説明

清涼調製物のための香気成分

本発明は、6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンの、その異性体のいずれか1つの形態またはその混合物の形態での、芳香づけ成分または着香用成分としての使用に関連する。本発明はまた、前記化合物を含有する芳香づけ組成物または着香用組成物あるいは芳香物または着香物に関する。6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンと、ハッカ様特徴、果実様特徴および/または三叉神経官能的特徴を有するか、または与える少なくとも1つのさらなる化合物とを含む組成物もまた本発明の一部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は香料およびフレーバーの分野に関連する。より具体的には、本発明は、下記の式の化合物:
【0002】
【化1】

の、その異性体のいずれか1つの形態またはその混合物の形態での、芳香づけ成分または着香用成分としての使用に関連する。本発明はまた、前記化合物を含有する組成物または物品にも関連する。
【0003】
先行技術
W.H.Pearson他は、J.Org.Chem.、1987、52、1355において、(3R,5S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンを主成分として含有する異性体混合物の形態での式(I)の化合物の合成を報告している。
【0004】
しかしながら、前記文書は式(I)の化合物を単純な反応生成物として述べており、フレーバーまたは香料の分野における後者の官能的特徴または使用については何ら言及も、示唆もしていない。
【0005】
発明の説明
本発明者らは、今回、下記の式の化合物:
【0006】
【化2】

が、ハッカタイプまたはハッカ様の爽やかなタイプの官能的特徴によって予想外にも特徴づけられる有用な芳香づけ成分または着香用成分であることを発見している。
【0007】
式(I)の化合物は4つの不斉炭素原子(すなわち、3位、5位、6位および9位の炭素原子)を有する。従って、式(I)の化合物はその立体異性体のいずれか1つの形態であり得る。それらの非限定的な例が(3S,5R,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンまたは(3S,5S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンである。さらに、本発明の化合物は前記立体異性体のいずれか1つの混合物の形態であり得ることもまた理解される。
【0008】
本発明の実施形態によれば、下記の式の化合物:
【0009】
【化3】

(式中、9位の炭素原子はRの立体配置を有し、かつ、3位の炭素原子はSの立体配置を有する)
の、その異性体のいずれか1つの形態またはその混合物の形態での、着香用成分または芳香づけ成分としての使用が特に理解される。そのうえ、混合物の総重量に対して少なくとも60重量%の(3S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンを含む混合物の使用がさらにより好まれる。
【0010】
以前に述べられたように、式(I)の化合物は、式(I)の化合物を香料産業およびフレーバー産業にとって非常に有用にする官能的特徴を有する。より正確には、式(I)の化合物はハッカ様のメントンタイプの香りを有する。
【0011】
しかしながら、その特有の官能的特徴のために、化合物(I)は、化合物(I)が様々な目的のために使用され得るフレーバー産業のために特に興味深いことが見出されている。実際、驚くべきことに、異性体のフレーバー特徴がそれらの立体的な立体配置の関数として変化し得ること、また、同様に、混合物のフレーバー特徴が、その混合物に存在する異性体の相対的比率の関数として変化し得ることが見出されている。例えば、特定の異性体を、わずかにハッカ様の印象を有する強い清涼感の香りを与えるために用いることができ、その一方で、異性体の特定の混合物を、清涼的印象を有する強いハッカ様の香りを与えるために用いることができる。
【0012】
式(I)のフレーバーはハッカ様の爽やかなピペリタ(piperita)タイプであり、その濃度および純度は注目に値する。
【0013】
特に、(3S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オン(これは異性体の本発明の混合物に対応する)は、元気づける作用を伴って、人の関心を引くハッカ様の香りを与えることができる。しかしながら、純粋な異性体の(3S,5S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンまたは(3S,5R,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンは、ハッカ様を暗示する、より大きな程度の清涼的タイプのフレーバーを有する。別な言い方をすれば、前記異性体のフレーバーは、上記の混合物と比較したとき、ハッカ様の作用がそれほど顕著でなく、元気づける香りがより顕著である。増強された元気づける清涼的作用は、より強く、かつ、より長引く作用を有する(3S,5R,6S,9R)異性体について特に感知することができる。
【0014】
(3S,5R,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンの使用または(3S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンの使用が本発明の好ましい実施形態である。
【0015】
上記で述べられたように、本発明は、芳香づけ成分または着香用成分としての式(I)の化合物の使用に関する。別な言い方をすれば、本発明は、芳香づけ組成物または着香用組成物の香り特徴またはフレーバー特徴、あるいは、芳香物または着香物の香り特徴またはフレーバー特徴を与え、強化し、改善し、または改変するための方法に関し、この場合、そのような方法は、前記組成物または前記物品に少なくとも式(I)の化合物の効果的な量を加えることを含む。本発明の特定の実施形態によれば、着香用成分としての本発明の化合物の使用が、特にハッカフレーバーまたはハッカの清涼的フレーバーを与えるために好まれる。
【0016】
「式(I)の化合物の使用」によって、香料産業またはフレーバー産業において有効成分として都合よく用いることができる、化合物(I)を含有する任意の組成物の使用もまた本発明では理解しなければならないこともまた述べておかなければならない。
【0017】
前記組成物は、実際に、芳香づけ成分または着香用成分として都合よく用いることができるので、前記組成物もまた本発明の目的の1つである。
【0018】
従って、本発明の別の目的は、
i)芳香づけ成分または着香用成分として、上記で規定されるような少なくとも1つの本発明の化合物;
ii)香料キャリアおよび香料基剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分、または、フレーバーキャリアおよびフレーバー基剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分;および
iii)場合により少なくとも1つの香料補助物またはフレーバー補助物
を含む芳香づけ組成物または着香用組成物である。
【0019】
「芳香キャリアまたはフレーバーキャリア」によって、本発明では、香料またはフレーバーの観点から事実上中立である物質、すなわち、芳香づけ成分または着香用成分の官能的特徴を著しく変化させない物質が意味される。前記キャリアは液体または固体であり得る。
【0020】
液体キャリアとしては、非限定的な例として、乳化系(すなわち、溶媒および界面活性剤の系)、あるいは、香水またはフレーバーにおいて一般に使用される溶媒を挙げることができる。香水またはフレーバーにおいて一般に使用される溶媒の性質およびタイプの詳細な記載は網羅的に表すことができない。しかしながら、非限定的な例として、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノールまたはクエン酸エチルなどの溶媒を挙げることができ、これらは最も一般に使用されるものである。フレーバーにおいて一般に使用される溶媒の非限定的な例として、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、ベンジルアルコール、エタノール、植物性油またはテルペン類などの化合物を挙げることができる。
【0021】
固体キャリアとしては、非限定的な例として、吸収性のガムまたはポリマー、あるいはさらには、カプセル化物質を挙げることができる。そのような物質の例には、例えば、下記が含まれ得る:壁形成物質および可塑性物質、例えば、単糖類、二糖類または三糖類、天然デンプンまたは修飾されたデンプン、ヒドロコロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、タンパク質またはペクチンなど、あるいはさらには、H.Scherz、Hydrokolloids:Stabilisatoren,Dickungs− und Gehermittel in Lebensmittel,Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie,Lebensmittelqualitaet(Behr's Verlag GmbH&Co.、Hamburg、1996年)などの参考書籍に示される物質など。カプセル化は、当業者にとって広く知られているプロセスであり、例えば、スプレー乾燥、集塊化、またはさらには押し出しなどの技術を使用して行うことができ、あるいは、コアセルベーション技術および複合コアセルベーション技術を含むコーティングカプセル化からなる。
【0022】
一般的に言えば、「芳香基剤またはフレーバー基剤」によって、本発明では、少なくとも1つの芳香づけ共成分または着香用共成分を含む組成物が意味される。
【0023】
前記芳香づけ共成分または着香用共成分は式(I)を有しない。さらに、「芳香づけ共成分または着香用共成分」によって、本発明では、快楽的作用を与えるために芳香づけ用または着香用の調製物または組成物において使用される化合物が意味される。別の言い方をすれば、そのような共成分は、芳香づけ共成分または着香用共成分であると見なされるためには、単に香りまたは風情を有するとしてだけでなく、組成物の香りまたは風情を好ましい方法または快い方法で与えるか、または改変することができるとして当業者によって認められなければならない。
【0024】
基剤に存在する芳香づけ共成分または着香用共成分の性質およびタイプはここではさらに詳しい説明を必要としない。そのような説明はどのような場合でも網羅的ではないが、当業者は、その一般的な知識に基づいて、また、意図された使用または適用および所望される官能的効果に従ってそれらを選択することができる。一般的には、これらの芳香づけ共成分または着香用共成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、酢酸エステル、ニトリル、テルペン炭化水素、含窒素複素環化合物または含イオウ複素環化合物、および精油のような様々な化学的クラスに属し、前記芳香づけ共成分は天然起源または合成起源であり得る。これらの共成分の多くは、いずれの場合でも、S,Arctanderによる書籍(Perfume and Flavor Chemicals、1969年、Montclair、New Jersey、米国)またはそのより最近の版などの参考書籍において、あるいは、類似する種類の他の著作物、ならびに、香水またはフレーバーの分野における数多くの特許文献において列挙される。前記共成分はまた、様々なタイプの芳香づけ化合物または着香用化合物を制御された様式で放出することが知られている化合物であり得ることが理解される。
【0025】
芳香キャリアおよび芳香基剤の両方を含む組成物について、他の好適な芳香キャリアは、以前に指定された芳香キャリアとは別に、エタノール、水/エタノールの混合物、リモネンまたは他のテルペン、イソパラフィン(例えば、Isopar(登録商標)(製造元:Exxon Chemicals)の商品名で知られているイソパラフィンなど)、または、グリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル(例えば、Dowanol(登録商標)(製造元:Dow Chemical Company)の商品名で知られているものなど)もまた挙げることができる。
【0026】
一般的に言えば、「芳香補助物またはフレーバー補助物」によって、本発明では、さらなる付加された利益(例えば、色、特定の耐光性および化学的安定性など)を与えることができる成分が意味される。芳香づけ基剤または着香基剤において一般的に使用される補助物の性質およびタイプの詳細な記載は網羅的にすることができず、しかし、前記成分は当業者には広く知られていることを述べておかなければならない。
【0027】
少なくとも1つの式(I)の化合物と、少なくとも1つの芳香キャリアまたはフレーバーキャリアとからなる本発明の組成物は、少なくとも1つの式(I)の化合物と、少なくとも1つの芳香キャリアまたはフレーバーキャリアと、少なくとも1つの芳香基剤またはフレーバー基剤と、場合により、少なくとも1つの芳香補助物またはフレーバー補助物とを含む芳香づけ組成物または着香用組成物と同様に、本発明の特定の実施形態を表す。
【0028】
本発明の特定の実施形態によれば、ハッカ様および/または果実様のフレーバーを与える少なくとも1つの着香用成分をフレーバー基剤が含む着香用組成物が特に理解される。実際に、また、驚くべきことに、化合物(I)によってもたらされる清涼的作用の単なる付加から生じる効果よりも強く、かつ、ハッカ様および/または果実様のフレーバーによって提供され得る効果よりも強い清涼的作用をもたらす相乗的な効果が存在することが認められている。さらに、前記共力作用は清涼的作用の持続性をも増大させている。
【0029】
従って、注目され得るように、本発明の化合物は非常に万能的であり、本発明の化合物が使用される形態に依存して、様々な官能的特色(例えば、程度の差はあるが、顕著な清涼的作用またはハッカ様作用)を与えるために使用することができる。
【0030】
上記の組成物において、2つ以上の式(I)の化合物を有する可能性は、調香師またはフレーバリストが、本発明の様々な化合物の香りまたはフレーバー特色を有する一致したもの(香水またはフレーバー)を調製することを可能し、従って、それらの仕事のための新しいツールをもたらすので重要であることをここで述べることは有用である。
【0031】
さらに、別途指示または記載されない限り、例えば、本発明の化合物が、出発物質、中間体または最終生成物として関与する適切な精製を伴うことなく、化学合成から直接的に生じる任意の混合物は、本発明による芳香づけ組成物または着香用組成物であると見なすことができないことが本発明では理解される。
【0032】
さらに、本発明の化合物はまた、前記化合物が加えられている物品のフレーバーまたは香りを好ましいように与え、または改変するために、フレーバー産業または香料産業の分野のすべてで都合よく使用することができる。従って、前記物品もまた本発明の目的の1つである。
【0033】
そのような物品の一例が食料品または着香物である。前記着香物は、
i)着香用成分として、上記で規定されるような少なくとも1つの式(I)の化合物、または、本発明の着香用組成物;および
ii)食品素地または口腔ケア基剤
を含んでおり、このような着香物もまた本発明の目的の1つである。
【0034】
好適な食品素地または口腔ケア基剤には、飲料物(例えば、果汁、ソフトドリンクまたはアイスティーなど)、スープ、アイスクリームおよびシャーベット、菓子類、かみでのある(chewy)菓子類、砂糖菓子類、チューインガム、かみタバコ、医薬調製物、歯科ケア製品(例えば、歯磨きゲルおよびペーストなど)、口腔洗浄液またはうがい液が含まれる。
【0035】
明確化のために、「食品素地」によって、本発明では、食用製品、例えば、食品、飲料物または経口医薬組成物が意味されることを述べておかなければならない。従って、本発明による着香物は、機能的配合物、ならびに、場合により、所望される食用製品(例えば、キャンディー)に対応するさらなる利益物、および、フレーバー効果的な量の少なくとも本発明の化合物を含む。「口腔ケア基剤」によって、口腔ケア目的のために使用され得る任意の消費生活用品、例えば、歯磨きまたは口腔洗浄液または機能的菓子類(例えば、ガムまたは錠剤など)などが意味される。
【0036】
食品または飲料物の構成成分の性質およびタイプはここではさらにより詳しい説明を必要としない。そのような説明はどのような場合でも網羅的でないが、当業者は、その一般的な知識に基づいて、また、前記製品の性質に従ってそれらを選択することができる。
【0037】
本発明の化合物が都合よく加えられ得る物品の別の一例が芳香物である。従って、
i)芳香づけ成分として、上記で規定されるような少なくとも1つの式(I)の化合物、または本発明の芳香づけ組成物;および
ii)口に入れられない(non−palatable)の消費生活用品基剤
を含む芳香物もまた本発明の目的の1つである。
【0038】
明確化のために、「口に入れられない消費生活用品基剤」は、本発明では、非食用の消費生活用品、すなわち、口内に導入されることが意図されず、かつ、芳香づけ成分との適合性を有する非食用の消費生活用品が意味されることを述べておかなければならない。別の言い方をすれば、本発明による芳香物は、機能的配合物、同様に、場合により、さらなる利益物(これらは消費生活用品(例えば、洗剤または消臭スプレー)に対応する)と、嗅覚効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物とを含む。
【0039】
口に入れられない消費生活用品基剤の構成成分の性質およびタイプはここではさらにより詳しい説明を必要としない。そのような説明はどのような場合でも網羅的でないが、当業者は、その一般的な知識に基づいて、また、前記製品の性質および所望される効果に従ってそれらを選択することができる。
【0040】
口に入れられない好適な消費生活用品基剤の例には、固体または液体の洗剤および織物柔軟剤、ならびに、香水(すなわち、香料)、コロン水またはアフターシェーブローション、香水入り石けん、シャワーソルトまたは浴用ソルト、ムース、オイルまたはゲル、衛生用製品または毛髪ケア製品(例えば、シャンプーなど)、ボディケア製品、脱臭剤または制汗剤、消臭スプレー、そして同様に化粧品調製物における一般的な他の物品のすべてが含まれる。洗剤としては、それらが家庭使用または産業使用のために意図されるとしても、様々な表面を洗浄または清掃するための洗剤組成物または洗浄用製品などの適用、例えば、繊維製品、皿または硬表面処理のために意図されたそのような適用がある。他の芳香物は、織物リフレッシャー、アイロン用水、紙、ワイプまたは漂白剤である。
【0041】
上記消費生活用品基剤の一部は本発明の化合物に対する攻撃的な媒体に相当する場合があり、その結果、後者を、例えば、カプセル化によって、時期尚早の分解から保護することが必要となる場合がある。
【0042】
本発明による化合物が様々な上記の物品または組成物に取り込まれ得る割合は広範囲の値で変化する。これらの値は、芳香が与えられるか、または着香される物品の性質に依存し、また、所望される官能的作用、ならびに、本発明による化合物が、この分野で一般に使用される芳香づけ共成分または着香用共成分、溶媒あるいは添加剤と混合されるときの所与の基剤における共成分の性質に依存する。
【0043】
例えば、芳香づけ組成物の場合、典型的な濃度は、本発明の化合物が取り込まれる組成物の重量に基づいて、本発明の化合物がおよそ0.01重量%〜5重量%またはそれ以上である。これらよりも低い濃度(例えば、およそ0.001重量%〜1重量%など)を、本発明の化合物が芳香物に取り込まれるときに使用することができる(この場合、百分率は物品の重量に対してである)。
【0044】
着香用組成物の場合、典型的な濃度は、本発明の化合物が取り込まれる消費生活用品の重量に基づいて、本発明の化合物がおよそ1重量ppm〜10000重量ppmまたはそれ以上である。これらよりも低い濃度(例えば、およそ0.01重量ppm〜150重量ppmなど)を、本発明の化合物が着香物に取り込まれるときには使用することができる(この場合、百分率は物品の重量に対してである)。
【0045】
式(I)の化合物は、下記のスキームに例示されるように、好ましくは水の共沸蒸留を伴う、触媒量のプロトン酸またはルイス酸の存在下での乳酸およびメントン(すなわち、3−p−メントン)の反応によって得ることができる:
【0046】
【化4】

【0047】
本発明者らは、前記実験条件を使用した場合、出発物質の不斉炭素の立体配置が最終生成物において保持されることを見出している。従って、メントンおよび乳酸のエナンチオマー純度、および、適用可能な場合にはジアステレオマー純度を選択することによって、式(I)の化合物の異性体の混合物を得ることが可能である(この場合、スピロ炭素の立体配置は事前に定義されない)。異性体の前記混合物は、純粋な異性体を得るために、従来の方法(例えば、調製用GC)を使用してさらに精製することができる。
【0048】
異性体を本質的に純粋な形態で得るためには、W.H.Pearson他によってJ.Org.Chem.、1987、52、1355に記載されるプロセスと類似するプロセスを使用することもまた可能である。
【0049】
述べられているように、他の着香剤または着香用化合物に対する式(I)の化合物(これはまた化合物(I)として示される)の相乗的作用が驚くべきことに認められている。
【0050】
従って、1つの局面において、本発明は、
i)式(I)の化合物、および
ii)ハッカ様特徴、果実様特徴および/または三叉神経官能的特徴を有するか、または与える少なくとも1つのさらなる化合物
を含む組成物を提供する。
【0051】
本発明のこの組成物の1つの実施形態において、式(I)による化合物は、(3S,5R,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オン、(3S,5S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オン、および、これら2つの前記化合物の混合物からなる群から選択される。
【0052】
相乗作用は、本発明との関連では、また、一般に、フレーバーまたはアロマの評価との関連では、下記に概略されるプロトコルに従って、経験者のパネル集団の大多数によって明らかにされる。
【0053】
従って、組成物が2つの化合物を含む場合の相乗作用(例えば、A+B)(この場合、両者は、同じ果実様作用、ハッカ様作用または三叉神経的作用を示す)は下記のように定義される。
([A]+[B])の強さ > 2[A]または2[B]の強さ
すべての化合物の濃度は、化合物が単独で存在するならば、類似する官能的強さを提供するように選択される。化合物の潜在的に異なる強さのために、濃度は異なり得る。従って、かっこ[]は、AおよびBの類似する強さが経験されるAおよびBについての濃度をそれぞれ示し、通常的には、濃度は、低いが、明らかに検出可能な官能的作用を与えるように調節されなければならない。
【0054】
共力作用はまた、3つ以上の化合物を有する組成物においても、例えば、三成分混合物(A+B+C)においても見出され得る。この場合、
([A]+[B]+[C])の強さ > 3[A]または3[B]または3[C]の強さ
であるならば、共力作用が見出される。
【0055】
三叉神経的作用または三叉神経官能的特徴は、三叉神経の活性化を伴う作用または特徴である。好ましくは、三叉神経による作用または特徴によって、例えば、清涼的、チクチクする、唾液を出させる、刺激する、かつ/または熱いといった官能的特徴が意味される。より好ましくは、三叉神経的作用または三叉神経官能的特徴は清涼的な作用または官能的特徴である。好ましくは、この作用は個体の口腔において感知可能である。
【0056】
従って、上記の化合物(I)は、上記で議論されたような着香用共成分を有するフレーバー基剤と組み合わせられている。好ましくは、上記で定義されるような共成分は、果実様特徴、ハッカ様特徴および/または三叉神経官能的特徴を有する化合物である。驚くべきことに、化合物(I)の官能的特徴の予想外の増強が、そのような共成分を含む組成物において経験される。特に、その清涼的特性が予想外に高められている。
【0057】
官能的特徴の増強は、三叉神経的特徴を有する共成分とともに使用されたならば、特に強かった。
【0058】
従って、本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのさらなる化合物は、清涼的特徴、チクチクする特徴、熱い特徴および唾液を出させる特徴からなる群から選択される三叉神経官能的特徴を有する。より好ましくは、さらなる化合物は清涼的特徴を有する。
【0059】
本明細書中で述べられる官能的特徴は当業者には広く知られている。1つの化合物がいくつかの官能的特徴を有し得ることは注目に値する。例えば、多くの化合物は、清涼的作用および同時にハッカ様特徴を有する。
【0060】
清涼的およびハッカ様の両方の官能的特徴を有する植物抽出物についての典型的な一例がペパーミントオイルである。
【0061】
「熱い」官能的特徴を有する化合物についての例が、ピペリン、ペラルゴニルバニルアミド、バニリンブチルエーテルである。
【0062】
「チクチクする」特徴を有する化合物についての一例が、スピラントール((2E,6Z,8E)−N−イソブチル−2,6,8−デカトリエンアミド)である。
【0063】
「唾液を出させる」特徴を有する化合物についての例が、クエン酸、アスパラギン酸および他の有機酸である。
【0064】
「果実様」の官能的特徴を有する化合物についての例には、酪酸エチルなどのエステルが含まれる。
【0065】
上記特徴を有するさらなる化合物が先行技術分野において広く記載されている。約1200の清涼的および/またはハッカ様の化合物の一覧が、H.R.Watson、Flavor:Its Chemical,Behavioural and Commercial Aspects(Apt,C.M.編、Westview;Boulder co(著作権)(1977)、31〜50)に示される。この参考文献は参考として本明細書中に明示的に組み込まれる(特に、ハッカ様および/または清涼的な特徴を有する化合物に対するそのコメント)。
【0066】
より近年の文献もまた、典型的な果実様特徴、ハッカ様特徴または三叉神経官能的特徴を有する化合物を開示している。これらの化合物もまた、本発明との関連で使用することができる。
【0067】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのさらなる化合物は、メントール、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド(「WS−23」)、および、それらのいずれかの誘導体(すなわち、メントールまたはWS−23のいずれかの誘導体)からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1つのさらなる化合物はメントールまたはメントールの誘導体である。
【0068】
従って、本発明は、化合物(I)と、1つまたは複数の付加的なさらなる化合物とを含む組成物を包含する。さらなる化合物は、組成物に存在する他の化合物とは異なる。例えば、本発明は、化合物(I)と、メントールと、さらなる化合物(これはメントールの誘導体であり得る)とを含む組成物を包含する。
【0069】
メントールは、好ましくは(−)−(1R,3R,4S)−3−p−メンタノールである。
【0070】
メントールの誘導体(メントール由来化合物)は、本発明の目的のためには、出発物質の中に、メントール、メントンおよび/またはメンタンをそれらのイソ型のいずれかで有するプロセスにより合成される化合物である。そのような化合物の例には、(−)イソプレゴール;p−メンタン−2,3−ジオール;3−ヒドロキシメチル−p−メンタンが含まれる。本発明に従ってメントール由来化合物であると見なされるアルキル置換メンタノールの選択が米国特許第4,069,345号(これは参考として本明細書中に特に組み込まれる)に開示される。特に、この参考文献の第5欄〜第6欄の表に開示される化合物は本明細書中に含められる。
【0071】
同様に、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド(「WS−23」)の誘導体は、出発物質の中にWS−23を有するプロセスにより合成される化合物である。
【0072】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、メントール、コハク酸メンチル、乳酸メンチル、p−メンタン−3,8−ジオール、8−p−メンテン−3−オール、3−(3'−P−メンタニルオキシ)−1,2−プロパンジオール、メントングリセロールケタール、2−(1−メチルプロピル)−1−シクロヘキサノン、N−エチル−3−P−メンタンカルボキサミド、アスパラギン酸、N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)ノナンアミド、5−[5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1−ピペリジニル)−2,4−ペンタジエン−1−オン、6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オン、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、ならびに、7−イソプロピル−4,10−ジメチル−トリシクロ[4.4.0.0(1,5)]デカン−4−オール、3−メンチル−3,6−ジオキサヘプタノアート、メトキシ酢酸3−メンチル、3−メンチル−3,6,9−トリオキサデカノアート、3−メンチル−(2−ヒドロキシエトキシ)アセタート、3−メンチル−11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサデカノアートからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる化合物を含む。
【0073】
1つの実施形態において、少なくとも1つのさらなる化合物は、コハク酸メンチル、乳酸メンチル、3−(3'−P−メンタニルオキシ)−1,2−プロパンジオールおよびメントングリセロールケタールからなる群から選択される。
【0074】
上記のこれらのさらなる化合物は、不斉炭素原子を有する化合物については、それらの異性体のいずれかの形態であり得る。より好ましい異性体が下記に示される。
【0075】
下記で述べられるさらなる成分はほとんどが清涼的作用および/またはハッカ様作用を有する。より適切な別の作用が存在する場合、その作用が下記に示される。
【0076】
上記の選択されたさらなる成分のすべての単離または合成、あるいは、それらを含有する濃縮された抽出物の単離または合成が、当業者には知られており、また、それらのほとんどが市販されている。Steffen Arctanderの書籍「Perfume and Flavor Chemicals」(この著者によって1969年に発行)は、メントール、乳酸メンチルおよび1−ピペロイルピペリジン(ピペリン)を合成するために使用される反応タイプおよび出発物質を再録している。(−)−乳酸メンチルがHaarmann&ReimerによってFrescolat(登録商標)MLとして販売されている。
【0077】
あるいは、本発明の目的のために有用な一部の化合物は天然抽出物から得ることができる。例えば、メントールをハッカ油から単離することができる。メントールは大量に商品化されており、数多くの他の化合物を合成するための出発分子として使用される。
【0078】
コハク酸メンチルは、好ましくはコハク酸モノメンチルであり、そのようなコハク酸モノメンチルの合成が国際特許出願公開WO97/07771に開示される。この化合物およびアスパラギン酸はSigma−Aldrich(www.sigmaaldrich.com)から商業的に得ることができる。
【0079】
好ましくは、3−(3'−P−メンタニルオキシ)−1,2−プロパンジオールは(−)−(1'R,3'R、4'S)−3−(3'−p−メンタニルオキシ)−1,2−プロパンジオールであり、これはまた、Coolant Agent 10(登録商標)として知られている。その合成が米国特許第4,459,425号に開示されており、これはタカサゴ(日本)から商業的に得ることができる。
【0080】
好ましくは、メントングリセロールケタールは(6S,9R)−6−イソプロピル−9−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−メタノールである。その合成が欧州特許第0485170号に開示されており、これはHaarman&Reimer(Kings Park、オーストラリア)からFrescolat MGA(登録商標)の商品名で商業的に得ることができる。
【0081】
2−(1−メチルプロピル)−1−シクロヘキサノンがJP2001/348308に開示されており、Givaudan(スイス)からFreskomenthe(登録商標)の製品名で商業的に得ることができる。
【0082】
好ましくは、N−エチル−3−P−メンタンカルボキサミドは(1R,3R,4S)−N−エチル−3−P−メンタンカルボキサミドであり、これはまたWS−3(登録商標)として知られている。その合成が米国特許第4,060,091号に開示される。
【0083】
2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド(これはまたWS−23(登録商標)として知られている)の合成がドイツ国特許第2503555号に開示される。WS−3(登録商標)およびWS−23(登録商標)はMillennium Speciality Chemiclas(www.millenniumchem.com)から商業的に得ることができる。
【0084】
N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)ノナンアミド(これはまたペラルゴニルバニルアミドとも呼ばれる)は、「熱い」三叉神経的作用を有しており、Sigma−Aldrich(www.sigmaaldrich.com)から市販されている。
【0085】
好ましくは、5−[5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1−ピペリジニル)−2,4−ペンタジエン−1−オンは(E,E)−5−[5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1−ピペリジニル)−2,4−ペンタジエン−1−オンであり、これはまたピペリンとして知られている。これは「熱い」作用を有する。この化合物はSigma−Aldrichから商業的に得ることができる。
【0086】
好ましくは、7−イソプロピル−4,10−ジメチル−トリシクロ[4.4.0.0(1,5)]デカン−4−オールは(1R,4S,5R,6R,7S,10R)−7−イソプロピル−4,10−ジメチル−トリシクロ[4.4.0.0(1,5)]デカン−4−オールであり、これはまたクベボールとも呼ばれる。米国特許第6,214,788号は、この化合物が、商業的に得ることができるクベバ油から単離され得る方法を開示している。
【0087】
3−メンチル−3,6−ジオキサヘプタノアート、メトキシ酢酸3−メンチル、3−メンチル−3,6,9−トリオキサデカノアート、3−メンチル−(2−ヒドロキシエトキシ)アセタート、3−メンチル−11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサデカノアートが米国特許第6,359,168号に開示される。
【0088】
果実様特徴、ハッカ様特徴または三叉神経的(例えば、清涼的、チクチクする、唾液を出させる、および/または熱い)官能的特徴を有するか、または与える少なくとも1つのさらなる化合物とともに式(I)の化合物の相対的な量は、その少なくとも1つのさらなる化合物の強さに強く依存する。当業者が承知しているように、種々の化合物がそれらの感覚的強さおよびそれらの濃度において非常に大きく変化し得るし、従って、それらは、ほぼ類似する官能的特徴に適合化されなければならず、また、従って、相対量または重量比は広範囲に変化し得る。
【0089】
本発明は、
i)式(I)の化合物、および
ii)ハッカ様特徴、果実様特徴、および/または三叉神経官能的特徴を有するか、または与える少なくとも1つのさらなる化合物
を含む組成物を提供する。
【0090】
好ましくは、(i):(ii)の重量比は1:0.1〜5の範囲であり、より好ましくは1:0.2〜3の範囲であり、最も好ましくは1:0.5〜1.5の範囲である。
【0091】
少なくとも1つのさらなる化合物が、メントール、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、または、それらのいずれかの誘導体である場合、上記のことが等しく適用される。
【0092】
1つの実施形態において、本発明は、
i)式(I)の化合物、および
ii)メントール、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、あるいは、メントールまたは2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミドの誘導体、および、場合により、
iii)ハッカ様特徴、果実様特徴、および/または三叉神経官能的特徴を有するか、または与える少なくとも1つのさらなる化合物
を含む組成物を提供する。
【0093】
上記で規定されるように少なくとも2つまたは少なくとも3つの化合物を有する組成物において、すべての化合物が異なる。化合物(iii)が化合物(i)および化合物(ii)とは異なるならば、化合物(iii)を、上記において開示されるように、ハッカ様特徴、果実様特徴、および/または三叉神経官能的特徴を有するか、または与えるすべての化合物から選択することができる。
【0094】
これらの組成物において、(i)式(I)の化合物、(ii)メントール、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、または、それらのいずれかの誘導体、および(iii)ハッカ様特徴、果実様特徴、および/または三叉神経官能的特徴を有するか、または与える少なくとも1つのさらなる化合物の重量比は、それぞれの化合物について大きく変化し得るこれらの化合物のそれぞれの強さに大きく依存する。
【0095】
好ましくは、(i):(ii):(iii)の重量比は1.0:0.1〜5.0:0.1〜0.5の範囲であり、より好ましくは1.0:0.2〜3.0:0.2〜3.0の範囲であり、最も好ましくは1.0:0.5〜1.5:0.5〜1.5の範囲である。
【0096】
例えば、本発明による組成物は、(i)式(I)の化合物、(ii)メントール、および(iii)コハク酸メンチルを含む。
【0097】
別の例によれば、本発明による組成物は、(i)式(I)の化合物、(ii)メントール、および(iii)(−)−(1'R,3'R,4'S)−3−(3'−p−メンタニルオキシ)−1,2−プロパンジオールを含む。
【0098】
さらなる例によれば、本発明による組成物は、(i)式(I)の化合物、(ii)メントール、および(iii)メントングリセロールケタールを含む。
【0099】
好ましくは、上記のこれら3つの例示的な組成物の異なる成分の重量比(i):(ii):(iii)は1.0:0.5〜1.5:0.5〜1.0の範囲である。
【0100】
1つの実施形態において、本発明は、食品製品、飲料物、医薬製品、口腔ケア製品および芳香製品からなる群から選択される、本発明による組成物を含む製品を提供する。
【0101】
食品製品の例には、加糖製品、例えば、チューインガム、キャンディー(例えば、ハードボイルドキャンディー)、かみでのある菓子類、乳製品(例えば、ヨーグルト、乳飲料物、アイスクリーム)、ダイズを基にした製品、およびベーカリー製品(例えば、ハッカ様ビスケット、脂肪充填物)などが含まれる。
【0102】
食品製品の他の例には、塩味の製品(例えば、スープなど)、香辛料、スパイス混合物、冷蔵製品および冷凍製品が含まれる。
【0103】
飲料物の例には、炭酸飲料、非炭酸飲料およびアルコール飲料が含まれる。非炭酸飲料には、例えば、果汁、お茶、コーヒー、レモネード、チョコレート飲料が含まれる。
【0104】
上記製品は、フレーバーの添加のために好適な調製期間中の任意のときに本発明の組成物を加えながら、この分野で通常のように調製することができる。従って、本発明の組成物は、添加物の他のフレーバー成分と一緒に加えることができる。適当であるならば、本発明の組成物の化合物は、好適な溶媒に、例えば、プロピレングリコール、トリアセチン(1,2,3−プロパントリイルトリアセタート)、エタノール、neobee(登録商標)(www.stepan.com)、ベンジルアルコールおよび/または植物油などに溶解しなければならない場合がある。
【0105】
1つの実施形態において、本発明の製品は、練り歯磨き、口腔洗浄液、うがい液およびチューンガムの群から選択される口腔ケア製品である。
【0106】
本発明の製品の別の実施形態によれば、芳香製品は、ボディーケア製品、ホームケア製品およびファインフラグランスからなる群から選択される。ボディーケア製品の例には、シャンプー、シャワージェル、石けんおよび軟膏があり、ホームケア製品についての例には、洗剤、清浄剤、柔軟剤および消臭スプレーが含まれる。香水はファインフラグランスの一例である。
【0107】
化合物(I)について上記で示されたように、化合物(I)と、果実様特徴、ハッカ様特徴および/または三叉神経的(例えば、清涼的、チクチクする、唾液を出させる、および/または、熱い)官能的特徴を有するか、または与える少なくとも1つのさらなる化合物とを含む組成物は、上記で規定されるように、芳香づけまたは着香用のキャリアおよび基剤と、場合により、芳香補助物またはフレーバー補助物とをさらに含むことができる。
【0108】
芳香づけ基剤またはフレーバー基剤は、上記で規定されるような共成分を含むことができる。
【0109】
製品における本発明の組成物の化合物の濃度は製品の性質に大きく依存する。口腔にさらされることが予見される製品を区別することができる(例えば、飲料物、食品、口腔ケア製品、経口摂取され得る医薬製品など)。通常、本発明の組成物の化合物のはるかにより高い濃度が芳香製品のためには必要とされる。
【0110】
本発明の製品が、口腔にさらされることが予見される製品であるならば、製品は、製品の重量部として表されるとき、1ppm〜20,000ppm(好ましくは10ppm〜10,000ppm、より好ましくは100ppm〜5,000ppm)の、本発明の組成物の異なる化合物のそれぞれを独立して含むことができる。
【0111】
好ましくは、製品は、1〜20,000の化合物(I)と、1〜20,000のメントール、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、または、それらのいずれかの誘導体とを含み、より好ましくは、1〜10,000の化合物(I)と、10〜10,000のメントール、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、または、それらのいずれかの誘導体とを含む。
【0112】
本発明の製品が芳香製品であるならば、本発明の化合物の濃度は、合計で、上記に示された芳香づけ組成物の濃度に対応する。
【0113】
図において、
図1は、ハードボイルドキャンディーにおいて、コハク酸メンチル(0.3%)だけ(=サンプル2)と比較したときの、化合物(I)(0.3%)およびコハク酸メンチル(0.15%)(=サンプル1)の清涼的強さを示す。[化合物(I)]+[コハク酸メンチル]の清涼的強さが2x[コハク酸メンチル]の清涼的強さよりも大きいことを認めることができる。従って、化合物(I)とコハク酸メンチルとの間における相乗的相互作用が存在する。
【0114】
図2は、水溶液において、化合物(I)だけ(80ppm、=サンプル2)と比較したときの、化合物(I)およびメントール(それぞれ40ppm、=サンプル1)の清涼的強さを示す。[化合物(I)]+[メントール]の清涼的強さが2x[化合物(I)]の清涼的強さよりも大きいことを認めることができる。従って、化合物(I)とメントールとの間における相乗的相互作用が存在する。
【0115】
本発明は、次に、下記の実施例によってさらに詳しく記載される。実施例において、略号はこの分野での通常の意味を有しており、温度は摂氏度(℃)で示される。NMRスペクトルデータが、1Hについて400MHzの装置を用いて、CDCl3(別途言及されない場合)において記録された。化学的変位δが標準物としてのTMSに関してppm単位で示され、結合定数JがHz単位で表される。
【0116】
実施例1
化合物(I)の異性体の混合物の合成
a)(3S,6R,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンの調製
3−p−メンタノン(約70%の(1R,4S)−3−p−メンタノンおよび30%の(1R,4R)−3−p−メンタノンを含有する)(30g;195mmol)、L−乳酸(80%の純度で50g;444mmol)、トルエン(250ml)およびpTsOH(1.5g)の溶液をディーン・スターク冷却器で6時間還流した。その後、混合物を冷却し、水で3回洗浄し、次いでNaHCO3水溶液およびブラインで洗浄した。有機相をロータリーエバポレーターで濃縮し、真空下で蒸留して、110℃〜155℃(45mbar)の間で蒸留される画分を回収した。前記画分をもう一度蒸留して、出発物の3−p−メントンを0.08mbarおよび90℃で除き、14.5gの表題化合物を4つの異性体の8/4/1/1の混合物の形態で得た(33%の収率)。b.p=90℃/0.08mbar。
1H−NMR:4.57〜4.4(m、1H)、2.2(q、J=7.4、1H)、2.0〜1.65(m、7H)、1.55〜1.4(m、3H)、1.22(t、J=12.5、1H)、1.0〜0.8(m、9H)。
MS(すべての異性体について):226(M+);211;182;141(100);113;112;69;55;41。
2つの主要な異性体を、Jas−2000システムおよびHP−WAXカラム(長さ、10m)を使用する調製用GCによって分離することができる。
【0117】
b)(3S,5R,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オン
この化合物は、上記で得られた混合物の主異性体である。
[α]D20=+21.2°(CHCl3における2.7%(w/w)溶液について)。
【0118】
【表1】

【0119】
c)(3S,5S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オン
この化合物は、上記で得られた混合物の第2の主異性体である。
融点:33〜34°
[α]D20=―16.6°(CHCl3における1.8%(w/w)溶液について)。
【0120】
【表2】

【0121】
実施例2
本発明による化合物を含有する歯磨きゲル
無着香の歯磨きゲル(市販品)に、下記の第1表に従って、様々な量の種々の着香剤を加えた。
【0122】
第1表:様々な歯磨きゲルの組成
【0123】
【表3】

1)Roquette Gel Dentifrice Enfant(Roquette SA(フランス)から得られる)
2)ミント・アルベンシス(Mint Arvensis)の精油
3)2−ヒドロキシエチル(1R,3R,4S)−3−p−メンタニルカルボナート(Symrise AG(ドイツ)から得られる)、知られているハッカ様清涼的成分
4)300重量部のEtOHへの1重量部の溶液として使用される
このようにして得られた様々なゲルをフレーバリストのパネルによって調べた。各ゲルのフレーバー強さを記述し、1〜10の尺度でスコア化した(1は最も弱い作用であり、10は可能な限り最も強い作用である)。元気づける強さまたは清涼的強さもまた1〜10の尺度でスコア化した。結果を第2表に記載する。
【0124】
第2表:第1表の歯磨きゲルの評価
【0125】
【表4】

【0126】
【表5】

【0127】
第2表から認められ得るように、
a)本発明の化合物または混合物が単独で使用されるとき、物品ゲルに与えられたハッカ特性は、支配的(データ番号:3)であり得るか、または、少なくとも、清涼的作用と同じくらい強く(データ番号:4および5)あり得るかのいずれかであり、これに対して、参照ゲル(データ番号:1および2)については、清涼的作用は常に支配的である:
b)本発明の化合物の混合物がハッカ/清涼的アロマと一緒に使用されるとき、ハッカ様特性が依然として支配的であり(データ番号:7)、これに対して、純粋な異性体として使用されるとき(データ番号:8および9)には、清涼的作用が高められ、支配的になっている:
c)清涼剤として使用されるとき、これらの純粋な異性体は、他の知られている清涼剤と同様に作用を果たすことができる(データ番号:6、8および9)。
【0128】
実施例3
本発明による化合物を含有するハードボイルドキャンディー
様々なハードボイルドキャンディー(下記の第3表に従う)を、グルコースシロップ(30g)およびスクロースシロップ(122g)を混合することによって調製し、混合物を銅鍋で148℃に加熱した。148℃で銅鍋をガスの炎から除き、温水浴(40℃)に入れた。数秒後、銅鍋を取り出し、温度を調べた。温度が135℃に達したとき、フレーバー系を加えた。その後、この加熱調理物を周囲温度で適切なテフロン鋳型に注いだ。
【0129】
第3表:各キャンディーに存在する量(重量部)
【0130】
【表6】

1)砂糖を基にした非着香のハードボイルドキャンディー
2)ミント・アルベンシスの精油
3)イチゴフレーバー、製造元:Firmenich SA(スイス)
a)キャンディー2は、キャンディー1と比較したとき、ハッカ様の印象を有する十分にバランスの取れた清涼的香りを有する。この新しい香りは良好な持続性を有し、かつ、果実フレーバーと極めて十分に合っており、これにより新しい特徴もまた獲得していた。
【0131】
b)キャンディー4は、キャンディー3と比較したとき、ハッカ様の香りと一緒になって、持続性が増大した感知可能な増強された清涼的強さを示している。
【0132】
実施例4〜7
下記の実施例4〜7については、式(I)の化合物の清涼的感覚に対するさらなる化合物の共力的作用を、二成分組成物または三成分組成物を1つの化合物のみに基づく組成物と比較することによって評価した。これらの組成物におけるフレーバーの濃度は、1つのフレーバーが単独で使用されるならば、類似する強さを与える濃度に調節された。これらの実施例について、化合物(I)は(3S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オン(これは異性体の本発明の混合物に対応する)であり、メントールは(−)−(1R,3R,4S)−3−p−メンタノールであった。
【0133】
評価方法は、官能試験ブースにおいて適用あたり1回の鑑定会に参加した10名の専門家パネリストを伴った。2つのサンプルが、提示順序による影響を避けるために、ランダムな順序でパネリストに提示された。サンプルのそれぞれについて、専門家パネリストは、1分間の咀嚼/味見の後で、「清涼的」強さを0〜10cmの直線尺度(0=「なし」から、10=「非常に強い」まで)で評価するように依頼された。それぞれの適用について、平均の強さを計算し、スチューデントt検定を使用して対によって比較して、95%の信頼性区間で、サンプルの一方が他方よりも著しく清涼的として感知されるかどうかを強調した。相乗作用が、本説明に示される原理のもとで存在することが見出される。
【0134】
全体の一部で示される百分率および他の相対的な表示は重量比である。
【0135】
実施例4
ハードボイルドキャンディーにおける清涼的強さに対するコハク酸メンチルおよび化合物(I)の相乗的相互作用
ハードボイルドキャンディーの2つの異なるサンプルを調製した。これらは、下記に示されるプロトコルに基づいて、化合物(I)およびコハク酸モノメンチルを含み(二成分組成物、サンプル1)、また、コハク酸モノメンチルだけを含む(サンプル2)。
【0136】
キャンディーを、100gのイソ麦芽および30gの水を銅鍋に加えることによって調製した。これらの成分をガス炎により160℃に加熱し、混合した。その後、銅鍋を水浴(40℃)に入れ、130℃にゆっくり冷却し、その温度で、フレーバーを、下記に示される相対的な量を混合しながら加えた。添加前に、フレーバーをプロピレングリコールに溶解した。
【0137】
サンプル1 サンプル2
化合物(I) 0.3% −
コハク酸モノメンチル 0.15% 0.3%
プロピレングリコール 0.3% 0.45%
重量百分率は、フレーバーおよびその溶媒を除くすべての成分を含む総量の一部として表される。
【0138】
混合された成分をテフロン鋳型の空のエジェクターピンに注ぎ、室温への冷却下で固化するまで放置した。冷却されると、ハードボイルドキャンディーを鋳型から取り出した。
【0139】
パネリストにより、サンプルが上記のように評価された。サンプル1は、2.86±0.88の平均の清涼的強さが割り当てられ、サンプル2は1.58±0.44を有した。これらの結果が図1に例示される。サンプル1における組成物の大きい強さにより、化合物(I)およびコハク酸モノメンチルはハードボイルドキャンディーの清涼的特徴を相乗的に増強していると結論された。
【0140】
実施例5
水溶液におけるメントールおよび化合物(I)の相乗的相互作用
メントールと、式(I)の化合物とを含有する水溶液=サンプル1(二成分組成物)、および、(B)式(I)の化合物だけを含有する水溶液(=サンプル2)を、下記のように、フレーバーをプロピレングリコールに溶解し、それらを水と混合することによって調製した。
【0141】
サンプル1 サンプル2
化合物(I) 40ppm 80ppm
メントール 40ppm 0
プロピレングリコール 120ppm 120ppm
水 99.98% 99.98%
合計 100% 100%
パネリストにより、サンプルが上記のように評価された。サンプル1の清涼的強さは4.19±1.15であり、一方、サンプル2の清涼的強さは0.77±0.50であった。図2を参照のこと。サンプル1の組成物の大きい強さにより、メントールおよび化合物(I)は水溶液の清涼的特徴を相乗的に増強していると結論される。
【0142】
実施例6
ハードボイルドキャンディーにおけるメントール、コハク酸メンチルおよび化合物(I)の相乗的相互作用
ハードボイルドキャンディーの2つの異なるサンプルを調製した。これらは、実施例4に示されるプロトコルに基づいて、化合物(I)、メントールおよびコハク酸メンチルを含み(三成分組成物、サンプル1)、また、コハク酸メンチルだけを含む(サンプル2)。フレーバー化合物を下記に示される相対的な量で加えた。
【0143】
サンプル1 サンプル2
化合物(I) 1800ppm −
メントール 1800ppm −
コハク酸メンチル 900ppm 2700ppm
トリアセチン 4500ppm 10800ppm
キャンディーを、フレーバーが溶融イソ麦芽および水と混合される前に、フレーバーがトリアセチンに溶解されたという違いがあるが、実施例4の手順に従って調製した。
【0144】
パネリストにより、サンプルが上記のように評価された。サンプル1は、7.52±1.48の平均の清涼的強さが割り当てられ、サンプル2は2.79±2.60を有した。サンプル1における組成物の大きい強さにより、化合物(I)、メントールおよびコハク酸メンチルはハードボイルドキャンディーの清涼的特徴を相乗的に増強したと結論される。
【0145】
実施例7
チューンガムにおけるメントール、メントングリセロールケタールおよび化合物(I)の相乗的相互作用
2群のチューインガムサンプルを調製した。そのうちの1つは、下記に示される成分(重量パーセント)に基づいて、化合物(I)、メントンおよび(6S,9R)−6−イソプロピル−9−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−メタノール(Frescolat MGA(登録商標)、これはHaarman&Reimerから得られる)からなるフレーバーの三成分組成物(サンプル1)を含有し、別の一群はFrescolat MGA(登録商標)だけに基づいていた(サンプル2)。
【0146】
サンプル1 サンプル2
ガム基剤1 22 22
結晶性ソルビトール 54.80 54.80
Lycasin(登録商標)80/55マルチトール溶液2
12 12
70%ソルビトール溶液 6 6
(115℃に加熱される)
グリセリン(99%) 4 4
アセスルファムカリウム 0.10 0.10
アスパルテーム 0.10 0.10
合計: 100 100
添加されたフレーバー(上記総量の一部として添加された)
化合物(I) 1800ppm −
メントール 1800ppm −
メントングリセロールケタール 900ppm 2700ppm
トリアセチン 4500ppm 10800ppm
1)Sierra(登録商標)フレーバー、Cafosa Gum S.A.(www.cafosa.com)から得られる。
2)75%の固形分
チューインガムを、ビーカーにおいて均一になるまで混合された、マルチトール溶液、ソルビトール溶液およびグリセリンを含む湿潤性シロップを調製することによって作製した。
【0147】
結晶性ソルビトール、アセスルファムカリウムおよびアスパルテームを乾式混合して、甘味剤の単一混合物を得た。甘味剤の混合物の半分を、50℃の温度での加熱水ジャケットを備えたsigma(登録商標)ブレードミキサーに加えた。ガム基剤を、柔らかくなるまで加熱し、ブレードミキサーに加え、その後、2分間混合した。
【0148】
甘味剤混合物の残る部分と、湿潤性シロップとをブレードミキサーに加え、7分間混合した。フレーバーをブレードミキサーに加え、チューインガム組成物全体を1分間さらに混合した。その後、チューインガム組成物をスティック状に形状化した。
【0149】
パネリストにより、チューインガムが上記のように評価された。サンプル1は、4.84±1.25の平均の清涼的強さが割り当てられ、サンプル2は2.15±1.90を有した。サンプル1における組成物の大きい強さにより、化合物(I)、メントールおよびメントングリセロールケタールはチューインガム(I)の清涼的特性を相乗的に増強していると結論された。
【0150】
実施例8
練り歯磨きにおけるメントール、乳酸メンチルおよび化合物(I)の相乗的相互作用
異なるフレーバー化合物を含む練り歯磨きの2つの異なるサンプルを調製した:サンプル1は、化合物(I)と、メントールと、(−)−乳酸メンチル(Frescolat(登録商標)ML)とを含む三成分組成物を含有し、サンプル2は乳酸メンチルだけを含有した。
【0151】
60gのカルボキシメチルセルロース(Hercules BV Aqualon Div.から得られる)を、実験室ミキサーにおいて高速度で7分間、1kgのグリセリンと混合した。その後、溶液を、水和するまで完全に保った。
【0152】
10gのサッカリンナトリウム、5gの安息香酸ナトリウム、16gのフッ化ナトリウム、および25gの二酸化チタンを、この順に、Turrax(登録商標)ミキサーを使用して、10分間にわたって1.5kgの蒸留水に注いだ。1250gの液体ソルビトール(Nesosorb(登録商標)70/70、Roquettes Freres(フランス)から得られる)を加え、その後、3分間さらに混合した。上記で得られた水和したカルボキシメチルセルロースを加え、10分間混合して、混合物1を得た。
【0153】
独立して、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)溶液を、75gのSLS(Texapon K12(登録商標)(Cognis GmbH、ドイツ))を200gの蒸留水と穏やかに混合することによって調製した。これを一晩静置した。
【0154】
混合物1をStephanミキサー(登録商標)に注ぎ、3時間静置した。これに600gのSorbosil(登録商標)Tc15(INEOS Silicas Ltd.、(Warrington、英国))および300gのSorbosil(登録商標)Ac77(同じ供給者)を加え、真空下(50mbar)で30分間混合した。鍋を開け、静置したSLS溶液を加えた。最終組成物を真空下(50mbar)で5分間混合して、約5kgの練り歯磨きを得た。
【0155】
その後、練り歯磨きを2つのサンプルに分け、下記に示される相対的な量でフレーバー成分を加えた。フレーバーを、添加前に、溶媒(トリアセチン)に溶解した:
サンプル1 サンプル2
化合物(I) 1500ppm −
メントール 1500ppm −
乳酸メンチル 750ppm 2250ppm
トリアセチン 3750ppm 5250ppm
パネリストにより、そのように得られた練り歯磨きが上記のように評価された。サンプル1は、7.14±1.94の平均の清涼的強さが割り当てられ、サンプル2は3.81±1.56を有した。
【0156】
サンプル1の練り歯磨きにおける組成物の大きい強さにより、化合物(I)、メントールおよび乳酸メンチルは歯磨きにおいて清涼的特徴を相乗的に増強したと結論される。
【0157】
実施例9
本発明の組成物を含有する口腔洗浄液
化合物(I)およびハッカ油を含む組成物を含有する口腔洗浄液を、200gのエタノール(95vol.%)、120gのグリセリン(87vol.%)、1.5gのナトリウムサッカリン、および1.5gのTwenn80(登録商標)を676gの脱イオン水において混合することによって調製する。
【0158】
0.2gの化合物(I)および0.8gのハッカ油を1gのプロピレングリコールに溶解し、上記の混合物に加えて、強いハッカ様かつ清涼的な官能的特徴を有する口腔洗浄液を得る。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】図1は、ハードボイルドキャンディーにおいて、コハク酸メンチル(0.3%)だけ(=サンプル2)と比較したときの、化合物(I)(0.3%)およびコハク酸メンチル(0.15%)(=サンプル1)の清涼的強さを示す
【図2】図2は、水溶液において、化合物(I)だけ(80ppm、=サンプル2)と比較したときの、化合物(I)およびメントール(それぞれ40ppm、=サンプル1)の清涼的強さを示す

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式の化合物:
【化1】

の、その異性体のいずれか1つの形態またはその混合物の形態での芳香づけ成分または着香用成分としての使用。
【請求項2】
前記化合物が、下記の式:
【化2】

(式中、9位の炭素原子は厳密にRの立体配置を有し、かつ、3位の炭素原子は厳密にSの立体配置を有する)
を有し、その異性体のいずれか1つの形態または前記異性体のいずれか1つの混合物の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記化合物が、(3S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オン、(3S,5S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンおよび(3S,5R,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
i)着香用成分として、請求項1〜3のいずれか一項で定義される式(I)の少なくとも1つの化合物;
ii)フレーバーキャリアおよびフレーバー基剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分;および
iii)場合により少なくとも1つのフレーバー補助物
を含む着香用組成物。
【請求項5】
フレーバー基剤が、ハッカ様および/または果実様のフレーバー香気を与える少なくとも1つの着香用成分を含むことを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
i)着香用成分として、請求項1〜3のいずれか一項に記載される式(I)の少なくとも1つの化合物、あるいは、請求項4または5において規定される着香用組成物;および
ii)食品素地または口腔ケア基剤
を含む着香物。
【請求項7】
前記食品素地または口腔ケア基剤が、飲料物、果汁、ソフトドリンク、アイスティー、スープ、アイスクリーム、シャーベット、菓子類、かみでのある菓子類、砂糖菓子、チューインガム、かみタバコ、医薬調製物、歯科ケア製品、歯磨きゲル、ペースト、口腔洗浄液またはうがい液であることを特徴とする、請求項6に記載の着香物。
【請求項8】
i)芳香づけ成分として、請求項1〜3のいずれか一項において規定される式(I)の少なくとも1つの化合物;
ii)香料キャリアおよび香料基剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分;および
iii)場合により少なくとも1つの香料補助物
を含む芳香づけ組成物。
【請求項9】
i)芳香づけ成分として、請求項1〜3のいずれか一項に記載される式(I)の少なくとも1つの化合物、あるいは、請求項8において規定される芳香づけ組成物;および
ii)口に入れることのできない消費生活用品基剤
を含む芳香物。
【請求項10】
前記口に入れることのできない消費生活用品基剤が、固体または液体の洗剤、織物柔軟剤、香水、コロン水、アフターシェーブローション、香水入り石けん、シャワーソルトまたは浴用ソルト、ムース、オイルまたはゲル、衛生用製品、毛髪ケア製品、シャンプー、ボディケア製品、脱臭剤、制汗剤、消臭スプレー、化粧品調製物、織物リフレッシャー、アイロン用水、紙、ワイプまたは漂白剤であることを特徴とする、請求項9に記載の芳香物。
【請求項11】
i)式(I)の化合物、および
ii)ハッカ様特徴、果実様特徴および/または三叉神経官能的特徴を有するか、または与える少なくとも1つのさらなる化合物
を含む組成物。
【請求項12】
少なくとも1つのさらなる化合物が、メントール、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、および、それらのいずれかの誘導体からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
i)式(I)の化合物、
ii)メントール、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、あるいは、メントールまたは2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミドの誘導体、および、場合により、
iii)ハッカ様特徴、果実様特徴および/または三叉神経官能的特徴を有するか、または与える少なくとも1つのさらなる化合物
を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つのさらなる化合物が、清涼的特徴、チクチクする特徴、熱い特徴、および唾液を出させる特徴からなる群から選択される三叉神経官能的特徴を有する、請求項11〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つのさらなる化合物が、メントール、コハク酸メンチル、乳酸メンチル、p−メンタン−3,8−ジオール、8−p−メンテン−3−オール、3−(3'−P−メンタニルオキシ)−1,2−プロパンジオール、メントングリセロールケタール、2−(1−メチルプロピル)−1−シクロヘキサノン、N−エチル−3−P−メンタンカルボキサミド、アスパラギン酸、N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)ノナンアミド、5−[5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1−ピペリジニル)−2,4−ペンタジエン−1−オン、6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オン、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド、ならびに、7−イソプロピル−4,10−ジメチルトリシクロ[4.4.0.0(1,5)]デカン−4−オール、3−メンチル−3,6−ジオキサヘプタノアート、3−メンチルメトキシアセタート、3−メンチル−3,6,9−トリオキサデカノアート、3−メンチル−(2−ヒドロキシエトキシ)アセタート、メンチル−11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサデカノアートからなる群から選択される、請求項11〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つのさらなる化合物が、コハク酸メンチル、乳酸メンチル、3−(3'−P−メンタニルオキシ)−1,2−プロパンジオール、およびメントングリセロールケタールからなる群から選択される、請求項11〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
式(I)による化合物が、(3S,5R,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オン、(3S,5S,6S,9R)−6−イソプロピル−3,9−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−2−オン、および、2つの前記化合物の混合物からなる群から選択される、請求項11〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
食品製品、飲料物、医薬製品、口腔ケア製品および香料製品からなる群から選択される、請求項11〜17のいずれかに記載の組成物を含む製品。
【請求項19】
練り歯磨き、口腔洗浄液、うがい液およびチューンガムからなる群から選択される、請求項18に記載の口腔ケア製品。
【請求項20】
ボディーケア製品、ホームケア製品およびファインフラグランスからなる群から選択される、請求項18に記載の香料製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−516316(P2007−516316A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537482(P2006−537482)
【出願日】平成16年11月3日(2004.11.3)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003629
【国際公開番号】WO2005/042680
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1、route des Jeunes、 CH−1211 Geneve 8、 Switzerland
【Fターム(参考)】