説明

火力発電用ボイラと燃焼用空気供給制御方法

【課題】 ボイラ火炉内での燃焼に悪影響を与えず、常時エアヒータ空気側出口圧力を最適に保つことで、燃焼用空気流量の安定化を図り、燃焼性を改善すること。
【解決手段】 火力発電用ボイラのバーナ17とアフタエアポート18にそれぞれエアヒータ26で予熱された燃焼用空気を供給する際に、エアヒータ空気側出口の圧力の実測値Bが規定値T1を超え、さらに該出口圧力の実測値Bと前記ボイラの全燃料流量から算定される前記空気出口圧力の設定値Cとの偏差Dが所定値T2を超える場合に、偏差Dに基づく補正信号11を火炉21内での燃料の燃焼に必要空気流量に対して所定の比率で予め決められたプログラムに従って設定されるアフタエアポート用空気流量設定値Aに加えることによりダンパ23の開度を変えてアフタエアポート18へ供給する燃焼用空気の流量を調整する燃焼用空気供給制御方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭や石油などの化石燃料を利用する火力発電用ボイラの空気流量制御や排出ガスの低減化に関連し、特にボイラ火炉内での化石燃料の燃焼を安定にし、且つ、効率化するのに好適な火力発電用ボイラと燃焼用空気供給制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭や油などの化石燃料を利用する火力発電用ボイラでは、図2に示すようにバーナ17と二段燃焼用空気ポートであるアフタエアポート(以下OFAということがある)18へ空気ダクト20から燃焼用空気が供給される。このボイラ火炉21内での二段燃焼法による燃料の燃焼は、燃料の燃焼で生じた排出ガス中のNOxやCOを低減するための燃焼法であり、バーナ17での燃料の燃焼に必要な空気量より少し少なめの空気量をウィンドボックスダンパ22からバーナ17に供給し、前記不足の空気分を分岐ダクト19から二段燃焼用空気として二段燃焼用空気ダンパ(以下OFAダンパということがある)23からアフタエアポート18に供給しているが、この二段燃焼用空気は共に押し込み通風機(以下FDFということがある)24により取り込まれた空気をエアヒータ26において予熱した後、ボイラ火炉21へ取り込まれる。
【0003】
すなわち、燃焼用空気も二段燃焼用空気もエアヒータ26の空気側出口より供給されるが、その元圧となるエアヒータ空気側出口圧力が制御対象となっていないため、エアヒータ空気側出口圧力と火炉内の圧力との差圧が安定に制御されず、空気流量制御の精度を悪くする一因となっていた。
【0004】
従来技術では、FDF24の動翼は火炉21への空気流量を制御し、ウィンドボックスダンパ22は各バーナ17での燃焼に必要な空気流量を制御し、OFAダンパ23は二段燃焼に必要な空気流量を制御しており、エアヒータ空気側出口圧力は、その圧力が制御範囲を逸脱した場合にウィンドボックスダンパ22への補正回路により補正される手法はあるものの、該当のバーナ17が点火していないとウィンドボックスダンパ22は規定開度のままで、エアヒータ空気側出口圧力からの補正が有効とならない場合もあり、好適に制御されていない。
【特許文献1】特開11−14005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術においては、燃焼空気の理論計画上のバランスに合致するようにウィンドボックスダンパ開度を調節して燃焼用空気流量を制御しており、エアヒータ空気側出口圧力に対しては、その制御範囲を逸脱した場合に制御範囲へ引き戻すために、ウィンドボックスダンパ22の開度を補正する回路もある。しかし、ウィンドボックスダンパ22はバーナ17用の空気流量を制御することが主体であるため、エアヒータ空気側出口圧力をウィンドボックスダンパ22で制御するとバーナ17の燃焼が不安定になるおそれもあり、また、バーナ17が点火していない場合、ウィンドボックスダンパ22は規定開度で運用される。そのため、エアヒータ空気側出口圧力よるウィンドボックスダンパ22の開度補正は有効とならない。
【0006】
また、エアヒータ空気側出口圧力が変動した場合、該当空気系統の圧力が最適とならないため、自動制御の対称でない固定式の空気ダンパにより空気流量を調節している点火トーチ用の燃焼空気も最適とすることができず、点火トーチの燃焼を不安定としてしまう。
本発明の課題は、ボイラ火炉内での燃焼に悪影響を与えず、常時エアヒータ空気側出口圧力を最適に保つことで、燃焼用空気流量の安定化を図り、燃焼性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、燃料を燃焼させる火炉(21)と、該火炉(21)の壁面に設けた理論空気比以下で燃料を燃焼させるバーナ(17)と、該バーナ(17)の後流側の火炉(21)の壁面に設けた前記バーナ(17)での不足分の燃焼用空気を火炉(21)内に噴出するアフタエアポート(18)と、前記バーナ(17)とアフタエアポート(18)に予熱された燃焼用空気を供給する燃焼用空気を供給する空気ダクト(20)と、該空気ダクト(20)に設けた空気を予熱するエアヒータ(26)と、該エアヒータ(26)で予熱された空気の一部をアフタエアポート(18)に供給するためのダクト開閉ダンパ(23)付き分岐ダクト(19)と、火炉(21)内での燃料の燃焼に必要空気流量に対して所定の比率で予め決められたプログラムに従ってアフタエアポート用空気流量設定値(A)が設定されている燃焼制御装置(16)とを備えた火力発電用ボイラにおいて、
前記燃焼制御装置(16)は、(a)前記エアヒータ(26)で予熱された空気の圧力を測定するエアヒータ空気側出口圧力測定手段(1)と、(b)前記バーナ(17)に供給する燃料流量を測定する燃料流量測定手段(2)と、(c)該燃料流量測定手段(2)により測定される燃料流量に応じて算出されるエアヒータ空気側出口圧力設定値算出手段(3)と、(d)該エアヒータ空気側出口圧力測定手段(1)で測定されるエアヒータ空気側出口圧力実測値(B)と前記エアヒータ空気側出口圧力設定値算出手段(3)より算出されるエアヒータ空気側出口圧力設定値(C)との偏差(D)を算出するエアヒータ空気側出口圧力設定値偏差算出手段(4)と、(e)前記エアヒータ空気側出口圧力偏差(D)の絶対値が所定値(T2)を超える場合には、前記偏差(D)が前記所定値(T2)以下になるようにダクト開閉ダンパ(23)の開度を調整してアフタエアポート用空気流量設定値(A)を補正する制御信号(11)の信号発生手段(10)とを備えている火力発電用ボイラである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記燃焼制御装置(16)は、起動時にはエアヒータ空気側出口圧力実測値(B)が、エアヒータ空気側出口圧力設定値(C)より小さい値である規定値(T1)に比べて、さらに小さい値である場合には、前記ダクト開閉ダンパ(23)を閉じない制御を行う請求項1記載の燃焼用空気供給制御装置である。
【0009】
請求項3記載の発明は、燃料を燃焼させる火炉(21)の壁面に設けた理論空気比以下で燃料を燃焼させるバーナ(17)と該バーナ(17)の後流側の火炉(21)の壁面に設けた前記バーナ(17)での不足分の燃焼用空気を火炉(21)内に噴出するダクト開閉ダンパ(23)付きのアフタエアポート(18)にそれぞれエアヒータ(26)で予熱された燃焼用空気を供給するに際して、該燃焼用空気の供給量を制御する燃焼用空気供給量制御方法において、火力発電用ボイラでの燃料の燃焼に必要空気流量に対して所定の比率で予め決められたプログラムに従ってアフタエアポート用空気流量設定値(A)を設定し、エアヒータ空気側出口圧力の実測値(B)とエアヒータ空気側出口圧力設定値(C)との偏差(D)の絶対値が所定値(T2)を超える場合には、前記偏差(D)が前記所定値(T2)以下になるようにダクト開閉ダンパ(23)の開度を調整してアフタエアポート用空気流量設定値(A)を補正する制御を行うことを特徴とする燃焼用空気供給量制御方法である。
【0010】
請求項4記載の発明は、火力発電用ボイラの起動時には、エアヒータ空気側出口圧力の実測値(B)がエアヒータ空気側出口圧力設定値(A)より小さい値である規定値(T1)に比べて、さらに小さい値である場合には、前記ダクト開閉ダンパ(23)を閉じない制御を行う請求項3記載の燃焼用空気供給制御方法である。
【0011】
(作用)
一般に二段燃焼法では火炉内でのNOx濃度低減のため、バーナ(17)へは理論上必要な空気よりも少なめの燃焼用空気を供給し、残り分をダクト開閉ダンパ(以下OFAダンパという)(23)から供給する。
実際には必要空気流量に対して、ある比率でOFAダンパ(23)の開度によりアフタエアポート用空気流量設定値(A)を決めており、その比率を関数発生器においてプログラム設定している。
【0012】
通常、OFAダンパ(23)は上記比率より決められた前記空気流量設定値(A)に合わせるように制御しているが、請求項1、3記載の発明によれば、例えば、エアヒータ(AH)空気側出口圧力が高くなるとOFAダンパ(23)を開ける方向、つまり前記プログラム設定された流量設定値(A)に補正信号(11)分を加えて、新たに流量設定値(A’)とし、逆にエアヒータ(AH)空気側出口圧力が低ければ、前記プログラム設定された流量設定値(A)から補正信号(11)分を減じて、新たな流量設定値(A’)とする補正を行う。
【0013】
このように、本発明で得られる補正後のアフタエアポート用空気流量設定値(A’)は、プログラムにより設定された時間に応じて設定された各時間毎には不変の値(A)にエアヒータ空気側出口圧力の変化に応じた補正値を加えるか、減じて得られる値である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、3記載の発明によれば、化石燃料を使用するボイラの燃焼用空気の圧力としてエアヒータ空気側出口圧力を用いて、この圧力を最適化して燃焼空気流量制御の正確性を増してボイラ火炉内での燃焼性を改善でき、また、点火トーチ用の燃焼用空気に対しても空気流量を最適化でき、安定な燃焼を提供できる。
【0015】
請求項2、4記載の発明によれば、請求項1、3記載の発明の効果に加えて、火力発電用ボイラの起動時には、前記エアヒータ(26)の空気側出口圧力の実測値が規定値T1より小さい場合には、アフタエアポート(18)への燃焼用空気の供給量の制御を行わないので、燃焼用空気の供給制御が不能になるおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について図1には図2で説明したOFAダンパ23から火炉21内へ供給する未燃分の燃料を完全燃焼させるためのプログラムで得られた空気流量設定値に対する補正信号11を出力させるための制御回路を示す。
【0017】
ボイラ火炉21のウインドボックスダンパ22からバーナ17での燃料の燃焼に必要な空気量より不足気味の空気を供給し、OFAダンパ23からアフタエアポート18に未燃分の燃料を燃焼させる空気を供給することは図2で説明した通りである。
【0018】
図1に示す制御回路は、エアヒータ26の空気側出口圧力検出器1、ボイラ火炉21への燃料投入量である全燃料流量検出器2及び制御装置(演算装置)16により構成される。なお、制御装置(演算装置)16においてOFA流量設定補正信号11が出力されるとOFAダンパ23の流量制御回路に送信され、OFA流量設定値(A)の補正バイアスとしてOFA流量設定値(A)に加算または減算される。
【0019】
ここで、OFA流量設定値(A)は、火炉内での燃焼条件などに応じて予めプログラムされ、ボイラの起動時から時間の経過と共に変化するように一般的な制御回路で出力されるのでここでは図示していない。本実施例の制御回路16は、このOFA流量設定値(A)に対してエアヒータ26の空気側出口圧力とボイラ火炉21への全燃料流量の変動に対応して、OFA流量設定値(A)に対して空気流量を増加または減少させるための制御回路である。
【0020】
本発明の制御回路及び制御信号の挙動を図1を用いて説明する。
全燃料流量検出器2の信号に基づき関数発生器3において、全燃料流量検出時のボイラ火炉21の負荷条件に見合ったエアヒータ26の空気側出口圧力設定値(C)を算出し、エアヒータ26の空気側出口圧力実測値(B)であるエアヒータ空気側出口圧力との偏差を減算器4にて算出し、エアヒータ空気側出口圧力設定偏差(D)を得る。
【0021】
このエアヒータ空気側出口圧力設定偏差(D)に対してOFA流量設定値(A)を過度に補正動作させないように、前記圧力設定偏差(D)の絶対値が設定値T2以下である場合は、関数発生器6において制御上の不感帯を設け、補正された設定偏差である補正設定偏差7を得る。
この補正設定偏差7に基づき、次のような手順で積分器10においてOFA流量設定の補正バイアスであるOFA流量設定補正信号11を得る。
【0022】
例えば、エアヒータ空気側出口圧力設定偏差(D)が正の数値、つまりエアヒータ空気側出口圧力の実測値(B)が規定値T1を超え、さらにその偏差(D)が前記関数発生器6で定められた不感帯となる所定値T2より大きくなると、OFA流量設定補正信号11も正の数値となり、OFA流量設定値(A)より空気量を増加させるように作用し、その結果としてOFAダンパ23が開動作し、エアヒータ26の空気側出口圧力は低下することとなる。従ってエアヒータ空気側出口圧力が上がり続けることが回避されてエアヒータ空気側出口圧力が下がることになる。
【0023】
また、本制御回路はOFA流量設定値(A)を補正してOFAダンパ23を操作することでエアヒータ空気側出口圧力を制御するので、OFAダンパ23が自動制御できる状態の時のみ有効とし、それ以外の時はOFA流量設定補正信号11の出力をゼロとするように、積分器10はOFAダンパ23が自動制御可能の時に積分演算可能とし、それ以外の時は切替器8によって一定の時定数によりアナログ設定器9に切替わるようにして、積分器10はOFA流量設定補正信号11の出力をゼロに戻すものとする。
【0024】
さらに、ボイラ起動過程等のように、プラント運用上エアヒータ空気側出口圧力が、その設定値(C)に対して継続的に低めとなる場合、本制御回路によりOFAダンパ23が全閉となってしまうことを避けるため、低モニタ12で常時計測しているエアヒータ空気側出口圧力実測値(B)が規定値T1より小さい時には、低モニタ12の信号により切替器13がアナログ設定器15からアナログ設定器14に切替えて、OFA流量設定補正信号11を負の数値としないように積分器10の下限をゼロに設定する。
また、低モニタ12により計測されたエアヒータ空気側出口圧力が規定値T1を超える時には積分器10の下限の規定をしなくても良いので、アナログ設定器15は必ずしも必要ではない。
【0025】
なお、従来技術や特開昭63−318404号公報、特開平8−261410号公報記載の発明などに記載された方法では前記関数発生器6が設けられていないので、エアヒータ空気側出口圧力設定偏差Dがゼロでない場合は常時圧力制御がされて、OFAダンパ23のプログラム制御に外乱を与えてしまう。
【0026】
図3には前記ボイラ起動過程でのエアヒータ空気側出口圧力(実測値(B))の時間変化の様子とエアヒータ空気側出口圧力設定値(C)の時間的変化の様子(図3(a))と、予めプログラムにより時間ともに変化するように設定されたOFA流量設定値(A)の時間的変化の様子(図3(b))と、OFAダンパ23の開度の時間的変化の様子(図3(c))を示す。
【0027】
ボイラ起動過程でエアヒータ空気側出口圧力(実測値(B))が規定値T1より小さいときにはOFAダンパ23の開度調整によるエアヒータ空気側出口圧力制御は行わず、低モニタ12により積分器10の下限値をゼロに設定する。図3(c)の曲線(イ)はエアヒータ空気側出口圧力が規定値T1より小さい時にエアヒータ空気側出口圧力制御を抑制する機能が無い場合のOFAダンパ23の開度の時間的変化を示す。このように曲線(イ)の場合には、ボイラの起動時にエアヒータ空気側出口圧力(=実測値(B))が全燃料流量検出時の負荷条件に見合ったエアヒータ空気側出口圧力設定値(C)より低いので、OFAダンパ23はすぐに全閉してしまい、エアヒータ空気側出口圧力制御ができなくなる。
【0028】
しかし、本実施例によると、ボイラ起動過程においてエアヒータ空気側出口圧力(実測値(B))が規定値T1を超え、エアヒータ空気側出口圧力設定偏差(D)の絶対値が所定値(T2)を超える場合にのみ、OFAダンパ23を補正動作させて、エアヒータ空気側出口圧力の制御と、OFAダンパ23による二段燃焼に必要な空気流量制御を両立させる。例えば、ボイラ起動時から予めプログラムされた手順に従ってエアヒータ空気側出口圧力設定値(C)が上昇しているときに、図3(a)の斜線部(ロ)に示すようにエアヒータ空気側出口の実際の圧力(B)が、何らかの原因で低下したためエアヒータ空気側出口圧力設定偏差(D=C−B)が設定値T2を超えた場合には、偏差(D)がエアヒータ空気側出口圧力の設定値T2を超えないように図1に示すOFA流量設定値(A)の補正信号11の出力値により、図3(b)に示す予めプログラムで設定されたOFA流量設定値(A)より下方の点線(ハ)で示すように、前記設定値(A)の補正後の設定値(A’)を出力する。その結果、OFAダンパ23を閉方向に補正動作する(図3(c)の(ニ))。
【0029】
なお、二段燃焼用空気ダンパを具備したボイラにおいて、エアヒータ空気側出口圧力の設定偏差(D)が大きくなり制御範囲を逸脱した場合に、バーナ17に供給するウィンドボックスダンパ22に補正を加え、エアヒータ空気側出口圧力を制御範囲に引戻すような制御回路を具備した従来技術があるが、この従来技術のウィンドボックスダンパ22は主にバーナ17の燃焼用空気流量制御をしており、エアヒータ26の空気側出口圧力の制御による補正を加えると燃焼バランスがずれるおそれがある。
【0030】
一方、本実施例ではOFAダンパ23も通常、二段燃焼用空気流量を制御しているので、本実施例によるOFAダンパ23への補正動作は二段燃焼のバランスがずれるおそれがあるが、ウィンドボックスダンパ22のように主燃焼に関わっているのでは無いので、最終的な燃焼ガスへの影響、すなわち燃焼ガス中のNOx濃度やCO濃度の増加は小さく、技術的に改善されている。
【0031】
さらに、従来技術ではバーナ17が点火されていない場合にウィンドボックスダンパ22は規定開度に固定されて、ダンパ開度補正が無効となり、エアヒータ空気側出口圧力を常時制御できないといった欠点がある。しかし、本実施例では燃焼操作(バーナ17の点火操作)中にOFAダンパ23が規定開度に固定されることは無いので、従来技術における上記欠点は解消される。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、石炭や石油などの化石燃料を利用する火力発電用ボイラ等の空気流量制御に好適な置と方法として産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例に関わる制御回路図である。
【図2】ボイラ火炉のバーナとOFAへの燃料用空気の供給系統例を示す構成図である。
【図3】本発明の実施例のボイラ起動過程でのエアヒータ空気側出口圧力と時間変化の関係を示すグラフ(図3(a))と、OFA流量設定値Aと時間的変化の関係を示すグラフ(図3(b))と、OFAダンパの開度と時間的変化の関係を示すグラフ(図3(c))である。
【符号の説明】
【0034】
1 エアヒータ空気側出口圧力検出器
2 全燃料流量検出器 3 関数発生器
4 減算器 6 関数発生器
7 補正設定偏差 8 切替器
9 アナログ設定器 10 積分器
11 OFA流量設定補正信号 12 低モニタ
13 切替器 14 アナログ設定器
15 アナログ設定器 16 演算装置
17 バーナ 18 アフターエアポート
19 分岐ダクト 20 空気ダクト
21 ボイラ火炉 22 ウィンドボックスダンパ
23 二段燃焼用空気ダンパ(OFAダンパ)
24 押し込み通風機(FDF) 26 エアヒータ
A アフタエアポート用空気流量設定値(OFA流量設定値)
B エアヒータ空気側出口圧力実測値
C エアヒータ空気側出口圧力設定値
D エアヒータ空気側出口圧力設定偏差
T1 規定値 T2 所定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させる火炉(21)と、該火炉(21)の壁面に設けた理論空気比以下で燃料を燃焼させるバーナ(17)と、該バーナ(17)の後流側の火炉(21)の壁面に設けた前記バーナ(17)での不足分の燃焼用空気を火炉(21)内に噴出するアフタエアポート(18)と、前記バーナ(17)とアフタエアポート(18)に予熱された燃焼用空気を供給する燃焼用空気を供給する空気ダクト(20)と、該空気ダクト(20)に設けた空気を予熱するエアヒータ(26)と、該エアヒータ(26)で予熱された空気の一部をアフタエアポート(18)に供給するために、ダクト開閉ダンパ(23)付きの分岐ダクト(19)と、
火炉(21)内での燃料の燃焼に必要空気流量に対して所定の比率で予め決められたプログラムに従ってアフタエアポート用空気流量設定値(A)が設定されている燃焼制御装置(16)と
を備えた火力発電用ボイラにおいて、
前記燃焼制御装置(16)は、
(a)前記エアヒータ(26)で予熱された空気の圧力を測定するエアヒータ空気側出口圧力測定手段(1)と、
(b)前記バーナ(17)に供給する燃料流量を測定する燃料流量測定手段(2)と、
(c)該燃料流量測定手段(2)により測定される燃料流量に応じて算出されるエアヒータ空気側出口圧力設定値算出手段(3)と、
(d)該エアヒータ空気側出口圧力測定手段(1)で測定されるエアヒータ空気側出口圧力実測値(B)と前記エアヒータ空気側出口圧力設定値算出手段(3)より算出されるエアヒータ空気側出口圧力設定値(C)との偏差(D)を算出するエアヒータ空気側出口圧力設定値偏差算出手段(4)と、
(e)前記エアヒータ空気側出口圧力偏差(D)の絶対値が所定値(T2)を超える場合には、前記偏差(D)が前記所定値(T2)以下になるようにダクト開閉ダンパ(23)の開度を調整してアフタエアポート用空気流量設定値(A)を補正する制御信号(11)の信号発生手段(10)と
を備えていることを特徴とする火力発電用ボイラ。
【請求項2】
前記燃焼制御装置(16)は、起動時にはエアヒータ空気側出口圧力実測値(B)が、エアヒータ空気側出口圧力設定値(C)より小さい値である規定値(T1)に比べて、さらに小さい値である場合には、前記ダクト用ダクト開閉ダンパ(23)を閉じない制御を行うことを特徴とする請求項1記載の燃焼用空気供給制御装置。
【請求項3】
燃料を燃焼させる火炉(21)の壁面に設けた理論空気比以下で燃料を燃焼させるバーナ(17)と該バーナ(17)の後流側の火炉(21)の壁面に設けた前記バーナ(17)での不足分の燃焼用空気を火炉(21)内に噴出するダクト開閉ダンパ(23)付きのアフタエアポート(18)にそれぞれエアヒータ(26)で予熱された燃焼用空気を供給するに際して、該燃焼用空気の供給量を制御する燃焼用空気供給量制御方法において、
火力発電用ボイラでの燃料の燃焼に必要空気流量に対して所定の比率で予め決められたプログラムに従ってアフタエアポート用空気流量設定値(A)を設定し、
エアヒータ空気側出口圧力の実測値(B)とエアヒータ空気側出口圧力設定値(C)との偏差(D)の絶対値が所定値(T2)を超える場合には、前記偏差(D)が前記所定値(T2)以下になるようにダクト開閉ダンパ(23)の開度を調整してアフタエアポート用空気流量設定値(A)を補正する制御を行うことを特徴とする燃焼用空気供給量制御方法。
【請求項4】
火力発電用ボイラの起動時には、エアヒータ空気側出口圧力の実測値(B)がエアヒータ空気側出口圧力設定値(A)より小さい値である規定値(T1)に比べて、さらに小さい値である場合には、前記ダクト用ダクト開閉ダンパ(23)を閉じない制御を行うことを特徴とする請求項3記載の燃焼用空気供給制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−85682(P2007−85682A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277261(P2005−277261)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】