説明

渦発生器

制御された渦運動に媒体を至らせるよう設計された渦発生器であり、その媒体をその渦発生器に向けるための中空の注入口部分(1)を備えた渦発生器。その注入口部分は、湾曲形状(108)を有する回転対称キャビティ(101)から構成される。更に、その内側でその渦運動が確立される渦チャンバ(4a、4b)は、その注入口部分に取り付けられる。注入口部分(1)は、その媒体をその回転対称キャビティからその渦チャンバに向けるための少なくとも一つの螺旋形状の円錐チャネルを含む。その渦チャンバは、トランペット形状又は卵形状の何れかである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された渦運動に媒体を至らせるよう設計された渦発生器に関する。その渦発生器は、その媒体をその渦発生器に向けるための注入口部分を有し、また、この注入口部分は、湾曲形状を持つ回転対称の空洞(キャビティ)を有し、また、その渦発生器は、その注入口部分に取り付けられる渦チャンバであり、その内側でその渦運動が確立される渦チャンバを更に有する。また、本発明は、浄水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
渦運動に媒体を至らせるという目的のために渦発生器を用いるという既に確立された技術は、多くの異なる方法で実現される。最も一般的なものは、圧力を掛ける案内レールの使用により、その媒体がその渦チャンバ内で運動を強いられるものである。この取り組みにおける問題は、その案内レールが終わりまで来るとすぐにその圧力も消滅するという点にある。別の確立された方法は、高圧高流速を用いながら一様な質量としてその媒体をその渦チャンバ内に接線方向に吹き込むことである。この方法は、固形物の回転と同じように、その媒体の回転を生じさせ、最終的に乱流をもたらす。更に別の方法は、高速で回転し、その結果、その媒体をそれと共に引き込むという一種のディスクを用いることである。これは、その周辺で高圧をもたらし、構築された渦をすぐに乱流に分解させてしまう。
【0003】
このように、流れる媒体を、制御された渦運動で維持することが重要となる特定の場合において問題が生じる。ハイドロサイクロン、及び、例えばジェット(噴流)エンジンの燃焼室に関して言えば、その媒体を一様な質量としてそのチャンバ内に接線方向に吹き込む技術が用いられているが、この方法における問題の一つは、流れが中断された場合、乱流をもたらす点にある。ハイドロサイクロンでは、このことは、遠心分離効果を妨げ、受け入れた流れに粒子を引き込ませてしまう。ジェットエンジンでは、このことは、燃料と空気の混合物を低品質なものとし、効率の低下をもたらす。また、これは、その渦運動を制御可能な場合に比べ、より多くのエネルギーとより多くの原料使用量を必要とするプロセスにつながる。その流れを方向付ける案内レールの使用は、その案内レールが終わりに来るとすぐにその案内効果が消失してしまうので、十分に効率的なものではない。別の問題は、均質な流れで且つ事実上層流の状態で、その流れる媒体がその渦チャンバ内に吹き込まれ或いは押し込まれた場合、その渦が螺旋流パターンを形成することはないが、この場合、固形物のように回転を始め、最終的には乱流に変化してしまう点にある。
【0004】
確立された渦発生器の例は、飲用に適した液体を処理することを目的として、独国実用新案DE−U−20218674号に記載されている。
【0005】
Martin Vortex Generatorと呼ばれる別の渦発生器は、Wirbelwasser(登録商標)(www.wirbelwasser.de)というブランド名で売り出されている。この渦発生器内の水は、固形物と同じような態様で移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案第20218674号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、様々な種類のシナリオにおいて、上述の一連の問題に対するより良い解決策を提示する渦発生器を、制御された渦運動にその流れる媒体が向けられるような態様で、実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、この文書の最初に記載された種類の渦発生器であり、請求項1で定義された特徴が与えられた渦発生器を用いることによって実現される。好適な実施例は、従属項2〜11に提示される。また、その目的は、請求項12に記載された方法を利用する特定の応用分野のために実現される。
【0009】
本発明の設計に従った渦発生器は、少なくとも一つの螺旋形状の円錐チャンバであり、その媒体をその回転対称キャビティからその渦チャンバに向かわせるための円錐チャンバを含む注入口部分を有する。その渦チャンバは、トランペット形状又は卵形状の何れかである。また、その渦チャンバにおけるトランペット形状の内側の縦方向の断面は、関数f(x)=k×xで与えられるような態様で設計され、それらパラメータの以下の変動は、その渦チャンバにおけるトランペット形状の縦方向断面の定義の範囲を表す。
8500≦k≦9000、−1.1≦y≦−1.0。
【0010】
その関数は、初期値x0とx0+250の長さ単位の間で定義され、x0は、70≦x0≦170に従って変化する。
【0011】
また、その渦チャンバにおける卵形状の内側は、関数f(x)=k×x+k×y−Cで与えられ、それらパラメータの以下の変動は、その渦チャンバにおける卵形状の縦方向断面の定義の範囲を表す。
【0012】
18≦C≦21、x≦0の場合、k≧0.003且つk≧0.005、x>0の場合、k≧0.002且つk≧0.005。
【0013】
本発明の設計を通じて、その媒体は、浴槽を空にする場合に形成される渦と同様に、自己組織化に向けたはずみ(impulse)を受け、そして、内部の渦運動は、外部容器の表面によってもたらされる減速効果によって維持される。このようにして、流れる媒体にはずみを与えることによって、長持ちし且つ良好に構成される渦が創出され、維持され、且つ、その初期のはずみが与えられた後もより長い間継続するようにされ得る。本発明の設計に従った渦発生器は、良好に構成された渦を、既に確立された技術を通じて実現され得るものよりもかなり低い圧力及び流速で発生させることができる。また、それは、液体とガスとの効率的な混合を得ることを可能にし、それは、より少ないエネルギー及びより少ない原料使用量しか必要としないことでコスト効率がより高くなる異なるプロセスをもたらす。更に、その渦発生器が構築されるその方法のおかげで、その渦の中心で減圧が形成され、例えば、ガス又は粒子の分離に使用され得る真空ポンプとして機能する。
【0014】
その媒体は、好適には、液状又はガス状である。
【0015】
本発明に係る実施例に従って、その渦発生器は、更に、その注入口部分に取り付けられる渦集中器で構成され、また、この渦集中器は、その外表面で、その注入口部分における螺旋形状の円錐チャネルからその渦チャンバへ向けられる媒体の流れに囲まれるような態様で位置付けられる。その渦集中器のこの外表面は、その隣で減圧が形成されるよう、その流れを減速させるように設計されている。更に、その渦集中器は、形成された渦の安定性を増大させる。
【0016】
実施例に従って、その注入口部分は、その渦集中器の取り付けのための、面取りを施した縁(beveled edge)を有する。
【0017】
これは、その渦集中器の取り付けが容易であることを意味する。
【0018】
その渦発生器の注入口部分は、
その媒体の二次流れをその注入口部分における回転対称キャビティからその渦集中器の内側に向けるための中央チャネルを含んでいてもよい。この場合、その渦集中器はまた、その渦集中器の内側からその渦チャンバにその二次流れを向けるための出口部分、及び、その中央チャネルとその渦集中器の内側との間に置かれるチャネルディスクを有し、そして、このチャネルディスクは、その中央チャネルからその渦集中器の内側にその二次流れを向けるための少なくとも一つの傾斜チャネルを有する。この設計を用いることにより、渦は、その渦集中器の内側で創出され、そして、この二次渦がその渦集中器を出るときに、その渦集中器の内側に存在する圧力であり、その渦チャンバ内の圧力に比べて高い圧力のおかげで、それは加速し、且つ、高速度及び高回転でその渦チャンバ内に飛び出していく。その結果として、その渦チャンバ内の主要渦は、更に集中される。
【0019】
その渦集中器の内側は、好適には、回転対称キャビティを有する。そうすることによって、その渦集中器の内側における渦の形成は、強化される。
【0020】
本発明に係る実施例に従って、少なくとも一つの渦チャネルを備えたノズルは、その渦集中器の内側で、その渦集中器の出口から見た上流に、に置かれる。そのノズルの助けにより、その渦集中器内で形成される渦は、集中される。
【0021】
その渦発生器の注入口部分は、好適には、その注入口部分の内側に突出する少なくとも一つのウイングを有する。この付加物を有することにより、その注入口部分に向けられた媒体は、はずみを与えられ、渦の形成を加速させる。
【0022】
そのウイングは、好適には、その注入口部分の回転対称キャビティの上流に置かれる。それにより、その媒体は、その媒体がその注入口部分のキャビティに達する前であっても渦運動が開始されるように、早期はずみを与えられる。
【0023】
その渦チャンバの内側の方に向けられるその表面の一つに、その注入口部分は、丸い凹みを有していてもよい。この凹みは、その渦チャンバの内部形状の一部を構成し、且つ、その渦を更に安定化させる効果を有する。
【0024】
本発明に係る渦発生器は、有利的には、その渦の中心に混入物を集めることによって、水を浄化するために配置される。
【0025】
水を浄化するその方法に従って、汚染水は、本発明の設計に従って構成された渦発生器に向けられる。混入物はその渦の中心の内側に効率的に集められ且つ遠ざけられ、一方で、浄化された水は、それら混入物の半径方向外側に通過し得る。
【0026】
図群において、図1及び図2は、渦チャンバにおける二つの異なる形状を備えた全体構造の断面を示し、どのようにして様々な渦が形成され且つ構成されるかを示し、また、どのようにしてその注入口部分、その渦集中器、及び、その外部容器が相互に関連して取り付けられるかを示す。
【0027】
図3は、その螺旋形状で且つ円錐形のチャネルのための出口開口、及び、中心を流れる二次流れを回転させるチャネルディスクを有する注入口部分を下から見た詳細なイメージを示す。
【0028】
図4は、はずみ生成ウイング、湾曲形状を持つ回転対称キャビティ、及び、様々な二次流れのためのチャネル群を有する注入口部分の断面を示す。
【0029】
図5は、下から見た注入口部分を示し、また、どのようにして様々な二次流れが接線方向にその渦チャンバ内に飛び出していくかを示す。
【0030】
図6は、再び、注入口部分の断面を示すが、今回は、様々な微小渦がどのようにして且つどこで形成されるか、それらがその回転対称キャビティ内でどのようにして形成されるか、及び、それらがその後に螺旋形状チャネルの注入口を通じてそれらチャネル内にどのように放出されるかを示す。
【0031】
図7は、その渦集中器の詳細なイメージを示し、且つ、様々な渦がその渦集中器の周り及びその内側でどのように生成され且つ形成されるかを示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】渦チャンバの全体構造の断面図である。
【図2】渦チャンバの全体構造の断面図である。
【図3】注入口部分を下から見た詳細なイメージである。
【図4】注入口部分の断面図である。
【図5】注入口部分を下から見た図である。
【図6】注入口部分の断面図である。
【図7】渦集中器の詳細なイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明のより詳細な特徴及び有利点は、以下の詳細な記載を通じて明らかにされる。本発明は、図1及び図2に示される新しいタイプの渦発生器で構成され、その目的は、トランペット形状の渦チャンバ4a又は卵形状の渦チャンバ4bの何れかを用いて、流れる媒体を、制御された渦運動に至らせることである。
【0034】
その媒体は、初期回転を与えられながらも、その渦のより微細な構造が注入口部分1自身で既に編成されている。以下で詳細に説明される態様で方向付けられることによって、それは、主要渦5の軸の周りで回転させられる一方で、それは同時にそれ自身の流れの軸の周りを多重運動で回転する。その渦の継続する運動は、渦チャンバ4a及び4bの外壁からの減速効果によって維持される。
【0035】
その流れる媒体は、自己組織化に向けたはずみをそれが与えられることによって始まるプロセスに従うと言える。注入口部分1における開口を通じて流れるその媒体は、それらの圧迫側でその媒体の回転を開始させるウイング103によって、初期回転を開始させる。そのウイングの減圧側における比較的低い圧力のおかげで、その媒体のいくらかは、その渦のより微細な構造を構成する小さな微小渦内に吸い込まれる。それらの微小渦は、部分的には、それら自身を一緒にして、チャネル102a及び102bで形成されるより大きな渦の核を構成する“一団の”渦スレッドを編み上げるようにする。
【0036】
一団の渦スレッド109を伴う回転する媒体が回転対称キャビティ101に流入すると、その媒体は、湾曲形状108の外周に向けて強制的に押し付けられる。その回転する媒体は、キャビティ101の湾曲した外側に対してぴったりと付けられ、その後、その湾曲が再び上方に曲がると巻き上げられ、その後すぐに、一団の渦スレッドを伴う回転トーラスがその回転対称キャビティの内側に形成される。その媒体が一定量の過剰圧力で注入口部分1に押し込まれるので、そのトーラスの外側部分は、多くのチャネル102a及び102bに押しやられる。なお、それらの注入口は、回転対称キャビティの側部に位置付けられている。それらチャネル102a及び102bは、円錐形で且つ螺旋形であり、また、接線方向に渦チャンバ4a及び4bに通じている。チャネル102a及び102bのその円錐形状は、チャネルの注入口部分の表面積よりも小さいチャネルの出口部分の表面積をもたらす。それらチャネルに押しやられる回転する媒体は、より大きな渦であり、インゲンマメ形状によって部分的に編成され、また、この渦の核を構成する微小渦によって部分的に編成されるより大きな渦を形成する。チャネル102a及び102bのインゲンマメ形状は、内部の渦を維持し、且つ、それらの集中を促進する。それらチャネルが円錐形状であるため、それら渦は、その半径のサイズが減少するにつれて速度を増大させながら回転させられる。それらチャネルが螺旋形状であり、それらの流れの軸が接線方向に位置付けられているので、その媒体は、この方向110で渦チャンバ4a及び4bに押し込まれる。
【0037】
様々な二次流れは、外部容器3の内側、渦集中器2の外側、及び、渦集中器2によってカバーされていない注入口部分1の底の一部によって作られる渦チャンバ4a及び4bに押し込まれる。その注入口部分の螺旋形状のチャネル102a及び102bから出てくる媒体は、方向110に接線方向に流れ、そして、その注入口部分における弾力的な形状であるその渦チャンバに対する取り付け具105の下で正確に回転を開始させる。その後、その媒体は、下方に流れるように押しやられ、そして、その時点で、渦集中器2の周りを回転する。その媒体は、渦集中器2の外表面の周りを回転するので、コアンダ効果による影響を受ける。この結果、その媒体は、一種のブレーキとして作用するその表面によって、その表面に引き付けられ、その表面の直ぐ隣で減圧を創出し、且つ、三次元的な運動でその渦集中器の先端に向かって降りる渦を形成する。
【0038】
同じようにして、渦チャンバ4a及び4bの外表面の近くで減圧が創出されるが、もともとの渦が渦集中器2の周りでより大きな動きを有するので、この減圧は、主要渦5にそれほど強くは影響しない。これは、その渦集中器の周りに構築される渦、及び、その外周からその渦集中器の表面に向かってその媒体を吸い込む、その渦集中器の周りをその媒体が通過させられるときに生じる減圧をもたらす。
【0039】
その媒体の二次流れは、真っ直ぐなチャネル104を通じて渦集中器2に流れ込み、そして、より小さな流れであってもその二次流れを上方に向ける傾斜チャネルを備えたチャネルディスク106で構成されるノズルを通じてその渦集中器に押し込まれ、それらは、順々に、渦集中器2の内側で接線方向に内側に押し込まれる。その内側は、その外側と同じように形成され、その結果、回転対称キャビティ201を創出する。その媒体の流れはそれら両側に押し付けられるので、それらは、回転を開始し、渦が形成される。その渦がその渦集中器の内側の先端に達すると、それは、出口開口202を通じて、渦チャンバ4a又は4b内に出ることができる。その渦チャンバ内よりもその回転対称キャビティ内のほうが圧力は高いので、その渦は、その渦集中器内で加速し、高速度及び高回転でその先端を飛び出していく。
【0040】
渦集中器2の先端から流れ出す渦は、出口開口202の内側でそれらが出会ったときに、ロープにおけるより糸のように絡み合う一以上の二次渦で構成される。それら二次渦は、その渦集中器の内側のノズル203の内側で形成される。そのノズルの内側には、それら二次渦を捉え且つ形成する少なくとも一つの渦チャネル204がある。そのノズルは、それらチャネルが周囲の渦に向かって開くところで、円錐形状になっている。その渦における媒体は、それらチャネル内に押し込められ、且つ、小さな渦をここで創出し、それらは、その圧力によってその出口開口に向けて押しやられる。様々な二次渦がその出口開口で出会うので、それらは、より合わされて結束渦となる。その渦のこの部分は、その高速回転及び中心流を通じて減圧を創出し、その主要渦をより一層集中させるようにする。
【0041】
渦集中器2の先端から出てくる中心渦6は、それら二次流れが渦集中器2の周りに集まるときに形成される主要渦5の中心のところでその核心を構成する。
【0042】
渦チャンバ4a及び4bの内側は、その媒体の周辺で一種の減速効果を有し、それは、周辺流れの速度を低下させる。この外部容器は、その媒体と接触し、且つ、この前述の減速効果の基礎を成す安定した層を提供する表面を有する。このことは、螺旋形状の流れの視覚化の創出をもたらし、また、その渦の継続した運動の維持をもたらす。渦チャンバ4a及び4bの内側の縦方向の断面は、トランペット形状として表現されてもよく、或いは代替的に、その渦の加速を制御するのに適した形状を同様に構成する卵形状として表現されてもよい。
【0043】
トランペット形状の渦チャンバ4aの内側401の縦方向の断面は、関数f(x)=k×xで与えられ、それらパラメータの以下の変動は、その渦チャンバのトランペット形状の縦方向断面における定義の範囲を表す。
【0044】
8500≦k≦9000、−1.1≦y≦−1.0。
【0045】
その関数は、初期値x0とx0+250の長さ単位の間で定義され、x0は、70≦x0≦170に従って変化する。或いは、渦チャンバ4bの卵形状402は、関数f(x)=k×x+k×y−Cとして定義され、特定の応用における渦の加速を管理するのに適したものとなり得、それらパラメータの以下の変動は、その渦チャンバの卵形状の縦方向断面における定義の範囲を表す。
【0046】
18≦C≦21、x≦0の場合、k≧0.003且つk≧0.005、x>0の場合、k≧0.002且つk≧0.005。
【0047】
所与のトランペット形状又は卵形状の関数に従って注入口部分1から出口410に向かう方向に半径が減少するので、その渦の角振動数は、所与の形状に従って増大する。運動量は保存されるからである。その渦チャンバの外周による減速効果は、それでもなお機能しており、螺旋形状の流れのプロファイルが更にずっと絡み合わされるという結果をもたらす。様々な態様でその形状を形成することによって、その周辺速度の元の値が維持されるように、その渦の角振動数の加速を制御することが可能である。
【0048】
渦チャンバ4a又は4bの形状による効果、及び、その周辺における減速効果は、その渦が、その渦の中心に向かって内側に、その回転数を増大させるという結果をもたらし、そして、その平面における回転から始まって縦方向にその中心軸に沿って長引く回転を伴う流れのプロファイルとなる流れのプロファイルをもたらす。その渦チャンバ内の圧力は、その外側の圧力よりも高く、そういうわけで、それら媒体は、内表面と同じ減速効果にさらされないその中心部分がより高い軸方向速度を実現するといった様式で、その圧力による影響を受ける。その渦は、ほとんど増大しない螺旋形状の回転から、より大きな軸方向の、高速度の軸方向流れを持つ回転に変換される。
【0049】
そのトランペット形状のものとその卵形状のものとの間の差は、トランペット形状のものを用いた場合に、より高い軸方向速度が実現されるという点にある。これは、その卵形状のものが、例えば、その媒体が適切な分散イメージに吹き付けられるというノズルの応用により適したものであるという結果をもたらす。そのトランペット形状のものは、例えば、ジェットエンジンの燃焼室、又は、ウォータージェットでの応用といった、流れる媒体の高い初速度が必要とされるところでの応用に適している。
【0050】
上述のような態様で、流れる媒体にはずみを与えることによって、長持ちし且つ良好に構成される渦であり、そのはずみを与えるもの自体を超えて更なる距離にわたって継続する渦が創出され且つ維持されてもよい。更に、その渦は、既に確立されている比較可能な技術と比べて、かなりの低圧及び低流速で、且つ、同じ体積の渦チャンバを用いて形成される。本発明を用いることの有利点の一つは、例えば、かなり高い圧力でしか効果を見せ始めないハイドロサイクロンといった既に確立された技術と比べて、0バールより僅かに高い程度の低い圧力で動作可能という点にある。
【0051】
その渦発生器に向けられる媒体は、ガス状であっても液状であってもよいが、それは、液体と気体との混合物であってもよい。
【0052】
本発明の設計に従って、その渦発生器は、複数の分野で使用され得る。それは、特に、浄水(下水処理及び飲料水の生産の双方である。)によく適している。その渦発生器の使用により、粒子は、その水から効率的に取り除かれ得る。それら粒子は、その渦の中心に集まり、そして、排出され得る。浄化された水は、混入物の半径方向外側に通過することができる。また、複数の実験は、溶質、例えば鉄イオンがその水から取り除かれ得ることを示した。
【0053】
その渦の中心で減圧が創出されるので、その渦発生器は、例えば、ガス又は粒子の分離に使用されてもよい。この特性は、例えば、スケートリンク(ice link)における氷のメンテナンスに用いられてもよい。その氷の上に注がれる水は、その水の流動特性を変える減圧を通じて気泡が抜かれ、それは、その水がより低い温度で使用され得ることを意味する。そのより低い温度にもかかわらず、その水は、その氷における気孔及び割れ目に容易に流れ込む。そして、このことは、より迅速且つ均一に凍る氷をもたらし、それは、製氷機の使用をより短い時間とすることを意味する。これは、エネルギーを節約し、メンテナンスコストを低減させる。このガス抜き効果はまた、産業用の氷の生産ばかりでなく、スノーキャノンを用いた雪の生産でも使用され得る。
【0054】
更に、その渦の中心における減圧は、流体内に気体を引き入れるためにも使用され得る。空気が水に引き込まれることが許容され、そのユニットが池で使用される場合、水における強い空気混入が生じ、それは、魚にとって有益であるばかりでなく、水中の栄養物を分解するバクテリアにとっても有益である。このようにして、藻類の成長を制御することが可能となる。池からの水は、浄化され、そして、その水がその池に戻される前に酸素が加えられてもよい。このようにして、その池の生態学的均衡が維持され得る。
【0055】
その渦の中心における減圧は、物質を混合するためのより一般的な方法で使用されてもよい。例えば、粉末が液体に加えられ且つ混ぜ合わせられ、ガスが液体に加えられ且つ混ぜ合わせられ、或いは、液体又はガスがガスに加えられ且つ混ぜ合わせられてもよい。
【0056】
この文脈において、応用分野の一つには、例えば、肥料が、その使用前に、水に混ぜ合わせられ得るといったところの灌漑がある。氷の生産における場合のように、その水の流動特性はまた、その水が疎水性の土壌の灌漑により適したものとなるよう、影響を受け得る。そのガス抜き効果は、コンクリートの生産でも使用され得る。処理された水は、より良好にそのコンクリートに染み込むためであり、その結果、完成品のコンクリートに更に高い耐久性を与える。
【0057】
その渦発生器は、バクテリア及び他の微生物を駆除するために用いられてもよい。その渦の中心における減圧は、殺菌効果を有する。バクテリア及び他の微生物は、最初に圧力にさらされ、その後、減圧にさらされるからである。それらバクテリアは、この圧力差に耐えることができず、その結果、死滅することとなる。
【0058】
別の殺菌効果は、オゾン発生器からその渦発生器にオゾンを引き込むために、その渦の中心における減圧を利用することによる。この場合、そのオゾンは、極めて効率的にその水の中に分配され、そのようにして、バクテリアの迅速な駆除を生じさせる。
【0059】
微生物の駆除は、例えば、船舶におけるバラスト水の処理において有用である。微生物は、そのバラスト水の中で生存し且つ増殖し、そして、その船がバラスト水で満たされたところの水とは異なる水系で、その船がバラスト水を空にする場合に、それらの微生物が蔓延する危険がある。従って、その水が排水される前にそれら微生物を死滅させることが望ましい。
【0060】
その渦発生器は、例えば、送水管における石灰のかすを減らすために用いられてもよい。その渦発生器を通過した水は、より少量のカルサイトとより多量のアラゴナイトを含んでいる。アラゴナイトは、カルサイトよりも、石灰のかすを形成する傾向が少ない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御された渦運動に媒体を至らせるための渦発生器であり、
前記媒体を前記渦発生器に向けるための注入口部分であり、湾曲形状を持つ回転対称キャビティを含む注入口部分を有し、
前記注入口部分に取り付けられる渦チャンバであり、その中で前記渦運動が確立される渦チャンバを更に有し、
前記注入口部分が、前記回転対称キャビティから前記渦チャンバに前記媒体を向けるための少なくとも一つの螺旋形状の円錐チャネルを有し、
前記渦チャンバが、トランペット形状又は卵形状の何れかであり、
前記トランペット形状の渦チャンバの内側の縦方向の断面が、関数f(x)=k×xで与えられ、それらパラメータの変動(8500≦k≦9000、−1.1≦y≦−1.0)が、前記渦チャンバにおけるトランペット形状の縦方向断面の定義の範囲を表し、
前記関数が、初期値x0とx0+250の長さ単位の間で定義され、x0が、70≦x0≦170に従って変化し、
前記卵形状の渦チャンバの内側が、関数f(x)=k×x+k×y−Cで定義され、それらパラメータの変動(18≦C≦21、x≦0の場合、k≧0.003且つk≧0.005、x>0の場合、k≧0.002且つk≧0.005)が、前記卵形状の渦チャンバにおける縦方向断面の定義の範囲を表す、
ことを特徴とする渦発生器。
【請求項2】
使用された前記媒体は、液状又はガス状の何れかである、
請求項1に従った渦発生器。
【請求項3】
前記注入口部分に取り付けられる渦集中器を更に有し、
前記渦集中器は、その外表面で、前記注入口部分における前記螺旋形状の円錐チャネルから前記渦チャンバへの前記媒体の流れに囲まれるように配置され、且つ、
前記渦集中器の外表面は、該外表面で減圧を創出するために、前記流れを減速させるように配置される、
請求項1又は2に従った渦発生器。
【請求項4】
前記注入口部分は、前記渦集中器の取り付けのための斜縁を有する、
請求項3に従った渦発生器。
【請求項5】
前記注入口部分は、前記注入口部分における前記回転対称キャビティから前記渦集中器の内側への前記媒体の二次流れの方向付けのための中央チャネルを更に有し、且つ、
前記渦集中器は、前記渦集中器の内側から前記渦チャンバへの前記二次流れの方向付けのための出口、及び、前記中央チャネルと前記渦集中器の内側との間に置かれるチャネルディスクを有し、
前記チャネルディスクは、前記中央チャネルから前記渦集中器の内側への前記二次流れの方向付けのための少なくとも一つの傾斜チャネルを有する、
請求項3又は4に従った渦発生器。
【請求項6】
前記渦集中器の内側は、回転対称キャビティを有する、
請求項5に従った渦発生器。
【請求項7】
少なくとも一つの渦チャネルを持つノズルが、前記渦集中器の内側の、前記渦集中器の出口の上流に置かれる、
請求項5又は6に従った渦発生器。
【請求項8】
前記注入口部分の内側は、前記注入口部分の内側に突出する少なくとも一つのウイングを有する、
先行する請求項の何れかに従った渦発生器。
【請求項9】
前記ウイングは、前記注入口部分の回転対称キャビティの上流に置かれる、
請求項8に従った渦発生器。
【請求項10】
前記注入口部分は、前記渦チャンバに向かって内側に曲がるその側部の一つのところに、丸い凹みを有する、
先行する請求項の何れかに従った渦発生器。
【請求項11】
前記渦の中心に混入物を集めることによって、水を浄化するよう配置される、
先行する請求項の何れかに従った渦発生器。
【請求項12】
先行する請求項の何れかに従った渦発生器に汚染水が向けられる、水を浄化する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−504856(P2010−504856A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531340(P2009−531340)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際出願番号】PCT/SE2006/001098
【国際公開番号】WO2008/039115
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(509088011)ヴァトレコ アーベー (1)
【Fターム(参考)】