減速機構付きモータ
【課題】 減速機構付きモータのギヤケースの樹脂製ギヤケースカバーを薄肉化する。
【解決手段】 モータ部2と、ウォームホイール75を収容するウォームホイール収容部60を備えたギヤケース5と、ウォームホイールの小径部77により挿通される貫通孔82を備えるとともに、ウォームホイール収容部を覆うようにギヤケースに固定されるギヤケースカバー81と、ギヤケースカバーに固定されたシール部材80とを有する減速機構付きモータパワーウインドウモータ装置1であって、ギヤケースカバーは、円板部83の裏面83eと正面83aとを連通する複数の連通孔85と、連通孔同士を連結するように、裏面83eに形成された小溝83fとを有し、シール部材は、連通孔および溝に存在するとともに、円板部の裏面に沿って設けられていることを特徴とする。
【解決手段】 モータ部2と、ウォームホイール75を収容するウォームホイール収容部60を備えたギヤケース5と、ウォームホイールの小径部77により挿通される貫通孔82を備えるとともに、ウォームホイール収容部を覆うようにギヤケースに固定されるギヤケースカバー81と、ギヤケースカバーに固定されたシール部材80とを有する減速機構付きモータパワーウインドウモータ装置1であって、ギヤケースカバーは、円板部83の裏面83eと正面83aとを連通する複数の連通孔85と、連通孔同士を連結するように、裏面83eに形成された小溝83fとを有し、シール部材は、連通孔および溝に存在するとともに、円板部の裏面に沿って設けられていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は減速機構付きモータに関し、より詳細には自動車用パワーウインドウモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーウインドウ装置の駆動源として使用されるモータ装置は、モータ本体と減速機構とから構成され、モータ本体の回転力を減速機構により減速してパワーウインドウ装置のリフト機構に伝達する。減速機構には、モータの回転軸にウォームを形成し、ウォームと噛み合うウォームホイールの回転軸に出力軸を連結したものがある。
【0003】
このような減速機構において、ウォームホイールを減速機構の骨格をなすギヤケースに形成された収容凹部に回転自在に支持し、出力軸が収容凹部から突出した状態で、環状のギヤケースカバーによって収容凹部を閉塞するようにしたものがある(例えば、特許文献1)。その際、水等の浸入を防止する目的で、ギヤケースとギヤケースカバーとの間にシール部材を介装している。このようなギヤケースおよびギヤケースカバーは、強度の観点から金属材料により形成されることが通常であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−156007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
減速機構付きモータの軽量化の観点からは、ギヤケースおよびギヤケースカバーは樹脂材料により形成することが好ましい。しかし、樹脂材料によりギヤケースカバーを形成すると、強度を確保するために厚みを厚くする必要があるという問題がある。一方、シール部材の組付け性の観点から、シール部材はギヤケースカバーと一体的に形成することが好ましい。しかし、アウトサート成形によりシール部材をギヤケースカバーの表面に形成する場合には成形不良を防止するためにシール部材の厚みを所定量以上確保しなければならず、シール部材を含めたギヤケースカバーの厚みが厚くなるという問題がある。減速機構付きモータをパワーウインドウ装置の駆動源として使用する場合には設置空間は制限されているため、ギヤケースカバーは薄型化が望まれる。
【0006】
本発明は以上の問題を鑑みてなされたものであり、ギヤケースカバーを樹脂材料で形成し、かつギヤケースカバーにシール部材をアウトサート成形により一体的に形成した場合においても、シール部材を含むギヤケースカバーの厚みを比較的薄くすることができる減速機構付きモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の発明は、回転軸(ロータシャフト9)にウォーム(11)を備えたモータ(モータ部2)と、前記ウォームを収容するウォーム収容部(10)を備えるとともに、前記ウォームに噛み合うウォームホイール(75)を回転自在に収容するべく凹設されたウォームホイール収容部(60)を備えたギヤケース(5)と、前記ウォームホイールに固定されるとともに、前記ウォームホイール収容部より突出する出力軸(小径部77)と、前記出力軸が挿通される貫通孔(82)を備えるとともに、前記ウォームホイール収容部を閉塞するように前記ギヤケースに固定されるギヤケースカバー(81)と、前記ギヤケースカバーに固定され、当該ギヤケースカバーと前記ギヤケースとの間および当該ギヤケースカバーと前記出力軸との間をシールするシール部材(80)とを有する減速機構付きモータ(パワーウインドウモータ装置1)であって、前記ギヤケースカバーは、当該ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分(円板部83の裏面83e)とその部分に相反する側の部分(円板部83の正面83a)とを連通する複数の連通孔(85)と、前記連通孔同士を連結するように、前記ウォームホイール収容部側の部分に形成された溝(小溝83f)とを有し、前記シール部材は、前記連通孔および前記溝に存在するとともに、前記ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分に沿って設けられていることを特徴とする。
【0008】
アウトサート成形により樹脂製のシール部材をギヤケースカバー表面に形成する場合に、ギヤケースカバーのウォームホイール収容部側の部分に形成された溝はシール部材を構成する溶融樹脂の供給路として機能する。そのため、シール部材の肉厚を薄く形成する場合であっても、シール部材はギヤケースカバーの表面上に均一に供給されるようになり、シール部材の薄肉化が可能となる。また、シール部材は連通路を通過してギヤケースカバーのウォームホイール収容部側と相反する側の部分に到達するようになるため、シール部材はギヤケースカバーに固定され、脱離しなくなる。
【0009】
本発明の第2の発明は第1の発明において、前記溝は、前記貫通孔の周縁部に延設され、前記シール部材は、前記ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分から前記貫通孔の周縁部に沿って前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分へと延びる第1部分と、前記連通孔を通過して前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分へと延びる第2部分とを有し、前記第1部分と前記第2部分とは前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分において連結していることを特徴とする。
【0010】
これによれば、シール部材はギヤケースカバーを巻き込んだ閉環を形成し、ギヤケースカバーに確実に固定されるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シール部材をギヤケースカバー表面上に均一かつ薄く形成することができる。また、シール部材をギヤケースカバーに確実に固定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係るパワーウインドウモータ装置を示す側面図である。
【図2】パワーウインドウモータ装置を示す縦断面図である。
【図3】パワーウインドウモータ装置を示す分解斜視図である。
【図4】パワーウインドウモータ装置のギヤケースを示す側面図である。
【図5】パワーウインドウモータ装置のブラシユニットを示す分解斜視図である。
【図6】パワーウインドウモータ装置のブラシユニットを示す斜視図である。
【図7】パワーウインドウモータ装置のブラシユニットを示す斜視図である。
【図8】モータヨークを省略してパワーウインドウモータ装置の要部を示す斜視図である。
【図9】モータヨークを省略してパワーウインドウモータ装置の要部を示す側面である。
【図10】図1の矢印Xの方向から見た斜視図である。
【図11】パワーウインドウモータ装置のギヤケースを示す斜視図である。
【図12】ギヤケース、ウォームホイールおよびギヤケースカバーの組付位置関係を示す側面図である。
【図13】パワーウインドウモータ装置のウォームホイールを示す平面図である。
【図14】パワーウインドウモータ装置のウォームホイールを示す裏面図である。
【図15】図13の矢印XV−XVより見た断面図である。
【図16】パワーウインドウモータ装置のギヤケースカバーを示す平面図である。
【図17】パワーウインドウモータ装置のギヤケースカバーを示す裏面図である。
【図18】図3の矢印XVIII−XVIIIより見た断面図である。
【図19】ギヤケースとギヤケースカバーとの結合構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を自動車のパワーウインドウ装置のリフト機構の駆動源として使用されるパワーウインドウモータ装置1に適用した一実施形態を詳細に説明する。図1は、実施形態に係るパワーウインドウモータ装置1を示す側面図である。図2は、パワーウインドウモータ装置1を示す縦断面図である。図3は、パワーウインドウモータ装置1を示す分解斜視図である。
【0014】
図1に示すように、パワーウインドウモータ装置1は、モータ部2と減速部3とを主要構成要素として有している。モータ部2はDCモータ(ブラシ付きモータ)である。
【0015】
図1〜図3に示すように、モータ部2の骨格構造をなすモータヨーク4は、一端に底部4aを備えた有底筒状に形成されており、その側周部には互いに相対するように配置された一対の円弧面4bと、その円弧面4bの両端部間に配置された一対の平面部4cとを備えている。モータヨーク4の開口端側には外方へと突出するフランジ部4dが形成されており、フランジ部4dには3つのねじ孔51が穿設されている。また、モータヨーク4の円弧面4bは開口端近傍において拡径されており、その拡径された境界に段部4eが形成されている。モータヨーク4の底部4aの中心部は、ヨークの外方に膨出して軸受収容部4fを形成している。モータヨーク4は、導電性の鋼板をプレス成形等することによって形成されている。
【0016】
図4は、パワーウインドウモータ装置1のギヤケース5を示す側面図である。図3および図4に示すように、ギヤケース5は、モータヨーク4の開口端と相対する部位にモータヨーク4の断面と一致する開口部6を備え、開口部6の周縁には平面部7aが形成されている。さらに、平面部7aの外方には、モータヨーク4のフランジ部4dと当接する平面部7bが段部7cを介して形成されている。平面部7aと開口部6との境界には、モータヨーク4側へと突出した4つの突出部7dが形成されており、この突出部7dはモータヨーク4の内周面と接触するようになっている。また、平面部7aには後述するブラシユニット14と係合する凹部7eが形成されている。
【0017】
ギヤケース5の平面部7bにはモータヨーク4のフランジ部4dのねじ孔51と一致する位置にねじ孔52が形成されている。平面部7bとフランジ部4dとの間に環状のガスケット40を介装し、ねじ孔51およびねじ孔52にねじ53を挿通することによって、モータヨーク4はギヤケース5に固定されている。ギヤケース5にはねじ孔90が形成されており、このねじ孔90にねじを挿入することによりギヤケース5は図示しない車体骨格に固定される。
【0018】
モータヨーク4の円弧面4bの内周面には、一対の永久磁石8が同極となる面を対向させるようにして配設されている。これにより、平面部4cの内周面には、永久磁石8の互いに対向する面に現れる極と異なる極が擬似的に形成されている。
【0019】
モータヨーク4の軸受収容部4fにはメタル軸受54がモータヨーク4の軸線と同軸に嵌着されており、メタル軸受54によってモータ回転軸となるロータシャフト9の一端が回転自在に軸支されている。これにより、ロータシャフト9の軸線は、モータヨーク4の軸線と同軸となっている。ロータシャフト9のスラスト端と軸受収容部4fの間にはエンドスペーサ55が介装されており、ロータシャフト9と軸受収容部4fとが接触しないようになっている。
【0020】
ロータシャフト9の他端側は、モータヨーク4の開口端より突出し、ギヤケース5の開口部6を通過し、開口部6に連通する有底孔形状のウォーム収容部10内へと延びている。ロータシャフト9は、ウォーム収容部10の入口部10aと底部10b近傍にそれぞれ設けられた2つのメタル軸受56,57に回転自在に軸支されている。また、ロータシャフト9の他端は、スラスト方向においてエンドスペーサ58に支持されている。エンドスペーサ58とウォーム収容部10の底部10bとの間にはスラストダンパ59が設けられ、ロータシャフト9のスラスト方向への微小な移動にエンドスペーサ58が追従できるようになっている。ロータシャフト9は、ウォーム収容部10内のメタル軸受56,57に支持された部分の中間部にウォーム11を備えている。
【0021】
ロータシャフト9は、モータヨーク4内において、永久磁石8と相対する部分にアーマチュア12を備えている。アーマチュア12は、ロータシャフト9に固定された鉄心12aと、鉄心19aに巻き回されたコイル12bとから構成されている。また、ロータシャフト9はアーマチュア12に近接する位置にコンミテータ13を備えている。コンミテータ13はロータシャフト9の周方向に延在し、その外周面には複数のセグメント13aが周方向に配列されている。各セグメント13aにはコイル12bの端部が結合されている。
【0022】
モータヨーク4とギヤケース5との境界部であって、コンミテータ13のセグメント13aに相対する部分には、ブラシユニット14が設けられている。ブラシユニット14は、セグメント13aに摺接するブラシ15と、ブラシ15を支持するブラシホルダ16とを備えている。
【0023】
図5はブラシユニット14を示す分解斜視図であり、図6はブラシユニットをモータヨーク側から見た斜視図であり、図7はブラシユニット14をギヤケース側から見た斜視図である。図5に示すように、ブラシホルダ16は樹脂材料から形成されて環形状を呈し、中央部にロータシャフト9およびコンミテータ13が挿通される貫通孔17を備えている。
【0024】
ブラシホルダ16の外周部には、ブラシホルダ16の軸線に対して径方向外方へと突出するギヤケース当接部18aと、ギヤケース当接部18aの起端部よりモータヨーク4側へと突出するヨーク当接部18bとを備えたL字形状の位置決め片18が周方向に分散して4箇所形成されている。位置決め片18のギヤケース当接部18aがギヤケース5の凹部7eと係合することによってブラシホルダ16はギヤケース5に対して位置が固定されている。この状態で、位置決め片18のヨーク当接部18bはギヤケース5の突出部7dと並んで配列され、モータヨーク4の内周壁に当接する。
【0025】
図5および図6に示すように、ブラシホルダ16には、貫通孔17の軸線に対して相対する位置に一対のブラシ収容部20が形成されている。ブラシ収容部20は、貫通孔17の径方向に延在し、貫通孔17およびブラシホルダ16の外周部へと連通している。ブラシ15はブラシ収容部20に貫通孔17の径方向に摺動可能に収容され、ねじりばね21によって貫通孔17の中心側へと付勢されている。ブラシ15にはモータヨーク4側に延出するU字形状の第1導線22の一端が連結されており、第1導線22の他端はねじりばね形状に形成された第2導線23の一端と接続している。第2導線23の他端は、ブラシホルダ16のギヤケース5側へと延びている。
【0026】
図7に示すように、ブラシホルダ16のギヤケース5側には、第1ブラシ側接続端子24および第2ブラシ側接続端子25が設けられている。第1ブラシ側接続端子24は、ブラシホルダ16のギヤケース5側の表面16aに沿って配置された基部24aと、基部24aの一端より貫通孔17の軸線方向と平行に起立した短冊状片の端子部24bとを備えている。第2ブラシ側接続端子25は、ブラシホルダ16の表面16aに沿って配置された基部25aと、基部24aの一端より貫通孔17の軸線方向と平行に起立するとともに、第1ブラシ側接続端子24の端子部24bと相対する短冊状片の端子部25bとを備えている。
【0027】
第1ブラシ側接続端子24は、基部24aにおいて第2導線23のうちの一方に接続されている。一方、第2ブラシ側接続端子25は遮断器26および遮断器26に接続された金属片27を介して第2導線23のうちの他方に接続されている。各接続は溶接により実施されている。これにより、ブラシ15の一方は第1ブラシ側接続端子24に接続され、ブラシ15の他方は遮断器26を介して第2ブラシ側接続端子25に接続された状態となる。
【0028】
また、ブラシホルダ16にはアース28が固定されている。アース28は、ブラシホルダ16の表面16aに固定された基部28aと、基部28aより起立してブラシホルダ16の側周部16bに沿ってモータヨーク4側へと延び、ブラシホルダ16のモータヨーク4側の表面16cより突出する延出部28bと、延出部28bの先端より折り返されて、延出部28bと所定の角度を有してブラシホルダ16の外方かつギヤケース5側へと延びる先端部28cとを備えている。ブラシユニット14をモータヨーク4内に挿入する際、先端部28cはモータヨーク4の内周部に押圧されて延出部28b側に撓むとともに、モータヨーク4の内周面との接触を維持することができるようになっている。
【0029】
ブラシホルダ16には第1キャパシタ収容部30、第2キャパシタ収容部31およびバリスタ収容部32が形成されており、第1キャパシタ33、第2キャパシタ34およびバリスタ35がそれぞれ支持されている。第1キャパシタ33、第2キャパシタ34およびバリスタ35の端子はそれぞれブラシホルダ16の表面16a側に突出しており、第1キャパシタ33の端子は第1ブラシ側接続端子24の基部24aとアース28の基部28aとに接続され、第2キャパシタ34の端子は金属片27とアース28の基部28aとに接続され、バリスタ35の端子は第1ブラシ側接続端子24の基部24aと第2ブラシ側接続端子25の基部25aとに接続されている。
【0030】
図8はモータヨーク4を省略してパワーウインドウモータ装置1の要部を示す斜視図であり、図9はモータヨーク4を省略してパワーウインドウモータ装置1の要部を示す側面図である。図8に示すように、ガスケット40は一対の相対する同一形状の円弧状部分40aと、その相対する端部同士を連結する直線状部分40bと備え、中心軸を対称中心とする点対称な環形状を呈する。ガスケット40は、ギヤケース5の平面部7aに対称中心がロータシャフト9の軸線と一致するように配置され、段部7cと突出部7dとによって位置決めがなされている。ガスケット40の厚みは段部7cの高さよりも大きく、平面部7bよりもモータヨーク4側に突出している。
【0031】
ガスケット40は、その円弧状部分40aの内周部にそれぞれ2つずつ、合計4つの切欠部41を備えている。図8および図9に示すように、それぞれの切欠部41は、ガスケット40の対称中心に対して点対称となる位置に配置されており、また円弧状部分40aの中点同士を連結する線分L1または直線状部分40bの中点同士を連結する線分L2を対称軸として対称となるように配置されている。これにより、例えばガスケット40を上下反転または表裏反転して配置しても常に所定の位置に切欠部41が配置される。切欠部41の1つにはアース28の先端部28cが配置されている。切欠部41によりガスケット40とアース28との間に空隙が確保されるため、先端部28cの接触によるガスケット40の捲り上げが防止され、ガスケット40は破損することなく所定の位置に配置される。
【0032】
図2および図4に示すように、ギヤケース5の開口部6の内壁6aには、第1ブラシ側接続端子24の端子部24bおよび第2ブラシ側接続端子25の端子部25bの先端を支持する端子端収容部42が突設されている。端子端収容部42には、各端子の端子部24b,25bの先端と係合する係合孔43,44が形成されている。
【0033】
図10は図1の矢印Xの方向から見た斜視図である。図10に示すように、開口部6には、開口部6が開口する向きと概ね直交する向きに開口する開口部45が連通している。ギヤケース5にブラシユニット14が取り付けられた状態では、第1ブラシ側接続端子24の端子部24bおよび第2ブラシ側接続端子25の端子部25bの先端は、端子端収容部42の係合孔43,44にそれぞれ収容され、端子部24b,35bの位置が固定されている。
【0034】
図3に示すように、開口部45には電源接続ユニット46が挿入される。電源接続ユニット46は、第1ブラシ側接続端子24および第2ブラシ側接続端子25に接続する電源端子(図示しない)と、ホールセンサを備えたセンサ基板47とを備えている。図4および図10に示すように、開口部6の内壁6aには開口部45が開口する方向に延在するガイド溝48が形成されている。センサ基板47は、ガイド溝48に一側部が係合して位置決めがなされ、ホールセンサがロータシャフト9に固定されたリングマグネット49に相対するようになっている。
【0035】
図11は、パワーウインドウモータ装置1のギヤケース5を示す斜視図である。図11に示すように、ギヤケース5は有底円筒形状のウォームホイール収容部60を備えており、ウォームホイール収容部60はその側周壁61においてウォーム収容部10と連通している。ウォーム収容部10の底部62の中心部にはボス孔63を有する小径ボス部64と、小径ボス部64を外囲するように同軸に形成された大径ボス部65が形成されている。ボス孔63には、センターシャフト66が固定されている。
【0036】
ウォームホイール収容部60の側周壁61は、その端部67において外周部が外方へと拡径され、幅広となっている。端部67は、内周縁に沿って延在する内周壁67aと、端部67の外周縁に沿って延在する外周壁67bとを備えており、溝形を呈する。内周壁67aと外周壁67bとの間の底部67cには、ウォームホイール収容部60の軸線方向に沿って底部62側へと貫通する矩形状の貫通孔70が周方向に概ね120°間隔で形成されている。各貫通孔70のウォーム収容部10の径方向外方における側周壁61の部分には2つのスリット71により切り出された舌片状の係合片72が形成されている。係合片72は、その先端部72aが貫通孔70の内方側に突出するように屈曲されているとともに、先端部72aの端面72bは貫通孔70側の一端が他端に比べて突出するように傾斜している。
【0037】
図12は、ギヤケース5、ウォームホイール75およびギヤケースカバー81の組付位置関係を示す側面図である。図13は、パワーウインドウモータ装置1のウォームホイール75を示す平面図であり、図14はパワーウインドウモータ装置1のウォームホイール75を示す裏面図であり、図15は図13の矢印XV−XVより見た断面図である。
【0038】
図3および図12に示すように、センターシャフト66にはウォームホイール75が軸支される。ウォームホイール75は、樹脂材料を射出成形することによって形成される。ウォームホイール75は、大径部76と、大径部76と同軸に設けられるとともに大径部76に対して軸線方向に突出した小径部77とを備えている。
【0039】
図12〜図15に示すように、大径部76は、同軸に設けられた内筒76aと外筒76bとを備え、内筒76aと外筒76bと間は円環状の平板76cと、平板76cの表面および裏面に配置された複数のリブ76dに連結されている。リブ76dは、平行に配置した2本を一組とし、各組のリブ毎にウォームホイール75の軸線を中心として放射状に、かつ周方向に等間隔に配置されている。本実施形態では6組のリブ76dが周方向に60°ずつ間隔をおいて配置されている。リブ76dは平板76cの表面および裏面においてそれぞれ対応する位置に配置されている。
【0040】
大径部76の外筒76bの外表面には、ウォーム11と噛み合うギヤ部76eが形成されている。また、外筒76bには、ギヤ部76eの反りやひけを防止するべく、周方向にわたって肉盗み部76fが形成されている。
【0041】
小径部77は、大径部76の内筒76aの一端に連結されている。小径部77は、中心部に貫通孔77aを備え、端部にセレーション77bが形成されている。貫通孔77aの大径部76側の開口端は拡径されて、Oリング収容部77cを形成している。貫通孔77aとセレーション77bとの間には貫通孔77aを囲むように複数の肉盗み部77dが形成され、またセレーション77bが形成されていない部位においても貫通孔77aを囲むように複数の肉盗み部77eが形成されている。
【0042】
ウォームホイール75は、大径部76の内筒76aがウォームホイール収容部60の大径ボス部65に軸支され、かつ小径部77の貫通孔77aがセンターシャフト66に軸支されることによってギヤケース5に回転可能に支持される。ウォームホイール75がギヤケース5に支持された状態で、ウォームホイール75のギヤ部76eはウォーム11と噛み合う。また、センターシャフト66にはOリング78が嵌着され、このOリング78はウォームホイール75のOリング収容部77cに配置される。
【0043】
図3および図12に示すように、ウォームホイール収容部60はウォームホイール75を収容した状態でシール部材80が固定されたギヤケースカバー81によって閉塞される。ギヤケースカバー81は、樹脂材料を射出成形することによって形成されている。ギヤケースカバー81は、その中央部に貫通孔82を備えた円板部83と、円板部83の周縁部より起立した3つの逆止係合爪84とを有している。逆止係合爪84は、ウォームホイール収容部60の貫通孔70と一致するように、円板部83の周方向において互いに120°の間隔をおいて配置されている。逆止係合爪84は、その先端から基端側へ進むにつれて外方に突出する傾斜面84aと、傾斜面84aの突出端に隣接して形成された逆止係合面84bとを備えている。逆止係合面84bは、傾斜面84aの突出端と隣接する一端から相反する他端へと進むにつれて逆止係合爪84の先端側に向かうように傾斜している。
【0044】
図16はパワーウインドウモータ装置1のギヤケースカバー81を示す平面図であり、図17はパワーウインドウモータ装置1のギヤケースカバー81を示す裏面図であり、図18は図3の矢印XVIII−XVIIIより見た断面図であって、ギヤケースカバー81とシール部材80とが組み合わされた状態を示す。
【0045】
図16に示すように、円板部83は正面83a(ウォームホイール収容部60側を向く面と相反する側の面)に、貫通孔82の周縁に沿って凹設された円環状の凹部83bと、凹部83bより径方向外方へと延びる複数の溝83cとを備えている。溝83cは先端に円形拡幅部83dを有し、その中央部に円板部83の裏面83e(ウォームホイール収容部60側を向く面)へと貫通する連通孔85を備えている。
【0046】
図17に示すように、円板部83の裏面83eには、連通孔85同士を連結するとともに貫通孔82の周縁へと延び、かつ裏面83eの大部分にわたって形成された小溝83fと、外周近傍に周方向にわたって形成された円環状の大溝83gとが形成されている。大溝83gは小溝83fよりも幅広かつ深さが深く形成されている。
【0047】
図18に示すように、ギヤケースカバー81にはシール部材80が結合されている。シール部材80は可撓性を有する樹脂材料をギヤケースカバー81にアウトサート成形することによって形成されている。シール部材80は、円板部83の凹部83b、溝83c、円形拡幅部83d、連通孔85、貫通孔82の周縁部および裏面83eの全域に存在し、円板部83の一部を巻き込む閉環を形成している。
【0048】
シール部材80の貫通孔82の周縁に存在する環状部分80aの内周部には、周方向にわたって貫通孔82の中心側へと突出する2枚の環形状の薄肉片80bが形成されている。薄肉片80bはウォームホイール収容部60側と反対の方向に所定の角度を有して傾斜して突出している。薄肉片80bの中央部に形成される孔80cの直径は、ウォームホイール75の小径部77の外径よりも若干小さくなるように形成されている。
【0049】
また、シール部材80は円板部83の裏面83eに形成された大溝83gの側壁および底部に沿って設けられ、大溝83g内に大溝83gに沿って延在する円環状の係合溝80dを形成している。係合溝80dの開口端近傍には係合溝80dに沿って延在する係合突部80eが形成されている。
【0050】
図19は、ギヤケース5とギヤケースカバー81との結合構造を示す断面図である。図19に示すように、シール部材80が結合されたギヤケースカバー81の周縁部は、ウォームホイール収容部60の側周壁61の端部67における外周壁67bおよび底部67cに支持され、シール部材80に形成された係合溝80dと内周壁67aとが係合している。
【0051】
ギヤケースカバー81がギヤケース5に取り付けられた状態では、逆止係合爪84と係合片72とは係合している。ギヤケースカバー81をギヤケース5に取り付ける際には、逆止係合爪84は傾斜面84aにより係合片72を貫通孔70の外方へと押圧して、係合片72を変形させつつ、貫通孔70に進入する。取り付けが完了した状態では、逆止係合爪84の逆止係合面84bと係合片72の端面72bとが当接して抜け止めがなされる。逆止係合面84bと端面72bとが当接した状態において、逆止係合爪84を貫通孔70から抜去する力を加えると、逆止係合面84bが傾斜した端面72bを押圧して、係合片72には貫通孔70の内方側へと向かう力が加わる。そのため、逆止係合面84bと端面72bとの当接が維持されて、逆止係合爪84と係合片72との係合は解除しにくくなる。
【0052】
シール部材80の薄肉片80bはウォームホイール75の小径部77によって変形され、孔80cが拡径されるとともに、小径部77の外周面77fに密着して液密なシールを形成している。
【0053】
ギヤケースカバー81をギヤケース5に組付けることによりウォームホイール収容部60は、外部より液密にシールされる。仮に、円板部83の正面83aとシール部材80との間から水が浸入したとしても、円板部83とシール部材80の接合部は側周壁61の端部67の内周壁67aの外方へと繋がっているため、水はウォームホイール収容部60内へと浸入することはできない。
【0054】
本実施形態におけるギヤケースカバー81は円板部83の裏面83eに小溝83fを有しているため、アウトサート成形によりシール部材80を円板部83の裏面83eに薄く形成する場合に、小溝83fがシール部材80の供給路となり、シール部材80が裏面83eの全域に均一に行き渡るようになる。
【0055】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、小溝83fや連通孔85、溝83cの形成パターンは例示であって、適宜変更可能である。その他パワーウインドウモータ装置の構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 パワーウインドウモータ装置
2 モータ部
3 減速部
4 モータヨーク
5 ギヤケース
9 ロータシャフト
10 ウォーム収容部
11 ウォーム
14 ブラシユニット
40 ガスケット
60 ウォームホイール収容部
75 ウォームホイール
80 シール部材
81 ギヤケースカバー
82 貫通孔
83 円板部
83a 正面
83b 凹部
83c 溝
83e 裏面
83f 小溝
84 逆止係合爪
85 連通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は減速機構付きモータに関し、より詳細には自動車用パワーウインドウモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーウインドウ装置の駆動源として使用されるモータ装置は、モータ本体と減速機構とから構成され、モータ本体の回転力を減速機構により減速してパワーウインドウ装置のリフト機構に伝達する。減速機構には、モータの回転軸にウォームを形成し、ウォームと噛み合うウォームホイールの回転軸に出力軸を連結したものがある。
【0003】
このような減速機構において、ウォームホイールを減速機構の骨格をなすギヤケースに形成された収容凹部に回転自在に支持し、出力軸が収容凹部から突出した状態で、環状のギヤケースカバーによって収容凹部を閉塞するようにしたものがある(例えば、特許文献1)。その際、水等の浸入を防止する目的で、ギヤケースとギヤケースカバーとの間にシール部材を介装している。このようなギヤケースおよびギヤケースカバーは、強度の観点から金属材料により形成されることが通常であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−156007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
減速機構付きモータの軽量化の観点からは、ギヤケースおよびギヤケースカバーは樹脂材料により形成することが好ましい。しかし、樹脂材料によりギヤケースカバーを形成すると、強度を確保するために厚みを厚くする必要があるという問題がある。一方、シール部材の組付け性の観点から、シール部材はギヤケースカバーと一体的に形成することが好ましい。しかし、アウトサート成形によりシール部材をギヤケースカバーの表面に形成する場合には成形不良を防止するためにシール部材の厚みを所定量以上確保しなければならず、シール部材を含めたギヤケースカバーの厚みが厚くなるという問題がある。減速機構付きモータをパワーウインドウ装置の駆動源として使用する場合には設置空間は制限されているため、ギヤケースカバーは薄型化が望まれる。
【0006】
本発明は以上の問題を鑑みてなされたものであり、ギヤケースカバーを樹脂材料で形成し、かつギヤケースカバーにシール部材をアウトサート成形により一体的に形成した場合においても、シール部材を含むギヤケースカバーの厚みを比較的薄くすることができる減速機構付きモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の発明は、回転軸(ロータシャフト9)にウォーム(11)を備えたモータ(モータ部2)と、前記ウォームを収容するウォーム収容部(10)を備えるとともに、前記ウォームに噛み合うウォームホイール(75)を回転自在に収容するべく凹設されたウォームホイール収容部(60)を備えたギヤケース(5)と、前記ウォームホイールに固定されるとともに、前記ウォームホイール収容部より突出する出力軸(小径部77)と、前記出力軸が挿通される貫通孔(82)を備えるとともに、前記ウォームホイール収容部を閉塞するように前記ギヤケースに固定されるギヤケースカバー(81)と、前記ギヤケースカバーに固定され、当該ギヤケースカバーと前記ギヤケースとの間および当該ギヤケースカバーと前記出力軸との間をシールするシール部材(80)とを有する減速機構付きモータ(パワーウインドウモータ装置1)であって、前記ギヤケースカバーは、当該ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分(円板部83の裏面83e)とその部分に相反する側の部分(円板部83の正面83a)とを連通する複数の連通孔(85)と、前記連通孔同士を連結するように、前記ウォームホイール収容部側の部分に形成された溝(小溝83f)とを有し、前記シール部材は、前記連通孔および前記溝に存在するとともに、前記ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分に沿って設けられていることを特徴とする。
【0008】
アウトサート成形により樹脂製のシール部材をギヤケースカバー表面に形成する場合に、ギヤケースカバーのウォームホイール収容部側の部分に形成された溝はシール部材を構成する溶融樹脂の供給路として機能する。そのため、シール部材の肉厚を薄く形成する場合であっても、シール部材はギヤケースカバーの表面上に均一に供給されるようになり、シール部材の薄肉化が可能となる。また、シール部材は連通路を通過してギヤケースカバーのウォームホイール収容部側と相反する側の部分に到達するようになるため、シール部材はギヤケースカバーに固定され、脱離しなくなる。
【0009】
本発明の第2の発明は第1の発明において、前記溝は、前記貫通孔の周縁部に延設され、前記シール部材は、前記ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分から前記貫通孔の周縁部に沿って前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分へと延びる第1部分と、前記連通孔を通過して前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分へと延びる第2部分とを有し、前記第1部分と前記第2部分とは前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分において連結していることを特徴とする。
【0010】
これによれば、シール部材はギヤケースカバーを巻き込んだ閉環を形成し、ギヤケースカバーに確実に固定されるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シール部材をギヤケースカバー表面上に均一かつ薄く形成することができる。また、シール部材をギヤケースカバーに確実に固定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係るパワーウインドウモータ装置を示す側面図である。
【図2】パワーウインドウモータ装置を示す縦断面図である。
【図3】パワーウインドウモータ装置を示す分解斜視図である。
【図4】パワーウインドウモータ装置のギヤケースを示す側面図である。
【図5】パワーウインドウモータ装置のブラシユニットを示す分解斜視図である。
【図6】パワーウインドウモータ装置のブラシユニットを示す斜視図である。
【図7】パワーウインドウモータ装置のブラシユニットを示す斜視図である。
【図8】モータヨークを省略してパワーウインドウモータ装置の要部を示す斜視図である。
【図9】モータヨークを省略してパワーウインドウモータ装置の要部を示す側面である。
【図10】図1の矢印Xの方向から見た斜視図である。
【図11】パワーウインドウモータ装置のギヤケースを示す斜視図である。
【図12】ギヤケース、ウォームホイールおよびギヤケースカバーの組付位置関係を示す側面図である。
【図13】パワーウインドウモータ装置のウォームホイールを示す平面図である。
【図14】パワーウインドウモータ装置のウォームホイールを示す裏面図である。
【図15】図13の矢印XV−XVより見た断面図である。
【図16】パワーウインドウモータ装置のギヤケースカバーを示す平面図である。
【図17】パワーウインドウモータ装置のギヤケースカバーを示す裏面図である。
【図18】図3の矢印XVIII−XVIIIより見た断面図である。
【図19】ギヤケースとギヤケースカバーとの結合構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を自動車のパワーウインドウ装置のリフト機構の駆動源として使用されるパワーウインドウモータ装置1に適用した一実施形態を詳細に説明する。図1は、実施形態に係るパワーウインドウモータ装置1を示す側面図である。図2は、パワーウインドウモータ装置1を示す縦断面図である。図3は、パワーウインドウモータ装置1を示す分解斜視図である。
【0014】
図1に示すように、パワーウインドウモータ装置1は、モータ部2と減速部3とを主要構成要素として有している。モータ部2はDCモータ(ブラシ付きモータ)である。
【0015】
図1〜図3に示すように、モータ部2の骨格構造をなすモータヨーク4は、一端に底部4aを備えた有底筒状に形成されており、その側周部には互いに相対するように配置された一対の円弧面4bと、その円弧面4bの両端部間に配置された一対の平面部4cとを備えている。モータヨーク4の開口端側には外方へと突出するフランジ部4dが形成されており、フランジ部4dには3つのねじ孔51が穿設されている。また、モータヨーク4の円弧面4bは開口端近傍において拡径されており、その拡径された境界に段部4eが形成されている。モータヨーク4の底部4aの中心部は、ヨークの外方に膨出して軸受収容部4fを形成している。モータヨーク4は、導電性の鋼板をプレス成形等することによって形成されている。
【0016】
図4は、パワーウインドウモータ装置1のギヤケース5を示す側面図である。図3および図4に示すように、ギヤケース5は、モータヨーク4の開口端と相対する部位にモータヨーク4の断面と一致する開口部6を備え、開口部6の周縁には平面部7aが形成されている。さらに、平面部7aの外方には、モータヨーク4のフランジ部4dと当接する平面部7bが段部7cを介して形成されている。平面部7aと開口部6との境界には、モータヨーク4側へと突出した4つの突出部7dが形成されており、この突出部7dはモータヨーク4の内周面と接触するようになっている。また、平面部7aには後述するブラシユニット14と係合する凹部7eが形成されている。
【0017】
ギヤケース5の平面部7bにはモータヨーク4のフランジ部4dのねじ孔51と一致する位置にねじ孔52が形成されている。平面部7bとフランジ部4dとの間に環状のガスケット40を介装し、ねじ孔51およびねじ孔52にねじ53を挿通することによって、モータヨーク4はギヤケース5に固定されている。ギヤケース5にはねじ孔90が形成されており、このねじ孔90にねじを挿入することによりギヤケース5は図示しない車体骨格に固定される。
【0018】
モータヨーク4の円弧面4bの内周面には、一対の永久磁石8が同極となる面を対向させるようにして配設されている。これにより、平面部4cの内周面には、永久磁石8の互いに対向する面に現れる極と異なる極が擬似的に形成されている。
【0019】
モータヨーク4の軸受収容部4fにはメタル軸受54がモータヨーク4の軸線と同軸に嵌着されており、メタル軸受54によってモータ回転軸となるロータシャフト9の一端が回転自在に軸支されている。これにより、ロータシャフト9の軸線は、モータヨーク4の軸線と同軸となっている。ロータシャフト9のスラスト端と軸受収容部4fの間にはエンドスペーサ55が介装されており、ロータシャフト9と軸受収容部4fとが接触しないようになっている。
【0020】
ロータシャフト9の他端側は、モータヨーク4の開口端より突出し、ギヤケース5の開口部6を通過し、開口部6に連通する有底孔形状のウォーム収容部10内へと延びている。ロータシャフト9は、ウォーム収容部10の入口部10aと底部10b近傍にそれぞれ設けられた2つのメタル軸受56,57に回転自在に軸支されている。また、ロータシャフト9の他端は、スラスト方向においてエンドスペーサ58に支持されている。エンドスペーサ58とウォーム収容部10の底部10bとの間にはスラストダンパ59が設けられ、ロータシャフト9のスラスト方向への微小な移動にエンドスペーサ58が追従できるようになっている。ロータシャフト9は、ウォーム収容部10内のメタル軸受56,57に支持された部分の中間部にウォーム11を備えている。
【0021】
ロータシャフト9は、モータヨーク4内において、永久磁石8と相対する部分にアーマチュア12を備えている。アーマチュア12は、ロータシャフト9に固定された鉄心12aと、鉄心19aに巻き回されたコイル12bとから構成されている。また、ロータシャフト9はアーマチュア12に近接する位置にコンミテータ13を備えている。コンミテータ13はロータシャフト9の周方向に延在し、その外周面には複数のセグメント13aが周方向に配列されている。各セグメント13aにはコイル12bの端部が結合されている。
【0022】
モータヨーク4とギヤケース5との境界部であって、コンミテータ13のセグメント13aに相対する部分には、ブラシユニット14が設けられている。ブラシユニット14は、セグメント13aに摺接するブラシ15と、ブラシ15を支持するブラシホルダ16とを備えている。
【0023】
図5はブラシユニット14を示す分解斜視図であり、図6はブラシユニットをモータヨーク側から見た斜視図であり、図7はブラシユニット14をギヤケース側から見た斜視図である。図5に示すように、ブラシホルダ16は樹脂材料から形成されて環形状を呈し、中央部にロータシャフト9およびコンミテータ13が挿通される貫通孔17を備えている。
【0024】
ブラシホルダ16の外周部には、ブラシホルダ16の軸線に対して径方向外方へと突出するギヤケース当接部18aと、ギヤケース当接部18aの起端部よりモータヨーク4側へと突出するヨーク当接部18bとを備えたL字形状の位置決め片18が周方向に分散して4箇所形成されている。位置決め片18のギヤケース当接部18aがギヤケース5の凹部7eと係合することによってブラシホルダ16はギヤケース5に対して位置が固定されている。この状態で、位置決め片18のヨーク当接部18bはギヤケース5の突出部7dと並んで配列され、モータヨーク4の内周壁に当接する。
【0025】
図5および図6に示すように、ブラシホルダ16には、貫通孔17の軸線に対して相対する位置に一対のブラシ収容部20が形成されている。ブラシ収容部20は、貫通孔17の径方向に延在し、貫通孔17およびブラシホルダ16の外周部へと連通している。ブラシ15はブラシ収容部20に貫通孔17の径方向に摺動可能に収容され、ねじりばね21によって貫通孔17の中心側へと付勢されている。ブラシ15にはモータヨーク4側に延出するU字形状の第1導線22の一端が連結されており、第1導線22の他端はねじりばね形状に形成された第2導線23の一端と接続している。第2導線23の他端は、ブラシホルダ16のギヤケース5側へと延びている。
【0026】
図7に示すように、ブラシホルダ16のギヤケース5側には、第1ブラシ側接続端子24および第2ブラシ側接続端子25が設けられている。第1ブラシ側接続端子24は、ブラシホルダ16のギヤケース5側の表面16aに沿って配置された基部24aと、基部24aの一端より貫通孔17の軸線方向と平行に起立した短冊状片の端子部24bとを備えている。第2ブラシ側接続端子25は、ブラシホルダ16の表面16aに沿って配置された基部25aと、基部24aの一端より貫通孔17の軸線方向と平行に起立するとともに、第1ブラシ側接続端子24の端子部24bと相対する短冊状片の端子部25bとを備えている。
【0027】
第1ブラシ側接続端子24は、基部24aにおいて第2導線23のうちの一方に接続されている。一方、第2ブラシ側接続端子25は遮断器26および遮断器26に接続された金属片27を介して第2導線23のうちの他方に接続されている。各接続は溶接により実施されている。これにより、ブラシ15の一方は第1ブラシ側接続端子24に接続され、ブラシ15の他方は遮断器26を介して第2ブラシ側接続端子25に接続された状態となる。
【0028】
また、ブラシホルダ16にはアース28が固定されている。アース28は、ブラシホルダ16の表面16aに固定された基部28aと、基部28aより起立してブラシホルダ16の側周部16bに沿ってモータヨーク4側へと延び、ブラシホルダ16のモータヨーク4側の表面16cより突出する延出部28bと、延出部28bの先端より折り返されて、延出部28bと所定の角度を有してブラシホルダ16の外方かつギヤケース5側へと延びる先端部28cとを備えている。ブラシユニット14をモータヨーク4内に挿入する際、先端部28cはモータヨーク4の内周部に押圧されて延出部28b側に撓むとともに、モータヨーク4の内周面との接触を維持することができるようになっている。
【0029】
ブラシホルダ16には第1キャパシタ収容部30、第2キャパシタ収容部31およびバリスタ収容部32が形成されており、第1キャパシタ33、第2キャパシタ34およびバリスタ35がそれぞれ支持されている。第1キャパシタ33、第2キャパシタ34およびバリスタ35の端子はそれぞれブラシホルダ16の表面16a側に突出しており、第1キャパシタ33の端子は第1ブラシ側接続端子24の基部24aとアース28の基部28aとに接続され、第2キャパシタ34の端子は金属片27とアース28の基部28aとに接続され、バリスタ35の端子は第1ブラシ側接続端子24の基部24aと第2ブラシ側接続端子25の基部25aとに接続されている。
【0030】
図8はモータヨーク4を省略してパワーウインドウモータ装置1の要部を示す斜視図であり、図9はモータヨーク4を省略してパワーウインドウモータ装置1の要部を示す側面図である。図8に示すように、ガスケット40は一対の相対する同一形状の円弧状部分40aと、その相対する端部同士を連結する直線状部分40bと備え、中心軸を対称中心とする点対称な環形状を呈する。ガスケット40は、ギヤケース5の平面部7aに対称中心がロータシャフト9の軸線と一致するように配置され、段部7cと突出部7dとによって位置決めがなされている。ガスケット40の厚みは段部7cの高さよりも大きく、平面部7bよりもモータヨーク4側に突出している。
【0031】
ガスケット40は、その円弧状部分40aの内周部にそれぞれ2つずつ、合計4つの切欠部41を備えている。図8および図9に示すように、それぞれの切欠部41は、ガスケット40の対称中心に対して点対称となる位置に配置されており、また円弧状部分40aの中点同士を連結する線分L1または直線状部分40bの中点同士を連結する線分L2を対称軸として対称となるように配置されている。これにより、例えばガスケット40を上下反転または表裏反転して配置しても常に所定の位置に切欠部41が配置される。切欠部41の1つにはアース28の先端部28cが配置されている。切欠部41によりガスケット40とアース28との間に空隙が確保されるため、先端部28cの接触によるガスケット40の捲り上げが防止され、ガスケット40は破損することなく所定の位置に配置される。
【0032】
図2および図4に示すように、ギヤケース5の開口部6の内壁6aには、第1ブラシ側接続端子24の端子部24bおよび第2ブラシ側接続端子25の端子部25bの先端を支持する端子端収容部42が突設されている。端子端収容部42には、各端子の端子部24b,25bの先端と係合する係合孔43,44が形成されている。
【0033】
図10は図1の矢印Xの方向から見た斜視図である。図10に示すように、開口部6には、開口部6が開口する向きと概ね直交する向きに開口する開口部45が連通している。ギヤケース5にブラシユニット14が取り付けられた状態では、第1ブラシ側接続端子24の端子部24bおよび第2ブラシ側接続端子25の端子部25bの先端は、端子端収容部42の係合孔43,44にそれぞれ収容され、端子部24b,35bの位置が固定されている。
【0034】
図3に示すように、開口部45には電源接続ユニット46が挿入される。電源接続ユニット46は、第1ブラシ側接続端子24および第2ブラシ側接続端子25に接続する電源端子(図示しない)と、ホールセンサを備えたセンサ基板47とを備えている。図4および図10に示すように、開口部6の内壁6aには開口部45が開口する方向に延在するガイド溝48が形成されている。センサ基板47は、ガイド溝48に一側部が係合して位置決めがなされ、ホールセンサがロータシャフト9に固定されたリングマグネット49に相対するようになっている。
【0035】
図11は、パワーウインドウモータ装置1のギヤケース5を示す斜視図である。図11に示すように、ギヤケース5は有底円筒形状のウォームホイール収容部60を備えており、ウォームホイール収容部60はその側周壁61においてウォーム収容部10と連通している。ウォーム収容部10の底部62の中心部にはボス孔63を有する小径ボス部64と、小径ボス部64を外囲するように同軸に形成された大径ボス部65が形成されている。ボス孔63には、センターシャフト66が固定されている。
【0036】
ウォームホイール収容部60の側周壁61は、その端部67において外周部が外方へと拡径され、幅広となっている。端部67は、内周縁に沿って延在する内周壁67aと、端部67の外周縁に沿って延在する外周壁67bとを備えており、溝形を呈する。内周壁67aと外周壁67bとの間の底部67cには、ウォームホイール収容部60の軸線方向に沿って底部62側へと貫通する矩形状の貫通孔70が周方向に概ね120°間隔で形成されている。各貫通孔70のウォーム収容部10の径方向外方における側周壁61の部分には2つのスリット71により切り出された舌片状の係合片72が形成されている。係合片72は、その先端部72aが貫通孔70の内方側に突出するように屈曲されているとともに、先端部72aの端面72bは貫通孔70側の一端が他端に比べて突出するように傾斜している。
【0037】
図12は、ギヤケース5、ウォームホイール75およびギヤケースカバー81の組付位置関係を示す側面図である。図13は、パワーウインドウモータ装置1のウォームホイール75を示す平面図であり、図14はパワーウインドウモータ装置1のウォームホイール75を示す裏面図であり、図15は図13の矢印XV−XVより見た断面図である。
【0038】
図3および図12に示すように、センターシャフト66にはウォームホイール75が軸支される。ウォームホイール75は、樹脂材料を射出成形することによって形成される。ウォームホイール75は、大径部76と、大径部76と同軸に設けられるとともに大径部76に対して軸線方向に突出した小径部77とを備えている。
【0039】
図12〜図15に示すように、大径部76は、同軸に設けられた内筒76aと外筒76bとを備え、内筒76aと外筒76bと間は円環状の平板76cと、平板76cの表面および裏面に配置された複数のリブ76dに連結されている。リブ76dは、平行に配置した2本を一組とし、各組のリブ毎にウォームホイール75の軸線を中心として放射状に、かつ周方向に等間隔に配置されている。本実施形態では6組のリブ76dが周方向に60°ずつ間隔をおいて配置されている。リブ76dは平板76cの表面および裏面においてそれぞれ対応する位置に配置されている。
【0040】
大径部76の外筒76bの外表面には、ウォーム11と噛み合うギヤ部76eが形成されている。また、外筒76bには、ギヤ部76eの反りやひけを防止するべく、周方向にわたって肉盗み部76fが形成されている。
【0041】
小径部77は、大径部76の内筒76aの一端に連結されている。小径部77は、中心部に貫通孔77aを備え、端部にセレーション77bが形成されている。貫通孔77aの大径部76側の開口端は拡径されて、Oリング収容部77cを形成している。貫通孔77aとセレーション77bとの間には貫通孔77aを囲むように複数の肉盗み部77dが形成され、またセレーション77bが形成されていない部位においても貫通孔77aを囲むように複数の肉盗み部77eが形成されている。
【0042】
ウォームホイール75は、大径部76の内筒76aがウォームホイール収容部60の大径ボス部65に軸支され、かつ小径部77の貫通孔77aがセンターシャフト66に軸支されることによってギヤケース5に回転可能に支持される。ウォームホイール75がギヤケース5に支持された状態で、ウォームホイール75のギヤ部76eはウォーム11と噛み合う。また、センターシャフト66にはOリング78が嵌着され、このOリング78はウォームホイール75のOリング収容部77cに配置される。
【0043】
図3および図12に示すように、ウォームホイール収容部60はウォームホイール75を収容した状態でシール部材80が固定されたギヤケースカバー81によって閉塞される。ギヤケースカバー81は、樹脂材料を射出成形することによって形成されている。ギヤケースカバー81は、その中央部に貫通孔82を備えた円板部83と、円板部83の周縁部より起立した3つの逆止係合爪84とを有している。逆止係合爪84は、ウォームホイール収容部60の貫通孔70と一致するように、円板部83の周方向において互いに120°の間隔をおいて配置されている。逆止係合爪84は、その先端から基端側へ進むにつれて外方に突出する傾斜面84aと、傾斜面84aの突出端に隣接して形成された逆止係合面84bとを備えている。逆止係合面84bは、傾斜面84aの突出端と隣接する一端から相反する他端へと進むにつれて逆止係合爪84の先端側に向かうように傾斜している。
【0044】
図16はパワーウインドウモータ装置1のギヤケースカバー81を示す平面図であり、図17はパワーウインドウモータ装置1のギヤケースカバー81を示す裏面図であり、図18は図3の矢印XVIII−XVIIIより見た断面図であって、ギヤケースカバー81とシール部材80とが組み合わされた状態を示す。
【0045】
図16に示すように、円板部83は正面83a(ウォームホイール収容部60側を向く面と相反する側の面)に、貫通孔82の周縁に沿って凹設された円環状の凹部83bと、凹部83bより径方向外方へと延びる複数の溝83cとを備えている。溝83cは先端に円形拡幅部83dを有し、その中央部に円板部83の裏面83e(ウォームホイール収容部60側を向く面)へと貫通する連通孔85を備えている。
【0046】
図17に示すように、円板部83の裏面83eには、連通孔85同士を連結するとともに貫通孔82の周縁へと延び、かつ裏面83eの大部分にわたって形成された小溝83fと、外周近傍に周方向にわたって形成された円環状の大溝83gとが形成されている。大溝83gは小溝83fよりも幅広かつ深さが深く形成されている。
【0047】
図18に示すように、ギヤケースカバー81にはシール部材80が結合されている。シール部材80は可撓性を有する樹脂材料をギヤケースカバー81にアウトサート成形することによって形成されている。シール部材80は、円板部83の凹部83b、溝83c、円形拡幅部83d、連通孔85、貫通孔82の周縁部および裏面83eの全域に存在し、円板部83の一部を巻き込む閉環を形成している。
【0048】
シール部材80の貫通孔82の周縁に存在する環状部分80aの内周部には、周方向にわたって貫通孔82の中心側へと突出する2枚の環形状の薄肉片80bが形成されている。薄肉片80bはウォームホイール収容部60側と反対の方向に所定の角度を有して傾斜して突出している。薄肉片80bの中央部に形成される孔80cの直径は、ウォームホイール75の小径部77の外径よりも若干小さくなるように形成されている。
【0049】
また、シール部材80は円板部83の裏面83eに形成された大溝83gの側壁および底部に沿って設けられ、大溝83g内に大溝83gに沿って延在する円環状の係合溝80dを形成している。係合溝80dの開口端近傍には係合溝80dに沿って延在する係合突部80eが形成されている。
【0050】
図19は、ギヤケース5とギヤケースカバー81との結合構造を示す断面図である。図19に示すように、シール部材80が結合されたギヤケースカバー81の周縁部は、ウォームホイール収容部60の側周壁61の端部67における外周壁67bおよび底部67cに支持され、シール部材80に形成された係合溝80dと内周壁67aとが係合している。
【0051】
ギヤケースカバー81がギヤケース5に取り付けられた状態では、逆止係合爪84と係合片72とは係合している。ギヤケースカバー81をギヤケース5に取り付ける際には、逆止係合爪84は傾斜面84aにより係合片72を貫通孔70の外方へと押圧して、係合片72を変形させつつ、貫通孔70に進入する。取り付けが完了した状態では、逆止係合爪84の逆止係合面84bと係合片72の端面72bとが当接して抜け止めがなされる。逆止係合面84bと端面72bとが当接した状態において、逆止係合爪84を貫通孔70から抜去する力を加えると、逆止係合面84bが傾斜した端面72bを押圧して、係合片72には貫通孔70の内方側へと向かう力が加わる。そのため、逆止係合面84bと端面72bとの当接が維持されて、逆止係合爪84と係合片72との係合は解除しにくくなる。
【0052】
シール部材80の薄肉片80bはウォームホイール75の小径部77によって変形され、孔80cが拡径されるとともに、小径部77の外周面77fに密着して液密なシールを形成している。
【0053】
ギヤケースカバー81をギヤケース5に組付けることによりウォームホイール収容部60は、外部より液密にシールされる。仮に、円板部83の正面83aとシール部材80との間から水が浸入したとしても、円板部83とシール部材80の接合部は側周壁61の端部67の内周壁67aの外方へと繋がっているため、水はウォームホイール収容部60内へと浸入することはできない。
【0054】
本実施形態におけるギヤケースカバー81は円板部83の裏面83eに小溝83fを有しているため、アウトサート成形によりシール部材80を円板部83の裏面83eに薄く形成する場合に、小溝83fがシール部材80の供給路となり、シール部材80が裏面83eの全域に均一に行き渡るようになる。
【0055】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、小溝83fや連通孔85、溝83cの形成パターンは例示であって、適宜変更可能である。その他パワーウインドウモータ装置の構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 パワーウインドウモータ装置
2 モータ部
3 減速部
4 モータヨーク
5 ギヤケース
9 ロータシャフト
10 ウォーム収容部
11 ウォーム
14 ブラシユニット
40 ガスケット
60 ウォームホイール収容部
75 ウォームホイール
80 シール部材
81 ギヤケースカバー
82 貫通孔
83 円板部
83a 正面
83b 凹部
83c 溝
83e 裏面
83f 小溝
84 逆止係合爪
85 連通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸にウォームを備えたモータと、
前記ウォームを収容するウォーム収容部を備えるとともに、前記ウォームに噛み合うウォームホイールを回転自在に収容するべく凹設されたウォームホイール収容部を備えたギヤケースと、
前記ウォームホイールに固定されるとともに、前記ウォームホイール収容部より突出する出力軸と、
前記出力軸が挿通される貫通孔を備えるとともに、前記ウォームホイール収容部を閉塞するように前記ギヤケースに固定されるギヤケースカバーと、
前記ギヤケースカバーに固定され、当該ギヤケースカバーと前記ギヤケースとの間および当該ギヤケースカバーと前記出力軸との間をシールするシール部材と
を有する減速機構付きモータであって、
前記ギヤケースカバーは、当該ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分とその部分に相反する側の部分とを連通する複数の連通孔と、前記連通孔同士を連結するように、前記ウォームホイール収容部側の部分に形成された溝とを有し、
前記シール部材は、前記連通孔および前記溝に設けられるとともに、前記ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分に沿って設けられていることを特徴とする減速機構付きモータ。
【請求項2】
前記溝は、前記貫通孔の周縁部に延設され、
前記シール部材は、前記ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分から前記貫通孔の周縁部に沿って前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分へと延びる第1部分と、前記連通孔を通過して前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分へと延びる第2部分とを有し、前記第1部分と前記第2部分とは前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分において連結していることを特徴とする、請求項1に記載の減速機構付きモータ。
【請求項1】
回転軸にウォームを備えたモータと、
前記ウォームを収容するウォーム収容部を備えるとともに、前記ウォームに噛み合うウォームホイールを回転自在に収容するべく凹設されたウォームホイール収容部を備えたギヤケースと、
前記ウォームホイールに固定されるとともに、前記ウォームホイール収容部より突出する出力軸と、
前記出力軸が挿通される貫通孔を備えるとともに、前記ウォームホイール収容部を閉塞するように前記ギヤケースに固定されるギヤケースカバーと、
前記ギヤケースカバーに固定され、当該ギヤケースカバーと前記ギヤケースとの間および当該ギヤケースカバーと前記出力軸との間をシールするシール部材と
を有する減速機構付きモータであって、
前記ギヤケースカバーは、当該ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分とその部分に相反する側の部分とを連通する複数の連通孔と、前記連通孔同士を連結するように、前記ウォームホイール収容部側の部分に形成された溝とを有し、
前記シール部材は、前記連通孔および前記溝に設けられるとともに、前記ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分に沿って設けられていることを特徴とする減速機構付きモータ。
【請求項2】
前記溝は、前記貫通孔の周縁部に延設され、
前記シール部材は、前記ギヤケースカバーの前記ウォームホイール収容部側の部分から前記貫通孔の周縁部に沿って前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分へと延びる第1部分と、前記連通孔を通過して前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分へと延びる第2部分とを有し、前記第1部分と前記第2部分とは前記ウォームホイール収容部側と相反する側の部分において連結していることを特徴とする、請求項1に記載の減速機構付きモータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−21725(P2011−21725A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169282(P2009−169282)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】
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