説明

炉頂圧回収タービンの制御システム

【課題】 多大な設備費を要することなく、負荷遮断時やタービントリップ時にタービンへの排ガス流入を瞬時かつ最適に減少させることができるものとする。
【解決手段】 複数段の静翼(2,3)を有すると共に高炉(51)の排ガスにより回転駆動されて発電機(81)を回転駆動させる炉頂圧回収タービン(1)の制御システムにおいて、上記静翼の第2段以降の少なくとも1段(3)は、角度可変機構(34,38,40)を有して、タービンの負荷遮断時及び又はタービントリップ時にその略流路全閉角度まで閉じる。第1段静翼(2)は、角度可変機構(33,37,39)を有すると共に流路全閉角度よりも開側に設定された所定角度まで閉じることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉頂圧回収タービンの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高炉プラントの排ガス経路にタービンプラントを設けて形成する炉頂圧回収タービンは、図8に示すように、高炉100から排気された排ガスが、ダストキャッチャ101、湿式集塵装置102、入口塞止弁103、危急遮断弁104を介してタービン105に導かれてタービン105を回転駆動させる。そして、このタービン105が発電機108を回転駆動させることにより、発電の利用に供するものである。
【0003】
この炉頂圧回収タービンにおいて、発電機108の負荷遮断を行った場合や、タービン105に故障等が発生してタービントリップを行った場合に、このタービン105のオーバースピードを防止するため、タービン105へ流入する排ガスを瞬時に減少させる必要がある。タービン105へ流入する排ガスを瞬時に減少させる方式として、タービン105の第1段静翼106に角度可変機構107を設け、この第1段静翼106を瞬時に流路全閉角度まで閉じることによりタービン105の流路を絞り、これによりタービン105への排ガス流入を減少させるものがある。
【0004】
また、図9に示すように、危急遮断弁110とタービン111との間に調速弁112を設け、この調速弁112によってタービン111への排ガス流入を減少させるものがある。このような調速弁112によるタービン111への排ガス流入遮断方式は、種々の文献にも開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭60−32942号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来の炉頂圧回収タービンの制御システムにおいて、前者のタービン105の第1段静翼106に角度可変機構107を設け、この第1段静翼106を瞬時に流路全閉角度まで閉じてタービン105の流路を絞る方式においては、湿式及び乾式双方の炉頂圧回収タービンとも、図10に示すように、第1段静翼106の背面106aに部分的にダストが付着する傾向があり、このため、この背面106aに付着したダストによって第1段静翼106を流路全閉角度まで閉じることができず、タービン105への排ガス流入を所定の流量まで減少させることができないという問題がある。また、第1段静翼106がダストを噛み込むことにより、第1段静翼106やその角度可変機構に損傷が生ずるという問題もある。
【0006】
また、後者の調速弁112によってタービン111への排ガス流入を減少させる方式は、タービン111への排ガス流入を減少させる点においては特段の問題は見うけられないが、調速弁の設置に多大な設備費を要するという問題がある。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、多大な設備費を要することなく、負荷遮断時やタービントリップ時にタービンへの排ガス流入を瞬時にかつ最適に減少させることができる炉頂圧回収タービンの制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明が採用する手段は、複数段の静翼を有すると共に高炉の排ガスにより回転駆動されて発電機を回転駆動させる炉頂圧回収タービンの制御システムにおいて、静翼の第2段以降の少なくとも1段は、角度可変機構を有してタービンの負荷遮断時に略流路全閉角度まで閉じることにある。又は、複数段の静翼を有すると共に高炉の排ガスにより回転駆動されて発電機を回転駆動させる炉頂圧回収タービンの制御システムにおいて、静翼の第2段以降の少なくとも1段は、角度可変機構を有してタービンのタービントリップ時に略流路全閉角度まで閉じることにある。
【0009】
湿式及び乾式双方の炉頂圧回収タービンとも、通常、第2段以降の静翼にダストの付着は発生しない。このため、第2段以降の少なくとも1段が角度可変機構を備えることにより、その静翼は常に流路全閉角度まで閉じることができる。すなわち、第2段以降の少なくとも1段がタービンの負荷遮断時やタービントリップ時に流路全閉角度ないし流路全閉角度に近い角度まで閉じることにより、タービンへ流入する排ガスが瞬時に減少されて、タービンのオーバースピードを確実に防止することができる。また、設備費増加の一因となっている調速弁を排除することができる。
【0010】
上記タービンの第1段静翼は、角度可変機構を有すると共に、負荷遮断時に流路全閉角度よりも開側に設定された所定角度まで閉じることが望ましい。又は、タービンの第1段静翼は、角度可変機構を有すると共に、タービントリップ時に流路全閉角度よりも開側に設定された所定角度まで閉じることが望ましい。
【0011】
第2段以降の静翼の少なくとも1段が負荷遮断時やタービントリップ時に略流路全閉角度まで閉じることにより、負荷遮断時やタービントリップ時に必ずしも第1段静翼がその流路全閉角度まで閉じる必要がなくなる。したがって、負荷遮断時やタービントリップ時に第1段静翼をその流路全閉角度までは閉じないようにすることにより、第1段静翼が背面に付着したダストと接触することが防止され、第1段静翼やその角度可変機構の損傷を防止することができる。
【0012】
上記負荷遮断時に略流路全閉角度まで閉じる第2段以降の静翼は、負荷遮断時に第1段静翼とは独立に制御されることが望ましい。又は、タービントリップ時に略流路全閉角度まで閉じる第2段以降の静翼は、タービントリップ時に第1段静翼とは独立に制御されることが望ましい。
【0013】
第2段以降の静翼のタービンの負荷遮断時やタービントリップ時に流路全閉角度ないし流路全閉角度に近い角度まで閉じる動作を、そのときの第1段静翼の動作と切り離すことにより、この第2段以降の静翼の動作を最適に行うことができる。
【0014】
角度可変機構を有する静翼は、起動停止時及び通常運転時の作動がサーボアンプとサーボ弁との組み合わせにより制御される一方、負荷遮断時の作動が上記サーボアンプ及び上記サーボ弁とは別のサーボアンプとサーボ弁との組み合わせにより、又は、電磁弁とロジック弁との組み合わせにより制御されることが望ましい。又は、角度可変機構を有する静翼は、起動停止時及び通常運転時の作動がサーボアンプとサーボ弁との組み合わせにより制御される一方、タービントリップ時の作動が上記サーボアンプ及び上記サーボ弁とは別のサーボアンプとサーボ弁との組み合わせにより、又は、電磁弁とロジック弁との組み合わせにより制御されることが望ましい。
【0015】
角度可変機構を有する静翼の負荷遮断時やタービントリップ時の作動を、起動停止時及び通常運転時のものとは別の制御機構によって制御することにより、負荷遮断時やタービントリップ時にはその作動を速やかに行うことができる一方、特に負荷遮断時については、その後の通常運転に回復するための動作を速やかに行うことができる。
【0016】
角度可変機構を有する静翼は、相互に独立に制御される角度可変機構を有してタービンの回転数制御及び又は負荷制御及び又は圧力制御を行なうことが望ましい。このように、角度可変機構を有する静翼が相互に独立した角度可変機構を有してタービンの回転数制御及び又は負荷制御及び又は圧力制御を行なうことにより、起動停止時や通常運転時の各段静翼の角度可変制御を最適に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の炉頂圧回収タービンの制御システムは、複数段の静翼を有すると共に高炉の排ガスにより回転駆動されて発電機を回転駆動させる炉頂圧回収タービンの制御システムにおいて、静翼の第2段以降の少なくとも1段は、角度可変機構を有してタービンの負荷遮断時に略流路全閉角度まで閉じる。又は、複数段の静翼を有すると共に高炉の排ガスにより回転駆動されて発電機を回転駆動させる炉頂圧回収タービンの制御システムにおいて、静翼の第2段以降の少なくとも1段は、角度可変機構を有してタービンのタービントリップ時に略流路全閉角度まで閉じる。
【0018】
したがって、多大な設備費を要することなく、負荷遮断時やタービントリップ時にタービンへの排ガス流入を瞬時にかつ最適に減少させることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る炉頂圧回収タービンの制御システムを実施するための最良の形態を、図1ないし図7を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、高炉プラントとして高炉51、ダストキャッチャ52、湿式集塵装置53、並列に配設されたバイパス主弁54及びバイパス制御弁55、ガスホルダ56がこの順に配設される。高炉プラントでは、高炉51の炉頂圧検出器61で検出した炉頂圧を、炉頂圧設定器62で設定した炉頂圧に一致させるための炉頂圧調節計63と炉頂圧調節制御装置64と電油変換器65とが配設される。
【0021】
高炉51の排ガスは湿式集塵装置53の下流で分岐され、入口塞止弁57、危急遮断弁58を介してタービン1に導かれ、出口塞止弁59を介してガスホルダ56に排気される。タービン1に入るガス圧はタービン前圧検出器66により検知され、このガス圧をタービン前圧設定器67で設定されたガス圧に一致させるためのタービン前圧調節計68と、このタービン前圧調節計68の信号を受けて減算器69を介してバイパス主弁54及びバイパス制御弁55を作動させるバイパス弁制御装置70とが、それぞれ配設される。
【0022】
バイパス弁制御装置70は、電油変換器71,72を介してバイパス主弁54及びバイパス制御弁55を作動させて、タービン1に入るガス圧を上記設定圧になるように調節する。発電機81が軸継手80を介してタービン1に連結される。このタービン1は、複数段の静翼を有するタービンの一例としての2段翼列タービンであり、第1段静翼2及び第2段静翼3からなる。
【0023】
図1及び図2に示すように、負荷制限設定器21、負荷設定器22、回転数設定器23、静翼角度設定器24が電気ガバナ20にそれぞれ接続される。なお、図2は、特に第2段静翼3の角度可変機構だけを、見やすいように図1から抽出したものである。電気ガバナ20からの制御信号は、複合演算器25を介して、第1段及び第2段静翼の角度制御を行なうサーボアンプ31,32に入力される。サーボアンプ31,32を出た制御信号は、第1段及び第2段静翼作動用のサーボ弁35,36でそれぞれ電油変換された後、第1段及び第2段静翼作動用の油圧アクチュエータ39,40を作動させる。油圧アクチュエータ39,40の油圧はポンプユニット41により発生し、アキュムレータ42により負荷遮断時及びタービントリップ時の油量が補充される。
【0024】
一方、タービン1の負荷遮断信号及びタービントリップ信号は、電気ガバナ20を介さずに、上述のサーボアンプ31,32とは別の第1段及び第2段静翼の角度制御用サーボアンプ33,34に入力される。サーボアンプ33,34を出た制御信号は、上述のサーボ弁35,36とは別の第1段及び第2段静翼作動用のサーボ弁37,38に入り、それぞれ電油変換された後、上述の第1段及び第2段静翼作動用の油圧アクチュエータ39,40を作動させる。第2段静翼作動用の油圧アクチュエータ40にはリミットスイッチ43と、このリミットスイッチ43の作動によって負荷遮断信号をリセットするためのタイマ44とがそれぞれ配設される。
【0025】
図3ないし図5に示すように、例えば、第2段静翼3の角度を変更するための角度可変機構は、図示しない第2段静翼用の油圧アクチュエータ40により、支持ローラ6によって内側ケーシング4の外側に支持された回転環5を周方向に動かす。回転環5が周方向に動くことにより、摺動自在継手7を介して静翼レバー8を揺動し、第2段静翼3を静翼軸9を中心に回転させる。第1段静翼2の角度可変機構も同様である。
【0026】
次に、本炉頂圧回収タービンの制御システムの作動を説明する。
【0027】
図1に示すように、タービン1の起動停止時は、上述の電気ガバナ20からの出力信号が、複合演算器25と、第1段及び第2段静翼の角度制御を行なうサーボアンプ31,32とを介して、第1段及び第2段静翼作動用のサーボ弁35,36にそれぞれ入力される。この信号はサーボ弁35,36で電油変換されて、第1段及び第2段静翼の油圧アクチュエータ39,40をそれぞれ作動させて、第1段及び第2段静翼2,3の角度を起動停止時の所定角度へ変更する。これによりタービン1を通過するガス流量は変化し、タービン1の回転数制御又は負荷制御が最適に行われる。
【0028】
通常運転時は、同様にサーボ弁35,36及びそれにより制御される油圧アクチュエータ39,40を作動させて、第1段及び第2段静翼2,3の角度を通常運転時の所定角度へ変更して、タービン1を通過するガス流量を変化させる。これにより、タービン1の負荷制御又は圧力制御が行われる。この場合、負荷遮断用及びタービントリップ用の第1段及び第2段静翼作動用のサーボ弁37,38はそれぞれロック位置にされており、サーボ弁37,38は油量調整を行わない。
【0029】
このように、第1段及び第2段静翼2,3は、相互に独立に制御される角度可変機構にを有して、回転数制御、負荷制御、圧力制御(炉頂圧制御)等が行われる。これにより、タービン1の回転数制御、負荷制御、圧力制御を最適に行うことができる。
【0030】
次に、タービン1の負荷遮断時及びタービン1に故障等が発生した場合のタービントリップ時の制御について説明する。
【0031】
負荷遮断時やタービントリップ時には、負荷遮断信号又はタービントリップ信号が、電気ガバナ20を通さずに、第1段及び第2段静翼用のサーボアンプ33,34にそれぞれ直接入力される。このサーボアンプ33,34が第1段及び第2段静翼用のサーボ弁37,38に制御信号を出力し、電油変換によって油量調整を行わせ、油圧アクチュエータ39,40をそれぞれ独立に作動させる。これにより、第2段静翼3は直ちにその流路全閉角度まで閉じる。これにより、タービン1へ流入する排ガスが瞬時に減少し、タービン1のオーバースピードが確実に防止される。
【0032】
第1段静翼2も第2段静翼3と同様に、直ちに閉側へ回転するが、第2段静翼3のようにその流路全閉角度までは閉じず、流路全閉角度よりも開側に設定された所定角度θでその回転を停止する。この所定角度θは、第1段静翼2がその角度まで閉じても、第1段静翼2がその背面2aに付着したダストに接触ないし噛み込むことがないような角度に適切に設定される。
【0033】
これは、上述のように、負荷遮断時やタービントリップ時には第2段静翼3がその流路全閉角度まで閉じるから、従来のように第1段静翼2をその流路全閉角度にまで閉じる必要がなくなるためである。これにより、図6に示すように、第1段静翼2の背面2aにダストの付着があっても、第1段静翼2がダストに接触ないし噛み込むことはなく、第1段静翼2やその角度可変機構の損傷を確実に防止することができる。
【0034】
一方、上述の負荷遮断信号やタービントリップ信号は、電気ガバナ20にも別経路で入力される。電気ガバナ20はそれに基づいて回転数制御信号を出力し、上述の起動停止時と同様に、サーボアンプ31,32とサーボ弁35,36とを介して、第1段及び第2段静翼の油圧アクチュエータ39,40を作動させて、第1段及び第2段静翼2,3をそれぞれ上述の所定角度θ及び流路全閉角度になるように指令する。
【0035】
この電気ガバナ20による制御は、上述のサーボアンプ33,34による直接制御よりも動作が遅くなり、負荷遮断時やタービントリップ時の緊急動作には適さないが、特に負荷遮断時については負荷遮断後の運転回復に備えて、適切な角度制御を行なうために必要となる動作である。
【0036】
そして、負荷遮断時に関しては、第2段静翼3の油圧アクチュエータ40の流路全閉角度位置への移動によりリミットスイッチ43が作動し、このリミットスイッチ43の作動によってタイマ44が作動する。このタイマ44が所定時間(一般には0.5秒程度)をカウントしたとき負荷遮断信号をリセットし、サーボアンプ33,34を介して、第1段及び第2段静翼2,3のサーボ弁37,38をそれぞれロック位置にする。
【0037】
これにより負荷遮断時の緊急動作は終了し、電気ガバナ20、複合演算器25、サーボアンプ31,32、サーボ弁35,36による通常制御に戻り、タービン1の通過ガス量の増減による回転数制御が行われる。この一方、タービントリップ時には、タービン1は緊急停止後そのままの状態が維持される。したがって、上述のリミットスイッチ43、タイマ44等による回復動作は行われない。
【0038】
上述の炉頂圧回収タービンの制御システムにおいては、サーボアンプ33,34とサーボ弁37,38との組み合わせにより、負荷遮断時やタービントリップ時の第1段及び第2段の静翼2,3の作動を制御したが、これに代えて、図7に示すように、電磁弁とロジック弁との組み合わせからなる制御弁45を用いて、負荷遮断時やタービントリップ時に油圧アクチュエータ46を作動させ、第2段静翼10をその流路全閉角度にまで閉じるようにすることもできる。
【0039】
また、負荷遮断時やタービントリップ時に第1段静翼をその流路全閉角度よりも開側に設定された所定角度θへ閉じる動作も、電磁弁とロジック弁との組み合わせにより実施することができる。その他の説明は、上述の炉頂圧回収タービンの制御システムと同様である。
【0040】
このように、本炉頂圧回収タービンの制御システムによれば、複数段の静翼2,3を有する炉頂圧回収タービンにおいて、静翼の第2段以降の少なくとも1段、すなわち、この場合は第2段静翼3が角度可変機構を備え、この第2段静翼3がタービンの負荷遮断時やタービントリップ時に全閉になるから、タービン1へ流入する排ガスが瞬時に減少されて、タービン1のオーバースピードが確実に防止される。
【0041】
また、第1段静翼2及び第2段静翼3の角度可変機構はそれぞれ独立に制御されるから、タービンの負荷遮断時やタービントリップ時に所定の位置へ全閉になる動作を、それぞれ最適に行うことができる。また、第1段静翼2及び第2段静翼3の角度可変機構は、負荷遮断時やタービントリップ時の作動を起動停止時や通常運転時のものとは別の制御機構、例えば、サーボアンプ33,34とサーボ弁37,38との組み合わせにより、又は、電磁弁とロジック弁との組み合わせにより制御されるから、負荷遮断時やタービントリップ時にはその作動を速やかに行うことができる一方、特に負荷遮断時については、サーボアンプ31,32及びサーボ弁35,36によって、その後の通常運転に回復するための動作を速やかに行うことができる。
【0042】
なお、上述の炉頂圧回収タービンの制御システムは一例にすぎず、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0043】
例えば、負荷遮断時やタービントリップ時に、第1段静翼2を第2段静翼3と同様に、その流路全閉角度ないしそれに近い角度まで閉じるようにすることもできる。また、負荷遮断時及びタービントリップ時に、第1段静翼2の角度可変機構と第2段静翼3角度可変機構とをそれぞれ独立に制御するのではなく、一体に制御してもよい。
【0044】
タービン1の負荷遮断時やタービントリップ時の作動制御を、サーボアンプとサーボ弁との組合せ又は電磁弁とロジック弁との組合せによるのではなく、他の機構により行ってもよい。また、上述の炉頂圧回収タービンの制御システムは、2段の静翼2,3を有するタービン1であったが、3段以上の静翼を有するタービンについても同様に実施することができ、また、負荷遮断時やタービントリップ時にその流路全閉角度にまで閉じる静翼は、第2段以降の任意の段の静翼でよい。さらに、この負荷遮断時やタービントリップ時に閉じる第2段以降の静翼は、必ずしもその流路全閉角度にまで閉じる必要はなく、流路全閉に近い角度(略流路全閉角度)まで閉じるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の炉頂圧回収タービンの制御システムを示す系統図である。
【図2】第2段静翼の角度可変機構を示す系統図である。
【図3】第2段静翼の角度可変機構の詳細を示す側面図である。
【図4】第2段静翼の角度可変機構の作動を示す模試図である。
【図5】第2段静翼の角度可変機構の作動を示す模試図である。
【図6】本発明の炉頂圧回収タービンの制御システムの作動を示す模試図である。
【図7】別の第2段静翼の角度可変機構を示す系統図である。
【図8】従来の炉頂圧回収タービンの制御システムを示す系統図である。
【図9】従来の別の炉頂圧回収タービンの制御システムを示す系統図である。
【図10】従来の炉頂圧回収タービンの制御システムの作動を示す模試図である。
【符号の説明】
【0046】
1 タービン
2 第1段静翼
2a 背面
3 第2段静翼
4 内側ケーシング
5 回転環
6 支持ローラ
7 摺動自在継手
8 静翼レバー
9 静翼軸
13 第2段静翼
20 電気ガバナ
21 負荷制限設定器
22 負荷設定器
23 回転数設定器
24 静翼角度設定器
25 複合演算器
31,32,33,34 サーボアンプ
35,36,37,38 サーボ弁
39、40 油圧アクチュエータ
41 ポンプユニット
42 アキュムレータ
43 リミットスイッチ
44 タイマ
45 制御弁
46 油圧アクチュエータ
51 高炉
52 ダストキャッチャ
53 湿式集塵装置
54 バイパス主弁
55 バイパス制御弁
56 ガスホルダ
57 入口塞止弁
58 危急遮断弁
59 出口塞止弁
61 炉頂圧検出器
62 炉頂圧設定器
63 炉頂圧調節計
64 炉頂圧調節制御装置
65 電油変換器
66 タービン前圧検出器
67 タービン前圧設定器
68 タービン前圧調節計
69 減算器
70 バイパス弁制御装置
71,72 電油変換器
80 軸継手
81 発電機
100 高炉
101 ダストキャッチャ
102 湿式集塵装置
103 入口塞止弁
104 危急遮断弁
105 タービン
106 第1段静翼
106a 背面
107 角度可変機構
108 発電機
110 危急遮断弁
111 タービン
112 調速弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段の静翼(2,3,13)を有すると共に高炉(51)の排ガスにより回転駆動されて発電機(81)を回転駆動させる炉頂圧回収タービン(1)の制御システムにおいて、前記静翼の第2段以降の少なくとも1段(3,13)は、角度可変機構(34,38,40,45,46)を有して前記タービンの負荷遮断時に略流路全閉角度まで閉じることを特徴とする炉頂圧回収タービンの制御システム。
【請求項2】
前記タービン(1)の第1段静翼(2)は、角度可変機構(33,37,39)を有すると共に前記負荷遮断時に流路全閉角度よりも開側に設定された所定角度(θ)まで閉じることを特徴とする請求項1に記載の炉頂圧回収タービンの制御システム。
【請求項3】
前記負荷遮断時に略流路全閉角度まで閉じる前記第2段以降の静翼(3,13)は、前記負荷遮断時に前記第1段静翼(2)とは独立に制御されることを特徴とする請求項2に記載の炉頂圧回収タービンの制御システム。
【請求項4】
角度可変機構を有する前記静翼(2,3,13)は、起動停止時及び通常運転時の作動がサーボアンプ(31,32)とサーボ弁(35,36)との組み合わせにより制御される一方、前記負荷遮断時の作動が前記サーボアンプ及び前記サーボ弁とは別のサーボアンプ(33,34)とサーボ弁(37,38)との組み合わせにより、又は、電磁弁(45)とロジック弁(45)との組み合わせにより制御されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の炉頂圧回収タービンの制御システム。
【請求項5】
複数段の静翼(2,3,13)を有すると共に高炉(51)の排ガスにより回転駆動されて発電機(81)を回転駆動させる炉頂圧回収タービン(1)の制御システムにおいて、前記静翼の第2段以降の少なくとも1段(3,13)は、角度可変機構(34,38,40,45,46)を有して前記タービンのタービントリップ時に略流路全閉角度まで閉じることを特徴とする炉頂圧回収タービンの制御システム。
【請求項6】
前記タービン(1)の第1段静翼(2)は、角度可変機構(33,37,39)を有すると共に前記タービントリップ時に流路全閉角度よりも開側に設定された所定角度(θ)まで閉じることを特徴とする請求項5に記載の炉頂圧回収タービンの制御システム。
【請求項7】
前記タービントリップ時に略流路全閉角度まで閉じる前記第2段以降の静翼(3,13)は、前記タービントリップ時に前記第1段静翼(2)とは独立に制御されることを特徴とする請求項6に記載の炉頂圧回収タービンの制御システム。
【請求項8】
角度可変機構を有する前記静翼(2,3,13)は、起動停止時及び通常運転時の作動がサーボアンプ(31,32)とサーボ弁(35,36)との組み合わせにより制御される一方、前記タービントリップ時の作動が前記サーボアンプ及び前記サーボ弁とは別のサーボアンプ(33,34)とサーボ弁(37,38)との組み合わせにより、又は、電磁弁(45)とロジック弁(45)との組み合わせにより制御されることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一つに記載の炉頂圧回収タービンの制御システム。
【請求項9】
角度可変機構を有する前記静翼(2,3,13)は、相互に独立に制御される前記角度可変機構(31,32,35,36,39,40)を有して前記タービンの回転数制御及び又は負荷制御及び又は圧力制御を行なうことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一つに記載の炉頂圧回収タービンの制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−274805(P2006−274805A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90367(P2005−90367)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】