炎症、皮膚異常及び粘膜異常並びに他の皮膚疾病及び粘膜疾病の治療のための局部用製剤
ナノ乳化された局部用製剤であって、クルクミン、テトラヒドロキシクルクミン(BDMC)およびクルクミノイドを単独または組み合わせて0.001%から50%を、炎症および様々な皮膚疾病、粘膜異常、等々の治療に有効な1種以上の薬学的、栄養補助的または食餌療法的に利用可能な添加物または不活性成分と共に含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノ乳化(ナノサイズ乳化)された局部用製剤に関する。この製剤は、炎症、様々な皮膚異常、粘膜異常および皮膚や粘膜の他の疾病の治療に有効なクルクミン、テトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)またはクルクミノイドの単独または組み合わせを含む。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は3種の主要層で成る。すなわち、防水効果を有し、感染に対する防護層として機能する表皮と、皮膚の付属物のための場所を提供する真皮と、基底膜とも称される皮下組織とである。皮膚の異常は外皮層である表皮に関係する。表皮異常はバクテリア感染、ウィルス感染または真菌感染によることが多い。皮膚異常は体調の平衡失調の兆候でもあり得る。
【0003】
乾癬は非接触感染性の疾患であり、皮膚と関節とに影響を及ぼす。乾癬によって引き起こされる瘡蓋を伴う斑点は乾癬性溶菌斑と称され、炎症および過剰皮膚再生の部位である。この疾患は慢性的再発性であり、症状の程度は軽症の局部斑点から全身性のものまで多様である。
【0004】
病理生理学的に、さほど注目されていないが乾癬の要因は乾癬における欠陥皮膚防護層の存在である。活性乾癬の場合には4日毎に表皮を更新する急速表皮代謝によって乾癬患者は皮膚防護機能がクラゲの防護機能に似た欠陥皮膚防護層を有する。一方、正常な皮膚では表皮は28日から30日毎に更新される。この結果、正常な皮膚では水分を逃がさずに化学物質やバクテリアの侵入を阻止することができる防護機能を有した皮膚角質層が保たれる。よって正常な皮膚は身体を損傷や感染の悪化から保護する。
【0005】
乾癬、皮膚創傷、座瘡、火傷、湿疹および喫煙習慣による疾患は皮膚の主要な病理症状である。これら症状に対しては現在数多くの治療法が存在するが、さらに効果的な治療法が求められている。特に、これら症状の一部と関連する黄色ブドウ球菌による表層でのバクテリア異常増殖に対処できる効果的な治療法が求められている。
【0006】
これら症状はしばしば炎症を伴う。この炎症は、リンパ球およびマクロファージのごとき炎症細胞によって分泌される幾種かの炎症性サイトカインや、ヒスタミン、ブラジキニン、セロトニン、プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエンおよび血小板活性因子等の幾種かの局部的または部位的に活性である物質によって仲介されることがある。しかしながら、これら症状は全て炎症を伴うという同一根底または病理メカニズムを有する。特に、この重要な炎症メカニズムの理解は乾癬並びに関連する炎症性疾患および他の症状の基本的な病理メカニズムの理解を助け、創傷、火傷、湿疹および座瘡のごとき皮膚疾病のさらに効果的な治療法の開発に結びつく。
【0007】
非乾癬対象者または動物においても炎症は座瘡や湿疹のごとき疾病における様々な感染性あるいはアレルギー性刺激物によって引き起こされる。あるいは、火傷、創傷、喫煙習慣/ニコチン摂取による疾病および早老の原因ともなる日光に誘発された皮膚損傷等の様々な物理的刺激物および化学的刺激物によっても引き起こされる。これら非乾癬性炎症病変部はホスホリラーゼキナーゼの増量も示す。増加したホスホリラーゼキナーゼ活性による増加したグリコーゲン分解は、これら病状での炎症性カスケードにおける様々なエネルギー依存プロセスのためのATP蓄積量を着実に増加させる。
【0008】
乾癬、並びに座瘡、湿疹、火傷、創傷、喫煙習慣/ニコチン摂取に誘発された病症、日光に誘発された皮膚損傷および早老、炎症を通じて組織に損傷を引き起こす他の症状の生物化学的および遺伝学的原因が明白になったにも関わらず、乾癬、座瘡、湿疹、創傷、火傷、喫煙習慣/ニコチン摂取に誘発された病症、日光に誘発された損傷および早老、並びに炎症によって組織に損傷を及ぼす他の病状のさらに効果的な薬剤組成物や治療法が求められている。特に、対象部位の炎症を抑えることができ、バクテリア異常増殖症状において効果的な薬剤および治療法が求められている。さらに、怪我をした皮膚および血管に対する異常瘢痕組織および有害増殖レスポンスを抑えることができる治療法が求められている。特に、喫煙習慣および日光誘発性の炎症は早老をも促進する可能性がある。これら病状での炎症を抑えること、すなわちホスホリラーゼキナーゼ活性の抑制は日光で損傷を受けた皮膚および慢性喫煙者の皮膚における早老を防止することができるであろう。ホスホリラーゼキナーゼ抑制剤による火傷の早期治療は傷部の悪化を抑え、または防止することができるであろう。
【0009】
乾癬治療用の合成薬剤製品は市場に多数存在する。しかし乾癬の慢性的再発性の特徴によって乾癬は治療が非常に困難である。
【0010】
US6515016は乾癬の治療または予防の方法を説明する。この方法は乾癬患者に対して治療効果量の抗微小管化剤を投与することを含む。この抗微小管化剤はパクリタキセルまたはそのアナログ(類縁体)あるいは誘導体である。
【0011】
US6107349はヒト患者の乾癬治療法を開示する。この方法は、患者に対して継続的に治療効果量のビタミンE、月見草油、葉酸、並びにビタミンB-1、ビタミンB-2、ビタミンB-3、ビタミンB-6およびビタミンB-12から選択されるビタミンB群、ビオチン、パラアミノ安息香酸および抗脂肝因子の組み合わせ剤を選択的に経口摂取させる。
【0012】
US6830758は乾癬、皮膚炎及び/又は湿疹の治療あるいは予防に有効である不水溶性の接着性皮膚保護パッチを解説する。
【0013】
さらに乾癬の治療のための薬草組成物に関する多数の文献が存在する。WO/2003/057133はアルゲモンメキシカーナの葉及び/又は茎からの抽出物質を含有する新規な薬草組成物を開示する。この組成物はオプションでクミン果実からの抽出物を含有している。この抽出物は生体外適用並びに生体内適用の両方で有効であり、興味深い免疫学的および薬理学的活性を有している。この文献はさらにその調製法も開示する。加えてこの文献は、この新規な薬草組成物の投与による乾癬および関連する免疫学的並びに生物学的疾患の治療法をも開示する。
【0014】
US5925376は乾癬表皮細胞の増殖と末端分化を防止する方法を解説する。この方法は乾癬表皮細胞を、1回分の分量で投与されるクルクミンと接触させるステップを含む。この際の投与は、(a)毎日250mgから2gの経口投与、および(b)0.1%から10%の濃度で局部用半固体投与形態である軟膏/クリーム/ゲル/ローションの形態で1種から4種の追加化合物との共同投与、のいずれかである。これら追加化合物は、(i)0.005%の軟膏形態の1-α,2,5-ジヒドロキシビタミンD-3、(ii)1日に1回から3回、25mgの投与量で投与されるエトレチネート、(iii)1日に3回、60mgの投与量で投与されるジルチアゼム、および(iv)1日に1回または2回、約0.1%から約3%の濃度の軟膏またはペーストで投与されるアントラリン、から選択される。
【0015】
US20080058426は、70%から80%のテトラヒドロクルクミン、15%から20%のテトラヒドロデメトキシクルクミン、および2.5%から6.5%のテトラヒドロビスデメトキシクルクミンを含んだテトラヒドロクルクミノイドの混合物を含有したクリーム状の組成物を解説する。
【0016】
クルクミンは選択性のホスホリラーゼキナーゼ阻害剤であることが発見されている(レディ・S・アガルワルBBの「クルクミンはホスホリラーゼキナーゼの非競合性で選択性である阻害剤」FEBS報告書、1994年、341:19-22)。
【0017】
クルクミンによるホスホリラーゼキナーゼ活性の抑制は乾癬の分解に導くことも証明されている(ヘングMCY他の「臨床試験による組織学および免疫組織化学パラメータによる評価:ホスホリラーゼキナーゼ活性の薬剤による抑制は乾癬の分解と関係」英国皮膚科学学会誌、2000年、143:937-949)。
【0018】
近年、乾癬の様々な治療用薬剤組成物および治療法が開示された。しかし、それらいずれも、本発明のユニークで重要な特徴であるテトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)、クルクミン、クルクミノイドを含有する組成物には触れていない。
【0019】
従って、哺乳動物における炎症およびフリーラジカル(遊離基)の発生を含んだ諸問題にも対処できる薬草系製剤の開発が当分野において必要とされている。よって本願は、クルクミン、テトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)あるいは他のクルクミノイドを単独または組み合わせ、乾癬や炎症の治療に適した1以上の薬剤利用可能である添加物(補助剤)または不活性成分と共にナノ乳化された局部用製剤に関する。この炎症とは座瘡、湿疹、皮膚外傷、火傷、喫煙習慣/ニコチン摂取に誘発された障害、早老および日光に誘発された病症のごとき疾患の主たる症状であるが、これらに限定はされない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】US6515016
【特許文献2】US6107349
【特許文献3】US6830758
【特許文献4】WO/2003/057133
【特許文献5】US5925376
【特許文献6】US20080058426
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】レディ・S・アガルワルBBの「クルクミンはホスホリラーゼキナーゼの非競合性で選択性である阻害剤」FEBS報告書、1994年、341:19-22
【非特許文献2】ヘングMCY他の「臨床試験による組織学および免疫組織化学パラメータによる評価:ホスホリラーゼキナーゼ活性の薬剤による抑制は乾癬の分解と関係」英国皮膚科学学会誌、2000年、143:937-949
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の要旨
本発明は、クルクミン、テトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミンまたはクルクミノイドを単独または組み合わせ、1以上の薬剤利用可能で、栄養学的に有効あるいは食餌療法的に利用でき、乾癬、座瘡、湿疹、皮膚外傷、火傷、喫煙習慣/ニコチン摂取により誘発された病症、早老、および日光に誘発された損傷並びに粘膜疾患のごとき炎症の治療に有効な添加物あるいは不活性成分と共に含有するナノ乳化された局部用製剤を開示する。
【0023】
さらに本発明は、乾癬、座瘡、湿疹、皮膚外傷、火傷、喫煙習慣/ニコチン摂取により誘発された病症、早老、および日光に誘発された損傷並びに粘膜疾患等の炎症症状を患う哺乳動物を治療する方法を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1はナノ乳化されたクルクミン98%のサイズを示すグラフである。
【図2】図2は未調製クルクミン98%のサイズを示すグラフである。
【図3】図3はナノ乳化されたBDMCのサイズを示すグラフである。
【図4】図4はマウスの尻尾(テール)(対照群)のTSを示す病理組織図である。
【図5】図5はマウステール(ベヒクル群)のTSを示す病理組織図である。
【図6】図6はコールタールで治療されたマウステールのTSを示す病理組織図である。
【図7】図7は溶解クルクミンで治療されたマウステールのTSを示す病理組織図である。
【図8】図8は調製されたクルクミンで治療されたマウステールのTSを示す病理組織図である。
【図9A】図9Aは選択され、階層クラスタリングされた、TNF-α未治療対照群と比較して2.0倍以上にアップレギュレーションされたTNF-α治療群の遺伝子を示す。
【図9B】図9BはTNF-α治療に続いてアップレギュレートされ、BDMC/クルクミン/クルクミノイドによってダウンレギュレートされ、DCとして選択された遺伝子の主要なクラスタを示す。
【図9C】図9CはTNF-α治療に続いてアップレギュレートされ、BDMC/クルクミン/クルクミノイドによってダウンレギュレートされ、C95感性遺伝子として選択された遺伝子の主要なクラスタを示す。
【図10】図10はDAVID(注釈、視覚化および統合化発見のためのデータベース;NIAID;NIH)(焦点癒着)を利用した機能解析により特定された候補遺伝子を示す。
【図11】図11はDAVID(注釈、視覚化および統合化発見のためのデータベース;NIAID;NIH)を利用した機能解析により特定された候補遺伝子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
本発明をいくつかの好適であってオプションでもある実施例に従って詳細に解説する。この解説によって本発明の様々な形態および特徴が十分に理解されるであろう。
【0026】
ここで使用する“クルクミノイド”とはクルクミン、デメトキシクルクミンおよびビスデメトキシクルクミンの混合物である。
【0027】
ここで言及する“本発明の組成物”とは“クルクミン”または“テトラヒドロキシクルクミン”または“クルクミノイド”あるいはそれらの混合物であり、専門家であればそのように理解できよう。
【0028】
上記内容に従い、本発明の1形態によれば、テトラヒドロキシクルクミンまたはビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)[テトラヒドロキシクルクミンまたはビス-O-デメチルクルクミンの製造方法はPCT/IN05/00337で解説:プロドラッグは(BDMC/クルクミン)PCT/IN2009/000382で解説:眼科適用クルクミン/BDMCはPCT/IN2009/000650で解説]が本発明において利用され、限定されないが乾癬、座瘡、湿疹、外傷、火傷、日光による損傷および皮膚老化を含む一連の皮膚疾患に対処する。テトラヒドロキシクルクミンを含んだナノ乳化された製剤は抗炎症剤として有効であり、可能性としては抗癌剤としても有効である。
【0029】
腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、インターロイキン、インターフェロン-γ(IFN-γ)等の生体分子マーカの改善によるか、あるいはプロテインキナーゼ(PKC)のごとき酵素の阻害、ホスホリラーゼキナーゼ活性の阻害、および抗酸化活性の保有によるテトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミンは、乾癬の劣悪質表皮角質層に関わる急速表皮更新を遅らせ、健康な皮膚を提供する表皮防護を正常化させ、さらに粘膜疾患を治療する。
【0030】
本発明の別の形態では、乾癬、座瘡、湿疹、外傷、火傷、日光による皮膚老化および口内粘膜炎のごとき粘膜疾患を含む一連の皮膚異常を治療するためにウコン根粉末のスパイスに含まれる天然成分であるクルクミンが本発明で使用されてきた。クルクミンを含有するこのナノ乳化された製剤は抗炎症剤として有用であり、抗癌剤としても有効である可能性を備える。
【0031】
本発明のさらに別な形態では、乾癬、座瘡、湿疹、外傷、火傷、日光による皮膚の損傷および老化、並びにあらゆるタイプの粘膜疾患を治療させるためにクルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミンはクルクミノイドと置換できる。
【0032】
本発明のナノ乳化された局部用製剤は、限定はしないが半固体投与形態であり、軟膏/クリーム/ゲル/ローションが安価に利用でき、1以上の現存する乾癬治療法と併用して効果的な補助的治療として活用できる。
【0033】
テトラヒドロキシクルクミンは抗炎症活性を有しており、乾癬、日光による皮膚の損傷および座瘡のごとき炎症によって引き起こされた皮膚症状に対して有効であると考えられる。さらにテトラヒドロキシクルクミンはホスホリラーゼキナーゼ活性を抑制する。
【0034】
よって本発明の1実施形態では、本発明は様々な皮膚症状の治療に有用な抗炎症剤および抗酸化剤としてテトラヒドロキシクルクミン(BDMC)を含有したナノ乳化された局部用製剤を提供する。
【0035】
本発明の別実施形態では、本発明は様々な皮膚症状の治療に有用な抗炎症剤および抗酸化剤としてクルクミンを含有したナノ乳化された局部用製剤を提供する。
【0036】
本発明のさらに別な実施形態では、本発明は様々な皮膚症状の治療に有用な薬学的、栄養補助的および食餌療法的に利用可能または不活性である成分と共に抗炎症剤および抗酸化剤としてクルクミンを含有したナノ乳化された局部用製剤を提供する。
【0037】
本発明のさらに別な実施形態では、本発明は乾癬および全てのタイプの火傷、座瘡、皮膚外傷、湿疹、日光により損傷した皮膚および結果的な皮膚の早老の治療法を提供する。この方法は疾患皮膚、特に疾患表皮を、ホスホリラーゼキナーゼ活性を明確に抑えるのに十分な量で、クルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミン(BDMC)または他の適したクルクミノイドを単独あるいは組み合わせて投与して治療することを含む。
【0038】
従って本発明は、クルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミンまたはクルクミノイドを単独または組み合わせて、上述のごとき皮膚に関係する疾病の治療に有効な1以上の薬学的、栄養補助的あるいは食餌療法的に利用可能な添加物あるいは不活性成分と共に含有するナノ乳化された局部用製剤を開示する。
【0039】
典型的にはクルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミン(BDMC)あるいはクルクミノイドは、限定はしないが半固体である投与形態の軟膏/クリーム/ゲル/ローションの形態で局部的に投与される。
【0040】
本発明の別な形態では、本発明のクルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミン(BDMC)あるいはクルクミノイドは単独または組み合わせて、限定はされないが局部用軟膏/クレームの形態で0.001%から50%、好適には0.01%から30%、さらに好適には0.1%から20%の濃度で投与される。
【0041】
本発明の別の形態では、本発明の組成物に単独または組み合わせて利用されるクルクミン、テトラヒドロキシクルクミンまたはクルクミノイドは医師の指示に従って、罹患した哺乳動物に疾患の程度に応じて毎日1回から4回投与される。この哺乳動物とはヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、その他でよい。
【0042】
本発明の別の形態では、本発明のナノ乳化された局部用製剤のクルクミン/テトラヒドロキシクルクミン(BDMC)の粒子サイズは0.5nmから100nmであり、好適には1nmから50nmであり、さらに好適には2nmから25nmである。
【0043】
本発明の製剤中のクルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミンあるいはクルクミノイドの粒子サイズは8nmから11nmの範囲である。
【0044】
本発明の別な実施形態では哺乳動物の炎症の治療法が提供される。この方法は、哺乳動物を本発明の組成物で治療するステップを含む。このステップは、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、インターロイキン、インターフェロン-γ(IFN-γ)のごとき生体分子マーカの改良によって、あるいはプロテインキナーゼC(KPC)、ホスホリラーゼキナーゼのごとき酵素の阻害を含む。本発明の別実施形態では、本発明は乾癬表皮細胞の増殖と末端分化の予防または阻害の方法を提供する。この方法は乾癬表皮細胞を、TNF-α、MMP、インターロイキン、IFN-γのごとき生物分子マーカの改良に十分な量で本発明の組成物と接触させることを含む。あるいはPKC、ホスホリラーゼキナーゼのごとき酵素を阻害することを含む。本発明者はクルクミンあるいはテトラヒドロキシクルクミンまたはクルクミノイドを単独あるいは組み合わせて、1以上の薬学的、栄養補助的または食餌療法的に利用可能な不活性成分と共に利用する局部投与用の新規薬剤組成物を開発した。さらに本発明は、炎症を予防、治療または制御する新規な方法を開示する。さらに本発明は乾癬、外傷、火傷、座瘡、湿疹、日光に起因する損傷や皮膚の早老、および喫煙習慣/ニコチン摂取に起因する損傷のごとき炎症皮膚症状を予防、制御または治療する新規な方法を開示する。
【0045】
初期の開発研究により、様々な炎症性皮膚疾患および病変症状は炎症の進行プロセスと関係し、それにより悪化することが示された。これらの疾病メカニズムは特に乾癬に関するものであるが、類似したメカニズムが炎症を伴う外傷、火傷、座瘡および湿疹、並びに日光や喫煙習慣/ニコチン摂取によって引き起こされる皮膚損傷において進行していると思われる。よってTNF-α、MMP、インターロイキン、IFN-γのごとき生物分子マーカの改善をもたらす薬剤、あるいはPKCのごとき酵素を阻害することで、テトラヒドロキシクルクミン、クルクミン、またはクルクミノイドのごときホスホリラーゼキナーゼが単独あるいは組み合わされて前述の症状を伴う炎症を予防し、治療し、または制御するのに効果的であろう。
【0046】
本発明の方法は炎症を患う哺乳動物を、クルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミン(BDMC)またはクルクミノイドの単独または組み合わせを十分な量で局部投与して治療するステップを含む。
【0047】
本発明の方法は、表皮の疾患を改善し、病変部を乾燥し、治癒を促進し、症状の再発を防止するために前述のステップを通じて炎症を効果的に予防、治療または制御する。
【0048】
治療薬の投与量は、病気の程度、患者の年齢と体重、および乾癬や他の皮膚科学的または全身的炎症症状の発生を誘発する状態への患者の露出程度、日光または喫煙や煙草の煙への患者の露出程度、および肝臓や腎臓代謝のごとき一般的に認められている他の薬物動態学要因を考慮して専門家が決定する。投薬治療法の調整は治療反応を最良化するように実施する。薬剤量は毎日分割して投与するか、治療状況に応じて減少させることができる。
【0049】
本発明の別実施形態では、この組成物の調製に利用が可能な添加物または不活性成分は、限定はしないが、軽量液体パラフィンのごときクリーム状の乳化剤、PEG、セチルアルコールのごとき水洗可能な基剤、ステアリン酸、ステアリルアルコール、グリセロールモノステアレート、ラノリン、グリセリンその他、およびグリセリルモノステアレート(GMS)、ポリエチレングリコール(PEG400)およびセチルアルコール(CA)のごとき固形乳化剤/非イオン系界面活性剤およびツイーン80、又は、メチル、エチル、若しくはプロピルパラベンのごとき保存剤、又は、ブロニドックス(bronidox)、皮膚へ容易に浸透させるためのミリスチン酸イソプロピルのごときエモリエント、皮膚の保湿および弾力を与えるためのコラーゲン、ラベンダーオイルのごとき芳香剤、並びに2-フェニルエタノールのごとき防腐剤、等々である。別実施形態では組成物は、本発明の局部投与製剤に皮膚の赤斑点や過剰色素沈着を共同で減少させるためのナイアシンアミドを含有する。
【0050】
本発明の別形態では組成物は、限定はしないが、知られた薬学的、栄養補助的または食餌療法的に利用可能な抗炎症、抗乾癬、抗酸化、抗アレルギー、抗ウイルス、抗菌、血管新生阻害剤、等々を含むことができる。
【0051】
本発明の別実施形態では、クルクミン、テトラヒドロキシクルクミンあるいはクルクミノイドは単独または組み合わされ、限定はしないが、超音波処理/乳化/滴定、粉化、噴霧乾燥、固体分散、ホットメルト押出し、フリーズドライ、等々の技術によるナノ乳化処理によって調製される。テトラヒドロキシクルクミンのナノ乳化物を調製する方法は実施例1において説明されているが、クルクミンとクルクミノイドのナノ乳化も類似した方法で可能である。
【0052】
以下の実施例は本発明の好適実施例を含んでおり、本発明の実施を解説するが、それらは本発明の好適実施例の解説を目的としており、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0053】
本発明の実施態様
【実施例1】
【0054】
テトラヒドロキシクルクミンを含有したナノ乳化された局部用製剤(100g/クリーム状)
グリセリルモノステレート(GMS)5.28g、ポリエチレングリコール4000(PEG4000)2.64g、ジメチルスルフォキシド(DMSO)1ml、ナイアシンアミド100mg、ミリスチン酸イソプロピル4ml、フェニル2-エタノール1ml、軽量液体パラフィン2ml、セチルアルコール2.64g、フェニル2-エタノール1ml、コラーゲン13.20g、テトラヒドロキシクルクミン250mg、ブロニドックス100μl、ラベンダーオイル100μl、および脱ミネラル水65.04ml。
【0055】
製造工程は以下のステップを含む:
1.計量したグリセリルモノステアレート(GMS)、ポリエチレングリコール(PEG400)、セチルアルコール(CA)を洗浄した50mlビーカに入れ、続いてピペットで軽量液体パラフィンとミリスチン酸イソプロピルを乳化剤中に入れる。
2.この混合物にフェニル-2-エタノールを加える。
3.溶液が透明になるまでコラーゲンを10mlの脱ミネラル水に浸漬し(25分以内)、ナイアシンアミドを加える。
4.計量したテトラヒドロキシクルクミン/クルクミン/クルクミノイドを洗浄容器に移し、ツィーン80およびPEG400と溶解混合してナノ乳化物にし、制御温度下で超音波処理する。
5.固体乳化剤、グリセリルモノステアレート(GMS)、ポリエチレングリコール(PEG400)およびセチルアルコール(CA)を70℃で溶解し、脱ミネラル水を同時的に加熱する。
6.直ちに溶解したテトラヒドロキシクルクミンの半分を加熱した乳化剤中に加え、十分に混合する。
7.同時に70℃で65.04mlの脱ミネラル水を加熱する。
8.融解した乳化剤を沸騰した脱ミネラル水に加え、激しく撹拌して、室温でクリーム状の粘性物にする。
9.コラーゲンとニアシンの混合物を加え、混合して滑らかなクリーム状にする。
10.溶解したテトラヒドロキシクルクミンの別の半分を冷却したクリームに加えて混合する。
11.ブロニドックスを1mlのPEG400に溶解し、ステップ9の混合物に加える。
12.このクリームにラベンダーオイルを加え、芳香を与える。
【実施例2】
【0056】
クルクミンの溶解
1.60mgのクルクミンを計量し、10ml容積のビーカに入れた。
2.これに1g(765μl)のツイーン80と1gのPEGを加え、ガラス棒で十分に撹拌した。
3.続いて30分間超音波処理し、クルクミンを完全溶解した。
4.深紅の溶液が得られた。
5.粒子サイズ分布研究によりナノ乳化物のサイズは8nmから11nmであり、このサイズで十分に利用可能であると判断された。
【実施例3】
【0057】
98%ナノ乳化クルクミンとビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)の粒子サイズ分布データ
ナノ乳化された製剤に対して実施された粒子サイズ分布研究はさらに、クルクミン分子が現行製剤中にナノサイズ粒子として存在することを確認した。この研究は未調製形態では374nmであったクルクミン分子がユニークなプロセスによって8nmから11nmサイズの粒子に乳化されることを証明した。これはこの製剤工程を通じたクルクミンの増強移動性および効能を証明するものであった。
【0058】
この研究はマルバーン粒子サイズ分析装置を使用して実行された。拡散密度と角度との関係を表すマップは粒子サイズの計算に使用される主要情報源である。粒子の拡散は、最も広い動的範囲で正確にサイズ化させるミー拡散モデルによって正確に予測される。レーザ回折測定中に粒子は焦点処理されたレーザビームを通過する。これら粒子はそのサイズに反比例する角度で光を拡散させる。拡散光の角密度は一連の感光検出器で測定される。この研究の利点はサンプル準備が不要なことである。
【0059】
98%ナノ乳化クルクミンと、ナノ乳化BDMCと98%クルクミンの粒子サイズ分布の研究はナノ乳化BDMCと98%クルクミンの粒子サイズが8nmから11nmであることを明確に示した(図1から図3参照)。これは373nmであった未調製の98%クルクミンの粒子サイズと比較して、ナノ乳化された化合物の理想的なサイズである。製剤調製に使用される高分子添加剤により与えられる追加のピークが観測できる。得られた結果は、現行製剤がナノ乳化形態であることを示している。
【実施例4】
【0060】
マウステール試験によるBalb/cマウスの正常角化誘導におけるナノ乳化されたクルクミン組成物の効能研究
表皮分化および正常角化(顆粒層)誘導に対する薬剤効果の定量評価のために標準高感度再現可能マウステール試験法を活用した新規なクルクミン製剤の抗乾癬活性を測定する生体内研究が実行された(ボスマン他、1992年;ミルタ他、1998年)。それによればマウステール組織はヒトの乾癬皮膚の病理組織に匹敵するものであった。
【0061】
8匹の各グループ(群)に分かれた5グループから成る生後8週間から9週間の40匹の動物(Balb/cマウス)がこの研究に使用された。指定投与量の試験物質がそれぞれのグループに、1日に2回、計14日間、マウステールに局部投与された(100mgの新規なクルクミン製剤:研究対象物品または100μlの溶解クルクミンあるいは100μlの5%コールタールを陽性対照として使用あるいは薬剤ベヒクル単独で使用)。未治療マウステールは未処理対照として利用された。実験期間の終了時にマウスは処分された。テール治療部は約2.5cmであった。それらは採取され、4%ホルマリン内で固定された。治療テールと未治療対照からの長形組織部(1テールに付き10組織部)が作成され、ヘマトキシリンとエオシン(H&E)で着色された。
【0062】
個々の鱗部内で十分に広がった顆粒層の水平長が全長に対して顕微鏡で計測された。個々の鱗部内の十分に広がった顆粒層の水平長を、その鱗部の水平長で割った百分率が計算され、誘導された正常角化の程度が得られた。個々の動物で得られた値の計算平均値は統計分析に活用された。その結果、クルクミンと純粋溶解クルクミンとの新規製剤での治療は正常角化層の誘導、連続顆粒の形成、および表皮厚化において大きな改善をもたらすことが推認された。図4から図8で示すように、研究グループで得られた肯定的な結果は、標準的な従来のコールタール治療に比肩し、ベヒクル対照よりも大幅に改善されていることが確認された。
【0063】
図4は組織検査のために顕微鏡で観察されて計測されたマウステール(対照群)のTSを示す。これはヒトの乾癬病変で特徴付けられる不連続顆粒層および弱く形成された表皮層である。図5はベヒクル治療群(ワックス含有)の顆粒層、および、かなり広がった表皮層の不連続形成を示す。図6はコールタール治療群の大きく広がった表皮層を示す。顆粒層の形成もこの場合には明確に特徴付けられている。コールタールは乾癬を抑制するために普通に用いられる。従ってコールタールは本発明の製剤クルクミンの効果を比較するための基準として利用されている。図7は溶解クルクミンの場合によく特徴付けられている表皮層の形成を示す。これは添加物に溶解された純粋クルクミンを利用して調製された。しかしながらここでは顆粒層は連続的ではない、図8は製剤クルクミンによる治療で得られた連続顆粒層と良好な表皮厚とを示す。この治療効果はコールタールの場合に匹敵する。
【0064】
上記研究の臨床結果は、乾癬並びに関連炎症症状の治療における本発明組成物の治療的利用の可能性を明確に暗示する。
【実施例5】
【0065】
BDMC/クルクミン/クルクミノイドに対して実施されたマイクロアレイ研究
TNF-αは炎症を伴ういくつかの臨床的症状の病因と関連することが暗示され、確認されている。特に乾癬、アテローム性硬化症、糖尿病タイプII、敗血症およびリウマチ性関節炎、等々の慢性症状の免疫改変機能に関連することが知られている。
【0066】
TNF-αおよびその受容体は乾癬プラークの増殖および耐久性おいて重要な役割を果たす。TNF-αは乾癬症状(皮膚および滑液膜)で制御不能であることが分っており、この制御は乾癬の治療において大きな目標となっている。
【0067】
BDMC/クルクミン/クルクミノイドの効果はヒトの微小血管内皮細胞(HMEC)でのTNF-α誘導遺伝子発現において研究された。
【0068】
デメチル化されたクルクミノイド(BMDC、クルクミン)/クルクミノイドで予備治療された/予備治療されていないTNF-α治療内皮細胞で特異的発現された遺伝子のセットを特定するためにマイクロアレイ分析が実施された。データ取得および画像処理はGCOS(遺伝子チップ操作ソフトであるアフィメトリックス)を使用して実行された。TNF-α未治療対照群と比較してTNF-α治療群で2.0倍以上アップレギュレートされた遺伝子が選択され、階層クラスタリングにかけられた。TNF-α治療後にアップレギュレートされ、デメチル化されたクルクミノイド(BMDC,クルクミン)/クルクミノイドによりユニークにダウンレギュレートされた主要なクラスタ遺伝子は高感度遺伝子として選択された。これらサブクラスタはDAVID(注釈、視認および総合発見データベース;NIAID;NIH)(図10および図11参照)を使用したさらなる機能分析に回された。各クラスタで特定された主要な知られた経路(KEGG、遺伝子およびゲノムの京都百科事典)が候補遺伝子を印した経路マップとして図示されている。
【0069】
発生データは上述したようにTNF-αの機能に対するビス-O-デメチルクルクミンの活性に関係する。
【0070】
HMECのTNF-αの誘導可能なトランスクリプトームのGeneChip(登録商標)スクリーニングは2倍以上の大きさで誘導された1195個のプローブセットを特定した。
【0071】
上述のように実施されたマイクロアレイ研究は、TNF-αで攻撃された微小血管内皮細胞の中で、全部で1065個のTNF-α誘導可能遺伝子がビス-O-デメチルクルクミンに対して高感度であった(図1)。ビス-O-デメチルクルクミンはTNF-αに対して拮抗作用を有することも研究で知られた。
【0072】
従って、TNF-α並びに結果としてTNF-α媒介メカニズムのダウンレギュレーションに対するビス-O-デメチルクルクミンの拮抗作用は乾癬の治療において良好な効果が望める。
【技術分野】
【0001】
本発明はナノ乳化(ナノサイズ乳化)された局部用製剤に関する。この製剤は、炎症、様々な皮膚異常、粘膜異常および皮膚や粘膜の他の疾病の治療に有効なクルクミン、テトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)またはクルクミノイドの単独または組み合わせを含む。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は3種の主要層で成る。すなわち、防水効果を有し、感染に対する防護層として機能する表皮と、皮膚の付属物のための場所を提供する真皮と、基底膜とも称される皮下組織とである。皮膚の異常は外皮層である表皮に関係する。表皮異常はバクテリア感染、ウィルス感染または真菌感染によることが多い。皮膚異常は体調の平衡失調の兆候でもあり得る。
【0003】
乾癬は非接触感染性の疾患であり、皮膚と関節とに影響を及ぼす。乾癬によって引き起こされる瘡蓋を伴う斑点は乾癬性溶菌斑と称され、炎症および過剰皮膚再生の部位である。この疾患は慢性的再発性であり、症状の程度は軽症の局部斑点から全身性のものまで多様である。
【0004】
病理生理学的に、さほど注目されていないが乾癬の要因は乾癬における欠陥皮膚防護層の存在である。活性乾癬の場合には4日毎に表皮を更新する急速表皮代謝によって乾癬患者は皮膚防護機能がクラゲの防護機能に似た欠陥皮膚防護層を有する。一方、正常な皮膚では表皮は28日から30日毎に更新される。この結果、正常な皮膚では水分を逃がさずに化学物質やバクテリアの侵入を阻止することができる防護機能を有した皮膚角質層が保たれる。よって正常な皮膚は身体を損傷や感染の悪化から保護する。
【0005】
乾癬、皮膚創傷、座瘡、火傷、湿疹および喫煙習慣による疾患は皮膚の主要な病理症状である。これら症状に対しては現在数多くの治療法が存在するが、さらに効果的な治療法が求められている。特に、これら症状の一部と関連する黄色ブドウ球菌による表層でのバクテリア異常増殖に対処できる効果的な治療法が求められている。
【0006】
これら症状はしばしば炎症を伴う。この炎症は、リンパ球およびマクロファージのごとき炎症細胞によって分泌される幾種かの炎症性サイトカインや、ヒスタミン、ブラジキニン、セロトニン、プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエンおよび血小板活性因子等の幾種かの局部的または部位的に活性である物質によって仲介されることがある。しかしながら、これら症状は全て炎症を伴うという同一根底または病理メカニズムを有する。特に、この重要な炎症メカニズムの理解は乾癬並びに関連する炎症性疾患および他の症状の基本的な病理メカニズムの理解を助け、創傷、火傷、湿疹および座瘡のごとき皮膚疾病のさらに効果的な治療法の開発に結びつく。
【0007】
非乾癬対象者または動物においても炎症は座瘡や湿疹のごとき疾病における様々な感染性あるいはアレルギー性刺激物によって引き起こされる。あるいは、火傷、創傷、喫煙習慣/ニコチン摂取による疾病および早老の原因ともなる日光に誘発された皮膚損傷等の様々な物理的刺激物および化学的刺激物によっても引き起こされる。これら非乾癬性炎症病変部はホスホリラーゼキナーゼの増量も示す。増加したホスホリラーゼキナーゼ活性による増加したグリコーゲン分解は、これら病状での炎症性カスケードにおける様々なエネルギー依存プロセスのためのATP蓄積量を着実に増加させる。
【0008】
乾癬、並びに座瘡、湿疹、火傷、創傷、喫煙習慣/ニコチン摂取に誘発された病症、日光に誘発された皮膚損傷および早老、炎症を通じて組織に損傷を引き起こす他の症状の生物化学的および遺伝学的原因が明白になったにも関わらず、乾癬、座瘡、湿疹、創傷、火傷、喫煙習慣/ニコチン摂取に誘発された病症、日光に誘発された損傷および早老、並びに炎症によって組織に損傷を及ぼす他の病状のさらに効果的な薬剤組成物や治療法が求められている。特に、対象部位の炎症を抑えることができ、バクテリア異常増殖症状において効果的な薬剤および治療法が求められている。さらに、怪我をした皮膚および血管に対する異常瘢痕組織および有害増殖レスポンスを抑えることができる治療法が求められている。特に、喫煙習慣および日光誘発性の炎症は早老をも促進する可能性がある。これら病状での炎症を抑えること、すなわちホスホリラーゼキナーゼ活性の抑制は日光で損傷を受けた皮膚および慢性喫煙者の皮膚における早老を防止することができるであろう。ホスホリラーゼキナーゼ抑制剤による火傷の早期治療は傷部の悪化を抑え、または防止することができるであろう。
【0009】
乾癬治療用の合成薬剤製品は市場に多数存在する。しかし乾癬の慢性的再発性の特徴によって乾癬は治療が非常に困難である。
【0010】
US6515016は乾癬の治療または予防の方法を説明する。この方法は乾癬患者に対して治療効果量の抗微小管化剤を投与することを含む。この抗微小管化剤はパクリタキセルまたはそのアナログ(類縁体)あるいは誘導体である。
【0011】
US6107349はヒト患者の乾癬治療法を開示する。この方法は、患者に対して継続的に治療効果量のビタミンE、月見草油、葉酸、並びにビタミンB-1、ビタミンB-2、ビタミンB-3、ビタミンB-6およびビタミンB-12から選択されるビタミンB群、ビオチン、パラアミノ安息香酸および抗脂肝因子の組み合わせ剤を選択的に経口摂取させる。
【0012】
US6830758は乾癬、皮膚炎及び/又は湿疹の治療あるいは予防に有効である不水溶性の接着性皮膚保護パッチを解説する。
【0013】
さらに乾癬の治療のための薬草組成物に関する多数の文献が存在する。WO/2003/057133はアルゲモンメキシカーナの葉及び/又は茎からの抽出物質を含有する新規な薬草組成物を開示する。この組成物はオプションでクミン果実からの抽出物を含有している。この抽出物は生体外適用並びに生体内適用の両方で有効であり、興味深い免疫学的および薬理学的活性を有している。この文献はさらにその調製法も開示する。加えてこの文献は、この新規な薬草組成物の投与による乾癬および関連する免疫学的並びに生物学的疾患の治療法をも開示する。
【0014】
US5925376は乾癬表皮細胞の増殖と末端分化を防止する方法を解説する。この方法は乾癬表皮細胞を、1回分の分量で投与されるクルクミンと接触させるステップを含む。この際の投与は、(a)毎日250mgから2gの経口投与、および(b)0.1%から10%の濃度で局部用半固体投与形態である軟膏/クリーム/ゲル/ローションの形態で1種から4種の追加化合物との共同投与、のいずれかである。これら追加化合物は、(i)0.005%の軟膏形態の1-α,2,5-ジヒドロキシビタミンD-3、(ii)1日に1回から3回、25mgの投与量で投与されるエトレチネート、(iii)1日に3回、60mgの投与量で投与されるジルチアゼム、および(iv)1日に1回または2回、約0.1%から約3%の濃度の軟膏またはペーストで投与されるアントラリン、から選択される。
【0015】
US20080058426は、70%から80%のテトラヒドロクルクミン、15%から20%のテトラヒドロデメトキシクルクミン、および2.5%から6.5%のテトラヒドロビスデメトキシクルクミンを含んだテトラヒドロクルクミノイドの混合物を含有したクリーム状の組成物を解説する。
【0016】
クルクミンは選択性のホスホリラーゼキナーゼ阻害剤であることが発見されている(レディ・S・アガルワルBBの「クルクミンはホスホリラーゼキナーゼの非競合性で選択性である阻害剤」FEBS報告書、1994年、341:19-22)。
【0017】
クルクミンによるホスホリラーゼキナーゼ活性の抑制は乾癬の分解に導くことも証明されている(ヘングMCY他の「臨床試験による組織学および免疫組織化学パラメータによる評価:ホスホリラーゼキナーゼ活性の薬剤による抑制は乾癬の分解と関係」英国皮膚科学学会誌、2000年、143:937-949)。
【0018】
近年、乾癬の様々な治療用薬剤組成物および治療法が開示された。しかし、それらいずれも、本発明のユニークで重要な特徴であるテトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)、クルクミン、クルクミノイドを含有する組成物には触れていない。
【0019】
従って、哺乳動物における炎症およびフリーラジカル(遊離基)の発生を含んだ諸問題にも対処できる薬草系製剤の開発が当分野において必要とされている。よって本願は、クルクミン、テトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)あるいは他のクルクミノイドを単独または組み合わせ、乾癬や炎症の治療に適した1以上の薬剤利用可能である添加物(補助剤)または不活性成分と共にナノ乳化された局部用製剤に関する。この炎症とは座瘡、湿疹、皮膚外傷、火傷、喫煙習慣/ニコチン摂取に誘発された障害、早老および日光に誘発された病症のごとき疾患の主たる症状であるが、これらに限定はされない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】US6515016
【特許文献2】US6107349
【特許文献3】US6830758
【特許文献4】WO/2003/057133
【特許文献5】US5925376
【特許文献6】US20080058426
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】レディ・S・アガルワルBBの「クルクミンはホスホリラーゼキナーゼの非競合性で選択性である阻害剤」FEBS報告書、1994年、341:19-22
【非特許文献2】ヘングMCY他の「臨床試験による組織学および免疫組織化学パラメータによる評価:ホスホリラーゼキナーゼ活性の薬剤による抑制は乾癬の分解と関係」英国皮膚科学学会誌、2000年、143:937-949
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の要旨
本発明は、クルクミン、テトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミンまたはクルクミノイドを単独または組み合わせ、1以上の薬剤利用可能で、栄養学的に有効あるいは食餌療法的に利用でき、乾癬、座瘡、湿疹、皮膚外傷、火傷、喫煙習慣/ニコチン摂取により誘発された病症、早老、および日光に誘発された損傷並びに粘膜疾患のごとき炎症の治療に有効な添加物あるいは不活性成分と共に含有するナノ乳化された局部用製剤を開示する。
【0023】
さらに本発明は、乾癬、座瘡、湿疹、皮膚外傷、火傷、喫煙習慣/ニコチン摂取により誘発された病症、早老、および日光に誘発された損傷並びに粘膜疾患等の炎症症状を患う哺乳動物を治療する方法を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1はナノ乳化されたクルクミン98%のサイズを示すグラフである。
【図2】図2は未調製クルクミン98%のサイズを示すグラフである。
【図3】図3はナノ乳化されたBDMCのサイズを示すグラフである。
【図4】図4はマウスの尻尾(テール)(対照群)のTSを示す病理組織図である。
【図5】図5はマウステール(ベヒクル群)のTSを示す病理組織図である。
【図6】図6はコールタールで治療されたマウステールのTSを示す病理組織図である。
【図7】図7は溶解クルクミンで治療されたマウステールのTSを示す病理組織図である。
【図8】図8は調製されたクルクミンで治療されたマウステールのTSを示す病理組織図である。
【図9A】図9Aは選択され、階層クラスタリングされた、TNF-α未治療対照群と比較して2.0倍以上にアップレギュレーションされたTNF-α治療群の遺伝子を示す。
【図9B】図9BはTNF-α治療に続いてアップレギュレートされ、BDMC/クルクミン/クルクミノイドによってダウンレギュレートされ、DCとして選択された遺伝子の主要なクラスタを示す。
【図9C】図9CはTNF-α治療に続いてアップレギュレートされ、BDMC/クルクミン/クルクミノイドによってダウンレギュレートされ、C95感性遺伝子として選択された遺伝子の主要なクラスタを示す。
【図10】図10はDAVID(注釈、視覚化および統合化発見のためのデータベース;NIAID;NIH)(焦点癒着)を利用した機能解析により特定された候補遺伝子を示す。
【図11】図11はDAVID(注釈、視覚化および統合化発見のためのデータベース;NIAID;NIH)を利用した機能解析により特定された候補遺伝子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
本発明をいくつかの好適であってオプションでもある実施例に従って詳細に解説する。この解説によって本発明の様々な形態および特徴が十分に理解されるであろう。
【0026】
ここで使用する“クルクミノイド”とはクルクミン、デメトキシクルクミンおよびビスデメトキシクルクミンの混合物である。
【0027】
ここで言及する“本発明の組成物”とは“クルクミン”または“テトラヒドロキシクルクミン”または“クルクミノイド”あるいはそれらの混合物であり、専門家であればそのように理解できよう。
【0028】
上記内容に従い、本発明の1形態によれば、テトラヒドロキシクルクミンまたはビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)[テトラヒドロキシクルクミンまたはビス-O-デメチルクルクミンの製造方法はPCT/IN05/00337で解説:プロドラッグは(BDMC/クルクミン)PCT/IN2009/000382で解説:眼科適用クルクミン/BDMCはPCT/IN2009/000650で解説]が本発明において利用され、限定されないが乾癬、座瘡、湿疹、外傷、火傷、日光による損傷および皮膚老化を含む一連の皮膚疾患に対処する。テトラヒドロキシクルクミンを含んだナノ乳化された製剤は抗炎症剤として有効であり、可能性としては抗癌剤としても有効である。
【0029】
腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、インターロイキン、インターフェロン-γ(IFN-γ)等の生体分子マーカの改善によるか、あるいはプロテインキナーゼ(PKC)のごとき酵素の阻害、ホスホリラーゼキナーゼ活性の阻害、および抗酸化活性の保有によるテトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミンは、乾癬の劣悪質表皮角質層に関わる急速表皮更新を遅らせ、健康な皮膚を提供する表皮防護を正常化させ、さらに粘膜疾患を治療する。
【0030】
本発明の別の形態では、乾癬、座瘡、湿疹、外傷、火傷、日光による皮膚老化および口内粘膜炎のごとき粘膜疾患を含む一連の皮膚異常を治療するためにウコン根粉末のスパイスに含まれる天然成分であるクルクミンが本発明で使用されてきた。クルクミンを含有するこのナノ乳化された製剤は抗炎症剤として有用であり、抗癌剤としても有効である可能性を備える。
【0031】
本発明のさらに別な形態では、乾癬、座瘡、湿疹、外傷、火傷、日光による皮膚の損傷および老化、並びにあらゆるタイプの粘膜疾患を治療させるためにクルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミンはクルクミノイドと置換できる。
【0032】
本発明のナノ乳化された局部用製剤は、限定はしないが半固体投与形態であり、軟膏/クリーム/ゲル/ローションが安価に利用でき、1以上の現存する乾癬治療法と併用して効果的な補助的治療として活用できる。
【0033】
テトラヒドロキシクルクミンは抗炎症活性を有しており、乾癬、日光による皮膚の損傷および座瘡のごとき炎症によって引き起こされた皮膚症状に対して有効であると考えられる。さらにテトラヒドロキシクルクミンはホスホリラーゼキナーゼ活性を抑制する。
【0034】
よって本発明の1実施形態では、本発明は様々な皮膚症状の治療に有用な抗炎症剤および抗酸化剤としてテトラヒドロキシクルクミン(BDMC)を含有したナノ乳化された局部用製剤を提供する。
【0035】
本発明の別実施形態では、本発明は様々な皮膚症状の治療に有用な抗炎症剤および抗酸化剤としてクルクミンを含有したナノ乳化された局部用製剤を提供する。
【0036】
本発明のさらに別な実施形態では、本発明は様々な皮膚症状の治療に有用な薬学的、栄養補助的および食餌療法的に利用可能または不活性である成分と共に抗炎症剤および抗酸化剤としてクルクミンを含有したナノ乳化された局部用製剤を提供する。
【0037】
本発明のさらに別な実施形態では、本発明は乾癬および全てのタイプの火傷、座瘡、皮膚外傷、湿疹、日光により損傷した皮膚および結果的な皮膚の早老の治療法を提供する。この方法は疾患皮膚、特に疾患表皮を、ホスホリラーゼキナーゼ活性を明確に抑えるのに十分な量で、クルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミン(BDMC)または他の適したクルクミノイドを単独あるいは組み合わせて投与して治療することを含む。
【0038】
従って本発明は、クルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミンまたはクルクミノイドを単独または組み合わせて、上述のごとき皮膚に関係する疾病の治療に有効な1以上の薬学的、栄養補助的あるいは食餌療法的に利用可能な添加物あるいは不活性成分と共に含有するナノ乳化された局部用製剤を開示する。
【0039】
典型的にはクルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミン(BDMC)あるいはクルクミノイドは、限定はしないが半固体である投与形態の軟膏/クリーム/ゲル/ローションの形態で局部的に投与される。
【0040】
本発明の別な形態では、本発明のクルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミン(BDMC)あるいはクルクミノイドは単独または組み合わせて、限定はされないが局部用軟膏/クレームの形態で0.001%から50%、好適には0.01%から30%、さらに好適には0.1%から20%の濃度で投与される。
【0041】
本発明の別の形態では、本発明の組成物に単独または組み合わせて利用されるクルクミン、テトラヒドロキシクルクミンまたはクルクミノイドは医師の指示に従って、罹患した哺乳動物に疾患の程度に応じて毎日1回から4回投与される。この哺乳動物とはヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、その他でよい。
【0042】
本発明の別の形態では、本発明のナノ乳化された局部用製剤のクルクミン/テトラヒドロキシクルクミン(BDMC)の粒子サイズは0.5nmから100nmであり、好適には1nmから50nmであり、さらに好適には2nmから25nmである。
【0043】
本発明の製剤中のクルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミンあるいはクルクミノイドの粒子サイズは8nmから11nmの範囲である。
【0044】
本発明の別な実施形態では哺乳動物の炎症の治療法が提供される。この方法は、哺乳動物を本発明の組成物で治療するステップを含む。このステップは、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、インターロイキン、インターフェロン-γ(IFN-γ)のごとき生体分子マーカの改良によって、あるいはプロテインキナーゼC(KPC)、ホスホリラーゼキナーゼのごとき酵素の阻害を含む。本発明の別実施形態では、本発明は乾癬表皮細胞の増殖と末端分化の予防または阻害の方法を提供する。この方法は乾癬表皮細胞を、TNF-α、MMP、インターロイキン、IFN-γのごとき生物分子マーカの改良に十分な量で本発明の組成物と接触させることを含む。あるいはPKC、ホスホリラーゼキナーゼのごとき酵素を阻害することを含む。本発明者はクルクミンあるいはテトラヒドロキシクルクミンまたはクルクミノイドを単独あるいは組み合わせて、1以上の薬学的、栄養補助的または食餌療法的に利用可能な不活性成分と共に利用する局部投与用の新規薬剤組成物を開発した。さらに本発明は、炎症を予防、治療または制御する新規な方法を開示する。さらに本発明は乾癬、外傷、火傷、座瘡、湿疹、日光に起因する損傷や皮膚の早老、および喫煙習慣/ニコチン摂取に起因する損傷のごとき炎症皮膚症状を予防、制御または治療する新規な方法を開示する。
【0045】
初期の開発研究により、様々な炎症性皮膚疾患および病変症状は炎症の進行プロセスと関係し、それにより悪化することが示された。これらの疾病メカニズムは特に乾癬に関するものであるが、類似したメカニズムが炎症を伴う外傷、火傷、座瘡および湿疹、並びに日光や喫煙習慣/ニコチン摂取によって引き起こされる皮膚損傷において進行していると思われる。よってTNF-α、MMP、インターロイキン、IFN-γのごとき生物分子マーカの改善をもたらす薬剤、あるいはPKCのごとき酵素を阻害することで、テトラヒドロキシクルクミン、クルクミン、またはクルクミノイドのごときホスホリラーゼキナーゼが単独あるいは組み合わされて前述の症状を伴う炎症を予防し、治療し、または制御するのに効果的であろう。
【0046】
本発明の方法は炎症を患う哺乳動物を、クルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミン(BDMC)またはクルクミノイドの単独または組み合わせを十分な量で局部投与して治療するステップを含む。
【0047】
本発明の方法は、表皮の疾患を改善し、病変部を乾燥し、治癒を促進し、症状の再発を防止するために前述のステップを通じて炎症を効果的に予防、治療または制御する。
【0048】
治療薬の投与量は、病気の程度、患者の年齢と体重、および乾癬や他の皮膚科学的または全身的炎症症状の発生を誘発する状態への患者の露出程度、日光または喫煙や煙草の煙への患者の露出程度、および肝臓や腎臓代謝のごとき一般的に認められている他の薬物動態学要因を考慮して専門家が決定する。投薬治療法の調整は治療反応を最良化するように実施する。薬剤量は毎日分割して投与するか、治療状況に応じて減少させることができる。
【0049】
本発明の別実施形態では、この組成物の調製に利用が可能な添加物または不活性成分は、限定はしないが、軽量液体パラフィンのごときクリーム状の乳化剤、PEG、セチルアルコールのごとき水洗可能な基剤、ステアリン酸、ステアリルアルコール、グリセロールモノステアレート、ラノリン、グリセリンその他、およびグリセリルモノステアレート(GMS)、ポリエチレングリコール(PEG400)およびセチルアルコール(CA)のごとき固形乳化剤/非イオン系界面活性剤およびツイーン80、又は、メチル、エチル、若しくはプロピルパラベンのごとき保存剤、又は、ブロニドックス(bronidox)、皮膚へ容易に浸透させるためのミリスチン酸イソプロピルのごときエモリエント、皮膚の保湿および弾力を与えるためのコラーゲン、ラベンダーオイルのごとき芳香剤、並びに2-フェニルエタノールのごとき防腐剤、等々である。別実施形態では組成物は、本発明の局部投与製剤に皮膚の赤斑点や過剰色素沈着を共同で減少させるためのナイアシンアミドを含有する。
【0050】
本発明の別形態では組成物は、限定はしないが、知られた薬学的、栄養補助的または食餌療法的に利用可能な抗炎症、抗乾癬、抗酸化、抗アレルギー、抗ウイルス、抗菌、血管新生阻害剤、等々を含むことができる。
【0051】
本発明の別実施形態では、クルクミン、テトラヒドロキシクルクミンあるいはクルクミノイドは単独または組み合わされ、限定はしないが、超音波処理/乳化/滴定、粉化、噴霧乾燥、固体分散、ホットメルト押出し、フリーズドライ、等々の技術によるナノ乳化処理によって調製される。テトラヒドロキシクルクミンのナノ乳化物を調製する方法は実施例1において説明されているが、クルクミンとクルクミノイドのナノ乳化も類似した方法で可能である。
【0052】
以下の実施例は本発明の好適実施例を含んでおり、本発明の実施を解説するが、それらは本発明の好適実施例の解説を目的としており、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0053】
本発明の実施態様
【実施例1】
【0054】
テトラヒドロキシクルクミンを含有したナノ乳化された局部用製剤(100g/クリーム状)
グリセリルモノステレート(GMS)5.28g、ポリエチレングリコール4000(PEG4000)2.64g、ジメチルスルフォキシド(DMSO)1ml、ナイアシンアミド100mg、ミリスチン酸イソプロピル4ml、フェニル2-エタノール1ml、軽量液体パラフィン2ml、セチルアルコール2.64g、フェニル2-エタノール1ml、コラーゲン13.20g、テトラヒドロキシクルクミン250mg、ブロニドックス100μl、ラベンダーオイル100μl、および脱ミネラル水65.04ml。
【0055】
製造工程は以下のステップを含む:
1.計量したグリセリルモノステアレート(GMS)、ポリエチレングリコール(PEG400)、セチルアルコール(CA)を洗浄した50mlビーカに入れ、続いてピペットで軽量液体パラフィンとミリスチン酸イソプロピルを乳化剤中に入れる。
2.この混合物にフェニル-2-エタノールを加える。
3.溶液が透明になるまでコラーゲンを10mlの脱ミネラル水に浸漬し(25分以内)、ナイアシンアミドを加える。
4.計量したテトラヒドロキシクルクミン/クルクミン/クルクミノイドを洗浄容器に移し、ツィーン80およびPEG400と溶解混合してナノ乳化物にし、制御温度下で超音波処理する。
5.固体乳化剤、グリセリルモノステアレート(GMS)、ポリエチレングリコール(PEG400)およびセチルアルコール(CA)を70℃で溶解し、脱ミネラル水を同時的に加熱する。
6.直ちに溶解したテトラヒドロキシクルクミンの半分を加熱した乳化剤中に加え、十分に混合する。
7.同時に70℃で65.04mlの脱ミネラル水を加熱する。
8.融解した乳化剤を沸騰した脱ミネラル水に加え、激しく撹拌して、室温でクリーム状の粘性物にする。
9.コラーゲンとニアシンの混合物を加え、混合して滑らかなクリーム状にする。
10.溶解したテトラヒドロキシクルクミンの別の半分を冷却したクリームに加えて混合する。
11.ブロニドックスを1mlのPEG400に溶解し、ステップ9の混合物に加える。
12.このクリームにラベンダーオイルを加え、芳香を与える。
【実施例2】
【0056】
クルクミンの溶解
1.60mgのクルクミンを計量し、10ml容積のビーカに入れた。
2.これに1g(765μl)のツイーン80と1gのPEGを加え、ガラス棒で十分に撹拌した。
3.続いて30分間超音波処理し、クルクミンを完全溶解した。
4.深紅の溶液が得られた。
5.粒子サイズ分布研究によりナノ乳化物のサイズは8nmから11nmであり、このサイズで十分に利用可能であると判断された。
【実施例3】
【0057】
98%ナノ乳化クルクミンとビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)の粒子サイズ分布データ
ナノ乳化された製剤に対して実施された粒子サイズ分布研究はさらに、クルクミン分子が現行製剤中にナノサイズ粒子として存在することを確認した。この研究は未調製形態では374nmであったクルクミン分子がユニークなプロセスによって8nmから11nmサイズの粒子に乳化されることを証明した。これはこの製剤工程を通じたクルクミンの増強移動性および効能を証明するものであった。
【0058】
この研究はマルバーン粒子サイズ分析装置を使用して実行された。拡散密度と角度との関係を表すマップは粒子サイズの計算に使用される主要情報源である。粒子の拡散は、最も広い動的範囲で正確にサイズ化させるミー拡散モデルによって正確に予測される。レーザ回折測定中に粒子は焦点処理されたレーザビームを通過する。これら粒子はそのサイズに反比例する角度で光を拡散させる。拡散光の角密度は一連の感光検出器で測定される。この研究の利点はサンプル準備が不要なことである。
【0059】
98%ナノ乳化クルクミンと、ナノ乳化BDMCと98%クルクミンの粒子サイズ分布の研究はナノ乳化BDMCと98%クルクミンの粒子サイズが8nmから11nmであることを明確に示した(図1から図3参照)。これは373nmであった未調製の98%クルクミンの粒子サイズと比較して、ナノ乳化された化合物の理想的なサイズである。製剤調製に使用される高分子添加剤により与えられる追加のピークが観測できる。得られた結果は、現行製剤がナノ乳化形態であることを示している。
【実施例4】
【0060】
マウステール試験によるBalb/cマウスの正常角化誘導におけるナノ乳化されたクルクミン組成物の効能研究
表皮分化および正常角化(顆粒層)誘導に対する薬剤効果の定量評価のために標準高感度再現可能マウステール試験法を活用した新規なクルクミン製剤の抗乾癬活性を測定する生体内研究が実行された(ボスマン他、1992年;ミルタ他、1998年)。それによればマウステール組織はヒトの乾癬皮膚の病理組織に匹敵するものであった。
【0061】
8匹の各グループ(群)に分かれた5グループから成る生後8週間から9週間の40匹の動物(Balb/cマウス)がこの研究に使用された。指定投与量の試験物質がそれぞれのグループに、1日に2回、計14日間、マウステールに局部投与された(100mgの新規なクルクミン製剤:研究対象物品または100μlの溶解クルクミンあるいは100μlの5%コールタールを陽性対照として使用あるいは薬剤ベヒクル単独で使用)。未治療マウステールは未処理対照として利用された。実験期間の終了時にマウスは処分された。テール治療部は約2.5cmであった。それらは採取され、4%ホルマリン内で固定された。治療テールと未治療対照からの長形組織部(1テールに付き10組織部)が作成され、ヘマトキシリンとエオシン(H&E)で着色された。
【0062】
個々の鱗部内で十分に広がった顆粒層の水平長が全長に対して顕微鏡で計測された。個々の鱗部内の十分に広がった顆粒層の水平長を、その鱗部の水平長で割った百分率が計算され、誘導された正常角化の程度が得られた。個々の動物で得られた値の計算平均値は統計分析に活用された。その結果、クルクミンと純粋溶解クルクミンとの新規製剤での治療は正常角化層の誘導、連続顆粒の形成、および表皮厚化において大きな改善をもたらすことが推認された。図4から図8で示すように、研究グループで得られた肯定的な結果は、標準的な従来のコールタール治療に比肩し、ベヒクル対照よりも大幅に改善されていることが確認された。
【0063】
図4は組織検査のために顕微鏡で観察されて計測されたマウステール(対照群)のTSを示す。これはヒトの乾癬病変で特徴付けられる不連続顆粒層および弱く形成された表皮層である。図5はベヒクル治療群(ワックス含有)の顆粒層、および、かなり広がった表皮層の不連続形成を示す。図6はコールタール治療群の大きく広がった表皮層を示す。顆粒層の形成もこの場合には明確に特徴付けられている。コールタールは乾癬を抑制するために普通に用いられる。従ってコールタールは本発明の製剤クルクミンの効果を比較するための基準として利用されている。図7は溶解クルクミンの場合によく特徴付けられている表皮層の形成を示す。これは添加物に溶解された純粋クルクミンを利用して調製された。しかしながらここでは顆粒層は連続的ではない、図8は製剤クルクミンによる治療で得られた連続顆粒層と良好な表皮厚とを示す。この治療効果はコールタールの場合に匹敵する。
【0064】
上記研究の臨床結果は、乾癬並びに関連炎症症状の治療における本発明組成物の治療的利用の可能性を明確に暗示する。
【実施例5】
【0065】
BDMC/クルクミン/クルクミノイドに対して実施されたマイクロアレイ研究
TNF-αは炎症を伴ういくつかの臨床的症状の病因と関連することが暗示され、確認されている。特に乾癬、アテローム性硬化症、糖尿病タイプII、敗血症およびリウマチ性関節炎、等々の慢性症状の免疫改変機能に関連することが知られている。
【0066】
TNF-αおよびその受容体は乾癬プラークの増殖および耐久性おいて重要な役割を果たす。TNF-αは乾癬症状(皮膚および滑液膜)で制御不能であることが分っており、この制御は乾癬の治療において大きな目標となっている。
【0067】
BDMC/クルクミン/クルクミノイドの効果はヒトの微小血管内皮細胞(HMEC)でのTNF-α誘導遺伝子発現において研究された。
【0068】
デメチル化されたクルクミノイド(BMDC、クルクミン)/クルクミノイドで予備治療された/予備治療されていないTNF-α治療内皮細胞で特異的発現された遺伝子のセットを特定するためにマイクロアレイ分析が実施された。データ取得および画像処理はGCOS(遺伝子チップ操作ソフトであるアフィメトリックス)を使用して実行された。TNF-α未治療対照群と比較してTNF-α治療群で2.0倍以上アップレギュレートされた遺伝子が選択され、階層クラスタリングにかけられた。TNF-α治療後にアップレギュレートされ、デメチル化されたクルクミノイド(BMDC,クルクミン)/クルクミノイドによりユニークにダウンレギュレートされた主要なクラスタ遺伝子は高感度遺伝子として選択された。これらサブクラスタはDAVID(注釈、視認および総合発見データベース;NIAID;NIH)(図10および図11参照)を使用したさらなる機能分析に回された。各クラスタで特定された主要な知られた経路(KEGG、遺伝子およびゲノムの京都百科事典)が候補遺伝子を印した経路マップとして図示されている。
【0069】
発生データは上述したようにTNF-αの機能に対するビス-O-デメチルクルクミンの活性に関係する。
【0070】
HMECのTNF-αの誘導可能なトランスクリプトームのGeneChip(登録商標)スクリーニングは2倍以上の大きさで誘導された1195個のプローブセットを特定した。
【0071】
上述のように実施されたマイクロアレイ研究は、TNF-αで攻撃された微小血管内皮細胞の中で、全部で1065個のTNF-α誘導可能遺伝子がビス-O-デメチルクルクミンに対して高感度であった(図1)。ビス-O-デメチルクルクミンはTNF-αに対して拮抗作用を有することも研究で知られた。
【0072】
従って、TNF-α並びに結果としてTNF-α媒介メカニズムのダウンレギュレーションに対するビス-O-デメチルクルクミンの拮抗作用は乾癬の治療において良好な効果が望める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ乳化された局部用製剤であって、クルクミン、テトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)およびクルクミノイドを単独または組み合わせて、炎症および様々な皮膚疾病の治療に有効な1種以上の薬学的、栄養補助的または食餌療法的に利用可能な添加物または不活性成分と共に調製されていることを特徴とする製剤。
【請求項2】
クルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)またはクルクミノイドを0.001%から50%、好適には0.01%から30%、さらに好適には0.1%から20%含有することを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項3】
半固体投与形態である軟膏/クリーム/ゲル/ローションの形態であることを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項4】
クルクミン/テトラヒドロキシクルクミン(BDMC)の粒子サイズは0.5nmから100nmであり、好適には1nmから50nmであり、さらに好適には2nmから25nmであることを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項5】
クルクミン/テトラヒドロキシクルクミン(BDMC)の粒子サイズは2nmから25nmであることを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項6】
前記添加物または不活性成分は、軽量液体パラフィンのごときクリーム状の乳化剤、PEG、セチルアルコールのごとき水洗可能な基剤、ステアリン酸、ステアリルアルコール、グリセロールモノステアレート、ラノリン、グリセリンその他、およびグリセリルモノステアレート(GMS)、ポリエチレングリコール(PEG400)およびセチルアルコール(CA)のごとき固形乳化剤/非イオン系界面活性剤およびツイーン80又はメチル、エチル、若しくはプロピルパラベンのごとき保存剤、又はブロニドックス(bronidox)、皮膚へ容易に浸透させるためのミリスチン酸イソプロピルのごときエモリエント、皮膚の保湿および弾力を与えるためのコラーゲン、ラベンダーオイルのごとき芳香剤、並びに2-フェニルエタノールのごとき防腐剤から成る群から選択されることを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項7】
ナイアシンアミドをさらに含有することを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項8】
薬学的、栄養補助的または食餌療法的に利用可能な抗炎症剤、抗乾癬剤、抗酸化剤、抗アレルギー剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、および血管新生剤をさらに含有することを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項9】
乾癬、座瘡、湿疹、皮膚創傷、火傷、喫煙習慣/ニコチン摂取による疾病、早老、及び日光による損傷のような様々な皮膚疾患、口内粘膜炎、口腔内の傷、及び口腔膿瘍のような粘膜疾患、並びにそれらにより引き起こされるか、或いは関係がある疾患の治療に利用できることを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された製剤。
【請求項10】
製剤は腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、インターロイキン(IL)およびインターフェロン-γ(IFN-γ)のような生体分子マーカの改善をもたらし、あるいはプロテインキナーゼC(PKC)のごとき酵素およびホスホリラーゼキナーゼの阻害により改善をもたらすことを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項11】
様々な皮膚疾患および炎症を患う対象を治療する方法であって、請求項1記載のナノ乳化された製剤の治療効果量を局部投与することによって哺乳類を治療するステップを含むことを特徴とする治療方法。
【請求項12】
前記対象は哺乳動物であることを特徴とする請求項11記載の治療方法。
【請求項1】
ナノ乳化された局部用製剤であって、クルクミン、テトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)およびクルクミノイドを単独または組み合わせて、炎症および様々な皮膚疾病の治療に有効な1種以上の薬学的、栄養補助的または食餌療法的に利用可能な添加物または不活性成分と共に調製されていることを特徴とする製剤。
【請求項2】
クルクミンまたはテトラヒドロキシクルクミン/ビス-O-デメチルクルクミン(BDMC)またはクルクミノイドを0.001%から50%、好適には0.01%から30%、さらに好適には0.1%から20%含有することを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項3】
半固体投与形態である軟膏/クリーム/ゲル/ローションの形態であることを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項4】
クルクミン/テトラヒドロキシクルクミン(BDMC)の粒子サイズは0.5nmから100nmであり、好適には1nmから50nmであり、さらに好適には2nmから25nmであることを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項5】
クルクミン/テトラヒドロキシクルクミン(BDMC)の粒子サイズは2nmから25nmであることを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項6】
前記添加物または不活性成分は、軽量液体パラフィンのごときクリーム状の乳化剤、PEG、セチルアルコールのごとき水洗可能な基剤、ステアリン酸、ステアリルアルコール、グリセロールモノステアレート、ラノリン、グリセリンその他、およびグリセリルモノステアレート(GMS)、ポリエチレングリコール(PEG400)およびセチルアルコール(CA)のごとき固形乳化剤/非イオン系界面活性剤およびツイーン80又はメチル、エチル、若しくはプロピルパラベンのごとき保存剤、又はブロニドックス(bronidox)、皮膚へ容易に浸透させるためのミリスチン酸イソプロピルのごときエモリエント、皮膚の保湿および弾力を与えるためのコラーゲン、ラベンダーオイルのごとき芳香剤、並びに2-フェニルエタノールのごとき防腐剤から成る群から選択されることを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項7】
ナイアシンアミドをさらに含有することを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項8】
薬学的、栄養補助的または食餌療法的に利用可能な抗炎症剤、抗乾癬剤、抗酸化剤、抗アレルギー剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、および血管新生剤をさらに含有することを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項9】
乾癬、座瘡、湿疹、皮膚創傷、火傷、喫煙習慣/ニコチン摂取による疾病、早老、及び日光による損傷のような様々な皮膚疾患、口内粘膜炎、口腔内の傷、及び口腔膿瘍のような粘膜疾患、並びにそれらにより引き起こされるか、或いは関係がある疾患の治療に利用できることを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された製剤。
【請求項10】
製剤は腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、インターロイキン(IL)およびインターフェロン-γ(IFN-γ)のような生体分子マーカの改善をもたらし、あるいはプロテインキナーゼC(PKC)のごとき酵素およびホスホリラーゼキナーゼの阻害により改善をもたらすことを特徴とする請求項1記載のナノ乳化された局部用製剤。
【請求項11】
様々な皮膚疾患および炎症を患う対象を治療する方法であって、請求項1記載のナノ乳化された製剤の治療効果量を局部投与することによって哺乳類を治療するステップを含むことを特徴とする治療方法。
【請求項12】
前記対象は哺乳動物であることを特徴とする請求項11記載の治療方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−510466(P2012−510466A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538102(P2011−538102)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000689
【国際公開番号】WO2010/070675
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(511130760)ライラ ファーマシューティカルズ ピーブイティ.エルティディ. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000689
【国際公開番号】WO2010/070675
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(511130760)ライラ ファーマシューティカルズ ピーブイティ.エルティディ. (1)
【Fターム(参考)】
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