説明

測定装置

【課題】測定部が装置本体に着脱可能であり、両者間に延長ケーブルを接続することのできる測定装置において、より簡易に、延長ケーブルの特性に応じて、より正確な測定値を得ることのできる測定装置を提供する。
【解決手段】検出素子21、24と検出素子に接続された固有ケーブル22とを有する測定部20と、固有ケーブルによって測定部が着脱可能に接続される装置本体10と、検出素子から装置本体に入力される検出信号に基づいて測定値を求める変換器11と、を有する測定装置1は、検出素子に接続される延長ケーブル30を測定部と装置本体との間に接続可能であり、延長ケーブルの特性に応じて検出信号と測定値とを関係付けるための変換情報を変換器に提供する変換情報提供手段12を有し、変換器が変換情報を用い装置本体に延長ケーブルを介して接続された測定部の検出素子から入力された検出信号に基づいて延長ケーブルの特性に応じた測定値を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサ、pHセンサ、イオンセンサ、ORPセンサ又は電気伝導率センサなどの測定部が装置本体に対して着脱可能であり、その測定部と装置本体との間に延長ケーブルを接続することのできる測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、温度検出素子として測温抵抗体を用いた温度センサが広く用いられている。測温抵抗体は、電気抵抗値が温度に応じて変化するものであり、このことを利用して温度を測定することができる。測温抵抗体としては、白金、ニッケル、銅などの金属、或いはサーミスタなどが用いられる。
【0003】
温度センサは、単体で用いられる他、pHセンサ、イオンセンサ、ORPセンサ又は電気伝導率センサなどに内蔵されて、温度測定値により温度補償をするなどのために使用されている。
【0004】
測温抵抗体を用いた温度センサとしては、4線式のものが広く用いられており、これはケーブルの心線(導線)自体の電気抵抗値が温度センサの測定値に影響を及ぼさないようになっている。
【0005】
4線式の温度センサは、ケーブルの心線数が多く、ケーブルの断面積が大きくなってしまうことがある。特に、温度センサがpHセンサ等に組み込まれた測定部(プローブ)については、ケーブルの断面積が非常に大きくなってしまい、スペースや操作性の点で問題となることがある。そこで、測温抵抗体を用いた温度センサとして4線式に代えて、心線数を減らした2線式のものを採用することが考えられる。
【0006】
又、従来、溶液の電気伝導率を測定し、例えば溶液の電解質の割合を調査することが広く行われている。一般的に、溶液の電気伝導率は溶液中に存在するイオンに依存し、金属導体と同様にオームの法則に従う。溶液の場合は、1m立方の相対する2面間の電気抵抗を抵抗率とし、その逆数を電気伝導率としてS/mの単位で表す。電気伝導率の測定方法としては、少なくとも一対の電極を備えた電気伝導率測定電極(電気伝導率セル)を被測定溶液に浸漬し、この電極間に電圧を印加することで被測定溶液の電気抵抗を測定して電気伝導率を求める、所謂、電極法がある。より具体的には、例えば、電気伝導率セルの電極間に正弦波又は矩形波の交流電圧を印加し、電極間に流れる電流を検出して電気伝導率に換算する。
【0007】
溶液の溶質濃度が同じであっても、その溶液の電気伝導率は、溶液の温度により変わる。そのため、溶液の電気伝導率は、一般に、基準温度(通常、25℃)での電気伝導率に換算して表示される。又、電気伝導率セルは、使用目的などに応じて種々の形状、大きさのものがあり、電極の面積と電極の間隔から電気伝導率に換算する場合の定数(セル定数)が決まる。セル定数は、通常、電極間距離を電極面積で除した値とされる。
【0008】
電気伝導率セルのセル定数は、通常、1個1個異なる値を持っているため、電気伝導率の測定を行う場合は、装置に予めセル定数を設定することが必要である。そのため、一般に、電気伝導率セルを備えた電気伝導率センサの工場出荷時等に、個別にセル定数を求め、電気伝導率センサと共に提供される。この場合、セル定数の設定の容易化のために、電気伝導率センサのケーブルやコネクタに設けた記憶媒体にセル定数を記憶させることがある(特許文献1)。
【0009】
ところで、測定部が装置本体に着脱可能とされている測定装置において、測定部を装置本体に接続するために測定部が有する定型のケーブル(固有ケーブル)では測定目的などに照らして短い場合に、更に延長用のケーブル(延長ケーブル)を測定部と装置本体との間に接続して、ケーブル全体の長さを長くしたいことがある。
【0010】
しかしながら、例えば、上述のような2線式の温度センサの場合、ケーブルの心線の電気抵抗値によって、温度センサの測定値が影響を受ける。測定部と装置本体との間の距離が短い場合には問題とならないことが多いが、測定部の固有ケーブルに、更に延長ケーブルを繋げた場合には、延長ケーブルの心線の電気抵抗値(線間抵抗)に起因して温度センサの測定値に誤差が発生する。
【0011】
又、電気伝導率センサが測定部として装置本体に着脱可能である場合には、通常、電気伝導率センサの工場出荷時等に、電気伝導率セルと固有ケーブルとを含んだ状態で個別にセル定数が求められ(即ち、固有ケーブルの心線の電気抵抗値も考慮されている)、電気伝導率センサと共に提供される。
【0012】
しかしながら、上記温度センサの場合と同様、電気伝導率センサの固有ケーブルに、更に延長ケーブルを繋げた場合には、延長ケーブルの心線の電気抵抗値(線間抵抗)によって、電気伝導率の測定値に誤差が発生する。
【0013】
そこで、従来は、延長ケーブルを用いる場合により正確な測定値を得るためには、延長ケーブル又はその心線の長さ(以下、単に「ケーブルの長さ」という。)から、手計算によって測定値を補正することを行っている。
【0014】
しかしながら、上述のような手計算による補正は、煩雑であり、又誤りの原因にもなる。特に、長さの異なる複数種類の延長ケーブルを利用可能な測定装置においては、延長ケーブルの長さに応じて上述のような手計算による補正を行うことは、非常に煩雑であり、又誤りも発生させ易くなる。
【0015】
尚、特許文献2は、電気伝導率測定用の測定セルと温度測定素子とを備えた検出器を有する導電率計において、温度測定素子の両端を短絡する短絡スイッチを有し、この短絡スイッチにより温度測定素子の両端を短絡して測定した温度測定ケーブルの抵抗値を導電率測定ケーブルの抵抗値と見なし、導電率測定時の抵抗値から導電率測定ケーブルの抵抗値を減じて溶液抵抗値を求め、その溶液抵抗値から導電率を算出する方法が開示されている。
【0016】
特許文献2に記載の方法によれば、温度測定ケーブル、電気伝導率測定ケーブルの電気抵抗値を求めることができるが、装置構成が複雑化するので好ましくない。又、特許文献2は、延長ケーブルについては何ら開示していない。
【0017】
尚、以上では、延長ケーブルの長さの違いによる温度測定値の誤差について説明したが、長さが同じでも延長ケーブルの心線の単位長さ当たりの電気抵抗値に係る特性(断面積など)の違いによる誤差、或いはこれら両方が異なる場合の誤差についても同様のことが言える。
【特許文献1】特開平10−253572号公報
【特許文献2】特開2003―66077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたもので、測定部が装置本体に着脱可能であり、その測定部と装置本体との間に延長ケーブルを接続することのできる測定装置において、より簡易に、延長ケーブルの特性に応じて、より正確な測定値を得ることのできる測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的は本発明に係る測定装置にて達成される。要約すれば、本発明は、検出素子と前記検出素子に接続された心線を備えた固有ケーブルとを有する測定部と、前記固有ケーブルによって前記測定部が着脱可能に接続される装置本体と、前記装置本体に設けられ前記検出素子から前記装置本体に入力される検出信号に基づいて測定値を求める変換器と、を有する測定装置であって、前記検出素子に接続される心線を備えた延長ケーブルを前記測定部と前記装置本体との間に接続可能であり、前記延長ケーブルの特性に応じて前記検出信号と前記測定値とを関係付けるための変換情報を前記変換器に提供する変換情報提供手段を有し、前記変換器が、前記変換情報を用いて、前記装置本体に前記延長ケーブルを介して接続された前記測定部の前記検出素子から入力された前記検出信号に基づいて、該延長ケーブルの特性に応じた前記測定値を求めることを特徴とする測定装置である。
【0020】
本発明の一実施態様によると、前記延長ケーブルの特性に係る特性情報を前記変換器に提供する特性情報提供手段として、前記延長ケーブルに、前記特性情報が記憶された延長ケーブル側記憶媒体が設けられている。他の実施態様によると、前記延長ケーブルの特性に係る特性情報を前記変換器に提供する特性情報提供手段として、前記装置本体に、操作者によって前記特性情報を入力するための入力手段が設けられている。他の実施態様によると、前記延長ケーブルの特性に係る特性情報を前記変換器に提供する特性情報提供手段として、前記延長ケーブルに、前記特性情報が付帯されたスイッチ、アナログスイッチ、抵抗器、コンデンサなどの物理量若しくは状態変更手段;電圧発生器、電流発生器、光発生器などの物理量発生手段;物理的形状変化;又はバーコードから成る群から選択される情報提示手段が設けられており、前記装置本体には更に、前記情報提示手段に付帯された前記特性情報を認識するための認識手段が設けられている。
【0021】
本発明の一実施態様によると、前記変換情報提供手段は、前記装置本体が有する本体側記憶媒体である。好ましい一実施態様によれば、前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性と、前記変換器による前記検出信号から前記測定値を求める処理過程において前記延長ケーブルの特性に応じて処理値から差し引くべき値に係る情報と、の関係を示す情報を含み、前記変換器は、該関係に基づいて前記延長ケーブルの特性に応じた誤差分が差し引かれた前記測定値を求める。又、他の好ましい一実施態様によれば、前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性毎の前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報であり、前記変換器は、前記延長ケーブルの特性に応じて前記本体側記憶媒体から提供された前記延長ケーブルの特性に応じた前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報を用いて前記測定値を求める。
【0022】
本発明の一実施態様によると、前記変換情報提供手段は、前記測定部が有する測定部側記憶媒体である。好ましい一実施態様によれば、前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性と、前記変換器による前記検出信号から前記測定値を求める処理過程において前記延長ケーブルの特性に応じて処理値から差し引くべき値に係る情報と、の関係を示す情報を含み、前記変換器は、該関係に基づいて前記延長ケーブルの特性に応じた誤差分が差し引かれた前記測定値を求める。又、他の好ましい一実施態様によると、前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性毎の前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報であり、前記変換器は、前記延長ケーブルの特性に応じて前記測定部側記憶媒体から提供された前記延長ケーブルの特性に応じた前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報を用いて前記測定値を求める。
【0023】
本発明の一実施態様によると、前記装置本体は、前記変換情報を、前記測定部側記憶媒体に記憶させる書き込み手段を有する。
【0024】
本発明の一実施態様によると、前記変換情報提供手段は、前記延長ケーブルが有する延長ケーブル側記憶媒体である。好ましい一実施態様によれば、前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性と、前記変換器による前記検出信号から前記測定値を求める処理過程において前記延長ケーブルの特性に応じて処理値から差し引くべき値に係る情報と、の関係を示す情報を含み、前記変換器は、該関係に基づいて前記延長ケーブルの特性に応じた誤差分が差し引かれた前記測定値を求める。又、他の好ましい一実施態様によると、前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性に応じた前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報であり、前記変換器は、前記延長ケーブル側記憶媒体から提供された前記延長ケーブルの特性に応じた前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報を用いて前記測定値を求める。
【0025】
本発明の一実施態様によると、前記装置本体は、前記変換情報を、前記延長ケーブル側記憶媒体に記憶させる書き込み手段を有する。又、本発明の一実施態様によると、前記装置本体は、前記変換情報を、前記装置本体の外部の情報伝達媒体から取り込む取り込み手段を有する。好ましい一実施態様によれば、(a)前記情報伝達媒体は前記装置本体に取り外し可能に接続される着脱可能記憶媒体であり、前記取り込み手段は前記着脱可能記憶媒体から情報を読み取る読み取り手段であるか、又は、(b)前記情報伝達媒体は前記装置本体の外部の機器と前記装置本体とを通信可能に接続する通信手段であり、前記取り込み手段は前記通信手段を介して送信された情報を受信する受信手段である。
【0026】
本発明の一実施態様によると、前記装置本体は、前記変換情報を、操作者によって入力するための変換情報入力手段を有する。
【0027】
本発明の一実施態様によると、前記延長ケーブルの特性は、当該延長ケーブル若しくは当該延長ケーブルにおける前記心線の長さ、当該延長ケーブルにおける前記心線の単位長さ当たりの電気抵抗値に係る特性、又はこれらの両方である。又、本発明の他の実施態様によると、前記延長ケーブルの特性は、当該延長ケーブルにおける前記心線の電気抵抗値である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、測定部が装置本体に着脱可能であり、その測定部と装置本体との間に延長ケーブルを接続することのできる測定装置において、より簡易に、延長ケーブルの特性に応じて、より正確な測定値を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る測定装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0030】
実施例1
1.測定装置の全体構成
図1は、本発明に係る測定装置の一実施例を示す概略ブロック図である。本実施例では、測定装置1は、溶液の電気伝導率の測定に用いられる電気伝導率測定装置とされる。
【0031】
本実施例では、測定装置1は、電極法によって溶液の電気伝導率を測定するように構成される。測定装置1は、装置本体10と、温度センサと電気伝導率測定電極(電気伝導率セル)とが一体的に組み合わされており装置本体10に対して着脱可能な測定部(電気伝導率センサ)20と、を有し、測定部20と装置本体10との間に延長ケーブル30を接続することが可能とされている。
【0032】
装置本体10は、測定装置1の動作を統括的に制御し、検出信号から測定値を求めるコントローラ11(変換器,信号処理手段,制御手段)を有する。又、装置本体10には、コントローラ11に接続された、所定のプログラムやデータを記憶する本体側記憶媒体12、測定部20を接続するための本体側コネクタ13、電気伝導率測定用電源や検出信号の増幅回路等を備えた電気伝導率検出回路14、温度測定用電源や検出信号の増幅回路等を備えた温度検出回路15、電気伝導率又は温度の検出信号をアナログ−デジタル変換(A/D変換)するアナログ−デジタル変換器(A/D変換器)16、測定値や各種設定値等を表示する表示部17、測定操作や校正操作の開始又は停止の指示或いは各種設定値を入力する入力手段としての操作部18などが設けられている。操作部18には、データを入力するためのキーなどが設けられている。本体側コネクタ13は、測定部20をその定型のケーブル(固有ケーブル)22を介して直接接続するか、又は延長ケーブル30を介して接続できるようになっている。この他、装置本体10には、外部電源が接続され装置本体10の各部に作動電力を供給する電源回路等が設けられている。
【0033】
測定部20は、温度センサ21と、一対の電極(白金黒メッキ電極)24a、24bから成る電気伝導率セル24と、温度センサ21及び電気伝導率セル24をそれぞれ装置本体10に接続するための対応する心線を備えた固有ケーブル22と、固有ケーブル22の端部に設けられ測定部20を装置本体10又は延長ケーブル30に対して着脱可能に接続するための測定部側コネクタ23と、を有する。
【0034】
温度センサ21は、温度検出素子として測温抵抗体を用いるものであり、特に、本実施例では、測温抵抗体としてサーミスタを用いる。温度検出素子としての測温抵抗体としては、この他、白金、ニッケル、銅などの金属を用いることもできる。又、本実施例では、温度センサ21は、2線式のものである。
【0035】
延長ケーブル30は、測定部20と装置本体10との間の距離を長く取りたい場合などに、測定部20と装置本体10との間を検出信号等の通信が可能なように接続する接続手段の延長のために用いられるものである。延長ケーブル30は、温度センサ21及び電気伝導率セル24をそれぞれ装置本体10に接続するための対応する心線を備えた延長ケーブル本体31を有する。又、延長ケーブル30は、延長ケーブル本体31の一端部に設けられ延長ケーブル30を装置本体10に対して着脱可能に接続するための第1の延長コネクタ32と、延長ケーブル本体31の他端部に設けられ延長ケーブル30を測定部20に着脱可能に接続するための第2の延長コネクタ33と、を有する。
【0036】
このように、本実施例では、測定装置1は、検出素子(温度センサ21のサーミスタ、電気伝導率セル24)と検出素子に接続された導電体で形成された心線(導線)を備える固有ケーブル22とを有する測定部20と、固有ケーブル22によって測定部20が着脱可能に接続される装置本体10と、装置本体10に設けられ検出素子から装置本体10に入力される検出信号に基づいて温度測定値を求める変換器としてのコントローラ11と、を有する。又、測定装置1は、検出素子(温度センサ21のサーミスタ、電気伝導率セル24)に接続される導電体で形成された心線(導線)を備え、測定部20の固有ケーブル22及び装置本体10に着脱可能な延長ケーブル30を、測定部20と装置本体10との間に接続可能とされている。
【0037】
測定部20と装置本体10との間に延長ケーブル30を接続して電気伝導率を測定する場合について説明すると、電気伝導率を測定する際には、測定部20がビーカー等の容器6内に収容された被測定溶液61に浸漬される。そして、電気伝導率測定用の交流電源から、固有ケーブル22及び延長ケーブル30内の対応する心線を介して測定部20の電極24a、24b間に交流電圧が印加されて、その時流れる電流が固有ケーブル22及び延長ケーブル30内の対応する心線を介して装置本体10の電気伝導率検出回路14で検出される。又、この時、温度センサ21には、温度測定用の直流電源から、固有ケーブル22及び延長ケーブル30内の対応する心線を介して直流電圧が印加されて、被測定溶液61の温度に対応するサーミスタの電気抵抗値に応じた温度センサ21の出力信号が固有ケーブル22及び延長ケーブル30内の対応する心線を介して装置本体10の温度検出回路15で検出される。そして、電極24a、24b及び温度センサ21からの出力信号は、それぞれ電気伝導率検出回路14、温度検出回路15によって適当に増幅等された後、A/D変換器16に入力され、ここでA/D変換されてコントローラ11に入力される。
【0038】
尚、延長ケーブル30を利用しない場合には、測定部側コネクタ23が本体側コネクタ13に接続されることで、測定部20と装置本体10とが直接接続される。そして、上述の固有ケーブル22及び延長ケーブル30を介してなされるとして説明した動作は、固有ケーブル22のみを介してなされる。
【0039】
コントローラ11は、検出値にセル定数や温度などの補正を加えて電気伝導率を算出し、例えば装置本体10に設けられた表示部17において電気伝導率を表示させる信号を出力する。尚、本実施例では、測定部20は2つの電極を有するが、より多くの電極を有していてもよい。
【0040】
詳しくは後述するが、概略、コントローラ11は、検出値を、下記式(1)、
kT=kt/{1+α/100×(t−T)} ・・・(1)
(但し、Tは基準温度[℃]、tは溶液の温度[℃]、kTは電気伝導率[S/m]のT℃換算値、ktはt℃における電気伝導率[S/m]、αは溶液の温度係数[%])
に基づいて基準温度Tでの電気伝導率に換算する。基準温度Tは、例えば25℃である。又、一般の用途では、温度係数αを2.00%とすることで十分な精度で電気伝導率を測定することができる。尚、上記電気伝導率kt(S/m)は、コントローラ11において、電気伝導率セル24の出力信号から得られたコンダクタンス値(S)と、セル定数(m-1)とを乗算することで得られる。
【0041】
2.温度測定値の誤差の補正
次に、本実施例の測定装置1において延長ケーブル30を利用する場合における温度センサ21による温度測定値の誤差に対する対応に関して説明する。
【0042】
前述のように、測温抵抗体を用いた2線式の温度センサ21では、固有ケーブル22に、更に延長ケーブル30を繋げて用いた場合には、延長ケーブル30の心線の電気抵抗値によって温度測定値が影響を受ける。特に、延長ケーブル30の長さが長い場合(例えば、10mを超えるようなケーブル)、延長ケーブル30の心線の電気抵抗値が測定値に与える影響は大きい。
【0043】
一例として、延長ケーブル30が備える温度センサ21用の心線の電気抵抗値が約3.65Ω/10m(365Ω/km)であり、温度センサ21のサーミスタの電気抵抗値と温度測定値との関係が2.1kΩで25℃、0.2078kΩで90℃である場合を考える。この場合、延長ケーブル30の長さが10mであるとき、25℃の被測定溶液の温度を測定すると、温度センサ21と延長ケーブル30の心線との合成抵抗は、次式、
2.1kΩ+3.65Ω×2=2.1073kΩ
で計算され、対応する温度測定値は24.93℃となり、約0.3%の誤差が生じる。又、90℃の被測定溶液の温度を測定すると、温度センサ21と延長ケーブル30の心線との合成抵抗は、次式、
0.2078kΩ+3.65Ω×2=0.2151kΩ
で計算され、対応する温度測定値は88.82℃となり、約1.3%の誤差が生じる。
【0044】
このように、延長ケーブル30の特性、ここでは長さの違いが、温度測定値に与える影響が無視できなくなることがある。
【0045】
又、装置本体10に対して、特性、ここでは長さの異なる複数種類の延長ケーブル30が利用可能である場合には、それぞれの延長ケーブル30に応じた測定値の補正が必要となる。
【0046】
そこで、本実施例では、測定装置1に、延長ケーブル30の特性に応じて温度センサ21からの検出信号と温度測定値とを関係付けるための情報(変換情報)をコントローラ11に提供する変換情報提供手段を設ける。そして、コントローラ11は、この変換情報提供手段によって提供された変換情報を用いて、装置本体10に延長ケーブル30を介して接続された測定部20の温度センサ21から入力された検出信号に基づいて、その延長ケーブル30の特性に応じた温度測定値を求める。
【0047】
又、本実施例では、延長ケーブル30に、延長ケーブル30の特性に係る情報(特性情報)をコントローラ11に提供する特性情報提供手段を設ける。
【0048】
特に、本実施例では、特性情報提供手段は延長ケーブル30の特性に係る情報が記憶された延長ケーブル30が有する延長ケーブル側記憶媒体34である。又、本実施例では、変換情報提供手段は、装置本体10が有する本体側記憶媒体12である。
【0049】
そして、コントローラ11は、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶された特性情報に応じて、本体側記憶媒体12から提供された変換情報を用いて、装置本体10に延長ケーブル30を介して接続された測定部20の温度センサ21の出力電圧値に基づき、該延長ケーブル30の特性に応じて補正した温度測定値を求める。
【0050】
延長ケーブル側記憶媒体34としては、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory:電気的消去書き込み可能な読み出し専用メモリ)、フラッシュメモリ、電池バックアップ付きRAM、EPROM、ワンタイムROM、メモリ付きCPUなどを使用することができる。本実施例では、EEPROMを用いた。延長ケーブル側記憶媒体34は、例えば、図1、図2に示すように、第1の延長コネクタ32内のプリント基板に取り付けることができる。或いは、延長ケーブル側記憶媒体34は、延長ケーブル本体31や第2の延長コネクタ33に設けられたプリント基板に取り付けることができる。これにより、コントローラ11は、延長ケーブル30が装置本体10に接続された状態で、所定のタイミングで、延長ケーブル30が備える対応する信号線や接点を介して、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶された情報を読み込むことができる。
【0051】
本実施例では、延長ケーブル側記憶媒体34には、特性情報として、延長ケーブル30の長さに係る情報を記憶させる。特に、本実施例では、延長ケーブル30の長さに係る情報としては、延長ケーブル30の長さ自体を示す情報を記憶させる。
【0052】
又、延長ケーブル側記憶媒体34が記憶する情報は、測定部20の製造時や工場出荷時に延長ケーブル側記憶媒体34が延長ケーブル30に組み込まれた状態で、或いは製造時に延長ケーブル側記憶媒体34が単体又は他の要素と一緒に未だ延長ケーブル30に組み込まれていない状態で、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶させることができる。
【0053】
本体側記憶媒体12としては、EEPROM、フラッシュメモリ、電池バックアップ付きRAM、EPROM、ワンタイムROM、メモリ付きCPUなどを使用することができる。本実施例では、EEPROMを用いた。コントローラ11は、所定のタイミングで本体側記憶媒体12に記憶された情報を読み込むことができる。
【0054】
尚、本実施例では、温度センサ21の出力電圧値は、サーミスタから、固定ケーブル22及び延長ケーブル30内の対応する心線、測定部側コネクタ23、第1、第2の延長コネクタ32、33、本体側コネクタ13を介して温度検出回路15によって検出され、信号がA/D変換器16で処理されて、該出力電圧値を示すデジタル情報としてコントローラ11に入力された値である。
【0055】
次に、温度測定値を補正する手順についてより具体的に説明する。
【0056】
先ず、コントローラ11は、A/D変換器16により変換された出力電圧値から一度、延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を含めた電気抵抗値に変換する。本実施例では、温度センサ21として2線式のものを使用している。従って、延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値Rは、下記式(2)に示すように、延長ケーブル30の心線自体の単位長さ当たりの電気抵抗値と延長ケーブル30の長さを乗じた後に、これを2倍することによって求められる。
R=Rk×L×2 ・・・(2)
(但し、Rkは延長ケーブルの心線の単位長さあたりの電気抵抗値[Ω/m]、Lは延長ケーブルの長さ[m])
【0057】
そして、コントローラ11は、一度延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を含めたものとして変換された電気抵抗値から、上述のようにして求められる延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を差し引いた電気抵抗値を、サーミスタの電気抵抗値として求める。
【0058】
次に、コントローラ11は、上述のようにして求めたサーミスタの電気抵抗値から温度測定値への変換を行う。この場合、サーミスタの電気抵抗値の大きさの範囲によって変換式を何種類かに分けるようにすることができる。本実施例では、サーミスタの電気抵抗値の大きさの範囲と、それに対応する変換式との関係が対応付けられるように、当該関係式を本体側記憶媒体12に記憶させた。
【0059】
コントローラ11は、上述のようにして求めたサーミスタの電気抵抗値が該当する範囲内に対応する変換式を読み込んで、その変換式を用いて変換することによって、温度測定値を求めることができる。この値が、延長ケーブル30の長さに応じて補正された温度測定値となる。
【0060】
このように、本実施例では、延長ケーブル側記憶媒体34に、特性情報として、当該延長ケーブル30の長さを示す情報が記憶されている。そして、本体側記憶媒体12には、変換情報として、装置本体10及び測定部20に着脱可能な延長ケーブル30に対応する、延長ケーブル30の心線の単位長さ当たりの電気抵抗値と延長ケーブル30の長さから延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を求めるための情報(演算式)、並びに、延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を差し引いたサーミスタの電気抵抗値を求めるための情報(演算式)が記憶されている。即ち、本実施例では、変換情報は、延長ケーブル30の特性(本実施例では、長さ)と、変換器としてのコントローラ11による検出信号から温度測定値を求める処理過程において延長ケーブル30の特性に応じて処理値から差し引くべき値に係る情報(本実施例では、温度センサ21の出力電圧値から求まる電気抵抗値から差し引くべき、延長ケーブル30の長さに応じた延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値の情報)と、の関係を示す情報を含む。そして、変換器としてのコントローラ11は、該関係を用いて延長ケーブル30の特性に応じた誤差分が差し引かれた測定値(補正値)を求める。更に、本実施例では、本体側記憶媒体12には、変換情報として、サーミスタの電気抵抗値の範囲毎に、サーミスタの電気抵抗値から温度測定値を求めるための情報(演算式)が記憶されている。
【0061】
尚、延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を求めるための上述のような演算式の代わりに、延長ケーブル30の長さと、それに対応する延長ケーブル30の心線の電気抵抗値とが関係付けられた、予め作成されたデータテーブルを本体側記憶媒体12に記憶させるようにしてもよい。又、サーミスタの電気抵抗値と温度測定値との関係を示す情報としては、上述のような演算式の代わりに、予め作成されたデータテーブルを本体側記憶媒体12に記憶させるようにしてもよい。又、温度センサ21の検出信号と温度測定値との関係を示す情報としては、サーミスタの電気抵抗値と温度測定値とが関係付けられたものの他、温度センサ21の出力信号がA/D変換器16で変換された出力電圧値等の任意の形態の検出信号と温度測定値とが関係付けられたものであってよい。
【0062】
詳しくは後述するように、コントローラ11は、電気伝導率を測定する際に、上述の式(1)に従って電気伝導率を算出するあたり、被測定溶液の温度として、上述のようにして延長ケーブル30の長さに応じて求められた温度測定値を用いる。コントローラ11は、併せて、当該温度測定値を表示部17において表示させる信号を出力してもよい。
【0063】
コントローラ11は、測定毎に延長ケーブル側記憶媒体34から情報を読み取ってもよいが、延長ケーブル側記憶媒体34から一旦読み取った情報を本体側記憶媒体12に記憶して、例えば装置本体10の電源がオフとされるまで或いは延長ケーブル30が交換又は取り外されるまで、一旦読み取って本体側記憶媒体12に記憶した情報を用いるようにしてもよい。
【0064】
特性情報提供手段は、コスト、或いは情報伝達の容易さ、更には付帯させることの可能な情報量などの点で、本実施例のように、好ましくは、電子的なメモリとされる記憶媒体である。この記憶媒体は、装置本体との間で無線にて通信可能な非接触型のものであってもよい。特性情報提供手段が記憶媒体である本実施例では、コントローラ11は、その記憶内容を読み込み、認識する手段の機能を有する。
【0065】
ここで、本実施例では、上述のように、延長ケーブル30の長さから延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を求め、温度センサ21の出力電圧値から変換された電気抵抗値から延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を差し引くことでサーミスタの電気抵抗値を求め、そしてこのサーミスタの電気抵抗値を温度測定値に変換した。別法として、変換情報として、延長ケーブル30の特性毎の検出信号と温度測定値との関係を示す情報を、本体側記憶媒体12に記憶させることができる。そして、コントローラ11は、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶された特性情報に応じて本体側記憶媒体12から提供された、延長ケーブル30の特性に応じた検出信号と温度測定値との関係を示す情報を用いて、測定装置10に延長ケーブル30を介して接続された測定部20の温度センサ21から入力された検出信号に基づき、該延長ケーブル30の特性に応じた温度測定値を求めることができる。例えば、本体側記憶媒体12には、変換情報として、延長ケーブル30の長さに係る情報毎に、測定部20の温度センサ21の出力電圧値と温度測定値とが関係付けられた情報を記憶させることができる。即ち、延長ケーブル側記憶媒体34には、特性情報として当該延長ケーブル30の長さを示す情報が記憶される。そして、本体側記憶媒体12には、装置本体10及び測定部20に着脱可能な延長ケーブル30の長さを示す情報毎に対応付けられて、温度センサ21の出力電圧値と温度測定値とが関係付けられたデータテーブルが記憶される。コントローラ11は、このデータテーブルを用いて延長ケーブル30の長さに応じた温度測定値(補正値)を求める。この場合、コントローラ11は、延長ケーブル側記憶媒体34から延長ケーブル30の長さを示す情報を読み取って、その長さを認識する。そして、コントローラ11は、認識した延長ケーブル30の長さに対応する、出力電圧値と温度測定値との関係を示すデータテーブルを選択し、選択したデータテーブルを用いて、温度検出回路15から入力される出力電圧値に対応する温度測定値を読み込む。
【0066】
尚、延長ケーブル側記憶媒体34には、特性情報たる延長ケーブル30の長さに係る情報として、延長ケーブル30の長さ自体を示す情報ではなく、延長ケーブル30の種類・型式・製造番号等の識別情報を記憶させることができる。即ち、特性情報は、コントローラ11がそれを認識して、装置本体20に接続された延長ケーブル30の特性(本実施例では長さ)に応じて測定値を補正できるようにする情報であればよい。特性情報として延長ケーブル30の種類・型式・製造番号等の識別情報を用いる場合には、当該識別情報から延長ケーブル30の特性(本実施例では長さ)自体を認識できるように、変換情報の一部として当該特性と当該識別情報とを対応付けるための情報を、例えば、データテーブルとして本体側記憶媒体12に記憶させることができる。そして、コントローラ12が、そのデータテーブルを用いて、識別情報から延長ケーブル30の長さを認識することができる。或いは、上述の別法のように延長ケーブル30の特性(本実施例では長さ)自体と、ある情報とが対応付けられたデータテーブルを用いる態様に関しては、当該特性自体の代わりに、識別情報と、その対応付けられるべき情報とが対応付けられたデータテーブルを用いることができる。
【0067】
3.電気伝導率の誤差の補正
次に、本実施例の測定装置において延長ケーブル30を利用する場合における電気伝導率セル24による電気伝導率測定値の誤差に対する対応に関して説明する。
【0068】
本実施例では、測定部20は、固定ケーブル22を有する状態で予めセル定数が求められており、そのセル定数が測定部20と共に提供され、装置本体10に設定されるようになっている。例えば、セル定数は、測定部20が有する測定部側記憶媒体25に予め記憶され、装置本体10側でこれを読み込んで装置本体側記憶媒体12に記憶させ、そのセル定数の値を用いて電気伝導率測定値の演算、補正を行い、電気伝導率として表示するようになっていてよい。測定部側記憶媒体25としては、延長ケーブル側記憶媒体34と同様のものを用いることができる。
【0069】
しかし、前述のように、固有ケーブル22に、更に延長ケーブル30を繋げて用いた場合には、延長ケーブル30の心線の電気抵抗値によって電気伝導率測定値が影響を受ける。特に、延長ケーブル30の長さが長い場合(例えば、10mを超えるようなケーブル)、延長ケーブル30の心線の電気抵抗値が測定値に与える影響は大きい。
【0070】
一例として、延長ケーブル30が備える電気伝導率セル24用の心線の電気抵抗値が約0.6Ω/10m(62.4Ω/km)である場合を考える。この時、セル定数が100m-1である場合は、その等価抵抗10Ωは電気伝導率表示で10S/mである。従って、延長ケーブル30の長さが10mであると、延長ケーブル30による誤差は、次式、
10Ω+0.6Ω×2=11.2Ω
で計算され、電気伝導率表示では8.9S/mとなり、約11%の誤差が生じる。
【0071】
このように、延長ケーブル30の特性、ここでは長さの違いが、電気伝導率測定値に与える影響が無視できなくなることがある。
【0072】
そこで、本実施例では、測定装置1に、延長ケーブル30の特性に応じて電気伝導率セル24からの検出信号と電気伝導率測定値とを関係付けるための情報(変換情報)をコントローラ11に提供する変換情報提供手段を設ける。そして、コントローラ11は、この変換情報提供手段によって提供された変換情報を用いて、装置本体10に延長ケーブル30を介して接続された測定部20の電気伝導率セル24から入力された検出信号に基づいて、その延長ケーブル30の特性に応じた電気伝導率測定値を求める。
【0073】
又、本実施例では、温度測定値の誤差の補正に関して上述したように、延長ケーブル30に、延長ケーブル30の特性に係る情報(特性情報)をコントローラ11に提供する特性情報提供手段としての、延長ケーブル30の特性に係る情報が記憶された延長ケーブル側記憶媒体34が設けられている。又、本実施例では、温度測定値の誤差の補正に関して上述したのと同様に、装置本体10に変換情報提供手段としての本体側記憶媒体12が設けられており、この本体側記憶媒体12に、延長ケーブル30の特性に応じて検出信号と電気伝導率測定値とを関係付けるための情報が記憶されている。
【0074】
そして、コントローラ11は、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶された特性情報に応じて、本体側記憶媒体12から提供された変換情報を用いて、装置本体10に延長ケーブル30を介して接続された測定部20の電気伝導率セル24の出力信号に基づき、該延長ケーブル30の特性に応じて補正した電気伝導率測定値を求める。
【0075】
尚、本実施例では、電気伝導率セル24の出力信号は、電極24a、24bから、固定ケーブル22及び延長ケーブル30内の対応する心線、測定部側コネクタ23、第1、第2の延長コネクタ32、33、本体側コネクタ13を介して電気伝導率検出回路14によって検出され、信号がA/D変換器16で処理されて、該出力信号の値を示すデジタル情報としてコントローラ11に入力された値である。
【0076】
次に、電気伝導率測定値を補正する手順についてより具体的に説明する。
【0077】
先ず、コントローラ11は、電気伝導率測定値の温度補償を行う前に、延長ケーブル30の心線の電気抵抗値分の補正(延長ケーブル補正)を行う。具体的には、コントローラ11は、下記式(3)によって延長ケーブル補正を行った電気伝導率測定値ktrを求める。
ktr=C/{(C/kt)−R} ・・・(3)
(但し、ktrは延長ケーブル補正後の電気伝導率[S/m]、ktは温度補償前及び延長ケーブル補正前の電気伝導率[S/m]、Cはセル定数[m-1]、Rは延長ケーブルの心線の電気抵抗値[Ω])
【0078】
上記式(3)において、延長ケーブル30の心線の電気抵抗値Rは、下記式(4)に示すように、延長ケーブル30の心線の単位長さ当たりの電気抵抗値Rkに延長ケーブル30の長さLを乗じた値に、これを2倍することによって求められる。
R=Rk×L×2 ・・・(4)
(但し、Rkは延長ケーブルの心線の単位長さあたりの電気抵抗値[Ω/m]、Lは延長ケーブルの長さ[m])
【0079】
尚、上記式(4)に示されるような関係は、演算式の代わりに、延長ケーブル30の長さと、それに対応する延長ケーブル30の心線の電気抵抗値とが関係付けられたデータテーブルとして予め設定することができる。
【0080】
又、上記式(3)のC/ktは、測定部20の電気伝導率セル24からの出力信号から得られたコンダクタンス値の逆数に相当し、延長ケーブル30の電気抵抗値を含んだ、所謂、合成抵抗値に合致している。従って、上記式(3)の{(C/kt)−R}は、電極24a、24b間の真の電気抵抗値として認識される。そして、上記式(3)の1/{(C/kt)−R}は、延長ケーブル30の長さに応じて補正されたコンダクタンス値(S)として認識される。そうすると、電気伝導率測定値ktrは、上記式(3)のように、セル定数Cと上述のように延長ケーブル30の長さに応じて補正されたコンダクタンス値(S)とを乗じた値となる。
【0081】
このように、コントローラ11は、上記式(3)により、延長ケーブル30の心線の電気抵抗値分の補正を行って、この分の影響を排除した電気伝導率測定値ktrを得ることができる。
【0082】
次に、コントローラ11は、上述のようにして求めた延長ケーブル補正後の電気伝導率測定値ktrの温度補償を行うことによって、目的とする延長ケーブル補正及び温度補償後の電気伝導率測定値kTrを求める。具体的には、コントローラ11は、上記式(1)に示したものと同様の式である下記式(5)から電気伝導率値kTrを求める。
kTr=ktr/{1+α/100×(t−T)} ・・・(5)
(但し、kTrは延長ケーブル補正及び温度補償後の電気伝導率[S/m]、ktrは式(3)で求められた延長ケーブル補正後の電気伝導率[S/m]、Tは基準温度[℃]、tは溶液の温度[℃]、αは溶液の温度係数[%])
【0083】
例えば、基準温度Tは25℃、温度係数αは2.00%とすることができる。更に、本実施例では、溶液の温度tとしては、前述のようにして延長ケーブル30の長さに応じて求められた温度測定値(補正値)を用いる。尚、電気伝導率測定値を求めるのに際して、延長ケーブル30の長さに応じて補正した温度測定値を用いる必要のない場合は、補正していない温度測定値を用いてもよい。
【0084】
このように、本実施例では、延長ケーブル側記憶媒体34には、特性情報として当該延長ケーブル30の長さを示す情報が記憶される。そして、本体側記憶媒体12には、変換情報として、装置本体10及び測定部20に着脱可能な延長ケーブル30に対応する、延長ケーブル30の心線の電気抵抗値Rを求めるための演算式(上記式(4))又はデータテーブル、並びに、上記式(4)によって求められた延長ケーブル30の心線の電気抵抗値Rを用いて延長ケーブル補正後の電気伝導率測定値ktrを求めるための演算式(上記式(3))が記憶される。つまり、本実施例では、変換情報は、延長ケーブル30の特性(本実施例では、長さ)と、変換器としてのコントローラ11による検出信号から電気伝導率測定値を求める処理過程において延長ケーブル30の特性に応じて処理値から差し引くべき値に係る情報(本実施例では、電気伝導率セル24の出力信号から求まる電気抵抗値から差し引くべき、延長ケーブル30の長さに応じた延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値の情報)と、の関係を示す情報を含む。そして、変換器としてのコントローラ11は、該関係を用いて延長ケーブル30の特性に応じた誤差分が差し引かれた電気伝導率測定値(補正値)を求める。
【0085】
即ち、本体側記憶媒体12には、変換情報として、装置本体10及び測定部20に着脱可能な延長ケーブル30の長さと、それに対応した延長ケーブル30における電気伝導率センサ24用の心線の電気抵抗値又はコンダクタンス値とが関係付けられた演算式(上記式(4))又はデータテーブル、並びに、延長ケーブル30における電気伝導率セル24用の心線の電気抵抗値又はコンダクタンス値を用いて電気伝導率セル24の出力信号から得られた電気抵抗値又はコンダクタンス値を補正するための演算式(上記式(3))が記憶される。
【0086】
更に、本実施例では、本体側記憶媒体12には、変換情報として、延長ケーブル補正後の電気伝導率測定値ktrを用いて温度補償後の電気伝導率測定値を求めるための演算式(上記式(3))が記憶される。
【0087】
ここで、本実施例では、上述のように、延長ケーブル30の長さから延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値Rを求め、これを用いて延長ケーブル補正後の電気伝導率測定値ktrを求め、そしてこの延長ケーブル補正後の電気伝導率測定値ktrから温度補償後の電気伝導率測定値kTrに変換した。別法として、延長ケーブル30の長さと、延長ケーブル補正後の電気伝導率測定値ktr、温度補償後の電気伝導率測定値kTrとが関係付けられたデータテーブルを作成して、本体側記憶媒体12に記憶するようにしてもよい。例えば、変換情報として、延長ケーブル30の長さに係る情報毎の、温度補償前及び延長ケーブル補正前の電気伝導率ktと、延長ケーブル補正後の電気伝導率測定値ktrとが関係付けられたデータテーブルを、本体側記憶媒体12に記憶させることができる。この場合、コントローラ11は、当該データテーブルを用いて延長ケーブル30の長さに対応した延長補正ケーブル補正後の電気伝導率測定値ktrを求め、その後上述と同様にして温度補償後の電気伝導率測定値kTrを求めることができる。
【0088】
尚、温度測定値の誤差の補正に関して上述したように、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶される延長ケーブル30の長さに係る情報として、延長ケーブル30の長さ自体を示す情報ではなく、延長ケーブル30の種類・型式・製造番号等の識別情報を用いることができる。
【0089】
4.変換情報提供手段の設定
ここで、上述のような変換情報提供手段としての本体側記憶媒体12に記憶される変換情報(演算式やデータテーブル)は、使用者が使用を開始する前に予め、製造時や工場出荷時に本体側記憶媒体12が装置本体10に組み込まれた状態で、或いは製造時に本体側記憶媒体12が単体又は他の要素と一緒に未だ装置本体10に組み込まれていない状態で本体側記憶媒体12に記憶させることができる。
【0090】
又、変換情報は、その全部又は一部を、操作者が入力手段(変換情報入力手段)としての装置本体10の操作部18のキー(操作キー)を用いて入力して、本体側記憶媒体12に記憶させることができる。又、変換情報は、その全部又は一部を、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器において作成して、或いはPC等の外部機器においてネットワークを介して他の機器からダウンロードして、通常は一旦その外部機器の有する記憶手段に記憶した後、装置本体10の外部の情報伝達媒体を介してその情報を装置本体10に伝達し、本体側記憶媒体12に記憶させるようになっていてもよい。
【0091】
これにより、利用可能な延長ケーブル30の増加や設計変更等により、変換情報を変更、更新する必要が生じた場合などにも容易に対応できる。特に、PC等で作成したりダウンロードしたりした変換情報を、一括して装置本体10の外部の情報伝達媒体を介して本体側記憶媒体12に取り込むことで、簡単、迅速、且つ、正確に当該情報の設定を行うことができて好ましい。
【0092】
例えば、図3に示すように、装置本体10には、コントローラ11に接続された、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)接続が可能な第1のインターフェース部19a、LAN(ローカルエリア・ネットワーク)接続が可能な第2のインターフェース部19bが設けられていてよい。
【0093】
この場合、変換情報を操作者が装置本体10に設けられたキーを用いて手動操作で個別に入力するのではなく、測定装置1の外部の情報伝達媒体(情報通信又は記憶媒体)から取り込み、変換情報を本体側記憶媒体12に設定・保存する。
【0094】
ここで、情報伝達媒体は、測定装置1、及びPC等の測定装置1の外部の機器(外部機器)に対して取り外し可能に接続される着脱可能記憶媒体であってよい。又、情報伝達媒体は、測定装置1とPC等の外部機器とを通信可能に接続する通信手段であってよい。
【0095】
例えば、測定装置1は、装置本体10に、取り込み手段としての読み取り手段であるUSB接続が可能な第1のインターフェース部19aを有する。第1のインターフェース部19aは、コントローラ11に接続されている。第1のインターフェース部19aには、着脱可能記憶媒体としてのUSBメモリ(フラッシュメモリ)2が取り外し可能に接続される。そして、コントローラ11は、第1のインターフェース部19aに接続されたUSBメモリ2から、このUSBメモリ2に予め記憶されている所望の変換情報を、第1のインターフェース部19aを介して取り込み、本体側記憶媒体12に記憶させる。
【0096】
変換情報は、PC等の外部機器において作成して、通常は、一旦この外部機器の有する(即ち、PC等の外部機器に内蔵されるか又はその外部機器に接続された)ハードディスク等の記憶手段に記憶される。このPC等の外部機器は、読み取り/書き込み手段としてのUSB接続が可能なインターフェース部を有する。この場合、作成する元となるデータは、使用者自身が実験等により求めてもよいが、装置本体10、測定部20又は延長ケーブル30の製造元が資料を提供することができる。変換情報は、例えば外部機器としてのPC等にインストールされた表計算用のソフトウェアのような任意のソフトウェアを用いて入力し、例えばCSV形式のデータテーブルなどとしてPC等の外部機器の有する記憶手段に記憶させることができる。別法として、このような変換情報は、PC等の外部機器において、ネットワーク(LAN、インターネット等)を介して他の機器からダウンロードすることができる。この場合、装置本体10、測定部20又は延長ケーブル30の製造元が当該変換情報をダウンロード可能に提供することができる。
【0097】
そして、この外部機器の有する記憶手段に記憶された変換情報は、この外部機器にUSBメモリ2を接続することによって、そのUSBメモリ2に書き込むことができる。次いで、上述のように、このUSBメモリ2を外部機器から取り外し、測定装置1に接続して、変換情報をUSBメモリ2から測定装置1に一括で取り込むことができる。
【0098】
USBメモリ2を用いて本体側記憶媒体12に変換情報を記憶させる動作は、操作者が操作部18に設けられたキーによって開始指示を入力することで開始するようになっていてもよい。或いは、この動作は、USBメモリ2が第1のインターフェース部19aに接続されたことをコントローラ11が認識して自動的に開始するようになっていてもよい。
【0099】
一方、測定装置1は、本体10に、取り込み手段としての受信手段であるLAN接続が可能な第2のインターフェース部19bを有する。第2のインターフェース部19bは、コントローラ11に接続されている。第2のインターフェース部19bには、通信手段としての情報通信ケーブルであるLANケーブル3の一方の末端が取り外し可能に接続される。例えば、LANケーブル3の他方の末端は、外部機器としてのPC4に取り外し可能に接続される。外部機器としてのPC4は、受信/送信手段としてのLAN接続が可能なインターフェース部を有する。そして、コントローラ11は、PC4の有する記憶手段から、上述のようにしてこの記憶手段に予め記憶されている所望の変換情報を、第2のインターフェース部19bを介して取り込み、本体側記憶媒体12に記憶させる。或いは、PC4において入力する変換情報を、直接、測定装置1の本体側記憶媒体12に書き込むことができる。
【0100】
LANケーブル3を用いて本体側記憶媒体12に変換情報を記憶させる動作は、操作者がPC4の操作部によって開始指示を入力することで開始するようになっていてよい。或いは、この動作は、測定装置1の操作部18に設けられたキーによって開始指示を入力することで開始するようになっていてもよい。
【0101】
即ち、変換情報の設定方法は、(i)測定装置1の外部の機器(PC等の外部機器)4を用いて、変換情報を入力する段階と、(ii)該入力された変換情報を情報伝達媒体を介して伝達する段階と、(iii)該伝達された変換情報を測定装置1内に取り込む段階と、(iv)該取り込まれた変換情報を測定装置1内に設けられた本体側記憶媒体12に記憶させる段階と、を有する。
【0102】
一実施態様では、上記(ii)の伝達する段階は、上記入力された変換情報を、外部機器4内に設けられた書き込み手段によって外部機器4から着脱可能記憶媒体(USBメモリ)2に記憶させることを含み、上記(iii)の取り込む段階は、外部機器4から取り外して測定装置1に接続された着脱可能記憶媒体2に記憶された変換情報を、測定装置1内に設けられた読み取り手段(第1のインターフェース部)19aによって読み取ることを含む。又、他の実施態様では、上記(ii)の伝達する段階は、上記入力された変換情報を、外部機器4内に設けられた送信手段によって、外部機器4と測定装置1とを通信可能に接続する通信手段(LANケーブル)3を通して送信することを含み、上記(iii)の取り込む段階は、通信手段3を通して送信された変換情報を、測定装置1内に設けられた受信手段(第2のインターフェース部)19bによって受信することを含む。
【0103】
PC等の外部機器によれば、通常、測定装置1に設けられたキーよりも操作性の良い付属のキーボードを用いて、例えば数個〜数十個の設定データから成るデータテーブルも比較的容易に作成することができ、変換情報の作成時間を短縮し、又間違いの発生も少なくすることができる。又、ネットワークから変換情報をダウンロードする場合には、更に変換情報を作成する手間は省ける。
【0104】
尚、以上では、着脱可能記憶媒体はUSBメモリ2であるものとして説明したが、例えば、メモリーカード(フラッシュメモリ)、フレキシブルディスク、取り外し可能なハードディスクなどのその他の任意の着脱可能記憶媒体を利用することができる。読み取り手段/書き込み手段としてのインターフェース部は、それぞれの態様の記憶媒体に適合するように構成すればよい。又、以上では、情報通信ケーブルは、測定装置1とPC4とに直接接続されたLANケーブルであるものとして説明したが、例えば、RS232Cケーブル、USBケーブル等のその他の任意の情報通信ケーブルを利用することができる。又、上記実施例では通信手段は有線にて接続するものであったが、無線にて接続するものであってもよい。更に、情報通信ケーブルは、測定装置1とPC4とを直接接続することに限定されるものではなく、LANに接続された複数のPC4に接続可能とされていたり、別の単一又は複数の測定装置1に接続可能とされていたりしてよい。又、以上では、測定装置1が、第1、第2のインターフェース部19a、19bの両方を備えている場合を例として説明したが、これらのいずれか一方が設けられていてもよい。
【0105】
5.効果
上述のように、本実施例によれば、測定部20と装置本体10との間に延長ケーブル30を繋いで用いる場合、更には長さの異なる複数種類の延長ケーブル30が利用可能である場合においても、より簡易に、延長ケーブル30の長さに応じて、より正確な測定値を得ることができる。
【0106】
6.変形例
本実施例に対して、以下のような変形例が考えられる。
【0107】
本実施例では、特性情報は延長ケーブル30の長さに係る情報であり、延長ケーブル30の長さの違いによる温度測定値等の誤差を補正する場合について説明した。しかし、長さが同じでも、延長ケーブル30の心線の単位長さ当たりの電気抵抗値に係る特性(断面積など)の違い、或いは延長ケーブル30の長さ及び延長ケーブル30の心線の単位長さ当たりの電気抵抗値に係る特性(断面積など)の両方の違いによっても、温度測定値、電気伝導率測定装置に誤差を生じる。
【0108】
従って、利用可能な延長ケーブル30の長さが一定であり心線の単位長さ当たりの電気抵抗値が異なる場合には、特性情報は、延長ケーブル30の心線の断面積を示す情報などの、延長ケーブル30の心線の単位長さ当たりの電気抵抗値に係る特性を示す情報であってよい。この場合、変換情報は、例えば、延長ケーブル30の断面積を示す情報などから当該延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を求めるための演算式、又は延長ケーブル30の断面積を示す情報などと当該延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値とが関係付けられたデータテーブルを有していてよい。或いは、変換情報は、延長ケーブル30の断面積を示す情報など毎の、検出信号と温度測定値若しくは電気伝導率測定値との関係を示すデータテーブルなどの情報であってもよい。
【0109】
又、延長ケーブル30の長さ、及び延長ケーブル30の心線の単位長さ当たりの電気抵抗値に係る特性(断面積など)の両方が異なる複数種類の延長ケーブル30が利用可能な場合には、特性情報は、延長ケーブル30の長さに係る情報、及び延長ケーブル30の単位長さ当たりの電気抵抗値に係る特性(断面積など)を示す情報であってよい。この場合、変換情報は、例えば、延長ケーブル30の長さに係る情報及び延長ケーブル30の心線の断面積を示す情報などから、当該延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を求めるための演算式、又は延長ケーブル30の長さに係る情報と延長ケーブル30の心線の断面積を示す情報などとの組み合わせと、当該延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値とが関係付けられたデータテーブルを有していてよい。或いは、変換情報は、延長ケーブル30の長さに係る情報と延長ケーブル30の断面積を示す情報などとの組み合わせ毎の、検出信号と温度測定値若しくは電気伝導率測定値との関係を示すデータテーブルなどの情報であってもよい。
【0110】
又、特性情報は、延長ケーブル30の長さ、延長ケーブル30の心線の単位長さ当たりの電気抵抗値に係る特性(断面積など)、又はそれらの両方に応じた、当該延長ケーブル30における延長ケーブル30の心線の電気抵抗値を示す情報であってもよい。この場合、当該電気抵抗値を示す情報自体を、上記実施例で演算式などにより求めるとして説明した延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値の代わりに用いることで、上記実施例で説明したのと同様にして温度測定値、電気伝導率測定値を補正することができる。
【0111】
尚、延長ケーブル30の長さに関して前述したのと同様、延長ケーブル30の心線の単位長さ当たりの電気抵抗値に係る特性(断面積など)自体、延長ケーブル30の長さ及びケーブル22の心線の単位長さ当たりの電気抵抗値に係る特性(断面積など)自体、又は延長ケーブル30の心線の電気抵抗値自体の代わりに、それらに応じた延長ケーブル30の種類・型式・製造番号等の識別情報を延長ケーブル側記憶媒体34に記憶させて用いることができる。
【0112】
以上、本実施例によれば、測定部20が装置本体10に着脱可能であり、その測定部20と装置本体10との間に延長ケーブル30を接続することのできる測定装置1において、より簡易に、延長ケーブル30の特性に応じて、より正確な測定値を得ることができる。
【0113】
実施例2
次に、本発明に係る測定装置の他の実施例について説明する。本実施例の測定装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符合を付して詳しい説明は省略する。
【0114】
実施例1では、特性情報提供手段は、延長ケーブル30が有する延長ケーブル側記憶媒体34であった。斯かる態様は、延長ケーブル30の特性に係る情報を装置本体10側で自動的に読み込み、そして典型的には装置本体10側で延長ケーブル30の特性による測定値の誤差を自動的に補正することができるため好ましい。
【0115】
しかし、本発明は斯かる態様に限定されるものではなく、操作者が延長ケーブル30の特性に係る情報を装置本体10に入力することで、装置本体10側で延長ケーブル30の特性に係る情報を認識するようになっていてもよい。
【0116】
図1又は図2を参照して、延長ケーブル30の特性に係る情報として、実施例1で説明したように、例えば延長ケーブル30の長さに係る情報などを、装置本体10に接続された又は接続する延長ケーブル30に対応して、操作者が入力手段としての装置本体10の操作部18のキー(操作キー)を用いて入力する。これにより、コントローラ11は、入力されたその情報を認識することができる。そして、コントローラ11は、その認識した情報に応じて、測定値の補正をすることができる。
【0117】
ここで、延長ケーブル30の特性に係る情報は、延長ケーブル30において、ケーブル本体31や第1、第2の延長コネクタ32、33に記載するなどして付帯させることで使用者に提供することができる。或いは、延長ケーブル30の特性に係る情報は、延長ケーブル30のパッケージ、仕様書、説明書等の印刷物に記載するなどして延長ケーブル30とは別個に使用者に提供することができる。
【0118】
以上、本実施例の構成によっても、測定部20が装置本体10に着脱可能であり、その測定部20と装置本体10との間に延長ケーブル30を接続することのできる測定装置1において、より簡易に、延長ケーブル30の特性に応じて、より正確な測定値を得ることができる。
【0119】
実施例3
次に、本発明に係る測定装置の更に他の実施例について説明する。本実施例の測定装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符合を付して詳しい説明は省略する。
【0120】
本実施例は、特性情報提供手段が実施例1、2とは更に異なる。
【0121】
即ち、特性情報提供手段としては、スイッチ、アナログスイッチ、抵抗器、コンデンサなどの物理量若しくは状態変更手段;電圧発生器、電流発生器、光発生器などの物理量発生手段;物理的形状変化;又はバーコードから成る群から選択される情報提示手段を使用することができる。これらの情報提示手段は、例えば、本体側コネクタ13に延長ケーブル30を接続するための第1の延長コネクタ32に設けることができる。これらの情報提示手段には、延長ケーブル30の特性に係る情報を予め付帯させておく。
【0122】
一方、装置本体10側には、情報提示手段に付帯された情報を認識するための認識手段が設けられる。上記各種の情報提示手段に対応して、これを認識可能な認識手段を装置本体10側に設けることができる。例えば、情報提示手段が物理量若しくは状態変更手段である場合、認識手段はその物理量若しくは状態の変化を認識するための手段とし、情報提示手段が物理量発生手段であれば、認識手段はその物理量を受容し識別するための手段とし、情報提示手段が物理的形状変化であれば、その物理的形状変化を識別するための手段とし、更に情報提示手段がバーコードであれば、認識手段はバーコードを識別するための手段とすればよい。
【0123】
以上、本実施例の構成によっても、測定部20が装置本体10に着脱可能であり、その測定部20と装置本体10との間に延長ケーブル30を接続することのできる測定装置1において、より簡易に、延長ケーブル30の特性に応じて、より正確な測定値を得ることができる。
【0124】
実施例4
次に、本発明に係る測定装置の更に他の実施例について説明する。本実施例の測定装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符合を付して詳しい説明は省略する。
【0125】
本実施例では、変換情報提供手段は、測定部20が有する測定部側記憶媒体25である。そして、本実施例では、測定部側記憶媒体25に、変換情報として実施例1において本体側記憶媒体12に記憶されるものとして説明したものと同じ情報が記憶される。即ち、測定部20に接続して利用可能な延長ケーブル30の種類に対応して、予め、当該測定部20が有する測定部側記憶媒体25に変換情報を記憶させておく。
【0126】
測定部側記憶媒体25としては、EEPROM、フラッシュメモリ、電池バックアップ付きRAM、EPROM、ワンタイムROM、メモリ付きCPUなどを使用することができる。本実施例では、EEPROMを用いた。測定部側記憶媒体25は、例えば、図4(a)に示すように測定部22の電極24a、24b、温度センサ21等が支持された測定部本体20aの端部に設けられたカバー内のプリント基板に取り付けることができる。或いは、測定部側記憶媒体25は、図4(b)に示すように本体側コネクタ13又は第2の延長コネクタ33に固有ケーブル22を接続するための測定部側コネクタ23内のプリント基板に取り付けることができる。或いは、測定部側記憶媒体25は、固有ケーブル22に設けられたプリント基板に取り付けることができる。これにより、コントローラ11は、測定部20が延長ケーブル30を介して装置本体10に接続された状態で、所定のタイミングで、固有ケーブル22、延長ケーブル30が備える対応する信号線や対応する接点を介して、測定部側記憶媒体25に記憶された情報を読み込むことができる。
【0127】
そして、本実施例では、装置本体10のコントローラ11は、実施例1において本体側記憶媒体12に記憶された変換情報を用いたのと同様にして、測定部側記憶媒体25から読み込まれた変換情報を用いて測定値を求める。
【0128】
ここで、変換情報は、使用者が使用を開始する前に予め、製造時や工場出荷時に測定部側記憶媒体25が測定部20に組み込まれた状態で、或いは製造時に測定部側記憶媒体25が単体又は他の要素と一緒に未だ測定部20に組み込まれていない状態で測定部側記憶媒体25に記憶させることができる。
【0129】
又、変換情報は、その全部又は一部を、操作者が入力手段としての装置本体10の操作部18のキー(操作キー)を用いて入力して、装置本体10を介して、測定部側記憶媒体25に記憶させることができる。又、変換情報は、その全部又は一部を、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器において作成して、或いはPC等の外部機器においてネットワークを介して他の機器からダウンロードして、通常は一旦その外部機器の有する記憶手段に記憶した後、装置本体10の外部の情報伝達媒体を介してその情報を装置本体10に伝達し、装置本体10を介して、測定部側記憶媒体25に記憶させるようになっていてもよい。この時、装置本体10と測定部20との間に延長ケーブル30が接続されていてもいなくてもよい。
【0130】
即ち、図3を参照して、実施例1において取り込み手段としての第1、第2のインターフェース部19a、19bを用いて本体側記憶媒体12に変換情報を設定したのと同様にして、装置本体10を介して、該装置本体10に直接又は延長ケーブル30を間に挟んで接続された測定部20の測定部側記憶媒体25に、変換情報を設定することができる。
【0131】
この時、装置本体10が備えるコントローラ11は、測定部側記憶媒体25に記憶する変換情報を、該測定部側記憶媒体25に記憶させる書き込み手段として機能する。
【0132】
尚、実施例1と同様に、装置本体10に本体側記憶媒体12が設けられていれば、測定部側記憶媒体25に記憶させる情報は、この本体側記憶媒体12に一旦記憶させた後に、その記憶した情報を読み込んで測定部側記憶媒体25に書き込んでもよい。
【0133】
以上、本実施例の構成によっても、測定部20が装置本体10に着脱可能であり、その測定部20と装置本体10との間に延長ケーブル30を接続することのできる測定装置1において、より簡易に、延長ケーブル30の特性に応じて、より正確な測定値を得ることができる。
【0134】
実施例5
次に、本発明に係る測定装置の更に他の実施例について説明する。本実施例の測定装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符合を付して詳しい説明は省略する。
【0135】
本実施例では、延長ケーブル30が有する延長ケーブル側記憶媒体34が、変換情報提供手段として機能する。
【0136】
即ち、本実施例では、例えば、温度測定値の誤差の補正に関する変換情報として、その延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を、温度センサ21の出力電圧値から変換された電気抵抗値から差し引くための情報(演算式)を、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶させることができる。又、変換情報として、延長ケーブル30の特性に応じた検出信号と温度測定値との関係を示す情報を、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶させることもできる。即ち、例えば実施例1において説明した延長ケーブル30の特性毎の、検出信号と温度測定値との関係を示す情報のうち、当該延長ケーブル30の特性に対応する検出信号と温度測定値との関係を示す情報を、当該延長ケーブル30が有する延長ケーブル側記憶媒体34に記憶することに相当する。
【0137】
又、例えば、電気伝導率測定値の誤差の補正に関する変換情報として、その延長ケーブル30の心線自体の電気抵抗値を適用した前述の式(3)に対応する情報(演算式)を、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶させることができる。
【0138】
延長ケーブル側記憶媒体34に、実施例1にて説明したその他の変換情報を記憶させてもよい。
【0139】
そして、本実施例では、装置本体10のコントローラ11は、実施例1において特性情報に応じて本体側記憶媒体12に記憶された変換情報を用いて行ったのと同様にして、延長ケーブル側記憶媒体34から読み込まれた当該延長ケーブル30の特性に応じた変換情報を直接用いて測定値を求める。
【0140】
ここで、変換情報は、使用者が使用を開始する前に予め、製造時や工場出荷時に延長ケーブル側記憶媒体34が延長ケーブル30に組み込まれた状態で、或いは製造時に延長ケーブル側記憶媒体34が単体又は他の要素と一緒に未だ延長ケーブル30に組み込まれていない状態で延長ケーブル側記憶媒体34に記憶させることができる。
【0141】
又、変換情報は、その全部又は一部を、操作者が入力手段としての装置本体10の操作部18のキー(操作キー)を用いて入力して、装置本体10を介して、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶させることができる。又、変換情報は、その全部又は一部を、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器において作成して、或いはPC等の外部機器においてネットワークを介して他の機器からダウンロードして、通常は一旦その外部機器の有する記憶手段に記憶した後、装置本体10の外部の情報伝達媒体を介してその情報を装置本体10に伝達し、装置本体10を介して、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶させるようになっていてもよい。
【0142】
即ち、図3を参照して、実施例1において取り込み手段としての第1、第2のインターフェース部19a、19bを用いて本体側記憶媒体12に変換情報を設定したのと同様にして、装置本体10を介して、該装置本体10に接続された延長ケーブル30が有する延長ケーブル側記憶媒体34に、当該延長ケーブル30の特性に応じた変換情報を設定することができる。
【0143】
この時、装置本体10が備えるコントローラ11は、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶する変換情報を、該延長ケーブル側記憶媒体34に記憶させる書き込み手段として機能する。
【0144】
尚、実施例1と同様に、装置本体10に本体側記憶媒体12が設けられていれば、延長ケーブル側記憶媒体34に記憶させる情報は、この本体側記憶媒体12に一旦記憶させた後に、その記憶した情報を読み込んで延長ケーブル側記憶媒体34に書き込んでもよい。
【0145】
本実施例のように、延長ケーブル30が備える延長ケーブル側記憶媒体34に、その延長ケーブル34自身のための、即ち、その延長ケーブル34の特性に即した変換情報を記憶させることによっても、実施例1〜3と同様に、より簡易に、延長ケーブル30の特性に応じて、より正確な測定値を得ることができる。又、本実施例によれば、利用可能な延長ケーブル30の種類の増加や設計変更などにも対応し易い。
【0146】
実施例6
次に、本発明に係る測定装置の更に他の実施例について説明する。本実施例の測定装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符合を付して詳しい説明は省略する。
【0147】
上記実施例では、測定部20と装置本体10との間には、単一の延長ケーブル30を接続するものとして説明したが、図5に示すように、延長ケーブル30を複数連結して、測定部20と装置本体10との間に接続できるようになっていてもよい。
【0148】
この場合、特性情報として例えば各延長ケーブル30の長さを示す情報を、特性情報提供手段として例えば各延長ケーブル30が有する延長ケーブル側記憶媒体34に記憶させておくことができる。そして、各延長ケーブル30の特性から認識される連結された延長ケーブル30の全体としての特性に即して測定値を補正する。即ち、例えば、実施例1において、単一の延長ケーブル30の長さを示す情報を用いて行った処理を、各延長ケーブル30の長さを加算した総長さを示す情報を用いて行うことができる。コントローラ11が、各延長ケーブル側記憶媒体34から読み込まれた長さを示す情報を加算して、その後の処理に用いるようにすることができる。
【0149】
尚、本実施例においても、特性情報は、長さ自体を示す情報に限定されるものではなく、例えば、長さ又はそれに応じた電気抵抗値などを認識することのできる、任意の形態の情報であってよい。
【0150】
以上、本発明を具体的な実施態様に則して説明したが、本発明は上述の実施態様に限定されるものではなく、必要に応じて種々に変形及び変更できるものである。
【0151】
例えば、上記実施例では、測定装置1の測定結果は、装置本体10に設けられた表示部17で表示するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、測定結果は、本体10に接続されたプリンタによって印字して出力することができる。又、測定結果は、例えば、本体10と通信可能に接続されたPC等の外部機器に送信して、この外部機器の表示部で表示したり、この外部機器に接続されたプリンタによって印字して出力したりすることができる。
【0152】
又、上記実施例では、測定装置1は電気伝導率測定装置であり、測定部20は電気伝導率セル24(電極24a、24b)と温度センサ21とが一体に設けられた電気伝導率センサであった。しかし、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。
【0153】
例えば、温度検出素子とこの温度検出素子に接続された心線を備えたケーブルとを有する測定部は、温度検出素子を組み込んだpHセンサ、イオンセンサ、ORPセンサなどのその他の任意の測定プローブであってもよいし、或いは温度検出素子を備えた単体の温度センサであってもよい。これらの場合、上述した温度測定値の誤差に対する対応のみを考慮した構成とすればよい。又、電気伝導率セル24が単体で電気伝導率センサとされていてもよい。この場合、上述した電気伝導率測定値の誤差に対する対応のみを考慮した構成とすればよい。当然、電気伝導率セルと温度センサとを備えた電気伝導率センサにおいて、上述した温度測定値の誤差、電気伝導率測定値の誤差のいずれかに対する対応のみを考慮した構成とすることもできる。
【0154】
尚、ケーブル又はその心線の長さが測定値に与える影響を補正する場合、ケーブル又は心線の長さは、ケーブルそのものの長さで代表することができることが多いが、より精密に心線の長さを基準として補正することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明に係る測定装置の一実施例のブロック図である。
【図2】延長ケーブル側記憶媒体の取り付け態様を示す部分断面図である。
【図3】本発明に係る測定装置の他の実施例のブロック図である。
【図4】測定部側記憶媒体の取り付け態様を示す部分断面図である。
【図5】本発明に係る測定装置の他の実施例のブロック図である。
【符号の説明】
【0156】
1 測定装置
10 装置本体
11 コントローラ(変換器)
12 本体側記憶媒体
20 測定部
21 温度センサ
22 ケーブル
23 コネクタ
25 測定部側記憶媒体
30 延長ケーブル
34 延長ケーブル側記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出素子と前記検出素子に接続された心線を備えた固有ケーブルとを有する測定部と、前記固有ケーブルによって前記測定部が着脱可能に接続される装置本体と、前記装置本体に設けられ前記検出素子から前記装置本体に入力される検出信号に基づいて測定値を求める変換器と、を有する測定装置であって、
前記検出素子に接続される心線を備えた延長ケーブルを前記測定部と前記装置本体との間に接続可能であり、
前記延長ケーブルの特性に応じて前記検出信号と前記測定値とを関係付けるための変換情報を前記変換器に提供する変換情報提供手段を有し、
前記変換器が、前記変換情報を用いて、前記装置本体に前記延長ケーブルを介して接続された前記測定部の前記検出素子から入力された前記検出信号に基づいて、該延長ケーブルの特性に応じた前記測定値を求めることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記延長ケーブルの特性に係る特性情報を前記変換器に提供する特性情報提供手段として、前記延長ケーブルに、前記特性情報が記憶された延長ケーブル側記憶媒体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記延長ケーブルの特性に係る特性情報を前記変換器に提供する特性情報提供手段として、前記装置本体に、操作者によって前記特性情報を入力するための入力手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記延長ケーブルの特性に係る特性情報を前記変換器に提供する特性情報提供手段として、前記延長ケーブルに、前記特性情報が付帯されたスイッチ、アナログスイッチ、抵抗器、コンデンサなどの物理量若しくは状態変更手段;電圧発生器、電流発生器、光発生器などの物理量発生手段;物理的形状変化;又はバーコードから成る群から選択される情報提示手段が設けられており、前記装置本体には更に、前記情報提示手段に付帯された前記特性情報を認識するための認識手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記変換情報提供手段は、前記装置本体が有する本体側記憶媒体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項6】
前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性と、前記変換器による前記検出信号から前記測定値を求める処理過程において前記延長ケーブルの特性に応じて処理値から差し引くべき値に係る情報と、の関係を示す情報を含み、前記変換器は、該関係に基づいて前記延長ケーブルの特性に応じた誤差分が差し引かれた前記測定値を求めることを特徴とする請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性毎の前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報であり、前記変換器は、前記延長ケーブルの特性に応じて前記本体側記憶媒体から提供された前記延長ケーブルの特性に応じた前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報を用いて前記測定値を求めることを特徴とする請求項5に記載の測定装置。
【請求項8】
前記変換情報提供手段は、前記測定部が有する測定部側記憶媒体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項9】
前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性と、前記変換器による前記検出信号から前記測定値を求める処理過程において前記延長ケーブルの特性に応じて処理値から差し引くべき値に係る情報と、の関係を示す情報を含み、前記変換器は、該関係に基づいて前記延長ケーブルの特性に応じた誤差分が差し引かれた前記測定値を求めることを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性毎の前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報であり、前記変換器は、前記延長ケーブルの特性に応じて前記測定部側記憶媒体から提供された前記延長ケーブルの特性に応じた前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報を用いて前記測定値を求めることを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項11】
前記装置本体は、前記変換情報を、前記測定部側記憶媒体に記憶させる書き込み手段を有することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の測定装置。
【請求項12】
前記変換情報提供手段は、前記延長ケーブルが有する延長ケーブル側記憶媒体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項13】
前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性と、前記変換器による前記検出信号から前記測定値を求める処理過程において前記延長ケーブルの特性に応じて処理値から差し引くべき値に係る情報と、の関係を示す情報を含み、前記変換器は、該関係に基づいて前記延長ケーブルの特性に応じた誤差分が差し引かれた前記測定値を求めることを特徴とする請求項12に記載の測定装置。
【請求項14】
前記変換情報は、前記延長ケーブルの特性に応じた前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報であり、前記変換器は、前記延長ケーブル側記憶媒体から提供された前記延長ケーブルの特性に応じた前記検出信号と前記測定値との関係を示す情報を用いて前記測定値を求めることを特徴とする請求項12に記載の測定装置。
【請求項15】
前記装置本体は、前記変換情報を、前記延長ケーブル側記憶媒体に記憶させる書き込み手段を有することを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の測定装置。
【請求項16】
前記装置本体は、前記変換情報を、前記装置本体の外部の情報伝達媒体から取り込む取り込み手段を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の測定装置。
【請求項17】
(a)前記情報伝達媒体は前記装置本体に取り外し可能に接続される着脱可能記憶媒体であり、前記取り込み手段は前記着脱可能記憶媒体から情報を読み取る読み取り手段であるか、又は、
(b)前記情報伝達媒体は前記装置本体の外部の機器と前記装置本体とを通信可能に接続する通信手段であり、前記取り込み手段は前記通信手段を介して送信された情報を受信する受信手段であることを特徴とする請求項16に記載の測定装置。
【請求項18】
前記装置本体は、前記変換情報を、操作者によって入力するための変換情報入力手段を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の測定装置。
【請求項19】
前記延長ケーブルの特性は、当該延長ケーブル若しくは当該延長ケーブルにおける前記心線の長さ、当該延長ケーブルにおける前記心線の単位長さ当たりの電気抵抗値に係る特性、又はこれらの両方であることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の測定装置。
【請求項20】
前記延長ケーブルの特性は、当該延長ケーブルにおける前記心線の電気抵抗値であることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−127865(P2010−127865A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305561(P2008−305561)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】