説明

液面に向かって放射されるレーダ信号および液面から反射されるレーダ信号によって液体のレベルLを正確に決定する方法およびデバイス

本発明は、液面に向かって放射されるレーダ信号および液面から反射されるレーダ信号によって液体のレベルを正確に決定する方法に関する。本発明は、さらに、本発明に従った方法によって液体のレベルを正確に決定するデバイスに関し、このデバイスは、液体に向かってレーダ信号を放射し、かつ液面から反射されたレーダ信号を受信するために液体の上に配置されたレーダアンテナ、ならびに、放射されたレーダ信号および反射されたレーダ信号に基づいて液体レベルを決定する手段を少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面に向かって放射されるレーダ信号および液面から反射されるレーダ信号によって液体のレベルLを正確に決定する位相ベースの方法に関する。
本発明は、さらに、本発明に従った方法によって液体のレベルを正確に決定するためのデバイスに関し、このデバイスは、液体に向かってレーダ信号を放射し、この液面から反射されるレーダ信号を受信するために液体の上に配置されたレーダアンテナ、ならびに、放射されたレーダ信号および反射されたレーダ信号に基づいて液体レベルを決定するための手段を少なくとも備える。
【背景技術】
【0002】
レーダ(無線検出および距離測定)は、無接触距離測定に広く使用されている。非常によく知られている原理は、時間差法である。この方法に従うと、レーダアンテナは、物体、例えば液面に当たるレーダ信号を放射する。物体は、放射されたレーダ信号/波の一部を逆にレーダアンテナの方向へ反射し、レーダアンテナが反射されたレーダ信号/波を受信する。
【0003】
放射レーダ信号と反射レーダ信号に別々のレーダアンテナを使用することが可能であるが、放射ならびに受信に同じレーダアンテナを使用するのが一般的な慣行である。レーダシステムは、放射レーダ信号と受信レーダ信号の間の時間差Δtを測定する。放射レーダ信号の速度が分っている場合、液体の表面までの距離は、適切な測定手段を使用して簡単なやり方で決定され得る。
【0004】
上述の測定原理を利用する序説で述べられたようなデバイスは、レーダ信号によって加工工業または製油所で貯蔵タンク中の液体、例えば水または油のレベルを正確に決定するためにしばしば使用される。使用されるレーダ信号は、一般に、パルスレーダ信号である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在知られている方法は、特に、放射レーダ信号と反射レーダ信号の間の位相差に基づいている。都合の悪いことに、実際の位相差は、現在使用されているレーダ受信器で直接測定され得ない。測定された位相差は信頼性がなく不確実であるために、液体の実際のレベルの明確で信頼のできる値を決定することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従った方法の目的は、上記の欠点を未然に除去し、現在使用されている測定方法の前述の不正確さが考慮に入れられたより正確な測定原理を導入することである。この目的を実現するために、本発明に従った方法は、
i)周波数f、f、...および位相ψ1l、ψ2l、...を有するレーダ信号を液面に向かって時系列で放射するステップと、
ii)液面から時系列で反射される周波数f、f、...および位相ψ1l、ψ2l、...を有するレーダ信号を受信するステップと、
iii)放射レーダ信号と反射レーダ信号の間の位相差Δψ、Δψ、...を決定するステップと、
iv)決定された位相差に部分的に基づいてレベルLを得るステップとを含む。
【0007】
より具体的には、本発明に従った方法は、そのステップiv)は、
v)周波数f、f、...を有する連続する放射レーダ信号間の周波数差Δf1−2、...を決定するステップと、
vi)前記連続して決定された位相差Δψ、Δψ、...間の移相ΔΨ1−2、...を決定するステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に従って、次にステップviiで、低い正確さレベル値L’が、ステップvおよびviで決定された周波数差Δf1−2および移相ΔΨ1−2に基づいて得られる。
その後、本発明に従ってステップviiiで、ステップviiで決定された低い正確さレベル値L’に基づいて放射レーダ信号と反射レーダ信号の間の数kを得ることによって実際の位相差が決定でき、この実際の位相差に基づいて、ステップviiiで決定された数kおよびステップiiiで決定された位相差に基づいて高い精度で、液体のレベルLが決定される。
【0009】
これは、通常の測定方法で可能であるよりももっと正確な実際の液体レベルの描写を与える。位相ベースの信号処理方法は、レベル測定を1mm未満の誤差範囲で実現することを可能にする。本発明は、異なる周波数のレーダ信号の位相差を使用する。
【0010】
本発明に従った測定方法に従って、レベルLは、
L=Δψ1tv/(4πf)によって決定され、ここで、
v 媒体を通るレーダ信号の速度、
レーダ信号の周波数、
Δψ1t 周波数fを有する放射レーダ信号と反射レーダ信号の間の実際の位相差である。
【0011】
本方法に従って、不正確なレベル測定が最初に行われ、不正確なレベルL’は、
L’=ΔΨ12v/(4πΔf12
によって決定され、ここで、
v 媒体中のレーダ信号の速度、
Δf12 レーダ信号fとfの間の周波数差、
ΔΨ12 位相差ΔψとΔψの間の移相である。
【0012】
周波数fを有する放射レーダ信号と反射レーダ信号の間の実際の位相差は、
Δψ1t=Δψ+2kπによって決定され、ここで、
Δψ 周波数fを有する放射レーダ信号と反射レーダ信号の間の測定された位相差、
k 数である。
【0013】
本発明に従った測定方法によって、k=|2fL’/v|に基づいて前記数kが決定でき、数kの決定後に、周波数fを有する放射レーダ信号と反射レーダ信号の間の実際の位相差が決定でき、この位相差に基づいて、実際のレベル測定Lが実現できる。
【0014】
本発明に従ったデバイスは、レーダアンテナが、周波数f、f、...および位相ψ1l、ψ2l、...を有するレーダ信号を液面に向かって時系列で放射し、かつ液面から時系列で反射される周波数f、f、...および位相ψ1lを有するレーダ信号を受信するように構成され、前記手段が、放射レーダ信号と反射レーダ信号の間の位相差Δψ、Δψ、...を決定し、さらに決定された位相差に部分的に基づいてレベルLを得るように構成されていることを特徴とする。
【0015】
より具体的には、前記手段は、周波数f、f、...を有する連続した放射レーダ信号間の周波数差Δf1−2、...を決定し、さらに前記連続して決定された位相差Δψ、Δψ、...間の移相ΔΨ1−2、...を決定するように構成され、さらに前記手段は、決定された周波数差Δf1−2および移相ΔΨ1−2に基づいて低い正確さレベル値L’を得るように、さらに放射レーダ信号と反射レーダ信号の間の数kをこの低い正確さレベル値L’に基づいて得るように構成されている。
【0016】
上述の測定方法と同様に、前記手段は、本発明に従って、決定された数kおよび決定された位相差に基づいてレベルLを決定するように構成されている。
【発明を実施するための最良の実施形態】
【0017】
本発明に従った方法および発明は、これから、図面を参照してより詳細に説明される。
上で既に説明したように、本発明は、信頼性の高い非常に正確な方法で液体のレベルを決定する位相ベースの方法に関する。本方法は、例えば貯蔵タンクに貯えられた製品のレベルを決定するためにレーダ信号を使用し、タンクのあらゆる種類の障害物または部品の存在は、この測定方法を妨げない。
【0018】
レベル測定のよく知られた原理は、パルスレーダ信号を使用することである。図1は、この知られた測定原理に従ってタンクの液体のレベルを決定するデバイスを模式的に示す。デバイス10は、タンク1の上部に配置され、このタンク1は、壁1a、屋根1bおよび底1cから作られている。タンク1の高さは、文字Hで示されている。
【0019】
タンク1の中には、ある量の液体2が存在し、液体レベル3の高さは文字Lで示されている。
デバイス10は、少なくとも1つのレーダアンテナ12を備え、このアンテナ12は、液面3の方向へレーダ信号4aを放射するための放射面11を備えている。レーダ信号4aは液面3から部分的に反射され、反射されたレーダ信号4bは、今度は、レーダアンテナ12によって捕らえられる。レーダ信号を液面に向かって放射するために別個のアンテナを使用し、さらに反射されたレーダ信号を捕らえるために別個の受信器を使用することも、もちろん可能である。
【0020】
従来技術に従ったデバイス10は、また、放射レーダ信号4aおよび反射レーダ信号4bに基づいて液体レベル3(L)を決定する手段を備え、この測定システムは、放射信号パルスと受信信号パルスの間の時間差Δtを決定することに基づいている。レーダ信号の速度は知られているので、測定物体までの距離すなわち、この場合には、液面までの距離は、次式によって決定され得る。
【0021】
L=H−h=1/2・V・Δt (1)
ここで、
H =タンクの高さ(m)
L =レーダアンテナと液面の間の距離(m)
h =液面の高さ(m)
v =媒体中のレーダ波の伝播速度(m/秒)
Δt=放射レーダ信号と反射レーダ信号の間の時間差(秒)。
【0022】
パルスレーダ信号に基づいたレベル測定の欠点は、放射レーダ信号と受信レーダ信号の間の時間測定が非常に高度でなければならないことである。不正確な時間測定は、必然的に不正確なレベル測定をもたらす。パルスレーダ信号に基づいた測定は、特に、レーダ信号のパルスの形に依存し、パルス振幅にも依存することもある。それに加えて、液面以外の物体からのレーダ信号の反射がこの方法を妨害する。
【0023】
もっと大規模な方法は、周波数変調を使用し(周波数変調連続波レーダ)、レーダ信号の周波数は、時間が経つと変化する。この信号は、例えば、図3に示されるように、形が三角形であることがある。アンテナとターゲット表面の間のカバーされるべき距離によって生じる時間遅延の結果として、放射レーダ信号4aと反射レーダ信号4bの間に周波数差fbeatが存在する。前記周波数fbeatは、フーリエ変換によって計算され得る(図4を参照されたい)。次式のように三角形信号について距離Lが決定される。
【0024】
【数1】

【0025】
ここで、
=変調周波数(Hz)
ΔF =「掃引」周波数帯域(Hz)
beat=放射レーダ信号と受信レーダ信号の間の「ビート」周波数(Hz)
v =媒体中のレーダ波の伝播速度(m/秒)。
【0026】
FMCW技術には、パルスレーダ測定の欠点がない。より正確な周波数計数の代わりに時間遅延測定が使用されている。ビート信号の周波数帯域にわたって見られるパワー分布が単一ピークとして示されるパワースペクトル密度(PSD)を得るために、デジタル信号処理で高速フーリエ変換(FFT)を使用することができる。信号の経路に物体(障害物)が存在することによって引き起こされて反射が起こった場合、反射は、また、図4に示されるようにPSD図に多数のピークとして現れる。液面からの反射に対応する正しく選ばれたピークの中周波fbeatを決定するために、通常のソフトウェアアルゴリズムが使用される。
【0027】
しかし、FMCWレーダの上述の測定方法には、いくつかの重大な欠点がある。第1に、周波数「掃引」の傾斜の安定性に対して厳しい要求がされ、この傾斜は高い程度で一定でなければならない。第2に、「掃引」の形の高い直線性を維持することが難しいので、周波数帯域の中周波がはっきりしない。第3に、フーリエ変換によるビート周波数の正確な中心の計算は、タンクの混合機(図1に5で示され、攪拌要素5aを備える)、タンクの底(1c)、タンクの壁(1a)、梯子、熱交換器、前記ドライブなどの障害物で生じる反射(図1の4’に示される)による妨害に対して非常に敏感であり、したがって、このことは、数ミリメートルの範囲の誤差をもたらすことがある。
【0028】
この目的のために、階段周波数−連続波(SF−CW)と呼ばれる測定技術が開発された。SF−CWレーダ法は、測定および制御で要求される周波数帯域を満たす離散的な周波数の一連の正弦波信号を放射し、受信する(図5)。SF−CWレーダ装置を使用して、位相−距離の関係を決定することによって、ターゲット距離が確定され得る。すなわち、
【0029】
【数2】

【0030】
ここで、
Δψ=基準信号と反射信号の間の位相差
L =レーダアンテナと測定されるべき物体の間の距離(m)
f =「離散的な」周波数の1つ(Hz)
v =媒体中のレーダ波の伝播速度(m/秒)。
【0031】
この実際の位相差Δψは、位相特性の位相曖昧度2πおよびはっきりしない外乱のためにレーダ計器によって直接測定され得ない。測定された位相差は、Δψと表される。通常、位相信号は、正弦信号として、例えばcos(Δψ)またはsin(Δψ)として表される。sin(Δψ)=sin(Δψ+2kπ)、kは整数なので、正確な情報は失われている。正確な値kは分っていないので、測定もまた不正確となる。係数kは、いわゆる「折畳み」係数であり、位相曖昧度が「折り畳まれた位相」Δψをもたらす。また図6を参照されたい。離散的な信号の場合、この位相は次式のように表される。
【0032】
Δψ=Δψ−2kπ (4)
(4)において、kは、0≦Δψ<2πであるような整数である。k数の値によって生じる不正確は、距離Lをk数の関数として表すことによって最もよく示される。
【0033】
【数3】

【0034】
例えば、RADAベースのレベル測定デバイスは、主として、8〜12.5Ghz(X帯域)の周波数帯域幅で動作する。10GHzの周波数は、真空中で30mmに等しい波長λに対応する。数kが1だけ変化すると、この変化は15mmの距離変化に対応する。したがって、レベル距離Lの正確な測定のためには、数kが非常に重要である。
【0035】
デジタルデータでは、位相曖昧度は、周波数帯域幅の中心周波数または中周波で計算され得る。cos(Δψ)信号から距離Lを決定する通常の方法(上で述べられたような、いわゆるPSD法)は、図7に示されるように周波数測定中の正弦波形の周期の数を決定することである。このことは、PSD法のフーリエ変換と同じである。したがって、距離に関して次式が適用されることを導き出すことができる。
【0036】
【数4】

【0037】
ここで、mは信号の周期の数である。数kの曖昧度係数は、振幅ベースの(PSD)出発距離LPSDを使用することによって次式に基づいて決定される。
【0038】
【数5】

【0039】
係数int[..]は、kを最も近い整数に丸める丸めの係数を表す。このように得られた曖昧度係数(「折畳み係数」)kによって、標準的な位相ベースの距離LCONVは、(5)と同様に得られ得る。
【0040】
【数6】

【0041】
しかし、PSDベースの距離LPSDの誤差が4分の1波長、すなわち10GHzで7.5mmよりも大きい場合には、これは正しくない曖昧度係数kPSDをもたらし、したがって、2分の1波長の大きさの数倍の大きさの誤差を含んだ正しくない位相距離LCONVをもたらす。このことは、標準的な位相ベースのレベルの正確さは、PSDベースのレベルに強く依存することを意味する。PSDベースの方法が様々な妨害物に敏感であることは、一般に知られている。妨害物体がレーダビームの経路に存在している場合、PSDベースのレベル測定において数10ミリメートルの大きさの誤差が生じそうである。妨害物体または妨害物は、例えば、貯蔵容器1の壁1a、底1cその他、ならびに混合機(5〜5a)、ヒートコイルまたは梯子であることがある。図1を参照されたい。
【0042】
PSDスペクトルのピーク近くでの数%の誤差が、正しくない曖昧度係数kPSDを生じるのにもう十分であることは分っている。その他に、貯蔵タンク中の媒体のレベルがアンテナに近い高さまで上昇した場合、近くのアンテナ領域からの妨害もまた大きな誤差につながることがある。一般に、通常のPSD法は非常に敏感であり、このことが不安定で不正確な計算方法につながる。その結果として、誤差は、標準的な「位相ベースの」方法において波長の半分の「レベル急上昇」を含み、この急上昇はX帯域幅で15mmである。そのようなレベル急上昇は、いくつかの用途では非常に望ましくない。
【0043】
さらに、いくつかの知られたFMCWおよび/またはSFCW位相ベースの測定方法は、2つの連続する測定間の距離変化を補正する目的のために、相対的な位相の測定を使用する。
【0044】
CONV =L+ΔL+ΔL+..+ΔL (9)
ここで、
=出発距離(m)
ΔL、ΔL=2つの連続する測定間の差距離(m)
理解されることであろうが、たった1度限りの正しくない曖昧度係数がLPSDによって表現されても、累積誤差は非常に大きな誤差になることがある。したがって、標準的な位相ベースの距離計算の脆弱性が、正しくないPSDベースの方法によって影響を及ぼされて、結果的に、精度の悪い性能をもたらす。
【0045】
本発明に従った方法は、この測定誤差を相殺することを目的とする。1つまたは複数の周波数で実際の位相が分っている場合、ターゲットまでの絶対距離(L)が次式に基づいて決定され得ることは、上の式(3)で既に決定されている。
【0046】
【数7】

【0047】
デジタル制御SF−CWレーダ技術の知られた特徴は、発生されるすべての階段周波数が分っていることである。本発明に従って、本方法は、半波長の位相曖昧度を解決し、したがって絶対距離Lを正確に決定するために、異なる周波数での位相変化を使用する。本発明に従った方法は、次式に基づいておおよその距離を決定するために、2つの異なる周波数で測定された、または形成された位相を使用することに関係する。
【0048】
【数8】

【0049】
ここで、Δf=f−fおよびΔΨ=Δψ(f)−Δψ(f)。整数kは、後で、おおよそのレベル測定Lcoarseによって、次式に従って決定される。
【0050】
【数9】

【0051】
この場合、係数int[..]は、kを最も近い整数に丸める丸めの係数を示す。したがって、放射レーダ信号と反射信号の間の絶対的な位相を決定し、その結果として、絶対的な非常に正確なレベル距離LINVを次式で決定するためにも、その位相および数が利用される。
【0052】
【数10】

【0053】
本発明に従った測定方法は、独立した位相ベースの信号処理方法として特徴付けされる。上述の方法を使用して、複雑な測定条件においても、非常に信頼性が高く再現性の高い±1mm以上の精度が実現されることがある。
【0054】
したがって、本発明に従った方法は、知られた低い正確さPSDを位相曖昧度の基準として使用しない。知られた方法とは対照的に、本発明に従った方法は、現在距離に影響を及ぼす前の測定に対する相対的な位相距離変化を利用しない。本方法は、すべての測定で絶対的な位相および距離を計算し、それによって現在ターゲット距離の絶対的な大きさが与えられる。したがって、この方法を使用することによって、前の測定からの位相誤差累積は完全に防がれる。
【0055】
本発明に従って、図1に示されたデバイス10のレベル決定手段13は、さらに、情報処理装置13aを備え、この情報処理装置13aは、本発明に従った方法のステップに従って、放射信号4aと反射レーダ信号4bの間の位相差Δψ、Δψ、...を決定し、さらに決定された位相差に部分的に基づいてレベルLを得るように構成されている。
【0056】
いくつの試験結果または測定データが、図8、9、および10に示されている。障害物試験は、図8a、8b、8cに示されている。
このいわゆる障害物試験は、ターゲット測定中にレーダビームの中に現れる望ましくない物体の存在を決定するために、レベル測定で行われる。前記望ましくない物体は、いわゆるタンクの混合機5〜5a、梯子、ヒートコイル、タンクの底1c、タンクの壁1a、その他であることがある(図1を参照されたい)。これらの望ましくない物体または障害物は、標準的なターゲット検出およびターゲット測定を電磁気的に妨げることがある。
【0057】
このことを示すために、図8a〜8cは、貯蔵タンク中のレベルを決定するための様々な測定方法、すなわち、知られた振幅ベースの方法(「PSD振幅方法LPSDを使用するときのレベル誤差」というタイトルのついた図8a)、位相ベースの方法(「標準的な位相方法LCONVを使用するときのレベル誤差」というタイトルのついた図8b)、および本発明に従った方法(「本発明に従った方法LINVを使用するときのレベル誤差」というタイトルのついた図8c)を用いて得られた試験結果を示す。本特許出願で説明されるような位相に依存しない新しい方法で得られる精度および再現性は、知られた位相ベースの方法および/またはPSDベースの方法で得られるものよりもはるかに高いことが明らかである。その精度は、知られた方法で実現される精度の約50倍である。
【0058】
タンクの壁の影響、障害物および近接効果を目的とする試験は、図9a「LINV−新しい方法」に示され、この図では、本発明に従った方法の精度は、標準的なPSDベースの方法の精度と比較されている(「LPSD−知られたフーリエFMCW法」というタイトルのついた図9b)。その精度は、通常の方法で実現される精度の約55倍である。
【0059】
測定に及ぼす底の影響を決定するために行われた試験の結果が図10(「底の近くの障害物(加熱素子)」というタイトルのついた)に示されている。空のタンクが化学液体で満たされる。底の反射は、知られた方法によって行われるときの液体レベル測定に主要な影響を及ぼすが、本発明に従った方法によって行われるときのレベル測定に対する影響は、ほんのわずかである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1−10】記載なし
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8a】

【図8b】

【図8c】

【図9a】

【図9b】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面に向かって放射されるレーダ信号および前記液面から反射されるレーダ信号によって、前記液体のレベルLを正確に決定する方法であって、
i)周波数f、f、...および位相ψ1l、ψ2l、...を有するレーダ信号を前記液面に向かって時系列で放射するステップと、
ii)前記液面から時系列で反射される周波数f、f、...および位相ψ1l、ψ2l、...を有する前記レーダ信号を受信するステップと、
iii)前記放射レーダ信号と前記反射レーダ信号の間の位相差Δψ、Δψ、...を決定するステップと、
iv)決定された前記位相差に部分的に基づいて前記レベルLを得るステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ステップiv)は、
v)周波数f、f、...を有する前記連続する放射レーダ信号間の周波数差Δf1−2を決定するステップと、
vi)前記連続して決定された位相差Δψ、Δψ、...間の移相ΔΨ1−2、...を決定するステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップvii)において、
vii)低い正確さレベル値L’は、ステップvおよびviで決定された前記周波数差Δf1−2および前記移相ΔΨ1−2に基づいて得られる、ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップviii)において、
viii)前記放射レーダ信号と前記反射レーダ信号の間の数kは、ステップviiで決定された前記低い正確さレベル値L’に基づいて得られる、ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記位相は、前記数kを得るためにフィルタ処理されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップix)において、
ix)前記レベルLは、ステップviiiで決定された前記数kおよびステップiiiで決定された前記位相差に基づいて決定されることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記レベルLは、
L=Δψ1tv/(4πf
によって決定され、ここで、
v 媒体中での前記レーダ信号の速度、
前記レーダ信号の周波数、
Δψ1t 周波数fを有する前記放射レーダ信号と前記反射レーダ信号の間の実際の位相差であることを特徴とする前記請求項のいずれか一項または複数項に記載の方法。
【請求項8】
前記不正確なレベルL’は、
L’=ΔΨ12v/(4πΔf12
によって決定され、ここで、
v 媒体中での前記レーダ信号の速度、
Δf12 レーダ信号fとfの間の周波数差、
ΔΨ12 位相差ΔψとΔψの間の移相であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記実際の位相差は、
Δψ1t=Δψ+2kπ
によって決定され、ここで、
Δψ 周波数fを有する前記放射レーダ信号と前記反射レーダ信号の間の測定された位相差、
k 前記数であることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記数は、
k=|2fL’/v|
によって決定されることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項または複数項に記載の方法。
【請求項11】
本発明に従った方法によって液体のレベルを正確に決定するためのデバイスであって、前記デバイスは、前記液体に向かってレーダ信号を放射し前記液面から反射されるレーダ信号を受信するために前記液体の上に配置された少なくとも1つのレーダアンテナ、ならびに、前記放射レーダ信号および前記反射レーダ信号に基づいて前記液体レベルを決定するための手段を備え、前記レーダアンテナが、周波数f、f、...および位相ψ1l、ψ2l、...を有するレーダ信号を前記液面に向かって時系列で放射し、かつ前記液面から時系列で反射される周波数f、f、...および位相ψ1lを有するレーダ信号を受信するように構成され、前記手段が、前記放射レーダ信号と前記反射レーダ信号の間の位相差Δψ、Δψ、...を決定し、さらに前記決定された位相差に部分的に基づいて前記レベルLを得るように構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項12】
前記手段は、周波数f、f、...を有する前記連続する放射レーダ信号間の周波数差Δf1−2、...を決定し、さらに前記連続して決定された位相差Δψ、Δψ、...間の移相ΔΨ1−2、...を決定するように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記手段が、前記決定された周波数差Δf1−2および前記移相ΔΨ1−2に基づいて低い正確さレベル値L’を得るように、さらに前記放射レーダ信号と前記反射レーダ信号の間の数kを前記低い正確さレベル値L’に基づいて得るように構成されていることを特徴とする、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記手段が、決定された前記数kおよび決定された前記位相差に基づいて前記レベルLを決定するように構成されていることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。

【公表番号】特表2009−527760(P2009−527760A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556260(P2008−556260)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【国際出願番号】PCT/NL2007/000048
【国際公開番号】WO2007/111498
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(508131233)エンラフ・ベスローテン・フエンノートシャップ (2)
【Fターム(参考)】