説明

測位支援装置

【課題】本発明は、衛星航法に基づく測位系において、航行衛星から通知され、その航行衛星に搭載された時計が示す時刻の有効期間を延長する測位支援装置に関し、精度よく安定に航行衛星から正常に受信された衛星時刻の有効期間を大幅に延長することができることを目的とする。
【解決手段】時系列iの順に、航行衛星によって航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiを個別に与え、かつ前記航法データで与えられる予測関数Fpiを蓄積するログ手段と、前記時系列iにおける値が前記時刻Tiの近似値もしくは前記時刻Tiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記予測関数Fpiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である予測関数Fpi′で前記予測関数Fpiを補完する補完手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星航法が適用された測位系において、航行衛星から通知され、その航行衛星に搭載された時計が示す時刻の有効期間を延長する測位支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)は、地球の周りを周回する所定の数のGPS衛星から無線信号が到来する地点であれば、安定に確度高くその地点の測位が実現されるため、航空機、船舶、自動車等の移動体のナビゲーションだけではなく、例えば、ゲーム機器やスポーツ機器、様々な科学技術分野の系や装置にも広範に利用されつつある。
【0003】
このようなGPSでは、個々のGPS衛星の軌道を示す軌道データは「エフェメリス」と呼ばれ、その有効期限は、一般に、達成されるべき測位の精度の制約により4時間程度となっている。
【0004】
しかし、個々のエフェメリスは、伝送に所要する時間が30秒と長いために、特に、都市部や市街地では、GPS衛星からGPS受信機に至る伝搬路が地形や地物によって遮られる可能性が高い。このような可能性は、以下の好ましくない事項の要因となっていた。
(1) 4時間以上の長時間に亘って軌道データの更新が行われない状況に陥るために、測位の精度が許容されない程度まで低下する。
(2) GPSを応用したシステムや装置の実現性や性能の確保が妨げられる。
【0005】
(3) GPS受信機において正しく受信されたエフェメリスに基づいて得られたGPS衛星の位置、速度、加速度の有効性と、該当するエフェメリスがGPS衛星によって送信された時刻(GPS衛星に搭載された時計が示す時刻)(以下、「衛星時刻」という。)の有効性とが必ずしも担保されない。
【0006】
なお、衛星時刻の有効期間の延長は、例えば、エフェメリスに含まれる以下の2つのパラメータを過去の実績から時系列の順に推定(予測)し、そのパラメータをさらに未来にも適用することによって幾分なりとも実現することができる。
【0007】
(1) エポック時刻toc
(2) クロック補正係数αf0〜αf2
以下、このようにして衛星時刻の有効期限の延長を実現する技術については、単に「従来技術」という。
【0008】
なお、本発明に関連する先行技術としては、以下の特許文献1がある。
「PNコードを発生させ出力するPNコード発生器と、PNコード発生器の出力とGPS衛星においてスペクトル拡散に用いられたPNコードの位相差が0となるようPNコード発生器を制御するスペクトル逆拡散回路と、GPS衛星に係るPNコードとの位相差が0となったときのPNコード発生器の出力位相情報から衛星時刻を取り出し当該GPS衛星の擬似距離を計算する擬似距離測定部と、所定個数のGPS衛星の擬似距離に基づき測位計算を行う測位計算部とを備えるGPS受信機において、取り出された衛星時刻を記憶する衛星時刻メモリと、GPS衛星からの信号が中断した場合に衛星時刻メモリ上の過去の衛星時刻から現在の衛星時刻を推定し擬似距離を計算する擬似距離補間部とを備える」ことにより、「GPS衛星からの信号が中断した場合でも測位計算を継続可能にする」点に特徴があるGPS受信機…特許文献1
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−27216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述した「従来技術」は、推定により得られたパラメータが更新されることなく適用されつづける期間が長いほど、衛星時刻の推定(予測)結果に大きな誤差が生じるため、実際には採用され難かった。
【0011】
また、このような衛星時刻の推定が未来に向かって行われるため、得られたパラメータは、未来における衛星時刻の予測の精度に対して何ら保証を与えるものではない。
【0012】
本発明は、ハードウェアの構成が変更されることなく、精度よく安定に航行衛星から正常に受信された衛星時刻の有効期間を大幅に延長することができる測位支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の特許請求の範囲に記載された請求項1〜8の相違点は、以下に列記するように、「ログ手段によって行われる蓄積の対象(以下、「ログ対象」という。)」と、「補完手段によって行われる補完の対象(以下、「補完対象」という。)」との組み合わせにある。
(1) 請求項1 ログ対象:予測関数,補完対象:予測関数
(2) 請求項2 ログ対象:誤差関数,補完対象:予測関数
(3) 請求項3 ログ対象:時刻,補完対象:予測関数
(4) 請求項4 ログ対象:時刻の誤差,補完対象:予測関数
(5) 請求項5 ログ対象:予測関数,補完対象:誤差関数
(6) 請求項6 ログ対象:誤差関数,補完対象:誤差関数
(7) 請求項7 ログ対象:時刻,補完対象:誤差関数
(8) 請求項8 ログ対象:時刻の誤差,補完対象:誤差関数
【0014】
請求項1に記載の発明では、ログ手段は、時系列iの順に、航行衛星によって航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiを個別に与え、かつ前記航法データで与えられる予測関数Fpiを蓄積する。補完手段は、前記時系列iにおける値が前記時刻Tiの近似値もしくは前記時刻Tiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記予測関数Fpiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である予測関数Fpi′で前記予測関数Fpiを補完する。
【0015】
すなわち、航行衛星上の時刻Tiは、その航行衛星の航法データが正常に受信できない場合であっても、過去に正常に受信された航法データに基づいて得られた予測関数Fpiに対する整合性が高い予測関数Fpi′に基づいて、予測および補完が可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明では、ログ手段は、時系列iの順に、航行衛星によって航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiの誤差ΔTiを個別に与え、かつ前記航法データで与えられる誤差関数feiを蓄積する。補完手段は、前記時系列iにおける値が前記誤差ΔTiの近似値もしくは前記誤差ΔTiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記誤差関数feiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である誤差関数fei′と前記時刻tiとの和である予測関数Fpi′で、前記時系列iの順に前記時刻Tiを与える予測関数Fpiを補完する。
【0017】
すなわち、航行衛星上の時刻Tiは、その航行衛星の航法データが正常に受信できない場合であっても、過去に正常に受信された航法データに基づいて得られた誤差関数feiに対する整合性が高い予測関数Fpi′に基づいて、予測および補完が可能となる。
【0018】
請求項3に記載の発明では、ログ手段は、航行衛星の航法データで与えられ、かつ時系列iの順に、前記航行衛星によって前記航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiを蓄積する。補完手段は、前記時系列iにおける値が前記時刻Tiの近似値もしくは前記時刻Tiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記ログ手段に蓄積された時刻Tiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である予測関数Fpi′で、前記時系列iの順に前記時刻Tiを与える予測関数Fpiを補完する。
すなわち、航行衛星上の時刻Tiは、その航行衛星の航法データが正常に受信できない場合であっても、過去に正常に受信された航法データに基づいて得られた航行衛星上の時刻(の列)に対する整合性が高い予測関数Fpi′に基づいて、予測および補完が可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、ログ手段は、航行衛星の航法データで与えられ、かつ時系列iの順に、前記航行衛星によって前記航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiの誤差ΔTiを蓄積する。補完手段は、前記時系列iにおける値が前記誤差ΔTiの近似値もしくは前記誤差ΔTiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記ログ手段に蓄積された誤差ΔTiが既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である予測関数Fpi′で、前記時系列iの順に前記誤差ΔTiを与える予測関数Fpiを補完する。
【0020】
すなわち、航行衛星上の時刻Tiは、その航行衛星の航法データが正常に受信できない場合であっても、過去に正常に受信された航法データに基づいて得られた航行衛星上の時刻の偏差(の列)に対する整合性が高い予測関数Fpi′に基づいて、予測および補完が可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、ログ手段は、時系列iの順に、前記航行衛星によって前記航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiを個別に与え、かつ前記航法データで与えられる予測関数Fpiを蓄積する。補完手段は、前記時系列iにおける値が前記時刻Tiの近似値もしくは前記時刻Tiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記予測関数Fpiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である予測関数Fpi′と前記時刻tiとの差である誤差関数fei′で、前記予測関数Fpiの誤差ΔTiを示す誤差関数feiを補完する。
【0022】
すなわち、航行衛星上の時刻Tiは、その航行衛星の航法データが正常に受信できない場合であっても、過去に正常に受信された航法データに基づいて得られた予測関数Fpiに対する整合性が高い誤差関数fei′に基づいて、予測および補完が可能となる。
【0023】
請求項6に記載の発明では、ログ手段は、時系列iの順に、航行衛星によって航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiの誤差ΔTiを個別に与え、かつ前記航法データで与えられる誤差関数feiを蓄積する。補完手段は、前記時系列iにおける値が前記誤差ΔTiの近似値もしくは前記誤差ΔTiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記誤差関数feiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である誤差関数fei′で、前記時系列iの順に前記誤差関数feiを補完する。
【0024】
すなわち、航行衛星上の時刻Tiは、その航行衛星の航法データが正常に受信できない場合であっても、過去に正常に受信された航法データに基づいて得られた誤差関数feiに対する整合性が高い誤差関数fei′に基づいて、予測および補完が可能となる。
【0025】
請求項7に記載の発明では、ログ手段は、航行衛星の航法データで与えられ、かつ時系列iの順に、前記航行衛星によって前記航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiを蓄積する。補完手段は、前記時系列iにおける値が前記時刻Tiの近似値もしくは前記時刻Tiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記ログ手段に蓄積された時刻Tiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小となる誤差関数fei′で、前記時系列iの順に前記誤差ΔTiを与える誤差関数feiを補完する。
【0026】
すなわち、航行衛星上の時刻Tiは、その航行衛星の航法データが正常に受信できない場合であっても、過去に正常に受信された航法データに基づいて得られた航行衛星上の時刻(の列)に対する整合性が高い誤差関数fei′に基づいて、予測および補完が可能となる。
【0027】
請求項8に記載の発明では、ログ手段は、航行衛星の航法データで与えられ、かつ時系列iの順に、前記航行衛星によって前記航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiの誤差ΔTiを蓄積する。補完手段は、前記時系列iにおける値が前記誤差ΔTiの近似値もしくは前記誤差ΔTiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記ログ手段に蓄積された誤差ΔTiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小となる誤差関数fei′で、前記時系列の順に前記誤差ΔTiを与える誤差関数feiを補完する。
【0028】
すなわち、航行衛星上の時刻Tiは、その航行衛星の航法データが正常に受信できない場合であっても、過去に正常に受信された航法データに基づいて得られた航行衛星上の時刻の偏差(の列)に対する整合性が高い誤差関数fei′に基づいて、予測および補完が可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、従来例に比べてハードウェアの構成が基本的に変更されないにもかかわらず、正常に受信できなかった航法データの送信源である航行衛星上の時刻が精度よく補完され、その航行衛星に基づく測位の精度が安定に高く維持される。
【0030】
また、本発明によれば、地形や地物の多様な分布に対する柔軟な適応の可能性が拡大され、かつ実時間性が損なわれることなく、精度よく安定に測位の継続が可能となる。
【0031】
したがって、本発明が適用された衛星航法系は、コストが増加することなく、多様な分野に対する柔軟な応用の可能性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】ログバッファの構成を示す図である。
【図3】本実施形態の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
【0034】
図において、GPS衛星(図示されない。)から無線信号が到来するアンテナ11の給電点には無線部12のアンテナ端子が接続され、その無線部12の出力は信号処理部13の対応するアナログポートに接続される。信号処理部13の第一の出力は無線部12の局発入力に接続され、その信号処理部13の第二の出力には上記GPS衛星の位置(以下、「衛星位置」という。)、速度(以下「衛星速度」という。)、加速度(以下、「衛星加速度」という。)の全てまたは一部が出力される。信号処理部13の主記憶の特定の記憶領域には、図1に点線で示すように、ログバッファ13LBが配置される。このログバッファ13LBは、図2示すように、GPS衛星毎に対応する所定数Nのレコードを個別に有するセグメント13S-1〜13S-kの集合として構成され、これらのセグメント(レコード)は、以下の情報がそれぞれ保持されるフィールドを有する。
【0035】
(1) 後述する送信時刻tSV
(2) エポック時刻toc
(3) クロック補正係数αf、αf、αf
なお、所定数Nは、エフェメリス毎に含まれる上記エポック時刻tocおよびクロック補正係数αf、αf、αf の総数(=4)以上に予め設定される。
【0036】
図3は、本実施形態の動作フローチャートである。
以下、図1〜図3を参照して本実施形態の動作を説明する。
本実施形態の各部の基本的な動作は、以下の通りである。
無線部12は、GPS衛星からアンテナ11に到来した受信波を取り込み、信号処理部13によって与えられる局発信号に基づいてその受信波をヘテロダイン検波することにより中間周波信号を生成し、その中間周波信号をA/D変換することにより、ディジタル信号を生成する。
【0037】
信号処理部13は、以下の処理を行う。
(1) 所定のアルゴリズムに基づいてGPS衛星を順次選択し、選択された個々のGPS衛星について、受信波のドプラシフトを推定し、そのドップラシフトの中心値を含む所定の周波数帯域における受信波との相関をとる。
(2) 並行してGPS衛星から受信され得るC/Aコードの内、該当するGPS衛星から受信されたC/Aコードとの相関が最大となる周波数と、C/Aコードの位相とを検出してGPS衛星を捕捉する。
【0038】
(3) 何れのGPS衛星についても、捕捉した後には、搬送波とC/Aコートの位相との追尾を継続して行う。
(4) GPS衛星から受信されるC/Aコードの位相を測定することにより、該当する受信波が送信された時刻(以下、「送信時刻」という。)を求める。
【0039】
(5) 「本実施形態に係るGPS受信機(以下、単に「受信機」という。)に内蔵された時計(以下、「内蔵時計」という。)が与える時刻」の上記「送信時刻」に対する偏差を該当するGPS衛星から到来する受信波の伝搬所要時間Tとして求める。
(6) この伝搬所要時間Tと上記受信波の伝搬速度の公称値Cとの積として、GPS衛星の擬似距離を求める。
【0040】
(7) 受信波を復調することにより、アルマナック(軌道上の全てのGPS衛星の大まかな軌道情報を含む。)と、エフェメリス(受信波の送信元であるGPS衛星のクロック補正係数および軌道情報を含む。)とを取得する。
(8) 地球の中心を原点とする3次元座標系における個々のGPS衛星の衛星位置を上記エフェメリスに基づいて求める。
【0041】
(9) これらのGPS衛星の内、4個以上のGPS衛星について、上記「送信時刻」における「衛星位置」および「擬似距離」に対して成立する連立方程式の解として、地球上における受信機の位置(X,Y,Z)と、その受信機の「内蔵時計」が与える時刻の偏差とを求め、これらの位置および偏差を出力する。
【0042】
ところで、上述した「送信時刻」は、GPS受信機がエフェメリスを正常に受信できたGPS衛星については、「GPSシステム仕様書」に「時刻・周波数補正モデル」として規定されるように、以下に列記するパラメータ(1)〜(11) に対する下式(a)〜(d)で示すように、時刻補正ΔtSVとなる値として求められる。
【0043】
(1) 上記受信波の伝搬速度の公称値C
(2) 重力パラメータμ
(3) F(=−2√(μ)/C=-4.442807633・10−10[s/m1/2])
(4) GPS衛星の離心率e
(5) GPS衛星の長半径A
(6) GPS衛星の離心近地点離角E
【0044】
(7) エポック時刻toc(エフェメリスの一部としてGPS衛星から受信される。)
(8) クロック補正係数αf、αf、αf(エフェメリスの一部としてGPS衛星から受信される。)
(9) GPS衛星時刻系における送信時刻tSV
(10)相対論に基づく補正値Δtr
(11)L1帯における遅延補正値TGD
【0045】
ΔtSV=af0+af1(tSV−toc)+af2(tSV−toc)+Δtr−TGD …(a)
Δtr=Fe√(A)sin(E) …(b)
(tSV−toc)=(tSV−toc)−604800 〔(tSV−toc)>302400の時〕 …(c)
(tSV−toc)=(tSV−toc)+604800 〔(tSV−toc)<-302400の時〕 …(d)
【0046】
本実施形態の特徴は、エフェメリスが正常に受信されなかったGPS衛星の「送信時刻」が後述する処理の下で補完(外挿)される点にある。
【0047】
信号処理部13は、正常に受信されたエフェメリスに基づいてGPS衛星の送信時刻を算出する処理の過程では、ログバッファ13LBのセグメント13S-1〜13S-kの内、該当するGPS衛星に対応したセグメントに、そのGPS衛星および該当する時刻tに対応させて、以下の情報をサイクリックに蓄積する(図3ステップS1)。
【0048】
(1) 正常に識別された最新の送信時刻tSV-t
(2) 正常に受信された最新のエフェメリス(以下、「最新エフェメリス」という。)に含まれるエポック時刻toc-t
(3) 同様の最新エフェメリスに含まれるクロック補正係数αf-t、αf-t、αf-t
【0049】
なお、信号処理部13は、既述の式(a) の右辺にある項(Δtr−TGD)の値をGPS衛星毎に求め、かつ定数αとして別途蓄積する。このような定数αの算出および上記蓄積の処理は、始動時と、新しいGPSから到来する受信波を識別する度との何れにおいても適宜行うことが可能である。
【0050】
以下では、時刻tについては、以下では、一定の周期Δtと整数iとの積(=Δt・i)として与えられると仮定する。
【0051】
また、信号処理部13は、最新エフェメリスが正常に受信できなかった場合には、該当するGPS衛星に関して以下の処理を行う。
以下では、現時点以降においても送信時刻(衛星時刻)の補正に用いられるべき時刻補正ΔtSV−j′が既述の式(a) に準じた下記の近似式(f) で与えられることを前提として、同式に含まれる係数K0−j,K1−j,K2−jおよびエポック時刻toc−jが後述する手順により求められる。
【0052】
ΔtSV−j′=K0−j+K1−j(tSV−j−toc−j)+K2−j(tSV−j−toc−j)+α…(f)
ここに、サフィックスjは、現時点に「0」が付与され、かつ時間軸上における未来の方向には周期Δtで「−1」、「−2」、…と降順に付与されると共に、過去の方向(時系列tの逆順)には周期Δtで「1」、「2」、…と昇順に付与される整数(≦(N−3))を示す。なお、(N−3)は、ログバッファ13LBのレコード13S-1〜13S-kに個別に含まれるレコードの数Nから、過去の方向に隣接する4(エポック時刻toc−jおよびクロック補正係数αf0−j、αf1−0−j、αf2−0−jの総数)つずつのレコードを抽出可能な組み合わせの総数を意味する。
【0053】
(1) この時点(以下、「現時点」という。)以前に正常に求められた最新のエポック時刻toc−0およびクロック補正係数αf0−0、αf1−0、αf2−0をログバッファ13LBから取得する(図3ステップS2)。
【0054】
(2) ログバッファ13LBのセグメント13S-1〜13S-kの内、該当するGPS衛星に対応するセグメント(以下、「該当セグメント」という。)を時系列の逆順に参照することにより得られるエポック時刻、クロック補正係数および送信時刻が上記近似式(f) に個別に代入されることにより構成される下記の(N−3)組の連立方程式を得る(図3ステップS3)。
【数1】

【0055】
(3) これらの連立方程式の解(K0−0,K1−0,K2−0)〜(K0−(N−2),K1−(N−2),K2−(N−2))を求める(図3ステップS4)。
【0056】
(4) 上記近似式(f) の右辺にある係数K0−j,K1−j,K2−jとして、これらの連立方程式の解(K0−0,K1−0,K2−0)〜(K0−(N−2),K1−(N−2),K2−(N−2))がそれぞれ代入され、かつ同右辺の送信時刻tSV−jおよびエポック時刻toc−jとして、ログバッファ13LBの該当セグメントに蓄積されている送信時刻およびエポック時刻がそれぞれ代入されることによって得られる右辺の値として、(N−1)組の時刻補正(ΔtSV−00〜ΔtSV−0(N−1))〜(ΔtSV−(N−2)0〜ΔtSV−(N−2)(N−1))を算出する(図3ステップS5)。
【0057】
(5) 時系列tの逆順(j=0、…、(N−1))に、近似式(f) の右辺に上記解(K0−0,K1−0,K2−0)〜(K0−(N−2),K1−(N−2),K2−(N−2))をそれぞれ代入することによって、右辺の値としてN個ずつの時刻補正(ΔTSV−00〜ΔTSV−0(N−1))〜(ΔTSV−(N−3)0〜ΔTSV−(N−3)(N−1))を算出する(図3ステップS6)。
【0058】
(6) ログバッファ13LBの該当セグメントに蓄積されている送信時刻、エポック時刻およびクロック補正係数に併せて、既述の定数αを上記近似式(f) に代入することによって、同近似式(f) の右辺の値として、N個の時刻補正(以下、「実績時刻補正」という。)ΔτSV−0〜ΔτSV−(N−1)を算出する(図3ステップS7)。
【0059】
(7) 上述した解(K0−0,K1−0,K2−0)〜(K0−(N−2),K1−(N−2),K2−(N−2))の内、以下の要件の全てまたは一部(1つのみであってもよい。)が成立する解(以下、「最適解」という。)K,K,K
を特定する(図3ステップS8)。
【0060】
(7-1) 実績時刻補正ΔτSV−0〜ΔτSV−(N−1)に対する偏差が最小となる解
(7-2) 実績時刻補正ΔτSV−0〜ΔτSV−(N−1)に対する偏差の最大値が既定の閾値以下(あるいは未満)に抑えられる解
【0061】
(7-3) 既述のN個ずつの時刻補正(ΔTSV−00〜ΔTSV−0(N−1))〜(ΔTSV−(N−3)0〜ΔTSV−(N−3)(N−1))の内、総和が最小となる特定の時刻補正を与える解
(7-4) N個ずつの時刻補正(ΔTSV−00〜ΔTSV−0(N−1))〜(ΔTSV−(N−3)0〜ΔTSV−(N−3)(N−1))の内、値の分散が最小である特定の時刻補正を与える解
【0062】
(8) 近似式(f) の右辺に最良解K,K,Kが適用されてなる下記の予測式(g) を求める(図3ステップS9)。
ΔtSV−j′=K+K(tSV−j−toc−j)+K(tSV−j−toc−j)+α …(g)
【0063】
(9) 先に正常に求められた最新の送信時刻tSV−0およびエポック時刻toc−0と、既述の定数αとを上記予測式(g) に代入することにより、時刻補正ΔtSV−0′を求める(図3ステップS10)。
【0064】
(10)この時刻補正ΔtSV−0′に基づいて送信時刻tSV−0を補正する(図3ステップS12)ことにより、エフェメリスが正常に受信できなかったために低下する送信時刻tSV−0の精度の低下を回避する。
なお、本願の「特許請求の範囲」では、上記予測式(g) は「誤差関数」に相当し、この予測式(g) と既述の「GPS衛星時刻系における送信時刻(=tSV−j)」との和が「予測関数」に相当する。
【0065】
さらに、信号処理部13は、最新エフェメリスと、これに先行する直近のエフェメリスとが同様に正常にできていなかった場合には、該当するGPS衛星に関して以下の処理を行う。
【0066】
(1) 既述の最適解K,K,Kを得る処理を省略し、かつ上記最適解K,K,Kを引き続き適用することにより、既述の手順に基づいて最新の送信時刻tSV−0′を補正する(図3ステップS9,S10)。
(2) 上記最適解K,K,Kが得られた時点から経過した時間Pを特定し(図3ステップS11)、その時間Pが規定の上限値を超える場合には、警報を出力する(図3ステップS12)。
【0067】
すなわち、本実施形態によれば、エフェメリスが正常に受信できなかった場合であっても、「先行して正常に受信されたエフェメリスに基づいて得られ、かつログバッファ13LBに蓄積されたパラメータ」を基準とすることにより、GPS受信機のハードウェアの構成が基本的に変更されることなく時刻補正ΔtSV−0′の予測が精度よく実現され、測位の精度が高く安定に維持される。
【0068】
したがって、本実施形態に係るGPS受信機は、コストが大幅に増加することなく、かつ実時間性が損なわれることなく、多様な地形や地物の分布に対する柔軟な適応が可能となり、GPSの多様な分野に対する適用が可能となる。
【0069】
また、本実施形態に係るGPS受信機は、多数の高層ビルが乱立する都市部や市街地においても、高い精度による安定な測位の実現と、多様な分野に対するGPSの応用の拡大とを可能とする。
【0070】
さらに、本実施形態では、例えば、時刻補正ΔtSVのように、既述の処理(図3ステップS1〜S13)の過程で重複して参照される情報については、ログバッファ13LBの該当セグメントの各フィールドに一次的に保持されることにより、処理量や応答性の向上が図られてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、最適解K,K,Kの特定のために適用される要件は、既述の要件に限定されず、コスト、処理、ハードウェア資源の全てまたは一部の増加、あるいは応答性の低下が許容されるならば、如何なるものであってもよい。
【0072】
さらに、本実施形態では、時刻補正を与える近似式(f) および予測式(g) の双方または何れか一方は、送信時刻を与える式であってもよい。
【0073】
また、本実施形態では、既述の(N−3)組の連立方程式は、ログバッファ13LBの該当セグメントにおいて時系列の逆順に隣接して蓄積されている内容に基づいて生成されている。
しかし、このような連立方程式は、ログバッファ13LBの該当セグメント上で隣接しない(例えば、既述の期間Δtの整数倍のインターバルずつ隔たった)フィールドに蓄積された内容に基づいて生成されてもよい。なお、上記(N−3)組の連立方程式には、ログバッファ13LBから読み出されるエポック時刻およびクロック補正係数の全てまたは一部は、近似値に変換されて適用されてもよく、あるいは何らかの予測処理の下で修正が加えられた後に適用されてもよい。
【0074】
さらに、これらの連立方程式の組数は、上記該当セグメントに蓄積された内容が重複して用いられてもよい場合には、(N−2)以上となってもよい。
【0075】
また、本実施形態では、既述の近似式(f) および予測式(g) は、既述の式(a) と同じ次数の多項式として与えられている。
しかし、これらの近似式(f) および予測式(g) は、双方または何れか一方が3次以上の高次の多項式、あるいは1次の多項式として与えられてもよく、かつ両者の次数が異なってもよい。
【0076】
また、本発明は、既述の通りに予測された時刻補正ΔtSV−0′と、その時刻補正ΔtSV−0′に基づいて得られる送信時刻tSV−j′との何れかの変化率(微分値)を求めることにより、周波数変動(衛星に搭載された時計の誤差に起因する。)の予測にも同様に適用可能である。
【0077】
さらに、本実施形態の演算対象や演算手順は、既述の形態に限らず、所望の精度や応答性が達成されるならば、如何なるものであってもよい。
【0078】
また、本実施形態では、既述の処理は、信号処理部13によって単独で行われている。
しかし、このような処理は、情報処理や信号処理を行う複数のプロセッサに如何なる形態で機能分散や負荷分散が図られてもよい。
【0079】
さらに、本実施形態では、本発明は、GPS受信機の測位の精度を高め、かつ高く維持するために適用されている。
しかし、本発明は、このような用途や目的だけではなく、例えば、以下に列記するように、GPS受信機の始動や起動に要する時間の短縮のためにも、同様に適用可能である。
【0080】
(1) GPS受信機内にアルマナックがない場合(先に記憶されているアルマナックの有効期限が過ぎた後、アルマナックを蓄積するメモリの不揮発性が保証されない状態)におけるコールドスタート
【0081】
(2) GPS受信機内に有効なアルマナックが蓄積されているが、エフェメリスが記憶されてなく、あるいは先に記憶されているエフェメリスの有効期限が過ぎた後におけるウォームスタート
【0082】
(3) GPS受信機内に有効なアルマナックおよびエフェメリスが蓄積されている状態におけるホットスタート
【0083】
また、本発明は、GPS衛星に限定されず、例えば、構築や開発が進められているグロナス、ガリレオ、コンパスその他の多様な航行衛星にも同様に適用可能である。
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
【0084】
以下、本願に開示された発明の内、「特許請求の範囲」対する記載の対象から除外した発明を整理し、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段」の欄の記載に準じた様式により列記する。
【0085】
[請求項9] 請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の測位支援装置において、
前記近似値は、
前記時系列iの逆順に先行する量に基づく予測によって求められる
ことを特徴とする測位支援装置。
このような構成の測位支援装置では、請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の測位支援装置において、前記近似値は、前記時系列iの逆順に先行する量に基づく予測によって求められる。
【0086】
このような近似値は、単に、「先行して正常に得られた航法データに基づいて得られた量」、あるいは「その量の単なる近似値」ではなく、これらの量の履歴に基づく予測により得られる。
【0087】
したがって、補完される予測関数Fpiと誤差関数feiとの何れの精度も平均的に高められ、かつ安定に維持される。
【0088】
[請求項10] 請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載の測位支援装置において、
前記所定の数Nが「1」である
ことを特徴とする測位支援装置。
【0089】
このような構成の測位支援装置では、請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載の測位支援装置において、前記所定の数Nが「1」である。
【0090】
すなわち、予測関数Fpiと誤差関数feiとの何れについても、補完のために行われるべき処理の演算対象に併せて処理量が少なく抑えられる。
【0091】
したがって、所望の精度が確保されるのであれば、応答性が高められ、かつ消費電力の節減と、ハードウェアの実装や熱設計にかかわる制約の緩和とが図られる。
【0092】
[請求項11] 請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の測位支援装置において、
前記所定の数Nが複数であり、
前記補完手段は、
時系列iの順に小さな重みによる重み付けにより前記偏差を得る
ことを特徴とする測位支援装置。
【0093】
このような構成の測位支援装置では、請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の測位支援装置において、前記所定の数Nは、複数である。前記補完手段は、時系列iの順に小さな重みによる重み付けにより前記偏差を得る。
【0094】
すなわち、予測関数Fpiと誤差関数feiとの何れの補完の過程においても、先行して正常な航法データに基づいて得られた量が古いほど大きく重み付けられて参照される。
【0095】
したがって、予測関数Fpiと誤差関数feiとの何れについても、補完の精度が高められ、かつ安定に維持される。
【0096】
[請求項12] 請求項1ないし請求項11の何れか1項に記載の測位支援装置において、
前記所定の数Nが複数であり、
前記補完手段は、
前記偏差の基準となる量が大きいほど大きな重みによる重み付けにより前記偏差を得る
ことを特徴とする測位支援装置。
【0097】
このような構成の測位支援装置では、請求項1ないし請求項11の何れか1項に記載の測位支援装置において、前記所定の数Nは、複数である。前記補完手段は、前記偏差の基準となる量が大きいほど大きな重みによる重み付けにより前記偏差を得る。
【0098】
すなわち、補完手段によって行われる演算の過程では、上記偏差の基準となる量の大きさの如何にかかわらず共通の重みが採用される場合に比べて、誤差の圧縮が図られる。
【0099】
したがって、予測関数Fpiと誤差関数feiとの何れについても、補完の精度が高められ、かつ安定に維持される。
【0100】
[請求項13] 請求項1ないし請求項12の何れか1項に記載の測位支援装置において、
前記所定の数Nが複数であり、
前記ログ手段は、
前記補完手段によって補完された関数を前記時系列iの順に蓄積し、
前記補完手段は、
前記所定の数Nの時点の内、前記補完手段によって補完された関数が前記ログ手段に蓄積されている時点について得られ、かつ偏差に含まれる量を小さく重み付け、あるいは「0」と見なす
ことを特徴とする測位支援装置。
【0101】
このような構成の測位支援装置では、請求項1ないし請求項12の何れか1項に記載の測位支援装置において、前記所定の数Nは、複数である。前記ログ手段は、前記補完手段によって補完された関数を前記時系列iの順に蓄積する。前記補完手段は、前記所定の数Nの時点の内、前記補完手段によって補完された関数が前記ログ手段に蓄積されている時点について得られ、かつ偏差に含まれる量を小さく重み付け、あるいは「0」と見なす。
【0102】
すなわち、予測関数Fpiと誤差関数feiとの何れの補完も、正常に得られた航法データに基づいて得られた量や関数だけではなく、請求項1ないし請求項12に記載の測位支援装置によって先行して補完された量や関数にも基づいて行われる。また、その補完の過程では、「正常に得られた航法データに基づいて得られた量や関数」よりも、「先行して補完された量や関数」が小さく重み付けられて参照され、あるいは無視される。
【0103】
したがって、ログ手段と補完手段との何れによって行われる処理も手順の共通化が図られ、かつ設計、デバッグおよび保守の容易性および利便性が高められる。
【0104】
[請求項14] 請求項1ないし請求項13の何れか1項に記載の測位支援装置において、周波数補正支援手段は、前記航行衛星に搭載され、かつ前記航行衛星における時刻の基準となる発振器の発振周波数のシフトを前記Tiの変化率として得る
ことを特徴とする測位支援装置。
【0105】
このような構成の測位支援装置では、請求項1ないし請求項13の何れか1項に記載の測位支援装置において、周波数補正支援手段は、前記航行衛星に搭載され、かつ前記航行衛星における時刻の基準となる発振器の発振周波数のシフトを前記Tiの変化率として得る。
【0106】
すなわち、請求項1ないし請求項13の構成が基本的に変更されることなく、航行衛星に搭載され、かつ前記航行衛星における時刻の基準となる発振器の発振周波数のシフトが得られる。
【0107】
したがって、航行衛星に搭載された発振器の発振周波数の偏差やその偏差の変動が生じても、このような偏差に起因する測位精度の低下が精度よく安価に図られる。
【符号の説明】
【0108】
11 アンテナ
12 無線部
13 信号処理部
13LB ログバッファ
13S セグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列iの順に、航行衛星によって航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiを個別に与え、かつ前記航法データで与えられる予測関数Fpiを蓄積するログ手段と、
前記時系列iにおける値が前記時刻Tiの近似値もしくは前記時刻Tiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記予測関数Fpiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である予測関数Fpi′で前記予測関数Fpiを補完する補完手段と
を備えたことを特徴とする測位支援装置。
【請求項2】
時系列iの順に、航行衛星によって航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiの誤差ΔTiを個別に与え、かつ前記航法データで与えられる誤差関数feiを蓄積するログ手段と、
前記時系列iにおける値が前記誤差ΔTiの近似値もしくは前記誤差ΔTiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記誤差関数feiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である誤差関数fei′と前記時刻tiとの和である予測関数Fpi′で、前記時系列iの順に前記時刻Tiを与える予測関数Fpiを補完する補完手段と
を備えたことを特徴とする測位支援装置。
【請求項3】
航行衛星の航法データで与えられ、かつ時系列iの順に、前記航行衛星によって前記航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiを蓄積するログ手段と、
前記時系列iにおける値が前記時刻Tiの近似値もしくは前記時刻Tiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記ログ手段に蓄積された時刻Tiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である予測関数Fpi′で、前記時系列iの順に前記時刻Tiを与える予測関数Fpiを補完する補完手段と
を備えたことを特徴とする測位支援装置。
【請求項4】
航行衛星の航法データで与えられ、かつ時系列iの順に、前記航行衛星によって前記航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiの誤差ΔTiを蓄積するログ手段と、
前記時系列iにおける値が前記誤差ΔTiの近似値もしくは前記誤差ΔTiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記ログ手段に蓄積された誤差ΔTiが既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である予測関数Fpi′で、前記時系列iの順に前記誤差ΔTiを与える予測関数Fpiを補完する補完手段と
を備えたことを特徴とする測位支援装置。
【請求項5】
時系列iの順に、前記航行衛星によって前記航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiを個別に与え、かつ前記航法データで与えられる予測関数Fpiを蓄積するログ手段と、
前記時系列iにおける値が前記時刻Tiの近似値もしくは前記時刻Tiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記予測関数Fpiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である予測関数Fpi′と前記時刻tiとの差である誤差関数fei′で、前記予測関数Fpiの誤差ΔTiを示す誤差関数feiを補完する補完手段と
を備えたことを特徴とする測位支援装置。
【請求項6】
時系列iの順に、航行衛星によって航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiの誤差ΔTiを個別に与え、かつ前記航法データで与えられる誤差関数feiを蓄積するログ手段と、
前記時系列iにおける値が前記誤差ΔTiの近似値もしくは前記誤差ΔTiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記誤差関数feiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小である誤差関数fei′で、前記時系列iの順に前記誤差関数feiを補完する補完手段と
を備えたことを特徴とする測位支援装置。
【請求項7】
航行衛星の航法データで与えられ、かつ時系列iの順に、前記航行衛星によって前記航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiを蓄積するログ手段と、
前記時系列iにおける値が前記時刻Tiの近似値もしくは前記時刻Tiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記ログ手段に蓄積された時刻Tiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小となる誤差関数fei′で、前記時系列iの順に前記誤差ΔTiを与える誤差関数feiを補完する補完手段と
を備えたことを特徴とする測位支援装置。
【請求項8】
航行衛星の航法データで与えられ、かつ時系列iの順に、前記航行衛星によって前記航法データが送信された時刻ti以降における前記航行衛星上の時刻Tiの誤差ΔTiを蓄積するログ手段と、
前記時系列iにおける値が前記誤差ΔTiの近似値もしくは前記誤差ΔTiであり、かつ前記時系列iの逆順に先行する所定の数Nの時点において、前記ログ手段に蓄積された誤差ΔTiに対する偏差が既定の範囲に抑えられ、あるいは最小となる誤差関数fei′で、前記時系列の順に前記誤差ΔTiを与える誤差関数feiを補完する補完手段と
を備えたことを特徴とする測位支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−13505(P2012−13505A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149426(P2010−149426)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】