説明

減衰システムを有する回転機械

【課題】いくつかの既存システムは、ある種の用途に対して、種々の欠点、不利な点、不便な点を有する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、ガスタービンエンジンなどの回転機械のための減衰システムである。他の実施形態は、減衰システムのための装置、システム、機器、ハードウェア、方法、および、それらの組合せを含む。本出願の他の実施形態、形態、特徴、態様、利益、および利点は、本明細書で提供される説明および図面によって明らかとなろう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンなどの回転機械に関し、より詳細には、回転機械で使用するための減衰システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンまたは他の回転機械におけるロータシステムなど、回転する構造物における振動を効果的に減衰させる減衰システムは、依然として関心領域である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかの既存システムは、ある種の用途に対して、種々の欠点、不利な点、不便な点を有する。したがって、この領域の技術において、さらなる提案が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、ガスタービンエンジンなどの回転機械のための減衰システムである。他の実施形態は、減衰システムのための装置、システム、機器、ハードウェア、方法、および、これらの組合せを含む。本出願の他の実施形態、形態(form)、特徴(feature)、態様、利益および利点は、本明細書で提供される説明および図面によって明らかとなろう。
【0005】
本明細書における説明は、いくつかの図面を通して同様の構成要素に同様の参照番号を付した、添付の図面を参照して行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態によるガスタービンエンジンを示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による減衰システムの断面図である。
【図3】図2の減衰システムの拡大断面図である。
【図4】図2の減衰システムの実施形態内で使用される分離器ばね(isolator spring)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の原理の理解を深める目的で、次に、図面に例示される実施形態に対する参照がなされ、特定の言語が、実施形態を説明するために使用される。とはいえ、本発明の若干の実施形態の図および説明によって、本発明の範囲が限定されないことが意図されていることは理解されよう。加えて、例示および/または説明される実施形態の任意の変更形態および/または改変形態は、本発明の範囲内に入るものとみなされる。さらに、本明細書で例示および/または説明されるような、本発明の原理の任意の他の応用は、本発明が関連する当業者には無理なく想到されるため、本発明の範囲内に入るものとみなされる。
【0008】
次に図面、特に図1を参照すると、ガスタービンエンジン10の形態の回転機械が示される。本発明の実施形態は、本明細書では、ガスタービンエンジンに関して説明されるが、本発明は、他の種類の回転機械にも、同様に適用可能であることを理解されたい。
【0009】
ガスタービンエンジン10は、圧縮器12、燃焼器14およびタービン16を含む。圧縮器12は、ロータシステム20の一部を形成するシャフト18を介して、タービン16に機械的に連結される。燃焼器14は、圧縮器12とタービン16との間に流動的に配置される。圧縮器12、燃焼器14およびタービン16は、エンジン筐体システム(engine case system)22内に収容され、エンジン筐体システム22によって支持される。エンジン筐体システム22は、通常、航空機、ミサイルシステムなど、飛行体内にガスタービンエンジン10を搭載するための搭載機構(mounting feature)を含む。
【0010】
エンジン筐体システム22に結合されるのは、前部軸受支持体(front bearing support)24および後部軸受支持体(aft bearing support)26を含む静的構造物である。前部軸受支持体24内に収容されるのは、ロータシステム20の前部を支持する回転体軸受(rolling element bearing)28である。ロータシステム20の前部は、例えば、圧縮器12およびシャフト18の前部を含む。回転体軸受28は、スラスト玉軸受(ball thrust bearing)である。本発明の他の実施形態では、代替として、回転体軸受28は、ころ軸受(roller bearing)および/または他の種類の回転体軸受のうちの、1つまたは複数の軸受であってもよいものとみなされる。スラスト軸受として、回転体軸受28は、前部軸受支持体24を介して、ロータシステム20からエンジン筐体システム22内に、推力荷重(thrust load)およびラジアル荷重(radial load)の両方を伝達する。
【0011】
後部軸受支持体26内に収容されるのは、ロータシステム20の後部を支持する回転体軸受30である。ロータシステム20の後部は、例えば、タービン16およびシャフト18の後部を含む。回転体軸受30は、ころ軸受である。あるいは、他の実施形態では、回転体軸受30は、玉軸受および/または他の種類の回転体軸受のうちの、1つまたは複数の軸受であってもよい。回転体軸受30は、後部軸受支持体26を介して、ロータシステム20からエンジン筐体システム22内に、ラジアル荷重を伝達する。
【0012】
図1の描写では、回転体軸受28および回転体軸受30のそれぞれは、シャフト18上に直接取り付けられるように描かれている。しかし、図1の描写は、事実上、概略的であり、回転体軸受28および回転体軸受30を取り付けるための、なんらかの特定の構成典型ではないことが理解されよう。むしろ、本発明の実施形態は、多くの異なる、考えられる取付構成のうちの1つまたは複数の構成を組み入れることができる。
【0013】
ガスタービンエンジン10の定常状態動作の間、大気中の空気は、圧縮器12内に引き入れられ、圧縮器12で圧縮される。圧縮空気は、圧縮器12から燃焼器14内に排出され、燃焼器14において、燃料が圧縮空気に加えられ、その混合物が点火される。その結果もたらされる高温のガスは、タービン16に供給され、タービン16は、機械的エネルギーを取り出して圧縮器12を駆動し、高温のガスを、例えば、ジェット推力の形態で排出する。
【0014】
ガスタービンエンジン10の動作は、ロータシステム20に定常状態負荷および動的負荷をもたらす。これらの負荷は、空気力学的負荷、ジャイロ作用(gyroscopic)負荷、ロータ質量負荷および不平衡負荷を含む。ロータシステム20の負荷は、回転体軸受28および30によって、エンジン筐体システム22に伝達される。
【0015】
ロータシステム20の空気力学的負荷は、軸方向のスラスト荷重を含む。空気力学的にかけられるスラスト荷重は、スラスト軸受、例えば、回転体軸受28の寿命を最適化するために、エンジンの動作中に予測されるラジアル荷重と併せて調整されてよい。例えば、バランスピストン(図示されず)を、所望の定常状態のスラスト荷重を達成するために使用することができる。
【0016】
ジャイロ作用負荷は、エンジン10が、ロータシステム20の回転軸から90°傾いた回転軸成分を有する方向において回転されるのと同時に、ロータシステム20が回転しているときに発生する。ジャイロ作用負荷は、ロータシステム20における曲げ荷重(bending load)、ならびに、回転体軸受28および回転体軸受30の両方による反作用を受けるラジアル荷重をもたらす。
【0017】
ロータ質量負荷は、ロータシステム20の回転軸に直交する方向における重力および飛行体の加速度と併せて、ロータシステム20の質量に起因する。ロータ質量負荷は、ロータシステム20の回転軸に直交する方向において飛行体によって経験される加速度に応じて、ロータシステム20の重量より大きくても小さくてもよい。ロータ質量負荷は、ラジアル荷重であり、回転体軸受28および回転体軸受30の両方による反作用を受ける。
【0018】
動的負荷は、不平衡負荷および臨界ロータモード応答(critical rotor mode response)の両方を含み、それらはいずれも、回転体軸受28および回転体軸受30の両方による反作用を受ける。不平衡負荷は、主に、製作公差、および、ロータシステム20の構成要素の摩耗に起因する。臨界ロータモード応答は、ロータシステム20が、臨界速度(critical speed)、すなわち、ロータシステム20の共振周波数に対応するロータ速度まで速くなるときに、ガスタービンエンジン10の起動中に発生する可能性がある。臨界ロータモード応答は、相当な動的ラジアル荷重をもたらす。ロータシステム20が共振周波数に達するときの臨界ロータモード応答を減衰させるために、ガスタービンエンジン10は、減衰システムを含む。
【0019】
次に図2を参照すると、ガスタービンエンジン10は、ロータシステム20から回転体軸受28を通って静的構造物内に進む振動を減衰させるように構成された、スクイーズ膜減衰システム32を含む。一形態では、静的構造物は、前部軸受支持体24である。他の実施形態では、例えば、軸受支持体24に貼付または結合される構成要素を含む、他の静的構造物が使用されてもよい。動的負荷は、軸受支持体24に到達する前、または、到達した後に、軸受支持体24に貼付または結合される構成要素を通過する。類似の減衰システムが、ロータシステム20から回転体軸受30を通って後部軸受支持体26内に進む振動を減衰させるように構成されてもよい。
【0020】
図2に描かれるように、前部軸受支持体24は、軸受保持器(bearing cage)34を含む。回転体軸受28は、分離内輪(split inner race)36および分離外輪(split outer race)38を含む。回転体軸受28の分離外輪38は、ガスタービンエンジン10の動作中に、半径方向の変位を受ける。半径方向の変位は、ガスタービンエンジン10の起動中の、臨界ロータモード応答に起因して生じる可能性がある。また、半径方向の変位は、ロータシステム20の不平衡負荷およびジャイロ作用で誘発される負荷に起因して生じる可能性がある。
【0021】
減衰システム32は、減衰リング40、減衰リング40の一方の側に配置されるシール42、減衰リング40の他方の側に配置されるシール44、減衰リング40の一方の側に配置される分離器ばね46、および、減衰リング40の他方の側に配置される分離器ばね48を含む。一形態では、減衰システム32は、スクイーズ膜減衰システムである。減衰システム32および分離外輪38は、軸受保持器34の後壁50と、前部軸受支持体24に貼付される前方の構造物52との間に、軸方向に保持される。
【0022】
次に図2と併せて図3を参照して、減衰システム32が、さらに説明される。
【0023】
分離外輪38は、外輪の案内径によって画定される外輪案内表面(pilot surface)54を含む。案内特性として、外輪案内表面54は、半径方向の位置づけ表面であり、この位置づけ表面は、本実施形態では、分離外輪38を半径方向に位置づける。分離内輪36は、内輪の案内径によって画定される内輪案内表面56を含む。軸受保持器34は、内輪の案内径によって画定される静的内側案内表面58を含む。
【0024】
空洞60が、外輪案内表面54と静的内側案内表面58との間に形成される。減衰リング40、シール42、シール44、分離器ばね46および分離器ばね48は、空洞60内に配置される。空洞60は、流体、例えば、エンジン潤滑油またはグリースなどの粘性減衰流体(viscous damping fluid)で充填され、この流体は、減衰をもたらすために、減衰リング40と併せて使用される。空洞60は、ガスタービンエンジン10の加圧潤滑システム(pressurized lubrication system)(図示されず)によって、減衰流体を充填されてもよい。
【0025】
減衰リング40は、減衰リング40の周囲の周りに配置される複数の流体伝達孔62を含み、この流体伝達孔62は、減衰流体を減衰リング40の内周および外周周りに分布させるのを助ける。減衰流体は、軸受保持器34を通る流路(図示されず)によって供給されてもよい。
【0026】
減衰リング40は、環状のスクイーズ膜減衰リングであり、例えば、ガスタービンエンジン10の始動中の、臨界ロータモード応答に起因する、分離外輪38の半径方向の変位に基づいて、ロータシステム20の減衰をもたらすように構成される。特に、減衰リング40は、減衰リング40と軸受保持器34の内側案内表面58との間、および、減衰リング40と回転体軸受28の外輪案内表面54との間の隙間に基づいて、粘性減衰流体を使用して、ロータシステム20内で生成されるラジアル荷重の粘性減衰をもたらすように動作する。
【0027】
減衰リング40は、両面(dual-sided)減衰リングであり、減衰器隙間表面64,66,68,70,72,74を含む。減衰器隙間表面64,66,68,70,72,74は、分離外輪38の外輪案内表面54、および、軸受保持器34の内側案内表面58の直径とともに、所定の量の減衰をもたらすように、直径寸法が決められる。両面減衰リングであるので、減衰は、減衰リング40の減衰器隙間表面64,66,68と、軸受保持器34の内側案内表面58との間の直径隙間に基づいて実施され、同様に、減衰は、減衰リング40の減衰器隙間表面70,72,74と、回転体軸受28の外輪案内表面54との間の直径隙間に基づいて実施される。したがって、減衰は、減衰リング40の両面で実施される。
【0028】
例えば、ロータシステム20は、ガスタービンエンジン10の動作中に回転しているので、ロータシステム20の臨界ロータモード応答に起因する半径方向の変位は、分離外輪38内で軌道運動(orbital motion)を生成する。すなわち、分離外輪38の半径方向の変位は、ほぼ、ロータシステム20の回転軸周りに回転する。分離外輪38の周回する半径方向の変位は、分離外輪38の外輪案内表面54と減衰リング40との間、および、減衰リング40と軸受保持器34の静的内側案内表面58との間で「圧縮される」油の前面が回転するという結果をもたらし、そのことが、空洞60内の流体の粘度特性(viscosity characteristic)による粘性減衰をもたらす。他の実施形態では、片面(single-sided)減衰リングを使用することができる。
【0029】
一形態では、軸受保持器34に対して分離外輪38を心出しするための調心力(centering force)が、分離器ばね46および分離器ばね48のそれぞれによってもたらされる。一形態では、分離器ばね46および分離器ばね48は、軸受保持器34の内側案内表面58と回転体軸受28の外輪案内表面54との間に交互に配置された接点をそれぞれ有する環状のばねである。他の実施形態では、他の種類のばねを使用することができる。分離器ばね46および分離器ばね48は、軸受保持器34に対する回転体軸受28の半径方向の変位を吸収する。1つまたは複数の分離器ばねを含むことが、動的調整(dynamic tuning)を可能にさせる。例えば、いくつかの実施形態では、分離器ばね46および/または分離器ばね48は、軸受支持システムの堅さ(stiffness)を変えるために使用されてもよく、例えば、この場合は、分離器ばね46および/または分離器のばね48の堅さは、軸受支持システムの動的特性を調整するように選択される。
【0030】
例えば、次に図4を参照すると、分離器ばね48を通る断面が描かれる。分離器ばね46は、分離器ばね48と同様に構成される。一形態では、分離器ばね46および48は、分離されたリングである。他の実施形態では、分離器ばね46および48は、分割リングであってもよく、または、連続するリングであってもよい。さらに他の実施形態では、分離器ばね46および48は、他の形態を取ることができる。分離器ばね48は、複数の外側接触部76および複数の内側接触部78、ならびに、外側接触部76および内側接触部78の各々の間に配置される屈曲部80を含む。外側接触部76は、軸受保持器34の内側案内表面58によって案内される。内側接触部78は、分離外輪38の外輪案内表面54によって案内される。分離外輪38の半径方向の外側への変位(excursion)は、外側接触部76に対して内側接触部78を変位させて、屈曲部80のたわみをもたらし、そのことが、たわみの方向と反対の方向に、復元力を生成する。
【0031】
本実施形態は、2つの(2)分離器ばね46および48を使用するが、代替として、他の実施形態が、より少ないか、または、より多い数の分離器ばねを使用してもよく、あるいは、そのような分離器ばねを含まなくてもよいことが意図される。
【0032】
再び図3を参照すると、一形態では、シール42および44のそれぞれは、圧力支援され(pressure assisted)、すなわち、自己充填(self-charging)シールであり、封止されようとする流体の圧力が、関連する封止面の間の接触を維持するのを支援する。他の実施形態では、他の種類のシールを使用することができる。シール42および44のそれぞれが、空洞60内に含まれる減衰流体から充填圧力を受けるように構成される。シール42および44は、本実施形態では重合体、例えば、ポリイミドであるが、他の材料を本発明の他の実施形態で使用することができる。減衰リング40を介して減衰のために使用されるのと同じ表面、例えば、案内表面54および58に対して封止するためにシール42および44を使用することによって、他のシール構成に対するシールグランド(seal gland)に関連する膜(envelope)の必要性およびコストを回避することができる。
【0033】
シール42および44のそれぞれは、減衰リング40に隣接して配置される分岐したシールであり、本体82、外脚84、内脚86、ならびに、本体82と外脚84との間および本体82と内脚86との間に形成される空所88を含む。各外脚84は、本体82から延び、かつ本体82上に配置され、軸受保持器34の内側案内表面58の近くに位置づけられる封止面90を含む。封止面90は、静的内側案内表面58に対して、すなわち、軸受保持器34の内側案内径において、封止するように構成される。各内脚86は、本体82から延び、かつ本体82上に配置され、回転体軸受28の外輪案内表面54の近くに位置づけられる封止面92を含む。封止面92は、外輪案内表面54に対して、すなわち、分離外輪38の外輪の案内径において、封止するように構成される。
【0034】
各空所88は、空洞60に対して開いており、外脚84および内脚86を、空洞60内の減衰リング40を取り巻く減衰流体の圧力に曝す。減衰流体の圧力は、ガスタービンエンジン10の動作中、外脚84上で封止面90の方向に、かつ内脚86上で封止面92の方向に、作用する。この圧力は、ガスタービンエンジン10の動作中、封止面90を、軸受保持器34の内側案内表面58との封止接触状態に保持し、かつ封止面92を、回転体軸受28の外輪案内表面54との封止接触状態に保持するのを支援する。したがって、圧力は、空洞60内の減衰流体を保持することにおいて、シール42および44を支援し、減衰流体は、ロータシステム20のスクイーズ膜減衰をもたらすことにおいて、分離外輪38の外輪案内表面54および軸受保持器34の内側案内表面58の直径と併せて、減衰リング40の減衰器隙間表面64,66,68,70,72,74によって使用される。
【0035】
本実施形態では、例示される減衰システム32の実施形態が、分離外輪38と軸受保持器34との間に配置されるが、代替として、他の実施形態では、減衰システム32は、分離内輪36とロータシステム20の一部との間に配置されてもよいことが意図される。さらに他の実施形態では、他のガスタービンエンジン10の構成要素が、分離外輪38と減衰リング40との間、および/または、減衰リング40と軸受保持器34との間に、中間に存在して配置されてもよく、その場合には、減衰は、減衰リング40と、任意のそのような中間に存在して配置される構成要素と、の間の隙間と併せて、減衰リング40を取り巻く減衰流体に基づいて実施されることが意図される。さらに他の実施形態では、減衰システム32を、減衰が2つ以上のロータシステムの間で実施される、軸間減衰(intershaft damping)のために使用することができることが意図される。
【0036】
本発明の一実施形態は、回転機械の動作中に、半径方向の変位を受ける第1の構成要素表面を有する第1の構成要素を有する回転機械を含むことができる。第1の構成要素表面は、第1の直径によって画定されてもよい。第2の構成要素は、第1の構成要素表面から離隔される第2の構成要素表面を有することができる。第2の構成要素表面は、第1の直径とは異なる第2の直径によって画定されてもよい。空洞内に配置されるスクイーズ膜減衰器は、第1の構成要素表面と第2の構成要素表面との間に形成することができる。スクイーズ膜減衰器は、半径方向の変位に基づく減衰をもたらすように構成されてもよい。スクイーズ膜減衰器に隣接して配置されるシールは、第1の封止面および第2の封止面を有するシールを有することができる。第1の封止面は、第1の直径における第1の構成要素表面に対して封止するように構成されてもよい。第2の封止面は、第2の直径における第2の構成要素表面に対して封止するように構成されてもよい。
【0037】
改良された一実施形態では、スクイーズ膜減衰器は、環状のスクイーズ膜減衰リングとして構成される。
【0038】
改良された別の実施形態では、シールは、自己充填型シールである。
【0039】
改良された別の実施形態では、シールは、上述の空洞内の減衰流体から充填圧力を受けるように構成される。
【0040】
改良された別の実施形態では、シールは、第1の脚および第2の脚を有する分岐したシールである。第1の封止面は、第1の脚の上に配置され、第2の封止面は、第2の脚の上に配置される。
【0041】
改良された別の実施形態では、シールは、第1の脚と第2の脚との間に形成される空所を含む。空所は、空洞に対して開いている。
【0042】
改良された別の実施形態では、第1の構成要素は、回転体軸受の一部である。第2の構成要素は、回転機械の静的軸受支持構造物である。
【0043】
改良された別の実施形態では、第1の構成要素は、回転体軸受の内輪および外輪のうちの一方である。第1の直径は、対応する、回転体軸受の内輪の案内径および外輪の案内径のうちの一方である。
【0044】
改良された別の実施形態では、スクイーズ膜減衰器は、両面減衰リングの両面上で減衰を実施するように構成された、両面減衰リングである。
【0045】
改良された別の実施形態では、空洞は、減衰をもたらすために、スクイーズ膜減衰器と併せて使用される流体で充填される。
【0046】
本発明の別の実施形態は、ガスタービンエンジンを含むことができる。ガスタービンエンジンは、回転するエンジン構造物と、静的構造物案内径を有する静的エンジン構造と、回転するエンジン構造物から静的エンジン構造物まで負荷を伝達するように構成された回転体軸受とを含むことができる。回転体軸受は、内輪および外輪を有することができる。内輪は、内輪の案内径を有してもよく、外輪は外輪の案内径を有することができる。静的構造物案内径と、内輪の案内径および外輪の案内径のうちの一方とが、負荷を減衰させるための空洞および減衰システムを形成する。減衰システムは、空洞内に配置されたスクイーズ膜減衰器を含むことができる。また、空洞は、粘性減衰流体を収容することができる。スクイーズ膜減衰器は、静的構造物案内径における静的エンジン構造物と、内輪の案内径および外輪の案内径のうちの一方における回転体軸受との間の隙間に基づいて、粘性減衰流体を使用して、負荷の粘性減衰をもたらすように動作することができる。シールは、少なくとも部分的に、空洞内に配置されてもよい。シールは、第1の封止面および第2の封止面を有することができる。第1の封止面は、静的構造物案内径における静的エンジン構造物に対して封止するように構成されてもよい。第2の封止面は、内輪の案内径および外輪の案内径のうちの一方において、回転体軸受に対して封止するように構成されてもよい。
【0047】
改良された一実施形態では、ガスタービンエンジンは、空洞内に配置され、静的構造物案内径において、静的エンジン構造物によって案内される分離器ばねと、内輪の案内径および外輪の案内径のうちの一方における回転体軸受とを含むことができる。分離器のばねは、回転体軸受と静的エンジン構造物との間の半径方向の変位を吸収するように構成される。
【0048】
改良された別の実施形態では、分離器ばねは、静的構造物案内径における静的構造と、内輪の案内径および外輪の案内径のうちの一方における回転体軸受との間に交互に接点を有する環状のばねであってもよい。
【0049】
改良された別の実施形態では、シールは、自己充填型シールであってもよい。
【0050】
改良された別の実施形態では、シールは、空洞内の粘性減衰流体から充填圧力を受けるように構成されてもよい。
【0051】
改良された別の実施形態では、シールは、第1の脚と第2の脚とを有する分岐したシールであってもよい。第1の封止面は、第1の脚の上にあってもよい。第2の封止面は、第2の脚の上に配置されてもよい。
【0052】
改良された別の実施形態では、シールは、第1の脚と第2の脚との間に形成される空所を含むことができる。空所は、空洞に対して開いていることができる。
【0053】
改良された別の実施形態では、スクイーズ膜減衰器は、静的構造物案内径における静的エンジン構造物と、外輪の案内径おける回転体軸受との間の隙間に基づいて、粘性減衰流体を使用して、負荷の粘性減衰をもたらすように動作することができる。
【0054】
本発明の別の実施形態は、回転する構造物と、静的構造物案内径を有する静的構造物と、回転する構造物から静的構造物まで種々の負荷を伝達するよう構成された回転体軸受とを含むことができる回転機械であってもよい。回転体軸受は、内輪および外輪を有することができる。内輪は、内輪の案内径を有してもよく、外輪は、外輪の案内径を有することができる。静的構造物案内径と、内輪の案内径および外輪の案内径のうちの一方とは、種々の負荷を減衰させるため、および、減衰のための手段を封止するために、それらの案内径の間に空洞を形成してもよい。封止することで、静的構造物案内径と、内輪の案内径および外輪の案内径のうちの一方との間を封止するように動作することができる。
【0055】
改良された一実施形態では、回転機械は、静的構造物案内径と、内輪の案内径および外輪の案内径のうちの一方との間の半径方向の変位を吸収するための手段を含むことができる。
【0056】
本発明の別の実施形態は、回転機械の静的構造物の直径と、回転機械の回転体軸受の、内輪の直径および外輪の直径のうちの一方との間に形成される空洞内に配置されるスクイーズ膜減衰器を含むことができる、回転機械のための減衰システムであってもよい。また、空洞は、粘性減衰流体を収容することができる。スクイーズ膜減衰器は、静的構造物の直径と、内輪の直径および外輪の直径のうちの一方との間の隙間に基づいて、粘性減衰流体を使用して、負荷の粘性減衰をもたらすように動作することができる。また、実施形態は、少なくとも部分的に空洞内に配置されるシールを含むことができる。シールは、第1の封止面および第2の封止面を有することができる。第1の封止面は、静的構造物の直径における静的構造物に対して封止するように構成されてもよい。第2の封止面は、内輪の直径および外輪の直径のうちの一方における回転体軸受に対して封止するように構成されてもよい。
【0057】
本発明は、現在、最も実際的でかつ好ましい実施形態であるとみなされるものに関連して説明されたが、本発明は、開示される実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる、種々の変形構成および等価構成を包含することが意図され、その範囲は、法に照らして許容される変形構造および等価構造のすべてを包含するように、最大限広範な解釈を与えられることを理解されたい。さらに、上の記載における、好ましい(preferable)、好ましく(preferably)、または、望ましい(preferred)、という用語の使用は、そのように説明される特徴がより望ましい可能性があることを表示するが、とはいえ、それらは必ずしも必要ではなく、それを欠く任意の実施形態が、本発明の範囲内にあるものと意図することができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。特許請求の範囲を読むにあたっては、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「少なくとも1つ(at least one)」、「少なくとも一部(at least one portion)」などの用語が使用されるときに、特許請求の範囲内に特段そうでないと記載されていない限り、特許請求の範囲を1つの項目だけに限定する意図は存在しない。さらに、「少なくとも一部(at least a portion)」および/または「一部(a portion)」との用語が使用されるときは、その事項は、特段そうでないと記載されていない限り、一部の事項および/または全部の事項を含むことができる。
【符号の説明】
【0058】
10…ガスタービンエンジン
12…圧縮器
14…燃焼器
16…タービン
18…シャフト
20…ロータシステム
22…エンジン筐体システム
24…前部軸受支持体
26…後部軸受支持体
28…回転体軸受
30…回転体軸受
32…スクイーズ膜減衰システム
34…軸受保持器
36…分離内輪
38…分離外輪
40…減衰リング
42,44…シール
46,48…分離器ばね
50…後壁
52…構造物
54…外輪案内表面
56…内輪案内表面
58…静的内側案内表面
60…空洞
62…流体伝達孔
64,66,68,70,72,74…減衰器隙間表面
76…外側接触部
78…内側接触部
80…屈曲部
82…本体
84…外脚
86…内脚
88…空所
90,92…封止面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械であって、
前記回転機械の動作中に半径方向の変位を受ける第1の構成要素表面を有する第1の構成要素であって、前記第1の構成要素表面が第1の直径によって画定される、第1の構成要素と、
前記第1の構成要素表面から離隔される第2の構成要素表面を有する第2の構成要素であって、前記第2の構成要素表面が、前記第1の直径と異なる第2の直径によって画定される、第2の構成要素と、
前記第1の構成要素表面と前記第2の構成要素表面との間に形成される空洞内に配置され、前記半径方向の変位に基づいて減衰をもたらすように構成されたスクイーズ膜減衰器と、
前記スクイーズ膜減衰器に隣接して配置され、第1の封止面および第2の封止面を有するシールと
を備え、
前記第1の封止面は、前記第1の直径における前記第1の構成要素表面に対して封止するように構成され、
前記第2の封止面は、前記第2の直径における前記第2の構成要素表面に対して封止するように構成される
回転機械。
【請求項2】
請求項1に記載の回転機械であって、
前記スクイーズ膜減衰器は、環状のスクイーズ膜減衰リングとして構成される、回転機械。
【請求項3】
請求項1に記載の回転機械であって、
前記シールは、自己充填型シールである、回転機械。
【請求項4】
請求項3に記載の回転機械であって、
前記シールは、前記空洞内の減衰流体から充填圧力を受けるように構成される、回転機械。
【請求項5】
請求項1に記載の回転機械であって、
前記シールは、第1の脚および第2の脚を有する分岐したシールであり、
前記第1の封止面は、前記第1の脚の上に配置され、
前記第2の封止面は、前記第2の脚の上に配置される
回転機械。
【請求項6】
請求項5に記載の回転機械であって、
前記シールは、前記第1の脚と前記第2の脚との間に形成される空所を有し、
前記空所は、前記空洞に対して開いている
回転機械。
【請求項7】
請求項1に記載の回転機械であって、
前記第1の構成要素は、回転体軸受の一部であり、
前記第2の構成要素は、前記回転機械の静的軸受支持構造物である
回転機械。
【請求項8】
請求項7に記載の回転機械であって、
前記第1の構成要素は、前記回転体軸受の内輪および外輪のうちの一方であり、
前記第1の直径は、対応する、前記回転体軸受の内輪の案内径および外輪の案内径のうちの前記一方である
回転機械。
【請求項9】
請求項1に記載の回転機械であって、
前記スクイーズ膜減衰器は、両面減衰リングであって、該両面減衰リングの両側で減衰を実施するように構成された、回転機械。
【請求項10】
請求項1に記載の回転機械であって、
前記空洞は、前記減衰をもたらすために、前記スクイーズ膜減衰器と併せて使用される流体で充填される、回転機械。
【請求項11】
ガスタービンエンジンであって、
回転するエンジン構造物と、
静的構造物案内径を有する静的エンジン構造物と、
前記回転するエンジン構造物から前記静的エンジン構造物まで負荷を伝達するように構成され、内輪および外輪を有する回転体軸受と、
前記負荷を減衰させるための減衰システムと
を備え、
前記内輪は、内輪案内径を有し、
前記外輪は、外輪案内径を有し、
前記静的構造物案内径と、前記内輪案内径および前記外輪案内径のうちの一方とは、それらの案内径の間に空洞を形成し、
前記減衰システムは、
粘性減衰流体を収容する前記空洞内に配置されるスクイーズ膜減衰器と、
少なくとも部分的に前記空洞内に配置され、第1の封止面および第2の封止面を有するシールと
を備え、
スクイーズ膜減衰器は、前記静的構造物案内径における前記静的エンジン構造物と、前記内輪案内径および前記外輪案内径の前記一方における前記回転体軸受と、の間の隙間に基づいて、前記粘性減衰流体を使用して、前記負荷の粘性減衰をもたらすように動作し、
前記第1の封止面は、前記静的構造物案内径における前記静的エンジン構造物に対して封止するように構成され、
前記第2の封止面は、前記内輪案内径および前記外輪案内径のうちの前記一方における前記回転体軸受に対して封止するように構成される
ガスタービンエンジン。
【請求項12】
請求項11に記載のガスタービンエンジンであって、
前記空洞内に配置される分離器ばねであって、前記静的構造物案内径における前記静的エンジン構造物と、前記内輪案内径および前記外輪案内径のうちの前記一方における前記回転体軸受と、によって案内される、分離器ばねをさらに備え、
前記分離器ばねは、前記回転体軸受と前記静的エンジン構造物との間の半径方向の変位を吸収するように構成される
ガスタービンエンジン。
【請求項13】
請求項12に記載のガスタービンエンジンであって、
前記分離器ばねは、前記静的構造物案内径における前記静的エンジン構造物と、前記内輪案内径および前記外輪案内径のうちの前記一方における前記回転体軸受と、の間に交互に配置された接点を有する環状のばねである、ガスタービンエンジン。
【請求項14】
請求項11に記載のガスタービンエンジンであって、
前記シールは、自己充填型シールである、ガスタービンエンジン。
【請求項15】
請求項14に記載のガスタービンエンジンであって、
前記シールは、前記空洞内の前記粘性減衰流体から充填圧力を受けるように構成される、ガスタービンエンジン。
【請求項16】
請求項11に記載のガスタービンエンジンであって、
前記シールは、第1の脚および第2の脚を有する分岐したシールであり、
前記第1の封止面は、前記第1の脚の上に配置され、
前記第2の封止面は、前記第2の脚の上に配置される
ガスタービンエンジン。
【請求項17】
請求項16に記載のガスタービンエンジンであって、
前記シールは、前記第1の脚と前記第2の脚との間に形成される空所を有し、
前記空所は、前記空洞に対して開いている
ガスタービンエンジン。
【請求項18】
請求項11に記載のガスタービンエンジンであって、
前記スクイーズ膜減衰器は、前記静的構造物案内径における前記静的エンジン構造物と、前記外輪案内径における前記回転体軸受と、の間の隙間に基づいて、前記粘性減衰流体を使用して、前記負荷の粘性減衰をもたらすように動作する、ガスタービンエンジン。
【請求項19】
回転機械であって、
回転する構造物と、
静的構造物案内径を有する静的構造物と、
前記回転する構造物から前記静的構造物まで種々の負荷を伝達するように構成され、内輪および外輪を有する回転体軸受と、 前記種々の負荷を減衰させるための手段と、
前記減衰させるための手段を封止するための手段と
を備え、
前記内輪は内輪案内径を有し、
前記外輪は、外輪案内径を有し、
前記静的構造物案内径と、前記内輪案内径および前記外輪案内径のうちの一方とは、それらの案内径の間で空洞を形成し、
前記封止するための手段は、前記静的構造物案内径と、前記内輪案内径および前記外輪案内径のうちの前記一方と、の間を封止するように動作する
回転機械。
【請求項20】
請求項19に記載の回転機械であって、
前記静的構造物案内径と、前記内輪案内径および前記外輪案内径のうちの前記一方と、の間の半径方向の変位を吸収するための手段をさらに備える、回転機械。
【請求項21】
回転機械のための減衰システムであって、
前記回転機械の静的構造物の直径と、前記回転機械の回転体軸受の、内輪の直径および外輪の直径のうちの一方と、の間に形成された空洞内に配置されるスクイーズ膜減衰器と、
少なくとも部分的に前記空洞内に配置され、第1の封止面および第2の封止面を有するシールと
を備え、
前記空洞は、粘性の減衰流体を収容し、
スクイーズ膜減衰器は、前記静的構造物の直径と、前記内輪の直径および前記外輪の直径のうちの前記一方と、の間の隙間に基づいて、前記粘性減衰流体を使用して、負荷の粘性減衰をもたらすように動作し、
前記第1の封止面は、前記静的構造物の前記直径における前記静的構造物に対して封止するように構成され、
前記第2の封止面は、前記内輪の直径および前記外輪の直径のうちの前記一方における前記回転体軸受に対して封止するように構成される
回転機械のための減衰システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−515938(P2013−515938A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547270(P2012−547270)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/062377
【国際公開番号】WO2011/090751
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512035170)ロールス−ロイス・コーポレーション (4)
【出願人】(512002747)ロールス−ロイス・ノース・アメリカン・テクノロジーズ,インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】