説明

演算装置、演算方法、演算プログラム及び顕微鏡

【課題】本発明は、被写体像の取得効率を向上させる。
【解決手段】本発明は、基準像SGの相関算出領域SCRが分割された分割領域SDRの代表点RPに検索範囲Dを設定して相関及び視差を算出し、該代表点RPの視差に基づいて分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対して代表点RPに設定した検索範囲Dより狭い検索範囲D1〜D4のいずれかを設定して相関及び視差を算出するようにしたことにより、基準像SGの各画素に対する比較像CGの相関及び視差を算出する演算回数を大幅に削減することができるので、組織切片TSの凹凸情報を高速に算出することができ、かくして被写体像の取得効率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は演算装置、演算方法、演算プログラム及び顕微鏡に関し、例えば生体サンプルを拡大して観察する分野に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
病理診では、組織切片などの生体サンプルはスライドガラスに固定され、染色過程及び封入過程を経てプレパラートとして作製される。一般に、プレパラートの保管期間が長期間となると、生体サンプルの劣化や退色等によりプレパラートに対する顕微鏡での視認性が悪くなる。また、プレパラートはそれを作製した病院等の施設以外の施設で鏡検されることもあるが、該プレパラートの受け渡しは一般に郵送であり、一定の時間を要する。
【0003】
このような実情等に鑑み、生体サンプルを画像データとして保存する装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−175334公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで生体サンプルを画像データとして取得する際、該生体サンプルに光学レンズの焦点を合わせるために、光学レンズの光軸方向における生体サンプルの位置を把握する必要がある。
【0006】
従来では、光学レンズの光軸方向へ所定間隔ごとに光学レンズの焦点をずらし、これら焦点での撮像画像のコントラストに基づいて生体サンプルの位置を検出する。例えば、光学レンズの光軸方向への検索範囲が100[μm]であり、該生体サンプルに集光する光学レンズの被写体深度が1[μm]である場合、おおよそ100枚の撮像画像から生体サンプルの位置を検出することになる。
【0007】
これでは、生体サンプルの位置を検出するまでに相当の時間が必要となり、生体サンプルを画像データとして取得する効率が著しく低下することになる。
【0008】
一方、物体の位置を検出する方法としてステレオカメラを用いる方法もある。一般的なステレオカメラは、2つのカメラにより被写体像をそれぞれ取得し、基準となる一方の像の画素と他方の像における所定の検索範囲の画素との相関を求め、該相関が最も高い画素とのずれ量(視差)に基づいて、被写体の位置を算出する。
【0009】
ここでステレオカメラは、不連続に配置された物体の位置を検出するため、基準となる一方の像の各画素に対する比較像の検索範囲が全て同一に設定されている。
【0010】
従って、この方法を用いて生体サンプルの位置を検出することも考えられるが、この方法を用いても、相関を求めるのに相当の時間が必要となり、生体サンプルを画像データとして取得する効率が著しく低下することになる。
【0011】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、被写体像の取得効率を向上させ得る厚み演算装置、演算方法、演算プログラム及び顕微鏡を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するため本発明においては、演算装置であって、サンプルの位相差像を取得する像取得部と、位相差像における一方の像に設定された代表とすべき画素及び代表とすべき画素以外の画素に対して、位相差像における他方の像での検索対象とすべき画素の範囲を設定する検索範囲設定部と、一方の像の各画素と、該各画素に対して設定された範囲の画素との相関を算出する相関算出部と、算出された相関を基に、一方の像の各画素に対する視差を算出する視差算出部とを有し、検索範囲設定部は、代表とすべき画素に対して算出された視差に基づいて、代表とすべき画素以外の画素に対して、代表とすべき画素に対して設定された範囲より狭い範囲を設定する。
【0013】
また本発明においては、演算方法であって、サンプルの位相差像を取得する像取得ステップと、位相差像における一方の像の代表とすべき画素及び代表とすべき画素以外の画素に対して、位相差像における他方の像の検索対象とすべき画素の範囲を設定する検索範囲設定ステップと、一方の像の画素と、該画素に対して設定された範囲の画素との相関を算出する相関算出ステップと、算出された相関を基に、一方の像の画素に対する視差を算出する視差算出ステップとを有し、検索範囲設定ステップでは、代表とすべき画素に対して算出された視差に基づいて、代表とすべき画素以外の画素に対して、代表とすべき画素に対して設定された範囲より狭い範囲を設定する。
【0014】
さらに本発明においては、演算プログラムであって、コンピュータに対して、サンプルの位相差像を取得する像取得ステップと、位相差像における一方の像の代表とすべき画素及び代表とすべき画素以外の画素に対して、位相差像における他方の像の検索対象とすべき画素の範囲を設定する検索範囲設定ステップと、一方の像の画素と、該画素に対して設定された範囲の画素との相関を算出する相関算出ステップと、算出された相関を基に、一方の像の画素に対する視差を算出する視差算出ステップとを実行させ、検索範囲設定ステップでは、代表とすべき画素に対して算出された視差に基づいて、代表とすべき画素以外の画素に対して、代表とすべき画素に対して設定された範囲より狭い範囲を設定する。
【0015】
さらに本発明においては、顕微鏡であって、対物レンズから入射する光を直進又は反射させるミラーと、対物レンズに結像され、ミラーの直進側又は反射側の一方に投影される被写体像を撮像するための第1の撮像素子と、ミラーの直進側又は反射側の他方の後方に一対を単位として設けられ、対物レンズの被写体深度よりも広い被写体深度となる大きさとされる開口と、開口の後方にそれぞれ設けられ、ハーフミラーの透過側又は反射側の他方に投影される被写体像の予定結像面に対して位相差像を形成するためのセパレータレンズと、予定結像面を撮像面として設けられる第2の撮像素子と、第2の撮像素子から、サンプルの位相差像を取得する像取得部と、位相差像における一方の像の代表とすべき画素及び代表とすべき画素以外の画素に対して、位相差像における他方の像の検索対象とすべき画素の範囲を設定する検索範囲設定部と、一方の像の画素と、該画素に対して設定された範囲の画素との相関を算出する相関算出部と、算出された相関を基に、一方の像の画素に対する視差を算出する視差算出部とを有し、検索範囲設定部は、代表とすべき画素に対して算出された視差に基づいて、代表とすべき画素以外の画素に対して、代表とすべき画素に対して設定された範囲より狭い範囲を設定する。
【0016】
これにより、代表とすべき画素に対する相関を広い範囲で検索して視差を求め、その視差に基づいて代表とすべき画素以外の画素に対する相関を狭い範囲で検索して視差を求めるようにしたので、演算回数を大幅に削減することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、代表とすべき画素に対する相関を広い範囲で検索して視差を求め、その視差に基づいて代表とすべき画素以外の画素に対する相関を狭い範囲で検索して視差を求めるようにしたので、演算回数を大幅に削減することができ、かくして被写体像の取得効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】顕微鏡の構成を示す概略図である。
【図2】組織切片の撮影対象像と位相差像を示す写真である。
【図3】統括制御部の機能的構成を示す概略図である。
【図4】代表点に対する検索範囲の設定の説明に供する概略図である。
【図5】代表点以外の画素に対する検索範囲の設定の説明に供する概略図である。
【図6】組織切片の厚みに応じた相関分布を示す概略図である。
【図7】演算処理手順を示すフローチャートである。
【図8】一般的なステレオカメラの構成を示す概略図である。
【図9】他の実施の形態における分割例の説明に供する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下の順序とする。
<1.実施の形態>
<2.他の実施の形態>
【0020】
<1.実施の形態>
[1−1.顕微鏡の構成]
図1において、本一実施の形態による顕微鏡1を示す。この顕微鏡1は、プレパラートPRTが配される板状のステージ11を有する。
【0021】
プレパラートPRTは、血液等の結合組織、上皮組織又はそれらの双方の組織などの組織切片TSを、所定の固定手法によりスライドガラスに固定し封入したものであり、該組織切片TSには必要に応じて染色が施される。この染色には、HE(ヘマトキシリン・エオジン)染色、ギムザ染色又はパパニコロウ染色等に代表される一般染色と呼ばれる染色のみならず、FISH(Fluorescence In-Situ Hybridization)や酵素抗体法等の特殊染色と呼ばれる染色が含まれる。
【0022】
ステージ11にはステージ駆動機構12が設けられる。このステージ駆動機構12は、ステージ面に対して平行となる方向(X軸−Y軸方向)と、直交する方向(Z軸方向)にステージ11を駆動するものとされる。ちなみに、プレパラートPRTが配される側のステージ面(以下、これをプレパラート配置面とも呼ぶ)には、一般に、プレパラートPRTを定位置に抑止する抑止部(図示せず)が設けられる。
【0023】
ステージ11のプレパラート配置面とは逆の面側には光源13が配される。光源13は、一般染色が施された組織切片TSを照明する光(以下、これを明視野照明光とも呼ぶ)と、特殊染色が施された組織切片TSを照明する光(以下、これを暗視野照明光とも呼ぶ)とを切り換えて照射可能なものとされる。ただし、明視野照明光又は暗視野照射光のいずれか一方だけが照射可能なものであってもよい。光源13とステージ11との間には、プレパラート配置面における基準位置の法線を光軸とするコンデンサレンズ14が配される。
【0024】
ステージ11のプレパラート配置面側には、ステージ面における基準位置の法線を光軸とする所定倍率の対物レンズ15が配される。この対物レンズ15の後方には、該対物レンズ15の主結像面となる面を撮像面とする撮像素子16が配される。
【0025】
また顕微鏡1には、プレパラート配置面側における基準位置の法線上の対物レンズ15と撮像素子16との間にハーフミラー17が設けられる。ハーフミラー17は、対物レンズ15から入射する光を透過光と反射光とに分割する。
【0026】
フィールドレンズ18は、ハーフミラー17の例えば反射側に投影される対物レンズ15の被写体像を後方(予定される結像面)にリレーする。このフィールドレンズ18では、ハーフミラー17で反射される被写体光が集められるため、視野周辺における明度の低下が抑制される。
【0027】
絞りマスク19は、フィールドレンズ18の後方に配され、該フィールドレンズ18の光軸と直交する面のうちその光軸を境界として対称となる位置に一対の開口19A、19Bを有する。これら開口19A、19Bの大きさは、対物レンズ15の被写体深度よりもセパレータレンズ20A、20Bの被写体深度が広くなるよう調整される。
【0028】
絞りマスク19は、これら開口19A、19Bによって、フィールドレンズ18から入射する被写体光束を分割する。分割光束は、被写体光束の結像面で交差し、該結像面の前後で位置関係が入れ換わる光束となる。
【0029】
セパレータレンズ20A、20Bは、一対の開口19A、19Bの後方にそれぞれ個別に配される。このセパレータレンズ20A、20Bは、対応する開口19A、19Bによって分割される分割光束をアオリ結像(シフト)させ、フィールドレンズ18によってリレーされる予定結像面に対して1組の被写体像(以下、これを位相差像とも呼ぶ)を形成する。
【0030】
なお、セパレータレンズ20A、20Bがフィールドレンズ18の口径蝕(ケラレ)に掛かると、分割光束の一部が欠損する。このためセパレータレンズ20A、20Bは、口径蝕に掛からないようフィールドレンズ18の中央側に寄せて配置される。
【0031】
撮像素子21は、ラインセンサではなく、フィールドレンズ18によってリレーされる被写体像の予定結像面を撮像面とするエリアセンサとされる。
【0032】
ここで、対物レンズ15の主結像面に配される撮像素子16で撮像される明視野像(撮影対象像)と、該対物レンズ15の予定結像面に配される撮像素子21で撮像される位相差像との写真を図2に示す。この図2からも分かるように、撮像素子16の撮像面(主結像面)に結像される明視野像は、セパレータレンズ20A、20Bによって位相差像として撮像素子21の撮像面(予定結像面)に結像される。
【0033】
この顕微鏡1における制御系として、ステージ駆動機構12にはステージ駆動制御部31が、光源13には照明制御部32が、撮像素子16には撮像制御部33が、撮像素子21には位相差像撮像制御部34がデータ通信路を介して接続される。
【0034】
これら制御系は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、CPUのワークメモリとなるRAM(Random Access Memory)及び演算回路などを含むコンピュータとされる。
【0035】
ステージ駆動制御部31は、ステージ駆動機構12を駆動制御し、コンデンサレンズ14によって集められる集光部分にプレパラートPRTの組織切片TSが割り当てられるようステージ面方向(X軸−Y軸方向)にステージ11を移動させる(走査させる)。
【0036】
またステージ駆動制御部31は、ステージ駆動機構12を駆動制御し、集光部分に割り当てられる組織切片TSの部位が対物レンズ15の焦点に合うようステージ面の直交方向(Z軸方向(つまり組織切片の奥行方向))にステージ11を移動させる。
【0037】
照明制御部32は、明視野像を取得すべきモード(以下、これを明視野モードとも呼ぶ)又は暗視野像を取得すべきモード(以下、これを暗視野モードとも呼ぶ)に応じたパラメータを光源13に設定し、該光源13から照明光を照射させる。このパラメータは例えば照明光の強度や光源種類の選択などである。
【0038】
なお、明視野モードにおける照射光は一般に可視光とされる。一方、暗視野モードにおける照射光は、特殊染色で用いられる蛍光マーカを励起する波長を含む光とされる。また暗視野モードでは蛍光マーカに対する背景部分はカットアウトされる。
【0039】
光源13から照明光が照射された場合、その照明光はコンデンサレンズ14によって、ステージ11におけるプレパラート配置面の基準位置に集められる。対物レンズ15の結像面には、プレパラートPRTにおける組織切片TSのうち、コンデンサレンズ14によって集光される集光部分の像が拡大されて結像され、その拡大像が対物レンズ15によって撮像素子16の撮像面に被写体像として結像される。またハーフミラー17により反射された被写体像は、セパレータレンズ20A、20Bによって位相差像として撮像素子21の撮像面(予定結像面)に結像される。
【0040】
撮像制御部33は、明視野モード又は暗視野モードに応じたパラメータを撮像素子16に設定し、該撮像素子16の撮像面に結像される被写体像のデータを取得する。このパラメータは例えば露光の開始タイミング及び終了タイミングなどである。
【0041】
位相差像撮像制御部34は、明視野モード又は暗視野モードに応じたパラメータを撮像素子21に設定し、該撮像素子21の撮像面に結像される位相差像のデータを取得する。このパラメータは例えば露光の開始タイミング及び終了タイミングなどである。
【0042】
ところでこの顕微鏡1には、該顕微鏡1の全体の制御を司る制御部(以下、これを統括制御部とも呼ぶ)30があり、これはステージ駆動制御部31、照明制御部32、撮像制御部33及び位相差像撮像制御部34それぞれにデータ通信路を介して接続される。この統括制御部30は、CPU、ROM、RAM、演算回路及びHDD(Hard Disc Drive)などを含むコンピュータとされる。
【0043】
統括制御部30は、明視野モード又は暗視野モードの開始命令を待ち受け、該開始命令を受けた場合、その開始命令に対応するモードで制御を開始すべき指令をステージ駆動制御部31、照明制御部32、撮像制御部33及び位相差像撮像制御部34に与える。
【0044】
統括制御部30は、ステージ駆動制御部31においてプレパラートPRTの組織切片TS部位が割り当てられるたびに、該組織切片TS部位を撮像素子21により撮像させ、その位相差像のデータを取得する。
【0045】
ここで顕微鏡1では、セパレータレンズ20A、20Bの被写体深度がプレパラートPRTに固定される組織切片TSの厚みより十分に深くなるよう、開口19A、19Bが設定される。従って統括制御部30は、組織切片TS部位における厚み方向の全体に合焦された状態の位相差像を取得する。
【0046】
統括制御部30は、取得した位相差像に対して後述する演算処理を施し、該位相差像のうち基準とすべき一方の像(以下、これを基準像とも呼ぶ)の各画素に対する該位相差像の他方の像(以下、これを比較像とも呼ぶ)との視差(ずれ量)を算出する。
【0047】
統括制御部30は、算出した視差(ずれ量)に基づいて、対物レンズ15の焦点を合わせるべき位置(以下、これを合焦位置とも呼ぶ)を決定する。
【0048】
統括制御部30は、ステージ駆動制御部31を介して合焦位置に対する対物レンズ15の焦点の移動量が計算されステージ11が移動され、撮像素子16によって取得される組織切片TS部位における拡大像のデータを記憶媒体に記憶する。
【0049】
そして統括制御部30は、表示命令を待ち受け、該表示命令を受けた場合、その表示命令で指定される拡大像に対応するデータを記憶媒体から読み出し、これを表示命令の送出元に与える。
【0050】
このようにこの顕微鏡1は、プレパラートPRTの組織切片TSを鏡検状態の画像として記憶することで、プレパラートPRT自体を保存する場合に比べて、固定や染色等の状態を劣化させることなく長期にわたって組織切片TSに関する情報を保存できるようになされている。
【0051】
[1−2.演算処理]
統括制御部30は、位相差像における基準像SGの各画素に対する比較像CGとの相関及び視差を算出するプログラム(以下、これを演算プログラムとも呼ぶ)がHDDに格納されている。
【0052】
統括制御部30は、演算プログラムをHDDから読み出してRAMに展開し、演算処理を実行する。このとき統括制御部30は、演算プログラムに従って、図3に示すように、位相差像取得部41、分割部42、検索範囲設定部43、相関算出部44及び視差算出部45として機能する。
【0053】
位相差像取得部41は、撮像素子21により撮像された位相差像のデータを位相差像撮像制御部34を介して取得する。
【0054】
分割部42は、図4(A)に示すように、位相差像における基準像SG及び比較像CGが例えば640×480[pixel]であった場合、例えば560×400[pixel]の領域(以下、これを相関算出領域とも呼ぶ)SCR及びCCRをそれぞれの像の中心を基準として設定する。因みに、この相関算出領域SCR及びCCRは、基準像SGの各画素と比較像CGの所定範囲の画素との相関を算出し得るように、基準像SG及び比較像CGに対して狭い範囲に設定される。
【0055】
分割部42は、基準像SGの相関算出領域SCR及び比較像CGの相関算出領域CCRを、例えば140×100[pixel]となる16の領域(以下、これを分割領域とも呼ぶ)SDR及びCDRに分割する。
【0056】
検索範囲設定部43は、基準像SGの分割領域SDRにおける例えば9つの画素を代表点RPとして抽出する。この代表点RPは、例えば分割領域SDRにおける中心の画素、及び該画素を中心とした所定の大きさの長方形の頂点及び各辺の中点に相当する画素が選択される。ここで代表点RPを複数点設定することは、組織切片TSにおける何もない領域や検索の難しい領域(例えば、脂肪細胞など)に代表点RPが設定されることによる検索エラーを防止することができる。
【0057】
検索範囲設定部43は、比較像CGにおいて代表点RPとの相関を算出する画素の範囲(以下、これを検索範囲とも呼ぶ)Dを、代表点RPに対応する位置にある比較像CGの画素(以下、これを比較画素とも呼ぶ)を中心として例えば±40[pixel]に設定する。
【0058】
ここで、プレパラートPRTに固定された組織切片TSは厚み方向に大よそ100[μm]程度のうねりがある場合がある。従って、視差が例えば5[μm/pixel]で検出される場合、±40[pixel]の範囲、すなわち±200[μm]の範囲で相関を算出することになり、代表点RPと最も相関が高い画素を検索範囲D内で確実に検出できる。
【0059】
相関算出部44は、分割領域SDRの代表点RPと検索範囲Dの画素との相関値を算出する。
【0060】
ここで、それぞれの分割領域SDRで代表点RPが9画素あり、検索範囲Dが比較画素を中心として±40[pixel]の範囲である81画素であり、分割領域SDRが16領域である。従って相関算出部44は、代表点RPと検索範囲Dの画素との相関を算出するために、9×81×16=11,664回の相関演算を行うことになる。
【0061】
視差算出部45は、それぞれの代表点RPについて、検索範囲D内で代表点RPと最も相関値が大きい画素、すなわち最も相関が高い画素を検出し、比較画素から検出した画素までの距離(ずれ量)を視差として算出する。
【0062】
検索範囲設定部43は、分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対する検索範囲を、該分割領域SDRの代表点RPの視差に基づいて分割領域SDRごとに設定する。
【0063】
具体的に検索範囲設定部43は、図5に示すように、代表点RPに対して設定された検索範囲D(±40[pixel])内で、かつ該検索範囲Dよりも狭い範囲(この場合、33[pixel])の検索範囲D1〜D4を設定する。
【0064】
例えば、検索範囲D1は、比較画素(X、Y)を基準として、(X−40、Y)〜(X−8、Y)の範囲に設定される。検索範囲D2は(X−24、Y)〜(X+8、Y)の範囲に設定され、検索範囲D3は(X−8、Y)〜(X+24、Y)の範囲に設定され、検索範囲D4は(X+8、Y)〜(X+40、Y)の範囲に設定される。
【0065】
ここで、仮に視差が5[μm/pixel]で検出される場合、代表点RP以外の画素に対する検索範囲D1〜D4を33[pixel]に設定することにより、検索範囲D1〜D4の中心を基準として±60[μm]の範囲で相関及び視差が算出されることになる。実際の組織切片は、例えば3[mm]程度の視野角内においては概ね±20[μm]以内の起伏であるため、±60[μm]の範囲で相関及び視差が算出されるのであれば、十分な検索範囲として設定されていることになる。
【0066】
検索範囲設定部43は、図6に示すように、分割領域SDRにおける9つの代表点RPの視差を基に、例えば9つの代表点RPの視差の平均値と検索範囲D1〜D4の中心位置とを比較し、平均値に中心位置が最も近い検索範囲D1〜D4のいずれかを分割領域SDRに対する検索範囲として設定する。
【0067】
相関算出部44は、分割領域SDRの代表点RP以外の画素と、設定された検索範囲D1〜D4のいずれかの範囲の画素との相関値を算出する。
【0068】
ここで、分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素が(140×100−9)画素あり、検索範囲D1〜D4が33画素であり、分割領域SDRが16領域である。従って相関算出部44は、代表点RP以外の画素と検索範囲D1〜D4のいずれかの画素との相関を算出するために、(140×100−9)×33×16=7,387,248回の相関演算を行ったことになる。
【0069】
視差算出部45は、代表点RP以外の各画素について、検索範囲D1〜D4のいずれかの範囲内で該代表点RP以外の画素と最も相関が高い画素を検出し、比較画素から検出した画素までの距離(ずれ量)を視差として算出する。
【0070】
この視差は大きいほど組織切片TSが対物レンズ15側(前方)に位置し、これに対して小さいほど後方に位置する関係にある。したがって、基準像SGの各画素に対する視差は、プレパラートPRTにおける組織切片TSのうち、撮影範囲(対物レンズ15の結像面に映る領域)の凹凸状態を示す情報に相当するものとなる。
【0071】
このように統括制御部30は、基準像SG及び比較像CGの相関算出領域SCR及びCCRを16分割し、それぞれの分割領域SDRの9つの代表点RPに検索範囲Dを設定して相関及び視差を算出する。そして、該代表点RPの視差に基づいて分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対して検索範囲D1〜D4のいずれかを設定して相関及び視差を算出する。
【0072】
従って相関算出部44は、代表点RPの相関を算出するために11,664回の相関演算を行い、代表点RP以外の画素の相関を算出するために7,387,248回の相関演算を行うので、合計で11,664+7,387,248=7,398,912回の相関演算を行う。
【0073】
[1−3.演算処理手順]
次に、上述した演算処理の手順について、図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0074】
実際上、統括制御部30は、ルーチンRT1の開始ステップから入って次のステップSP1へ移る。ステップSP1において統括制御部30は、撮像素子21により撮像された位相差像を位相差像撮像制御部34を介して取得し、次のステップSP2に移る。
【0075】
ステップSP2において統括制御部30は、位相差像の基準像SG及び比較像CGに対して相関を算出し得る領域として相関算出領域SCR及びCCRを設定し、次のステップSP3に移る。
【0076】
ステップSP3において統括制御部30は、基準像SG及び比較像CGの相関算出領域SCR及びCCRを例えば16の分割領域SDR及びCDRに分割し、次のステップSP4に移る。
【0077】
ステップSP4において統括制御部30は、基準像SGの分割領域SDRにおける例えば9つの画素を代表点RPとして抽出し、該代表点RPに対して、比較画素を中心とした検索範囲Dを設定し、次のステップSP5に移る。
【0078】
ステップSP5において統括制御部30は、代表点RPと検索範囲Dの画素との相関を算出し、次のステップSP6において、比較画素から相関が最も高い画素までの距離(ずれ量)を視差として算出し、次のステップSP7に移る。
【0079】
ステップSP7において統括制御部30は、代表点RPの視差に基づき、分割領域SDRの代表点RP以外の画素に対して、検索範囲Dより狭い範囲の検索領域D1〜D4のいずれかを設定し、次のステップSP8に移る。
【0080】
ステップSP8において統括制御部30は、代表点RP以外の画素と、設定された検索範囲D1〜D4のいずれかの画素との相関を算出し、次のステップSP9で、比較画素から相関が最も高い画素までの距離を視差として算出し、処理を終了する。
【0081】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において統括制御部30は、撮像素子21により撮像された位相差像を取得し、該位相差像における基準像SG及び比較像CGを複数の分割領域に分割する。
【0082】
そして統括制御部30は、分割領域SDRの代表点RPに対して比較像CGにおいて相関を算出する所定画素数の検索範囲Dを設定して相関及び視差を算出する。
【0083】
統括制御部30は、代表点RPの視差に基づいて、分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対して代表点RPに設定された検索範囲Dよりも狭い検索範囲D1〜D4を分割領域SDRごとに設定して相関及び視差を算出する。
【0084】
これにより統括制御部30は、代表点RPの視差を算出して分割領域SDRに対応する組織切片TSの大まかな位置を検出し、それを基に、分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対する検索範囲D1〜D4を設定する。
【0085】
従って統括制御部30は、分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対する検索範囲D1〜D4を、代表点RPに対する検索範囲Dよりも狭い範囲に設定しても、代表点RP以外の画素と相関が最も高い画素を検索範囲D1〜D4内で検出することができる。
【0086】
ところで、基準像SGにおける相関算出領域SCRの全画素に対して比較画素を中心とした±40[pixel]の検索範囲Dを設定した場合、画素数が560×400画素で、検索範囲が81画素となる。従って、この場合、560×400×81=18,144,000回の相関演算を行わなければならない。
【0087】
これに対して統括制御部30は、例えば、相関算出領域SCRを16分割し、分割領域SDRの9つの代表点RPに比較画素を中心とした±40[pixel]の検索範囲Dを設定する。また統括制御部30は、代表点RPの視差に基づいて、分割領域SDRの代表点RP以外の画素に33画素の検索範囲D1〜D4を設定する。
【0088】
従って、統括制御部30は、合計で7,398,912回の相関演算を行うだけでよく、全ての画素に対して検索範囲Dを設定した場合と比して約40[%]の演算回数で済み、演算処理の大幅な高速化を実現できる。
【0089】
また一般的なステレオカメラでは、図8に示すように、奥行方向に不連続に配置された物体(障害物)の位置を算出するため、検索範囲を制限(狭く)することは困難である。また物体の大まかな位置を粗い検索により特定してから検索範囲を制限して細かく検索することも可能だが、この方法では粗い検索と細かい検索とは演算精度が異なるため、細かい検索では再び全範囲に対して検索を行わなければならない。
【0090】
これに対して統括制御部30は、連続的な分布構成でなる組織切片TSの像を対象とした場合、分割範囲SDR内の組織切片TS像は奥行方向に殆ど平坦であるため、検索範囲D1〜D4を検索範囲Dよりも狭い範囲に設定することができ、特に有用である。また代表点RPに対する相関及び視差の演算と、代表点RP以外の画素に対する相関及び視差の演算とは同一の演算精度であるため、代表点RPに対して再び狭い検索範囲D1〜D4での演算を行わなくて済み、その分、演算処理を高速化することができる。
【0091】
また統括制御部30は、検索範囲D内でかつ該検索範囲Dよりも狭い範囲の検索範囲D1〜D4をその一部が重なるようにして設定するようにした。これにより統括制御部30は、分割領域SDRの各画素に対して検索範囲を設定する際、分割領域SDRの各画素に対して一括に同じ検索範囲を設定しても、各画素と相関が最も高い画素を検索範囲内で検出できなくなることを防止することができる。
【0092】
以上の構成によれば、基準像SGの相関算出領域SCRを分割し、それぞれの分割領域SDRの代表点RPに検索範囲Dを設定して相関及び視差を算出する。そして、該代表点RPの視差に基づいて分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対して検索範囲D1〜D4のいずれかを設定して相関及び視差を算出する。
【0093】
これにより、基準像SGの各画素に対する比較像CGの相関及び視差を算出する演算精度を下げることなく演算回数を大幅に削減することができるので、組織切片TSの凹凸情報を高速に算出することができ、かくして被写体像の取得効率を向上させることができる。
【0094】
<2.他の実施の形態>
上述の実施の形態においては、相関算出領域SCR及びCCRを16の領域に分割し、分割領域SDRから9の代表点RPを抽出し、分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対して4の検索範囲D1〜D4のいずれかを設定するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、相関算出領域SCR及びCCRの分割数、分割領域SDRの代表点数、分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対して設定される検索範囲数は任意に設定できる。
【0095】
但し、分割数を多くし、また検索範囲数を多くして1つの検索範囲を狭くすることで演算処理をより高速化することができる。なお、位相差算出領域SCR及びCCRの分割数を多くすることで、1つの分割領域SDRにおける組織切片TS像のうねり(奥行方向のずれ)は小さくなるので、検索範囲をより狭くしても基準像SGの各画素と最も相関が高い画素を確実に検出できるものである。
【0096】
一例として、位相差算出領域SCR及びCCR(560×400画素)を8×8の64の分割領域SDRに分割し、それぞれの分割領域SDRに16の代表点RPを設定する。また代表点RPの検索範囲Dを比較画素を中心として±40[pixel]に設定し、代表点RP以外の画素に対する検索範囲数を16にして1つの検索範囲を11[pixel]に設定する。
【0097】
この場合、相関算出部44は、代表点RPとの相関を算出するために、16×81×64=82,944回の相関演算を行う。また相関算出部44は、代表点RP以外の画素との相関を算出するために、(560/8×400/8−16)×11×64=2,452,736回の相関演算を行う。
【0098】
よって相関算出部44は、合計で82,944+2,452,736=2,452,736回の相関演算を行うことになる。これは、全ての画素に対して検索範囲Dを設定した場合と比して約14[%]の演算回数で済み、演算処理のさらなる高速化を実現できる。
【0099】
上述した実施の形態においては、相関算出領域SCR及びCCRを分割した後、分割領域SDRの代表点RPの相関及び視差を算出し、該代表点RPの視差に基づいて代表点RP以外の画素の検索範囲D1〜D4を設定して相関及び視差を算出するようにした。本発明はこれに限らない。
【0100】
例えば、相関算出部44及び視差算出部45は、図9(A)に示すように、基準像SGにおける相関算出領域SCRに所定数(この場合、16)の代表点RPを設定して、該代表点RPと比較像CGにおける検索範囲Dの画素との相関及び視差を算出する。
【0101】
そして分割部42は、図9(B)に示すように、算出された代表点RPの視差に基づいて、例えば隣接する代表点RP同士の視差の差が所定閾値以内であった場合、該代表点RPが同じ分割領域SDRに入るように分割する。また、隣接する代表点RP同士の視差の差が所定閾値より大きい場合、該代表点RP同士が異なる分割領域SDRに入るように分割する。
【0102】
検索範囲設定部43は、分割領域SDR内に存在する代表点RPの視差に基づき、例えば4つの検索範囲D1〜D4のいずれかに分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対する検索範囲を設定する。
【0103】
相関算出部44及び視差算出部45は、分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素の相関及び視差を算出する。
【0104】
このように、相関算出領域SCRに設定された代表点RPに対する相関及び視差を算出した後、該視差に基づいて相関算出領域SCRを分割し、割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対する検索範囲D1〜D4を設定して相関及び視差を算出するようにしてもよい。
【0105】
上述した実施の形態においては、分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対する検索範囲として、33[pixel]でなる固定画素数の検索範囲D1〜D4を設定するようにする場合について述べた。本発明はこれに限らず、分割領域SDRにおける代表点RP以外の画素に対する検索範囲として可変の画素数でなる検索範囲を設定するようにしてもよい。
【0106】
この場合、例えば、分割領域SDRにおける複数の代表点RPの視差に基づいて、該複数の代表点RPの視差の差が小さい場合には検索範囲の画素数を少なく設定し、該複数の代表点RPの視差の差が大きい場合には検索範囲の画素数を多く設定する。これにより固定画素数の検索範囲D1〜D4を用いて演算する場合に比して、より演算回数を削減することができる。
【0107】
上述した実施の形態においては、分割領域SDRにおける複数の代表点RPの視差を全て用いて代表点RP以外の画素に対する検索範囲を設定するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、複数の代表点RPの視差のうち、著しく値の異なる代表点RPの視差を除外して、代表点RP以外の画素に対する検索範囲を設定するようにしてもよい。
【0108】
上述した実施の形態においては、9つの代表点RPの視差の平均値と検索範囲D1〜D4の中心位置とを比較し、平均値に中心位置が最も近い検索範囲D1〜D4のいずれかを分割領域SDRに対する検索範囲として設定するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば、9つの代表点RPの視差が示す位置が全て入る検索範囲D1〜D4のいずれかを分割領域SDRに対する検索範囲として設定するようにしてもよい。
【0109】
上述の実施の形態においては、組織切片TSがサンプルとされた。しかしながらサンプルはこの実施の形態に限定されるものではない。例えば生物に関するサンプル(生体サンプル)として細胞や染色体等が適応されてもよい。
【0110】
上述の実施の形態においては、2枚のセパレータレンズ20A、20Bが用いられた。しかしながらセパレータレンズ20の数はこの実施の形態に限定されるものではない。1対のセパレータレンズ20A、20Bを単位(組)として、複数枚のセパレータレンズ20を用いることができる。なおこの場合、絞りマスク19に対して各組のセパレータレンズ20に対応する開口を設けることを要する。
【0111】
上述した実施の形態においては、所定倍率の対物レンズ15が1つ設けられている場合について述べた。本発明はこれに限らず、倍率の異なる複数の対物レンズが設けられ、複数の対物レンズのなかからレンズ切換機構又は手動により選択するようにしてもよい。
【0112】
上述した実施の形態においては、対物レンズ15から入射する光をハーフミラー17により透過光と反射光とに分割し、撮像素子16及び21にそれぞれ透過光と反射光を導くようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、ハーフミラー17の代わりにミラー及びミラーアップ機構が設けるようにしてもよい。
【0113】
この場合、撮像素子21に位相差像を結像する際には、ミラーを対物レンズ15と撮像素子16との間の光路上に配置し、ミラーで反射した反射光を撮像素子21に導く。一方、撮像素子16に被写体像を結像する際には、ミラーアップ機構によりミラーを対物レンズ15と撮像素子16との間の光路から外して対物レンズ15からの光を撮像素子16に導く。
【0114】
上述した実施の形態においては、撮像素子21により撮像された位相差像のデータを取得するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、位相差像のデータを、例えばインターネットを介して取得したり、所定の記憶媒体を介して取得するようにしてもよい。
【0115】
さらに上述した実施の形態においては、統括制御部30がHDDに格納されている演算プログラムに従い、上述した演算処理を行うようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、厚み情報取得処理プログラムがROMに格納されていてもよく、また記憶媒体からインストールしたり、インターネットからダウンロードした演算プログラムに従って上述した演算処理を行うようにしても良い。またその他種々のルートによってインストールした演算プログラムに従って上述した演算処理を行うようにしても良い。
【0116】
さらに上述した実施の形態においては、像取得部として位相差像取得部41、検索範囲設定部として検索範囲設定部43、相関算出部として相関算出部44、視差算出部として視差算出部45が設けられるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる像取得部、検索範囲設定部、相関算出部、視差算出部を設けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、生物実験、医薬の創製又は患者の経過観察などのバイオ産業上において利用可能である。
【符号の説明】
【0118】
1……顕微鏡、11……ステージ、12……ステージ駆動機構、13……光源、14……コンデンサレンズ、15……対物レンズ、16、21……撮像素子、17……ハーフミラー、18……フィールドレンズ、19……絞りマスク、19A,19B……開口、20A、20B……セパレータレンズ、30……統括制御部、31……ステージ駆動制御部、32……照明制御部、33……撮像制御部、34……位相差像撮像制御部、41……位相差像取得部、42……分割部、43……検索範囲設定部、44……相関算出部、45……視差算出部、CG……比較像、PRT……プレパラート、SG……基準像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの位相差像を取得する像取得部と、
上記位相差像における一方の像に設定された代表とすべき画素及び代表とすべき画素以外の画素に対して、上記位相差像における他方の像での検索対象とすべき画素の範囲を設定する検索範囲設定部と、
上記一方の像の各画素と、該各画素に対して設定された上記範囲の画素との相関を算出する相関算出部と、
算出された相関を基に、上記一方の像の各画素に対する視差を算出する視差算出部と
を有し、
上記検索範囲設定部は、
上記代表とすべき画素に対して算出された視差に基づいて、上記代表とすべき画素以外の画素に対して、上記代表とすべき画素に対して設定された範囲より狭い範囲を設定する
演算装置。
【請求項2】
上記演算装置は、
上記一方の像を複数の領域に分割する分割部をさらに有し、
上記検索範囲設定部は、
上記分割された領域における上記代表とすべき画素に対して算出された視差に基づいて、該分割された領域における上記代表とすべき画素以外の画素に対して範囲を設定する
請求項1に記載の演算装置。
【請求項3】
上記分割部は、
上記代表とすべき画素の視差に基づいて上記一方の像を複数の領域に分割する
請求項2に記載の演算装置。
【請求項4】
上記検索範囲設定部は、
上記代表とすべき画素に対して設定された範囲内でかつ該範囲より狭い複数の範囲のなかから、上記分割された領域における代表とすべき画素以外の画素に対する範囲を設定する
請求項2に記載の演算装置。
【請求項5】
上記複数の範囲は、その一部分が互いに重なるように設定される
請求項4に記載の演算装置。
【請求項6】
上記検索範囲設定部は、
上記分割された領域における代表とすべき画素以外の画素に対して、該分割された領域における上記代表とすべき画素に対して算出された視差に基づいた大きさの範囲を設定する
請求項2に記載の演算装置。
【請求項7】
上記相関算出部は、代表とすべき複数の画素の相関を算出し、
上記視差算出部は、上記代表とすべき複数の画素に対する視差を算出し、
上記検索範囲設定部は、上記代表とすべき複数の画素に対する視差のうち、著しく値の異なる視差を除外して、上記代表とすべき画素以外の画素に対する範囲を設定する
請求項2に記載の演算装置。
【請求項8】
上記サンプルは、組織切片である
請求項1乃至7に記載の演算装置。
【請求項9】
サンプルの位相差像を取得する像取得ステップと、
上記位相差像における一方の像の代表とすべき画素及び代表とすべき画素以外の画素に対して、上記位相差像における他方の像の検索対象とすべき画素の範囲を設定する検索範囲設定ステップと、
上記一方の像の画素と、該画素に対して設定された上記範囲の画素との相関を算出する相関算出ステップと、
算出された相関を基に、上記一方の像の画素に対する視差を算出する視差算出ステップと
を有し、
上記検索範囲設定ステップでは、
上記代表とすべき画素に対して算出された視差に基づいて、上記代表とすべき画素以外の画素に対して、上記代表とすべき画素に対して設定された範囲より狭い範囲を設定する
演算方法。
【請求項10】
コンピュータに対して、
サンプルの位相差像を取得する像取得ステップと、
上記位相差像における一方の像の代表とすべき画素及び代表とすべき画素以外の画素に対して、上記位相差像における他方の像の検索対象とすべき画素の範囲を設定する検索範囲設定ステップと、
上記一方の像の画素と、該画素に対して設定された上記範囲の画素との相関を算出する相関算出ステップと、
算出された相関を基に、上記一方の像の画素に対する視差を算出する視差算出ステップと
を実行させ、
上記検索範囲設定ステップでは、
上記代表とすべき画素に対して算出された視差に基づいて、上記代表とすべき画素以外の画素に対して、上記代表とすべき画素に対して設定された範囲より狭い範囲を設定する
演算プログラム。
【請求項11】
対物レンズから入射する光を透過光と直進又は反射させるミラーと、
上記対物レンズに結像され、上記ミラーの直進側又は反射側の一方に投影される被写体像を撮像するための第1の撮像素子と、
上記ミラーの直進側又は反射側の他方の後方に一対を単位として設けられ、上記対物レンズの被写体深度よりも広い被写体深度となる大きさとされる開口と、
上記開口の後方にそれぞれ設けられ、上記ミラーの直進側又は反射側の他方に投影される被写体像の予定結像面に対して位相差像を形成するためのセパレータレンズと、
上記予定結像面を撮像面として設けられる第2の撮像素子と、
上記第2の撮像素子から、サンプルの位相差像を取得する像取得部と、
上記位相差像における一方の像の代表とすべき画素及び代表とすべき画素以外の画素に対して、上記位相差像における他方の像の検索対象とすべき画素の範囲を設定する検索範囲設定部と、
上記一方の像の画素と、該画素に対して設定された上記範囲の画素との相関を算出する相関算出部と、
算出された相関を基に、上記一方の像の画素に対する視差を算出する視差算出部と
を有し、
上記検索範囲設定部は、
上記代表とすべき画素に対して算出された視差に基づいて、上記代表とすべき画素以外の画素に対して、上記代表とすべき画素に対して設定された範囲より狭い範囲を設定する
顕微鏡。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−133816(P2011−133816A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295381(P2009−295381)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】