駆動個数に対する第1駆動数補正値を抽出して取得する。なお、上記ドット列形成工程では、各COMに所属する全駆動吐出ノズルを同時に駆動しているため、各COMに所属する駆動吐出ノズルの数が、各COMの同時駆動個数となる。また、厳密には、当該対応データとして、基準数(ここでは、12個)から差分(同時駆動個数数差)と、第1駆動数補正値とを対応して記憶している(図7(a)参照)。例えば、同時駆動個数「−1」に対し、「+0.2%(=1+0.002=1.002)」を第1駆動数補正値とし、同時駆動個数「+1」に対し、「−0.2%(=1−0.002=0.998)」を第1駆動数補正値とする。
【0044】
一方、DAC補正値は、各COMの平均吐出量から算出する。すなわち、まず、吐出量データからCOMごとの平均吐出量を算出する。検査吐出時の各駆動吐出ノズルは、端から順に且つ交互に各COMを割り当てているため、各COMの平均吐出量は、同時駆動個数差およびDAコンバーターの特性差の影響のみしか受けない。ゆえに、当該平均吐出量から同時駆動個数差の影響をキャンセルして、DAC補正値とする。具体的には、各COMの平均吐出量に、第1駆動数補正値を乗算して、各COMのDAC補正値とする。
【0045】
COMごとの第1駆動数補正値およびDAC補正値を取得したら、全駆動吐出ノズルの各吐出量に対し、COMごとの第1駆動数補正値を乗算すると共に、DAC補正値を徐算して、補正する。これにより、統括制御部82は、補正したCOMごとの各駆動吐出ノズルの吐出量を取得し(吐出量取得工程)、これらを合わせて、補正した吐出量データを取得する(全吐出量取得工程)。なお、詳細は後述するが、ここで算出したDAC補正値は、適正駆動電圧の補正(厳密には電圧比率補正工程)の際に流用する。
【0046】
最後に、液滴吐出ヘッド1を吸引装置37に臨ませて、キャップ41により、液滴吐出ヘッド1をキャッピングするキャッピング工程を実行する(S9)。これにより、液滴吐出ヘッド1の保湿状態が維持され、吐出検査動作を終了する。
【0047】
次に、適正電圧決定動作について説明する。適正電圧決定動作は、吐出検査動作で得られた(補正した)吐出量データを用いて、各駆動吐出ノズルのCOMを再割付すると共に、COMごとの適正駆動電圧を決定するものである。なお、ここでは、両ノズル列22において、同様の適正電圧決定動作を実施するため、一方のノズル列22の適正電圧決定動作のみについて説明するものとする。
【0048】
図6に示すように、適正電圧決定動作では、まず、統括制御部82は、取得した当該ノズル列22の吐出量データに基づいて、ノズル列22内の複数の駆動吐出ノズルを各COMに割付け直す再割付工程を実行する(S10)。再割付工程では、各駆動吐出ノズルの吐出量の大小によって、複数の駆動吐出ノズルを各COMに割り付ける。例えば、駆動吐出ノズルの数を49個とした場合、吐出量の順位として上位12個の駆動吐出ノズルをCOM1とし、13番目から24番目の駆動吐出ノズルをCOM2、25番目から36番目までの駆動吐出ノズルをCOM3とし、残りの駆動吐出ノズルをCOM4とする。
【0049】
次に、統括制御部82は、吐出量データに基づいて、COMごとの平均吐出量を算出する平均吐出量算出工程(S11)を実行する。すなわち、各COMにおいて、所属する駆動吐出ノズルの合計吐出量から、当該COMの駆動吐出ノズルの数を徐算する。これにより、再割付したCOMごとの平均吐出量を算出する。
【0050】
次に、算出したCOMごとの平均吐出量に基づいて、COMごとの電圧比率を算出する電圧比率算出工程(適正電圧算出工程)を実行する(S12)。電圧比率は、各COM間の適正駆動電圧の比率であり、係数として各COMの適正駆動電圧を決定するものである。駆動電圧算出工程では、まず、吐出量データから、液滴吐出ヘッド1全体の平均吐出量(以下、全体平均吐出量)を算出する。次に、各COMの平均吐出量、全体平均吐出量との比率(以下、吐出量比率)をそれぞれ算出する。各COMの吐出量比率を算出したら、これに基づいて、各COMの電圧比率を算出する。具体的には、予め取得した吐出量比率と電圧比率との変換係数を用い、各COMの吐出量比率から各COMの電圧比率を算出する。例えば、変換係数がHo、吐出量比率がIwである場合、Ho×Iwの値が、電圧比率となる。
【0051】
各COMの電圧比率を求めたら、COMごとの電圧比率を補正する比率補正工程(適正電圧補正工程)(S13)を実行する。電圧比率補正工程では、第2駆動数補正値と上記DAC補正値とに基づいて、COMごとの電圧比率を補正する。第2駆動数補正値は、描画処理においての同時駆動個数差による吐出量の差異を補正する値である。すなわち、吐出量補正工程では、検査吐出時の同時駆動個数差の影響をキャンセルしたのに対し、本工程では描画処理時の同時駆動個数差の影響をキャンセルする。具体的には、統括制御部82は、描画処理時における同時駆動個数と第2駆動数補正値との対応データを予め記憶し(図7(b)参照)、この対応データから各COMの同時駆動個数に対する第2駆動数補正値を抽出する。COMごとの第2駆動数補正値を取得したら、各電圧比率に対し、COMごとの第2駆動数補正値および上記DAC補正値を徐算して補正する。電圧比率は、適正駆動電圧を決定する数値であるため、この電圧比率を補正することで適正駆動電圧を間接的に補正している。
【0052】
なお、COM1の電圧比率が基準値となるため、COM1の第2駆動数補正値およびDAC補正値を、COM1の電圧比率に徐算するのに代えて、COM1以外の各COMに、COM1の第2駆動数補正値およびDAC補正値を乗算することが好ましい。また、描画処理時の同時駆動個数は、基本的には、上記再割付工程で割り付けた各COMに所属する駆動吐出ノズルの数となるが、これに限るものではなく、例えば、描画処理の前に再度、COMの割付けを行っても良し、全駆動吐出ノズルのうち、一部のみを同時駆動して描画処理を行っても良い。
【0053】
最後に、COMごとの電圧比率と、上記した基準の適正駆動電圧とから、COMごとの適正駆動電圧を算出する適正電圧算出工程(S14)を実行する。具体的には、COMごとに、電圧比率と基準の適正駆動電圧とを乗算することで、各COMの適正駆動電圧を算出する。これにより各駆動吐出ノズルの適正駆動電圧を決定する(適正電圧決定工程)。
【0054】
以上のような構成によれば、吐出量を取得する際、測定した吐出量を、ドット列形成工程(検査吐出時)における同時駆動個数に応じた補正値(第1駆動数補正値)によって補正して取得することで、同時駆動個数に応じた吐出量変化をキャンセルすることができる。そのため、当該吐出量変化に対応することができ、吐出量を精度良く取得することができる。
【0055】
また、適正駆動電圧を決定する際、算出した電圧比率を、描画処理時における同時駆動個数に応じた補正値(第2駆動数補正値)によって補正することにより、同時駆動個数に応じた吐出量変化を駆動電圧側でキャンセルすることができる。そのため、当該吐出量変化に対応することができ、適正駆動電圧を精度良く決定することができる。
【0056】
なお、本実施形態においては、4つのヘッドドライバー88を有し、COMごとの駆動吐出ノズルの同時駆動個数に応じて、吐出量および電圧比率(適正駆動電圧)を補正したが、1つのヘッドドライバー88のみを有し、当該ヘッドドライバー88によって駆動される駆動吐出ノズルの同時駆動個数に応じて、吐出量および電圧比率(適正駆動電圧)を補正する構成であっても良い。
【0057】
また、本実施形態においては、同時駆動個数差に応じた吐出量および電圧比率の補正と、DAコンバーターの特性差に応じた吐出量および電圧比率の補正との両方を実施する構成であったが、そのうち、片方のみを実施する構成であっても良い。
【0058】
さらに、本実施形態においては、同時駆動個数に応じた吐出量の補正と、同時駆動個数に応じた電圧比率(適正駆動電圧)の補正との両方を実施する構成であったが、そのうち、片方のみを実施する構成であっても良い。
【0059】
またさらに、本実施形態においては、第1駆動数補正値およびDAC補正値を別々に取得したが、吐出量算出工程で取得した各駆動吐出ノズルの吐出量におけるCOMごとの平均吐出量を、第1駆動数補正値とDAC補正値とを合わせた補正値として用いても良い。当該各平均吐出量は、上記したように、各COMの同時駆動個数差の影響およびDAコンバーターの特性差の影響のみを受けているため、第1駆動数補正値とDAC補正値とを合わせた補正値として用いることができる。
【0060】
また、本実施形態においては、ドット列形成工程(検査吐出)において、COMに所属した全ての駆動吐出ノズルを同時に駆動する構成であったが、COMに所属した駆動吐出ノズルを2つのグループに分け、グループごとに相互に異なるタイミングで、駆動吐出ノズルを同時駆動する構成であっても良い。かかる場合、各グループに所属する駆動吐出ノズルを同時駆動個数として、グループごとに各駆動吐出ノズルの吐出量を補正する。
【0061】
ここで図8を参照して、上記検査後の液滴吐出ヘッド1を用いた液滴吐出装置201について説明する。この液滴吐出装置201は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した液滴吐出ヘッド1を用い、液晶表示装置のカラーフィルターや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
【0062】
図8に示すように、液滴吐出装置201は、石定盤に支持されたX軸支持ベース202上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在してワークWをX軸方向に移動させるX軸移動テーブル203と、複数本の支柱204を介してX軸移動テーブル203を跨ぐように架け渡された1対のY軸支持ベース205上に配設され、主走査方向(X軸方向)に直交した副走査方向となるY軸方向に延在するY軸移動テーブル206と、Y軸移動テーブル206に移動自在に吊設され、複数個(12個)の液滴吐出ヘッド1が個々にキャリッジに搭載された10個のキャリッジユニット207と、複数個の液滴吐出ヘッド1の機能維持・機能回復処理を行うメンテナンス機構208と、から構成されている。さらに、液滴吐出装置201は、これらの装置を、温度および湿度が管理された雰囲気内に収容するチャンバー機構209と、チャンバー機構209を貫通して、液滴吐出ヘッド1に機能液を供給する機能液供給機構210と、液滴吐出装置201の各構成要素を制御する制御コンピューター(図示省略)と、を備えている。
【0063】
液滴吐出装置201は、X軸移動テーブル203およびY軸移動テーブル206の駆動と同期して液滴吐出ヘッド1を吐出駆動させることにより、機能液供給機構210から供給された3色の機能液滴を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンが描画される。すなわち、各液滴吐出ヘッド1に対しワークWを移動させながら、各液滴吐出ヘッド1を駆動することで、描画処理を行う。なお、かかる際、制御コンピューターは、吐出検査装置31で決定したCOMごとの適正駆動電圧によって、各液滴吐出ヘッド1を駆動する。
【0064】
このように、適正駆動電圧を精度良く決定することができる適正電圧決定方法を用いて、液滴吐出ヘッド1の適正駆動電圧を決定することで、ワークWに対する描画処理を精度良く実施することができる。
【0065】
なお、本実施形態においては、液滴吐出ヘッド1を固定とし、ワークWを移動して描画処理を実施したが、ワークWに対し液滴吐出ヘッド1を相対的に移動して描画処理を実施するものであれば、ワークWを固定とし、液滴吐出ヘッド1を移動して描画処理を実施するものであっても良い。
【符号の説明】
【0066】
1:液滴吐出ヘッド、 21:吐出ノズル、 88:ヘッドドライバー、 201:液滴吐出装置、 W:ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1のヘッドドライバーにより駆動される1以上の吐出ノズルを有する液滴吐出ヘッドを対象とし、標準駆動電圧に対する前記1以上の吐出ノズルの各吐出量を取得する液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法であって、
前記ヘッドドライバーからの前記標準駆動電圧によって、前記1以上の吐出ノズルを同時に駆動する吐出工程と、
前記吐出工程により吐出された前記1以上の吐出ノズルの各吐出量を測定する吐出量測定工程と、
測定した前記1以上の吐出ノズルの各吐出量を、前記吐出工程において同時に駆動した前記吐出ノズルの同時駆動個数に応じた補正値によって、補正する吐出量補正工程と、
補正した前記1以上の吐出ノズルの各吐出量を取得する吐出量取得工程と、を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法。
【請求項2】
2以上の前記ヘッドドライバーにより駆動される複数の前記吐出ノズルを有する前記液滴吐出ヘッドを対象とし、前記標準駆動電圧に対する前記複数の吐出ノズルの各吐出量を取得する液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法であって、
前記複数の吐出ノズルを、前記各ヘッドドライバーにより駆動される前記1以上の吐出ノズルとして割り付けるノズル割付工程と、
請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法によって取得した、前記2以上のヘッドドライバーにより駆動される前記1以上の吐出ノズルの各吐出量を合わせ、前記複数の吐出ノズルの各吐出量として取得する全吐出量取得工程と、を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法。
【請求項3】
請求項2に記載の液滴吐出ヘッドの吐出量取得方法によって取得した前記複数の吐出ノズルの吐出量に基づいて、前記各ヘッドドライバーにより駆動される1以上の吐出のノズルの平均吐出量を算出する平均吐出量算出工程と、
算出した前記ヘッドドライバーごとの平均吐出量と前記標準駆動電圧に基づいて、前記ヘッドドライバーごとの、適正吐出量に対する適正駆動電圧を算出する適正電圧算出工程と、
前記ヘッドドライバーごとに、算出した前記適正駆動電圧を、描画処理において同時に駆動する前記吐出ノズルの同時駆動個数に応じた補正値によって、補正する適正電圧補正工程と、
補正した前記ヘッドドライバーごとの前記適正駆動電圧を、前記複数の吐出ノズルの適正駆動電圧に決定する適正電圧決定工程と、を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッドの適正電圧決定方法。
【請求項4】
1のヘッドドライバーにより駆動される1以上の吐出ノズルを有する液滴吐出ヘッドを対象とし、前記1以上の吐出ノズルの適正駆動電圧を決定する液滴吐出ヘッドの適正電圧決定方法であって、
標準駆動電圧に対する前記1以上の吐出ノズルの平均吐出量に基づいて、適正吐出量に対する適正駆動電圧を算出する適正電圧算出工程と、
算出した前記適正駆動電圧を、描画処理において同時に駆動する前記吐出ノズルの同時駆動個数に応じた補正値によって、補正する適正電圧補正工程と、
補正した前記適正駆動電圧を、前記1以上の吐出ノズルの適正駆動電圧に決定する適正電圧決定工程と、を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッドの適正電圧決定方法。
【請求項5】
ワークに対し前記液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、前記液滴吐出ヘッドを駆動して、前記ワークに対し描画処理を実施する液滴吐出装置であって、
請求項3または4に記載の液滴吐出ヘッドの適正電圧決定方法により決定した、前記適正駆動電圧に基づいて、前記液滴吐出ヘッドの駆動を制御することを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−101870(P2011−101870A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258541(P2009−258541)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】