説明

溶接方法および溶接装置および電池の製造方法および電池

【課題】 電極板と集電板との溶接を好適に行うことのできる溶接方法および溶接装置および電池の製造方法および電池を提供すること。
【解決手段】 正極集電板110を正極板Pに溶接する際に,照射中心領域Zと高強度外周部領域Yとを有するレーザを用いる。高強度外周部領域Yにおけるレーザの強度は,照射中心領域Zにおけるレーザの強度よりも強い。レーザを走査する際には,溶接幅の方向の中心に照射中心領域Xが走査されるようにするとともに,溶接幅の方向の中心の両側に高強度外周部領域Yが走査されるようにする。そのため,溶接箇所におけるレーザの走査方向に垂直な断面では,熱影響部の断面形状に,レーザを照射する向きに突出している凸部X2,X3が表れている。そして,凸部X2,X3の間に凹部X1が表れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,溶接方法および溶接装置および電池の製造方法および電池に関する。さらに詳細には,電極板(正極板および負極板)と集電板との溶接に特徴のある溶接方法および溶接装置および電池の製造方法および電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電池は,携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器,ハイブリッド車両や電気自動車等の車両など,多岐にわたる分野で利用されている。このような電池は,正極板と負極板と電解質とを備えるものである。また,正極板と負極板とを絶縁するために,これらの間にセパレータを設けることが一般的である。そして,正極板および負極板を交互に配置するとともに,それらの間にセパレータをはさんで積層した積層電極体を用いることが多い。体積エネルギー密度の向上を図るためである。
【0003】
このような積層電極体では,正極板に正極集電板が接合されるとともに,負極板に負極集電板が接合される。好適な集電を行うためには,この接合を確実に行うことが好ましい。接合箇所における接合が不充分であれば,その箇所における電気抵抗が高いからである。接合そのものがなされていなければ,これらの箇所はもちろん導通していない。したがって,その箇所では電流が流れない。
【0004】
そのため,電極板と集電板とを好適に接合するための技術が開発されてきている。例えば,特許文献1には,電極板と集電板とをレーザ溶接する技術が開示されている。これにより,リードの加工や固定等の煩雑な工程を行うことなく,接合を行うことができるとしている。また,特許文献2には,電極板と集電板とを真空中でビーム溶接する技術が開示されている。これにより,接合箇所以外の他の部分に熱による影響を生じさせないようにして接合を行うことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−042769号公報
【特許文献2】特開2004−006407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで,特許文献1やその他のレーザ溶接ではガウシアンモードのレーザが通常用いられる。ガウシアンモードのレーザでは,レーザの照射領域の中心で最もレーザ強度が高い。したがって,レーザの照射領域の中心から入熱される箇所が最も溶融する(特許文献1の図5参照)。そのため,レーザの照射領域の中心から入熱される箇所が溶融しすぎてしまうおそれがある。入熱量が多い場合には,セパレータに多量の熱が伝わり,セパレータ焼けが生じてしまうこととなる。
【0007】
一方,特許文献2のように真空中でビーム溶接する場合には,溶接を真空中で行う必要がある。この真空状態を実現するため,減圧する工程や復圧する工程などの多くの工程を要する。そして,これらの工程を行うのに時間もかかる。つまり,サイクルタイムが長いものとなってしまう。さらに,真空とするための設備を設ける必要がある。
【0008】
本発明は,前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,電極板と集電板との溶接を好適に行うことのできる溶接方法および溶接装置および電池の製造方法および電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の一態様における溶接方法は,レーザを溶接対象物に照射することにより溶接を行う方法である。そして,レーザとして,レーザの照射領域の外周部に,レーザの照射領域の中心のレーザ強度より高いレーザ強度である高強度外周部領域を有するとともに,レーザの照射領域の中心からみてレーザの走査方向の前後の外周部におけるレーザ強度が,他の外周部におけるレーザ強度より低いレーザを用いる。かかる溶接方法では,レーザの照射領域の中心への入熱量が抑制される。したがって,レーザの照射領域の中心で溶接の深さが深くなりすぎるおそれがない。また,レーザの照射領域の中心が走査される領域の両側に高強度外周部領域のレーザが照射されるため,十分な溶接幅で溶接を行うことができる。
【0010】
上記に記載の溶接方法において,正極板と負極板とをこれらの間にセパレータを介在させて交互に配置した電極体の正極板もしくは負極板に,集電体を溶接するとよい。これにより,セパレータ焼けの発生を抑制しつつ,電極板と集電体との溶接を行うことができるからである。
【0011】
上記に記載の溶接方法において,高強度外周部領域の間に位置する照射中心領域の幅が,レーザの照射領域の全幅の10〜30%の範囲内であるレーザを用いるとなおよい。十分な溶接幅を確保するとともに,溶接の深さが深くなりすぎない溶接を行う上で好適であるからである。
【0012】
また,本発明の別の態様における電池の製造方法は,正極板と負極板とをこれらの間にセパレータを介在させて交互に積層することで電極体とする電極体作成工程と,電極体の正極板と負極板との少なくとも一方を集電体に溶接して溶接体とする集電体溶接工程と,溶接体を電池容器の内部に配置するとともに電池容器の内部に電解液を注入して封止する電池組立工程とを有する。そして,集電体溶接工程では,レーザとして,レーザの照射領域の外周部に,レーザの照射領域の中心のレーザ強度より高いレーザ強度である高強度外周部領域を有するとともに,レーザの照射領域の中心からみてレーザの走査方向の前後の外周部におけるレーザ強度が,他の外周部におけるレーザ強度より低いレーザを用いる。かかる電池の製造方法では,集電体溶接工程でレーザの照射領域の中心への入熱量が抑制される。したがって,レーザの照射領域の中心で溶接の深さが深くなりすぎるおそれがない。また,レーザの照射領域の中心が走査される領域の両側に高強度外周部領域のレーザが照射されるため,十分な溶接幅で溶接を行うことができる。
【0013】
上記に記載の電池の製造方法において,集電体溶接工程では,底面が長方形の四角錘形状のプリズムを透過させたレーザを用いるとよい。レーザの照射領域の外周部に,高強度外周部領域を形成することができるからである。
【0014】
上記に記載の電池の製造方法において,集電体溶接工程では,三角柱形状のプリズムを透過させたレーザを用いてもよい。レーザの照射領域の外周部に,高強度外周部領域を形成することができることに変わりないからである。
【0015】
上記に記載の電池の製造方法において,集電体溶接工程では,高強度外周部領域の間に位置する照射中心領域の幅が,レーザの照射領域の全幅の10〜30%の範囲内であるレーザを用いるとなおよい。十分な溶接幅を確保するとともに,溶接の深さが深くなりすぎない溶接を行う上で好適であるからである。
【0016】
また,本発明のさらに別の態様における電池は,正極板と負極板とをこれらの間にセパレータを介在させて交互に配置した電極体と,正極板と負極板との少なくとも一方に溶接箇所でレーザ溶接された集電体とを有する電池である。そして,溶接箇所におけるレーザの走査方向に垂直な断面では,熱影響部の断面形状は,レーザを照射する向きに突出している第1の凸部および第2の凸部と,第1の凸部と第2の凸部との間に位置するとともにレーザを照射する向きの反対向きに凹んでいる凹部とが形成された形状である。かかる電池では,溶接箇所の熱影響部がセパレータの箇所にまで達していない。そのため,セパレータ焼けの発生が抑制されている。そして,溶接幅は十分である。
【0017】
また,本発明のさらに別の態様における溶接装置は,レーザを発振するレーザ発振器と,レーザ発振器により発振されたレーザを伝送するとともにレーザ照射口を備える光ファイバーと,レーザ照射口から照射されるレーザを平行光とするコリメートレンズと,コリメートレンズにより平行光とされたレーザを回折するプリズムとを有するものである。そして,プリズムは,底面が長方形である四角錘形状であり,レーザを,底面から四角錘形状の頂点に向かう向きに入射するように配置されている。かかる溶接装置では,レーザの照射領域の中心よりエネルギー強度の高い高強度外周部領域のあるレーザを照射することができる。このレーザを用いることにより,十分な溶接幅を確保するとともに,溶接幅の深すぎない溶接を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば,電極板と集電板との溶接を好適に行うことのできる溶接方法および溶接装置および電池の製造方法および電池が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る電池を説明するための部分破断斜視図である。
【図2】実施形態に係る電池の積層電極体に集電板を溶接した溶接体の構造を説明するための断面図である。
【図3】実施形態に係る電池の製造方法に用いられるレーザ溶接装置を説明するための概略構成図である。
【図4】実施形態に係る電池の製造方法に用いられるレーザ溶接装置のプリズムを説明するための平面図である。
【図5】実施形態に係る電池の製造方法に用いられるレーザの強度分布を示す図(その1)である。
【図6】実施形態に係る電池の製造方法に用いられるレーザの強度分布を示す図(その2)である。
【図7】実施形態に係る電池の製造方法におけるレーザの走査方法を説明するための断面図である。
【図8】実施形態に係る電池の製造方法におけるレーザの走査方法を説明するための平面図である。
【図9】実施形態に係る電池の製造方法におけるレーザ溶接の途中を示す断面図(その1)である。
【図10】実施形態に係る電池の製造方法におけるレーザ溶接の途中を示す断面図(その2)である。
【図11】実施形態に係る電池の正極集電板と正極板との溶接箇所を示す断面図である。
【図12】実施形態に係る電池の製造方法に用いられるレーザの強度分布と溶接箇所との対応を示す模式図である。
【図13】従来の電池の製造方法に用いられるレーザの強度分布と溶接箇所との対応を示す模式図である。
【図14】実施形態に係る別の電池の製造方法に用いられるレーザ溶接装置のプリズムを説明するための平面図である。
【図15】実施形態に係る別の電池の製造方法に用いられるレーザの強度分布を示す図(その1)である。
【図16】実施形態に係る別の電池の製造方法に用いられるレーザの強度分布を示す図(その2)である。
【図17】実施形態に係る別の電池の製造方法に用いられるレーザの強度分布を示す図(その3)である。
【図18】実施形態に係る別の電池の製造方法に用いられるレーザ溶接装置のプリズムを説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,ニッケル水素電池とその製造方法について,本発明を具体化したものである。
【0021】
1.電池
本実施の形態に係るニッケル水素電池について説明する。図1は,本形態の電池セル10の部分破断斜視図である。図1に示すように,電池セル10は,電池容器11と,封口板12と,安全弁13と,積層電極体100とを有している。電池容器11は,その内部に積層電極体100を挿入されるものであるとともに,電解液を収容するためのケースである。封口板12は,電池セル10を封止するためのものである。安全弁13は,電池セル10の内圧が上昇しすぎた場合に開弁する弁である。積層電極体100には,後述するように,正極集電板および負極集電板が接合されている。これらは,図1の破断した箇所からは見えない位置にある。
【0022】
図2は,電池セル10から溶接体200を抜き出して描いた断面図である。ここでいう溶接体200とは,積層電極体100に正極集電板110および負極集電板120が接合されたものである。積層電極体100は,図2に示すように,正極板Pと,負極板Nと,セパレータSとを有している。そして,正極板Pと負極板Nとの間には必ずセパレータSが間に配置されるように積層されている。正極板Pと負極板Nとを絶縁するためである。つまり,積層電極体100は,正極板Pと負極板Nとを交互に配置するとともに,正極板Pと負極板Nとの間にセパレータSを介在させた状態で積層された電極体である。なお,図2中の矢印Fの示す方向は,図1中の矢印Aの示す方向と同じであり,これらの部材の積層方向である。
【0023】
正極板Pは,正極基板の一部に正極活物質が充填されたものである。正極板Pは,正極充填部P1と正極非充填部P2とを備えている。正極充填部P1は,図2に示すように,セパレータSに挟まれている位置にある。正極非充填部P2は,図2に示すように,セパレータSに挟まれていない位置にある。正極充填部P1は,正極基板に正極活物質が充填されている正極板反応部である。一方,正極非充填部P2は,正極基板に正極活物質が充填されていない正極板非反応部である。正極板反応部は,その表面で電極反応が生じる部分であるとともに,実際に発電に寄与する部分である。ここで,正極基板は,例えば発泡ニッケルである。正極活物質は,例えば水酸化ニッケルである。なお,正極活物質は図2には表れていない。発泡ニッケルの表面にはわずかに形成されているにすぎないからである。
【0024】
負極板Nは,負極基板の一部に負極活物質が充填されたものである。負極板Nは,負極充填部N1と負極非充填部N2とを備えている。負極充填部N1は,図2に示すように,セパレータSに挟まれている位置にある。負極非充填部N2は,図2に示すように,セパレータSに挟まれていない位置にある。負極充填部N1は,負極基板に負極活物質が充填されている負極板反応部である。一方,負極非充填部N2は,負極基板に負極活物質が充填されていない負極板非反応部である。負極板反応部は,その表面で電極反応が生じる部分であるとともに,実際に発電に寄与する部分である。ここで,負極基板は,例えばニッケルのパンチングメタルである。負極活物質は,例えば水素吸蔵合金である。なお,負極活物質も図2には表れていない。
【0025】
また,図2に示すように,正極充填部P1と負極充填部N1とは,セパレータSに接して積層されている。正極非充填部P2の一部は,積層電極体100の一方に突出している。正極非充填部P2の先端部PXは,正極集電板110に接合されている。すなわち,正極基板と正極集電板110とは導通している。負極非充填部N2の一部は,積層電極体100の他方に突出している。その突出する方向は,正極非充填部P2の突出している方向の反対側である。負極非充填部N2の先端部NXは,負極集電板120に接合されている。すなわち,負極基板と負極集電板120とは導通している。ここで,各集電板110,120の厚みは0.4〜1mm程度である。電極板P,Nの厚みは50〜200μm程度である。
【0026】
図2に示すように,正極集電板110の両端には屈曲部111が形成されている。屈曲部111には,端面111aが形成されている。端面111aは,電極板P,Nに対して垂直である。同様に,負極集電板120の両端にも屈曲部121が形成されている。
【0027】
2.電極板と集電板との溶接方法
本形態の溶接方法について説明する。本形態では,レーザ溶接に用いるレーザの種類に特徴がある。したがって,本形態で用いるレーザ溶接装置およびレーザの強度分布について説明する。
【0028】
2−1.レーザ溶接装置の構成
本形態におけるレーザ溶接装置1000の構成を図3に示す。図3には,正極集電体110等の溶接対象となる部材も一緒に描かれている。
【0029】
図3に示すように,レーザ溶接装置1000は,レーザ発振器1001と,光ファイバー1010と,コリメートレンズ1020と,プリズム1030と,集光レンズ1040とを有している。レーザ発振器1001は,レーザを発振させるための装置である。光ファイバー1010は,レーザを伝送するためのものである。その内壁の断面は長方形である。したがって,光ファイバー1010から照射されるレーザの断面形状は長方形形状である。光ファイバー1010の先端には,照射口1011がある。コリメートレンズ1020は,光ファイバー1010の照射口1011から拡散するレーザを平行な光にするためのものである。プリズム1030は,透過するレーザの強度分布を変えるためのものである。集光レンズ1040は,プリズム1030によりやや拡散したレーザを集光するためのものである。
【0030】
図4は,レーザ溶接装置1000のプリズム1030を説明するための平面図である。プリズム1030は,先端1039を頂点とする四角錘形状をしている。プリズム1030は,その表面を面1033,1034,1035,1036と,底面とで覆われた5面体である。そして,プリズム1030の底面は,長辺1031と短辺1032とで囲まれた長方形である。
【0031】
続いて,レーザ溶接装置1000が照射するレーザについて説明する(図3参照)。まず,レーザ発振器1001がレーザを発振する。そのレーザを光ファイバー1010により伝送する。そのレーザは光ファイバー1010の照射口1011から拡散的に照射される。拡散的に照射されたレーザは,コリメートレンズ1020を透過することにより平行に進行する。この段階では,レーザの断面形状は長方形であり,その強度は,照射中心で最も高いものとなっている。続いて,その平行レーザはプリズム1030により回折する。そのとき,レーザは底面から四角錘の頂点に向かう向きに入射する。この段階では,後述するように,照射中心以外の箇所でレーザの強度が最大となっている。そして,そのレーザを集光レンズ1040により集光する。このように得られたレーザの強度分布について次に説明する。
【0032】
2−2.レーザの強度分布
レーザ溶接装置1000により照射されるレーザの強度分布を図5に示す。図5中の矢印I,Jの示す方向は,図4中の矢印I1,J1で示す方向と対応する方向である。すなわち,図5中の矢印Iの方向と図4中の矢印I1の方向とは平行である。図5中の矢印Jの方向と図4中の矢印J1の方向とは平行である。
【0033】
線Lは,レーザの照射中心を示している。レーザの強度分布は,図5に示すように線Lに対して軸対称(回転対称)ではない。ただし,レーザの強度分布は,線Vと線Lを含む平面に対して対称である。また,線Wと線Lを含む平面に対して対称である。ここで線Vは,線Lとゼロエネルギー面との交点である中心Oを通る線である。線Wは,中心Oを通り,線Vに垂直な線である。
【0034】
図5から明らかなように,本形態で用いられるレーザは,その照射領域の中心の強度より高い強度である領域が存在する。図5のレーザの強度で表すと,照射領域の中心付近に凹みが表れている。この凹みは,図4のプリズム1030における,面1033,1035と底面とのなす角と,面1034,1036と底面とのなす角とに差があることに起因する。面1033,1035と底面とのなす角は,面1034,1036と底面とのなす角より大きい。このずれがあるため,レーザの強度が最大値となる箇所を,レーザの照射領域の中心からずらすことができるのである。
【0035】
このレーザを溶接に用いる場合には,後述するように,レーザの走査方向を図5の矢印Jの方向とする。詳細については後述する。
【0036】
図6の左図は,図5における線Lと線Vを含む平面でのレーザ強度を示す図である。レーザの走査方向(図5の矢印J)に平行な断面を示すものである。図6の左図に示すように,そのエネルギー分布では,レーザの照射領域の中心(線L)付近がフラットである。ここで,R0は,線L上におけるレーザの強度である。R1,R2は,レーザの外周部におけるレーザの強度である。レーザの外周部におけるレーザの強度の変化は図5や図6に示すとおりであるが,説明のためにレーザの強度R1,R2を代表点として選んだ。レーザの強度R1,R2は,レーザの強度R0とほとんど同じ値である。もしくはわずかに強度が弱い。R1,R2は,レーザの照射領域の外周部であって走査方向の前後の領域にある箇所におけるレーザの強度である。
【0037】
図6の右図は,図5における線Lと線Wを含む平面でのレーザ強度を示す図である。レーザの走査方向(図5の矢印J)に垂直な断面を示すものである。図6の右図に示すように,そのエネルギー分布では,レーザの照射領域の中心(線L)付近が凹んでおり,その両側に凸形状が表れている。レーザの強度Q1,Q2は,レーザの照射領域におけるレーザの強度の最大値である。レーザの強度Q1,Q2は,レーザの強度R0の1.2倍程度である。
【0038】
図6の右図に示すように,レーザの照射領域の外周部には,高強度外周部領域Yがある。ここで,高強度外周部領域Yは,レーザの照射中心のレーザ強度R0よりも有意に大きいレーザ強度の値をとる領域である。高強度外周部領域Yは,レーザの照射領域の外周部であってレーザの走査方向における照射中心の前後を除く領域にある。そして高強度外周部領域Yは,レーザの照射中心領域Zの両側にある。レーザの照射中心領域Zは,レーザの照射領域の全幅の10〜30%程度である。この場合,後述するように,十分な溶接幅を確保するとともに,溶接の深さが深くなりすぎない溶接を行う上で好適である。
【0039】
2−3.溶接方法
続いて,本形態のレーザの溶接方法について説明する。本形態のレーザの溶接方法は,正極集電板110と正極板Pとを溶接する場合および負極集電板120と負極板Nとを溶接する場合の双方に用いることができる。そのため,これらの代表として,正極集電板110と正極板Pとを溶接する場合について説明する。
【0040】
図7は,本形態のレーザを用いる溶接方法を説明する図である。レーザ溶接を行うに際して,加圧治具2000により,積層電極体100を,図7中の左右方向(矢印E)に加圧する。加圧治具2000は,積層電極体100の積層方向(図2の矢印Fの方向)の厚みを薄いものとするための治具である。このように加圧しつつ溶接することにより,電池容器11への収容を可能とするとともに,電池の体積エネルギー密度を高いものとするためである。なお,加圧治具2000は,溶接工程に用いるだけであり,電池セル10には残らない。
【0041】
そして,正極集電板110の屈曲部111は,加圧治具2000の上面2001で支持されている。端面111aは,上面2001と対面して加圧治具2000に接触している。このとき,正極板Pの先端部PXは,正極集電板110に接触している。
【0042】
続いて,レーザを正極集電板110に照射しつつ,図7の矢印Bの向きにレーザを走査する。ここでレーザの走査速度は,例えば65mm/secである。もちろん,これ以外の走査速度であってもよい。図7の矢印Bの方向は,図2に示した矢印Fの方向,すなわち積層電極体100の積層方向に平行である。これにより,正極集電板110におけるレーザ照射箇所は加熱されて溶融する。
【0043】
図8は,図7の矢印Cの方向から見た平面図である。図8の矢印Mは,レーザの走査方向を示している。図8の線M0は,図6の右図で示したレーザの強度R0,R1,R2の部分が走査される領域を示す線である。図8の線M1は,図6の右図で示したレーザの強度のうちレーザの強度Q1の部分が走査される領域を示す線である。図8の線M2は,図6の右図で示したレーザの強度のうちレーザの強度Q2の部分が走査される領域を示す線である。
【0044】
図8に示すように,最大値をとるレーザの強度Q1,Q2が溶接幅方向の中心(線M0)の両側を通過するように,レーザを走査する。そのため,溶接幅方向の中心(線M0)には,高強度外周部領域Yが通過することはない。後述するように,溶接幅方向の中心(線M0)への過剰な入熱を抑制するためである。
【0045】
図9は,図8のGG断面の一部を示す断面図である(図2でいえばHH断面に相当)。なお,図9負極板Nを省略して描いてある(図10〜図13も同様)。図9は,レーザによる正極集電板110への入熱が始まった直後の状態を示している。図9に示すように,正極集電板110のうち照射されるレーザの強度の高い箇所から溶融する。図9には,正極集電板110の一部が溶融している溶融部分112が表れている。溶融部分112は,高強度外周部領域Yからの入熱により溶融している部分である。一方,図9に示す初期の段階では,レーザの照射中心(線L)により入熱される箇所は未だ溶融していない。
【0046】
その後,レーザによる入熱が進行する。図10は,図9と同様の断面についてさらに時間が経過している状態を示す断面図である。図10の溶融部分113は図9の溶融部分112より広い領域にわたって存在している。この状態に至っても,溶融部分113のうち最も深い位置まで溶融しているのは,レーザの強度の高い箇所である。ここで,溶接幅方向には,十分に広い領域が溶融している。そして,レーザの照射領域における中心付近では,それほど深い位置まで溶融していない。
【0047】
レーザによる入熱が終わると,レーザの照射を受けた領域の温度は下がり始める。そして,その溶融部分113は再度凝固する。図11は,図10に示した溶融部分113が凝固した場合を示す図である。図11に示すように,正極集電板110から正極板Pの先端部PXの一部にわたって,熱影響部Xが形成されている。この段階で,正極集電板110と正極板Pとは溶接されている。
【0048】
同様に負極集電板120と負極板Nとを溶接することにより,図2に示した溶接体200が得られる。
【0049】
3.電池における溶接箇所の断面形状
ここで,本形態の電池における溶接箇所の断面形状について図11により説明する。図11は,溶接箇所におけるレーザの走査方向に垂直な断面の一部を示す断面図である。図11に示す熱影響部Xの断面には,凸部X2,X3が表れている。そして,これらの凸部X2,X3の間には凹部X1が表れている。凸部X2および凸部X3は,レーザを照射する向きに突出している。凹部X1は,凸部X2と凸部X3との間に位置している。そして,レーザを照射する向きの反対向きに凹んでいる。
【0050】
図11では,熱影響部Xは,セパレータSの箇所に達していない。そのため,セパレータSも燃焼していない。溶接深さTがセパレータSの箇所に達しない程度の深さであるためである。ここで溶接深さTとは,正極集電板110の表側の面110aから熱影響部における凸部X2の頂部X2A(または凸部X3の頂部X3A)までの距離のことをいう。
【0051】
このときの溶接幅Dは,例えば0.5mmである。この溶接幅Dは十分な幅である。つまり,正極集電板110と正極板Pとの溶接強度は十分である。溶接幅Dは,図11に示すとおりである。ここで溶接幅Dとは,正極板Pと正極集電板110との間の接合部における熱影響部Xの幅のことをいう。
【0052】
図12は,レーザの強度分布とそのレーザにより溶接された溶接箇所の断面との関係を示す図である。図12に示すように,レーザの高強度外周部領域Yにより入熱された箇所が,熱影響部Xの凸部X2,X3の箇所となる。そして,レーザの照射中心(線L)により入熱された箇所が,熱影響部Xの凹部X1の箇所となる。なお,図12の線U1は,仮想的に描いたものである。
【0053】
本形態の電池セル10では,好適な溶接のなされた溶接体200を有するものである。溶接体200では,セパレータ焼けがほとんど生じていない。また,正極集電板110,負極集電板120に貫通孔がほとんど生じていない。したがって,積層電極体100から好適に集電できる電池セル10が実現されている。そして,正極板Pと負極板Nとの絶縁性が保たれている。
【0054】
4.従来技術との比較
本形態と従来技術との比較のために,ガウシアン型のレーザを用いて溶接を行った場合について説明する。図13の上図は,ガウシアン型のレーザの強度分布を示すプロファイルである。図13の下図は,ガウシアン型のレーザを用いてレーザ溶接を行った場合を示す断面図である。ガウシアン型のレーザでは,その照射領域の中心でエネルギー強度が最も強い。
【0055】
ガウシアン型のレーザを用いてレーザ溶接を行うと,図13の下図に示すように,レーザによる熱がセパレータSの箇所にまで到達する場合がある。これにより,セパレータSが燃焼するおそれがある。セパレータSが燃焼すると,その燃焼部分で電解質の透過が起こらないことがある。さらに,その燃焼部分で正極板Pと負極板Nとが絶縁されない場合がある。
【0056】
ガウシアン型のレーザを用いた場合であっても,もちろんセパレータSまで熱がそれほど伝わらないこともありうる。しかし,照射領域の中心でレーザの強度が最大値をとるため,本形態のレーザを用いた場合に比べてセパレータSまで熱が伝わりやすい。また,セパレータSの燃焼を抑制するために,レーザの強度を全体的に弱くすることも考えられる。しかし,その場合には溶接幅が不足するおそれがある。すなわち,溶接強度が十分でない。
【0057】
5.電池の製造方法
本実施の形態に係る電池の製造方法は,積層電極体100と正極集電板110や負極集電板120との溶接に前述の溶接方法を実施することに特徴のあるものである。
【0058】
5−1.電極板作成工程
正極板Pは,正極基板に正極活物質を充填することにより作成される。ここで,正極基板のうち正極活物質を充填された箇所が正極充填部P1となる。正極基板のうち正極活物質を充填されていない箇所が正極非充填部P2となる。負極板Nは,負極基板に負極活物質を塗着することにより作成される。ここで,負極基板のうち負極活物質を充填された箇所が負極充填部N1となる。負極基板のうち負極活物質を充填されていない箇所が負極非充填部N2となる。
【0059】
5−2.電極体作成工程
続いて,正極板P,負極板N,セパレータSを積層する。その際に,正極板Pと負極板Nとが交互になるように配置する。そして,正極板Pと負極板Nとの間に必ずセパレータSをはさんだ状態で積層する。その際に,正極板Pの正極非充填部P2が一方から突出するようにするとともに,負極板Nの負極非充填部N2がその反対側に突出するように積み重ねる。これにより,積層電極体100が作成される。
【0060】
5−3.集電体溶接工程
次に,正極集電板110および負極集電板120を積層電極体100に溶接する。図7に,溶接前の積層電極体100と正極集電板110を示す。ここでは,前述のレーザを用いて正極集電板110を正極非充填部P2の先端部PXに溶接する。同様に,負極集電板120を負極非充填部N2の先端部NXに溶接する。これらの接合の順序はどちらでもよい。
【0061】
5−4.電池組立工程
続いて,電池容器11の内部に積層電極体100を配置する。そして電池容器11の内部に電解液を注入する。これにより,積層電極体100は,電解液に浸されることとなる。続いて,封口板12を電池容器11に接合する。これにより,本形態の電池セル10が組み立てられる。この後,各種の検査工程を行うとよい。以上の工程を経ることにより,本形態の電池セル10が製造される。
【0062】
6.変形例
6−1.高強度外周部領域
本形態では,図6に示すように,レーザの外周部であってレーザの走査方向の前後におけるレーザの強度R1,R2を,レーザの照射中心におけるレーザの強度R0以下とした。しかし,レーザの走査方向の前後におけるレーザの強度R1,R2を,レーザの照射中心におけるレーザの強度R0より大きいこととしてもよい。ただし,レーザの強度R1,R2は,レーザの強度Q1,Q2よりも小さい。つまり,レーザの照射領域の中心からみてレーザの走査方向の前後の外周部におけるレーザ強度が,他の外周部におけるレーザ強度より低いレーザを用いればよい。
【0063】
6−2.プリズムの形状とレーザの強度分布
本形態では,図4に示した底面が長方形のプリズム1030を用いた。しかし,図14に示すような底面が正方形のプリズム1130を用いることもできる。この場合,レーザのエネルギー強度のプロファイルは,図15のようになる。
【0064】
図15の断面を図16に示す。図16には,高強度外周部領域Y1と,高強度外周部領域Y2とが表れている。ここで,高強度外周部領域Y1が十分に狭ければよい。このレーザを用いて製造された電池セルでは,図11に示した断面は,凹部X1よりやや凹みの小さい凹部を有している。この場合であっても,溶接幅Dを確保しつつ溶接深さTが深くなりすぎない溶接を行うことができる。
【0065】
6−3.ツインビーム
本形態では,図5および図6に示したレーザ強度のプロファイルを有するレーザを用いた。しかし,レーザを2本用いることとしても同様の効果が得られる。その場合のレーザのプロファイルを,図17に示す。図17に示すプロファイルのレーザを用いるためには,図18に示す形状のプリズム1230を用いればよい。プリズム1230の形状は三角柱形状である。ここで,図18の矢印I3は,図4の矢印I1に平行な方向を示している。図18の矢印J3は,図4の矢印J1に平行な方向を示している。
【0066】
または,ツインビームを発生するのであれば,光ファイバーを2本用いて,レーザを照射することとしてもよい。レーザのエネルギー強度を調整することにより,必要な溶接幅を得るとともに,セパレータ焼けを生じにくくすることができる。
【0067】
7.まとめ
以上,詳細に説明したように,本実施の形態に係る溶接方法は,正極集電板110を正極板Pの先端部PXに溶接する際に,レーザの照射領域のうち照射中心のレーザの強度R0よりも高いレーザの強度をとる高強度外周部領域Yを有するレーザを用いる方法である。そして,高強度外周部領域Yは,溶接幅方向の中心を通過しないようにする。そのため,このレーザ溶接によりセパレータの燃焼のおそれがほとんどない。また,ビーム溶接のように,真空状態化で溶接を行う必要性がない。そのため,真空引きする工程が必要ない。すなわち,サイクルタイムが短い。負極集電板120を負極板Nの先端部NXに溶接する場合も同様である。これにより,レーザ溶接の際にセパレータSが溶損するおそれのほとんどない溶接方法および電池の製造方法が実現されている。
【0068】
また,本形態に係る電池では,溶接箇所の熱影響部における溶接方向に垂直な断面において,凸部X2,X3が表れている。凸部X2および凸部X3は,レーザを照射する向きに突出している。レーザ照射面の反対側に向かって凸形状である2箇所の凸部X2,X3と,それらの凸部X2,X3の間に凹部X1が形成されている。そのため,熱影響部Xの形状は,溶接幅Dの方向に広く,溶接深さTの方向に浅い。つまり,溶接体200は,十分な溶接幅Dを備えるとともに,セパレータSが燃焼していない。したがって,本形態の電池は,内部短絡を起こしにくい。
【0069】
また,本形態の溶接装置は,底面が長方形の四角錘形状のプリズム1030を有するものである。そのため,レーザの照射領域のうち照射中心のレーザの強度R0よりも高いレーザの強度をとる高強度外周部領域Yを有するレーザを発振させることができる。
【0070】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,ニッケル水素電池に限らない。リチウムイオン電池にも適用することができる。その場合であっても,正極板反応部および正極板非反応部を有する正極板と,負極板反応部および負極板非反応部を有する負極板とを有し,それぞれ正極集電板と負極集電板とに溶接すればよい。その他,正極非充填部P2の先端部PXを正極集電板110に溶接し,あるいは負極非充填部N2の先端部NXを負極集電板120に溶接するような電池であれば,適用することができる。また,電極体は,平積みした積層電極体100に限らない。例えば,捲回した捲回型電極体であってもよい。
【0071】
また本形態では,溶接の際に,正極集電板110と正極板Pの先端部PXとが既に接触していることとした。しかし,これらの間にわずかな隙間があってもよい。溶接を行うことができることに変わりないからである。
【符号の説明】
【0072】
10…電池セル
100…積層電極体
110…正極集電板
111,121…屈曲部
120…負極集電板
200…溶接体
1000…レーザ溶接装置
1001…レーザ発振器
1010…光ファイバー
1020…コリメートレンズ
1030,1130,1230…プリズム
1040…集光レンズ
D…溶接幅
P…正極板
P1…正極充填部
P2…正極非充填部
PX…先端部
N…負極板
N1…負極充填部
N2…負極非充填部
NX…先端部
S…セパレータ
X…熱影響部
X1…凹部
X2,X3…凸部
X2A,X3A…頂部
Y,Y1,Y2…高強度外周部領域
Z…照射中心領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザを溶接対象物に照射することにより溶接を行う溶接方法であって,
レーザとして,
レーザの照射領域の外周部に,レーザの照射領域の中心のレーザ強度より高いレーザ強度である高強度外周部領域を有するとともに,
レーザの照射領域の中心からみてレーザの走査方向の前後の外周部におけるレーザ強度が,他の外周部におけるレーザ強度より低いレーザを用いることを特徴とする溶接方法。
【請求項2】
請求項1に記載の溶接方法であって,
正極板と負極板とをこれらの間にセパレータを介在させて交互に配置した電極体の前記正極板もしくは前記負極板に,集電体を溶接することを特徴とする溶接方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の溶接方法であって,
前記高強度外周部領域の間に位置する照射中心領域の幅が,
レーザの照射領域の全幅の10〜30%の範囲内であるレーザを用いることを特徴とする溶接方法。
【請求項4】
正極板と負極板とをこれらの間にセパレータを介在させて交互に積層することで電極体とする電極体作成工程と,
前記電極体の前記正極板と前記負極板との少なくとも一方を集電体に溶接して溶接体とする集電体溶接工程と,
前記溶接体を電池容器の内部に配置するとともに前記電池容器の内部に電解液を注入して封止する電池組立工程とを有する電池の製造方法であって,
前記集電体溶接工程では,
レーザとして,
レーザの照射領域の外周部に,レーザの照射領域の中心のレーザ強度より高いレーザ強度である高強度外周部領域を有するとともに,
レーザの照射領域の中心からみてレーザの走査方向の前後の外周部におけるレーザ強度が,他の外周部におけるレーザ強度より低いレーザを用いることを特徴とする電池の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電池の製造方法であって,
前記集電体溶接工程では,
底面が長方形の四角錘形状のプリズムを透過させたレーザを用いることを特徴とする電池の製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載の電池の製造方法であって,
前記集電体溶接工程では,
三角柱形状のプリズムを透過させたレーザを用いることを特徴とする電池の製造方法。
【請求項7】
請求項4から請求項6までのいずれかに記載の電池の製造方法であって,
前記集電体溶接工程では,
前記高強度外周部領域の間に位置する照射中心領域の幅が,
レーザの照射領域の全幅の10〜30%の範囲内であるレーザを用いることを特徴とする電池の製造方法。
【請求項8】
正極板と負極板とをこれらの間にセパレータを介在させて交互に配置した電極体と,
前記正極板と前記負極板との少なくとも一方に溶接箇所でレーザ溶接された集電体とを有する電池であって,
前記溶接箇所におけるレーザの走査方向に垂直な断面では,
熱影響部の断面形状は,
レーザを照射する向きに突出している第1の凸部および第2の凸部と,
前記第1の凸部と前記第2の凸部との間に位置するとともにレーザを照射する向きの反対向きに凹んでいる凹部とが形成された形状であることを特徴とする電池。
【請求項9】
レーザを発振するレーザ発振器と,
前記レーザ発振器により発振されたレーザを伝送するとともにレーザ照射口を備える光ファイバーと,
前記レーザ照射口から照射されるレーザを平行光とするコリメートレンズと,
前記コリメートレンズにより平行光とされたレーザを回折するプリズムとを有する溶接装置であって,
前記プリズムは,
底面が長方形である四角錘形状であり,
レーザを,前記底面から前記四角錘形状の頂点に向かう向きに入射するように配置されているものであることを特徴とする溶接装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−86254(P2012−86254A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236047(P2010−236047)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】