測位システム、および携帯端末
【課題】GPSを利用して自機の位置を測位する方式がMS−Assisted型である携帯端末がセンタに接続できない状況であっても、測位結果を取得することができ、且つこの測位結果を他の携帯端末で利用することができる測位システムを提供する。
【解決手段】携帯電話1は、GPS衛星3から受信したGPS信号を、近距離無線通信でディジタルカメラ2に送信する。ディジタルカメラ2は、携帯電話1から送信されてきたGPS信号を処理して、この携帯電話1の位置を測位し、測位結果を携帯電話1に返信する。また、今回測位した携帯電話1の位置を自機の位置としても記憶する。
【解決手段】携帯電話1は、GPS衛星3から受信したGPS信号を、近距離無線通信でディジタルカメラ2に送信する。ディジタルカメラ2は、携帯電話1から送信されてきたGPS信号を処理して、この携帯電話1の位置を測位し、測位結果を携帯電話1に返信する。また、今回測位した携帯電話1の位置を自機の位置としても記憶する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、GPS(Global Positioning System)を利用して、現在位置を測位する測位システム、および、この測位システムに用いる携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPSを利用して現在位置を測位する機器が実用化されている。GPSによる測位は、周知のように、少なくとも3機の衛星から発信されたGPS信号を受信し、これらのGPS信号を用いて自機(受信機)の位置を算出する方法である。具体的には、衛星は、衛星の軌道情報であるアルマナックデータ、および衛星の詳細起動情報と信号の発信時刻を示すエフェメリスデータをGPS信号に重畳して電波で発信している。受信機の位置は、GPS信号を受信した3機の衛星について算出した、この受信機との距離を用いた三角交差法により測位している。
【0003】
また、特許文献1、2等に示されているように、衛星から発信されたGPS信号を受信するGPS受信部を設け、GPSを利用して自機の位置を測位する携帯電話(所謂GPS機能付携帯電話)が実用化されている。一般的なGPS機能付携帯電話は、GPS受信部において衛星から受信したGPS信号を処理して自機の位置を測位する機能を備えておらず、衛星から受信したGPS信号をセンタに送信する。当該センタが、GPS機能付携帯電話から送信されてきたGPS信号を用いて、このGPS機能付携帯電話の位置を測位する演算を行い、演算結果である測位結果を当該GPS機能付携帯電話に返信する。GPS機能付携帯電話は、センタから測位結果を受信することにより、自機の位置を取得する。この方式は、一般にMS−Assisted型と呼ばれている。
【0004】
さらに、BlueTooth(登録商標)、ZigBee等の近距離無線通信機能を備え、この近距離無線通信機能で自機の位置を他の携帯端末、例えばディジタルカメラ、に通知するGPS機能付携帯電話も提案されている(特許文献3参照)。これにより、GPSによる測位機能を有していない携帯端末においても、自機の位置を取得し、利用することができる。例えば、ディジタルカメラでは、GPS機能付携帯電話との近距離無線通信で取得した位置を撮像場所とし、撮像した撮像画像のデータに対応づけることができる。これにより、撮像画像毎に、その撮像場所が対応づけられることになり、ユーザにおける撮像画像の管理を助けることができる。
【特許文献1】特開2005−202397号公報
【特許文献2】特許第3671795号公報
【特許文献3】特票2005−528049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、MS−Assisted型のGPS機能付携帯電話は、衛星から受信したGPS信号を、携帯電話網を介してセンタに送信する。このため、GPS機能付携帯電話は、自機の位置が携帯電話網に接続できない場所、所謂圏外、に位置しているとき、衛星から受信したGPS信号をセンタに送信することができない。したがって、従来のGPS機能付携帯電話は、圏外に位置しているとき、GPSを利用して自機の位置を測位することができないという問題があった。また、GPS機能付携帯電話が自機の位置を取得することができないので、このGPS機能付携帯電話との近距離無線通信で自機の位置を取得する他の携帯端末においても、自機の位置を取得することができない。すなわち、特許文献3に示されている構成では、GPS機能付携帯電話が圏外に位置しているときには、各機器で、GPSを利用して測位された自機の場所を利用することができなかった。
【0006】
この発明の目的は、GPSを利用して自機の位置を測位する方式がMS−Assisted型である携帯端末がセンタに接続できない状況でも、測位結果を取得することができ、且つこの測位結果を他の携帯端末で利用することができる測位システム、およびこの測位システムに適用される前記他の携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を備えている。
【0008】
近距離無線通信を行う近距離無線通信手段を備えた第1、および第2の携帯端末を有し、衛星が電波で発信している信号を利用して測位する測位システムにおいて、
前記第1の携帯端末は、
衛星が電波で発信している信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段が受信した信号を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第2の携帯端末に転送する信号転送手段と、を備え、
前記第2の携帯端末は、
前記近距離無線通信手段で、前記第1の携帯端末の信号転送手段により転送されてきた前記信号を受信したとき、受信した信号に基づいて前記第1の携帯端末の位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された前記第1の携帯端末の位置を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第1の携帯端末に通知する測位結果通知手段と、を備えている。
【0009】
この構成では、第1の携帯端末が、衛星から発信されている信号、所謂GPS信号、を信号受信手段で受信し、受信した信号を、BlueTooth(登録商標)、ZigBee等の近距離無線通信手段を利用して、第2の携帯端末に転送する。衛星から発信されている信号は、衛星の軌道情報であるアルマナックデータ、および衛星の位置と信号の発信時刻を示すエフェメリスデータである。また、第2の携帯端末が、第1の携帯端末から転送されてきた信号を受信すると、測位手段において受信した信号を処理し、第1の携帯端末の位置を測位する。第1の携帯端末と、第2の携帯端末との通信は、上述したように近距離無線通信であることから、これら2つの携帯端末は、略同じ場所に位置している。したがって、第2の携帯端末は、上述した処理を行うことにより、自機の位置を取得することができる。また、第2の携帯端末の測位結果通知手段が、上述した処理で取得した第1の携帯端末の位置を近距離無線通信手段を利用して、第1の携帯端末に通知する。したがって、第1の携帯端末においても、自機の位置を取得することができる。
【0010】
また、第1の携帯端末がGPSによるMS−Assisted型の測位機能を備えたGPS機能付携帯電話である場合において、この携帯電話が携帯電話網に接続できない圏外に位置しているときでも、近距離無線通信の通信エリア内に第2の携帯端末があれば、GPSによる測位結果を得ることができる。
【0011】
また、第2の携帯端末においても、第1の携帯端末である携帯電話が、圏外に位置しているかどうかにかかわらず、自機の位置を取得することができる。ここで、第2の携帯端末としてディジタルカメラを用いれば、撮像画像と、この撮像画像を撮像した場所と、を対応づけて記憶することができ、ユーザにおける撮像画像の管理を助けることができる。
【0012】
また、この発明にかかる携帯端末は、上記測位システムにおける第2の携帯端末である。
【0013】
さらに、第1の携帯端末として、GPSによるMS−Based型の測位機能を備えたGPS機能付携帯電話を用いる場合には、第1の携帯端末が測位した自機の位置を、第2の携帯端末に通知する構成とすればよい。この場合には、第2の携帯端末に測位機能を設ける必要がないとともに、上述した作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、GPSを利用して自機の位置を測位する方式がMS−Assisted型、またはMS−Based型のどちらであるかにかかわらず、GPSによる測位結果を他の携帯端末で利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態である測位システムについて説明する。
【0016】
図1は、この発明の実施形態である測位システムを示す概略図である。この実施形態の測位システムは、携帯電話1、およびディジタルカメラ2を備えている。携帯電話1が、この発明で言う第1の携帯端末に相当し、ディジタルカメラ2がこの発明で言う第2の携帯端末に相当する。また、図1中に示す3は、GPS衛星である。図1では、GPS衛星3を3つ示している。携帯電話1は、GPS衛星3から発信されているGPS信号を受信するGPS受信部を備えた、所謂GPS機能付携帯電話である。GPS信号は、衛星の軌道情報であるアルマナックデータ、および衛星の位置と信号の発信時刻を示すエフェメリスデータである。また、携帯電話1と、ディジタルカメラ2とは、BlueTooth(登録商標)、ZigBee等の近距離無線通信で通信できる構成である。この実施形態の携帯電話1は、MS−Assisted型のGPS機能付携帯電話である。
【0017】
なお、携帯電話1と、ディジタルカメラ2との近距離無線通信は、Ir−DAによる赤外線通信で行う構成としてもよい。
【0018】
図2は、この発明の実施形態である測位システムで用いられる携帯電話の主要部の構成を示す図である。携帯電話1は、本体の動作を制御する制御部10と、携帯電話網(不図示)を介して他の携帯電話等の端末と通信する携帯電話通信部11と、GPS衛星が発信したGPS信号を受信するGPS受信部12と、近距離無線通信を行う近距離無線通信部13と、携帯電話通信部11を利用した他の端末との音声通信における入出力音声を処理する音声処理部14と、装置本体に対する入力操作を受け付ける操作部15と、装置本体の動作状態等を表示する表示部16と、を備えている。この携帯電話1は、ハードウェア的には、公知のMS−Assisted型のGPS機能付携帯電話に、近距離無線通信部13を付加した構成である。この近距離無線通信部13が、ディジタルカメラ2との近距離無線通信を行うための構成である。また、携帯電話1は、GPS受信部12において受信したGPS信号を、図示していないセンタに送信し、センタから測位結果を受信することで、自機の位置を取得する。携帯電話1は、センタとの通信を携帯電話通信部11で行う。また、携帯電話1は、近距離無線通信部13を利用して、GPS受信部12においてGPS衛星3から受信したGPS信号をディジタルカメラ2に送信する。また、携帯電話1は、近距離無線通信部13において、ディジタルカメラ2から送信されてきた測位結果を受信する。
【0019】
図3は、この発明の実施形態であるディジタルカメラの主要部の構成を示す図である。ディジタルカメラ2は、本体の動作を制御する制御部20と、画像を撮像する撮像部21と、撮像部21で撮像した画像を処理する画像処理部22と、撮像画像を記憶する撮像画像記憶部23と、ファインダ画像等を表示する表示部24と、装置本体に対する入力操作を行う操作部25と、近距離無線通信を行う近距離無線通信部26と、GPS信号であるアルマナックデータやエフェメリスデータを処理して測位するGPS処理部27と、を備えている。このディジタルカメラ2は、ハードウェア的には、公知のディジタルカメラに、近距離無線通信部26、およびGPS処理部27を付加した構成である。この近距離無線通信部26が、携帯電話1との近距離無線通信を行うための構成である。また、GPS処理部27が、携帯電話1から取得したGPS信号を処理し、この携帯電話1の位置を算出する測位処理を行う構成である。ディジタルカメラ2は、測位処理により得られた位置(携帯電話1の位置)を携帯電話1に通知する。この通知も、近距離無線通信で行われる。携帯電話1と、ディジタルカメラ2とは、上述したように近距離無線通信で通信することから、携帯電話1の位置とディジタルカメラ2の位置とは、略同じ位置である。そこで、ディジタルカメラ2は、上述の測位処理で得られた携帯電話1の位置を、自機の位置としても利用する。具体的には、ディジタルカメラ2は、撮像画像と、この撮像画像を撮像した位置(以下、撮像位置と言う。)と、を対応づけて撮像画像記憶部23に記憶する機能を有している。この撮像位置は、GPS処理部27における測位処理で取得した携帯電話1の位置である。
【0020】
なお、携帯電話1は、受信したGPS信号をセンタに送信し、センタから測位結果を得ることもできる。また、ディジタルカメラ2は、携帯電話1に対して、センタから取得した測位結果(この携帯電話1の位置)の転送を要求し、取得することもできる。このときの、携帯電話1と、ディジタルカメラ2との通信は、近距離無線通信で行う。
【0021】
以下、この発明の実施形態である測位システムの動作について説明する。
【0022】
携帯電話1は、GPS機能がオフされている第1モード、自機の位置をMS−Assisted型で測位する第2モード、自機の位置をディジタルカメラ2との連携で測位する第3モードで動作する。第1モード、および第2モードについては、公知のMS−Assisted型のGPS機能付携帯電話と同じであるので、ここでは説明を省略する。第1モード、第2モード、第3モードの切り替えは、操作部15におけるキー操作で行える。一方、ディジタルカメラ2は、携帯電話1と連携して、この携帯電話1の位置を測位するGPS機能をオフにしたAモード、および携帯電話1と連携して、この携帯電話1の位置を測位するGPS機能をオンにしたBモードで動作する。Aモード、Bモードの切り替えは、操作部25におけるキー操作で行える。また、ディジタルカメラ2の撮像部21における画像の撮像については、Aモード、Bモードにかかわらず、シャッタボタンを操作することで行える。Aモードについては、公知のディジタルカメラと同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0023】
図4は、この実施形態の測位システムにおける携帯電話の第3モードにおける動作を示すフローチャートであり、図5は、この実施形態の測位システムにおけるディジタルカメラのBモードにおける動作を示すフローチャートである。携帯電話1は、操作部15において、第3モードに切り替える操作が行われたときに、図4に示す処理を開始する。携帯電話1は、図4に示す処理の実行中に、操作部15において、別のモードに切り替える操作が行われると、図4に示す処理を停止し、切り替えられたモードでの動作を開始する。また、ディジタルカメラ2は、操作部25においてBモードに切り替える操作が行われたときに、図5に示す処理を開始する。ディジタルカメラ2は、図5に示す処理の実行中に、操作部25において、別のモードに切り替える操作が行われると、図5に示す処理を停止し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0024】
携帯電話1は、第3モードでの動作を開始すると、まず最初に、センタと通信できるかどうかを判定する(s1)。センタとの通信は、携帯電話通信部11で行われる。したがって、携帯電話1が、携帯電話網(不図示)に接続できない場所、所謂圏外、に位置しているとき、センタと通信できない。携帯電話1は、s1でセンタと通信できると判定すると、センタを利用して自機の位置を取得する第1の初期測位を行う(s2)。反対に、s1でセンタと通信できないと判定すると、ディジタルカメラ2を利用して自機の位置を取得する第2の初期測位を行う(s3)。s2、s3にかかる処理は、携帯電話1が自機の位置を取得するとともに、各GPS衛星3の軌道情報である有効なアルマナックデータを取得するための処理である。このs2、s3にかかる処理の詳細については、後述する。
【0025】
携帯電話2は、s2にかかる第1の初期測位が完了すると、近距離無線通信部13において、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出する(s4)。携帯電話2は、近距離無線通信部13の通信エリア内に位置している、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出している。すなわち、近距離無線通信部13において近距離無線通信が行えるディジタルカメラ2を検出している。
【0026】
なお、携帯電話2は、第2の初期測位にかかる処理で、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出している。したがって、携帯電話2は、s3で第2の初期測位を行った場合には、このs4にかかる処理を実行しない。
【0027】
また、携帯電話1は、s4で自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2が検出できないときには、予め定められた所定時間毎に、s4にかかる処理を繰り返す。
【0028】
携帯電話1は、s3の第2の初期測位にかかる処理が完了した場合、またはs4で自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出すると、GPS衛星3が発信しているGPS信号を、予め定められている第1の時間毎に受信する処理を開始する(s5、s6)。携帯電話1は、GPS信号をGPS受信部12で受信する。携帯電話1は、s6でGPS信号を受信すると、受信したGPS信号を記憶する(s7)。GPS信号は、制御部10に設けられている図示していないメモリに記憶される。また、携帯電話1は、このs5〜s7にかかる処理を実行しているときに、近距離無線通信部13でディジタルカメラ2からGPS信号の送信要求があると、本体に記憶している最新のGPS信号を、この送信要求を送信してきたディジタルカメラ2へ送信する(s8、s9)。GPS信号の送信要求の受信、およびGPS信号の送信は、近距離無線通信部13で行われる。また、携帯電話1は、近距離無線通信部13でディジタルカメラ2から送信されてきた自機の位置の測位結果を受信すると、記憶している自機の位置を更新する(s10、s11)。このs10、s11にかかる処理も、S5〜s7にかかる処理を実行しているときに行われる。さらに、携帯電話1は、近距離無線通信部13において、ディジタルカメラ2との近距離無線通信ができない状態になると、s4に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0029】
なお、携帯電話1は、この第3のモードで動作しているときにも、携帯電話通信部11において、携帯電話網を介して他の端末と通信することができる。また、携帯電話1は、操作部15において、他のモードへの切り替えにかかる操作や、装置本体の電源をオフする操作等が行われたときに、この図4に示す処理を終了し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0030】
次に、図5を参照しながら、ディジタルカメラ2におけるBモードの動作について説明する。ディジタルカメラ2は、Bモードでの動作を開始すると、近距離無線通信部26において、自機の位置の測位を連携して行う携帯電話1を検出する(s21)。ディジタルカメラ2は、実質的には携帯電話1の位置を、自機の位置として取得する。ディジタルカメラ2は、近距離無線通信部26において、携帯電話1との近距離無線通信が確立できると、自機の位置の測位を連携して行う携帯電話1を検出したと判断する。言い換えれば、上述した携帯電話1は、近距離無線通信部13において、ディジタルカメラ2との近距離無線通信が確立できると、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出したと判断する。
【0031】
なお、ディジタルカメラ2は、s21で自機の位置の測位を連携して行う携帯電話1が検出できないときには、予め定められた所定時間毎に、s21にかかる処理を繰り返す。また、ディジタルカメラ2は、この間においても、撮像部21で撮像した画像を、撮像画像処理部22で処理し、撮像画像記憶部23に記憶することができる。
【0032】
ディジタルカメラ2は、s21で自機の位置の測位を連携して行う携帯電話1を検出すると、予め定められた第2の時間毎に近距離無線通信部26から携帯電話1に対してGPS信号の送信を要求する(s22、s23)。この第2の時間は、上述した第1の時間と同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。ただし、ディジタルカメラ2における無用な測位処理(同じGPS信号に対する測位処理)を防止するために、第2の時間は、第1の時間以上に設定するのが望ましい。携帯電話1は、ディジタルカメラ2がs23で出力したGPS信号の送信要求を、上述したs8で受信する。
【0033】
また、ディジタルカメラ2は、s22、s23にかかる処理を実行しているときに、近距離無線通信部26において携帯電話1から送信されてきたGPS信号を受信すると(s24)、この受信したGPS信号をGPS処理部27で処理し、携帯電話1の位置を算出する測位処理を行う(s25)。s25にかかる処理は、GPS信号を用いた公知の三角交差法による測位処理であるので、ここでは詳細な説明を省略する。ディジタルカメラ2は、s25で携帯電話1の位置を算出すると、今回算出した位置を測位結果として携帯電話1に送信する(s26)。また、今回算出した携帯電話1の位置を、自機の位置として制御部20のメモリに記憶する(s27)。
【0034】
さらに、ディジタルカメラ2は、操作部25に設けられたシャッタボタン(不図示)が操作されると(s28)、その時点における撮像部21の撮像画像を画像処理部22に取り込む(s29)。ディジタルカメラ2は、s29で取り込んだ撮像画像と、この時点で記憶している最新の自機の位置と、を対応づけ(s30)、これを撮像画像記憶部23に記憶する(s31)。また、ディジタルカメラ2は、近距離無線通信部26において、携帯電話1との近距離無線通信ができない状態になると(s32)、s1に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0035】
なお、ディジタルカメラ2は、操作部25において、他のモードへの切り替えにかかる操作や、装置本体の電源をオフする操作等が行われたときに、この図5に示す処理を終了し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0036】
次に、携帯電話1のs2にかかる第1の初期測位について説明する。図6は、この第1の初期測位を示すフローチャートである。携帯電話1は、GPS受信部12でGPS衛星3から発信されているGPS信号を受信し(s41)、受信したGPS信号をセンタに送信する(s42)。s42では、携帯電話通信部11を利用して、今回受信したGPS信号をセンタに送信する。携帯電話1は、s42でGPS信号を送信した後、センタから自機の位置を示す測位結果を携帯電話通信部11で受信すると(s43)、ここで受信した測位結果に基づく自機の位置を記憶し(s44)、本処理を終了する。
【0037】
なお、携帯電話1は、この第1の初期測位において、本体に記憶しているアルマナックデータやエフェメリスデータの更新が必要であれば、これらのデータの更新を行う。また、携帯電話1は、必要に応じて、本体に記憶しているアルマナックデータやエフェメリスデータを近距離無線通信部13を利用してディジタルカメラ2に送信する。
【0038】
次に、携帯電話1のs3にかかる第2の初期測位について説明する。図7は、この第2の初期測位を示すフローチャートである。携帯電話1は、近距離無線通信部13において、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出する(s51)。このs51にかかる処理は、上述したs4にかかる処理と同じである。携帯電話1は、s51で自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出すると、GPS受信部12でGPS衛星3から発信されているGPS信号の受信を開始する(s52)。s52では、予め定められた所定時間毎に、GPS信号を受信する。携帯電話2は、ディジタルカメラ2からGPS信号の送信要求があると(s53)、最新のGPS信号をディジタルカメラ2に送信する(s54)。s54では、近距離無線通信部13を利用して、GPS信号を携帯電話2に送信する。携帯電話1は、s54でGPS信号を送信した後、ディジタルカメラ2から自機の位置を示す測位結果を近距離無線通信部13で受信すると(s55)、ここで受信した測位結果に基づく自機の位置を記憶し(s56)、本処理を終了する。
【0039】
このように、この実施形態の測位システムでは、携帯電話1がセンタと通信できない状態であっても、ディジタルカメラ2と連携して自機の位置を測位することができる。また、ディジタルカメラ2では、撮像画像に、この撮像画像の撮像位置を対応づけて記憶することができ、ユーザにおける撮像画像の管理を助けることができる。また、通信および測位、解析のタイミングは、時間だけでなく何らかの操作、例えば撮影にかかるシャッタ操作、をトリガとして実行してもよい。
【0040】
次に、この発明の別の実施形態について説明する。この実施形態は、携帯電話1をMS−Based型とした点で、上述した実施形態と異なっている。すなわち、携帯電話1は、適正なエフェメリスデータを取得していれば、受信したGPS信号から自機の位置を測位することができる。図8は、この実施形態の測位システムにおける携帯電話の第3モードにおける動作を示すフローチャートであり、図9は、この実施形態の測位システムにおけるディジタルカメラのBモードにおける動作を示すフローチャートである。
【0041】
なお、携帯電話1における第1モード、および第2モードの動作については、上述した実施形態と同様に、公知の携帯電話1と同じであり、ディジタルカメラ2におけるAモードの動作については、上述した実施形態と同様に、公知のディジタルカメラ2と同じであるので、ここでは説明を省略する。また、図8は、図4と同じ処理については同じステップ番号を付しており、図9は、図5と同じ処理については同じステップ番号を付している。
【0042】
この実施形態の携帯電話1も、操作部15において、第3モードに切り替える操作が行われたときに、図8に示す処理を開始する。携帯電話1は、図8に示す処理の実行中に、操作部15において、別のモードに切り替える操作が行われると、図8に示す処理を停止し、切り替えられたモードでの動作を開始する。また、ディジタルカメラ2は、操作部25においてBモードに切り替える操作が行われたときに、図9に示す処理を開始する。ディジタルカメラ2は、図9に示す処理の実行中に、操作部25において、別のモードに切り替える操作が行われると、図9に示す処理を停止し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0043】
携帯電話1は、第3モードでの動作を開始すると、まず最初に、図4に示したs1〜s4にかかる処理を行い、その後、GPS衛星3が発信しているGPS信号を、予め定められている第1の時間毎に受信する処理を開始する(s5、s6)。携帯電話1は、s6でGPS信号を受信すると、受信したGPS信号を解析し、自機の位置を示す位置情報を取得する(s61)。そして、携帯電話1は、s61で取得した自機の位置情報を、制御部10に設けられている図示していないメモリに記憶する(s62)。また、携帯電話1は、このs5、s6、s61、s62にかかる処理を実行しているときに、近距離無線通信部13でディジタルカメラ2から位置情報の送信要求があると、本体に記憶している最新の位置情報を、この送信要求を送信してきたディジタルカメラ2へ送信する(s63、s64)。位置情報の送信要求の受信、および位置情報の送信は、近距離無線通信部13で行われる。また、携帯電話1は、近距離無線通信部13において、ディジタルカメラ2との近距離無線通信ができない状態になると、s4に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0044】
なお、この実施形態の携帯電話1は、図4に示したs10、s11にかかる処理を実行しない。また、この実施形態の携帯電話1も、この第3のモードで動作しているときに、携帯電話通信部11において、携帯電話網を介して他の端末と通信することができる。また、携帯電話1は、操作部15において、他のモードへの切り替えにかかる操作や、装置本体の電源をオフする操作等が行われたときに、この図8に示す処理を終了し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0045】
次に、図9を参照しながら、ディジタルカメラ2におけるBモードの動作について説明する。ディジタルカメラ2は、Bモードでの動作を開始すると、上述した実施形態で説明したs21にかかる処理を実行する。この実施形態のディジタルカメラ2も、実質的には携帯電話1の位置を、自機の位置として取得する。ディジタルカメラ2は、s21で自機の位置の測位を連携して行う携帯電話1を検出すると、予め定められた第2の時間毎に近距離無線通信部26から携帯電話1に対して位置情報の送信を要求する(s22、s71)。この第2の時間は、上述した第1の時間と同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。携帯電話1は、ディジタルカメラ2がs71で出力した位置情報の送信要求を、上述したs63で受信する。
【0046】
また、ディジタルカメラ2は、s22、s71にかかる処理を実行しているときに、近距離無線通信部26において携帯電話1から送信されてきた位置情報を受信すると(s72)、この受信した位置情報を制御部20のメモリに記憶する(s73)。すなわち、ディジタルカメラ2は、携帯電話1から送信されてきた位置情報で示される位置を、自機の位置として記憶する。
【0047】
さらに、ディジタルカメラ2は、操作部25に設けられたシャッタボタン(不図示)が操作されると(s28)、上述した実施形態で説明したs29〜s31にかかる処理を行い、近距離無線通信部26において、携帯電話1との近距離無線通信ができない状態になると(s32)、s1に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0048】
なお、ディジタルカメラ2は、操作部25において、他のモードへの切り替えにかかる操作や、装置本体の電源をオフする操作等が行われたときに、この図5に示す処理を終了し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0049】
次に、この実施形態の携帯電話1のs2にかかる第1の初期測位について説明する。図10は、この第1の初期測位を示すフローチャートである。図10では、図6と同じ処理については、同じステップ番号を付している。携帯電話1は、センタからエフェメリスデータを受信する(s81)。s81では、携帯電話通信部11を利用したセンタとの通信で、エフェメリスデータを取得する。そして、携帯電話1は、GPS受信部12でGPS衛星3から発信されているGPS信号を受信し(s41)、s81で取得したエフェメリスデータを用いて、今回受信したGPS信号を解析し、自機の位置を示す位置情報を取得する(s82)。携帯電話1は、s82で取得した位置情報を記憶し(s83)、本処理を終了する。
【0050】
次に、携帯電話1のs3にかかる第2の初期測位について説明する。図11は、この第2の初期測位を示すフローチャートである。図11では、図7と同じ処理については、同じステップ番号を付している。携帯電話1は、近距離無線通信部13において、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出し、GPS受信部12でGPS衛星3から発信されているGPS信号の受信を開始する(s51、s52)。また、ディジタルカメラ2に対して受信したGPS信号を送信し(s54)、このディジタルカメラ2からエフェメリスデータを取得する(s91)。ディジタルカメラ2は、携帯電話1から送信されてきたGPS信号から、取得したエフェメリスデータを携帯電話1に送信している。携帯電話1は、s91で取得したエフェメリスデータを用いて、今回受信したGPS信号を解析し、自機の位置を示す位置情報を取得する(s92)。携帯電話1は、s92で取得した位置情報を記憶し(s93)、本処理を終了する。
【0051】
このように、この実施形態の測位システムも、携帯電話1がディジタルカメラ2と連携して自機の位置を測位することができる。また、ディジタルカメラ2では、撮像画像に、この撮像画像の撮像位置を対応づけて記憶することができ、ユーザにおける撮像画像の管理を助けることができる。また、通信および測位、解析のタイミングは、時間だけでなく何らかの操作、例えば撮影にかかるシャッタ操作、をトリガとして実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の実施形態である測位システムを示す概略図である。
【図2】この発明の実施形態である測位システムで用いられる携帯電話の主要部の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施形態であるディジタルカメラの主要部の構成を示す図である。
【図4】この実施形態の測位システムにおける携帯電話の第3モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図5】この実施形態の測位システムにおけるディジタルカメラのBモードにおける動作を示すフローチャートである。
【図6】この実施形態の測位システムにおける携帯電話の第1の初期測位を示すフローチャートである。
【図7】この実施形態の測位システムにおける携帯電話の第2の初期測位を示すフローチャートである。
【図8】別の実施形態の測位システムにおける携帯電話の第3モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図9】別の実施形態の測位システムにおけるディジタルカメラのBモードにおける動作を示すフローチャートである。
【図10】別の実施形態の測位システムにおける携帯電話の第1の初期測位を示すフローチャートである。
【図11】別の実施形態の測位システムにおける携帯電話の第2の初期測位を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1−携帯電話
2−ディジタルカメラ
3−GPS衛星
10−制御部
11−携帯電話通信部
12−GPS受信部
13−近距離無線通信部
20−制御部
21−撮像部
22−画像処理部
23−撮像画像記憶部
26−近距離無線通信部
27−GPS処理部
【技術分野】
【0001】
この発明は、GPS(Global Positioning System)を利用して、現在位置を測位する測位システム、および、この測位システムに用いる携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPSを利用して現在位置を測位する機器が実用化されている。GPSによる測位は、周知のように、少なくとも3機の衛星から発信されたGPS信号を受信し、これらのGPS信号を用いて自機(受信機)の位置を算出する方法である。具体的には、衛星は、衛星の軌道情報であるアルマナックデータ、および衛星の詳細起動情報と信号の発信時刻を示すエフェメリスデータをGPS信号に重畳して電波で発信している。受信機の位置は、GPS信号を受信した3機の衛星について算出した、この受信機との距離を用いた三角交差法により測位している。
【0003】
また、特許文献1、2等に示されているように、衛星から発信されたGPS信号を受信するGPS受信部を設け、GPSを利用して自機の位置を測位する携帯電話(所謂GPS機能付携帯電話)が実用化されている。一般的なGPS機能付携帯電話は、GPS受信部において衛星から受信したGPS信号を処理して自機の位置を測位する機能を備えておらず、衛星から受信したGPS信号をセンタに送信する。当該センタが、GPS機能付携帯電話から送信されてきたGPS信号を用いて、このGPS機能付携帯電話の位置を測位する演算を行い、演算結果である測位結果を当該GPS機能付携帯電話に返信する。GPS機能付携帯電話は、センタから測位結果を受信することにより、自機の位置を取得する。この方式は、一般にMS−Assisted型と呼ばれている。
【0004】
さらに、BlueTooth(登録商標)、ZigBee等の近距離無線通信機能を備え、この近距離無線通信機能で自機の位置を他の携帯端末、例えばディジタルカメラ、に通知するGPS機能付携帯電話も提案されている(特許文献3参照)。これにより、GPSによる測位機能を有していない携帯端末においても、自機の位置を取得し、利用することができる。例えば、ディジタルカメラでは、GPS機能付携帯電話との近距離無線通信で取得した位置を撮像場所とし、撮像した撮像画像のデータに対応づけることができる。これにより、撮像画像毎に、その撮像場所が対応づけられることになり、ユーザにおける撮像画像の管理を助けることができる。
【特許文献1】特開2005−202397号公報
【特許文献2】特許第3671795号公報
【特許文献3】特票2005−528049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、MS−Assisted型のGPS機能付携帯電話は、衛星から受信したGPS信号を、携帯電話網を介してセンタに送信する。このため、GPS機能付携帯電話は、自機の位置が携帯電話網に接続できない場所、所謂圏外、に位置しているとき、衛星から受信したGPS信号をセンタに送信することができない。したがって、従来のGPS機能付携帯電話は、圏外に位置しているとき、GPSを利用して自機の位置を測位することができないという問題があった。また、GPS機能付携帯電話が自機の位置を取得することができないので、このGPS機能付携帯電話との近距離無線通信で自機の位置を取得する他の携帯端末においても、自機の位置を取得することができない。すなわち、特許文献3に示されている構成では、GPS機能付携帯電話が圏外に位置しているときには、各機器で、GPSを利用して測位された自機の場所を利用することができなかった。
【0006】
この発明の目的は、GPSを利用して自機の位置を測位する方式がMS−Assisted型である携帯端末がセンタに接続できない状況でも、測位結果を取得することができ、且つこの測位結果を他の携帯端末で利用することができる測位システム、およびこの測位システムに適用される前記他の携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を備えている。
【0008】
近距離無線通信を行う近距離無線通信手段を備えた第1、および第2の携帯端末を有し、衛星が電波で発信している信号を利用して測位する測位システムにおいて、
前記第1の携帯端末は、
衛星が電波で発信している信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段が受信した信号を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第2の携帯端末に転送する信号転送手段と、を備え、
前記第2の携帯端末は、
前記近距離無線通信手段で、前記第1の携帯端末の信号転送手段により転送されてきた前記信号を受信したとき、受信した信号に基づいて前記第1の携帯端末の位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された前記第1の携帯端末の位置を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第1の携帯端末に通知する測位結果通知手段と、を備えている。
【0009】
この構成では、第1の携帯端末が、衛星から発信されている信号、所謂GPS信号、を信号受信手段で受信し、受信した信号を、BlueTooth(登録商標)、ZigBee等の近距離無線通信手段を利用して、第2の携帯端末に転送する。衛星から発信されている信号は、衛星の軌道情報であるアルマナックデータ、および衛星の位置と信号の発信時刻を示すエフェメリスデータである。また、第2の携帯端末が、第1の携帯端末から転送されてきた信号を受信すると、測位手段において受信した信号を処理し、第1の携帯端末の位置を測位する。第1の携帯端末と、第2の携帯端末との通信は、上述したように近距離無線通信であることから、これら2つの携帯端末は、略同じ場所に位置している。したがって、第2の携帯端末は、上述した処理を行うことにより、自機の位置を取得することができる。また、第2の携帯端末の測位結果通知手段が、上述した処理で取得した第1の携帯端末の位置を近距離無線通信手段を利用して、第1の携帯端末に通知する。したがって、第1の携帯端末においても、自機の位置を取得することができる。
【0010】
また、第1の携帯端末がGPSによるMS−Assisted型の測位機能を備えたGPS機能付携帯電話である場合において、この携帯電話が携帯電話網に接続できない圏外に位置しているときでも、近距離無線通信の通信エリア内に第2の携帯端末があれば、GPSによる測位結果を得ることができる。
【0011】
また、第2の携帯端末においても、第1の携帯端末である携帯電話が、圏外に位置しているかどうかにかかわらず、自機の位置を取得することができる。ここで、第2の携帯端末としてディジタルカメラを用いれば、撮像画像と、この撮像画像を撮像した場所と、を対応づけて記憶することができ、ユーザにおける撮像画像の管理を助けることができる。
【0012】
また、この発明にかかる携帯端末は、上記測位システムにおける第2の携帯端末である。
【0013】
さらに、第1の携帯端末として、GPSによるMS−Based型の測位機能を備えたGPS機能付携帯電話を用いる場合には、第1の携帯端末が測位した自機の位置を、第2の携帯端末に通知する構成とすればよい。この場合には、第2の携帯端末に測位機能を設ける必要がないとともに、上述した作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、GPSを利用して自機の位置を測位する方式がMS−Assisted型、またはMS−Based型のどちらであるかにかかわらず、GPSによる測位結果を他の携帯端末で利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態である測位システムについて説明する。
【0016】
図1は、この発明の実施形態である測位システムを示す概略図である。この実施形態の測位システムは、携帯電話1、およびディジタルカメラ2を備えている。携帯電話1が、この発明で言う第1の携帯端末に相当し、ディジタルカメラ2がこの発明で言う第2の携帯端末に相当する。また、図1中に示す3は、GPS衛星である。図1では、GPS衛星3を3つ示している。携帯電話1は、GPS衛星3から発信されているGPS信号を受信するGPS受信部を備えた、所謂GPS機能付携帯電話である。GPS信号は、衛星の軌道情報であるアルマナックデータ、および衛星の位置と信号の発信時刻を示すエフェメリスデータである。また、携帯電話1と、ディジタルカメラ2とは、BlueTooth(登録商標)、ZigBee等の近距離無線通信で通信できる構成である。この実施形態の携帯電話1は、MS−Assisted型のGPS機能付携帯電話である。
【0017】
なお、携帯電話1と、ディジタルカメラ2との近距離無線通信は、Ir−DAによる赤外線通信で行う構成としてもよい。
【0018】
図2は、この発明の実施形態である測位システムで用いられる携帯電話の主要部の構成を示す図である。携帯電話1は、本体の動作を制御する制御部10と、携帯電話網(不図示)を介して他の携帯電話等の端末と通信する携帯電話通信部11と、GPS衛星が発信したGPS信号を受信するGPS受信部12と、近距離無線通信を行う近距離無線通信部13と、携帯電話通信部11を利用した他の端末との音声通信における入出力音声を処理する音声処理部14と、装置本体に対する入力操作を受け付ける操作部15と、装置本体の動作状態等を表示する表示部16と、を備えている。この携帯電話1は、ハードウェア的には、公知のMS−Assisted型のGPS機能付携帯電話に、近距離無線通信部13を付加した構成である。この近距離無線通信部13が、ディジタルカメラ2との近距離無線通信を行うための構成である。また、携帯電話1は、GPS受信部12において受信したGPS信号を、図示していないセンタに送信し、センタから測位結果を受信することで、自機の位置を取得する。携帯電話1は、センタとの通信を携帯電話通信部11で行う。また、携帯電話1は、近距離無線通信部13を利用して、GPS受信部12においてGPS衛星3から受信したGPS信号をディジタルカメラ2に送信する。また、携帯電話1は、近距離無線通信部13において、ディジタルカメラ2から送信されてきた測位結果を受信する。
【0019】
図3は、この発明の実施形態であるディジタルカメラの主要部の構成を示す図である。ディジタルカメラ2は、本体の動作を制御する制御部20と、画像を撮像する撮像部21と、撮像部21で撮像した画像を処理する画像処理部22と、撮像画像を記憶する撮像画像記憶部23と、ファインダ画像等を表示する表示部24と、装置本体に対する入力操作を行う操作部25と、近距離無線通信を行う近距離無線通信部26と、GPS信号であるアルマナックデータやエフェメリスデータを処理して測位するGPS処理部27と、を備えている。このディジタルカメラ2は、ハードウェア的には、公知のディジタルカメラに、近距離無線通信部26、およびGPS処理部27を付加した構成である。この近距離無線通信部26が、携帯電話1との近距離無線通信を行うための構成である。また、GPS処理部27が、携帯電話1から取得したGPS信号を処理し、この携帯電話1の位置を算出する測位処理を行う構成である。ディジタルカメラ2は、測位処理により得られた位置(携帯電話1の位置)を携帯電話1に通知する。この通知も、近距離無線通信で行われる。携帯電話1と、ディジタルカメラ2とは、上述したように近距離無線通信で通信することから、携帯電話1の位置とディジタルカメラ2の位置とは、略同じ位置である。そこで、ディジタルカメラ2は、上述の測位処理で得られた携帯電話1の位置を、自機の位置としても利用する。具体的には、ディジタルカメラ2は、撮像画像と、この撮像画像を撮像した位置(以下、撮像位置と言う。)と、を対応づけて撮像画像記憶部23に記憶する機能を有している。この撮像位置は、GPS処理部27における測位処理で取得した携帯電話1の位置である。
【0020】
なお、携帯電話1は、受信したGPS信号をセンタに送信し、センタから測位結果を得ることもできる。また、ディジタルカメラ2は、携帯電話1に対して、センタから取得した測位結果(この携帯電話1の位置)の転送を要求し、取得することもできる。このときの、携帯電話1と、ディジタルカメラ2との通信は、近距離無線通信で行う。
【0021】
以下、この発明の実施形態である測位システムの動作について説明する。
【0022】
携帯電話1は、GPS機能がオフされている第1モード、自機の位置をMS−Assisted型で測位する第2モード、自機の位置をディジタルカメラ2との連携で測位する第3モードで動作する。第1モード、および第2モードについては、公知のMS−Assisted型のGPS機能付携帯電話と同じであるので、ここでは説明を省略する。第1モード、第2モード、第3モードの切り替えは、操作部15におけるキー操作で行える。一方、ディジタルカメラ2は、携帯電話1と連携して、この携帯電話1の位置を測位するGPS機能をオフにしたAモード、および携帯電話1と連携して、この携帯電話1の位置を測位するGPS機能をオンにしたBモードで動作する。Aモード、Bモードの切り替えは、操作部25におけるキー操作で行える。また、ディジタルカメラ2の撮像部21における画像の撮像については、Aモード、Bモードにかかわらず、シャッタボタンを操作することで行える。Aモードについては、公知のディジタルカメラと同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0023】
図4は、この実施形態の測位システムにおける携帯電話の第3モードにおける動作を示すフローチャートであり、図5は、この実施形態の測位システムにおけるディジタルカメラのBモードにおける動作を示すフローチャートである。携帯電話1は、操作部15において、第3モードに切り替える操作が行われたときに、図4に示す処理を開始する。携帯電話1は、図4に示す処理の実行中に、操作部15において、別のモードに切り替える操作が行われると、図4に示す処理を停止し、切り替えられたモードでの動作を開始する。また、ディジタルカメラ2は、操作部25においてBモードに切り替える操作が行われたときに、図5に示す処理を開始する。ディジタルカメラ2は、図5に示す処理の実行中に、操作部25において、別のモードに切り替える操作が行われると、図5に示す処理を停止し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0024】
携帯電話1は、第3モードでの動作を開始すると、まず最初に、センタと通信できるかどうかを判定する(s1)。センタとの通信は、携帯電話通信部11で行われる。したがって、携帯電話1が、携帯電話網(不図示)に接続できない場所、所謂圏外、に位置しているとき、センタと通信できない。携帯電話1は、s1でセンタと通信できると判定すると、センタを利用して自機の位置を取得する第1の初期測位を行う(s2)。反対に、s1でセンタと通信できないと判定すると、ディジタルカメラ2を利用して自機の位置を取得する第2の初期測位を行う(s3)。s2、s3にかかる処理は、携帯電話1が自機の位置を取得するとともに、各GPS衛星3の軌道情報である有効なアルマナックデータを取得するための処理である。このs2、s3にかかる処理の詳細については、後述する。
【0025】
携帯電話2は、s2にかかる第1の初期測位が完了すると、近距離無線通信部13において、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出する(s4)。携帯電話2は、近距離無線通信部13の通信エリア内に位置している、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出している。すなわち、近距離無線通信部13において近距離無線通信が行えるディジタルカメラ2を検出している。
【0026】
なお、携帯電話2は、第2の初期測位にかかる処理で、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出している。したがって、携帯電話2は、s3で第2の初期測位を行った場合には、このs4にかかる処理を実行しない。
【0027】
また、携帯電話1は、s4で自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2が検出できないときには、予め定められた所定時間毎に、s4にかかる処理を繰り返す。
【0028】
携帯電話1は、s3の第2の初期測位にかかる処理が完了した場合、またはs4で自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出すると、GPS衛星3が発信しているGPS信号を、予め定められている第1の時間毎に受信する処理を開始する(s5、s6)。携帯電話1は、GPS信号をGPS受信部12で受信する。携帯電話1は、s6でGPS信号を受信すると、受信したGPS信号を記憶する(s7)。GPS信号は、制御部10に設けられている図示していないメモリに記憶される。また、携帯電話1は、このs5〜s7にかかる処理を実行しているときに、近距離無線通信部13でディジタルカメラ2からGPS信号の送信要求があると、本体に記憶している最新のGPS信号を、この送信要求を送信してきたディジタルカメラ2へ送信する(s8、s9)。GPS信号の送信要求の受信、およびGPS信号の送信は、近距離無線通信部13で行われる。また、携帯電話1は、近距離無線通信部13でディジタルカメラ2から送信されてきた自機の位置の測位結果を受信すると、記憶している自機の位置を更新する(s10、s11)。このs10、s11にかかる処理も、S5〜s7にかかる処理を実行しているときに行われる。さらに、携帯電話1は、近距離無線通信部13において、ディジタルカメラ2との近距離無線通信ができない状態になると、s4に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0029】
なお、携帯電話1は、この第3のモードで動作しているときにも、携帯電話通信部11において、携帯電話網を介して他の端末と通信することができる。また、携帯電話1は、操作部15において、他のモードへの切り替えにかかる操作や、装置本体の電源をオフする操作等が行われたときに、この図4に示す処理を終了し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0030】
次に、図5を参照しながら、ディジタルカメラ2におけるBモードの動作について説明する。ディジタルカメラ2は、Bモードでの動作を開始すると、近距離無線通信部26において、自機の位置の測位を連携して行う携帯電話1を検出する(s21)。ディジタルカメラ2は、実質的には携帯電話1の位置を、自機の位置として取得する。ディジタルカメラ2は、近距離無線通信部26において、携帯電話1との近距離無線通信が確立できると、自機の位置の測位を連携して行う携帯電話1を検出したと判断する。言い換えれば、上述した携帯電話1は、近距離無線通信部13において、ディジタルカメラ2との近距離無線通信が確立できると、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出したと判断する。
【0031】
なお、ディジタルカメラ2は、s21で自機の位置の測位を連携して行う携帯電話1が検出できないときには、予め定められた所定時間毎に、s21にかかる処理を繰り返す。また、ディジタルカメラ2は、この間においても、撮像部21で撮像した画像を、撮像画像処理部22で処理し、撮像画像記憶部23に記憶することができる。
【0032】
ディジタルカメラ2は、s21で自機の位置の測位を連携して行う携帯電話1を検出すると、予め定められた第2の時間毎に近距離無線通信部26から携帯電話1に対してGPS信号の送信を要求する(s22、s23)。この第2の時間は、上述した第1の時間と同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。ただし、ディジタルカメラ2における無用な測位処理(同じGPS信号に対する測位処理)を防止するために、第2の時間は、第1の時間以上に設定するのが望ましい。携帯電話1は、ディジタルカメラ2がs23で出力したGPS信号の送信要求を、上述したs8で受信する。
【0033】
また、ディジタルカメラ2は、s22、s23にかかる処理を実行しているときに、近距離無線通信部26において携帯電話1から送信されてきたGPS信号を受信すると(s24)、この受信したGPS信号をGPS処理部27で処理し、携帯電話1の位置を算出する測位処理を行う(s25)。s25にかかる処理は、GPS信号を用いた公知の三角交差法による測位処理であるので、ここでは詳細な説明を省略する。ディジタルカメラ2は、s25で携帯電話1の位置を算出すると、今回算出した位置を測位結果として携帯電話1に送信する(s26)。また、今回算出した携帯電話1の位置を、自機の位置として制御部20のメモリに記憶する(s27)。
【0034】
さらに、ディジタルカメラ2は、操作部25に設けられたシャッタボタン(不図示)が操作されると(s28)、その時点における撮像部21の撮像画像を画像処理部22に取り込む(s29)。ディジタルカメラ2は、s29で取り込んだ撮像画像と、この時点で記憶している最新の自機の位置と、を対応づけ(s30)、これを撮像画像記憶部23に記憶する(s31)。また、ディジタルカメラ2は、近距離無線通信部26において、携帯電話1との近距離無線通信ができない状態になると(s32)、s1に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0035】
なお、ディジタルカメラ2は、操作部25において、他のモードへの切り替えにかかる操作や、装置本体の電源をオフする操作等が行われたときに、この図5に示す処理を終了し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0036】
次に、携帯電話1のs2にかかる第1の初期測位について説明する。図6は、この第1の初期測位を示すフローチャートである。携帯電話1は、GPS受信部12でGPS衛星3から発信されているGPS信号を受信し(s41)、受信したGPS信号をセンタに送信する(s42)。s42では、携帯電話通信部11を利用して、今回受信したGPS信号をセンタに送信する。携帯電話1は、s42でGPS信号を送信した後、センタから自機の位置を示す測位結果を携帯電話通信部11で受信すると(s43)、ここで受信した測位結果に基づく自機の位置を記憶し(s44)、本処理を終了する。
【0037】
なお、携帯電話1は、この第1の初期測位において、本体に記憶しているアルマナックデータやエフェメリスデータの更新が必要であれば、これらのデータの更新を行う。また、携帯電話1は、必要に応じて、本体に記憶しているアルマナックデータやエフェメリスデータを近距離無線通信部13を利用してディジタルカメラ2に送信する。
【0038】
次に、携帯電話1のs3にかかる第2の初期測位について説明する。図7は、この第2の初期測位を示すフローチャートである。携帯電話1は、近距離無線通信部13において、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出する(s51)。このs51にかかる処理は、上述したs4にかかる処理と同じである。携帯電話1は、s51で自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出すると、GPS受信部12でGPS衛星3から発信されているGPS信号の受信を開始する(s52)。s52では、予め定められた所定時間毎に、GPS信号を受信する。携帯電話2は、ディジタルカメラ2からGPS信号の送信要求があると(s53)、最新のGPS信号をディジタルカメラ2に送信する(s54)。s54では、近距離無線通信部13を利用して、GPS信号を携帯電話2に送信する。携帯電話1は、s54でGPS信号を送信した後、ディジタルカメラ2から自機の位置を示す測位結果を近距離無線通信部13で受信すると(s55)、ここで受信した測位結果に基づく自機の位置を記憶し(s56)、本処理を終了する。
【0039】
このように、この実施形態の測位システムでは、携帯電話1がセンタと通信できない状態であっても、ディジタルカメラ2と連携して自機の位置を測位することができる。また、ディジタルカメラ2では、撮像画像に、この撮像画像の撮像位置を対応づけて記憶することができ、ユーザにおける撮像画像の管理を助けることができる。また、通信および測位、解析のタイミングは、時間だけでなく何らかの操作、例えば撮影にかかるシャッタ操作、をトリガとして実行してもよい。
【0040】
次に、この発明の別の実施形態について説明する。この実施形態は、携帯電話1をMS−Based型とした点で、上述した実施形態と異なっている。すなわち、携帯電話1は、適正なエフェメリスデータを取得していれば、受信したGPS信号から自機の位置を測位することができる。図8は、この実施形態の測位システムにおける携帯電話の第3モードにおける動作を示すフローチャートであり、図9は、この実施形態の測位システムにおけるディジタルカメラのBモードにおける動作を示すフローチャートである。
【0041】
なお、携帯電話1における第1モード、および第2モードの動作については、上述した実施形態と同様に、公知の携帯電話1と同じであり、ディジタルカメラ2におけるAモードの動作については、上述した実施形態と同様に、公知のディジタルカメラ2と同じであるので、ここでは説明を省略する。また、図8は、図4と同じ処理については同じステップ番号を付しており、図9は、図5と同じ処理については同じステップ番号を付している。
【0042】
この実施形態の携帯電話1も、操作部15において、第3モードに切り替える操作が行われたときに、図8に示す処理を開始する。携帯電話1は、図8に示す処理の実行中に、操作部15において、別のモードに切り替える操作が行われると、図8に示す処理を停止し、切り替えられたモードでの動作を開始する。また、ディジタルカメラ2は、操作部25においてBモードに切り替える操作が行われたときに、図9に示す処理を開始する。ディジタルカメラ2は、図9に示す処理の実行中に、操作部25において、別のモードに切り替える操作が行われると、図9に示す処理を停止し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0043】
携帯電話1は、第3モードでの動作を開始すると、まず最初に、図4に示したs1〜s4にかかる処理を行い、その後、GPS衛星3が発信しているGPS信号を、予め定められている第1の時間毎に受信する処理を開始する(s5、s6)。携帯電話1は、s6でGPS信号を受信すると、受信したGPS信号を解析し、自機の位置を示す位置情報を取得する(s61)。そして、携帯電話1は、s61で取得した自機の位置情報を、制御部10に設けられている図示していないメモリに記憶する(s62)。また、携帯電話1は、このs5、s6、s61、s62にかかる処理を実行しているときに、近距離無線通信部13でディジタルカメラ2から位置情報の送信要求があると、本体に記憶している最新の位置情報を、この送信要求を送信してきたディジタルカメラ2へ送信する(s63、s64)。位置情報の送信要求の受信、および位置情報の送信は、近距離無線通信部13で行われる。また、携帯電話1は、近距離無線通信部13において、ディジタルカメラ2との近距離無線通信ができない状態になると、s4に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0044】
なお、この実施形態の携帯電話1は、図4に示したs10、s11にかかる処理を実行しない。また、この実施形態の携帯電話1も、この第3のモードで動作しているときに、携帯電話通信部11において、携帯電話網を介して他の端末と通信することができる。また、携帯電話1は、操作部15において、他のモードへの切り替えにかかる操作や、装置本体の電源をオフする操作等が行われたときに、この図8に示す処理を終了し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0045】
次に、図9を参照しながら、ディジタルカメラ2におけるBモードの動作について説明する。ディジタルカメラ2は、Bモードでの動作を開始すると、上述した実施形態で説明したs21にかかる処理を実行する。この実施形態のディジタルカメラ2も、実質的には携帯電話1の位置を、自機の位置として取得する。ディジタルカメラ2は、s21で自機の位置の測位を連携して行う携帯電話1を検出すると、予め定められた第2の時間毎に近距離無線通信部26から携帯電話1に対して位置情報の送信を要求する(s22、s71)。この第2の時間は、上述した第1の時間と同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。携帯電話1は、ディジタルカメラ2がs71で出力した位置情報の送信要求を、上述したs63で受信する。
【0046】
また、ディジタルカメラ2は、s22、s71にかかる処理を実行しているときに、近距離無線通信部26において携帯電話1から送信されてきた位置情報を受信すると(s72)、この受信した位置情報を制御部20のメモリに記憶する(s73)。すなわち、ディジタルカメラ2は、携帯電話1から送信されてきた位置情報で示される位置を、自機の位置として記憶する。
【0047】
さらに、ディジタルカメラ2は、操作部25に設けられたシャッタボタン(不図示)が操作されると(s28)、上述した実施形態で説明したs29〜s31にかかる処理を行い、近距離無線通信部26において、携帯電話1との近距離無線通信ができない状態になると(s32)、s1に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0048】
なお、ディジタルカメラ2は、操作部25において、他のモードへの切り替えにかかる操作や、装置本体の電源をオフする操作等が行われたときに、この図5に示す処理を終了し、切り替えられたモードでの動作を開始する。
【0049】
次に、この実施形態の携帯電話1のs2にかかる第1の初期測位について説明する。図10は、この第1の初期測位を示すフローチャートである。図10では、図6と同じ処理については、同じステップ番号を付している。携帯電話1は、センタからエフェメリスデータを受信する(s81)。s81では、携帯電話通信部11を利用したセンタとの通信で、エフェメリスデータを取得する。そして、携帯電話1は、GPS受信部12でGPS衛星3から発信されているGPS信号を受信し(s41)、s81で取得したエフェメリスデータを用いて、今回受信したGPS信号を解析し、自機の位置を示す位置情報を取得する(s82)。携帯電話1は、s82で取得した位置情報を記憶し(s83)、本処理を終了する。
【0050】
次に、携帯電話1のs3にかかる第2の初期測位について説明する。図11は、この第2の初期測位を示すフローチャートである。図11では、図7と同じ処理については、同じステップ番号を付している。携帯電話1は、近距離無線通信部13において、自機の位置の測位を連携して行うディジタルカメラ2を検出し、GPS受信部12でGPS衛星3から発信されているGPS信号の受信を開始する(s51、s52)。また、ディジタルカメラ2に対して受信したGPS信号を送信し(s54)、このディジタルカメラ2からエフェメリスデータを取得する(s91)。ディジタルカメラ2は、携帯電話1から送信されてきたGPS信号から、取得したエフェメリスデータを携帯電話1に送信している。携帯電話1は、s91で取得したエフェメリスデータを用いて、今回受信したGPS信号を解析し、自機の位置を示す位置情報を取得する(s92)。携帯電話1は、s92で取得した位置情報を記憶し(s93)、本処理を終了する。
【0051】
このように、この実施形態の測位システムも、携帯電話1がディジタルカメラ2と連携して自機の位置を測位することができる。また、ディジタルカメラ2では、撮像画像に、この撮像画像の撮像位置を対応づけて記憶することができ、ユーザにおける撮像画像の管理を助けることができる。また、通信および測位、解析のタイミングは、時間だけでなく何らかの操作、例えば撮影にかかるシャッタ操作、をトリガとして実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の実施形態である測位システムを示す概略図である。
【図2】この発明の実施形態である測位システムで用いられる携帯電話の主要部の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施形態であるディジタルカメラの主要部の構成を示す図である。
【図4】この実施形態の測位システムにおける携帯電話の第3モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図5】この実施形態の測位システムにおけるディジタルカメラのBモードにおける動作を示すフローチャートである。
【図6】この実施形態の測位システムにおける携帯電話の第1の初期測位を示すフローチャートである。
【図7】この実施形態の測位システムにおける携帯電話の第2の初期測位を示すフローチャートである。
【図8】別の実施形態の測位システムにおける携帯電話の第3モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図9】別の実施形態の測位システムにおけるディジタルカメラのBモードにおける動作を示すフローチャートである。
【図10】別の実施形態の測位システムにおける携帯電話の第1の初期測位を示すフローチャートである。
【図11】別の実施形態の測位システムにおける携帯電話の第2の初期測位を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1−携帯電話
2−ディジタルカメラ
3−GPS衛星
10−制御部
11−携帯電話通信部
12−GPS受信部
13−近距離無線通信部
20−制御部
21−撮像部
22−画像処理部
23−撮像画像記憶部
26−近距離無線通信部
27−GPS処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信を行う近距離無線通信手段を備えた第1、および第2の携帯端末を有し、衛星が電波で発信している信号を利用して測位する測位システムにおいて、
前記第1の携帯端末は、
衛星が電波で発信している信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段が受信した信号を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第2の携帯端末に転送する信号転送手段と、
携帯電話網を介して他の端末と通信する携帯電話通信手段と、を備え、
前記第2の携帯端末は、
前記近距離無線通信手段で、前記第1の携帯端末の信号転送手段により転送されてきた前記信号を受信したとき、受信した信号に基づいて前記第1の携帯端末の位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された前記第1の携帯端末の位置を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第1の携帯端末に通知する測位結果通知手段と、
撮像エリアを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像エリアの撮像画像と、前記測位手段が直前に測位した前記第1の携帯端末の位置と、を対応づけて記憶する撮像画像記憶手段と、を備えた測位システム。
【請求項2】
近距離無線通信を行う近距離無線通信手段を備えた第1、および第2の携帯端末を有し、衛星が電波で発信している信号を利用して測位する測位システムにおいて、
前記第1の携帯端末は、
衛星が電波で発信している信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段が受信した信号を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第2の携帯端末に転送する信号転送手段と、を備え、
前記第2の携帯端末は、
前記近距離無線通信手段で、前記第1の携帯端末の信号転送手段により転送されてきた前記信号を受信したとき、受信した信号に基づいて前記第1の携帯端末の位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された前記第1の携帯端末の位置を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第1の携帯端末に通知する測位結果通知手段と、を備えた測位システム。
【請求項3】
前記第1の携帯端末は、携帯電話網を介して他の端末と通信する携帯電話通信手段を備えた請求項2に記載の測位システム。
【請求項4】
前記第2の携帯端末は、撮像エリアを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像エリアの撮像画像と、前記測位手段が直前に測位した前記第1の携帯端末の位置と、を対応づけて記憶する撮像画像記憶手段と、を備えた請求項2、または3に記載の測位システム。
【請求項5】
近距離無線通信を行う近距離無線通信手段を備えた第1、および第2の携帯端末を有し、衛星が電波で発信している信号を利用して測位する測位システムにおいて、
前記第1の携帯端末は、
衛星が電波で発信している信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段が受信した信号に基づいて自機の位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位した自機の位置を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第2の携帯端末に通知する測位結果通知手段と、
携帯電話網を介して他の端末と通信する携帯電話通信手段と、を備え、
前記第2の携帯端末は、
前記近距離無線通信手段で、前記第1の携帯端末の測位結果通知手段により通知された前記第1の携帯端末の位置を記憶する記憶手段と、
撮像エリアを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像エリアの撮像画像と、前記記憶手段が記憶する前記第1の携帯端末の位置と、を対応づけて記憶する撮像画像記憶手段と、を備えた測位システム。
【請求項6】
近距離無線通信を行う近距離無線通信手段を備えた携帯端末において、
衛星が電波で発信している信号を受信する信号受信手段を備えた他の携帯端末から、前記近距離無線通信手段を利用して信号を取得する信号取得手段と、
前記信号取得手段で取得した信号に基づいて、この信号を送信してきた前記他の携帯端末の位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された前記他の携帯端末の位置を、前記近距離無線通信手段を利用して、この他の携帯端末に通知する測位結果通知手段と、を備えた携帯端末。
【請求項1】
近距離無線通信を行う近距離無線通信手段を備えた第1、および第2の携帯端末を有し、衛星が電波で発信している信号を利用して測位する測位システムにおいて、
前記第1の携帯端末は、
衛星が電波で発信している信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段が受信した信号を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第2の携帯端末に転送する信号転送手段と、
携帯電話網を介して他の端末と通信する携帯電話通信手段と、を備え、
前記第2の携帯端末は、
前記近距離無線通信手段で、前記第1の携帯端末の信号転送手段により転送されてきた前記信号を受信したとき、受信した信号に基づいて前記第1の携帯端末の位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された前記第1の携帯端末の位置を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第1の携帯端末に通知する測位結果通知手段と、
撮像エリアを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像エリアの撮像画像と、前記測位手段が直前に測位した前記第1の携帯端末の位置と、を対応づけて記憶する撮像画像記憶手段と、を備えた測位システム。
【請求項2】
近距離無線通信を行う近距離無線通信手段を備えた第1、および第2の携帯端末を有し、衛星が電波で発信している信号を利用して測位する測位システムにおいて、
前記第1の携帯端末は、
衛星が電波で発信している信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段が受信した信号を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第2の携帯端末に転送する信号転送手段と、を備え、
前記第2の携帯端末は、
前記近距離無線通信手段で、前記第1の携帯端末の信号転送手段により転送されてきた前記信号を受信したとき、受信した信号に基づいて前記第1の携帯端末の位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された前記第1の携帯端末の位置を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第1の携帯端末に通知する測位結果通知手段と、を備えた測位システム。
【請求項3】
前記第1の携帯端末は、携帯電話網を介して他の端末と通信する携帯電話通信手段を備えた請求項2に記載の測位システム。
【請求項4】
前記第2の携帯端末は、撮像エリアを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像エリアの撮像画像と、前記測位手段が直前に測位した前記第1の携帯端末の位置と、を対応づけて記憶する撮像画像記憶手段と、を備えた請求項2、または3に記載の測位システム。
【請求項5】
近距離無線通信を行う近距離無線通信手段を備えた第1、および第2の携帯端末を有し、衛星が電波で発信している信号を利用して測位する測位システムにおいて、
前記第1の携帯端末は、
衛星が電波で発信している信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段が受信した信号に基づいて自機の位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位した自機の位置を、前記近距離無線通信手段を利用して前記第2の携帯端末に通知する測位結果通知手段と、
携帯電話網を介して他の端末と通信する携帯電話通信手段と、を備え、
前記第2の携帯端末は、
前記近距離無線通信手段で、前記第1の携帯端末の測位結果通知手段により通知された前記第1の携帯端末の位置を記憶する記憶手段と、
撮像エリアを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像エリアの撮像画像と、前記記憶手段が記憶する前記第1の携帯端末の位置と、を対応づけて記憶する撮像画像記憶手段と、を備えた測位システム。
【請求項6】
近距離無線通信を行う近距離無線通信手段を備えた携帯端末において、
衛星が電波で発信している信号を受信する信号受信手段を備えた他の携帯端末から、前記近距離無線通信手段を利用して信号を取得する信号取得手段と、
前記信号取得手段で取得した信号に基づいて、この信号を送信してきた前記他の携帯端末の位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された前記他の携帯端末の位置を、前記近距離無線通信手段を利用して、この他の携帯端末に通知する測位結果通知手段と、を備えた携帯端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−54119(P2008−54119A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229472(P2006−229472)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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