説明

溶鉄の精錬方法

【課題】製鋼コストの上昇や炉体耐火物の損耗などを招くことなく溶鉄を精錬処理することのできる溶鉄の精錬方法を提供する。
【解決手段】上吹きランス5として中心部に精錬剤放出路51を有し、かつ精錬剤放出路51の周囲に燃料放出路52、燃料燃焼用ガス流路53、脱燐精錬用ガス流路54、冷却水内側流路55及び冷却水外側流路56が同心円状に形成されたものを用いる。精錬剤放出路51に粉状精錬剤を不活性ガスと共に供給し、燃料放出路52に供給された燃料と燃料燃焼用ガス流路53に供給された燃料燃焼用ガスとを上吹きランス5の先端部から転炉内に放出して燃料を燃料燃焼用ガスにより燃焼せしめると同時に、精錬剤放出路51に供給された粉状精錬剤を不活性ガスと共に上吹きランス5の先端中心部から転炉内に放出して溶鉄の精錬処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶銑と鉄スクラップとからなる溶鉄の精錬方法に関するものであり、特に、上吹きランスを有する転炉内で溶鉄を精錬する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、溶鉄を精錬するに際して、環境保護の観点から、二酸化炭素(CO2)の排出量が問題となっている。そのため、鉄スクラップの使用量を増やし、溶銑配合率を低減させることが溶鋼の製造プロセスで求められているが、鉄スクラップの使用量を増やすためには、転炉内で鉄スクラップを大量に溶解させる必要があり、熱的余裕が必要となってくる。
そこで、転炉吹錬時の熱的余裕度を向上させる技術として、溶銑の脱燐処理時に生成されるスラグに炭材等の炭素源を添加して熱源不足を補う方法が特許文献1に記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、鉄スクラップを大量に溶解させるために、転炉内に吹き込まれた酸素と転炉内で発生した一酸化炭素(CO)とを溶鉄の浴面上で二次燃焼させ、その燃焼熱を溶銑に着熱させる方法が記載され、特許文献3には、蛍石等のフッ素化源を使用しないで溶銑の脱燐処理を行うために、上吹きランスからCaOとAl23の混合粉を転炉内の溶銑に吹き付けると共に炉底から攪拌用ガスを吹き込んで脱燐処理を行う方法が記載されている。
さらに、特許文献4〜6には、転炉内に酸素ガスを吹き込む上吹きランスとして4重管または5重管構造のものを使用し、上吹きランスの中心孔から転炉内の溶銑に脱燐剤を添加する方法が記載され、特許文献7には、溶銑の脱燐処理を効率よく行うために、高炉鋳床の溶融金属に脱燐剤をバーナーランスから添加する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−20913号公報
【特許文献2】特開昭60−67610号公報
【特許文献3】特開2000−345226号公報
【特許文献4】特開平11−80825号公報
【特許文献5】特開2005−336586号公報
【特許文献6】特開2007−92158号公報
【特許文献7】特開昭62−222008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、転炉内に炭材を投入しなければならないため、製鋼コストの上昇に加え、二酸化炭素(CO2)の発生量の増加を招くという問題がある。また、炭材に含まれる硫黄(S)の混入を招き、その結果、吹き止め鋼中のS濃度が高くなるという問題もある。
特許文献2に記載された方法によると、特許文献1に記載された方法のように、転炉内に炭材を投入する必要はないが、転炉内に吹き込まれた酸素と転炉内で発生したCOとの燃焼熱によって炉体耐火物の損耗を招くという問題がある。
【0006】
特許文献3に記載された方法によると、添加するAl23によりCaOの融点が低下し、CaOの滓化を促進させることができるものの、スラグ中のAl23濃度が増加してしまうため、炉体耐火物の損耗を招き、反ってコスト高になるという懸念がある。また、スラグ中のAl23濃度が高くなることから、脱燐速度が低下するという問題もある。
特許文献4〜6に記載された方法によると、上吹きランスの中心孔から添加される脱燐剤によってスラグの滓化を促進させることが可能であるが、脱燐剤を酸素ガスと共に上吹きランスの先端部から放出しているため、純鉄等を含む可燃性の粉体を脱燐剤として用いた場合には、ランス内を通過する際に、精錬剤と流路壁(通常は鋼製)との摩擦によって火花が発生したり、酸素ガスと精錬剤の一部とが反応したりして、流路内で発熱・燃焼する虞があり、設備の安全管理上に問題がある。また、粉体の吹き込み量およびプロパンの流量が少なく、溶銑配合率の低減に十分の効果が期待できないという問題もあった。
【0007】
特許文献7に記載された方法では、ランスから湯面までの高さが10〜400mmと短く、十分な着熱量が期待できないという問題がある。また、キャリアーガスが酸素であるため、可燃性物質を吹き込むことができないという問題もある。
本発明は、上述した問題点に着目してなされたものであり、製鋼コストの上昇や炉体耐火物の損耗などを招くことなく溶鉄を精錬処理することのできる溶鉄の精錬方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、転炉の上方に配置された上吹きランスから転炉内に精錬剤を放出して溶鉄の精錬処理を行う方法であって、前記上吹きランスとして中心部に精錬剤放出路を有し、かつ該精錬剤放出路の周囲に燃料放出路、燃料燃焼用ガス流路および脱燐精錬用ガス流路が形成されたものを用い、前記燃料放出路から転炉内に燃料を前記燃料燃焼用ガス流路および前記脱燐精錬用ガス流路を流通するガスと一緒に放出するとともに、前記精錬剤放出路から転炉内に石灰系媒溶剤を含む粉状精錬剤を不活性ガスと一緒に放出することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の溶鉄の精錬方法において、前記粉状精錬剤として酸化鉄を含む粉状精錬剤を用いることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の溶鉄の精錬方法において、前記粉状精錬剤として可燃性物質を含む粉状精錬剤を用いることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載の溶鉄の精錬方法において、前記燃料燃焼用ガス流路を流通するガスの流量が前記可燃性物質の酸化または燃焼を考慮した流量であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶鉄の精錬方法において、前記上吹きランスとして精錬剤放出路、燃料放出路、燃料燃焼用ガス流路、脱燐精錬用ガス流路、冷却水内側流路および冷却水外側流路が同心円状に形成された6重管構造のものを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び5の発明によれば、転炉に炭材を投入したり、溶鉄の浴面で酸素とCOとを二次燃焼させたりする必要がないので、製鋼コストや炉体耐火物の損耗などを招くことなく溶鉄を精錬処理することができる。また、上吹きランスから精錬剤を溶銑浴面に供給する際に、上吹きランスの脱燐精錬用ガス流路とは別の流路を介して不活性ガスを搬送用ガスとして供給するので、金属や炭素分を含有する精錬剤を使用した場合であっても上吹きランスの流路内での発熱・燃焼を未然に防止することができ、また、添加する精錬剤は上吹きランスの先端下方に形成される火炎によって加熱され、この熱は精錬剤を介して溶鉄に着熱するので、溶鉄の熱余裕が向上し、溶鉄の脱燐処理を行うことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、精錬剤に含まれる酸化鉄が酸素源として機能するため、溶鉄の脱燐反応を促進することができる。
請求項3の発明によれば、精錬剤に含まれる可燃性物質の燃焼熱が溶鉄の加熱に寄与するため、溶鉄の脱燐反応を促進することができる。
請求項4の発明によれば、可燃性物質の酸化または燃焼が促進され、これにより、溶鉄の熱余裕がさらに向上し、溶鉄の脱燐処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る溶鉄の精錬方法を実施するときに用いられる転炉の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る溶鉄の精錬方法を実施するときに用いられる上吹きランスの一例を示す断面図である。
【図3】溶鉄に対して脱燐剤として作用する粉体を上吹きランスの先端部から放出させたときの粉体温度を放射温度計で測定した結果を示す図である。
【図4】溶鉄に対して脱燐剤として作用する粉体として転炉排ガス回収ダストを含むものを用いた場合と転炉排ガス回収ダストを含まないものとを用いた場合の溶銑配合の減少率について調査した結果を示す図である。
【図5】本発明に係る溶鉄の精錬方法を実施するときに用いられる上吹きランスの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明に係る溶鉄の精錬方法について説明する。
図1は本発明に係る溶鉄の精錬方法を実施するときに用いられる転炉の一例を示す図、図2は図1に示す上吹きランス5の構造を示す図である。図1に示される転炉は溶銑と鉄スクラップとからなる溶鉄1を精錬するためのものであって、炉本体2、攪拌用ガス供給管4、上吹きランス5、燃料供給管6、燃料燃焼用ガス供給管7、脱燐精錬用ガス供給管8、粉状精錬剤供給管9、冷却水給水管10および冷却水排水管11を備えている。
【0014】
炉本体2は溶鉄1を貯溜するものであって、ルツボ状に形成された鋼製容器の内面に耐火物を内張りして形成されている。また、炉本体2は複数の底吹き羽口3を有し、これらの底吹き羽口3は炉本体2の底部に配置されている。
攪拌用ガス供給管4は炉本体2の底吹き羽口3に攪拌用ガスを供給するものであって、炉本体2に貯溜された溶鉄1は攪拌用ガス供給管4から底吹き羽口3に供給された攪拌用ガスによって攪拌されるようになっている。
【0015】
上吹きランス5は、図2に示すように、円筒状のランス本体14と、このランス本体14の下端に溶接などにより接続された銅鋳物製のランスチップ15とで構成されており、ランス本体14は、最内管20、仕切り管21、内管22、中管23、外管24、最外管25の同心円形状の6種の鋼管、即ち6重管で構成されている。
粉状精錬剤供給管9は最内管20に連通し、燃料供給管6は仕切り管21に連通し、燃料燃焼用ガス供給管7は内管22に連通し、脱燐精錬用ガス供給管8は中管23に連通している。そして、冷却水給水管10及び冷却水排水管11はそれぞれ外管24または最外管25の何れか一方に連通しており、従って、精錬剤が搬送用ガスと共に最内管20の内部を通り、プロパンガスや重油などの燃料が最内管20と仕切り管21との間隙を通り、燃料燃焼用ガスが仕切り管21と内管22との間隙を通り、酸素ガス等の脱燐精錬用ガスが内管22と中管23との間隙を通る。中管23と外管24との間隙及び外管24と最外管25との間隙は冷却水内側流路55及び冷却水外側流路56となり、これらの流路55,56の何れかが冷却水の給水または排水流路となっている。中管23と外管24との間隙及び外管24と最外管25との間隙のうちの一方が給水流路で、他方が排水流路であり、どちらかを給水流路としても構わない。冷却水は、ランスチップ15の位置で反転するように構成されている。
【0016】
最内管20の内部は、ランスチップ15のほぼ軸心位置に配置された中心孔16と連通し、最内管20と仕切り管21との間隙は、中心孔16の周囲に円環状のノズルまたは同心円状の複数個のノズル孔として開口する燃料噴射孔17と連通し、仕切り管21と内管22との間隙は、燃料噴射孔17の周囲に円環状のノズルまたは同心円状の複数個のノズル孔として開口する燃料燃焼用ガス噴射孔18と連通し、そして、内管22と中管23との間隙は、燃料噴射孔17の周辺に複数個設置された周囲孔19と連通している。中心孔16は精錬剤を搬送用ガスと共に吹き付けるためのノズル、燃料燃焼用ガス噴射孔18は燃料を燃焼する酸化性ガスを噴射するためのノズル、周囲孔19は脱燐精錬用の酸化性ガスを吹き付けるためのノズルである。
【0017】
つまり、最内管20の内部が精錬剤放出路51となり、最内管20と仕切り管21との間隙が燃料放出路52となり、仕切り管21と内管22との間隙が燃料燃焼用ガス流路53となり、内管22と中管23との間隙が脱燐精錬用ガス流路54となっている。尚、図2において、中心孔16及び周囲孔19は、その断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体で構成されるラバールノズルの形状を採っているが、それぞれストレート形状であってもよい。燃料噴射孔17及び燃料燃焼用ガス噴射孔18は円環状に開口するストレート型のノズル、または横断面が円形のストレート形状のノズルである。
【0018】
また、中心孔16、燃料噴射孔17及び燃料燃焼用ガス噴射孔18は、ランスチップ15の先端中央部に形成された円形の凹部26内に開口している。これにより、燃料噴射孔17から噴出する燃料は、燃料燃焼用ガス噴射孔18から噴出する酸素ガス等の燃料燃焼用ガスと凹部26内で混合し合い、転炉内の雰囲気温度が高いこともあって、点火装置がなくても燃焼限界範囲内に燃料濃度が達した時点で燃焼するため、上吹きランス5の下方に火炎を形成することができる。
【0019】
このような転炉設備を用い、溶鉄1に対して以下に示すように脱燐処理を実施する。
先ず、炉本体2の内部へ冷鉄源を装入する。使用する冷鉄源としては、製鉄所で発生する鋳片及び鋼板のクロップ屑や市中屑などの鉄スクラップ、磁力選別によってスラグから回収した地金、更には、冷銑、還元鉄などを使用することができる。冷鉄源の装入完了に前後して、攪拌用ガスの底吹き羽口3からの吹き込みを開始する。
【0020】
冷鉄源の炉本体2への装入後、溶銑を炉本体2へ装入する。用いる溶銑としてはどのような組成であっても処理することができ、脱燐処理の前に脱硫処理や脱珪処理が施されていてもよい。因みに、脱燐処理前の溶銑の主な化学成分は、炭素:3.8〜5.0質量%、珪素:0.3質量%以下、燐:0.08〜0.2質量%、硫黄:0.05質量%以下程度である。但し、脱燐処理時に炉本体2で生成されるスラグ(図示せず)の量が多くなると脱燐効率が低下するので、前述したように、炉内でのスラグ発生量を少なくして脱燐効率を高めるために、脱珪処理により、溶銑中の珪素濃度を0.20質量%以下、望ましくは0.10質量%以下まで予め低減しておくことが好ましい。また、溶銑温度は1200〜1450℃の範囲であれば問題なく脱燐処理することができる。
【0021】
次いで、粉状精錬剤供給管9から精錬剤放出路51に供給された粉体状の精錬剤を上吹きランス5の中心孔16から不活性ガスと共に溶鉄1の浴面に向けて吹き付ける。精錬剤の吹き付けと同時に、上吹きランス5の燃料噴射孔17から溶鉄1の浴面に向けて燃料を噴射すると共に燃料燃焼用ガス噴射孔18から酸素ガスなどの燃料燃焼用ガスを噴射する。燃料噴射孔17から供給される燃料と、燃料燃焼用ガス噴射孔18から噴射される燃料燃焼用ガスとは、上吹きランス半径方向の全方位で近接しているので、ランスチップ15の先端中央部に形成された凹部26内で混合し合い、雰囲気温度が高いこともあって、点火装置がなくても燃焼限界範囲内にガス濃度が達した時点で燃焼し、上吹きランス5の下方に火炎が形成される。
【0022】
上吹きランス5の中心孔16から溶鉄1の浴面に向けて放出した精錬剤は、形成される火炎の熱を受けて加熱または加熱・溶融し、加熱または加熱・溶融した状態で溶鉄1の浴面に吹き付けられる。その際に、上吹きランス5の周囲孔19から、酸素ガスなどの脱燐精錬用ガスを溶鉄1の浴面に向けて吹き付ける。
溶鉄1の脱燐反応は、溶銑中の燐が脱燐精錬用ガスまたは酸化鉄と反応して燐酸化物(P25)を形成し、この燐酸化物が石灰系媒溶剤の滓化によって形成されるスラグに吸収されることで進行する。しかも、石灰系媒溶剤の滓化が促進されるほど脱燐速度が速くなる。従って、精錬剤としては、生石灰(CaO)、石灰石(CaCO3)などの石灰系媒溶剤を使用することが好ましい。生石灰に蛍石またはアルミナ(Al23)を滓化促進剤として混合したものを石灰系媒溶剤として使用することもできる。
【0023】
精錬剤として溶銑浴面に吹き付けられた石灰系媒溶剤は直ちに滓化してスラグを形成し、また、供給された脱燐精錬用ガスと溶銑中の燐とが反応して燐酸化物が形成される。攪拌用ガスによって溶鉄1とスラグとが強攪拌されることも相まって、形成した燐酸化物が滓化したスラグに迅速に吸収されて、溶鉄1の脱燐反応が速やかに進行する。石灰系媒溶剤の添加量の調整は、中心孔16からの速度制御でも良いし、炉上ホッパーから別途上置き投入しても良い。
【0024】
精錬剤として、鉄鉱石やミルスケールなどの酸化鉄を含むものを使用した場合には、酸化鉄は酸素源として機能し、溶鋼中の燐と反応して脱燐反応が進行する。また、酸化鉄が石灰系媒溶剤と反応して石灰系媒溶剤の表面にFeO−CaOの化合物が形成され、石灰系媒溶剤の滓化が促進され、脱燐反応が促進される。精錬剤として転炉排ガスダストや高炉ダストなどの可燃性物質を含有するものを使用した場合には、可燃性物質が火炎により燃焼し、上記に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶鉄1の加熱に寄与する。但し、精錬剤として酸化鉄を添加した場合は、溶鉄1の温度が低下するので、冷鉄源の添加量に影響しないように、酸化鉄の添加量を考慮する必要がある。
【0025】
また、精錬剤として、廃プラスチックやコークスなどの可燃性物質を使用した場合には、可燃性物質が火炎により燃焼し、燃焼の燃焼熱に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶鉄1の加熱に寄与する。精錬剤として、酸化鉄、石灰系媒溶剤及び可燃性物質を混合したものを使用する場合には、それぞれの効果を並行して得ることができる。なお、可燃性物質としては、燃焼性が良好である転炉排ガスダスト等の鉄系金属粉を含むものが好ましい。
【0026】
また、精錬剤は加熱または加熱・溶融しており、その熱が溶鉄1に伝達し、上吹きランス5から溶鉄1への全ての供給を停止して脱燐処理を終了する。そして溶鉄1の脱燐処理が終了したならば、炉本体2を傾動させて予備脱燐処理の施された溶鉄1を、出湯口を介して、取鍋、転炉装入鍋などの溶銑保持容器に出湯し、別の転炉設備(図示せず)の炉本体に装入し、溶鉄1に対して脱炭処理を実施しても良いし、同一転炉で引き続き脱炭処理を行っても良い。ただし、この場合には脱燐処理後のスラグを除去することが好ましい。
上述のように、上吹きランス5の中心部に形成された精錬剤放出路51に粉状精錬剤を不活性ガスと共に供給すると、精錬剤放出路51に供給された粉状精錬剤は不活性ガスと共に上吹きランス5の先端中心部(中心孔16)から転炉内の溶銑浴面に向けて放出される。
【0027】
このように、上吹きランス5から酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上からなる精錬剤を溶銑浴面に供給する際に、上吹きランス5の脱燐精錬用ガス流路54とは別の流路を介して不活性ガスを搬送用ガスとして供給するので、金属や炭素分を含有する精錬剤を使用した場合であっても上吹きランス5の流路内での発熱・燃焼を未然に防止することができ、また、添加する精錬剤は上吹きランス5の先端下方に形成される火炎によって加熱され、この熱は精錬剤を介して溶鉄に着熱するので、溶鉄の熱余裕が向上し、溶鉄の脱燐処理を行うことができる。また、前述した先行技術のように、転炉に炭材を投入したり、溶鉄の浴面で酸素とCOとを二次燃焼させたりする必要がないので、製鋼コストや炉体耐火物の損耗などを招くことなく溶鉄1の精錬処理することができる。
【実施例】
【0028】
本発明者らは、本発明の効果を確認するため、炉容量が2.5トンの上底吹き転炉(以下、「脱燐炉」という)を用い、この脱燐炉に温度が1350℃の溶銑と鉄スクラップを装入して溶鉄の脱燐処理を表1に示す条件1〜3で行った。
【0029】
【表1】

【0030】
ここで、表1の条件1は上吹きランスとして特許文献4に記載された5重管構造のものを用いると共に粉状精錬剤として生石灰粉のみを用い、これを上吹きランス先端の周囲孔から溶銑浴面に脱燐精錬用ガスと共に10kg/minの供給量で供給して溶鉄の脱燐処理を行った場合である。
【0031】
また、表1の条件2は上吹きランスとして図2に示す6重管構造のものを用いると共に粉状精錬剤として87質量%の石灰粉と13質量%の転炉排ガスダスト(以下「OGダスト」という)を用い、これらの混合粉を上吹きランス先端の中心孔から溶銑浴面に不活性ガスと共に10kg/minの供給量で供給して溶鉄の脱燐処理を行った場合である。そして、表1の条件3は上吹きランスとして図2に示す6重管構造のものを用いると共に粉状精錬剤として74質量%の石灰粉と26質量%のOGダストとを用い、これらの混合粉を上吹きランス先端の中心孔から溶銑浴面に不活性ガスと共に10kg/minの供給量で供給して溶鉄の脱燐処理を行った場合である。
なお、鉄スクラップの装入量は予備脱燐処理終了時の溶銑温度が1400℃となるように調整し、生石灰は炉内のスラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が2.5となるようにその添加量を調整した。
【0032】
本発明者らは、溶鉄の脱燐処理を表1に示す条件1〜3で行ったときに上吹きランスから溶銑浴面に供給される粉状精錬剤の温度を放射温度計で測定した。その測定結果を図3に示す。なお、図3に示す比較例1は溶鉄の脱燐処理を表1の条件1で行ったときの放射温度計の測定値を示している。また、図3に示す実施例1は溶鉄の脱燐処理を表1の条件2で行ったときの放射温度計の測定値を示し、図3に示す実施例2は溶鉄の脱燐処理を表1の条件3で行ったときの放射温度計の測定値を示している。
【0033】
図3の比較例1と実施例1とを比較すると、上吹きランスとして5重管構造のものを用いた比較例1では、上吹きランスから溶銑浴面に供給される粉状精錬剤の温度が1550℃であった。これに対し、上吹きランスとして6重管構造のものを用いた実施例1では、上吹きランスから溶銑浴面に供給される粉状精錬剤の温度が比較例1よりも100℃以上高い温度(例えば1721℃)となった。
【0034】
また、図3の実施例1と実施例2を比較すると、粉状精錬剤として87質量%の生石灰粉と13質量%のOGダストとからなる混合粉を用いた実施例1では、上吹きランスから溶銑浴面に供給される粉状精錬剤の温度が1721℃であった。一方、粉状精錬剤として74質量%の生石灰粉と26質量%のOGダストとからなる混合粉を用いた実施例2では、上吹きランスから溶銑浴面に供給される粉状精錬剤の温度が実施例1よりも100℃以上高い温度(例えば1896℃)となった。
なお、実施例1及び実施例2では、上吹きランスとして図2に示す中心孔16のスロート径が11.5mm、燃料噴射孔17のスリット間隙が1.0mm、燃料燃焼用ガス噴射孔18のスリット間隙が1.85mm、周囲孔19のスロート径が7.0mm、周囲孔19の中心軸がランス中心軸に対して15°の角度で傾斜しているものを使用した。
【0035】
実施例1及び実施例2のように、溶鉄の脱燐処理を行う際に上吹きランスとして図2に示した6重管構造のものを使用し、この上吹きランス5の中心部に形成された粉状精錬剤供給路51に粉状精錬剤を不活性ガスと共に供給し、粉状精錬剤供給路51に供給された粉状精錬剤を不活性ガスと共に上吹きランス5の先端中心部から転炉内に放出することで、粉状精錬剤が精錬剤放出路51内で燃焼してしまうことを不活性ガスによって抑えることができる。従って、粉状精錬剤として純鉄等を含む可燃性の粉体を用いて溶鉄1の脱燐処理を行うことができる。
【0036】
また、実施例1,2のように、上吹きランス5の精錬剤放出路51に不活性ガスと共に供給される粉状精錬剤として生石灰粉とOGダストとの混合粉を用いる場合には、OGダスト中に70質量%程度の純鉄成分を含んでいるため、純鉄成分を含まない粉状精錬剤を用いた場合と比較して、上吹きランス5の先端部で加熱される粉状精錬剤の温度を高めることできる。これにより、上吹きランス5の先端部で燃焼する燃料の燃焼熱によって粉状精錬剤をより高温に加熱して粉状精錬剤への着熱効果を高めることができ、その結果、溶鉄1に対する粉体の加熱作用を高めて溶鉄1を精錬処理することができる。また、OGダストの有効活用も図ることができる。
【0037】
次に、本発明者らは、容量が250トン規模の上底吹き転炉を用い、脱燐炉、脱炭炉共上吹きランスとして図2に示す中心孔のスロート径が40mm、燃料噴射孔17のスリット間隙が6.0mm、燃料燃焼用ガス噴射孔18のスリット間隙が16.0mm、周囲孔19のスロート径が50mm、周囲孔19の中心軸がランス軸に対して15°の角度で傾斜しているものを使用し、表2〜4に示す条件で溶鉄の精錬処理を行った場合の溶銑配合の減少率について調査した。その調査結果を図4に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

【0041】
図4に示す実施例3は上吹きランス5の精錬剤放出路51に供給される粉状精錬剤として、CaO(石灰):35質量%、焼結鉱粉:54質量%、転炉スラグ:11質量%のものを用いた場合であり、この場合には溶銑配合率の減少分が約6%強であった。
図4に示す実施例4は上吹きランス5の精錬剤放出路51に供給される粉状精錬剤として、OGダスト:13質量%、CaO(石灰):35質量%、焼結鉱粉:41質量%、転炉スラグ:11質量%のものを用いた場合であり、この場合には溶銑配合率の減少分が約8%強であった。
図4に示す実施例5は上吹きランス5の精錬剤放出路51に供給される粉状精錬剤として、OGダスト:26質量%、CaO(石灰):35質量%、焼結鉱粉:28質量%、転炉スラグ:11質量%のものを用いた場合であり、この場合には溶銑配合率の減少分が約10%強であった。
【0042】
このことから、上吹きランス5の精錬剤放出路51に供給される粉状精錬剤として、OGダストを含む粉状精錬剤を用いることで、OGダストは70質量%程度の純鉄成分を含んでいるため、OGダストを含まないものを用いた場合と比較して、上吹きランス5の先端部で加熱される粉状精錬剤の温度を高めることでき、その結果、鉄スクラップの投入量を増やして溶銑の配合率を低減することができる。
【0043】
上述した実施例1〜5では、上吹きランス5の精錬剤放出路51に供給される粉状精錬剤としてOGダストを含む粉体を例示したが、これに限られるものではなく、上吹きランス5の精錬剤放出路51に供給される粉状精錬剤として、高炉ダストや製鋼スラグなどのように、鉄系金属粉を含有する可燃性物質を含む粉状精錬剤を用いても同様の効果を得ることができる。
【0044】
次に、本発明者らは、溶鉄と鉄スクラップが装入される転炉として炉容量が2.5トンの上底吹き転炉を使用すると共に上吹きランスとして図2に示す6重管構造のものを使用し、上底吹き転炉に溶鉄と鉄スクラップを装入して溶鉄の脱燐吹錬を表5に示す条件で行った。なお、溶鉄としては温度と化学組成が表6に示されるものを使用し、鉄スクラップの装入量は脱燐処理終了温度が1400℃となる装入量に調整した。
【0045】
【表5】

【0046】
【表6】

【0047】
表5に示す実施例6では、鉄スクラップと共に転炉に装入された溶鉄の浴面に向けて精錬剤を上吹きランスから放出して溶鉄の脱燐処理を行うに際して、上吹きランスとして図2に示す6重管構造のものを用いると共に、精錬剤として生石灰と鉄鉱石およびOGダストとからなる粉状精錬剤を用い、この粉状精錬剤を不活性ガスと共に上吹きランス5の精錬剤放出路51に供給して溶鉄の脱燐吹錬を行った。
【0048】
また、実施例6では、生石灰の供給量を5.0kg/min、鉄鉱石の供給量を1.7kg/min、OGダストの供給量を1.3kg/minにすると共に、上吹きランス5の燃料供給路52を流通するプロパンガス流量を0.16Nm3/min、上吹きランス5の燃料燃焼用ガス流路53を流通する燃焼用酸素ガス流量を1.0Nm3/min、上吹きランス5の脱燐精錬用ガス流路54を流通する吹錬用酸素ガス流量を5.0Nm3/min、ランス高さを0.5m、転炉の底吹き羽口3から吹き込まれるアルゴンガス流量を0.25Nm3/minに設定して溶鉄の脱燐吹錬を行った。
表5に示す実施例7では、上吹きランスとして図2に示す6重管構造のものを用いると共に、精錬剤として生石灰と鉄鉱石とからなる粉状精錬剤を用い、この粉状精錬剤を不活性ガスと共に上吹きランス5の精錬剤放出路51に供給して溶鉄の脱燐吹錬を行った。
【0049】
また、実施例7では、生石灰の供給量を5.0kg/min、鉄鉱石の供給量を3.1kg/minにすると共に、プロパンガス流量を0.16Nm3/min、燃焼用酸素ガス流量を0.8Nm3/min、吹錬用酸素ガス流量を5.0Nm3/min、ランス高さを0.5m、アルゴンガス流量を0.25Nm3/minに設定して溶鉄の脱燐吹錬を行った。
表5に示す実施例8では、上吹きランスとして図2に示す6重管構造のものを用いると共に、精錬剤として生石灰と鉄鉱石およびOGダストとからなる粉状精錬剤を用い、この粉状精錬剤を不活性ガスと共に上吹きランス5の精錬剤放出路51に供給して溶鉄の脱燐吹錬を行った。
【0050】
また、実施例8では、生石灰の供給量を5.0kg/min、鉄鉱石の供給量を1.7kg/min、OGダストの供給量を1.3kg/minにすると共に、プロパンガス流量を0.16Nm3/min、燃焼用酸素ガス流量を0.8Nm3/min、吹錬用酸素ガス流量を5.0Nm3/min、ランス高さを0.5m、アルゴンガス流量を0.25Nm3/minに設定して溶鉄の脱燐吹錬を行った。
なお、生石灰としては炉内スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が2.5となる添加量に調整したものを使用し、OGダストとしては化学組成が表7に示されるものを使用した。
【0051】
また、上吹きランスとしては、図2に示す中心孔16のスロート径が11.5mm、燃料噴射孔17のスリット間隙が1.0mm、燃料燃焼用ガス噴射孔18のスリット間隙が1.85mm、周囲孔19のスロート径が7.0mm、周囲孔19の中心軸がランス中心軸に対して15°の角度で傾斜しているものを使用した。
【0052】
【表7】

上記の条件で溶鉄の脱燐処理を実施したときの脱燐吹錬結果を表8に示す。
【0053】
【表8】

【0054】
表8から明らかなように、実施例6と実施例7とを比較すると、実施例7よりも実施例6のほうが鉄スクラップの配合比を多くできることがわかる。これは、実施例6のように、上吹きランスから転炉内の溶鉄に放出される精錬剤として、生石灰と鉄鉱石およびOGダストを含む粉状精錬剤を用いることで、OGダストに含まれる金属鉄(M−Fe)の酸化反応熱により溶鉄の脱燐を促進させる熱源として機能するためである。
【0055】
また、実施例6と実施例8とを比較すると、実施例8よりも実施例6のほうが鉄スクラップの配合比を多くできることがわかる。これは、実施例6のように、燃焼用酸素ガスの流量をOGダストに含まれる金属鉄(M.Fe)の酸化を考慮した流量とすることで、OGダストに含まれる金属鉄がプロパンガスの燃焼火炎中で酸化し、熱源および熱媒体として機能するためである。
【0056】
次に、本発明者らは、表9に示す4つの条件で溶鉄の脱燐処理を実施し、上吹きランスの燃料放出路から転炉内に放出された燃料の燃焼排ガス温度を熱電対により測定すると共に、上吹きランスの精錬剤放出路から転炉内に放出された粉状精錬剤の温度を放射温度計により測定した。その測定結果を表10に示す。
【0057】
【表9】

【0058】
【表10】

【0059】
表10に示す実施例9及び実施例10は、先端中央部に凹部26が形成されている上吹きランス5(図2参照)の燃料放出路52から転炉内に燃料を燃料燃焼用ガス流路53および脱燐精錬用ガス流路54を流通するガスと一緒に放出すると共に、精錬剤放出路51から転炉内に粉状精錬剤を不活性ガスと一緒に放出した場合を示している。
【0060】
また、表10に示す実施例11及び実施例12は、先端中央部に凹部26が形成されていない上吹きランス5(図5参照)の燃料放出路52から転炉内に燃料を燃料燃焼用ガス流路53および脱燐精錬用ガス流路54を流通するガスと一緒に放出すると共に、精錬剤放出路51から転炉内に粉状精錬剤を不活性ガスと一緒に放出した場合を示している。
さらに、表10に示す比較例2は鉄鉱石粉や石灰系煤溶剤粉などの粉状精錬剤を精錬剤放出路51から放出せずに、燃料や燃料燃焼用ガスのみを転炉内に放出した場合を示している。
【0061】
なお、精錬剤放出路51から転炉内に放出される粉状精錬剤として、実施例9及び実施例11では粒径:0.15〜2.0mm、Fe23:80〜83質量%、CaO:12〜15質量%、SiO2:5質量%の鉄鉱石粉を使用し、実施例10及び実施例12ではFe23:50〜55質量%、FeO:30〜35質量%、金属Fe:15質量%のOGダストを使用した。
実施例9と実施例11とを比較すると、精錬剤放出路51から転炉内に放出される粉状精錬剤の種類が共に鉄鉱石粉であるにもかかわらず、精錬剤放出路51から転炉内に放出された鉄鉱石粉の温度は、表10に示すように、実施例11よりも実施例9のほうが高い値となった。
【0062】
また、実施例10と実施例12とを比較すると、精錬剤放出路51から転炉内に放出される粉状精錬剤の種類が共にOGダストであるにもかかわらず、精錬剤放出路51から転炉内に放出されたOGダストの温度は、表10に示すように、実施例12よりも実施例10のほうが高い値となった。
このことから、転炉の上方に配置される上吹きランスとして、先端中央部に凹部26が形成されているものを用いると燃料放出路52から放出された燃料が燃料燃焼用ガス流路53から流出した燃料燃焼用ガスと凹部26内で混合し合うことによって燃料の燃焼時に発生する熱量が高くなり、これにより、精錬剤放出路51から放出された粉状精錬剤をより高い温度に加熱できることがわかる。
【符号の説明】
【0063】
1…溶鉄
2…炉体
3…底吹き羽口
4…攪拌用ガス供給管
5…上吹きランス
6…燃料供給管
7…燃料燃焼用ガス供給管
8…脱燐精錬用ガス供給管
9…精錬剤供給管
10…冷却水給水管
11…冷却水排水管
14…ランス本体
15…ランスチップ
16…ランスチップの中心孔
17…ランスチップの燃料噴射孔
18…ランスチップの燃料燃焼用ガス噴射孔
19…ランスチップの周囲孔
20…ランス本体の最内管
21…ランス本体の仕切り管
22…ランス本体の内管
23…ランス本体の中管
24…ランス本体の外管
25…ランス本体の最外管
51…精錬剤放出路
52…燃料放出路
53…燃料燃焼用ガス流路
54…脱燐精錬用ガス流路
55…冷却水内側流路
56…冷却水外側流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転炉の上方に配置された上吹きランスから転炉内に精錬剤を放出して溶鉄の精錬処理を行う方法であって、
前記上吹きランスとして中心部に精錬剤放出路を有し、かつ該精錬剤放出路の周囲に燃料放出路、燃料燃焼用ガス流路および脱燐精錬用ガス流路が形成されたものを用い、
前記燃料放出路から転炉内に燃料を前記燃料燃焼用ガス流路および前記脱燐精錬用ガス流路を流通するガスと一緒に放出するとともに、前記精錬剤放出路から転炉内に石灰系媒溶剤を含む粉状精錬剤を不活性ガスと一緒に放出することを特徴とする溶鉄の精錬方法。
【請求項2】
前記粉状精錬剤として酸化鉄を含む粉状精錬剤を用いることを特徴とする請求項1に記載の溶鉄の精錬方法。
【請求項3】
前記粉状精錬剤として可燃性物質を含む粉状精錬剤を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の溶鉄の精錬方法。
【請求項4】
前記燃料燃焼用ガス流路を流通するガスの流量が前記可燃性物質の酸化または燃焼を考慮した流量であることを特徴とする請求項3に記載の溶鉄の精錬方法。
【請求項5】
前記上吹きランスとして精錬剤放出路、燃料放出路、燃料燃焼用ガス流路、脱燐精錬用ガス流路、冷却水内側流路および冷却水外側流路が同心円状に形成された6重管構造のものを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶鉄の精錬方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−47373(P2013−47373A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87897(P2012−87897)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】