説明

温度センサーを具えたデュアルコンパートメント半導体パッケージ

【課題】デバイス動作時のリスクを低減し高信頼性を実現した温度センサーを具えたデュアルコンパートメント半導体パッケージを提供する。
【解決手段】デュアルコンパートメント半導体パッケージ200は、第1及び第2コンパートメント222、228を有する導電性クリップ216を具える。第1コンパートメント222は、IGBTである第1ダイ202と、また第2コンパートメント228は、ダイオードである第2ダイ204と電気的、機械的に接続される。デュアルコンパートメント半導体パッケージ200は、第1ダイ202及び第2ダイ204とを電気的に接続するとともに、第1及び第2コンパートメント222、228の間に溝240を具え、第1ダイ202と第2ダイ204との間の電気的な接触を防止している。デュアルコンパートメント半導体パッケージ200の温度を測定するため、溝240の上、又は内側に温度センサーを設置することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に半導体分野に関するものであり、特には半導体ダイのパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
3相電動機駆動のような、高出力用途において電源スイッチを実行する際、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)はフリーホイールダイオードに接続される。IGBTとダイオードとを接続する方法の1つとして、デバイスを共通又は共同のパッケージに含める。例えば、共同パッケージに、ごく接近した共通基板上のIGBTとダイオードとを含めることができる。しかしながら、IGBTやダイオードが動作すると、不要の接触を生じ、信頼性の低下を招く。例えば、IGBTやダイオードが過度に熱くなり、共通基板との接触不良を起こす。別の方法として、IGBT及びダイオードを別のパッケージに含め、IGBT及びダイオードの動作時のリスクを低減させる。しかしながら、別のパッケージを用いることは、IGBTとダイオードとの間の距離を大きくし、デバイス間の接続においてより高いインダクタンスを生じる。さらに、通常はボンドワイヤが相互接続に使用されており、結果として電流通過容量が減少し、より高いインダクタンス及びより高い抵抗をもたらす。
【0003】
過度の温度上昇を防止するため、温度センサーがIGBTの温度を監視し、ヒートシンクがIGBT及びダイオードから熱を逃がしている。IGBTが外部の温度センサーを具える場合、温度センサーをIGBTと良好な熱的接触のある位置に取り付けることは困難であり、またヒートシンクや他の部品の設置を妨げる。このため、内部の温度センサーが通常IGBTに含まれる。内部の温度センサーはIGBTとともに形成されることで、温度センサーはIGBTと良好に熱的接触する一方で、ヒートシンクや他の部品の設置の妨げとならない。しかしながら、IGBTに内部の温度センサーを含めることは、IGBTのサイズを増大させ、また、IGBTの切替により発生するノイズ環境を原因として、温度信号の正確な測定が困難になる。さらに、内部の温度センサーは、IGBTの製造工程において追加のマスク層を必要とし、そのため、製造コストが増加する。
【0004】
それ故、デバイスが動作した際のリスクを低減し、より高い信頼性のパッケージにダイオードとともにIGBTを設けることが望まれている。さらには、ヒートシンクや他の部品の設置の妨げとならない温度センサーを具えることが望まれている。
【発明の概要】
【0005】
温度センサーを具えたデュアルコンパートメント半導体パッケージ、実質的には、少なくとも1つの図面と関連して表されるもの及び/又は示されるもの、完全には、特許請求の範囲に記載のものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】典型的な回路を示し、該回路は本発明の1つの実施形態によるデュアルコンパートメント半導体パッケージを使用して実施される。
【図2】本発明の1つの実施形態による典型的なデュアルコンパートメント半導体パッケージの断面図を示す。
【図3】本発明の1つの実施形態による典型的なデュアルコンパートメント半導体パッケージの上面図を示す。
【図4】本発明の1つの実施形態による基板に取り付けられた典型的なデュアルコンパートメント半導体パッケージの断面図を示す。
【図5】本発明の1つの実施形態による基板に取り付けられた典型的なデュアルコンパートメント半導体パッケージの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、温度センサーを具えたデュアルコンパートメント半導体パッケージを対象とするものである。次の説明には、本発明の実施に関連する特別な情報を含んでいる。当業者であれば、本願で論じられた特別な方法とは異なる方法により、本発明が実施されることを理解するであろう。また、発明の具体的詳細のいくつかについては、発明をわかりやすくするため論じていない。本願で述べていない具体的詳細は、ごく普通の当業者がもつ知識の範囲内のものである。
【0008】
本願における図面及びそれらに付随する詳細な説明は、本発明の典型的な実施形態を対象とするものにすぎない。簡潔にするため、本発明の原理を使用した他の実施形態は、本願では特に言及しておらず、図面でも特段説明していない。
【0009】
図1は回路100を示し、該回路100は本発明の1つの実施形態によるデュアルコンパートメント半導体パッケージを使用して実行される。回路100は、IGBT102及びダイオード104を具える。図1に示すように、ダイオード104はIGBT102と並列に接続される。ダイオード104は、カソードCとアノードAとを有する。IGBT102は、コレクタCIGBTとエミッタEIGBTとを有する。回路100において、ダイオード104のカソードCは、ノード106においてIGBT102のコレクタCIGBTと接続され、該ノード106は端子110と接続される。また、回路100において、ダイオード104のアノードAは、ノード108においてIGBT102のエミッタEIGBTと接続され、該ノード108は端子112と接続される。IGBT102は、端子114と接続されるゲートGIGBTを有するが、他の実施形態では、回路100においてIGBT102とダイオード104が逆平行、すなわちカソードCがエミッタEIGBTと接続され、アノードAがコレクタCIGBTと接続される。1つの実施形態では、IGBT102が電源スイッチを有し、ダイオード104がフリーホイールダイオードを有することもできる。例えば、回路100が、3相電動機駆動の一相に高圧側又は低圧側の電源スイッチを有することができる。
【0010】
図2は、本発明の1つの実施形態によるパッケージ200の断面図を示したものである。パッケージ200は、デュアルコンパートメント半導体パッケージである。図2に示すように、パッケージ200は導電性クリップ216、IGBTダイ202及びダイオードダイ204を具える。本実施形態では、導電性クリップ216は金属のクリップであり、詳しくは銅のクリップである。導電性クリップ216は、コンパートメント222、228、ウェブ224、230、壁226a、226b、232a、232b、拡張部234a、234b、234c、234d、接触部236a、236b、236c及び溝240を有する。
【0011】
IGBTダイ202は、下面244にゲート電極258及びエミッタ電極260、並びに、上面242に接続されたコレクタ電極246を有する。IGBTダイ202は、図1におけるIGBT102に相当する。それ故、ゲート電極258は図1におけるゲートGIGBT、エミッタ電極260は図1におけるエミッタEIGBT、接続されたコレクタ電極246は図1におけるコレクタCIGBTにそれぞれ相当する。いくつかの実施形態では、IGBTダイ202は、複数個のゲート電極、エミッタ電極及びコレクタ電極をそれぞれ有する場合がある。また、いくつか実施形態では、下面244がはんだ付け可能な金属(SFM)を有することもある。
【0012】
ダイオードダイ204は、下面252にアノード電極262を、上面250に接続されたカソード電極254を有する。ダイオードダイ204は、図1におけるダイオード104に相当する。それ故、アノード電極262は図1におけるアノードA、接続されたカソード電極254は図1におけるカソードCにそれぞれ相当する。いくつかの実施形態においては、ダイオードダイ204はそれぞれ複数個のアノード電極及びカソード電極を有する場合がある。また、いくつかの実施形態においては、下面252がはんだ付け可能な金属(SFM)を有する場合がある。
【0013】
パッケージ200は、IGBTダイ202の上面242及びダイオードダイ204の上面250とそれぞれ電気的に接続する。より詳しくは、IGBTダイ202のコレクタが、IGBTダイ202の上面242を介しコンパートメント222と電気的に接続され、ダイオードダイ204のカソードが、ダイオードダイ204の上面250を介し、コンパートメント228と電気的に接続される。
【0014】
図2に示すように、壁226a、226bがウェブ224の両端から下方に伸び、コンパートメント222の境界を定めている。コンパートメント222は、IGBTダイ202の上面242と電気的、機械的に接続される。図2に示すように、パッケージ200は、コンパートメント222と電気的及び機械的に接続され、はんだ又は導電性エポキシ樹脂(例えば、銀添加エポキシ樹脂)のような導電性材料からなる、接続されたコレクタ電極246、並びに、上面242及びコンパートメント222と機械的に接続するダイ接着材248を具える。いくつかの実施形態では、IGBTダイ202が上面242に複数個の接続されたコレクタ電極を有する場合がある。
【0015】
また、図2に示すように、壁232a、232bがウェブ230の両端から下方に伸び、コンパートメント228の境界を定めている。コンパートメント228は、ダイオードダイ204の上面250と電気的、機械的に接続される。図2に示すように、パッケージ200は、コンパートメント228と電気的及び機械的に接続され、はんだ又は導電性エポキシ樹脂(例えば、銀添加エポキシ樹脂)のような導電性材料からなる、接続されたカソード電極254、並びに、上面250及びコンパートメント228と機械的に接続するダイ接着材256を具える。本実施形態では、導電層254がコンパートメント228及びダイオードダイ204のカソードと電気的に接続している。いくつかの実施形態においては、ダイオードダイ204が上面250で複数個の接続されたカソード電極を有する場合がある。
【0016】
導電性クリップ216において、接触部236a、236b、236cは通常それぞれ平面からなる接触面を有し、基板とパッケージ200を接続するために使われる。いくつかの実施形態においては、接触部236a、236b、236cがそれぞれ基板上の導電トレースと電気的及び機械的に接続する。他の実施形態では、接触部236a、236b、236cの少なくとも1つ、特に接触部236bが、電気的及び/又は機械的に導電トレースと接続しない。また、本実施形態では接触部236a、236b、236cが同一平面状にある一方、いくつかの実施形態では接触部236a、236cのみが同一平面状にある場合がある。例えば、接触部236bが下面244、252及び接触部236a、236cより高い位置に配置される場合がある。また、いくつかの実施形態では、拡張部234b、234c及び接触部236bが連続になり、単一化する場合がある。また、現在の実施形態においては、接触部236a、236b、236cの下面は互いに同一平面上にあり、IGBTダイ202の下面244及びダイオードダイ204の下面252とも同一平面上にある。いくつかの実施形態においては、下面244及び下面252が、接触部236a、236b、236cの下面のうち少なくとも1つよりも高い位置に配置される場合がある。
【0017】
現在の実施形態においては、導電性クリップ216は、接触部236a、236b、236cと、壁226a、226b、232a、232bとを接続し、横方向に分離する拡張部234a、234b、234c、234dを有する。例えば、拡張部234bは、接触部236b及び壁226bと接続し、横方向に分離する。拡張部234cは、接触部236b及び壁226aと接続し、横方向に分離する。いくつかの実施形態においては、パッケージ200が拡張部234a、234b、234c、234dのうち少なくとも1つを含まない。例えば、接触部236aが、壁226aと直接的に接続され、接触部236bが壁226b、232aと直接的に接続され、接触部236cが壁232bと直接的に接続される場合がある。また、いくつかの実施形態では、図2に示すように接触部236a、236b、236cが壁226a、226b、232a、232bの横には配置されない場合がある。例えば、接触部236aが壁226aの下に配置され、壁226aと連続になり、単一化する場合もある。
【0018】
導電性クリップ216において、溝240がコンパートメント222と228の間に形成され、IGBTダイ202の下面244及びダイオードダイ204の下面252の間の電気的な接触を防止している。図2に示すように、溝240は接触部236b、拡張部234b、234c、コンパートメント222の壁226b及びコンパートメント228の壁232aにより境界を定められた窪みからなる。接触部236bは溝240の下にある。図2について示され、述べられた溝240の特定の構造は、該溝240に限定することを意図するものではない。例えば、他の実施形態においては、溝240は、具体的な例として、丸いものでも三角形のものでもよい。いくつかの実施形態においては、溝240は、接触部236b、拡張部234b、234cの両方、又はいずれか一方を含まない。本実施形態では、ウェブ224、230の上面が同一平面上にあり、溝240はウェブ224、230の下に拡張されている。
【0019】
コンパートメント222と228の間に溝240を形成することにより、溝240がIGBTダイ202の下面244とダイオードダイ204の下面252との間の電気的な接触を防止することができる。例えば、溝240がIGBTダイ202とダイオードダイ204との間の隔離を維持している。それ故、デバイスの相互接続不良並びにIGBTダイ202及びダイオードダイ204の動作による短絡のリスクは、従来の方法と比較して大幅に低減される。IGBTが外部に温度センサーを有する場合、温度センサーをIGBTと良好な熱的接触のある位置に取り付けるのは困難となり、ヒートシンクや他の部品の設置を妨げることにもなる。コンパートメント222とIGBTダイ202の上面242とを電気的、機械的に接続し、コンパートメント228とダイオードダイ204の上面250とを電気的、機械的に接続することにより、IGBTダイ202とダイオードダイ204とを、ボンドワイヤを使用せず、短いリード長で、デバイスの間隔をとりつつ、相互に接続することができる。それ故、パッケージ200は省スペース、高い電流通過容量、低インダクタンス、低抵抗という特徴を有する。また、パッケージ200は、任意の外部の温度センサー及び/又はヒートシンクの簡便な設置を可能とする。ボンドワイヤを使用することなく、ヒートシンクは、IGBTダイ202及び/又はダイオードダイ204と、それぞれその上面242、250を介して良好に熱的接触するように配置される。
【0020】
他の実施形態では、IGBTダイ202及び/又はダイオードダイ204が、図2に関して示されて、説明された実施形態とは異なる方法で、それぞれコンパートメント222、228と電気的、機械的に接続することができることに注意が必要である。例として、1つの実施形態では、アノード電極262がダイオードダイ204の上面250にある場合がある。さらに、図2ではIGBTダイ202、ダイオードダイ204を示しているが、他の実施形態ではIGBTダイ202、ダイオードダイ204が他の電気部品を有する場合があり、それぞれにIGBT及びダイオードを有する必要はない。
【0021】
ここで、図3について言及するが、図3は本発明の1つの実施形態によるパッケージ300の上面を示したものである。図3で示される2−2断面は、図2で示したパッケージ200の断面に相当する。図3には、導電性クリップ316、ウェブ324、330、壁326a、326b、332a、332b、拡張部334a、334b、334c、334d、接触部336a、336b、336c、IGBTダイ302及びダイオードダイ304を示しており、それぞれ図2に示された、導電性クリップ216、ウェブ224、230、壁226a、226b、232a、232b、拡張部234a、234b、234c、234d、接触部236a、236b、236c、IGBTダイ202及びダイオードダイ204に相当する。図3では、IGBTダイ302及びダイオードダイ304がそれぞれウェブ324、330の下に配置されており、それぞれ点線で示されている。
【0022】
1つの実施形態によれば、パッケージ300は缶364、366を有するデュアル缶封止半導体パッケージである。缶364は、ウェブ324及び壁326a、326b、326c、326dを有し、該壁326a、326b、326c、326dはウェブ324から下に伸ばされ、IGBTダイ302を取り囲んでいる。缶366は、ウェブ330及び壁332a、332b、332c、332dを有し、該壁332a、332b、332c、332dはウェブ330から下に伸ばされ、ダイオードダイ304を取り囲んでいる。図3における破線は、壁326a、326b、326c、326d、332a、332b、332c、332dの内側の境界を示している。
【0023】
図3に示すように、溝340は缶364と缶366との間に形成される。溝340は、IGBTダイ302とダイオードダイ304とを隔離することができる。本実施形態においては、溝340は缶364、366の長さに従って伸びている。いくつかの実施形態では、溝340が、図3に示すようには連続せず、缶364と缶366とを完全には分離しないことがある。図3では同じサイズで缶364と缶366とを示しているが、缶364と缶366とを互いに異なるサイズとすることも可能である。その上、IGBTダイ302とダイオードダイ304についても、それぞれ缶364、366に応じて異なるサイズとすることも可能である。また、いくつかの実施形態では、パッケージ300が、壁326c、326d、332c、332dを有さず、壁326a、326b、332a、332bを有する場合もあることに注意が必要である。
【0024】
次に図4について言及するが、図4は本発明の1つの実施形態に従った、基板470に取り付けられたパッケージ400の断面を示すものである。パッケージ400は、基板に取り付けられたパッケージ200に相当する。図4は、IGBTダイ402、ダイオードダイ404及び導電性クリップ416を示しており、それぞれ図2におけるIGBTダイ202、ダイオードダイ204及び導電性クリップ216に相当する。また、図4は基板470を示しており、該基板470はその上に形成された導電トレース472a、472b、472c、472d、472e、472f(ここでは導電トレース472a−fともいう。)を有する。基板470は、例えばセラミック、アルミナイトライド又は他の基板材料からなる。本実施形態では、導電トレース472a−fは基板470に接合された銅からなり、銅が直接接合された構造(DBC構造)を形成する。図4は、DBC構造を具えたパッケージ400を示す。
【0025】
また、図4には、接続された接触部474a、474d、474fを示しており、それぞれ図2における接触部236a、236b、236cに相当する。接続された接触部474a、474d、474fは、それぞれ導電トレース472a、472d、472fに接続される。接続された接触部474a、474d、474fは、電気的、機械的に基板470と接続され、はんだ又は導電性エポキシ樹脂(例えば、銀添加エポキシ樹脂)のような導電性材料を含む。図4は、接続されたゲート電極474b、接続されたエミッタ電極474c及び接続されたノード電極474eについても示しており、それぞれ図2における、ゲート電極258、エミッタ電極260及びアノード電極262に相当する。接続されたゲート電極474b、接続されたエミッタ電極474c及び接続されたアノード電極474eは、導電トレース472b、472c、472eに接続される。接続されたゲート電極474b、接続されたエミッタ電極474c及び接続されたアノード電極474eは、基板470と電気的、機械的に接続され、はんだ又は導電性エポキシ樹脂(例えば、銀添加エポキシ樹脂)のような導電性材料を含む。いくつかの実施形態では、IGBTダイ402及びダイオードダイ404はSFMを有する場合がある。
【0026】
パッケージ400は、IGBTダイ402とダイオードダイ404とを、短いリード長及びデバイス間隔で、相互に接続することを可能とする。本実施形態では、導電性クリップ416が図1におけるノード106に相当する。導電トレース472c、472eは電気的に接続されるとともに、基板470上の単一の導電トレースからなる場合があり、その集合で図1におけるノード108に相当する。また、導電トレース472bは図1における端子114に相当する。それ故、IGBTダイ402とダイオードダイ404とは相互に接続され、図1における回路100を形成する。本実施形態では、接続された接触部474dが溝440の下にあり、基板470に接続されている。図4では、接続された接触部474dが溝440の下にあり、基板470上の導電トレース472dと電気的に接続され、パッケージ400の電気的な接続部として設定され、有利に接触抵抗を低減させている。
【0027】
IGBTダイ402とダイオードダイ404は、例えば電源スイッチとして動作する場合、過度に温度が上昇する場合がある。結果として、接続されたゲート電極474b、接続されたエミッタ電極474c及び接続されたアノード電極474eは、IGBTダイ402及びダイオードダイ404を動かせない。しかしながら、溝440がIGBTダイ402とダイオードダイ404との間の隔離状態を有効に維持している。それ故、溝440がIGBTダイ402及びダイオードダイ404の各下面間の電気的な接触を防止することができる。そのようなことから、デバイスの相互接続不良並びにIGBTダイ202及びダイオードダイ204の動作による短絡のリスクを、最小限にすることができる。
【0028】
図2に関して上述したように、パッケージ200は任意の外部の温度センサーを簡便に設置することを可能にする。本実施形態においては、パッケージ400は温度センサー476を有し、該温度センサー476が、溝440の内側で、パッケージ400の上面より下に配置されている(いくつかの実施形態では、温度センサー476が、溝440の上又は一般的には溝440に隣接して設置される)。温度センサー476は導電性クリップ416と良好に温度接続しており、また該導電性クリップ416自体がIGBTダイ402と良好に温度接続しているため、温度センサー476はIGBTダイ402の温度を測定することができる。いくつかの実施形態では、温度センサー476がダイオードダイ404の温度を測定する場合もある。温度センサー476は、正温度係数(PTC)サーミスタ、負温度係数(NTC)サーミスタ、チップレジスタのような、適切な温度センサーからなる。
【0029】
図4は、充填材料478の中に埋め込まれた温度センサー476を示しており、該充填材料478は溝440を満たしている。充填材料478は温度センサー476の上に配置され、平坦化される。いくつかの実施形態では、充填材料478は熱伝導性材料からなる。いくつかの実施形態では、充填材料478は導電性材料からなる。また、いくつかの実施形態では、充填材料478は、熱的に及び/又は電気的に絶縁性の材料からなる。
【0030】
それ故、図4に示すように、パッケージ400はIGBTダイ402の外側に温度センサー476を有し、該温度センサー476はIGBTダイ402の温度を監視するように設定される。温度センサー476がIGBTダイ402の外側にあると、IGBTダイ402のサイズ及び製造コストを低減することができる。加えて、温度センサー476はIGBTの切替により発生するノイズ環境にほぼ干渉されることなく正確に温度を測定するこができる。また、溝440を具えることにより、パッケージ400のサイズを大きくすることなく、また他の部品の設置を妨げることなく、容易に温度センサー476が設置される。例えば、溝440の内側に温度センサー476を具えることにより、任意のヒートシンクを容易にパッケージ400に接続することができる。より詳しくは図5に関する記載にて説明する。
【0031】
次に、図5について言及するが、図5は本発明の一実施形態に従った、基板570に取り付けられたパッケージ500の断面を示すものである。パッケージ500は、図2におけるパッケージ200及び図4におけるパッケージ400に相当する。図5には、IGBTダイ502、ダイオードダイ504、導電性クリップ516、ウェブ524、530、コンパートメント522、528、溝540、上面542、550、接続されたコレクタ電極546及び接続されたカソード電極554を示しており、これらはそれぞれ図2におけるIGBTダイ202、ダイオードダイ204、導電性クリップ216、ウェブ224、230、コンパートメント222、228、溝240、上面242、250、接続されたコレクタ電極246、接続されたカソード電極254に相当する。図5には、基板570を示しており、これは図4における基板470に相当する。
【0032】
また、図5には溝540の上方に置かれたヒートシンク580を示している。本実施形態では、ヒートシンク580は下面584を有し、該下面584はウェブ524、530の上面と同一平面状にある。ヒートシンク580は適切なヒートシンクからなり、金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、セラミック材料、有機材料及びこれらを組み合わせたものを含む1又は1以上の層からなる。1つの実施形態においては、ヒートシンク580はDBCヒートシンクからなる。ヒートシンク580は導電性クリップ516のコンパートメント522、528と熱的に接続される。また、IGBTダイ502及びダイオードダイ504は導電性クリップ516のコンパートメント522、528と熱的に接続される。本実施形態においては、接続されたコレクタ電極546及び接続されたカソード電極554は、熱伝導性材料からなり、上面542、550それぞれの大部分をそれぞれ覆うことができる。それ故、IGBTダイ502及びダイオードダイ504は、導電性クリップ516及びヒートシンク580と良好に熱的接触する。
【0033】
本実施形態では、IGBTダイ502及び温度センサー576がそれぞれ導電性クリップ516と良好に熱的接触するので、温度センサー576はIGBTダイ502の外部にありながら、IGBTダイ502の温度を測定することもできる。その上、温度センサー576は溝540の内側にあるため、ヒートシンク580は容易にパッケージ500と接続できる。図5に示すように、ヒートシンク580は温度センサー576の上方にある。図5には、溝540の内側にある充填材料578、582を示している。本実施形態では、充填材料578は熱伝導性である一方、絶縁性を有する場合もある。それ故、導電性クリップ516との熱的接触は向上され得る。しかしながら、充填材料582は断熱性であり、温度センサー576とヒートシンク580とを断熱するように作られている。そのように、充填材料582がIGBTダイ502の温度測定の精度を向上させている。いくつかの実施形態においては、温度センサー576が、空洞部分により、ヒートシンク580と断熱及び絶縁される(但し、図5に示されていない)。それ故、上記のとおり、ヒートシンク580は導電性クリップ516と熱的に接続し、温度センサー570とは断熱される。いくつかの実施形態では、温度センサー576がなくヒートシンク580を有するものがあることに注意が必要である。しかしながら、溝540は充填材料582、578の両方又はいずれか一方を任意に有することができる。
【0034】
本実施形態では、ヒートシンク580は導電性クリップ516と電気的に接続されない一方、該ヒートシンク580はウェブ524、530の上にある。それ故、ヒートシンク580は、ウェブ524、530を覆うことで電気的にパッケージ500を保護している。また、ウェブ524、530は導電性である。さらに、ヒートシンク580はパッケージ500に剛性を持たせる一方、パッケージ500の過熱を抑え、相互接続不良のリスクを低減させる。
【0035】
それ故、図1乃至5の実施形態おいて上述したとおり、本発明は、IGBT及びダイオードのためのデュアルコンパートメント半導体パッケージを提供するものである。デュアルコンパートメント半導体パッケージは、第1及び第2コンパートメントの間に形成される溝を具え、該溝が、IGBTとダイオードとの間の隔離を維持することにより、IGBT下面とダイオード下面との間での電気的な接触を防止している。そのように、デバイスの相互接続不良並びにIGBT及びダイオードの動作による短絡のリスクを、最小限にすることができる。また、デュアルコンパートメント半導体パッケージはボンドワイヤを使用せずに、IGBTとダイオードとの間の相互接続を可能にしている。デュアルコンパートメント半導体パッケージの温度を測定するため、外部の温度センサーが任意に溝の上に設置される場合がある。外部の温度センサーは、デュアルコンパートメント半導体パッケージのサイズを大きくすることなく、簡便に設置される。また、任意のヒートシンクは、IGBT及びダイオードと容易に熱的接触させることができる。
【0036】
上記の本発明の説明より、その範囲から外れることなく本発明の概念を実施するために、様々な技術が使用される得ることは明らかである。その上、本発明についてはいくつかの実施形態への具体的な言及をしてきた一方、当業者は、発明の精神及び範囲から外れることなく、形式や細部を変えることを理解できるであろう。それ故、説明された実施形態は、実施例となるものであり、制限されるものではないということを、あらゆる点で考慮されるべきである。本発明は、ここで述べられた特定の実施形態に限定されず、本発明の範囲を外れることなく多様な再配置、変更及び置換が可能であることも理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2コンパートメントを有し、該第1コンパートメントが第1ダイの上面と電気的及び機械的に接続され、該第2コンパートメントが第2ダイの上面と電気的及び機械的に接続された、導電性クリップと、
前記第1及び第2コンパートメントの間に形成され、前記第1ダイと第2ダイとの接触を防ぐ溝とを具え、
前記第1ダイの上面と前記第2ダイの上面とを電気的に接続するデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項2】
前記第1ダイが絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を有する請求項1記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項3】
前記第2ダイがダイオードを有する請求項1記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項4】
前記第1ダイがIGBTを有し、
前記第2ダイがダイオードを有する請求項1記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項5】
前記第1ダイがIGBTを有し、
前記第1ダイの前記上面に該IGBTのコレクタ電極があり、前記第1ダイの下面に該IGBTのゲート電極及びエミッタ電極がある請求項1記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項6】
前記第1ダイがIGBTを有し、前記第2ダイがダイオードを有し、
前記IGBTのコレクタが前記第1ダイの前記上面を介して電気的に前記第1コンパートメントと接続され、前記ダイオードのカソードが前記第2ダイの前記上面を介して電気的に前記第2コンパートメントと接続される請求項1記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項7】
前記導電性クリップが前記溝の下に接触部を有し、
前記接触部が基板と接続するために設けられる請求項1記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項8】
前記デュアルコンパートメント半導体パッケージの温度を測定するため、前記溝の上にある温度センサーを具える請求項1記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項9】
前記溝の上にヒートシンクを具える請求項1記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項10】
前記第1及び前記第2コンパートメントと熱的に接続されるヒートシンクを具える請求項1記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項11】
前記第1コンパートメントの上面が前記第2コンパートメントの上面と同一平面上にある請求項1記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項12】
第1及び第2コンパートメントを有し、該第1コンパートメントが第1ダイの上面と電気的及び機械的に接続され、該第2コンパートメントが第2ダイの上面と電気的及び機械的に接続された、導電性クリップと、
前記第1及び第2コンパートメントの間に形成され、前記第1ダイと第2ダイとの接触を防ぐ溝と、
デュアルコンパートメント半導体パッケージの温度を測定するため、前記溝と隣接する温度センサーとを具えるデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項13】
前記第1ダイがIGBTを有する請求項12記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項14】
前記第2ダイがダイオードを有する請求項12記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項15】
前記第1ダイがIGBTを有し、
前記第2ダイがダイオードを有する請求項12記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項16】
前記温度センサーが前記第1ダイの外側にあり、前記第1ダイの温度を測定するために設定される請求項12記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項17】
前記温度センサーが前記溝の中にある請求項12記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項18】
前記温度センサーの上にヒートシンクを具える請求項12記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項19】
前記第1及び前記第2コンパートメントと熱的に接続されるヒートシンクを具える請求項12記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。
【請求項20】
前記導電性クリップと熱的に接続し、前記温度センサーから断熱されるヒートシンクを具える請求項12記載のデュアルコンパートメント半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−212863(P2012−212863A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−42346(P2012−42346)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(597161115)インターナショナル レクティフィアー コーポレイション (71)
【Fターム(参考)】