説明

火災感知器

【課題】専用の電気配線工事が必要でなく、極めて簡単に設置できる火災感知器を提供する。
【解決手段】 本発明の火災感知器4は、金属製またはプラスチック製のケーシング40内に火災感知手段として、温度センサ51、煙センサ52、火災判定装置(図示せず)、警報ブザー55、作動テストボタン56、表示灯56a、56bなど作動テスト装置を備えているものである。このケーシング40には、その上面に引掛けシーリング規格のプラグ金具41を配設されていて、部屋の天井部分1に配設されている、商用電力の供給ライン22に接続された受け金具21aを備えた引掛けシーリングソケット2に接続可能の構成されている。この引掛けシーリングソケット2には、既設の引掛けシーリングが利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅など建物内に簡単に配置することができる火災感知器の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、火災感知器には、周囲の煙濃度を計測する光電素子を用いた煙濃度計測部と、周囲の温度を計測する熱電素子を用いた温度計測部と、煙濃度計測値、温度計測値とから所定の火災発生信号を発生させる電子回路から構成される火災判定装置を備えたものが知られている。(特許文献1参照)
【0003】
このような各個別装置は半導体素子を含む電子回路から構成されているので、所要の電力が外部から供給される必要がある。このために一般には100ボルトまたは200ボルトの商用電力の供給を受けるのが普通のシステム構成であった。このような火災感知器では、建物の新築時には屋内の配線工事とともに専用の電源配線も容易に実施可能であるが、既存建物の場合には、天井裏の電気配線を新規に行なう必要があることから、設置のための電気配線工事費が嵩むことが、既存建物への火災感知器の普及にための大きな障害となっていた。
【特許文献1】特開2003−30762号公報:特許請求の範囲の記載、図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、専用の電気配線工事が必要でなく、極めて簡単に設置できる火災感知器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題は、ケーシングの上面に引掛けシーリングプラグを配設して、部屋天井に配設されている商用電力の供給を受ける引掛けシーリングソケットに接続可能とするとともに、そのケーシング内には火災感知手段を配備したことを特徴とする本発明の火災感知器によって、解決することができる。
【0006】
また、本発明は、前記ケーシングには、その下面に引掛けシーリングソケットを配設した形態に具体化できる。この場合は、下面の引掛けシーリングソケットを利用して照明器具などを吊下げ設置できる利点がある。
また、前記ケーシング内には、二次電池と、交流電源オン時にその二次電池を充電するための充電電源とを備え、交流電源オフ時に該二次電地を前記火災感知手段の電源とするようにした形態に具体化すれば、停電時にも問題なく機能するという利点が得られる。
【0007】
また、本発明では、前記ケーシング内には、前記火災感知手段として、煙センサ、温度センサ、火災判定装置、警報装置、作動テスト装置を備えている形態や、前記ケーシングには、外部に配置した火災センサの信号を伝えるケーブルを接続するためのソケットを設けた形態に具体化でき、判定精度が良く、利用範囲が広くなるという利点も得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の火災感知器は、以上説明したように、既存の個建て住宅、アパート、マンションなど一般住宅に設けられている天井照明器具などに供される引掛けシーリングを利用できるから、新規の電源配線工事をする必要が無く、ワンタッチで取り付けできるので、ごく簡単に各部屋に設置できる。かくして、従来、採用され難かった一般既設住宅にまで、自動火災感知器を大いに普及させることができるという優れた効果がある。よって本発明は、従来の問題点を解消した火災感知器として、実用的価値はきわめて大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の火災感知器に係る実施形態について、図1〜3を参照しながら説明する。
先ず、本発明の火災感知器4は、金属製またはプラスチック製のケーシング40内に火災感知手段として、温度センサ51、煙センサ52、火災判定装置(図示せず)、警報ブザー55、作動テストボタン56、表示灯56a、56bなど作動テスト装置を備えているものである。このケーシング40は後記のように天井に取り付けられるので、厚さの薄いものが好ましいが、形状は図示の円形に限定されない。
【0010】
そして、本発明では、このケーシング40には、その上面に引掛けシーリング規格のプラグ金具41を配設されていて、部屋の天井面1に配設されている商用電力の供給ライン22に接続された受け金具21aを備えた引掛けシーリングソケット2に接続可能に構成されている点に特徴がある。この場合、前記引掛けシーリングソケット2は、照明器具(図3の符号6参照)の吊下げコード32が接続された引掛けシーリングプラグ3を接続している既設の引掛けシーリングが利用できる。
【0011】
このように、本発明の火災感知器4は、既設の引掛けシーリングソケット2を利用して、ワンタッチで天井面1に取り付けることができ、同時にこの引掛けシーリングソケット2を通じて商用電力の供給を受けることができる。
かくして、本発明の火災感知器では常時、内蔵した温度センサ51、煙センサ52、火災判定装置(図示せず)、警報ブザー55などが機能して、火災発生を監視し、必要に応じて警報を発することができ、また、作動テストボタン56、表示灯56a、56bなど作動テスト装置によって機能を常時点検できるのである。
【0012】
そして、最も好ましいメリットは、この火災感知器の設置に伴って新規に専用の電源用電気配線工事を行う必要が全くない点にある。かくして、設置工事自体が極めて簡単であることに加えて、特別の配線工事が不要であることから、従来、なかなか普及しなかった
一般既設住宅にまで、自動火災感知器を大いに普及させることができるという優れたメリット効果が得られる。
本発明では、引掛けシーリングという用語を用いたが、これには耳付き引掛け埋め込みローゼット、角型引掛けシーリング、丸型引掛けシーリングなどを含む用語である。
【0013】
また、本発明の火災感知器4では、前記ケーシング40の下面に、前記プラグ金具41と電気的に接続されている受け金具42aを備えた引掛けシーリングソケット42を配設しておくのが特に好ましい形態である。この場合は、この引掛けシーリングソケット42を利用して、図3に例示するように、照明器具6などの引掛けシーリングプラグ3を接続すれば、既設の照明器具6などの電気機器を利用しながら、火災感知器4を天井面1に付設できるというメリットが得られるのである。なお、この図3では、角型の火災感知器4を例示した。
【0014】
さらに、本発明の火災感知器は、通常、前記した商用電力を電源として作動するのであるが、停電対策として、前記ケーシング4内には、NiCd電池のような二次電池54と、交流電源オン時にその二次電池54を充電するための充電電源53とを備え、交流電源オフ時、すなわち停電時には、充電されているその二次電地54を、温度センサ51、煙センサ52、火災判定装置(図示せず)、警報ブザー55などの火災感知手段の電源とするよう切替え可能に設定しておくのが特に好適である。
【0015】
また、本発明では、充電電源53、二次電地54、温度センサ51、煙センサ52、火災判定装置(図示せず)、警報ブザー55などの火災感知手段を備えた事例に基づいて説明したが、これら個々の部品は公知のものを利用できる。また、これらを組み合せて特許文献1に記載のような判定精度に優れた火災警報機能を付与することもできる。
【0016】
さらに、本発明の火災感知器の前記ケーシング40には、外部に配置した火災センサ(温度センサ、煙センサなど。図示せず)からの信号を伝える信号ケーブルを接続するためのソケット(図示せず)を設けておくのも良い。この事例では、既設の引掛けシーリングソケット2の位置が不適当な位置にある場合にも、別途、火災センサ部分を好ましい位置に配置して、そこから所要の信号を受け入れるよう信号ケーブルをこの火災感知器4に配線すれば、火災感知器4自体の設置位置に関係なく最善の機能が発揮できる利点が得られるのである。
【0017】
さらには、天井直付け照明器具の場合には、ケーシング40内に配置した火災センサ(温度センサ51、煙センサ52)に対して、照明ランプやシェードなどが障害となるので、本発明のこの実施形態のように、天井直付け照明器具の外部に配置した火災センサからの信号を信号ケーブルを通じて入力できるよう構成してあれば、前記吊下げ照明器具の他、天井直付けの場合にも利用できるなど、利用範囲が大きく広がるという利点が得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の火災感知器を説明するための関連器具を含めた要部断面図。
【図2】実施形態を示す下面図。
【図3】照明器具を吊下げた実施形態を下方から見た斜視図
【符号の説明】
【0019】
1:天井面
2:引掛けシーリングソケット、21:受け金具、22:商用電力の供給ライン
3:引掛けシーリングプラグ、31:プラグ金具、32:吊下げコード
4:火災感知器、40:ケーシング、41:プラグ金具、42:引掛けシーリングソケット、52a:受け金具
51:温度センサ、52:煙センサ、53:充電電源、54:二次電池、55:警報ブザー、56:作動テストボタン、56a、56b:表示灯
6:照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの上面に引掛けシーリングプラグを配設して、部屋天井に配設されている商用電力の供給を受ける引掛けシーリングソケットに接続可能とするとともに、そのケーシング内には火災感知手段を配備したことを特徴とする火災感知器。
【請求項2】
前記ケーシングには、その下面に引掛けシーリングソケットを配設した請求項1に記載の火災感知器。
【請求項3】
前記ケーシング内には、二次電池と、交流電源オン時にその二次電池を充電するための充電電源とを備え、交流電源オフ時に該二次電地を前記火災感知手段の電源とするようにした請求項1に記載の火災感知器。
【請求項4】
前記ケーシング内には、前記火災感知手段として、煙センサ、温度センサ、火災判定装置、警報装置、作動テスト装置を備えている請求項3に記載の火災感知器。
【請求項5】
前記ケーシングには、外部に配置した火災センサの信号を伝えるケーブルを接続するためのソケットを設けた請求項1から4のいずれかに記載の火災感知器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−92446(P2006−92446A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279772(P2004−279772)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(504327535)
【Fターム(参考)】