説明

点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置

【課題】点状突起ブロックの近傍に配置して歩道の境界、歩道の内側・外側などを、弱視者や高齢者などに良好に示すことができる点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置を提供する。
【解決手段】視覚障害者誘導用の点状突起ブロックの1辺と平行に設置され、点状突起ブロックの1辺と略同じ長さを有し、上面に凸条の線状突起ブロック部3を設けた点状突起ブロック用の境界表示ブロック1装置である。線状突起ブロック部3がケース2の上部に取り付けられる。線状突起ブロック部3上には、線状凸部4が形成される。ケース2内にLED6が配設され、線状凸部4から光を放出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚障害者誘導用の点状突起ブロックの近傍に設置して使用され、弱視者や高齢者などに対し、歩道と車道の境界などを点灯表示する点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歩道や駅のプラットホーム等の公的スペースに設置される視覚障害者誘導用ブロック(所謂点字ブロック)は、視覚障害者の誘導には非常に有用な施設である。本出願人は、従来、下記特許文献1により、誘導用ブロック内に発光ユニットを設けて、誘導用ブロックを点灯表示する自発光式誘導用ブロックを提案した。自発光式誘導用ブロックは、弱視者や高齢者などの誘導に、光と点字の両方を使用できる点で、非常に有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−257182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、駅のプラットホームなどに設置される所謂ホーム縁端警告ブロックとして、鉄軌道駅プラットホーム縁端警告用内方線表示ブロックが知られている。この内方線表示ブロックは、注意喚起を示す点状突起を設けた平面主要部分の縁部に、線状突起を並設して内方線を表示するようにし、プラットホームの縁部などに設置して、視覚障害者に対し、内方線を示すと共に方向定位の有効なサポートを行うようになっている。
【0005】
しかしながら、このような線状突起付きの内方線表示ブロックは、弱視者や高齢者に対する歩道と車道(横断歩道)の境界部分を示す表示には、不十分であり、全盲の視覚障害者に限らず、弱視者や高齢者に対し、歩道と車道や横断歩道との境界などを表示して、弱視者や高齢者を良好に誘導することができる境界表示ブロックが望まれていた。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みなされたもので、点状突起ブロックの1辺と平行に配置して、歩道の境界、横断歩道などを、弱視者や高齢者などに対し良好に示すことができる点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る境界表示ブロック装置は、点状突起ブロックの1辺と平行に設置され、該点状突起ブロックの1辺と略同じ長さの線状凸部を有した線状突起ブロック部を、上面に設けた点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置であって、
該線状突起ブロック部がケースの上部に取り付けられ、該線状突起ブロック部上に形成された線状凸部から光を放出させる発光体が該ケース内に設けられたことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、上記境界表示ブロック装置を、横断歩道の手前の歩道上に設置された注意喚起用の点状突起ブロックの近傍に設置し、線状突起ブロック部の線状凸部上面から発光体によって線状光を放出させて、弱視者や高齢者に対し、線状凸部によって生じるライン状の線状光が車道と歩道との境界を示しながら、その位置が横断歩道近傍位置であることを有効に示すことができる。また、横断歩道の両側の歩道縁部に境界表示ブロックを設置することにより、弱視者や高齢者が横断歩道を渡る際、横断時のスタートとゴールの位置を、明確に点灯表示することができ、交差点の中央に進んでしまう危険などを防止し、夜間でも弱視者や高齢者が横断歩道を安心して渡ることができる。
【0009】
さらに、視覚障害者に対しては、靴底の感触や白杖の感触により、点状突起ブロックの近傍に配置される線状突起ブロック部を認識でき、線状突起ブロック部の線状凸部と直角方向に横断歩道があることを認知させて、方向定位の有効なサポートを行うことができる。これにより、視覚障害者が横断歩道を外れて交差点の中央に進んでしまう危険を防止し、視覚障害者の不安をなくすことができる。
【0010】
ここで、上記線状突起ブロック部は、透明合成樹脂により板状に成形される共に、線状凸部の上面に光拡散面が形成され、上記発光体から放射された光を該線状突起ブロック部の両側端部から該線状突起ブロック部内に入射させ、上面の光拡散面から上方に光を放出するように構成することができる。
【0011】
この発明によれば、小数の発光体により、効率よく線状突起ブロック部の線状凸部から光を放出し、線状凸部を光らせることができる。
【0012】
また、上記線状突起ブロック部には、線状凸部の上面と共にその下面に光拡散面を形成し、且つ線状突起ブロック部の該線状凸部に対応した下側に白色反射シートを配設することが好ましい。この発明によれば、少数の発光体でさらに効率よく線状突起ブロック部の線状凸部から線状光を放出し、線状凸部を線状に光らせることができる。
【0013】
また、上記発光体は、1対のLEDから構成され、上記線状突起ブロック部の下側に配置された取付板の両端部に取り付けられると共に、上記線状突起ブロック部の両側端部近傍に設けた端面と平行な光入射面に向けて各々配置された構成とすることができる。この発明によれば、構造を簡単化して、発光体のLEDを所定の位置に簡単に組み付けることができる。
【0014】
さらに、上記ケースはその上部が幅広に形成される一方、該ケース内に内部ユニットが収納され、該内部ユニットの上部に上記LEDを取り付けた取付板が設けられると共に太陽電池が配設され、上記線状突起ブロック部には、該太陽電池の上面を覆う太陽電池カバー部が設けられ、該内部ユニットには、該LEDに電力を供給する蓄電体と、該太陽電池で発電された電力を該蓄電体に蓄電する充電回路と、蓄電体に蓄電された電力をLEDに供給してLEDを点灯制御する点灯制御回路と、を設けた回路基板が配設された構成とすることができる。
【0015】
この発明によれば、商用電源の電力線の布設工事が不要となり、歩道などに簡単に境界表示ブロック装置を設置することができる。また、電力消費量の小さい1対のLEDを線状突起ブロック部の両側に配置するのみで、線状凸部を発光させることができるので、比較的小型の太陽電池と蓄電体を使用して、ケースの埋設部を小形化することができ、ブロック装置の埋設工事を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置によれば、点状突起ブロックの近傍に配置して、点状突起ブロックと合わせて、視覚障害者を横断歩道などに安全に誘導することができると共に、弱視者や高齢者などに対し、歩道と車道の境界、歩道と横断歩道の境界などを良好に点灯表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示す点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置の平面図である。
【図2】同境界表示ブロック装置の長手方向に沿った断面図である。
【図3】同境界表示ブロック装置の短手方向に沿った断面図である。
【図4】図2の断面図に対応した分解断面図である。
【図5】図3の断面図に対応した分解断面図である。
【図6】同境界表示ブロック装置の使用状態を示す平面図である。
【図7】他の実施形態の境界表示ブロック装置の平面図である。
【図8】同境界表示ブロック装置の長手方向に沿った断面図(a)、及び短手方向に沿った断面図(b)である。
【図9】同境界表示ブロック装置の内部ユニットの正面図(a)、及び平面図(b)である。
【図10】同境界表示ブロック装置の内部ユニットの右側面図(a)、及び底面図(b)である。
【図11】同境界表示ブロック装置のカバー部、内部ユニット、及びケースの分解正面図である。
【図12】同境界表示ブロック装置の点灯表示を行う電気回路のブロック図である。
【図13】同境界表示ブロック装置の使用状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。この境界表示ブロック装置1は、点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置であり、図1,2に示すように、長尺の箱型に形成されたケース2の上部に、凸条の線状凸部4を上面に有した線状突起ブロック部3を取り付け、ケース2内の両側端部近傍にLED6を配設し、LED6の照射光を線状突起ブロック部3内に入射させ、その上面の線状凸部4から上方に光を放出させるように構成される。
【0019】
ケース2は、例えばアルミニウム合金、硬質合成樹脂などを材料とし、上部を開口した細長い長尺の箱型形状に型成形して形成され、ケース2の長手方向の長さは、図6に示すように、点状突起ブロックBの1辺の長さ以下の長さ、例えば点状突起ブロックBの1辺の長さが300mmの場合、ケース2の長さは約292mmに形成され、ケース2の短手方向の長さは、長手方向の長さの約1/4.5に形成される。なお、点状突起ブロックBはJIS−T9251の規格で規定されている。
【0020】
図3の断面図に示すように、ケース2の上部の幅は、ケース2の底部の幅に比べ幅広に形成され、ケース2内の上部には、幅広で板状の空間として、図4、5のように、ブロック収納室2aが形成され、このブロック収納室2a内に、線状突起ブロック部3が水平に収納される。線状突起ブロック部3上の長手方向に沿って線状凸部4が形成されるが、境界表示ブロック装置を点状突起ブロックBに隣接して設置したとき、この線状凸部4と点状突起ブロックB縁の点状突起との間隔が約90mmに規定されるので、ケース2の上部の幅及び線状突起ブロック部3の幅は、上記線状凸部4と点状突起ブロックB縁の点状突起との間隔が約90mmとなるように、施工可能な形状に設定される。
【0021】
ブロック収納室2aの底面の各隅部及び中間部に、固定ねじ7用のねじ穴が設けられ、ブロック収納室2a内に収納された線状突起ブロック部3は、固定ねじ7によりそこに締め付け固定される。
【0022】
さらに、ブロック収納室2aの下側に、取付板5を収納するための板状空間2bが水平に形成される。この取付板5は、図4のように両端にLED6を支持すると共に、線状突起ブロック部3の底部を覆う板として機能し、取付板5の両側端部には、1対のLED6が各々、両側から中央に向けて水平に取り付けられる。また、取付板5の上には、光を反射させるために白色の反射シート5aが配置される。この反射シート5aは、LED6の真下に配置され、LED6との間隔をほぼゼロとする位置に設置することにより、LED6の照射光を最も高い効率で線状突起ブロック部3に入射させ導光することができる。
【0023】
なお、ケース2内の板状空間2bの下方に形成された空間には、LED6の点灯用の図示しない整流回路を含む電源回路などが配設され、その側部のケース側壁には、ケーブル挿入孔が設けられ、このケーブル挿入孔を通して、電力線ケーブルが外部からケース2内に挿入される。
【0024】
線状突起ブロック部3は、ポリカーボネート樹脂などの透明合成樹脂により板状導光体として成形され、上部に線状凸部4が設けられ、両端部近傍に、LED6の収納用のLED収納室3aが底部を開口して形成されている。両側のLED収納室3aには、LED6が下側から挿入され、LED6の放射光をLED収納室3aの端面に設けた光入射面3bから、導光体の線状突起ブロック部3に入射して、その上面に導光し、上面の線状凸部4から光を放出するように構成される。
【0025】
図4,5に示すように、線状突起ブロック部3の上部には、線状凸部4が長手方向に沿って細長い突条として形成され、線状凸部4の上面には、光拡散面4aがなし地加工またはシボ加工により形成され、LED6から導光体の線状突起ブロック部3内に入射させ導光された光を、上面の光拡散面4aを通して上方に放射するようになっている。線状凸部4の大きさは、長さ270mm、幅17mm、厚さ5mmに設定され、視覚障害者誘導用ブロックについてのJIS規格(JIST9251)で規定される線状突起の寸法とされる。
【0026】
なお、線状突起ブロック部3の線状凸部4の上面と共に線状突起ブロック部3の下面にも光拡散面を形成することにより、線状突起ブロック部3の下側でLED6と取付板5との間に配置される反射シート5aの反射作用と共に、LED6から線状突起ブロック部3内に入射した光を、効率よく中央方向に導光し、線状凸部4からの光放射効率をさらに向上させることができる。
【0027】
上記の如く、線状突起ブロック部3の両側端部には、LED6用のLED収納室3aが形成され、LED収納室3aの中央側を向く側壁の透明な面(線状突起ブロック部3の厚さ方向と平行な面)は光入射面3bとし形成され、各LED収納室3aには砲弾型のLED6が、各々、下側から挿入される形態で線状突起ブロック部3の中央に向けて水平に収納される。つまり、1対のLED6は、取付板5の両端部に各々中央を向けて水平に取り付けられ、各々、線状突起ブロック部3のLED収納室部3a内に挿入される。LED6を取り付けた取付板5は、ケース2内における、線状突起ブロック部3の下側の板状空間2b内に配置される。
【0028】
これにより、取付板5の両側端部に取り付けられたLED6は、各LED収納室3a内に、線状突起ブロック部3の中央に向けて水平に収納される。砲弾型のLED6は、狭角放射型のLEDであり、例えば砲弾正面に向けて約15°の狭窄された角度範囲で光を照射するように構成される。さらに、各LED収納室3a内の内壁面(中央側の面)に、ミガキ加工された光入射面3bが形成されるので、LED6の狭角照射光が、この光入射面3bから導光体の線状突起ブロック部3内に高効率で入射するようになっている。
【0029】
また、上記のように、光入射面3bは光の入射効率を高めるためにミガキ加工され、取付板5の上面及びブロック収納室2aの内面などは、白色に塗装されて光を反射する反射面とされるので、線状突起ブロック部3内に入射した光を効率良く集めて上面の光拡散面4aから放出する構造となっている。
【0030】
つまり、線状突起ブロック部3の上面には、線状凸部4が長手方向に沿って突設され、線状凸部4の上面には、ショットブラスト加工等によるなし地またはシボにより光拡散面4aが形成され、線状突起ブロック部3から線状凸部4内に導光された光を、光拡散面4aで乱反射させ、光を境界表示ブロック装置1の上方に放出させるようになっている。線状凸部4は、台形断面を有した突条として形成され、その上面のみに光拡散面4aが形成されるが、上面及び左右の側面に光拡散面を形成してもよい。
【0031】
上記のように、取付板5の両端に1対のLED6が中央方向を向けて水平に取り付けられ、線状突起ブロック部3の下両側に設けたLED収納室3aにLED6を収納するように、取付板5を線状突起ブロック部3の下側に取り付け、砲弾型で狭角放射型のLED6から、LED収納室3aの内壁にミガキ加工して設けた線状突起ブロック部3の端面と平行な光入射面3bに向けて、放射光を入射させ、両側のLED6から、両端部の光入射面3bを通して線状突起ブロック部3に光を入射させ、線状突起ブロック部3上面の光拡散面4aから効率良く且つ均一な線状光として光を放射する構造となっている。
【0032】
また、光源発光体としてのLED6を最少の2個とし、それを線状突起ブロック部3の下側ではなく、それを線状突起ブロック部3の両端部に設けたLED収納室3a内に収納しているので、消費電力は少なく、ケース2内の下側スペースを低減し、境界表示ブロック装置のコンパクト化を図ることができる。
【0033】
なお、線状凸部4から放射する光は、白色または有彩色とすることができ、白色光を線状凸部4から放射する場合、透明合成樹脂製の線状突起ブロック部3とし、LED6には白色発光ダイオードを使用すればよい。一方、黄色光、赤色光、青色光などの有彩色を放射させる場合、LED6に黄色発光ダイオード、赤色発光ダイオード、青色発光ダイオードを使用するか或いは、線状突起ブロック部3に黄色、赤色、青色などの有彩色で着色した透光性合成樹脂を使用すればよい。
【0034】
上記構成の点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置1は、図6に示すように、歩道の横断歩道近傍位置に設置された点状突起ブロックBの反車道側の近傍に、点状突起ブロックBの1辺の側部に沿わせるように設置される。
【0035】
具体的には、例えば歩道における横断歩道近傍位置に、点状突起ブロックBが列状に並べて配置されている場合、図6のように、それらの点状突起ブロックBの列の内側(反車道側)に沿って、点状突起ブロックBの1辺の近傍に配置する。ケース2は、その下部を歩道内に埋設し、歩道の上面とケース2の上面が同一レベルとなるようにし、線状凸部4が歩道面から上方に突出した状態で、境界表示ブロック装置1を歩道に設置する。また、視覚障害者用誘導・警告ブロックの規格では、点状突起ブロック内に線状突起を設ける場合、縁部の点状突起と線状突起との距離は約90mmとなっているので、点状突起ブロックBの縁部の点状突起と線状凸部4との距離が約90mmとなるように、境界表示ブロック装置1は、各点状突起ブロックBの1辺に沿って設置される。
【0036】
これにより、視覚障害者は、靴底の感触や白杖の感触により、点状突起ブロックBの近傍に配置される線状突起ブロック部3を認識でき、線状突起ブロック部3の線状凸部4の方向と直角方向に横断歩道があることを認知することにより、視覚障害者に対し方向定位の有効なサポートを行うことができる。したがって、視覚障害者が横断歩道を外れて交差点の中央に進んでしまう危険を防止し、視覚障害者の不安をなくすことができる。
【0037】
一方、夜間には、LED6に電力が供給され、線状突起ブロック部3の両側に設けたLED6が点灯する。これにより、LED6の光が両側端部から導光体の線状突起ブロック部3内に入射し、線状凸部4の上面の光拡散面4aから、例えば黄色の線状光が上方に放出照射され、点状突起ブロックBの列の内側(反車道側)に沿って光の帯が横断歩道の位置を示すように点灯する。
【0038】
したがって、弱視者や高齢者であっても、横断歩道手前の線状光を明確に視認して、横断歩道の位置や歩道と車道の境界を容易に認識することができる。特に、横断歩道の両側の歩道縁部に境界表示ブロック装置1を設置すれば、横断時のスタートとゴールの位置を、弱視者や高齢者に対し明確に点灯表示することができ、横断歩道を弱視者や高齢者が横断する際、誤って交差点の中央に進んでしまうなどの危険を防止することができる。
【0039】
図7〜図13は他の実施形態の点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置11を示している。この境界表示ブロック装置11は、図7〜図11に示すように、箱型に形成されたケース12の上部に、凸条の線状凸部14を上面に有しカバーを兼ねた線状突起ブロック部13を取り付けると共に、ケース12内に内部ユニット20を収納し、内部ユニット20の上部の前後両側に太陽電池19を取り付ける一方、内部ユニット20の両側端部近傍にLED16を配設し、太陽電池19で発生し蓄電した電力をLED16に供給して点灯させ、LED16の照射光を線状突起ブロック部13内に入射させて、その上面の線状凸部14から上方に光を放出させるように構成される。
【0040】
ケース2は、例えばアルミニウム合金、硬質合成樹脂などを材料とし、図11に示すように、上部を開口した長方形の箱型形状に型成形して形成され、ケース12の長手方向の長さは、図13に示すように、規格に従って点状突起ブロックBの1辺の長さ以下の長さに形成されている。
【0041】
図8の断面図に示すように、ケース12内の上部には、幅広で板状の空間として、ブロック収納室12aが形成され、このブロック収納室12a内に、線状突起ブロック部13が水平に収納される。ケース12内のブロック収納室12aの下側には、段差部を介してユニット収納室12bが形成され、図9,10に示すような内部ユニット20が、このユニット収納室12b内に収納される。
【0042】
内部ユニット20は、図9,10に示す如く、長方形の枠体状に合成樹脂により成形されたユニット本体21上に、太陽電池19と、取付板15の両側に取り付けたLED16及び回路基板29を含む充電点灯制御部とを設けて構成される。太陽電池19は、ユニット本体21の前後両側の上部に、長手方向に上向きに並設されて取り付けられる。また、ユニット本体21の中央空間部には、蓄電体としての電気二重層コンデンサ30を取り付けた回路基板29が配設され、回路基板29の中央上側には、両側にLED16を取り付けた細長い板状の取付板15が、太陽電池19の間に挿入される態様で配置される。
【0043】
取付板15は、その両側端部にLED16が上方の突出して取り付けられると共に、線状突起ブロック部13の底部を覆う板として機能し、取付板15両側端部に、1対のLED16がLED基板16aを介して、各々、両側から中央に向けて水平に取り付けられる。この取付板15の上面は白色に塗装され、導光体である線状突起ブロック部13を進む光をその上面の線状凸部14から効率よく出射させるように、反射面を形成している。
【0044】
取付板15の下側のユニット本体21内中央空間部には、太陽電池19で発生した電力を蓄電する蓄電体としての電気二重層コンデンサ30、後述の充電点灯制御部の充電制御部22、点灯制御回路23などを実装した回路基板29が収納される。回路基板29上には、図10(b)に示すように、太陽電池19の起電力を電気二重層コンデンサ30に充電する直結充電回路26と定電圧充電回路27を含む充電制御部22、夜間に電気二重層コンデンサ30から放電した電力を使用してLED16を点灯制御する点灯制御回路23、昼夜判別回路25などが実装される。図8に示すように、回路素子などは回路基板29の上面に実装され、体積の大きい電気二重層コンデンサ30は回路基板29の下面に取り付けられる。
【0045】
一方、図8、図11に示すように、線状突起ブロック部13は透明合成樹脂により板状導光体として成形され、上部中央に線状凸部14が設けられ、その両端部近傍に、LED16の収納用のLED収納室13aが底部を開口して形成される。両側のLED収納室13aには、LED16が下側から挿入され、LED16の放射光をLED収納室13aの端面の光入射面13bから、導光体の線状突起ブロック部13に入射して、その上面に導光し、上面の線状凸部14から光を放出するように構成される。LED収納室13aの端面の光入射面13bはミガキ加工により形成され、LED16の放射光を高い効率で線状突起ブロック部13内に入射できる構造となっている。
【0046】
図7,8に示すように、線状突起ブロック部13の上部には、線状凸部14が長手方向に沿って細長い突条に形成され、線状凸部14の上面には、光拡散面14aがショットブラスト加工等によるなし地またはシボにより形成され、これにより、LED16から導光体の線状突起ブロック部13内に入射させた光を、光拡散面14aを通して上方に照射するようになっている。線状凸部14は、台形断面を有した突条として形成され、その上面にのみ光拡散面14aが形成されるが、上面及び両側の傾斜面に光拡散面を形成してもよい。
【0047】
さらに、線状突起ブロック部13の線状凸部14の両側には、図7、図8bのように、太陽電池19を覆うための太陽電池カバー部13cが延設されており、線状突起ブロック部13は幅広に形成される。また、その縁部には固定ねじ用の固定孔が穿設され、線状突起ブロック部13をケース12の上部開口部を覆うように嵌着し、ケース12の上部に固定可能となっている。
【0048】
図11のように、線状突起ブロック部13及び内部ユニット20をケース12内に取り付ける場合、まず、ケース12内のユニット収納室12bに、内部ユニット20を上方から挿入し、定位置に嵌着しまたは固定ねじなどで固定する。次に、線状突起ブロック部13をケース12内の上部のブロック収納室12a内に、つまり内部ユニット20の上側のケース12内の定位置に嵌め込むように挿入する。このとき、図11の如く、1対のLED16は、ユニット本体21の上部に突き出すように中央部を向けて水平に取り付けられているため、各々、線状突起ブロック部13の下面に開口したLED収納室13a内に挿入され、LED16の先端部が光入射面13bに向けて配置される。そして最後に、固定ねじ17を線状突起ブロック部13の各隅部等の固定孔からケース12側のねじ孔に挿入し、固定ねじ17により線状突起ブロック部13を締め付け固定する。
【0049】
この境界表示ブロック装置11で使用される電気回路は、図12に示すように、蓄電体に昼間の太陽電池19の起電力を充電し、且つ夜間にはLED16を点灯制御する充電点灯制御部から構成され、充電制御部22、昼夜判別回路25、及び点灯制御回路23を備えている。
【0050】
図12に示すように、太陽電池19で発生した電力は、充電制御部22の直結充電回路26または定電圧充電回路27を通して蓄電体としての電気二重層コンデンサ30に充電または蓄電される。充電制御部22は、直結充電回路26、定電圧充電回路27及び電圧監視回路28からなり、電圧監視回路28は充電電圧を監視し、直結充電を行うか或いは定電圧充電を行うかを選択して制御する。
【0051】
昼夜判別回路25は、太陽電池19の端子電圧を入力し、その端子電圧に基づき、昼夜を判別し、太陽電池19の端子電圧が所定電圧より低下する夜になると、点灯制御回路23に夜間信号を出力する。点灯制御回路23は、昼夜判別回路25からの夜間信号を入力したとき、電気二重層コンデンサ30から放電された電力によりLED16を点灯するようになっている。
【0052】
太陽電池19の出力端子は逆流防止用ダイオード24を通して直結充電回路26及び定電圧充電回路27に接続される。直結充電回路26は太陽電池19の電力を直接電気二重層コンデンサ30に充電する回路であり、定電圧充電回路27は太陽電池19の端子電圧が所定の電圧より高い場合、所定の定電圧に変換して電気二重層コンデンサ30に充電する回路である。
【0053】
直結充電回路26及び定電圧充電回路27は、電圧監視回路28により電圧及び充電動作を監視制御され、電圧監視回路28は、太陽電池19の端子電圧が所定の電圧より低い場合、直結充電回路26を通して電気二重層コンデンサ30に充電し、太陽電池19の端子電圧が所定の電圧より高い場合、所定の充電用の定電圧に変換して電気二重層コンデンサ30に充電するように動作する。
【0054】
電気二重層コンデンサ30とLED16間に点灯制御回路23が接続される。点灯制御回路23は、昼夜判別回路25から昼間信号を入力する間、オフ動作してLED16を消灯させ、昼夜判別回路25から夜間信号を入力する間、オン動作してLED16を点灯させるようになっている。
【0055】
LED16には、例えば定格3.1V,20mAの白色発光ダイオードまたは定格2.1V,20mAの黄色発光ダイオードを使用する。この定格のLED16の場合、前者では約33000mcdの輝度、後者では約16000mcdの輝度が得られ、2個のLED16を使用すれば、十分な輝度の光により境界表示を行うことができる。
【0056】
なお、白色発光ダイオードを使用する場合、線状突起ブロック部13を、黄色に着色された透光性合成樹脂により成形することにより、黄色光を線状凸部14から放射することができる。太陽電池19としては、例えば定格3.3V、430mAの太陽電池であれば、ユニット本体21の上面に取付可能であり、且つケース12のユニット収納室12bに収納可能である。
【0057】
また、電気二重層コンデンサ30として、例えば容量50Fのコンデンサを8本回路基板29に実装し、合計400F程度の容量の電気二重層コンデンサを使用すれば、電気二重層コンデンサ30の充電電力のみで、夜間10時間程度、LED16を点灯することができる。
【0058】
上記構成の境界表示ブロック装置11は、図13に示すように、歩道の横断歩道近傍位置に設置された点状突起ブロックBの反車道側の近傍に、点状突起ブロックBの1辺の側部に沿わせるように設置される。
【0059】
具体的には、例えば歩道における横断歩道近傍位置に、点状突起ブロックBが列状に並べて配置されている場合、図13のように、それらの点状突起ブロックBの列の内側(反車道側)に沿って、点状突起ブロックBの1辺の近傍に配置する。ケース12は、その下部を歩道内に埋設し、歩道の上面とケース12の上面が同一レベルとなるようにし、線状凸部14が歩道面から上方に突出した状態で、境界表示ブロック装置11を歩道に設置する。また、視覚障害者用誘導・警告ブロックの規格では、点状突起ブロック内に線状突起を設ける場合、縁部の点状突起と線状突起との距離は約90mmとなっているので、点状突起ブロックBの縁部の点状突起と線状凸部14との距離が約90mmとなるように、境界表示ブロック装置11は、各点状突起ブロックBの1辺に沿って設置される。
【0060】
これにより、視覚障害者は、靴底の感触や白杖の感触により、点状突起ブロックBの近傍に配置される線状突起ブロック部13を認識でき、線状突起ブロック部13の線状凸部14の方向と直角方向に横断歩道があることを認知することにより、視覚障害者に対し方向定位の有効なサポートを行うことができる。したがって、視覚障害者が横断歩道を外れて交差点の中央に進んでしまう危険を防止し、視覚障害者の不安をなくすことができる。
【0061】
一方、夜間に入ると、昼夜判別回路25から点灯制御回路23に夜間信号が出力され、点灯制御回路23は夜間信号を入力すると、LED16への電力の供給を開始し、線状突起ブロック部13の両側に設けたLED16が点灯する。これにより、LED16の光が両側端部から導光体の線状突起ブロック部13内に入射し、線状凸部14の上面の光拡散面14aから、例えば黄色の線状光が上方に放出照射され、点状突起ブロックBの列の内側(反車道側)に沿って線状の光が横断歩道の位置を示すように点灯する。
【0062】
したがって、弱視者や高齢者であっても、横断歩道手前の線状光を明確に視認して、横断歩道の位置や歩道と車道の境界を容易に認識することができ、特に、横断歩道の両側の歩道縁部に境界表示ブロック装置11を設置すれば、横断時のスタートとゴールの位置を、弱視者や高齢者に対し明確に点灯表示することができ、横断歩道を弱視者や高齢者が横断する際、誤って交差点の中央に進んでしまうなどの危険を防止することができる。
【0063】
また、太陽電池19と電気二重層コンデンサ30を内蔵する境界表示ブロック装置11は、商用電源の電力線の布設工事が不要となり、歩道などに簡単に境界表示ブロック装置を設置することができる。また、電力消費量の小さい1対のLED16を線状突起ブロック部13の両側に配置するのみで、線状凸部14を発光させることができるので、比較的小型の太陽電池19と電気二重層コンデンサ30を使用することが可能となり、これにより、ケース12の埋設部を小形化して、ケース12の埋設工事を簡単に行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 境界表示ブロック装置
2 ケース
2a ブロック収納室
2b 板状空間
3 線状突起ブロック部
3a LED収納室
3b 光入射面
4 線状凸部
4a 光拡散面
5 取付板
5a 反射シート
6 LED
11 境界表示ブロック装置
12 ケース
12a ブロック収納室
12b ユニット収納室
13 線状突起ブロック部
13a LED収納室
13b 光入射面
13c 太陽電池カバー部
14 線状凸部
14a 光拡散面
15 取付板
16 LED
16a LED基板
19 太陽電池
20 内部ユニット
21 ユニット本体
22 充電制御部
23 点灯制御回路
24 逆流防止用ダイオード
25 昼夜判別回路
26 直結充電回路
27 定電圧充電回路
28 電圧監視回路
29 回路基板
30 電気二重層コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚障害者誘導用の点状突起ブロックの1辺と平行に設置され、該点状突起ブロックの1辺と略同じ長さを有し、上面に凸条の線状突起ブロック部を設けた点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置であって、
該線状突起ブロック部がケースの上部に取り付けられ、該線状突起ブロック部上に形成された線状凸部から光を放出させる発光体が該ケース内に設けられたことを特徴とする点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置。
【請求項2】
前記線状突起ブロック部は、透明合成樹脂により板状に成形される共に、前記線状凸部の上面に光拡散面が形成され、前記発光体から放射された光を該線状突起ブロック部の端部から該線状突起ブロック部内に入射させ、線状凸部上面の光拡散面から上方に光を放出することを特徴とする請求項1記載の点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置。
【請求項3】
前記線状突起ブロック部には、前記線状凸部の上面と共に該線状突起ブロック部の下面に光拡散面が形成され、且つ該線状突起ブロック部の該線状凸部に対応した下側に白色反射シートが配設されたことを特徴とする請求項2記載の点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置。
【請求項4】
前記発光体は、1対のLEDから構成されて、前記線状突起ブロック部の下側に配置された取付板の両端部に取り付けられ、該線状突起ブロック部の両側端部近傍に設けた端面と平行な光入射面に向けて該LEDが各々配置されたことを特徴とする請求項3記載の点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置。
【請求項5】
前記ケースはその上部が幅広に形成される一方、該ケース内に内部ユニットが収納され、該内部ユニットの上部に前記LEDを取り付けた取付板が設けられると共に太陽電池が配設され、前記線状突起ブロック部には、該太陽電池の上面を覆う太陽電池カバー部が設けられ、該内部ユニットには、該LEDに電力を供給する蓄電体と、該太陽電池で発電された電力を該蓄電体に蓄電する充電回路と、蓄電体に蓄電された電力をLEDに供給してLEDを点灯制御する点灯制御回路と、を設けた回路基板が配設されたことを特徴とする請求項4記載の点状突起ブロック用の境界表示ブロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−158898(P2012−158898A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18621(P2011−18621)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000159021)株式会社キクテック (42)
【Fターム(参考)】