説明

液滴吐出装置及びその制御方法

【課題】キャップの洗浄作業中に吐出ヘッドのノズル面が外気に晒される場合でも、ノズ
ルの良好な吐出状態を維持すると共に、作業の再開時や装置の立上げ時に行う吐出ヘッド
のメンテナンス処理を短時間で完了する。
【解決手段】キャッピングユニット15のキャップ48内を洗浄している間、吐出ヘッド
3をキャッピングエリア以外のメンテナンスエリアに待避させ、待避中に吐出ヘッド3に
対して微振動を付与し、キャップ48内を洗浄した後、作業を終了する場合は、吐出ヘッ
ド3のノズル面2にキャップ48を当接させた後に電源を落とし、作業を再開する場合は
、吐出ヘッド3のメンテナンス処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェットヘッド(吐出ヘッド)のノズル面に設けられた複数のノズル
からインク(機能液)の液滴を吐出し、用紙(記録媒体)に着弾させて描画を行うインク
ジェットプリンタ(液滴吐出装置)がある。近年、このようなインクジェットプリンタに
端を発したインクジェット技術の革新が進み、カラーフィルタや看板、衣料などの分野へ
の展開も盛んとなっている。
【0003】
ところで、このような液滴吐出装置では、吐出ヘッドのノズル面が外気に晒された状態
にあるために、このノズル面に設けられた複数のノズルのうち、吐出動作を行わないノズ
ルについては、内部のインクの乾燥が進み粘度が増すことによって、インクの吐出量にバ
ラツキが生じたり、インクの着弾精度の低下を招いたりするなどの問題が発生することが
ある。
【0004】
そこで、液滴吐出装置では、ノズルから吐出される液滴の良好な吐出状態を維持又は回
復するためのメンテナンス処理を定期的に行っている。その具体的なメンテナンス処理と
しては、例えば、インクの増粘が進まないように各ノズルからインクを吐出させるフラッ
シング動作や、ノズルを吸引することによってノズル内の増粘したインクを除去する吸引
動作、ノズル面をワイプ部材で払拭することによってノズル面に付着した付着物を除去す
るワイピング動作などがある(例えば、特許文献1,2を参照)。
【特許文献1】特開2003−191481号公報
【特許文献2】特開2007−185795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した吸引動作では、吐出ヘッドのノズル面を覆うキャップを介してノズ
ルを吸引し、このノズルを介して吸引されたインクをキャップの底面に接続されたチュー
ブ等を介して廃インクタンクへと回収する。その後、廃インクタンクに回収されたインク
は、内容物によってリサイクルや焼却などの処分に回される。
【0006】
このような廃インクの回収手段では、チューブ内のインクが乾燥により固化して目詰ま
り等を引き起こすことがないよう定期的にキャップ内を洗浄する作業が必要となる。しか
しながら、キャップの洗浄作業中は、吐出ヘッドのノズル面が外気に晒された状態となる
ため、ノズル内のインクの乾燥が進み粘度が増すことによって、ノズルの吐出特性が低下
することは避けられない。また、その後にノズルの吐出状態を良好に回復するためのメン
テナンス処理に時間がかかり、その結果、生産性が低下してしまうおそれもある。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、キャップの
洗浄作業中に吐出ヘッドのノズル面が外気に晒される場合でも、ノズルの良好な吐出状態
を維持することができ、作業の再開時や装置の立上げ時に行う吐出ヘッドのメンテナンス
処理を短時間で完了することができる液滴吐出装置及びその制御方法を提供することを目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る液滴吐出装置は、複数のノズルが設けられた
ノズル面を有し、当該ノズル面の各ノズルから機能液の液滴を吐出する吐出ヘッドと、吐
出ヘッドのノズル面に接触可能なキャップを有し、当該キャップを介してノズルを吸引す
るキャッピングユニットと、吐出ヘッドのノズル面をワイプ部材で払拭するワイピングユ
ニットと、吐出ヘッドのノズルから吐出された液滴を吐出対象物に着弾させる着弾エリア
と、キャッピングユニットが設けられたキャッピングエリア及びワイピングユニットが設
けられたワイピングエリアを含むメンテナンスエリアとの間で、吐出ヘッドを相対的に移
動させる移動手段と、吐出ヘッドに微振動を付与する微振動付与手段と、吐出ヘッド、キ
ャッピングユニット、ワイピングユニット、移動手段、及び微振動付与手段を含む各部の
制御を行う制御手段とを備え、制御手段からの指令に基づいて、キャッピングユニットの
キャップ内を洗浄している間、吐出ヘッドがキャッピングエリア以外のメンテナンスエリ
アに待避されて、待避中に微振動付与手段が吐出ヘッドに対して微振動を付与し、キャッ
プ内を洗浄した後、作業を終了する場合は、吐出ヘッドのノズル面にキャップを当接させ
た後に電源を落とし、作業を再開する場合は、吐出ヘッドのメンテナンス処理を実行する
ことを特徴とする。
【0009】
この液滴吐出装置では、キャッピングユニットのキャップ内を洗浄している間、吐出ヘ
ッドがキャッピングエリア以外のメンテナンスエリアに待避されて、待避中に微振動付与
手段が吐出ヘッドに対して微振動を付与することによって、キャップの洗浄作業中に吐出
ヘッドのノズル面が外気に晒される場合でも、ノズル内で機能液の増粘が進まないように
ノズル内の機能液を微振動させながら、ノズルの良好な吐出状態を維持することができる
。そして、キャップ内を洗浄した後、作業を終了する場合は、吐出ヘッドのノズル面にキ
ャップを当接させた後に電源を落とし、作業を再開する場合は、吐出ヘッドのメンテナン
ス処理を実行することで、作業の再開時や装置の立上げ時に行う吐出ヘッドのメンテナン
ス処理を短時間で完了することができる。
【0010】
また、本発明に係る液滴吐出装置の制御方法は、複数のノズルが設けられたノズル面を
有し、当該ノズル面の各ノズルから機能液の液滴を吐出する吐出ヘッドと、吐出ヘッドの
ノズル面に接触可能なキャップを有し、当該キャップを介してノズルを吸引するキャッピ
ングユニットと、吐出ヘッドのノズル面をワイプ部材で払拭するワイピングユニットと、
吐出ヘッドのノズルから吐出された液滴を吐出対象物に着弾させる着弾エリアと、キャッ
ピングユニットが設けられたキャッピングエリア及びワイピングユニットが設けられたワ
イピングエリアを含むメンテナンスエリアとの間で、吐出ヘッドを相対的に移動させる移
動手段とを備えた液滴吐出装置の制御方法であって、キャッピングユニットのキャップ内
を洗浄している間、吐出ヘッドをキャッピングエリア以外のメンテナンスエリアに待避さ
せ、待避中に吐出ヘッドに対して微振動を付与し、キャップ内を洗浄した後、作業を終了
する場合は、吐出ヘッドのノズル面にキャップを当接させた後に電源を落とし、作業を再
開する場合は、吐出ヘッドのメンテナンス処理を実行することを特徴とする。
【0011】
この液滴吐出装置の制御方法では、キャッピングユニットのキャップ内を洗浄している
間、吐出ヘッドをキャッピングエリア以外のメンテナンスエリアに待避させ、待避中に吐
出ヘッドに対して微振動を付与することによって、キャップの洗浄作業中に吐出ヘッドの
ノズル面が外気に晒される場合でも、ノズル内で機能液の増粘が進まないようにノズル内
の機能液を微振動させながら、ノズルの良好な吐出状態を維持することができる。そして
、キャップ内を洗浄した後、作業を終了する場合は、吐出ヘッドのノズル面にキャップを
当接させた後に電源を落とし、作業を再開する場合は、吐出ヘッドのメンテナンス処理を
実行することで、作業の再開時や装置の立上げ時に行う吐出ヘッドのメンテナンス処理を
短時間で完了することができる。
【0012】
なお、上記メンテナンス処理としては、上記キャッピングユニットによる吸引動作と、
上記ワイピングユニットによるワイピング動作と、上記吐出ヘッドのノズルから液滴を吐
出させるフラッシング動作とのうち何れか1つ以上を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参
照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内の所定方向をX軸方向、
水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれ
と直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸ま
わりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θ、θ、及びθ方向とする。
【0014】
図1は、本実施形態に係る液滴吐出装置IJを示す概略構成図、図2は、本実施形態に
係る液滴吐出装置IJの一部を示す斜視図である。
【0015】
液滴吐出装置IJは、機能液の液滴Dを基板(吐出対象物)Pに吐出することによって
、基板Pにデバイスパターン(描画パターン)を形成する。液滴吐出装置IJは、機能液
の液滴Dを吐出するノズル1が形成されたノズル面2を有する吐出ヘッド3と、ノズル面
2と対向する第1位置A1を含む所定領域で吐出ヘッド3に対して移動可能であり、Y軸
に沿って配置された複数の移動体4、5、6、7と、複数の移動体4、5、6、7をY軸
に沿って移動させる駆動装置8と、吐出ヘッド3に流路を介して接続され、吐出ヘッド3
に供給するための機能液を収容する機能液収容装置9と、液滴吐出装置IJ全体の動作を
制御する制御装置(制御手段)10とを備えている。
【0016】
本実施形態の液滴吐出装置IJは、複数の吐出ヘッド3を備えたマルチヘッドタイプの
液滴吐出装置であり、複数の吐出ヘッド3を支持するキャリッジ部材11を有する。また
、液滴吐出装置IJは、吐出ヘッド3の駆動を制御する駆動回路を含む制御器12を有す
る。制御器12は、制御装置10の指令に基づいて、吐出ヘッド3を駆動する。
【0017】
基板Pは、例えば特開2006−114593号公報、特開2006−261146号
公報等に開示されているような、低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperatur
e Co-fired Ceramics)多層回路基板を形成するための基板であって、焼成前のLTCC
基板(グリーンシート)を含む。
【0018】
本実施形態においては、機能液として、金属微粒子(導電性微粒子)を所定の分散媒に
分散したものを用いる。本実施形態においては、液滴吐出装置IJが、焼成前のLTCC
基板(グリーンシート)に、金属微粒子を含む機能液の液滴Dを吐出して、その液滴Dで
基板(グリーンシート)に配線パターンを形成する場合を例にして説明する。
【0019】
液滴吐出装置IJは、4つの移動体4、5、6、7を有する。第1移動体4は、Y軸に
沿って配置された4つの移動体のうち、最も−Y側に配置されており、第4移動体7は、
最も+Y側に配置されている。すなわち、第1移動体4と第2移動体5とは、Y軸に沿っ
て配置された4つの移動体4、5、6、7のうち、Y軸方向に関して両端に配置されてい
る。第2移動体5及び第3移動体6は、第1移動体4と第4移動体7との間に配置されて
いる。
第2移動体5は、第3移動体6の−Y側に配置されている。
【0020】
第1移動体4は、液滴Dでパターンが形成される基板Pを保持しながら移動可能である
。第2、第3、第4移動体5、6、7は、吐出ヘッド3をメンテナンスするメンテナンス
ユニットを含む。具体的に、第2移動体5は、吐出ヘッド3のノズル1から吐出される液
滴Dの着弾精度を測定する着弾精度測定ユニット13を含む。第3移動体6は、吐出ヘッ
ド3のノズル面2に付着した付着物(異物)を除去するワイピングユニット14を含む。
第4移動体7は、吐出ヘッド3のノズル面2を覆うキャッピングユニット15を含む。
【0021】
液滴吐出装置IJは、各移動体4、5、6、7を移動可能に支持する支持面16を有す
るベース部材17を備えている。各移動体4、5、6、7のそれぞれは、支持面16に沿
って移動可能である。支持面16は、XY平面とほぼ平行である。また、ベース部材17
の支持面16と、その支持面16と対向する各移動体4、5、6、7の対向面との間にエ
アベアリングが形成されている。各移動体4、5、6、7は、エアベアリングにより、支
持面16に対して非接触で支持される。
【0022】
また、液滴吐出装置IJは、複数の移動体4、5、6、7のY軸方向への移動を案内す
るガイド部材18を備えている。ガイド部材18は、Y軸方向に長い棒状の部材であり、
支持面16の上に配置されている。ガイド部材18の両端は、ガイド部材18の外側に配
置された支持部材19で支持されている。支持部材19は、床面20に支持されている。
また、ベース部材17は、床面20に支持されている支持部材21で支持されている。
【0023】
駆動装置8は、リニアモータを含み、複数の移動体4、5、6、7のそれぞれを独立し
て移動可能である。駆動装置8は、ガイド部材18に配置されたリニアモータの固定子2
2と、ガイド部材18と対向する各移動体4、5、6、7の対向面のそれぞれに配置され
たリニアモータの可動子23、24、25、26とを有する。制御装置10は、リニアモ
ータを含む駆動装置8を用いて、各移動体4、5、6、7のそれぞれをベース部材17上
で独立して移動可能である。
【0024】
また、駆動装置8は、複数の移動体4、5、6、7をY軸方向に移動させることによっ
て、各移動体4、5、6、7を第1位置A1へと移動させることが可能である。換言する
と、この駆動装置8は、移動手段として上記吐出ヘッド3を各移動体4、5、6、7に対
して相対的に移動させることが可能である。
【0025】
なお、液滴吐出装置IJは、例えば、基板P、着弾精度測定ユニット13、ワイピング
ユニット14、キャッピングユニット15などの各ユニットに対する吐出ヘッド3の相対
的な位置関係を変更できる構成であればよい。すなわち、吐出ヘッド3を相対的に移動さ
せる移動手段としては、上記固定された吐出ヘッド3に対向して配置された各ユニット(
移動体4〜7)を移動させる構成以外にも、固定された各ユニットに対向して配置された
吐出ヘッド3を移動させる構成としてもよい。また、吐出ヘッド3と、これに対向する各
ユニット(移動体4〜7)との両方を移動可能とし、互いの相対的な位置関係を変更する
構成としてもよい。また、吐出ヘッド3及び各ユニットの移動方向は、一方向のみに限定
されるものではなく、平面的に交わる二方向としてもよい。さらに、吐出ヘッド3の移動
方向と各ユニットの移動方向とが平面的に交わる方向となることで、互いの相対的な位置
関係を変更する構成としてもよい。
【0026】
また、液滴吐出装置IJは、吐出ヘッド3と別の位置に配置され、第1移動体4に基板
Pを搬入する動作、及び第1移動体4から基板Pを搬出する動作の少なくとも一方を実行
する基板搬送装置27を備えている。基板搬送装置27の近傍には、基板Pを収容可能な
基板収容装置28が配置されている。
【0027】
基板搬送装置27は、Y軸方向に関して第1位置A1と異なる第2位置A2に配置され
た第1移動体4に基板Pを搬入する動作、及び第1移動体4から基板Pを搬出する動作の
少なくとも一方を実行する。第1位置A1と第2位置A2とは、Y軸方向に関して離れて
いる。第1位置A1は、第2位置A2の+Y側の位置である。第1移動体4は、吐出ヘッ
ド3のノズル面2と対向する第1位置A1と、基板搬送装置27の近傍の第2位置A2と
の間を、ベース部材17の支持面16に沿って移動可能である。
【0028】
基板搬送装置27は、例えば基板収容装置28に収容されている基板Pを、第2位置A
2に配置された第1移動体4に搬入可能である。また、基板搬送装置27は、第2位置A
2に配置された第1移動体4より基板Pを搬出し、基板収容装置28に収容可能である。
【0029】
また、液滴吐出装置IJは、第1移動体4の移動経路の少なくとも一部に配置され、第
1移動体4の熱の周囲への放散を遮る断熱部材29を備えている。断熱部材29は、第1
移動体4を含む各移動体5、6、7の移動を妨げないように、ベース部材17の所定位置
に取り付けられている。
【0030】
また、液滴吐出装置IJは、上述の吐出ヘッド3、キャリッジ部材11、移動体4、5
、6、7、ベース部材17、ガイド部材18、基板搬送装置27、基板収容装置28、断
熱部材29、機能液収容装置9、制御器12、及び制御装置10等の各機器、部材等を収
容するチャンバ本体30と、チャンバ本体30の内側の空間の環境(温度、湿度、クリー
ン度等)を調整可能な空調装置31とを有するチャンバ装置32を備えている。
【0031】
図3及び図4を参照しながら、吐出ヘッド3について説明する。図3は、キャリッジ部
材11に支持された複数の吐出ヘッド3を下側から見た図、図4は、吐出ヘッド3の構造
の一例を説明するための断面図である。
【0032】
吐出ヘッド3は、ピエゾ素子(圧電素子)33に所定の駆動信号を供給して、そのピエ
ゾ素子33を変形させることによって、機能液を収容したキャビティ34の圧力を可撓性
の振動板(膜)35を介して変動させ、その圧力の変動を利用して、ノズル1より機能液
の液滴Dを吐出する、いわゆる電気機械変換方式の吐出ヘッドである。制御器12は、制
御装置10の指令に基づいて、吐出ヘッド3の駆動を制御する制御手段である。具体的に
、制御器12は、吐出ヘッド3のピエゾ素子33に所定の駆動信号を供給して、その駆動
信号に応じた大きさの液滴Dをノズル1のそれぞれより吐出させる。
【0033】
また、制御器12は、微振動付与手段として、吐出ヘッド3のピエゾ素子33に微振動
を発生させるための駆動信号(微振動電圧波形)を供給し、ノズル1から液滴Dが吐出さ
れない程度にピエゾ素子33を振動させる。これにより、吐出ヘッド3に微振動を付与す
ることができ、このような微振動が付与された吐出ヘッド3では、ノズル1内で機能液の
増粘が進まないようにノズル1内の機能液を微振動させながら、ノズル1から吐出される
液滴Dの良好な状態を維持することができる。
【0034】
図3に示すように、液滴吐出装置IJは、複数の吐出ヘッド3を有する。複数の吐出ヘ
ッド3は、キャリッジ部材11に支持されている。吐出ヘッド3は、機能液の液滴Dを吐
出するノズル1が形成されたノズル面2を有する。ノズル面2は、所定方向に長い形状(
本実施形態においてはほぼ長方形状)を有する。ノズル1は、ノズル面2において、所定
方向(ノズル面2の長手方向)に沿って複数形成されている。本実施形態においては、複
数のノズル1が並ぶ所定方向は、XY平面内においてX軸方向に対して傾斜する方向であ
る。
【0035】
図4に示すように、吐出ヘッド3は、ヘッド本体36と、ヘッド本体36の下端に配置
されたプレート部材(ノズルプレート)37とを有する。ノズル1は、プレート部材37
に形成されている。プレート部材37は、上下方向に貫通する孔を複数有する。ノズル1
は、その孔の下端に配置されている。ノズル面2は、プレート部材37に配置されている

【0036】
吐出ヘッド3(プレート部材37)のノズル面2は、下側(−Z側)に向いている。吐
出ヘッド3からの液滴Dが吐出(供給)される基板Pの表面は、吐出ヘッド3のノズル面
2と対向するように、上側(+Z側)に向いている。第1移動体4は、基板Pの表面が上
側(+Z側)を向くように、基板Pを保持する。また、吐出ヘッド3のノズル面2は、X
Y平面とほぼ平行である。第1移動体4は、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となる
ように、基板Pを保持する。制御装置10は、吐出ヘッド3のノズル面2と第1移動体4
に保持された基板Pの表面との間の距離(プラテンギャップ)を所定の値(例えば600
μm)に維持した状態で、ノズル1より基板Pに液滴Dを吐出する。
【0037】
また、吐出ヘッド3は、プレート部材37(ノズル1)の上方に形成されたキャビティ
(空間)34と、キャビティ34の上方に配置された可撓性の板(振動板)35と、振動
板35の上方に配置されたピエゾ素子33とを有する。キャビティ34は、複数のノズル
1のそれぞれに対応するように複数形成されている。キャビティ34は、流路を介して機
能液収容装置9と接続される。キャビティ34は、機能液収容装置9からの機能液を収容
し、ノズル1に供給する。
【0038】
振動板35は、上下方向に振動することによって、キャビティ34の圧力(容積)を変
動可能である。ピエゾ素子33は、振動板35を上下方向に振動可能である。ピエゾ素子
33は、複数のノズル1のそれぞれに対応するように複数配置されている。ピエゾ素子3
3は、制御器12からの駆動信号に基づいて振動板35を振動させ、キャビティ34の圧
力を変動させることによって、ノズル1より機能液の液滴Dを吐出させる。
【0039】
また、制御器12は、例えば特開2001−58433号公報に開示されているように
、ピエゾ素子33に供給する駆動信号(駆動波形)を調整して、ノズル1のそれぞれから
吐出される液滴Dの量(大きさ、体積)を調整可能である。
【0040】
液滴吐出装置IJは、図1に示すように、複数の吐出ヘッド3を、それら複数の吐出ヘ
ッド3の位置がほぼ動かないように保持する保持装置38を備えている。保持装置38は
、キャリッジ部材11と、そのキャリッジ部材11を支持する支持機構39とを含む。支
持機構39は、チャンバ本体30の天井面(内面)に固定されている。すなわち、複数の
吐出ヘッド3は、キャリッジ部材11及び支持機構39を含む保持装置38を介して、チ
ャンバ本体30の天井面(内面)に対してほぼ動かないように保持されている。
【0041】
支持機構39は、キャリッジ部材11を微動可能なアクチュエータを含む。支持機構3
9は、キャリッジ部材11を、X軸、Y軸、Z軸、θ、θ、及びθ方向の6自由度
の方向に微動可能である。
【0042】
次に、図5を参照しながら、第1移動体4について説明する。図5(A)は、第1移動
体4を示す斜視図、図5(B)は、第1移動体4を−Y側から見た図である。
【0043】
第1移動体4は、液滴Dでパターンが形成される基板Pを保持しながら移動可能である
。第1移動体4は、リニアモータの可動子23を有する第1可動部材40と、第1可動部
材40に搭載され、基板Pを保持する保持機構41を有するホルダ部材42とを備える。
ベース部材17の支持面16と対向する第1可動部材40の下面には、エアベアリング4
3が形成されている。第1可動部材40は、エアベアリング43により、支持面16に対
して非接触で支持される。第1移動体4のホルダ部材42は、基板Pの表面と吐出ヘッド
3のノズル面2とが対向するように、且つ、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となる
ように、基板Pを保持する。
【0044】
上述のように、本実施形態の基板Pはグリーンシートを含み、そのグリーンシートには
厚み方向に貫通する孔(ビア)が形成されている。基板P(グリーンシート)の裏面には
、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)で形成されたフィルムFが貼り付けられ
ており、第1移動体4のホルダ部材42は、フィルムFに支持された状態の基板Pを保持
する。すなわち、本実施形態においては、第1移動体4のホルダ部材42は、フィルムF
を介して基板P(グリーンシート)を保持する。
【0045】
第1可動部材40の下面には、ガイド部材18を配置可能な凹部44が形成されている
。第1可動部材40の凹部44の内面は、ガイド部材18と対向する。上述のように、ガ
イド部材18には、リニアモータの固定子22が配置されている。ガイド部材18と対向
する第1可動部材40の凹部44の内面には、リニアモータの可動子23が配置される。
固定子22及び可動子23を含む駆動装置8は、第1可動部材40をY軸方向に移動可能
である。また、第1可動部材40のY軸方向への移動に伴って、その第1可動部材40に
搭載されているホルダ部材42(基板P)も、第1可動部材40と一緒にY軸方向に移動
する。
【0046】
第1可動部材40とホルダ部材42との間には、複数のアクチュエータ45が配置され
ている。アクチュエータ45は、例えばピエゾ素子を含む。制御装置10は、これらアク
チュエータ45を制御することによって、第1可動部材40上で、基板Pを保持したホル
ダ部材42を移動(微動)可能である。基板Pを保持したホルダ部材42は、アクチュエ
ータ45によって、第1可動部材40上で、X軸、Y軸、Z軸、θ、θ、及びθ
向の6自由度の方向に移動(微動)可能である。
【0047】
吐出ヘッド3から吐出された液滴Dを基板Pに供給するために、制御装置10は、駆動
装置8を用いて第1移動体4を移動して、吐出ヘッド3のノズル面2と対向する第1位置
A1に、第1移動体4(ホルダ部材42)に保持されている基板Pを配置する。また、制
御装置10は、第1可動部材40とホルダ部材42との間に配置されているアクチュエー
タ45を用いて、ノズル面2のノズル1から吐出された液滴Dが基板Pの所定位置に供給
されるように、吐出ヘッド3のノズル面2と第1移動体4に保持されている基板Pの表面
との間の距離(プラテンギャップ)、吐出ヘッド3のノズル面2と第1移動体4に保持さ
れている基板Pの表面との傾斜方向(θ、θ方向)の位置関係、及び回転方向(θ
方向)の位置関係を調整する。制御装置10は、アクチュエータ45を用いて、吐出ヘッ
ド3のノズル面2と基板Pの表面とがほぼ平行となるように、且つ、プラテンギャップが
所定の値になるように、吐出ヘッド3のノズル面2と第1移動体4に保持されている基板
Pの表面との位置関係を調整する。
【0048】
また、吐出ヘッド3のノズル面2と対向可能なホルダ部材42の上面のうち、基板Pを
保持する保持機構41のY軸方向両側には、フラッシングエリア46が設けられている。
フラッシングエリア46は、吐出ヘッド3のノズル2から吐出された液滴Dを吸収可能な
多孔部材の上面で形成されている。多孔部材は、例えばスポンジ状の部材を含む。制御装
置10は、吐出ヘッド3より基板Pに液滴Dを供給する前に、吐出ヘッド3のノズル1と
ホルダ部材42のフラッシングエリア46とを対向させた状態で、ノズル1より液滴Dを
予め吐出する動作、いわゆるフラッシング動作を実行する。
【0049】
また、第1移動体4は、基板Pを加熱する加熱装置47を有する。加熱装置47は、ホ
ルダ部材42に設けられている。制御装置10は、ホルダ部材42の加熱装置47を用い
て、そのホルダ部材42に保持されている基板Pを加熱可能である。
【0050】
加熱装置47は、吐出ヘッド3のノズル1より吐出され、基板Pに供給された(接触し
た)液滴Dに含まれる液体成分を瞬時に気化可能である。液滴吐出装置IJは、加熱装置
47を用いて基板Pを加熱しつつ、その加熱された基板Pに吐出ヘッド3のノズル1より
液滴Dを供給することによって、基板Pに接触した液滴Dを瞬時に乾燥可能である。
【0051】
また、基板Pを加熱しつつ、その基板Pに液滴Dを供給することにより、ピニング現象
を生じさせることができる。基板Pに供給された後の液滴Dの乾燥過程においては、液滴
Dの周縁部における固形分濃度が飽和濃度に達すると、その周縁部において固形分が局所
的に析出する。すると、その析出した固形分によって液滴Dの周縁部がピン止めされたよ
うな状態となり、それ以降の乾燥に伴う液滴Dの収縮(外径の収縮)が抑制される。この
ように、周縁部に析出した固形分によって乾燥に伴う液滴Dの収縮が抑制される現象(ピ
ニング現象)を生じさせることによって、基板Pに形成される描画パターン(本実施形態
においては配線パターン)のエッジ(外形)を良好に規定することができる。
【0052】
なお、例えば特開2005−28276号公報、特開2005−144324号公報等
に開示されているように、基板Pの表面に配置された液滴Dの乾燥条件、対流条件等を調
整して、基板Pに吐出(供給)された液滴Dに、ピニング現象を生じさせるようにしても
よい。
【0053】
以下の説明において、第1移動体4の基板Pを第1位置A1に配置して、吐出ヘッド3
のノズル1から吐出された液滴Dを基板Pに着弾させて基板Pにパターンを形成する工程
を適宜、描画工程(着弾工程)と称し、そのような動作が行われる領域(第1移動体4)
は、本発明の描画エリア(着弾エリア)に対応する。
【0054】
次に、図6及び図7を参照しながら、第2移動体5について説明する。図6は、第2移
動体5を−X側から見た図、図7は、第2移動体5の動作の一例を説明するための図であ
る。第2移動体5は、吐出ヘッド3のノズル1から吐出される液滴Dの着弾精度を測定す
る着弾精度測定ユニット13を含む。
【0055】
着弾精度測定ユニット13は、図6に示すように、吐出ヘッド3のノズル面2と対向し
た状態で、ノズル面2に対して相対的に移動可能な記録面70を有する帯状のシート部材
71と、シート部材71の記録面70を送るための送り機構72と、シート部材71及び
送り機構72を収容するハウジング部材73とを有する。また、シート部材71の少なく
とも一部は、吐出ヘッド3と対向可能なハウジング部材73の上面に形成された開口73
aより露出しており、吐出ヘッド3のノズル面2と対向可能である。
【0056】
シート部材71は、吐出ヘッド3の各ノズル1から吐出された液滴Dの着弾位置が記録
可能な記録媒体(測定部材)として、例えばロール紙などの記録紙を用いることができる

【0057】
送り機構72は、シート部材71を供給する供給リール74と、供給リール74から供
給されたシート部材71を巻き取る巻取リール75と、これら供給リール74及び巻取リ
ール75を回転させる回転モータ等のアクチュエータ76、77とを有し、制御装置10
がアクチュエータ76、77を制御することによって、シート部材71を供給リール74
から巻取リール75へと送ることができる。
【0058】
第2移動体5は、リニアモータの可動子24を有する第2可動部材78を有し、着弾精
度測定ユニット13のハウジング部材73は、第2可動部材78上に搭載されている。上
述の第1可動部材40と同様、ベース部材17の支持面16と対向する第2可動部材78
の下面にはエアベアリングが形成されており、第2可動部材78は、支持面16に対して
非接触で支持される。また、上述の第1可動部材40と同様、第2可動部材78の下面に
は、ガイド部材18を配置可能な凹部が形成されており、可動子24は、ガイド部材18
と対向する第2可動部材78の凹部の内面に配置されている。固定子22及び可動子24
を含む駆動装置8は、第2可動部材78をY軸方向に移動可能である。また、第2可動部
材78のY軸方向への移動に伴って、その第2可動部材78に搭載されている着弾精度測
定ユニット13のハウジング部材73も、第2可動部材78と一緒にY軸方向に移動する

【0059】
また、上述の第1移動体4と同様、第2可動部材78とハウジング部材73との間には
複数のアクチュエータ79が配置されている。制御装置10は、これらアクチュエータ7
9を制御することによって、第2可動部材78上で、ハウジング部材73を移動(微動)
可能である。ハウジング部材73は、アクチュエータ79によって、第2可動部材78上
で、X軸、Y軸、Z軸、θ、θ、及びθ方向の6自由度の方向に移動(微動)可能
である。また、着弾精度測定ユニット13のシート部材71及びローラを含む送り機構7
2は、ハウジング部材73の移動に伴って、第2可動部材78上で、ハウジング部材73
と一緒に移動する。
【0060】
吐出ヘッド3の各ノズル1から吐出される液滴Dの着弾精度を測定するために、先ず、
制御装置10は、駆動装置8を用いて第2移動体5を移動して、吐出ヘッド3のノズル面
2と対向する第1位置A1に、第2移動体5の着弾精度測定ユニット13を配置する。
【0061】
次に、制御装置10は、第2可動部材78とハウジング部材73との間に配置されてい
るアクチュエータ79を用いて、吐出ヘッド3のノズル面2とシート部材71の記録面7
0とが平行となるように、その位置関係を調整する。
【0062】
そして、着弾精度測定ユニット13は、図7に示すように、供給リール74と巻取リー
ル75との間のシート部材71に対して吐出ヘッド3の各ノズル1から液滴Dを吐出し、
シート部材71の記録面70に着弾させる。そして、このシート部材71の記録面70に
記録された液滴Dの着弾位置から、各ノズル1から吐出される液滴Dの着弾精度を測定す
ることができる。
【0063】
以下の説明において、第2移動体5を第1位置A1に配置して、吐出ヘッド3のノズル
1から吐出される液滴Dの着弾精度を測定する工程を適宜、着弾精度測定工程と称し、そ
のような動作が行われる領域(第2移動体5)は、本発明の着弾精度測定エリアに対応す
る。
【0064】
次に、図8及び図9を参照しながら、第3移動体6について説明する。図8は、第3移
動体6を−X側から見た図、図9は、第3移動体6の動作の一例を説明するための図であ
る。第3移動体6は、吐出ヘッド3のノズル面2に付着した付着物(異物)を除去するワ
イピングユニット14を含む。吐出ヘッド3のノズル面2に付着した付着物(異物)は、
機能液の液滴Dが付着したもの等を含む。
【0065】
ワイピングユニット14は、図8に示すように、吐出ヘッド3のノズル面2と対向した
状態で、ノズル面2に対して相対的に移動可能なワイピング面57aを有する帯状のワイ
プ部材57と、ワイプ部材57のワイピング面57aを移動(走行)させるための駆動機
構58と、ワイプ部材57及び駆動機構58を収容するハウジング部材59とを有する。
また、ワイプ部材57の少なくとも一部は、吐出ヘッド3と対向可能なハウジング部材5
9の上面に形成された開口60より露出(突出)しており、吐出ヘッド3のノズル面2と
対向可能である。
【0066】
ワイプ部材57は、液体を吸収可能な材料、例えば液体を吸収可能な不織布などからな
る。また、ワイプ部材57は、例えばポリエステル等の織布であってもよい。
【0067】
駆動機構58は、ワイプ部材57を供給する供給リール61と、供給リール61から供
給されたワイプ部材57を巻き取る巻取リール62と、これら供給リール61及び巻取リ
ール62を回転させる回転モータ等のアクチュエータ64、65とを有し、制御装置10
がアクチュエータ64、65を制御することによって、ワイプ部材57を供給リール61
から巻取リール62へと所定速度で移動(走行)させることができる。
【0068】
また、ワイピングユニット14は、吐出ヘッド3のノズル面2に最も近い位置に配置さ
れ、吐出ヘッド3のノズル面2と対向するワイプ部材57のワイピング面57aと反対側
の面を支持する払拭ローラ63と、供給リール61と払拭ローラ63との間でワイプ部材
57の張力を調整可能な一対のテンションローラ68と、巻取リール62と払拭ローラ6
3との間でワイプ部材57の移動(走行)を案内するガイドローラ69とを備える。
【0069】
第3移動体6は、リニアモータの可動子25を有する第3可動部材66を有し、ワイピ
ングユニット14のハウジング部材59は、第3可動部材66上に搭載されている。上述
の第1可動部材40と同様、ベース部材17の支持面16と対向する第3可動部材66の
下面にはエアベアリングが形成されており、第3可動部材66は、支持面16に対して非
接触で支持される。また、上述の第1可動部材40と同様、第3可動部材66の下面には
、ガイド部材18を配置可能な凹部が形成されており、可動子25は、ガイド部材18と
対向する第3可動部材66の凹部の内面に配置されている。固定子22及び可動子25を
含む駆動装置8は、第3可動部材66をY軸方向に移動可能である。また、第3可動部材
66のY軸方向への移動に伴って、その第3可動部材66に搭載されているワイピングユ
ニット14のハウジング部材59も、第3可動部材66と一緒にY軸方向に移動する。
【0070】
また、上述の第1移動体4と同様、第3可動部材66とハウジング部材59との間には
複数のアクチュエータ67が配置されている。制御装置10は、これらアクチュエータ6
7を制御することによって、第3可動部材66上で、ハウジング部材59を移動(微動)
可能である。ハウジング部材59は、アクチュエータ67によって、第3可動部材66上
で、X軸、Y軸、Z軸、θ、θ、及びθ方向の6自由度の方向に移動(微動)可能
である。また、ワイピングユニット14のワイプ部材57及びローラを含む駆動機構58
は、ハウジング部材59の移動に伴って、第3可動部材66上で、ハウジング部材59と
一緒に移動する。
【0071】
ワイプ部材57で吐出ヘッド3のノズル面2を払拭するために、先ず、制御装置10は
、駆動装置8を用いて第3移動体6を移動して、吐出ヘッド3のノズル面2と対向する第
1位置A1に、第3移動体6のワイピングユニット14を配置する。
【0072】
次に、制御装置10は、第3可動部材66とハウジング部材59との間に配置されてい
るアクチュエータ67を用いて、ワイピング面57aでノズル面2を払拭できるように、
吐出ヘッド3のノズル面2と払拭ローラ63に支持されている部分のワイプ部材57のワ
イピング面57aとの位置関係を調整する。具体的に、アクチュエータ67によりハウジ
ング部材59がZ軸方向に移動するのに伴って、ワイプ部材57を支持する払拭ローラ6
3もZ軸方向に移動する。そして、吐出ヘッド3のノズル面2と払拭ローラ63の外周面
に掛け合わされたワイプ部材57のワイピング面57aとを所定の圧力で接触させる。
【0073】
次に、制御装置10は、供給リール61及び巻取リール62を駆動して、吐出ヘッド3
のノズル面2に対してワイプ部材57のワイピング面57aを移動(走行)させる。
【0074】
そして、ワイピングユニット14は、図9に示すように、吐出ヘッド3のノズル面2と
払拭ローラ63の外周面に掛け合わされたワイプ部材57のワイピング面57aとを接触
させた状態で、この吐出ヘッド3のノズル面2に対してワイプ部材57を相対的に移動(
走行)させながら、ノズル面2をワイプ部材57のワイピング面57aで払拭することに
よって、このノズル面2に付着した付着物(異物)を除去するワイピング動作を行う。
【0075】
本実施形態において、ワイピングユニット14は、供給リール61と巻取リール62と
の間で走行されるワイプ部材57によって吐出ヘッド3のノズル面2を払拭する構成のた
め、ワイプ部材57のワイピング面57aを常に吐出ヘッド3のノズル面2を払拭するの
に適した状態に保つことができる。そして、液体を吸収可能な材料からなるワイプ部材5
7によって、吐出ヘッド3のノズル面2に付着した液滴D等の付着物を適切に払拭し除去
することができる。
【0076】
以下の説明において、第3移動体6を第1位置A1に配置して、吐出ヘッド3のノズル
面2に付着した付着物(異物)をワイプ部材57で除去する工程を適宜、ワイピング工程
と称し、そのようなワイピング動作が行われる領域(第3移動体6)は、本発明のワイピ
ングエリアに対応する。
【0077】
次に、図10及び図11を参照しながら、第4移動体7について説明する。図10、第
4移動体7を−X側から見た図、図11は、第4移動体7の動作の一例を説明するための
図である。第4移動体7は、吐出ヘッド3のノズル面2を覆うキャッピングユニット15
を含む。
【0078】
キャッピングユニット15は、吐出ヘッド3のノズル面2を覆うキャップ48を備える
。キャップ48は、吐出ヘッド3と対向可能な上面と、その上面に形成され、吐出ヘッド
3のノズル面2との間で密閉された空間49を形成可能なキャップ部50とを有する。キ
ャップ部50は、キャップ48の上面に形成された凹部(溝)を含み、その凹部によって
、吐出ヘッド3のノズル面2との間で空間49を形成可能である。キャップ部50は、複
数の吐出ヘッド3に対応するように、複数設けられている。
【0079】
図11に示すように、キャッピングユニット15は、吐出ヘッド3のノズル面2の全て
をキャップ部(凹部)50の内側に配置可能である。キャッピングユニット15は、例え
ばキャップ部(凹部)50の内側面の上端と、ノズル面2の外側の吐出ヘッド3(プレー
ト部材37)の側面とを接触させることによって、空間49を形成する。
【0080】
また、キャッピングユニット15は、キャップ部(凹部)50の底面に形成され、空間
49の流体を吸引可能な吸引口53と、吸引口53と流路54を介して接続された真空シ
ステム(吸引手段)55とを有する。
【0081】
第4移動体7は、リニアモータの可動子24を有する第4可動部材51を有し、キャッ
ピングユニット15のキャップ48は、第4可動部材51上に搭載されている。上述の第
1可動部材40と同様、ベース部材17の支持面16と対向する第4可動部材51の下面
にはエアベアリングが形成されており、第4可動部材51は、支持面16に対して非接触
で支持される。また、上述の第1可動部材40と同様、第4可動部材51の下面には、ガ
イド部材18を配置可能な凹部が形成されており、可動子24は、ガイド部材18と対向
する第4可動部材51の凹部の内面に配置されている。固定子22及び可動子24を含む
駆動装置8は、第4可動部材51をY軸方向に移動可能である。また、第4可動部材51
のY軸方向への移動に伴って、その第4可動部材51に搭載されているキャッピングユニ
ット15のキャップ48も、第4可動部材51と一緒にY軸方向に移動する。
【0082】
また、上述の第1移動体4と同様、第4可動部材51とキャップ48との間には複数の
アクチュエータ52が配置されている。制御装置10は、これらアクチュエータ52を制
御することによって、第4可動部材51上で、キャップ48を移動(微動)可能である。
キャップ48は、アクチュエータ52によって、第4可動部材51上で、X軸、Y軸、Z
軸、θ、θ、及びθ方向の6自由度の方向に移動(微動)可能である。
【0083】
キャップ48で吐出ヘッド3のノズル面2を覆うために、制御装置10は、駆動装置8
を用いて第4移動体7を移動して、吐出ヘッド3のノズル面2と対向する第1位置A1に
、第4移動体7のキャッピングユニット15を配置する。そして、制御装置10は、第4
可動部材51とキャップ48との間に配置されているアクチュエータ52を用いて、吐出
ヘッド3のノズル面2とキャップ48のキャップ部50との間に空間49が形成されるよ
うに、吐出ヘッド3のノズル面2とキャップ48のキャップ部50との位置関係を調整す
る。例えば、制御装置10は、アクチュエータ52を用いて、キャップ48を+Z方向に
移動する。これにより、ノズル面2がキャップ部50の内側に配置され、キャップ部50
の内側面の上端と、ノズル面2の外側の吐出ヘッド3(プレート部材37)の側面とが接
触し、空間49が形成される。
【0084】
キャッピングユニット15は、吐出ヘッド3のノズル面2とキャップ部50との間で空
間49を形成した状態で、真空システム55を駆動することによって、空間49の流体を
吸引口53を介して吸引可能である。キャッピングユニット15は、吸引口53より空間
49の流体(主に気体)を吸引して、空間49を負圧にすることができる。キャッピング
ユニット15は、空間49を負圧にすることによって、キャビティ34等、吐出ヘッド3
の内部の機能液を、ノズル1を介して吸引する吸引動作を行うことが可能である。キャッ
ピングユニット15は、空間49の流体を吸引することによって、吐出ヘッド3の内部に
おいて、ノズル1に向かう機能液の流れを生成できる。 そして、吸引された機能液(廃
液)は、最終的に廃インクタンク(図示せず。)へと回収されることになる。
【0085】
なお、図10及び図11を参照して説明したキャッピングユニット15は、主に吐出ヘ
ッド3の機能液を吸引する吸引機能を有するが、ノズル面2(ノズル1)の乾燥を抑制す
る機能(保湿機能)を有していてもよい。例えば、キャップ部50の内側に湿った多孔部
材(メッシュ部材)を配置し、その湿った多孔部材を含むキャップ部50と吐出ヘッド3
のノズル面2とを対向させることによって、ノズル面2の乾燥を抑制できる。すなわち、
ノズル面2とキャップ部50とで形成される空間49の内側に、湿った多孔部材を配置す
ることによって、ノズル面2の乾燥を抑制できる。
【0086】
以下の説明において、第4移動体7を第1位置A1に配置して、吐出ヘッド3のノズル
面2を覆うキャップ48を介してノズル1を吸引する工程を適宜、キャッピング工程と称
し、そのような吸引動作が行われる領域(第4移動体7)は、本発明のキャッピングエリ
アに対応する。
【0087】
また、以下の説明において、上記吸引動作、上記ワイピング動作、及び上記フラッシン
グ動作をまとめて吐出ヘッド3のメンテナンス処理と称し、これらのメンテナンス処理が
行われる領域は、本発明のメンテナンスエリアに対応する。
【0088】
次に、図12及び図13を参照しながら、断熱部材29について説明する。図12は、
断熱部材29を示す斜視図、図13は、断熱部材29を−Y側から見た図である。
【0089】
断熱部材29は、第1移動体4を含む各移動体5、6、7の移動経路の少なくとも一部
に配置されている。断熱部材29は、第1移動体4の熱の周囲への放散を遮る。上述のよ
うに、第1移動体4(ホルダ部材42)は、基板Pを加熱する加熱装置47を含む。断熱
部材29は、加熱装置47を含む第1移動体4から発する熱の周囲への放散を遮る。
【0090】
断熱部材29は、第1位置A1以外の移動体4、5、6、7の移動経路に配置される。
すなわち、断熱部材29は、吐出ヘッド3を用いた処理が実行される第1位置A1には配
置されない。これにより、吐出ヘッド3と各移動体4、5、6、7との協働による各種処
理(パターン形成処理、メンテナンス処理等)の実行は妨げられない。
【0091】
また、断熱部材29は、基板搬送装置27による処理が実行される第2位置A2にも配
置されない。すなわち、断熱部材29は、第1位置A1及び第2位置A2以外の移動体4
、5、6、7の移動経路に配置される。これにより、第2位置A2に配置された第1移動
体4に対する基板搬送装置27による基板Pの搬入動作、及び第1移動体4からの基板P
の搬出動作は妨げられない。
【0092】
断熱部材29は、ベース部材17上の各移動体4、5、6、7と離れた位置で、移動体
4、5、6、7を囲むように配置される。断熱部材29は、各移動体4、5、6、7が移
動可能な内部空間80を形成する。具体的には、断熱部材29は、ベース部材17の支持
面16との間で、各移動体4、5、6、7が移動可能(配置可能)な内部空間80を形成
する。断熱部材29は、内部空間80に配置されている第1移動体4の熱の外部空間81
への放散を遮る。外部空間81は、内部空間80に対して断熱部材29の外側の空間であ
る。外部空間81は、チャンバ本体30(チャンバ本体30の内面)と断熱部材29(断
熱部材29の外面)との間の空間を含む。
【0093】
チャンバ装置32の空調装置31は、少なくとも外部空間81の温度を調整する。これ
により、チャンバ本体30内の各機器、部材は、所望の環境(温度)に配置される。
【0094】
断熱部材29は、断熱性を有し、内部空間80に配置されている第1移動体4の熱の外
部空間81への放散を遮ることができる材料で形成されている。断熱部材29は、例えば
発泡スチロール、発泡ウレタン等、断熱性を有する合成樹脂製である。
【0095】
断熱部材29は、トンネル状であり、断熱部材29のY軸方向の両側には、各移動体4
、5、6、7が通過可能な開口(出入口)82が形成されている。開口82は、断熱部材
29によって形成される内部空間80と外部空間81とを連通するように形成されている

【0096】
次に、上述の構成を有する液滴吐出装置IJを用いてデバイスを製造する手順の一例に
ついて説明する。
【0097】
制御装置10は、駆動装置8を制御して、第2位置A2に第1移動体4を配置する。制
御装置10は、基板搬送装置27を用いて、第2位置A2に配置された第1移動体4に基
板Pを搬入する。制御装置10は、駆動装置8を制御して、基板Pを保持した第1移動体
4を、第1位置A1に移動する。
【0098】
図14は、基板Pを保持した第1移動体4が第1位置A1に配置されている状態を示す
模式図である。制御装置10は、吐出ヘッド3のノズル面2と対向する第1位置A1に、
基板Pを保持した第1移動体4を配置する。そして、制御装置10は、制御器12及び駆
動装置8を制御して、第1移動体4の基板Pを吐出ヘッド3のノズル1に対してY軸方向
に移動しつつ、吐出ヘッド3のノズル1より、基板Pに液滴Dを吐出(供給)する。これ
により、基板Pには、液滴Dによりパターンが形成される。制御装置10は、加熱装置4
7で基板Pを加熱しつつ、その基板Pに液滴Dを吐出する。
【0099】
本実施形態においては、複数の吐出ヘッド3のノズル1のうち、最も+X側のノズル1
と最も−X側のノズル1との距離と、基板PのX軸方向の大きさとはほぼ等しい。したが
って、液滴吐出装置IJは、第1移動体4の基板Pを吐出ヘッド3のノズル1に対してY
軸方向に移動しつつ吐出ヘッド3のノズル1より基板Pに液滴Dを吐出(供給)する際、
基板PのY軸方向への1回のみの移動によって、基板Pの表面のほぼ全域に液滴Dを供給
できる。
【0100】
なお、液滴吐出装置IJは、第1移動体4の基板Pを吐出ヘッド3のノズル1に対して
Y軸方向に移動しつつ吐出ヘッド3のノズル1より基板Pに液滴Dを吐出(供給)する動
作を複数回繰り返してもよい。例えば、基板Pを+Y方向に移動しつつ液滴Dを吐出する
動作と、基板Pを−Y方向に移動しつつ液滴Dを吐出する動作とを複数回繰り返してもよ
い。また、例えば特開2004−146796号公報等に開示されているように、基板P
のY軸方向への移動毎に、基板PのX軸方向に関する位置を僅かな距離(例えば1つのピ
クセル分)だけ変化させてもよい。これらの場合も、ノズル1からの液滴Dの吐出量を安
定させるために、フラッシングエリア46に対してフラッシング(予備吐出)を適宜行う
ことが好ましい。
【0101】
なお、上述のように、基板Pは、焼結前のLTCC基板(グリーンシート)であって、
フィルムFに支持されている。液滴吐出装置IJは、フィルムFに支持された状態の基板
P(グリーンシート)に液滴Dを吐出する。
【0102】
基板Pに対する液滴Dの吐出動作が終了した後、制御装置10は、第1移動体4から基
板Pを搬出するために、駆動装置8を制御して、第1移動体4を第2位置A2に移動する
。駆動装置8は、複数の移動体4、5、6、7を−Y方向(第1位置A1から第2位置A
2へ向かう方向)に一緒に移動する。
【0103】
第1位置A1と第2位置A2との間の第1移動体4の移動経路には断熱部材29が配置
されているので、第1位置A1と第2位置A2との間を移動する第1移動体4の熱が外部
空間73へ放散されることを抑制できる。
【0104】
図15は、基板Pを保持した第1移動体4が第2位置A2に配置されている状態を示す
模式図である。基板Pを保持可能な第1移動体4は、複数(4つ)の移動体4、5、6、
7のうち、最も−Y側(第2位置A2側)に配置されている移動体である。図15に示す
ように、第1移動体4が第2位置A2に配置されているときに、複数(4つ)の移動体4
、5、6、7のうち、最も+Y側(第1位置A1側)に配置されている第4移動体7が第
1位置A1に配置されるように、各移動体4、5、6、7の大きさ、数、及び第1位置A
1と第2位置A2との距離等が設定されている。したがって、図15に示すように、第1
移動体4が第2位置A2に配置されているとき、第1位置A1には第4移動体7が配置さ
れる。
【0105】
制御装置10は、基板搬送装置27を用いて、第2位置A2に配置された第1移動体4
から基板Pを搬出するとともに、その第1移動体4に新たな基板Pを搬入する。
【0106】
一方、制御装置10は、第1位置A1に配置された第4移動体7を用いて、吐出ヘッド
3のキャッピング工程を実行する。具体的に、制御装置10は、第1位置A1に配置され
た第4移動体7のキャッピングユニット15を用いて、吐出ヘッド3のノズル面2をキャ
ップ48で覆うと共に、このキャップ48を介して吐出ヘッド3のノズル1を吸引する吸
引動作を実行する。
【0107】
また、制御装置10は、第1位置A1に配置された第4移動体7による吐出ヘッド3に
対する吸引動作と、第2位置A2に配置された第1移動体4を用いた基板Pの搬出、搬入
処理の少なくとも一部とを並行して実行可能である。これにより、液滴吐出装置IJの処
理効率を向上できる。
【0108】
第4移動体7のキャッピングユニット15を用いたキャッピング工程が終了した後、制
御装置10は、駆動装置8を制御して、複数の移動体4、5、6、7を+Y方向(第2位
置A2から第1位置A1へ向かう方向)に一緒に移動し、第1位置A1に第3移動体6を
配置する。制御装置10は、第1位置A1に配置された第3移動体6を用いて、吐出ヘッ
ド3のワイピング工程を実行する。具体的に、制御装置10は、第1位置A1に配置され
た第3移動体6のワイピングユニット14を用いて、吐出ヘッド3のノズル面2をワイプ
部材57のワイピング面57aで払拭することによって、このノズル面2に付着した付着
物(異物)を除去するワイピング動作を実行する。
【0109】
本実施形態においては、ワイピングユニット14によるワイピング動作の前に、キャッ
ピングユニット15による吸引動作が実行されている。この場合、何らかの理由で、ノズ
ル面2に機能液の液滴が付着したり、残留したりする可能性がある。また、ノズル面2に
付着した液滴Dを放置しておくと、その機能液の液滴Dが固化(析出)し、異物化する可
能性がある。固化した機能液がノズル1の近傍に移動したり、ノズル1に入り込むと、ノ
ズル1の吐出不良が生じる可能性がある。制御装置10は、ワイピングユニット14を用
いて、このような吐出ヘッド3のノズル面2に付着した液滴等の付着物を適切に除去する
ことができる。
【0110】
ここで、吐出ヘッド3のノズル面2は、撥液性を有することが好ましい。特に、吐出ヘ
ッド3のノズル面2は、機能液の液滴Dに対して撥液性を有することが好ましい。ノズル
面2の表面は、プレート部材37に被覆された撥液性材料の膜で形成されている。本実施
形態においては一例として、プレート部材37はステンレスで形成されており、そのステ
ンレス製のプレート部材37のノズル面2には、ポリマー重合シリコン膜等のシリコン樹
脂の膜及びシリコン系シランカップリング剤の膜が形成されている。具体的には、ポリマ
ー重合シリコン膜がノズル面2上に形成され、そのポリマー重合シリコン膜の上に、シラ
ンカップリング剤の膜が形成されている。
【0111】
すなわち、ノズル面2を撥液性にする撥液処理の一例として、プラズマ重合を用いた手
法を用いることができる。プラズマ重合を用いた撥液処理は、シリコンを含む原料液の蒸
気を、プラズマ処理装置においてプラズマ化する工程を有する。原料液の蒸気をプラズマ
化することにより活性化され、その活性化されたシリコン材料がプレート部材37の表面
に到達すると、それらシリコンは、プレート部材37上において互いに重合し、撥液性を
有するシリコン重合膜(ポリマー重合シリコン膜)となる。そして、その形成されたシリ
コン重合膜(ポリマー重合シリコン膜)の上に、シリコン系シランカップリング剤の膜が
形成される。
【0112】
なお、プラズマ重合を用いた撥液処理としては、C10、C16等の直鎖状P
FC(ポリフルオロカーボン)からなる原料液の蒸気を、プラズマ処理装置においてプラ
ズマ化するようにしてもよい。直鎖状PFCの蒸気をプラズマ化することにより、直鎖P
FCの結合が一部切断されて活性化する。このようにして結合の一部が切断され、活性化
したPFCがプレート部材37の表面に到達すると、それらPFCは、プレート部材37
上において互いに重合し、撥液性を有するフッ素樹脂重合膜となる。
【0113】
なお、この場合の撥液処理の原料液としては、例えばデカトリエンを用いることもでき
る。その場合、プラズマ処理によって活性化させたCF4または酸素を添加することによ
り、得られる重合膜に撥液性を付与することができ、これによって撥液の重合膜を形成す
ることができる。また、撥液処理の原料液としてはフルオロカーボンを用いることもでき
る。その場合、プラズマ化によって活性化したCF4を添加することにより、プラズマ化
によって原料液であるフルオロカーボン中のフッ素の一部が離脱したとしても、上述の活
性なフッ素が得られる重合膜中に取り込まれるため、形成するフッ素樹脂重合膜の撥液性
を高めることができる。
【0114】
ノズル面2を撥液性にすることにより、液体はノズル面2で拡がらず、玉のような形状
で、ノズル面2に残留する。すなわち、ノズル面2を撥液性にすることによって、吸引動
作の際に液滴Dが付着しにくくすると共に、ノズル面2に液滴Dが付着した場合でも、ワ
イピングユニット14を用いて吐出ヘッド3のノズル面2に付着した液滴等の付着物を容
易に除去することができる。
【0115】
上述のように、本実施形態のノズル面2にはポリマー重合シリコン膜等のシリコン樹脂
の膜及びシリコン系シランカップリング剤の膜が形成されており、機能液は、保湿効果の
ある材料が含有された水を主成分とする分散媒に銀微粒子を分散したものを含む。そのた
め、ノズル面2は、機能液に対して非常に高い撥液性を有する。また、本実施形態の機能
液に含まれる界面活性剤の量は微量であり、機能液は高い表面張力を有する。したがって
、機能液はノズル面2で拡がらず、玉のような形状で、ノズル面2に残留する。したがっ
て、ワイピングユニット14は、ノズル面2とワイピング面57aとを離した状態で、ノ
ズル面2の機能液の液滴とワイピング面57aとを円滑に接触させることができる。この
ように、ワイピングユニット14は、機能液の液滴(液体状の異物)を円滑に除去できる
。また、ワイピングユニット14は、機能液の液滴が固化したもの(固体状の異物)であ
ってもその異物を良好に除去でき、その異物がノズル1に入り込むことを抑制できる。
【0116】
なお、機能液の液滴Dは、上記吸引動作を実行しなくても、何らかの原因でノズル面2
に付着する可能性もある。したがって、ワイピングユニット14は、上記吸引動作の後に
限定されることなく、ノズル面2に付着した機能液の液滴Dを除去するワイピング動作を
実行することができる。
【0117】
また、吐出ヘッド3のノズル面2に付着する付着物(異物)としては、例えば基板Pか
ら発生する異物(パーティクル)、あるいはチャンバ本体31内を浮遊する異物(パーテ
ィクル)などの可能性もある。ワイピングユニット14は、それら付着物についても適切
に除去することができる。
【0118】
第3移動体6による吐出ヘッド3に対するワイピング処理が終了した後、制御装置10
は、駆動装置8を制御して、複数の移動体4、5、6、7を+Y方向(第2位置A2から
第1位置A1へ向かう方向)に一緒に移動し、第1位置A1に第2移動体5を配置する。
制御装置10は、第1位置A1に配置された第2移動体5を用いて、吐出ヘッド3の着弾
精度測定工程を実行する。具体的に、制御装置10は、第1位置A1に配置された第2移
動体5の着弾精度測定ユニット13を用いて、吐出ヘッド3の各ノズル1から吐出された
機能液の液滴Dをシート部材71の記録面70に着弾させる。そして、このシート部材7
1の記録面70に記録された液滴Dの着弾位置から、各ノズル1から吐出される液滴Dの
着弾精度を測定する。
【0119】
上記着弾精度測定工程が終了した後、制御装置10は、駆動装置8を制御して、複数の
移動体4、5、6、7を+Y方向(第2位置A2から第1位置A1へ向かう方向)に一緒
に移動し、第1位置A1に第1移動体4を配置する。制御装置10は、第1位置A1に配
置された第1移動体4に保持されている基板Pに対して、吐出ヘッド3より液滴Dを吐出
する処理(パターン形成処理)を開始する。第1移動体4は、吐出ヘッド3と協働して、
液滴Dで基板Pにパターンを形成する描画工程を実行する。
【0120】
本実施形態においては、複数(例えば10〜20枚程度)の基板P(グリーンシート)
に対して液滴Dが吐出され、各基板Pに液滴Dでパターンが形成される。液滴Dでパター
ンが形成された後の基板Pからは、フィルムFが取り除かれる。そして、液滴Dで形成さ
れたパターンを有する複数の基板Pが積層され、その基板Pの積層体が形成される。その
後、基板Pの積層体が加熱処理される。これにより、基板P上の液滴Dが乾燥、焼成され
るとともに、基板P(グリーンシート)も焼成される。これにより、所定の配線パターン
を有するLTCC基板(LTCC多層回路基板)が形成される。
【0121】
ところで、液滴吐出装置IJでは、上記キャッピングユニット15において、流路54
内の機能液が乾燥により固化して目詰まり等を引き起こすことがないよう定期的にキャッ
プ48内を洗浄する作業が必要となる。
【0122】
そこで、本実施形態に係る液滴吐出装置IJでは、図16示すフローチャートに従って
、定期的なキャップ48内の洗浄作業を行う。なお、このキャップ48内の洗浄作業は、
主に装置の立下げ時に行うが、キャップ洗浄シーケンスとして一定時間が経過する毎に実
施してもよい。例えば24時間稼働の場合は、1日1回定期的に洗浄作業を行うようにす
る。
【0123】
キャップ48内の洗浄作業を行う際は、先ず、ステップS1において、吐出ヘッド3を
キャッピングエリア以外のメンテナンスエリアに待避させる。吐出ヘッド3を待避させる
メンテナンスエリアとしては、ワイピングエリア及び着弾精度測定エリアがある。この場
合、吐出ヘッド3のノズル面2と対向する第1位置A1に、第3移動体6のワイピングユ
ニット14又は第2移動体5の着弾精度測定ユニット13を配置すればよい。吐出ヘッド
3に対しては、微振動を付与することが好ましい。吐出ヘッド3に微振動を付与する場合
、吐出ヘッド3が相対的に移動している間は、上述した制御装置10からの指令(エンコ
ーダ入力)により、制御器12がピエゾ素子33に微振動を発生させるための駆動信号(
微振動電圧波形)を供給することができる。
【0124】
次に、ステップS2において、待避中の吐出ヘッド3に対して微振動を付与する。吐出
ヘッド3が停止している間は、エンコーダ入力によるピエゾ素子33の駆動が停止される
ものの、キャップ洗浄モードとして、制御装置10からの指令に基づき、制御器12がピ
エゾ素子33に微振動を発生させるための駆動信号(微振動電圧波形)を供給すればよい
。なお、ステップS1とステップS2との微振動付与開始の順序については、特に限定さ
れるものではなく、吐出ヘッド3の待避と、吐出ヘッド3の微振動の付与とが逆であって
も同時であってもよい。
【0125】
次に、ステップS3において、キャップ48の吸引を開始した後、ステップS4に進み
、キャップ48内の洗浄作業を行う。このキャップ48の洗浄作業は、手動又は自動によ
り行うことができ、例えば水に界面活性剤などの添加剤を入れた洗浄液をキャップ48の
キャップ部50内に流しながら洗浄を行う。
【0126】
また、キャップ48(具体的にはキャップ部50)内を洗浄している間、メンテナンス
エリアに待避された吐出ヘッド3に対しては、上述したように微振動を付与する。これに
より、吐出ヘッド3では、ノズル1内で機能液の増粘が進まないようにノズル1内の機能
液を微振動させながら、ノズル1から吐出される液滴Dの良好な状態を維持することがで
きる。
【0127】
次に、ステップS5において、キャップ48内の洗浄が完了したか否かの確認を行う。
具体的には、自動で洗浄する場合にはキャップ部50の数(すなわち、吐出ヘッド3の数
)に応じて定められた一定時間(例えば1ヘッドにつき1分。)が経過した後、リミッタ
が作動して、洗浄液の注入が停止し、ステップS6に進む。一方、手動の場合にはオペレ
ータが実際にキャップ48内の洗浄が完了したかを確認し、洗浄が完了した場合は、ステ
ップS6に進み、洗浄が不十分の場合は、再びステップS4に戻って、キャップ48内の
洗浄作業を繰り返す。
【0128】
次に、ステップS6において、キャップ48の吸引を停止した後、ステップS7に進み
、吐出ヘッド3に対する微振動の付与を停止する。そして、ステップS8に進み、キャッ
プ48内を洗浄した後に作業を終了するか否かの確認を行う。この確認作業は、オペレー
タの判断により行うことができ、作業を終了する場合は、ステップS9に進み、作業を再
開する場合は、ステップS11に進む。また、この判断はフローチャートの開始時に作業
終了フラグとして引数で与えられていてもよく、例えば作業終了フラグがONであればス
テップS9に進み、作業終了フラグがOFFであればステップS11に進むという処理を
自動で行うことができる。
【0129】
ステップS9において、作業を終了する場合は、吐出ヘッド3をキャッピングエリアに
戻す。この場合、吐出ヘッド3のノズル面2と対向する第1位置A1に、第4移動体7の
キャッピングユニット15を配置する。このとき、吐出ヘッド3に対しては、微振動を付
与することが好ましい。そして、ステップS10に進み、吐出ヘッド3のノズル面2にキ
ャップ48を当接させた後、装置の電源を落とすことで作業が終了する。作業終了後は、
吐出ヘッド3のノズル面2がキャップ48により覆われているため、ノズル面2(ノズル
1)の乾燥を抑制することができる。
【0130】
一方、ステップS11において、作業を再開する場合は、吐出ヘッドのメンテナンス処
理を実行する。このメンテナンス処理は、第1位置A1に配置された第4移動体7のキャ
ッピングユニット15を用いて、吐出ヘッド3のノズル面2をキャップ48で覆うと共に
、このキャップ48を介して吐出ヘッド3のノズル1を吸引する吸引動作を実行する。そ
の後、第1位置A1に配置された第3移動体6のワイピングユニット14を用いて、吐出
ヘッド3のノズル面2をワイプ部材57のワイピング面57aで払拭することによって、
このノズル面2に付着した付着物(異物)を除去するワイピング動作を実行する。なお、
この吸引動作は必ずしも強制ではなく、任意に実行することができる。すなわち、吸引動
作を実行せずにワイピング動作だけのメンテナンス処理としてもよい。
【0131】
また、ステップS12に進み、第1位置A1に配置された第4移動体7のキャッピング
ユニット15を用いて、吐出ヘッド3のノズル1からキャップ48に対して液滴Dを吐出
するフラッシング動作を行ってもよい。なお、このフラッシング動作は必ずしも強制では
なく、任意に実行することができる。そして、メンテナンス処理が完了した後は、通常の
描画シーケンスに戻ることになる。
【0132】
以上のように、本発明によれば、キャップ48内の洗浄作業中に吐出ヘッド3のノズル
面2が外気に晒される場合でも、ノズル1内で機能液の増粘が進まないようにノズル1内
の機能液を微振動させながら、ノズル1の良好な吐出状態を維持することが可能である。
そして、キャップ48内を洗浄した後、作業を終了する場合は、吐出ヘッド3のノズル面
2にキャップ48を当接させた後に電源を落とし、作業を再開する場合は、吐出ヘッド3
のメンテナンス処理を実行することで、作業の再開時や装置の立上げ時に行う吐出ヘッド
3のメンテナンス処理を短時間で完了することができる。したがって、本発明によれば、
ノズル1の良好な吐出状態を回復するためのメンテナンス時間を短縮することができ、そ
の結果、生産性を更に向上させることが可能である。
【0133】
なお、本実施形態において、上記のキャッピング工程、ワイピング工程、着弾精度測定
工程、描画工程、及びフラッシング工程の順序はほんの一例であって、これら各工程の順
序や組合せについては任意に変更して実施することが可能である。また、第1移動体4、
第2移動体5、第3移動体6、第4移動体7に対する基板P、着弾精度測定ユニット13
、ワイピングユニット14、及びキャッピングユニット15の配置についても任意に変更
して実施することが可能である。
【0134】
また、上記メンテナンス処理は、第1移動体4から基板Pを搬出する動作、及び第1移
動体4に基板Pを搬入する動作毎に実行されるが、例えば、ロット毎、所定時間間隔毎に
メンテナンス処理を実行するようにしてもよい。
【0135】
なお、上述の実施形態においては、基板がLTCC基板(グリーンシート)であり、基
板に配線パターン(回路パターン)を形成する場合を例にして説明したが、基板としては
、グリーンシートのみならず、ガラス基板、半導体ウエハ等、製造するデバイスに応じて
、適宜選択可能である。また、使用される機能液の導電性微粒子としても、銀のみならず
、例えば特開2005−34837号公報等に開示されているような、金、銅、パラジウ
ム、及びニッケル等の金属微粒子であってもよいし、導電性ポリマーであってもよい。ま
た、使用される分散媒も、導電性微粒子に応じて適宜選択可能である。また、配線パター
ンのみならず、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)の少なくとも一部を
形成することもできる。
【0136】
また、液滴吐出装置を用いて製造可能なデバイスとしては、回路基板に限られず、例え
ばカラーフィルタ、配向膜等、液晶装置の少なくとも一部を形成することができるし、有
機EL装置の少なくとも一部を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本実施形態に係る液滴吐出装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る液滴吐出装置の一部を示す斜視図である。
【図3】キャリッジ部材に支持された複数の吐出ヘッドを下側から見た図である。
【図4】吐出ヘッドの構造の一例を説明するための断面図である。
【図5】第1移動体の一例を示す図である。
【図6】第2移動体の一例を示す図である。
【図7】第2移動体の動作の一例を説明するための図である。
【図8】第3移動体の一例を示す図である。
【図9】第3移動体の動作の一例を説明するための図である。
【図10】第4移動体の一例を示す図である。
【図11】第4移動体の動作の一例を説明するための図である。
【図12】断熱部材を示す斜視図である。
【図13】断熱部材を示す側面図である。
【図14】本実施形態に係る液滴吐出装置の動作の一例を説明するための図である。
【図15】本実施形態に係る液滴吐出装置の動作の一例を説明するための図である。
【図16】本実施形態に係る液滴吐出装置の動作フローを示す図である。
【符号の説明】
【0138】
1…ノズル、2…ノズル面、3…吐出ヘッド、4…第1移動体、5…第2移動体、6…
第3移動体、7…第4移動体、8…駆動装置、9…機能液収容装置、10…制御装置、1
2…制御器(制御手段)、13…着弾精度測定ユニット、14…ワイピングユニット、1
5…キャッピングユニット、33…ピエゾ素子(微振動発生手段)、48…キャップ、I
J…液滴吐出装置、A1…第1位置、A2…第2位置、D…液滴、P…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルが設けられたノズル面を有し、当該ノズル面の各ノズルから機能液の液滴
を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドのノズル面に接触可能なキャップを有し、当該キャップを介してノズル
を吸引するキャッピングユニットと、
前記吐出ヘッドのノズル面をワイプ部材で払拭するワイピングユニットと、
前記吐出ヘッドのノズルから吐出された液滴を吐出対象物に着弾させる着弾エリアと、
前記キャッピングユニットが設けられたキャッピングエリア及び前記ワイピングユニット
が設けられたワイピングエリアを含むメンテナンスエリアとの間で、前記吐出ヘッドを相
対的に移動させる移動手段と、
前記吐出ヘッドに微振動を付与する微振動付与手段と、
前記吐出ヘッド、前記キャッピングユニット、前記ワイピングユニット、前記移動手段
、及び前記微振動付与手段を含む各部の制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段からの指令に基づいて、前記キャッピングユニットのキャップ内を洗浄し
ている間、前記吐出ヘッドが前記キャッピングエリア以外のメンテナンスエリアに待避さ
れて、待避中に前記微振動付与手段が前記吐出ヘッドに対して微振動を付与し、
前記キャップ内を洗浄した後、作業を終了する場合は、前記吐出ヘッドのノズル面に前
記キャップを当接させた後に電源を落とし、作業を再開する場合は、前記吐出ヘッドのメ
ンテナンス処理を実行することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
複数のノズルが設けられたノズル面を有し、当該ノズル面の各ノズルから機能液の液滴
を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドのノズル面に接触可能なキャップを有し、当該キャップを介してノズル
を吸引するキャッピングユニットと、
前記吐出ヘッドのノズル面をワイプ部材で払拭するワイピングユニットと、
前記吐出ヘッドのノズルから吐出された液滴を吐出対象物に着弾させる着弾エリアと、
前記キャッピングユニットが設けられたキャッピングエリア及び前記ワイピングユニット
が設けられたワイピングエリアを含むメンテナンスエリアとの間で、前記吐出ヘッドを相
対的に移動させる移動手段とを備えた液滴吐出装置の制御方法であって、
前記キャッピングユニットのキャップ内を洗浄している間、前記吐出ヘッドを前記キャ
ッピングエリア以外のメンテナンスエリアに待避させ、待避中に前記吐出ヘッドに対して
微振動を付与し、
前記キャップ内を洗浄した後、作業を終了する場合は、前記吐出ヘッドのノズル面に前
記キャップを当接させた後に電源を落とし、作業を再開する場合は、前記吐出ヘッドのメ
ンテナンス処理を実行することを特徴とする液滴吐出装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−248311(P2009−248311A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94736(P2008−94736)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】