説明

溶融又は溶液等の混練法

【課題】溶融合成樹脂や粘液状物等に微細線状体を添加し、混練、引延、配向を促進させることで、混練物の物性を改善する混練技術の提供。
【解決手段】物性の異なる複数の素材からなる溶融又は溶液状態の混練物2の混練装置において、混練、引延、配向を促進させる為、適宜の間隙を設けた溝付き或いは突起状の混練引延配向促進用付与体を付与した回転体3を少なくとも4個以上、直列又は曲列に多段設置した混練装置。更に、該回転体3は、順次、その表面速度を変更することで、混練物の混練引延配向を増進させ、物性を改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術の分野】
【0001】
本発明は溶融合成樹脂、粘液物等の混練と引延配向に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂を溶融して混練する為に従来より押出機のスクリュー等や加熱ロール、ミキサー等での混練方法が使われている。スクリューに突起や溝付き等の他、2軸混練スクリュー等もある。しかしながらこれ等の方法は要約すれば撹拌による混練である。
【0003】
ゴムや塩化ビニール等の混練があるが、これは塊状溶融物を狭いロールの間隙にて押し潰す混練である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶融合成樹脂や粘液状物等の自体及びこれに混練物として微細線状体を混練引延配向して、混練体を一定方向に配向整列混練する事による物性の改善にある。
【発明の効果】
【0005】
合成樹脂等で例えばグラスファイバー短繊維を混練して物性の改善が実施されているが、これ等のグラスファイバーはランダムに混合されているもので、物性の改善には限界があった。この混練ではファイバー片は縦、横、斜め、上下の方向に散在しているものであるのに比較し、本発明ではファイバーの方向を一定方向に引延混練するので、従来の方法と比較して甚だしく物性が改善されるものである。しかしながら負方向には極めて弱い物性となる為、フィルムやシート状物では縦方向と横方向に重ね接合すれば両方向に強度のある接合体とする事ができる。
【0006】
直鎖状高分子や高密度分子量の合成樹脂等に於いて、それ自体の分子配向の促進等にも単体又は異なる物性の合成樹脂又は混合材を混合して、一定方向に引延して混練する事による分子配向により特異な物性の混練物が得られる。例えばエポキシ樹脂溶液にカーボンナノチューブ綿(カーボンナノチューブは現在、最大でも数ミリメートル長さ位のものしか作れないが)を混練し、これを一定方向に整えた配向フィルムやシートは電気的、機械的に特異な物性体を作り得る。
【0007】
基材の合成樹脂又は粘液物等に混練する添加の工程で引延混練された後、基本材の合成樹脂又は粘液物等を2次加工として溶解、分解、洗浄、焼結、レーザー放射線や高周波、超音波等の照射等によりこれを除去又は変性させる事により特異な物性を有するものが作れる。
【問題を解決する手段】
【0008】
従来から行われている混練は要約すれば撹拌混練であり、本発明の混練物を引延して配向する機構とは異種のものである。本題の混練は図1,2,3等で示す如く混練目的が配向であり分散ではない。一定方向の配向は逆方向に弱いという欠点を有するが、配向方向を交互にして接合すれば解決されるものである。混練によらずに炭素繊維等を開繊並列して樹脂で固着したものを交互に接合したものは航空機等で利用されている。従来から行われている混練による合成樹脂の物性の改善にグラスファイバー切断片を混練して物性の改善がなされているが、混練されるグラスファイバー片は縦、横、斜め、上下等の方向になっており、横方向からの力に対しては横方向のファイバーしか対抗できず、上下方向や斜め方向等のものは役にはたっていないというものである。
【0009】
本発明の混練装置について説明する。▲1▼の送入部より混練物▲2▼を送り込み▲3▼の回転体を順次その表面速度を高めて混練物を引延し混練しながら移送する。混練回転体は埋め込みヒーター▲4▼にて温度制御され、▲3▼の回転体の混練物と接する外周部には突起状、波板状等の引延混練を増進する為に▲6▼が付与されている。この装置は温度制御された枠体▲5▼に組まれており、混練物は▲2▼の吐出口から出て、▲7▼のローラー又はカッター等でフィルム状、シート状、線状等にされて▲8▼の2次加工部にて冷却、加熱、延伸、その他の加工を経て▲9▼で引取られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】 本発明の混練引延配向の装置図
【図2】 混練引延配向物の吐出送り出し装置と2次加工部と引取り図
【図3】
【図4】 本発明の混練回転体とその付与部分図
【符号の簡単な説明】
【0011】
1.混練物送り込み部
2.混練物
3.混練回転体
4.回転体加熱ヒーター
5.装置の躯体
6.混練引延配向促進用付与体
7.成形ロール又は回転カッター部
8.冷却、加熱、延伸等の装置取付部
9.引取り又は巻取り図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融又は溶液等の混練において、物性の異なる複数の素材の混練と配向を促進させる為、適宜の間隙を設けた溝付き或いは突起状等を付与した回転体を少なくとも4個以上多数個を直列又は曲列に多段設置した混練装置。
【請求項2】
混練用多段回転体は、順次その表面速度を変えて混練引延配向を増進さる混練。
【請求項3】
混練用多段回転体により複数の混練材を混練し、その内の特定の部材を溶解、分解、洗浄、焼結、照射、その他の工程にて除去又は変性する事で特異な物性体とする混練。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−213442(P2008−213442A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85643(P2007−85643)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000191973)森村興産株式会社 (10)
【Fターム(参考)】