説明

無機塩基の存在下で着色または明色化する方法及びキット

【課題】アンモニアが高い含有量で含まれることに起因する現在の方法の欠点がなく、その一方で、現在の方法での明色化及び一様性に関して、または着色の場合には、得られる着色力、色度並びに繊維に沿った着色の一様性に関して、少なくとも現在の方法程度の効果を維持する、酸化剤の存在下で使用される明色化または着色の方法を提案すること。
【解決手段】本発明は、1種または複数の脂肪及び1種または複数の界面活性剤を含む無水化粧品組成物と、酸化組成物と、1種または複数の無機塩基を含む組成物とを施用するステップを含む、酸化剤の存在下でヒトのケラチン繊維を着色または明色化する方法に関する。
本発明はまた、いくつかの区画を有するキットであって、第1の区画が、上述の無水化粧品組成物を含有し、第2の区画が、酸化組成物を含有し、第3の区画が、1種または複数の無機塩基、任意に1種または複数の染料を含む組成物を含有するキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種または複数の脂肪及び1種または複数の界面活性剤を含む無水化粧品組成物(A)と、酸化組成物(B)と、少なくとも1つの無機塩基、任意で1種または複数の染料を含む組成物(C)とを施用するステップを含む、酸化剤の存在下でヒトのケラチン繊維を着色または明色化する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、いくつかの区画を有するキットであって、第1の区画が、上述の無水化粧品組成物を含有し、第2の区画が、酸化組成物を含有し、第3の区画が、1種または複数の無機塩基、任意に1種または複数の染料及び1つまたは複数の上述の無機塩基とを含む組成物を含有するキットに関する。
【背景技術】
【0003】
髪などヒトのケラチン繊維を着色する方法の中で、恒久的染色または酸化染色を挙げることができる。とりわけ、この着色方法は、1種または複数の酸化染料前駆体、通常1種または複数の酸化塩基を、1種または複数のカップラーと任意で組み合わせて使用する。
【0004】
一般的に、酸化塩基は、オルト-またはパラ-フェニレンジアミン、オルト-またはパラ-アミノフェノール及び複素環式化合物から選択される。このような酸化塩基は、無色または淡色の化合物であり、酸化剤と合わせた場合、酸化的縮合プロセスによって、有色の種類の化合物が得られる。
【0005】
非常に多くの場合、このような酸化塩基を用いて得られる色調は、酸化塩基に1種または複数のカップラーを組み合わせることによって変えることができ、カップラーは、特に芳香族メタ-ジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール及びある種の複素環式化合物、例えばインドール化合物などから選択される。
【0006】
酸化塩基及びカップラーに使用される分子が多様性に富むことによって、豊富な色調範囲が実現できる。
【0007】
直接染色または半恒久的染色もまた知られている。直接染色に従来から使用されている方法は、ケラチン繊維上に、繊維に対して親和性を有する、有色の及び着色性分子である直接染料を施用するステップと、分子が拡散により繊維の内側に浸透するまで待つステップと、次いで濯ぎを行うステップとからなる。
【0008】
一般的に使用されている直接染料は、ニトロベンゼン、アントラキノン、ニトロピリジン、アゾ、メチン、アゾメチン、キサンテン、アクリジン、アジンまたはトリアリールメタンの直接染料から選択される
【0009】
この種類の方法では、着色を起こすために酸化剤を使用する必要がない。しかし、染色を用いて明色化効果を得るための酸化剤の使用は、除外されてはいない。よってこれを、明色化の条件での、直接染色または半恒久的染色と呼ぶ。
【0010】
したがって、明色化の条件での恒久的染色、またさらには半恒久的染色の方法は、染料組成物と共に少なくとも1つの酸化剤を含む水性組成物を、大多数の場合アルカリpH条件下で使用するステップからなる。この酸化剤には、髪のメラニンを分解するという役割があり、これにより、存在する酸化剤の性質に応じて、繊維の明色化がよりはっきりしたりしなかったりする。したがって、比較的わずかな明色化のためには、酸化剤は一般的に過酸化水素である。よりはっきりとした明色化が必要な場合、通常過硫酸塩などの過酸化塩が、例えば過酸化水素の存在下で使用される。
【0011】
ヒトのケラチン繊維を明色化する方法は、少なくとも1つの酸化剤を含む水性組成物を、大多数の場合アルカリpH条件下で使用するステップからなる。この酸化剤には、髪のメラニンを分解する役割があり、これにより、存在する酸化剤の性質に応じて、繊維の明色化がよりはっきりしたりしなかったりする。したがって、比較的わずかな明色化のためには、酸化剤は一般的に過酸化水素である。よりはっきりとした明色化が必要な場合には、通常過硫酸塩などの過酸化塩が、例えば過酸化水素の存在下で使用される。
【0012】
このような着色または明色化の方法は、アルカリ条件下で使用され、最も一般的に使用されるアルカリ化剤はアンモニアであるという事実からある問題が生じる。アンモニアは、この種の方法に特に有利である。要するにアンモニアは、酸化剤が活性化するように、組成物のpHをアルカリpHに調整することを可能にする。また一方この薬剤は、ケラチン繊維の膨張を引き起こし、うろこ状部分を持ち上げ、酸化剤の浸透を促進し、さらには、染料、基本的には酸化染料が存在する場合には、これらを繊維の内側まで浸透させ、したがって明色化または着色反応の効果を増大させる。
【0013】
このアルカリ化剤は、極めて揮発性なものであり、処理中に放出されるアンモニアの特徴的に強い、むしろ不快な臭いのため、アルカリ化剤はユーザにとって不都合である。
【0014】
さらに、放出されるアンモニアの量を考慮すると、この損失を補うために必要量よりも高い含有量が必要とされる。これはユーザにとっても重大なことである。ユーザは、臭いによって不便をかけられるばかりでなく、例えば頭皮への刺激作用(刺痛)など、耐えられない一層大きな危険に直面する恐れもある。
【0015】
ただ単にアンモニアを全体的または部分的に1種または複数の他の従来のアルカリ化剤で置き換えるという選択肢について述べれば、アンモニアに基づく組成物と同等に有効な組成物は得られない。これは特に、このようなアルカリ化剤は、酸化剤の存在下では、着色された繊維を十分に明色化できないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】GB1026978
【特許文献2】GB1153196
【特許文献3】FR2801308
【特許文献4】DE2359399
【特許文献5】JP88-169571
【特許文献6】JP05-63124
【特許文献7】EP0770375
【特許文献8】WO96/15765
【特許文献9】DE3843892
【特許文献10】DE4133957
【特許文献11】WO94/08969
【特許文献12】WO94/08970
【特許文献13】FR-A-2733749
【特許文献14】DE19543988
【特許文献15】FR-A-2886136
【特許文献16】WO95/15144
【特許文献17】WO95/01772
【特許文献18】EP714954
【特許文献19】FR2189006
【特許文献20】FR2285851
【特許文献21】FR-2140205
【特許文献22】EP1378544
【特許文献23】EP1674073
【特許文献24】EP1637566
【特許文献25】EP1619221
【特許文献26】EP1634926
【特許文献27】EP1619220
【特許文献28】EP1672033
【特許文献29】EP1671954
【特許文献30】EP1671955
【特許文献31】EP1679312
【特許文献32】EP1671951
【特許文献33】EP167952
【特許文献34】EP167971
【特許文献35】WO06/063866
【特許文献36】WO06/063867
【特許文献37】WO06/063868
【特許文献38】WO06/063869
【特許文献39】EP1408919
【特許文献40】EP1377264
【特許文献41】EP1377262
【特許文献42】EP1377261
【特許文献43】EP1377263
【特許文献44】EP1399425
【特許文献45】EP1399117
【特許文献46】EP1416909
【特許文献47】EP1399116
【特許文献48】EP1671560
【特許文献49】EP1006153
【特許文献50】EP1433472
【特許文献51】EP1433474
【特許文献52】EP1433471
【特許文献53】EP1433473
【特許文献54】EP6291333
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Walter NOLL著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)、Academic Press
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、Vol.91、Jan.76、p.27-32で発表されたTODD&BYERSの論文「Volatile Silicone fluids for cosmetics」
【非特許文献3】ASTM標準445補遺C
【非特許文献4】国際色指数第3版
【非特許文献5】CTFA(第6版、1995年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の一目的は、アンモニアが高い含有量で含まれていることに起因する現在の方法の欠点がなく、その一方で、現在の方法での明色化及び一様性に関して、または着色の場合には、得られる着色力、色度並びに繊維に沿った着色の一様性に関して、少なくとも現在の方法程度の効果を維持する酸化剤の存在下で使用される明色化または着色の方法を提案することである。特に、本発明による方法は、強い着色をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このような目的及びその他は、本発明により達成され、したがって酸化剤の存在下でヒトのケラチン繊維を着色または明色化する方法に関し、この方法において以下が前記繊維に施用される:
(a)1種または複数の脂肪及び1種または複数の界面活性剤を含む無水化粧品組成物(A)、
(b)1種または複数の酸化剤を含む組成物(B)、
(c)1種または複数の無機塩基を含む組成物(C)。
【0020】
本発明はまた、第1の区画内に1種または複数の脂肪及び1種または複数の界面活性剤を含む無水組成物(A)を含み、第2の区画内に、1種または複数の酸化剤を含む組成物(B)を含み、第3の区画内に、1種または複数の無機塩基、並びに任意に1種もしくは複数の酸化染料及び/または1種または複数の直接染料を含む組成物(C)を含む、いくつかの区画を有するキットに関する。
【0021】
本発明の他の特徴及び利点は、これより以下に提供される記載及び実施例を読むことによってより明白となる。
【0022】
本明細書のこれより以下において、及び特に記載しない場合、数値の範囲の境界値は、その範囲に含まれる。
【0023】
本発明による方法で処理されるヒトのケラチン繊維は、髪が好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以前に述べた通り、この着色または明色化の方法は、無水組成物(A)の存在下で適用される。
【0025】
とりわけ、本発明の意味から、無水組成物とは、前記組成物の質量に対して含水量がゼロ質量%または5質量%未満、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満である組成物を意味する。水は、結合水、例えば塩の結晶水または本発明による組成物の調製において使用された原料により吸収された微量の水などの形態である可能性もあるということを指摘しておきたい。
【0026】
さらに、この組成物を明色化のために使用する場合、この組成物は、ヒトのケラチン繊維の着色に通常使用される直接染料または酸化染料前駆体(塩基及びカップラー)は含有せず、あるいは含有するにしても、その全含有量は、酸化剤を含む無水組成物及び水性組成物の質量に対して0.005質量%を超えない。実際に、そのような含有量では、組成物のみがおそらく着色されることになり、すなわちケラチン繊維の着色効果は認められないことになる。
【0027】
明色化する方法は、酸化塩基、カップラーまたは直接染料なしで使用するのが好ましい。
【0028】
これまで述べてきたように、無水化粧品組成物(A)は、1種または複数の脂肪を含む。
【0029】
「脂肪」は、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg)下で水に不溶性の有機化合物である(溶解度が5%未満、好ましくは1%未満、さらにより好ましくは以下の0.1%未満)。その構造において、脂肪は、少なくとも2つのシロキサン基の鎖を少なくとも1つ、または少なくとも6個の炭素原子を有する炭化水素鎖を少なくとも1つ有する。さらに脂肪は、一般的に、同じ温度条件及び気圧条件下で、例えばクロロホルム、エタノール、ベンゼン、流動パラフィンまたはデカメチルシクロペンタシロキサンなどの有機溶媒に可溶である。
【0030】
とりわけ、脂肪は、低級のC6〜C16アルカン、動物性、植物性、鉱物性または合成由来の非シリコーン油、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸及び/または脂肪アルコールのエステル、非シリコーンロウ、シリコーンまたはこれらの混合物から選択される。
【0031】
本発明の意味において、アルコール、エステル及び脂肪酸は特に、6から30個の炭素原子を含み、特に1つまたは複数のヒドロキシル基(特に1から4)で任意に置換されている、少なくとも1つの直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和の炭化水素基を有するということに注目されたい。このような化合物が不飽和である場合、これらは1から3つの共役または非共役の炭素-炭素二重結合を含むことができる。
【0032】
C6〜C16低級アルカンに関しては、これらは、直鎖状、分枝状、任意には環状である。例として、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、イソパラフィン、例えばイソヘキサデカン、イソデカンなどを挙げることができる。
【0033】
本発明の組成物に使用可能な、動物性、植物性、鉱物性または合成由来の非シリコーン油としては、例えば、以下を挙げることができる:
- 動物由来の炭化水素油、例えばペルヒドロスクアレンなど、
- 植物由来または合成由来のトリグリセリド油、例えば6から30個の炭素原子を有する脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリドなど、あるいは、例えばヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、ヒョウタン油、ブドウ種油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アンズ油、マカデミア油、アララ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、アボカド油など、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えばStearineries Dubois社から販売されているもの、またはDynamit Nobel社から、Miglyol(登録商標)810、812及び818の名称で販売されているもの、ホホバ油、シアバター油など、
- 鉱物由来または合成由来の、16個より多くの炭素原子を有する、直鎖状または分枝状炭化水素、例えば、揮発性または不揮発性のパラフィン油及びその誘導体、ワセリン、流動パラフィン、ポリデセン、Parleam(登録商標)などの水素化ポリイソブテン、好ましくはパラフィン油、ワセリン、流動パラフィン、ポリデセン、Parleamなどの水素化ポリイソブテンなど、
- フッ素化油、例えばペルフルオロメチルシクロペンタン及びペルフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、つまりBNFL Fluorochemicals社により、「FLUTEC(登録商標)PC1」及び「FLUTEC(登録商標)PC3」の名称で販売されているもの、ペルフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン、ペルフルオロアルカン、例えばドデカフルオロペンタン及びテトラデカフルオロヘキサンなど、3M社から「PF 5050(登録商標)」及び「PF 5060(登録商標)」の名称で販売されているもの、またはブロモペルフルオロオクチル、すなわちAtochem社から、「FORALKYL(登録商標)」の名称で販売されているもの、ノナフルオロメトキシブタン及びノナフルオロエトキシイソブタン、ペルフルオロモルホリンの誘導体、例えば4-トリフルオロメチルペルフルオロモルホリン、例えば3M社から「PF5052(登録商標)」の名称で販売されているものなど。
【0034】
本発明の用途に適切な脂肪性のアルコールは、とりわけ、8から30個の炭素原子を有する飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状アルコールから選択される。例として、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びこれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコールまたはリノレイルアルコールを挙げることができる。
【0035】
本発明の範囲内で使用することができる脂肪酸は、とりわけ、6から30個の炭素原子、特に9から30個の炭素原子を有する飽和または不飽和のカルボン酸から選択される。これらは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びイソステアリン酸から有利に選択される。
【0036】
脂肪酸及び/または脂肪アルコールのエステルに関しては、上述されたトリグリセリドと異なることが有利である。脂肪族の飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状C1〜C26モノ酸またはポリ酸と、脂肪族の飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状C1〜C26モノアルコールまたはポリアルコールのエステルを特に挙げることができ、これらエステル中の炭素の総数は、10以上である。
【0037】
モノエステルの中では、ベヘン酸ジヒドロアビエチル、ベヘン酸オクチルドデシル、ベヘン酸イソセチル、乳酸セチル、乳酸C12〜C15アルキル、乳酸イソステアリル、乳酸ラウリル、乳酸リノレイル、乳酸オレイル、オクタン酸(イソ)ステアリル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸セチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸イソセチル、ステアリン酸イソセチル、オクタン酸イソデシル、オレイン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソステアリル、リシノール酸メチルアセチル、ステアリン酸ミリスチル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、ペラルゴン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、エルカ酸オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル類、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミスチリン酸ステアリル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチルなど、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシルなどを挙げることができる。
【0038】
さらに、この変法の範囲内で、C4〜C22のジ-またはトリカルボン酸とC1〜C22アルコールのエステル、及びモノ-、ジ-またはトリカルボン酸とC2〜C26ジ-、トリ-、テトラ-またはペンタヒドロキシアルコールのエステルを使用することもできる。
【0039】
セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ジオクチル、ウンデシレン酸グリセリル、ステアリン酸オクチルドデシルステアロイル、モノリシノール酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、プロピレングリコールジカプリラート、プロピレングリコールジカップラート、エルカ酸トリデシル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸(diisanonate)ジエチレングリコール及びジステアリン酸ポリエチレングリコールなどを特に挙げることができる。
【0040】
上述されたエステルの中で、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルデシルなど、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチルなど、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル及びイソノナン酸イソノニル、オクタン酸セチルを使用するのが好ましい。
【0041】
組成物はまた、脂肪性エステルとして、C6〜C30の、好ましくはC12〜C22脂肪酸と糖のエステル及びジエステルを含むことができる。「糖」とは、アルデヒド官能基またはケトン官能基の有無にかかわらず、いくつかのアルコール官能基を有し、少なくとも4個の炭素原子を有する酸化した炭化水素化合物を意味するということを指摘しておきたい。このような糖は、単糖、寡糖類または多糖類であってよい。
【0042】
適切な糖として、例えばスクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、ラクトース及びこれらの誘導体、特にアルキル化、例えばメチル化した誘導体、例えばメチルグルコースを挙げることができる。
【0043】
糖と脂肪酸のエステルは、以前に記載した糖と、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和の、C6〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸のエステルまたはエステル混合物を含む群から特に選択することができる。これらが不飽和の場合、このような化合物は、1から3つの共役または非共役の炭素-炭素二重結合を含むことができる。
【0044】
この変法によるエステルはまた、モノ-、ジ-、トリ-及びテトラ-エステル、ポリエステル並びに混合物から選択することができる。
【0045】
このようなエステルは、例えばオレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、ヤシ脂肪酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、カプリン酸、アラキドン酸のエステル、またはこれらの混合物、例えば特に、オレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、パルミトステアリン酸の混合エステルなどであってよい。
【0046】
とりわけ、モノ-及びジ-エステルが使用され、特にスクロース、グルコースまたはメチルグルコースのオレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレオパルミチン酸、リノール酸、リノレン酸、オレオステアリン酸のモノ-及びジ-エステルが使用される。
【0047】
例として、Glucate(登録商標)DOの名称でAmerchol社から販売されている製品を挙げることができるが、これはメチルグルコースジオレイン酸エステルである
【0048】
また、糖と脂肪酸のエステルまたはエステル混合物の例として、以下を挙げることができる:
- Crodesta社から、F160、F140、F110、F90、F70、SL40の名称で販売されている製品であり、それぞれモノエステル73%及びジ-、トリ-エステル27%、モノエステル61%及びジ-、トリ-、テトラ-エステル39%、モノエステル52%及びジ-、トリ-、テトラ-エステル48%、モノエステル45%及びジ-、トリ-、テトラ-エステル55%、モノエステル39%及びジ-、トリ-、テトラ-エステル61%で形成されているスクロースのパルミトステアリン酸エステル及びスクロースのモノ-ラウリン酸エステルを意味するもの、
- 例えば参照名B370でRyoto Sugar Esterの名称で販売され、モノエステル20%及びジ-トリエステル-ポリエステル80%から形成されるスクロースのベヘン酸エステルに相当する製品、
- Tegosoft(登録商標)PSEの名称で、Goldschmidt社から市販されているスクロースのモノ-ジ-パルミトステアリン酸エステル。
【0049】
非シリコーンロウ(複数可)は、カルナウバロウ、キャンデリラロウ及びアルファロウ、パラフィンロウ、オゾケライト、植物ロウ、例えばオリーブロウ、ライスロウ、水素添加ホホバロウまたは花の無水ロウ、例えばBERTIN社(仏国)から販売されているブラックカラントの花のエッセンシャルロウ、動物ロウ、例えば蜜ロウ、または変性蜜ロウ(セラベリナ)から特に選択され、本発明により使用することができる他のロウまたはロウ様原材料は、特に海洋性ワックス、例えば参照名M82でSOPHIM社から販売されている製品など、一般的にはポリエチレンまたはポリオレフィンのロウである。
【0050】
本発明の化粧品組成物に使用されるシリコーンは、25℃で5.10-6から2.5m2/s、好ましくは1.10-5から1m2/sの粘度を有する、揮発性または不揮発性、環状、直鎖状または分枝状の、有機基で変性されたまたは無変性のシリコーンである。
【0051】
本発明により使用することができるシリコーンは、油、ロウ、樹脂またはゴムの形態であってよい。
【0052】
シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)、並びにポリ(アルコキシル化した)基、アミン基及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの官能基を有する有機変性されたポリシロキサンから選択されることが好ましい。
【0053】
有機ポリシロキサンは、Walter NOLL著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)、Academic Pressの中でより詳細に定義されている。これらは揮発性または不揮発性であってよい。
【0054】
有機ポリシロキサンが揮発性の場合、シリコーンは、とりわけ、60℃から260℃の間の沸点を有するものから選択され、さらにとりわけ、以下から選択される。
(i)3から7個、好ましくは4から5個の珪素原子を有する環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、VOLATILE SILICONE(登録商標)7207の名称で、UNION CARBIDE社から特に市販されている、またはSILBIONE(登録商標)70045 V2の名称でRHODIA社から市販されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、VOLATILE SILICONE(登録商標)7158の名称でUNION CARBIDE社から、及びSILBIONE(登録商標)70045 V5の名称でRHODIAから市販されているデカメチルシクロペンタシロキサン及びこれらの混合物。
【0055】
ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンなどの種類のシクロコポリマー、例えばUNION CARBIDE社から市販されているSILICONE VOLATILE(登録商標)FZ 3109など、以下の式のものを挙げることができる。
【0056】
【化1】

【0057】
さらにまた、環状ポリジアルキルシロキサンと珪素由来の有機化合物の混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-(ヘキサ-2,2,2',2',3,3'-トリメチルシリルオキシ)ビス-ネオペンタンの混合物を挙げることもできる。
(ii)2から9個の珪素原子を有し、25℃で5.10-6m2/s以下の粘度を有する、揮発性の直鎖状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、TORAY SILICONE社より「SH 200」の名称で特に市販されているデカメチルテトラシロキサンである。この種類に含まれるシリコーンは、Cosmetics and Toiletries、Vol.91、Jan.76、p.27-32-で発表されたTODD&BYERSの論文「Volatile Silicone fluids for cosmetics」にも記載されている。
【0058】
不揮発性ポリジアルキルシロキサン、ポリジアルキルシロキサンのゴム及び樹脂、上述の有機官能基で変性されたポリ有機シロキサン並びにこれらの混合物を使用するのが好ましい。
【0059】
このようなシリコーンは、とりわけポリジアルキルシロキサンから選択され、ポリジアルキルシロキサンの中では、トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンを主に挙げることができる。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定される。
【0060】
このようなポリジアルキルシロキサンの中では、非限定的に以下の市販の製品を挙げることができる:
- RHODIAから市販されているSILBIONE(登録商標)油の47及び70 047シリーズ、またはMIRASIL(登録商標)油、例えば70 047 V 500 000の油、
- RHODIA社から市販されているMIRASIL(登録商標)シリーズの油、
- DOW CORNING社製の200シリーズの油、例えば粘度60000mm2/sを有するDC200など、
- GENERAL ELECTRIC製のVISCASIL(登録商標)油及びGENERAL ELECTRIC製のSFシリーズのいくつかの油(SF96、SF18)。
【0061】
RHODIA社製の48シリーズの油などのジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサン(CTFA名では、ジメチコノールの名称で知られている)も挙げることができる。
【0062】
この種類のポリジアルキルシロキサンにおいては、GOLDSCHMIDT社から「ABIL WAX(登録商標)9800及び9801」の名称で市販されている製品も挙げることができるが、これはポリジアルキル(C1〜C20)シロキサンである。
【0063】
本発明に従い使用することができるシリコーンゴムは、特にポリジアルキルシロキサンである、好ましくは溶媒中で単独または混合して使用される、200000から1000000の間の高い数平均分子量を有するポリジメチルシロキサンである。前記溶媒は、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカン、トリデカンまたはこれらの混合物から選択することができる。
【0064】
本発明に従い、さらに特に使用可能な製品は、以下のような混合物である:
- 鎖の末端がヒドロキシル化したポリジメチルシロキサンまたはジメチコノール(CTFA)と、シクロメチコン(CTFA)とも呼ばれる環状ポリジメチルシロキサンから形成される混合物、例えばDOW CORNING社から市販されている製品Q21401など、
- ポリジメチルシロキサンゴムと環状シリコーンの混合物、例えばGENERAL ELECTRIC社の製品SF1214 Silicone Fluidであり、この製品は、デカメチルシクロペンタシロキサンに相当する油SF1202 Silicone Fluidに溶解された、数平均分子量500000を有する、ジメチコンに相当するゴムSF30である、
- 異なる粘度の2種のPDMS、とりわけPDMSゴムとPDMS油の混合物、例えば、GENERAL ELECTRIC社製の製品SF 1236。この製品SF 1236は、20m2/sの粘度を有する上述のようなゴムSE 30と、粘度5.10-6m2/sを有する油SF96の混合物である。前記製品は、ゴムSE 30を15%と、油SF 96を85%含むのが好ましい。
【0065】
本発明に従い使用することができる有機ポリシロキサン樹脂は、以下の単位:
R2SiO2/2、R3SiO1/2、RSiO3/2及びSiO4/2
(式中、Rは、1から16個の炭素原子を有するアルキルを表す)を含有する架橋シロキサン系である。このような製品の中では、RがC1〜C4低級アルキル基、とりわけメチルを意味するものが特に好ましい。
【0066】
このような樹脂の中では、「DOW CORNING593」の名称で市販されている製品、またはGENERAL ELECTRIC社から「SILICONE FLUID SS 4230及びSS 4267」の名称で市販されている製品を挙げることができるが、これらは、ジメチル/トリメチルシロキサン構造を有するシリコーンである。
【0067】
トリメチルシロキシシリケート型の、特にX22-4914、X21-5034及びX21-5037の名称でSHINETSU社から市販されている樹脂も挙げることができる。
【0068】
本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、以前に定義されたように、炭化水素基を用いて固定された1つまたは複数の有機官能基をその構造の中に含むシリコーンである。
【0069】
上述したシリコーンとは別に、有機変性シリコーンは、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン、及び以前に述べた有機官能基により官能化されたポリアルキルアリールシロキサンである。
【0070】
ポリアルキルアリールシロキサンは、直鎖状及び/または分枝状であり、25℃で1.10-5から5.10-2m2/sの範囲の粘度を有する、ポリジメチル/メチルフェニルシロキサン、ポリジメチル/ジフェニルシロキサンから特に選択される。
【0071】
このようなポリアルキルアリールシロキサンの中では、例として以下の名称で市販されている製品を挙げることができる:
. RHODIA製のSILBIONE(登録商標)70 641シリーズの油、
. RHODIA製のRHODORSIL(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
. DOW CORNING製のDOW CORNING556 COSMETIC GRADE FLUIDの油、
. BAYER製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20など、
. BAYER製のPN、PHシリーズのシリコーン、例えばPN1000及びPH1000の製品など、
. GENERAL ELECTRIC製のSFシリーズのある種の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250、SF 1265など。
【0072】
有機変性シリコーンの中では、以下のポリ有機シロキサンを挙げることができる。
- C6-C24アルキル基を任意に有するポリエチレンオキシ及び/またはポリプロピレンオキシ基を有するもの、例えば、DOW CORNING社からDC 1248の名称で市販されている、またはUNION CARBIDE社製のSILWET(登録商標)L 722、L 7500、L 77、L 711の油などのジメチコンコポリオールと呼ばれる製品、及びDOW CORNING社からQ2 5200の名称で市販されているアルキル(C12)-メチコンコポリオールなど。
- 置換または非置換のアミン基を有するもの、例えば、GENESEE社からGP4 Silicone Fluid及びGP7100の名称で市販されている製品、またはDOW CORNING社からQ2 8220及びDOW CORNING929もしくは939の名称で市販されている製品。置換アミン基は、特にC1〜C4アミノアルキル基である。
- アルコキシル化した基を有するもの、例えばSWS SILICONESから「SILICONE COPOLYMER F-755」の名称で、GOLDSCHMIDT社からABIL WAX(登録商標)2428、2434及び2440の名称で市販されている製品。
【0073】
脂肪は、C2〜C3アルコキシル化した単位を含有せず、グリセロール単位を含有しないことが好ましい。
【0074】
とりわけ、脂肪は、室温及び大気圧下で液体のまたはペースト状である化合物から選択される。
【0075】
脂肪は、温度25℃及び大気圧下で液体の化合物であるのが好ましい。
【0076】
脂肪はC6〜C16低級アルカン、16個を超える炭素原子を有する、鉱油由来の非シリコーン油、植物または合成由来の非シリコーン油、脂肪アルコール、脂肪酸及び/または脂肪アルコールのエステル、シリコーンまたはこれらの混合物から選択されるのが好ましい。
【0077】
脂肪は、流動パラフィン、ポリデセン、脂肪酸及び/もしくは脂肪アルコール液体エステル、またはこれらの混合物から選択されるのが好ましい。
【0078】
本発明による組成物の脂肪(複数可)は、非シリコーンであるのが好ましい。
【0079】
無水化粧品組成物は、無水組成物(A)の質量に対して、好都合には10から99質量%の間、好ましくは20から90質量%の間、さらにとりわけ25から80質量%の間の脂肪含有量を有する。
【0080】
無水化粧品組成物(A)はまた、1種または複数の界面活性剤を含む。
【0081】
とりわけ、界面活性剤または界面活性剤類は、非イオン性界面活性剤またはアニオン界面活性剤から選択される。
【0082】
アニオン界面活性剤は、以下の化合物の塩(特にアルカリ金属の塩、特にナトリウムの塩、アンモニウムの塩、アミンの塩、アミノアルコールの塩またはマグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩)からさらに特別に選択される:
- アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルアリール-ポリエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩、
- アルキルスルホン酸塩、アルキルアミドスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、α-オレフィン-スルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、
- アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、
- アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、アルキルアミド-スルホコハク酸塩、アルキルスルホスクシナメート、
- アルキルスルホアセテート、
- アシルサルコシネート、アシルイセチオン酸塩及びN-アシルタウレート、
- 脂肪酸の塩、例えばオレイン酸、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油酸または水素添加されたヤシ油酸などの塩、
- アルキルDガラクトシドウロン酸の塩、
- アシル-ラクチレート、
- ポリアルコキシル化アルキルエーテルカルボン酸、ポリアルコキシル化アルカリルエーテルカルボン酸、ポリアルコキシル化アルキルアミドエーテルカルボン酸、特に2から50のエチレンオキシド基を有するものなどの塩、
- 並びにこれらの混合物。
【0083】
このような様々な化合物のアルキルまたはアシル基は、6から24個の炭素原子、好ましくは8から24個の炭素原子を有するのが有利であり、アリール基は、好ましくはフェニルまたはベンジル基を意味することに留意すべきである。
【0084】
非イオン性界面活性剤は、とりわけ、モノ-またはポリアルコキシル化した、モノ-またはポリグリセロール化した非イオン性界面活性剤から選択される。アルコキシル化した単位は、とりわけエトキシ化した、プロポキシ化した単位であるか、またはこれらの組合せであり、好ましくはエトキシ化されている。
【0085】
アルコキシル化した非イオン性界面活性剤の例として、以下を挙げることができる。
・ アルコキシル化アルキル(C8〜C24)フェノール、
・ 飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の、アルコキシル化C8〜C30アルコール、
・ 飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の、アルコキシル化C8〜C30アミド、
・ 飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC8〜C30の酸とポリエチレングリコールのエステル、
・ 飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC8〜C30の酸とポリエトキシ化ソルビトールのエステル、
・ 飽和または不飽和の、エトキシ化した植物油、
・ とりわけ、エチレンオキシドの縮合物及び/またはプロピレンオキシドの縮合物(単独でまたは混合して使用)。
【0086】
界面活性剤は、1から100の間、好ましくは2から50の間のいくつかのモル数のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを有する。非イオン性界面活性剤は、プロポキシ化した単位を含有しないのが有利である。
【0087】
本発明の好ましい実施形態によれば、アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、エトキシ化したC8〜C30アルコール、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状C8〜C30の酸のエステル及びポリエトキシ化したソルビトールのエステルから選択される。
【0088】
非イオン性のモノ-またはポリグリセロール界面活性剤の例として、好ましくはC8〜C40モノ-またはポリグリセロールアルコールが用いられる。
【0089】
特に、C8〜C40モノ-またはポリグリセロールアルコールは、以下の式に相当する:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H
(式中、Rは、直鎖状または分枝状の、C8〜C40の、好ましくはC8〜C30のアルキルまたはアルケニル基を表し、mは、1から30、好ましくは1から10の範囲の数を表す)。
【0090】
本発明の範囲内での適切な化合物の例として、4モルのグリセロールを有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5モルのグリセロールを有するラウリルアルコール、4モルのグリセロールを有するオレイルアルコール(INCI名:POLYGLYCERYL-4OLEYL ETHER)、2モルのグリセロールを有するオレイルアルコール(INCI名:POLYGLYCERYL-2OLEYL ETHER)、2モルのグリセロールを有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを有するオレオセチルアルコール及び6モルのグリセロールを有するオクタデカノールを挙げることができる。
【0091】
アルコールとは、複数のアルコールの混合物を表してよく、mの数値は、統計値を表すが、これは、市販の製品において、数種類のポリグリセロール脂肪アルコールが混合物として共存できるということを意味する。
【0092】
モノ-またはポリグリセロールアルコールの中では、1モルのグリセロールを有するC8/C10アルコール、1モルのグリセロールを有するC10/C12アルコール及び1.5モルのグリセロールを有するC12アルコールを使用するのが特により好ましい。
【0093】
無水組成物中に含有される界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であるのが好ましい。
【0094】
無水組成物(A)中の界面活性剤の含有量は、無水組成物の質量に対して、とりわけ、0.1から50質量%であり、好ましくは0.5から30質量%である。
【0095】
化粧品組成物(A)はまた、髪を着色または明色化するために、組成物に従来から使用されている様々な添加剤、例えばアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、両性イオン性ポリマーまたはこれらの混合物、鉱物性増粘剤、特に粘土、タルクなどの充填剤、有機増粘剤、特にアニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性ポリマー結合性増粘剤、酸化防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、分散剤、膜形成剤、調湿剤、セラミド、防腐剤、乳白剤を含有することができる。
【0096】
上記添加剤は、組成物(A)の質量に対して、それぞれが0.01から20質量%の間の量で一般的に存在する。
【0097】
組成物は、有機親和性粘土、フュームドシリカ、またはこれらの混合物から選択される1種または複数の鉱物性増粘剤を含むことができる。
【0098】
有機親和性粘土は、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、セピオライト、及びこれらの混合物から選択することができる。粘土は、ベントナイトまたはヘクトライトが好ましい。
【0099】
これらの粘土は、四級アミン、三級アミン、アミノ酢酸、イミダゾリン、アミンセッケン、脂肪性硫酸塩、アルカリルスルホネート、アミンオキシド及びこれらの混合物から選択される化学物質で改質することができる。
【0100】
有機親和性粘土として、クオタニウム-18ベントナイト、例えば、Bentone 3、Bentone 38、Bentone 38Vの名称でRheox社から販売されているもの、United Catalyst社から販売されているTixogel VP、Southern Clay社から販売されているClaytone 34、Claytone 40、Claytone XLなど、ステアラルコニウムベントナイト、例えば、Bentone 27の名称でRheox社から販売されているもの、United Catalyst社から販売されているTixogel LG、Southern Clay社から販売されているClaytone AF、Claytone APAなど、クオタニウム-18/ベンザルコニウムベントナイト、例えば、Claytone HT、Claytone PSの名称でSouthern Clay社から販売されているもの、クオタニウム-18ヘクトライト、例えば、Bentone Gel DOA、Bentone Gel ECO5、Bentone Gel EUG、Bentone Gel IPP、Bentone Gel ISD、Bentone Gel SS71、Bentone Gel VS8、Bentone Gel VS38の名称でRheox社から販売されているもの、及びBiophil社から販売されているSimagel M、Simagel SI345などを挙げることができる。
【0101】
フュームドシリカは、微細なシリカを生成する、酸水素炎における揮発性珪素化合物の高温加水分解によって得ることができる。この方法は特に、その表面に多数のシラノール基を有する親水性のシリカを得ることを可能にする。このような親水性シリカは、例えば、「AEROSIL 130(登録商標)」、「AEROSIL 200(登録商標)」、「AEROSIL 255(登録商標)」、「AEROSIL 300(登録商標)」、「AEROSIL 380(登録商標)」の名称で、Degussa社から、「CAB-O-SIL HS-5(登録商標)」、「CAB-O-SIL EH-5(登録商標)」、「CAB-O-SILLM-130(登録商標)」、「CAB-O-SIL MS-55(登録商標)」、「CAB-O-SIL M-5(登録商標)」の名称でCabot社から市販されている。
【0102】
シリカの表面は、シラノール基の数を減少させるための化学反応により化学的に改質することができる。特に、シラノール基は、疎水基で置き換えることができる。これによって、疎水性シリカが得られる。
【0103】
疎水性基は、以下のものであってよい。
- トリメチルシロキル基、特に、ヘキサメチルジシラザンの存在下で、高温処理で得られたもの。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)に従い「シリカシリレート」と呼ばれる。これらは例えば、参照名「AEROSIL R812(登録商標)」でDegussa社から、「CAB-O-SIL TS-530(登録商標)」でCabot社から市販されている。
- ジメチルシリルオキシルまたはポリジメチルシロキサン基、これらは、特に、ポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下でフュームドシリカを処理することによって得られる。こうして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)に従い「シリカジメチルシリレート」と呼ばれる。これらは、例えば、参照名「AEROSIL R972(登録商標)」、「AEROSIL R974(登録商標)」でDegussa社から、「CAB-O-SIL TS-610(登録商標)」、「CAB-O-SIL TS-720(登録商標)」でCabot社から市販されている。
【0104】
フュームドシリカは、ナノメートルからマイクロメートル、例えば約5から200nmの範囲となり得る粒径を有することが好ましい。
【0105】
組成物は、ヘクトライト、有機変性ベントナイトまたはフュームドシリカ、任意に改質されているものを含むことが好ましい。
【0106】
存在する場合、鉱物性増粘剤は、組成物質量に対して、1から30質量%を占める。
【0107】
組成物は、ゲルまたはクリームの形態が有利である。
【0108】
以前に述べた通り、本発明による方法は、1種または複数の酸化剤を含む組成物(B)の存在下で実施される。
【0109】
とりわけ、酸化剤または薬剤は、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属のブロメートまたはフェリシアン化物、過酸化した塩、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の過硫酸塩、過ほう酸塩及び過炭酸塩、並びに過酸及びこれらの前駆体から選択される。1種または複数の酸化還元酵素、例えば、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ及び2個の電子を有するオキシドレダクターゼ(ウリカーゼなど)も、任意にそれぞれの供与体または共同因子の存在下で、酸化剤として使用することができる。
【0110】
この酸化剤は、過酸化水素により、特に水溶液(過酸化水素)中で構成されるのが有利であり、濃度は、とりわけ、酸化組成物(B)に対して0.1から50質量%、より好ましくは0.5から20質量%、さらにより好ましくは1から15質量%の間で様々でよい。
【0111】
所望する明色化の程度に応じて、酸化剤はまた、好ましくは過酸化塩から選択される酸化剤も含むことができる。
【0112】
酸化剤は、過酸化塩及び過酸及び前駆体から選択されないことが好ましい。
【0113】
酸化組成物は、水性または非水性であってよい。水性組成物とは、5質量%を超える水、好ましくは10質量%を超える水、さらにより有利には20質量%を超える水を有する組成物を意味する。
【0114】
組成物(B)は、水性組成物が好ましい。
【0115】
組成物(B)はまた、1種または複数の有機溶媒も含むこともできる。
【0116】
有機溶媒として、例えば直鎖状または分枝状C2〜C4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノールなど、グリセロール、ポリオール及びポリオールのエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールのモノメチルエーテル、ジエチレングリコールのモノエチルエーテル及びモノメチルエーテル、さらに芳香族アルコール、例えばベンジルアルコールまたはフェノキシエタノールなど、並びにこれらの混合物などを挙げることができる。
【0117】
溶媒(複数可)は、これらが存在する場合には、酸化組成物(B)の質量に対して、1から40質量%、好ましくは5から30質量%の範囲の含有量を通常有する。
【0118】
酸化組成物(B)は、1種または複数の酸性化剤を含むことができる。
【0119】
酸性化剤の中では、鉱物性または有機の酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸など、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、スルホン酸などを例として挙げることができる。
【0120】
通常、酸化組成物(B)のpHは、水性の場合、7未満である。
【0121】
酸化組成物(B)はまた、本分野に従来から使用されている他の成分、例えば特に、無水組成物(A)、特に脂肪に関して以前に詳述したものなども含有できる。
【0122】
最後に、酸化組成物(B)は、例えば溶液、乳濁液またはゲルなど様々な形態をとることができる。
【0123】
本発明による方法は、これが着色の方法である場合、1種または複数の酸化染料及び/または1種または複数の直接染料を含む組成物(C)の存在下で実施される。
【0124】
酸化染料は、酸化塩基から一般的に選択され、これを1種または複数のカップラーと任意で組み合わせる。
【0125】
例えば、酸化塩基は、パラフェニレンジアミン、ビス-フェニルアルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール、複素環式塩基及びこれらの付加塩から選択される。
【0126】
パラフェニレンジアミンの中では、例として、パラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、2-クロロパラフェニレンジアミン、2,3-ジメチルパラフェニレンジアミン、2,6-ジメチルパラフェニレンジアミン、2,6-ジエチルパラフェニレンジアミン、2,5-ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N-ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N-ジエチルパラフェニレンジアミン、N,N-ジプロピルパラフェニレンジアミン、4-アミノN,N-ジエチル3-メチルアニリン、N,N-ビス-(β-ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、4-N,N-ビス-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチルパラフェニレンジアミン、2-フルオロパラフェニレンジアミン、2-イソプロピルパラフェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)パラフェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチルパラフェニレンジアミン、N,N-ジメチル3-メチルパラフェニレンジアミン、N,N-(エチル,β-ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)パラフェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)パラフェニレンジアミン、N-フェニルパラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシパラフェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシパラフェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)パラフェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニルパラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン、3-ヒドロキシ1-(4'-アミノフェニル)ピロリジン及びこれらの酸との付加塩を挙げることができる。
【0127】
上述したパラフェニレンジアミンの中では、パラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、2-イソプロピルパラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルパラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシパラフェニレンジアミン、2,6-ジメチルパラフェニレンジアミン、2,6-ジエチルパラフェニレンジアミン、2,3-ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N-ビス-(β-ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、2-クロロパラフェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシパラフェニレンジアミン及びこれらの酸との付加塩が特に好ましい。
【0128】
ビス-フェニルアルキレンジアミンの中では、例として、N,N'-ビス-(β-ヒドロキシエチル)N,N'-ビス-(4'-アミノフェニル)1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス-(β-ヒドロキシエチル)N,N'-ビス-(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス-(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス-(β-ヒドロキシエチル)N,N'-ビス-(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス-(4-メチル-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス-(エチル)N,N'-ビス-(4'-アミノ,3'-メチルフェニル)エチレンジアミン、1,8-ビス-(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン及びこれらの付加塩を挙げることができる。
【0129】
パラ-アミノフェノールの中では、例として、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、4-アミノ-2-フルオロフェノール及びこれらの酸との付加塩を挙げることができる。
【0130】
オルト-アミノフェノールの中では、例として、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、5-アセトアミド2-アミノフェノール及びこれらの酸との付加塩を挙げることができる。
【0131】
複素環式塩基の中では、例として、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体及びピラゾール誘導体を挙げることができる。
【0132】
ピリジン誘導体の中では、例えば特許のGB1026978及びGB1153196に記載の化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、3,4-ジアミノピリジン及びこれらの付加塩を挙げることができる。
【0133】
本発明において使用することができる他のピリジン酸化塩基は、例えば特許出願のFR2801308に記載されている3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン酸化塩基またはこれらの付加塩である。例として、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルアミン;2-アセチルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルアミン;2-モルホリン-4-イル-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルアミン;3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸;2-メトキシ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルアミノ;(3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)-メタノール;2-(3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)エタノール;2-(3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)エタノール;(3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル)メタノール;3,6-ジアミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン;3,4-ジアミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン;ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン;7-モルホリン-4-イル-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルアミン;ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン;5-モルホリン-4-イル-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イルアミン;2-[(3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;2-[(3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール;3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オール;3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オール;3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール;及びこれらの付加塩を挙げることができる。
【0134】
ピリミジン誘導体の中では、例えば特許のDE2359399、JP88-169571、JP05-63124、EP0770375または特許出願のWO96/15765に記載の化合物、例えば2,4,5,6-テトラ-アミノピリミジン、4-ヒドロキシ2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジン及びこれらの付加塩、並びに互変異性平衡がある場合には互変異性型の形態などを挙げることができる。
【0135】
ピラゾール誘導体の中では、特許のDE3843892、DE4133957及び特許出願のWO94/08969、WO94/08970、FR-A-2733749及びDE19543988に記載の化合物、例えば4,5-ジアミノ1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ1-メチル3-フェニルピラゾール、4-アミノ1,3-ジメチル5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ1-tert-ブチル3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ1-(β-ヒドロキシエチル)3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ1-エチル3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ1-エチル3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ1-エチル3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ1-メチル4-メチルアミノピラゾール、3,5-ジアミノ4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ1-メチルピラゾール、及びこれらの付加塩などを挙げることができる。4,5-ジアミノ1-(β-メトキシエチル)ピラゾールも使用できる。
【0136】
好ましくは、4,5-ジアミノピラゾールが使用されることになり、さらにより好ましくは、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/またはこの塩が使用されることになる。
【0137】
ピラゾール誘導体としてはまた、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロン及び特に特許出願のFR-A-2886136に記載のもの、例えば以下の化合物及びこれらの付加塩も挙げることができる:2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジ(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン、2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン。
【0138】
2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/またはこの塩の使用が好ましい。
【0139】
複素環式塩基として、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/または2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/またはこの塩の使用が好ましい。
【0140】
本発明による組成物は、ケラチン繊維の染色に従来から使用されているものから有利に選択される1種または複数のカップラーを任意に含むことができる。
【0141】
このようなカップラーの中では、特にメタフェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンカップラー、複素環式カップラー並びにこれらの付加塩を挙げることができる。
【0142】
例として、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ2-メチルベンゼン、4-クロロ1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチルエンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシN-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス-(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ4-メチルピリジン、1-H3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンゾイミダゾール、これらの酸との付加塩及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0143】
一般的に、本発明の範囲内で使用することができる酸化塩基との付加塩及びカップラーとの付加塩は、酸との付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩及び酢酸塩などから特に選択される。
【0144】
酸化塩基(複数可)はそれぞれ、組成物の全質量に対して、0.0001から10質量%、好ましくは組成物の全質量に対して0.005から5質量%を占めるのが有利である。
【0145】
カップラー(複数可)の含有量は、存在する場合、それぞれ、組成物の全質量に対して、0.0001から10質量%、好ましくは組成物の全質量に対して、0.005から5質量%を占めるのが有利である。
【0146】
直接染料に関しては、これらは、とりわけイオン性または非イオン性の種類、好ましくはカチオン性のまたは非イオン性の種類から選択される。
【0147】
適切な直接染料の例として、アゾ、メチン、カルボニル、アジン、(ヘテロ)アリールニトロ、トリ(ヘテロ)アリールメタン直接染料、斑岩、フタロシアニン及び天然の直接染料を挙げることができる(単独でまたは混合して使用)。
【0148】
とりわけ、アゾ染料は、官能基-N=N-を含み、この官能基において、2個の窒素原子は同時に環に組み込まれない。しかし、-N=N-鎖の2個の窒素原子のうちの1個が環内に組み込まれることは除外されない。
【0149】
メチン系染料は、とりわけ、>C=C<及びN=C<から選択される少なくとも1つの鎖を含む化合物であり、これらの鎖のうちの2個の原子は、環に同時に組み込まれない。しかし、鎖の窒素原子または炭素原子のうちの1つが、環に組み込まれることは可能であることは明白に記されている。とりわけ、この系統の染料は、例えばメチン、アゾメチン、モノ-及びジアリールメタン、インドアミン(またはジフェニルアミン)、インドフェノール、インドアニリン、カルボシアニン、アザカルボシアニン及びこれらの異性体、ジアザカルボシアニン及びこれらの異性体、テトラアザカルボシアニン、ヘミシアニンなどの化合物から誘導される。
【0150】
カルボニル系染料に関しては、例えばアクリドン、ベンゾキノン、アントラキノン、ナフトキノン、ベンズアントロン、アントラントロン、ピラントロン、ピラゾールアントロン、ピリミジノアントロン、フラバントロン、イダントロン、フラボン、(イソ)ビオラントロン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、イソキノリノン、アントラピリドン、ピラゾロキナゾロン、ペリノン、キナクリドン、キノフタロン、インジゴイド、チオインジゴ、ナフタリミド、アントラピリジン、ジケトピロロピロール、クマリンから選択される染料を挙げることができる。
【0151】
環状アジン系染料に関しては、特に、アジン、キサンテン、チオキサンテン、フルオリンジン(fluorindine)、アクリジン、(ジ)オキサジン、(ジ)チアジン及びピロニンを挙げることができる。
【0152】
(ヘテロ)芳香族ニトロ染料は、とりわけベンゼンニトロまたはピリジンニトロ直接染料である。
【0153】
ポルフィリンまたはフタロシアニンの種類の染料に関しては、カチオン性または非カチオン性化合物を使用することができ、これらは、1種または複数の金属または金属イオン、例えばアルカリ及びアルカリ土類金属、亜鉛及び珪素などを任意に含む。
【0154】
特に適切な直接染料の例として、ベンゼン系のニトロ染料、アゾ、アゾメチン、メチン直接染料、アザカルボシアニン、例えばテトラアザカルボシアニン(テトラアザペンタメチン)など、キノン及び特にアントラキノン、ナフトキノンまたはベンゾキノン直接染料、アジン、キサンテン、トリアリールメタン、インドアミン、インジゴイド、フタロシアニン、ポルフィリン直接染料及び天然の直接染料を挙げることができる(単独でまたは混合して使用)。
【0155】
このような染料は、モノ発色団の染料(すなわち1つの着色料しか含まない)またはポリ発色団、好ましくはジ-またはトリ発色団であってよく、これら発色団は、同一でも異なっていてもよく、同じ化学ファミリーであってもなくてもよい。ポリ発色団染料は、400から800nmの間の可視領域の分子吸収性物質から誘導されるいくつかの基を含むということを指摘しておきたい。さらに、染料のこの光吸収は、染料の事前の酸化も、他の化学種との組合せも必要としない。
【0156】
ポリ発色団の染料の場合、発色団は、少なくとも1つの連結によって一緒に結合され、この連結は、カチオン性または非カチオン性であってよい。
【0157】
連結は、好ましくは直鎖状、分枝状または環状のC1〜C20アルキル鎖であり、この鎖は、少なくとも1つのヘテロ原子(窒素、酸素など)及び/またはこれらを含む少なくとも1つの基(CO、SO2)で任意に中断されており、少なくとも1つの複素環(この複素環は、フェニル核と縮合していないかまたは縮合しており、該環に組み込まれた少なくとも1つの第四級化窒素原子を含み、少なくとも他の1つのヘテロ原子(酸素、窒素または硫黄など)を任意に含む)で任意に中断されおり、少なくとも1つの置換もしくは非置換のフェニルまたはナフチル基で任意に中断されているか、任意に置換されている2つのC1〜C15アルキル基で置換されている少なくとも1つの第四級アンモニウム基で任意に中断されており、この連結は、ニトロ、ニトロソまたはペルオキソ基を含まない。
【0158】
複素環または芳香族核が置換されている場合、これらは、例えば、1つまたは複数のC1〜C8アルキル基(ヒドロキシル、C1〜C2アルコキシ、C2〜C4ヒドロキシアルコキシ、アセチルアミノ、またはアミノ基(1または2つのC1〜C4アルキル基(少なくとも1つのヒドロキシル基を任意に有する)で置換されている、またはこれら2つの基が、これらが結合する窒素原子と共に、5員または6員の複素環を形成することができ、この複素環は、窒素と同一または異なる別のヘテロ原子を任意に含む)で任意に置換されている);ハロゲン原子;ヒドロキシル基;C1〜C2アルコキシ基;C2〜C4ヒドロキシアルコキシ基;アミノ基;1または2つのC1〜C4アルキル基(同一でも異なっていてもよい)で置換されており、少なくとも1つのヒドロキシル基を任意に有しているアミノ基;で置換されている。
【0159】
本発明に従って使用可能なベンゼン直接染料の中では、非限定的に以下の化合物を挙げることができる:
- 1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、
- 1-アミノ-2-ニトロ-4-β-ヒドロキシエチルアミノベンゼン
- 1-アミノ-2-ニトロ-4-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン
- 1,4-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)-2-ニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-アミノベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-(エチル)(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン
- 1-アミノ-3-メチル-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-6-ニトロベンゼン
- 1-アミノ-2-ニトロ-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-クロロベンゼン
- 1,2-ジアミノ-4-ニトロベンゼン
- 1-アミノ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
- 1,2-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)-4-ニトロベンゼン
- 1-アミノ-2-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ-5-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-2-アミノ-5-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-2-アミノ-4-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-アミノベンゼン
- 1-ヒドロキシ-2-アミノ-4,6-ジニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルオキシ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
- 1-メトキシ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン
- 1-β,γ-ジヒドロキシプロピルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-4-β,γ-ジヒドロキシプロピルオキシ-2-ニトロベンゼン
- 1-β,γ-ジヒドロキシプロピルアミノ-4-トリフルオロメチル-2-ニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-4-トリフルオロメチル-2-ニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-メチル-2-ニトロベンゼン
- 1-β-アミノエチルアミノ-5-メトキシ-2-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-2-クロロ-6-アミノ-4-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-6-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロベンゼン
- 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロベンゼン
- 1-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼン。
【0160】
本発明に従って使用可能なアゾ、アゾメチン、メチンまたはテトラアザペンタメチン直接染料の中では、特許出願のWO95/15144、WO95/01772及びEP714954、FR2189006、FR2285851、FR-2140205、EP1378544、EP1674073に記載のカチオン性染料を挙げることができる。
【0161】
したがって、特に以下の式(I)から(IV)の染料、好ましくは式(I)から(III)の化合物を挙げることができる:
【0162】
【化2】

【0163】
式中、
Dは、窒素原子または-CH基を表し、
R1及びR2は、同一または異なり、水素原子;C1〜C4アルキル基(-CN、-OHまたは-NH2基で置換されていてもよく、またはベンゼン環の炭素原子と共に、複素環(任意に酸素含有または窒素含有であり、1つまたは複数のC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい)を形成する);4'-アミノフェニル基を表し、
R3及びR'3は、同一または異なり、水素原子、または塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素から選択されるハロゲン原子、シアノ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシまたはアセチルオキシ基を表し、
X-は、塩化物イオン、メチル硫酸イオン及び酢酸イオンから好ましく選択されるアニオンを表し、
Aは、以下の構造A1からA18、より有利にはA1、A4、A7、A13及びA18から選択される基を表し、
【0164】
【化3A】

【化3B】

【0165】
ここで、R4は、ヒドロキシルラジカルで置換されていてもよいC1〜C4アルキル基を表し、R5は、以下のC1〜C4アルコキシ基を表し、
【0166】
【化4】

【0167】
ここで、
R6は、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表し、
R7は、水素原子、-CN基またはアミノ基で置換されていてもよいアルキル基、4'-アミノフェニル基を表し、またはR6と共に複素環(任意に酸素含有及び/または窒素含有であり、C1〜C4アルキル基で置換されていてもよい)を形成し、
R8及びR9は、同一または異なり、水素原子、臭素、塩素、ヨウ素またはフッ素などのハロゲン原子、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルコキシ基、-CN基を表し、
X-は、塩化物イオン、メチル硫酸イオン及び酢酸イオンから好ましく選択されるアニオンを表し、
Bは、以下の構造B1からB6から選択される基を表し、
【0168】
【化5】

【0169】
ここで、R10は、C1〜C4アルキル基を表し、R11及びR12は、同一または異なり、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表し、
【0170】
【化6】

【0171】
ここで、
R13は、水素原子、C1〜C4アルコキシ基、臭素、塩素、ヨウ素またはフッ素などのハロゲン原子を表し、
R14は、水素原子、C1〜C4アルキル基を表し、またはベンゼン環の炭素原子と共に、複素環(任意に酸素を含有し、及び/または1つもしくは複数のC1〜C4アルキル基で置換されている)を形成し、
R15は、水素原子または臭素、塩素、ヨウ素もしくはフッ素などのハロゲン原子を表し、
R16及びR17は、同一または異なり、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表し、
D1及びD2は、同一または異なり、窒素原子または-CH基を表し、
m=0または1であり、好ましくは1であり、
R13が、非置換アミノ基を表す場合、D1及びD2は、同時に-CH基を表し、m=0であることが理解されており、
X-は、塩化物イオン、メチル硫酸イオン及び酢酸イオンから好ましく選択されるアニオンを表し、
Eは、以下の構造E1からE8、とりわけE1、E2及びE7から選択される基を表し、
【0172】
【化7A】

【化7B】

【0173】
ここで、R'は、C1〜C4アルキル基を表し、
m=0である場合、D1は窒素原子を表し、Eは、以下の構造E9を有する基を意味することもでき、
【0174】
【化8】

【0175】
ここで、R'は、C1〜C4アルキル基を表し、
【0176】
【化9】

【0177】
ここで、
記号Gは、以下の構造G1〜G3から選択される基を表し、
【0178】
【化10】

【0179】
構造G1〜G3において、
R18は、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基または塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素から選択されるハロゲン原子を意味し、
R19は、C1〜C4アルキル基またはフェニル基を意味し、
R20及びR21は、同一または異なり、C1〜C4アルキル基、フェニル基を表し、またはG1において一緒になって、ベンゼン環(1つまたは複数のC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、またはNO2基で置換されている)を形成し、またはG2において一緒になって、ベンゼン環(1つまたは複数のC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、またはNO2基で任意に置換されている)を形成し、
R20は、さらに水素原子を意味することができ、
Zは、酸素原子、硫黄原子または-NR19基を意味し、
Mは、-CH、-CR基(Rは、C1〜C4アルキルを意味する)、または-NR22(X-)rを表し、
Kは、-CH、-CR基(Rは、C1〜C4アルキルを意味する)、または-NR22(X-)rを表し、
Pは、-CH、-CR基(Rは、C1〜C4アルキルを意味する)または-NR22(X-)rを表し、
rは、ゼロまたは1を意味し、
R22は、O-原子、C1〜C4アルコキシ基、またはC1〜C4アルキル基を表し、
R23及びR24は、同一でも異なってもよく、水素原子または塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素から選択されるハロゲン原子、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ基、-NO2基を表し、
X-は、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン及び過塩素酸イオン、から好ましく選択されたアニオンを表し、
ただし、
R22が0-を意味する場合、rはゼロを意味し、
KまたはPまたはMが、-N-アルキルC1〜C4X-を意味する場合、R23またはR24は好ましくは水素原子以外であり、
Kが-NR22(X-)rを意味する場合、M=P=-CH、-CRであり、
Mが-NR22(X-)rを意味する場合、K=P=-CH、-CRであり、
Pが-NR22(X-)rを意味する場合、K=Mであり、これらは-CHまたは-CRを意味し、
Zが硫黄原子を意味し、R21がgC1〜C4アルキルを意味する場合、R20は、水素原子以外であり、
Zが-NR22を意味し、R19がC1〜C4アルキルを意味する場合、構造G2の基のR18、R20またはR21の基のうちの少なくとも1つは、C1〜C4アルキル基以外であり、
この記号Jは、以下を表す:
(a)以下の構造J1を有する基:
【0180】
【化11】

【0181】
(この構造J1中、
R25は、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素から選択されるハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ、-OH、-NO2、-NHR28、-NR29R30、C1〜C4-NHCOアルキル基を表し、またはR26と一緒になって、5員または6員環(窒素、酸素または硫黄から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含有するまたは含有しない)を形成し、
R26は、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素から選択されるハロゲン原子、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ基を表し、
または、R27もしくはR28と一緒になって、5員または6員環(窒素、酸素または硫黄から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含有するまたは含有しない)を形成し、
R27は、水素原子、-OHの基、-NHR28の基、-NR29R30の基を表し、
R28は、水素原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基、フェニル基を表し、
R29及びR30は、同一でも異なっていてもよく、C1〜C4アルキル基、C1〜C4モノヒドロキシアルキル基、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル基を表す)、
-(b)他のヘテロ原子及び/またはカルボニル基を含有してもよく、1つまたは複数のC1〜C4アルキル、アミノまたはフェニル基で置換されていてもよい、5員または6員の、窒素含有の複素環式基であり、
特に、以下の構造J2を有する基:
【0182】
【化12】

【0183】
(この構造J2中、
R31及びR32は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、C1〜C4アルキル基、フェニル基を表し、
Yは、-CO-の基または
【0184】
【化13】

【0185】
の基を意味し、
n=0または1であり、nが1を意味する場合、Uは、-CO-の基を意味する)。
【0186】
上記に定義された構造(I)から(IV)において、C1〜C4アルキルまたはアルコキシ基は、メチル、エチル、ブチル、メトキシ、エトキシを意味するのが好ましい。
【0187】
式(I)及び(III)の化合物の中では、以下の化合物が好ましい。
【0188】
【化14】

【0189】
アゾ直接染料の中では、国際色指数第3版に記載の以下の染料も挙げることができる:
- Disperse Red17
- Basic Red22
- Basic Red76
- Basic Yellow57
- Basic Brown16
- Basic Brown17
- Disperse Black9。
【0190】
さらにまた、1-(4'-アミノジフェニルアゾ)-2-メチル-4-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼンも挙げることができる。
【0191】
キノン直接染料の中では、以下の染料:
- Disperse Red15
- Solvent Violet13
- Disperse Violet1
- Disperse Violet4
- Disperse Blue1
- Disperse Violet8
- Disperse Blue3
- Disperse Red11
- Disperse Blue7
- Basic Blue22
- Disperse Violet15
- Basic Blue99
並びに以下の化合物を挙げることができる:
- 1-N-メチルモルホリニウムプロピルアミノ-4-ヒドロキシアントラキノン
- 1-アミノプロピルアミノ-4-メチルアミノアントラキノン
- 1-アミノプロピルアミノアントラキノン
- 5-β-ヒドロキシエチル-1,4-ジアミノアントラキノン
- 2-アミノエチルアミノアントラキノン
- 1,4-ビス(β,γ-ジヒドロキシプロピルアミノ)アントラキノン。
【0192】
アジン染料の中では、以下の化合物を挙げることができる:
- Basic Blue17
- Basic Red2。
【0193】
本発明により使用可能なトリアリールメタン染料の中では、以下の化合物を挙げることができる:
- Basic Green1
- Basic Violet3
- Basic Violet14
- Basic Blue7
- Basic Blue26。
【0194】
本発明により使用可能なインドアミン染料の中では、以下の化合物を挙げることができる:
- 2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5[ビス(β-4'-ヒドロキシエチル)アミノ]アニリノ-1,4-ベンゾキノン
- 2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-(2'-メトキシ-4'-アミノ)アニリノ-1,4-ベンゾキノン
- 3-N-(2'-クロロ-4'-ヒドロキシ)フェニルアセチルアミノ-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノンイミン
- 3-N-(3'-クロロ-4'-メチルアミノ)フェニルウレイド-6-メチル-1,4-ベンゾキノンイミン
- 3-[4'-N-(エチル,カルバミルメチル)アミノ]フェニル-ウレイド-6-メチル-1,4-ベンゾキノンイミン。
【0195】
本発明により使用可能なテトラアザペンタメチン系染料の中では、以下の表に示された化合物を挙げることができる。
【0196】
【化15】

【0197】
X-は、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン及び過塩素酸イオンから選択されるのが好ましいアニオンを表す。
【0198】
ポリ発色団染料の中では、とりわけ、対称性または非対称性の、二発色団または三発色団のアゾ及び/またはアゾメチン(ヒドラゾン)染料が挙げられ、これら染料は、一方では、任意に縮合している、5員または6員の少なくとも1つの芳香族複素環を含み、この芳香族複素環は、該複素環に組み込まれている少なくとも1つの第四級化窒素原子を含み、少なくとも1つの他のヘテロ原子(窒素、硫黄、酸素など)を任意に含み、他方では、少なくとも1つのフェニルまたはナフチル基を含み、このフェニルまたはナフチル基は、任意に置換されており、少なくとも1つのOR基(Rは、水素原子、任意に置換されているC1〜C6アルキル基、任意に置換されているフェニル核を表す)、または少なくとも1つのN(R')2基(R'は(同一または異なる)、水素原子、任意に置換されているC1〜C6アルキル基、任意に置換されているフェニル核を表す)を任意に有し、R'の基は、これらが結合している窒素原子と共に、飽和した、5員または6員の複素環を形成することができ、または代わりに1つ及び/または両方のR'の基が、窒素原子に対してオルト位に位置する、芳香環の炭素原子と共に、5員または6員の飽和複素環をそれぞれ形成することができる。
【0199】
カチオン性芳香族複素環として、1から3個の窒素原子、好ましくは1または2個の窒素原子(1個は四級化されている)を含む5員または6員の環が好ましく挙げられ、該複素環は、さらにベンゼン環と任意に縮合している。この複素環は、窒素以外の別のヘテロ原子、例えば硫黄または酸素などを任意に含むことができるということを指摘しておきたい。
【0200】
複素環またはフェニル基またはナフチル基が置換されている場合、これらは、例えば、1つまたは複数のC1〜C8アルキル基(ヒドロキシ、C1〜C2アルコキシ、C2〜C4ヒドロキシアルコキシ、アセチルアミノ、アミノ基(1または2つのC1〜C4アルキル基(少なくとも1つのヒドロキシル基を任意に有する)で置換されており、またはこれら2つの基が、これらが結合している窒素原子と共に、5員または6員の複素環を形成することができ、この複素環は、窒素と同一または異なる別のヘテロ原子を任意に含む)で任意に置換されている);ハロゲン原子;ヒドロキシル基;C1〜C2アルコキシ基;C2〜C4ヒドロキシアルコキシ基;アミノ基;1つまたは2つのC1〜C4アルキル基(同一でも異なっていてもよい)で置換されており、少なくとも1つのヒドロキシル基を任意に有しているアミノ基;で置換されている。
【0201】
このようなポリ発色団は、飽和または不飽和の、任意に芳香族である複素環に組み込まれていてもいなくてもよい少なくとも1つの第四級化窒素原子を任意に含む少なくとも1つの連結によって、一緒に結合されている。
【0202】
好ましくは、連結は、直鎖状、分枝状のまたは環状のC1〜C20アルキル鎖であり、この鎖は、少なくとも1つのヘテロ原子(窒素、酸素など)及び/またはこれらを含有する少なくとも1つの基(CO、SO2)で任意に中断されており、少なくとも1つの複素環(この複素環は、フェニル核と縮合しているかまたは縮合しておらず、該環に組み込まれた少なくとも1つの第四級化窒素原子を含み、少なくとも1つの他のヘテロ原子(酸素、窒素または硫黄など)を任意に含む)で任意に中断されており、少なくとも1つの置換もしくは非置換のフェニルまたはナフチル基で任意に中断されているか、任意に置換されている2つのC1〜C15アルキル基で置換されている少なくとも1つの第四級アンモニウム基で任意に中断されており、この連結は、ニトロ、ニトロソまたはペルオキソ基を含まない。
【0203】
連結及び各発色団の間の結合は、フェニルまたはナフチル核を置換するヘテロ原子によって、またはカチオン性複素環の第四級化窒素原子によって通常なされる。
【0204】
染料は、同一または異なる発色団を含むことができる。
【0205】
このような染料の例として、特許出願のEP1637566、EP1619221、EP1634926、EP1619220、EP1672033、EP1671954、EP1671955、EP1679312、EP1671951、EP167952、EP167971、WO06/063866、WO06/063867、WO06/063868、WO06/063869、EP1408919、EP1377264、EP1377262、EP1377261、EP1377263、EP1399425、EP1399117、EP1416909、EP1399116、EP1671560を特に言及することができる。
【0206】
特許出願のEP1006153に記載のようなカチオン性直接染料を使用することも可能であり、このEP1006153は、カチオン性の連結により結合しているアントラキノン系の2つの発色団を含む染料について記載しており、特許出願のEP1433472、EP1433474、EP1433471及びEP1433473は、カチオン性のまたは非カチオン性の連結により結合している同一または異なるニ発色団の染料について記載しており、並びに特許EP6291333は、3つの発色団を含む染料について特に記載しており、この発色団の1つは、アントラキノン発色団であり、このアントラキノン発色団にアゾ系またはジアザカルボシアニン系の2つの発色団またはこれらの異性体が結合する。
【0207】
本発明により使用可能な天然の直接染料の中では、ローソン、ジュグロン、アリザリン、ペルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、ペルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、オルセインを挙げることができる。このような天然の染料を含有する抽出物または煎出物、特にヘンナ系のパップまたは抽出物も使用することができる。
【0208】
存在する場合、直接染料(複数可)は、とりわけ組成物の全質量の0.0001から10質量%、好ましくは0.005から5質量%を占める。
【0209】
組成物(C)は、1つ及び/または他の種類の染料を含むこともできる。この組成物(C)は、2種の染色組成物の混合物から任意に誘導することもでき、このうち一方が酸化染料(複数可)を含み、他方が直接染料または(複数可)直接染料を含む。
【0210】
組成物(C)の別の成分は、1種または複数の無機塩基で表される。
【0211】
無機の化合物とは、本発明の意味において、元素周期表の1から13族の水素以外の1種または複数の元素をその構造中に有し、炭素及び水素の原子(複数可)を同時に含有していない任意の化合物を意味する。
【0212】
本発明のある特定の実施形態によると、無機塩基は、元素周期表の1及び2族の水素以外の1種または複数の元素を含有する。
【0213】
好ましい変法において、無機塩基は、以下の構造を有する:
(Z1x-)m(Z2y+)n
(式中、
Z2は、元素周期表の1から13族、好ましくは1または2族の金属、例えばナトリウムまたはカリウムなどを意味し、
Z1x-は、C032-、OH-、HCO32-、SiO32-、HPO42-、P043-、B4072-のイオン、好ましくはCO32-、OH-、SiO32-のイオンから選択されるアニオンを意味し、
xは、1、2または3を意味し、
yは、1、2、3または4を意味し、
m及びnは、互いに独立して、1、2、3または4を意味し、
n.y=m.xである)。
【0214】
好ましくは、無機塩基は、以下の式(Z1x-)m(Z2y+)n(式中、Z2は、元素周期表の1及び2族の金属を意味し、Z1x-は、イオンCO32-、OH-、SiO32-から選択されるアニオンを意味し、xは、1の値を意味し、yは、1または2を意味し、m及びnは、互いに独立して、1または2を意味し、n.y=m.xである)に相当する。
【0215】
本発明により使用可能な無機塩基として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウムを挙げることができる。無機塩基は、アルカリ性炭酸塩が好ましい。
【0216】
組成物(C)の無機の塩基(複数可)含有量は、前記組成物の質量に対して、0.01から30質量%の範囲が有利であり、0.1から20質量%の範囲が好ましい。
【0217】
組成物(C)はまた、1種または複数の追加の有機アミンを含むことができ、この有機アミンの25℃でのpKbは、12未満、好ましくは10未満、さらにより好ましくは6未満である。
【0218】
以下の式の有機のアミンが適切である:
【0219】
【化16】

【0220】
(式中、Wは、ヒドロキシル基またはC1〜C6アルキル基で任意に置換されている、C1〜C6アルキレン残基であり、Rx、Ry、Rz及びRt(同一でも異なってもよい)は、水素原子、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ヒドロキシアルキル、C1〜C6アミノアルキルを表す)。
【0221】
そのようなアミンの例として、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン、スペルミジンを挙げることができる。
【0222】
第2の変法によると、有機アミンは、アミノ酸から選択される。
【0223】
とりわけ、使用することができるアミノ酸は、L、D、またはラセミ形の天然由来または合成由来のものであり、とりわけカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸またはリン酸の官能基から選択される少なくとも1つの酸官能基を有する。アミノ酸は、中性またはイオンの形態であってよい。
【0224】
本発明において使用可能なアミノ酸として、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、N-フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンを特に挙げることができる。
【0225】
有利には、アミノ酸は、環内またはウレイド官能基内に任意に含まれる別のアミン官能基を含む塩基性アミノ酸である。
【0226】
このような塩基性アミノ酸は、以下の式(I):
【0227】
【化17】

【0228】
(式中、Rは、以下から選択される基を意味する。)
に相当するものから選択されるのが好ましい。
【0229】
【化18】

【0230】
式(I)に相当する化合物は、ヒスチジン、リシン、アルギニン、オルニチン、シトルリンである。
【0231】
本発明の好ましい変法によると、有機アミンは、塩基性アミノ酸から選択される。特に好ましいアミノ酸は、アルギニン、リシン、ヒスチジンまたはこれらの混合物である。
【0232】
第3の変法によると、有機アミンは、複素環式型の有機アミンから選択される。アミノ酸としてすでに述べたヒスチジンに加えて、ピリジン、ピペリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾールを特に挙げることができる。
【0233】
第4の変法によると、有機アミンは、アミノ酸のジペプチドから選択される。本発明に使用可能なアミノ酸のジペプチドとして、カルノシン、アンセリン及びバレニンを特に挙げることができる。
【0234】
本発明の第5の変法によると、有機アミンは、グアニジン官能基を有する化合物から選択される。本発明に使用可能なこの種類のアミンとして、以前にアミノ酸として述べたアルギニンに加えて、クレアチン、クレアチニン、1,1-ジメチルグアニジン、1,1-ジエチルグアニジン、グリコシアミン、メトホルミン、アグマチン、n-アミジノアラニン、3-グアニジノプロピオン酸、4-グアニジノ酪酸及び2-([アミノ(イミノ)メチル]アミノ)エタン-1-スルホン酸を特に挙げることができる。
【0235】
追加の有機アミンを使用する場合には、塩基性アミノ酸またはモノエタノールアミンから選択するのが好ましい。
【0236】
追加の有機アミンが組成物(C)に存在する場合、その含有量は、前記組成物の質量に対して、0.01から30質量%、好ましくは0.1から20質量%を占めるのが有利である。
【0237】
組成物(C)は、無水組成物または水性組成物とすることができる。水性組成物とは、5質量%を超える水、好ましくは10質量%を超える水、より有利には20質量%を超える水を含む組成物を意味する。
【0238】
組成物(C)は、水性組成物であるのが好ましい。
【0239】
組成物は、1種または複数の溶媒を任意に含むことができる。水性組成物(B)の説明の範囲内に述べられたものが、記載された濃度レベルで、組成物(C)に適していることもある。
【0240】
組成物(C)は、以前に挙げたものなど、従来の添加剤を含むこともでき、これら添加剤についても言及することができる。
【0241】
組成物(C)のpHは、水性の場合、2から12の間、好ましくは8から11の間である。pHは、以前に述べたものなどの酸化剤またはアルカリ化剤(無機または有機のアミン)を用いて調整する。
【0242】
髪に施用する組成物(組成物(A)、(B)及び(C)を含む)がアンモニアを含む場合、その含有量は、最終組成物に対して、最終の組成物の0.03質量%以下(NH3として表された場合)、とりわけ0.01質量%以下となるのが好ましいことが明記されている。組成物(A)、(B)及び(C)を混合することにより最終の組成物が得られることが述べられており、この混合は、ケラチン繊維への施用前(用時混合)か、またはケラチン繊維へ直接施用する前(予混合ありでもなくても、中間濯ぎを入れないで、逐次施用する)のいずれかに行う。
【0243】
本発明の第1変法によると、組成物(A)、(B)及び(C)は、乾燥した、または湿ったケラチン繊維に、逐次的に、中間濯ぎを入れないで施用する。とりわけ組成物(A)の次に(C)、次に(B)、または(C)の次に(A)、次に(B)を施用する。
【0244】
この変法のある特定の実施形態は、施用前に組成物(A)と(C)、次いで酸化組成物(B)を混合することにより得られる組成物を、中間濯ぎを入れないで逐次施用することに相当する。
【0245】
本方法の第2の変法によると、施用前に組成物(A)、(B)及び(C)を用時混合することにより得た組成物を、乾燥した、または湿ったケラチン繊維に施用する。この変法が好ましい。
【0246】
これらの各変法において、組成物の量の質量比R1[(A)+(C)]/(B)と組成物の量の質量比R2(A)/(C)が、0.1から10、好ましくは0.3から3の間で変動する。
【0247】
さらに、使用する変法にかかわらず、繊維上に存在する混合物(組成物の用時混合または組成物の逐次施用のいずれかにより得られたもの)は、概して約1分間から1時間、好ましくは5分間から30分間の時間に渡り放置される。
【0248】
この方法を実行する間、温度は慣習的に、室温(15から25℃)から80℃の間、好ましくは室温から60℃の間である。
【0249】
処理を終了した時点で、ヒトのケラチン繊維は、任意に水で濯ぎ、任意にシャンプーで洗浄し、続いて水で濯ぎ、その後乾燥または放置して乾燥させる。
【0250】
本発明の別の目的は、いくつかの区画を有するキットであって、1種または複数の脂肪及び1種または複数の界面活性剤を含む上述の無水組成物(A)を含有する第1の区画と、1種または複数の酸化剤を含む組成物(B)を含有する第2の区画と、1種または複数の無機塩基を含む組成物(C)を含有する第3の区画とを含むキットに関する。
【0251】
一変法によると、組成物(C)は、1種もしくは複数の酸化染料及び/または1種もしくは複数の直接染料を含む。
【0252】
以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり、その範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0253】
以下の組成物を調製する(量は、活性成分をグラムで表している)。
【0254】
組成物A1
【0255】
【表1】

【0256】
組成物C1
【0257】
【表2】

【0258】
使用時に以下を混合する。
- 組成物A1、10質量部
- 組成物C1、4質量部
- 酸化剤(Platinium international 20Volumes)(過酸化水素)(組成物B)、15質量部
【0259】
次いで、得られた混合物(pH=9.4)を90%白髪の自然のままの髪房と、90%白髪のパーマをかけた髪の房とに施用する。
【0260】
「混合物/髪房」の浴比は、それぞれ10/1(g/g)である。
【0261】
放置時間は、27℃で30分間である。
【0262】
放置時間が終了した時点で、髪房を濯ぎ、次いでElseveマルチビタミンシャンプーで洗浄する。
【0263】
染料混合物の調製中も、髪房への施用中にも、刺激性の臭いは観察されていない。
【0264】
さらに、以下の表が示すように、強い着色が、低い選択性で得られる。
【0265】
ミノルタ分光比色計CM2600Dを用いて、CIEシステムl*a*b*で髪房の着色を測定後、選択性を計算した。
【0266】
選択性は、ΔE*で表し、以下の方程式に従い、L*a*b*の数値から計算した。
【0267】
【数1】

【0268】
(式中、L*、a*及びb*は、自然のままの髪房上で測定した数値を表し、Lo*、ao*及びbo*は、パーマをかけた髪の房上で測定した数値を表す)。
【0269】
ΔE*の数値が低いほど、得られた着色の一様性が高い。
【0270】
【表3】

【実施例2】
【0271】
以下の組成物を調製する(量は、活性成分をグラムで表している):
【0272】
組成物A1
【0273】
【表4】

【0274】
組成物C2
【0275】
【表5】

【0276】
使用時に以下を混合する。
- 組成物A1、10質量部
- 組成物C2、4質量部
- 酸化剤(Platinium international 20Volumes)(過酸化水素)(組成物B)、15質量部
【0277】
次いで、得られた混合物(pH9.5)を90%白髪の自然のままの髪房と、90%白髪のパーマの髪の房とに施用する。
【0278】
「混合物/髪房」の浴比は、それぞれ10/1(g/g)である。
【0279】
放置時間は、27℃で30分間である。
【0280】
放置時間の終了時に、髪房を濯ぎ、次いでElseveマルチビタミンシャンプーで洗浄する。
【0281】
染料混合物の調製中も、髪房への施用中にも、刺激性の臭いは観察されていない。
【0282】
さらに、以下の表で示しているように(数値及び計算値は、実施例1の通りに得られたものである)、強い暗紫色の着色が、低い選択性で得られる。
【0283】
【表6】

【実施例3】
【0284】
以下の組成物を調製する。
【0285】
組成物A1
【0286】
【表7】

【0287】
組成物B3
【0288】
【表8】

【0289】
使用時に以下を混合する。
- 組成物A1、9質量部
- 組成物B3、1質量部
- 酸化剤(20Volumes)(6%過酸化水素)、10質量部
【0290】
平行して、従来技術の調合で調製する。
【0291】
【表9】

【0292】
使用時に、従来の技術の組成物と酸化剤20Volumes(過酸化水素を6%含む)を、質量比に基づき混合する。
【0293】
従来の技術の混合物の水酸化ナトリウムの最終濃度は、本発明の混合物と同じ、すなわち1g%である。これら2つの混合物のpH値は、10.9±0.2である。
【0294】
次いで各混合物を、自然のままの栗色(色調5の高さ)の髪房に施用する。「混合物/髪房」の浴比は、それぞれ10/1(g/g)である。施用時間は、27℃で45分間である。施用時間が終了した時点で、髪房を濯ぎ、次いでElseveマルチビタミン剤シャンプーで洗浄する。
【0295】
以下の表は、従来技術による方法よりも、本発明による方法からより優れた明色化が得られることを示している。
【0296】
【表10】

【実施例4】
【0297】
以下の組成物を調製する。
【0298】
組成物A1
【0299】
【表11】

【0300】
組成物B4
【0301】
【表12】

【0302】
使用時に以下を混合する:
- 組成物A1、9部(質量)
- 組成物B4、1部
- 酸化剤20Volumes(過酸化水素6%を含有)、10部。
【0303】
平行して、従来技術の調合で調製する。
【0304】
【表13】

【0305】
使用時に、従来の技術の組成物に酸化剤20Volumes(過酸化水素を6%含む)を、質量比に基づき混合する。
【0306】
本発明の混合物の炭酸カリウムの最終濃度は、従来の技術の混合物と同じ、すなわち1g%である。これら2つの混合物のpH値は、9.4±0.2である。
【0307】
次いで各混合物を、自然のままの栗色(色調5の高さ)の髪房に施用する。「混合物/髪房」の浴比は、それぞれ10/1(g/g)である。施用時間は、27℃で45分間である。施用時間が終了した時点で、髪房を濯ぎ、次いでElseveマルチビタミン剤シャンプーで洗浄する。
【0308】
以下の表は、従来技術による方法よりも、本発明による方法からより優れた明色化が得られることを示している。
【0309】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤の存在下でヒトのケラチン繊維を着色または明色化する方法であって、
以下の(a)、(b)、(c):
(a)1種または複数の脂肪と1種または複数の界面活性剤とを含む無水化粧品組成物(A)、
(b)1種または複数の酸化剤を含む組成物(B)、
(c)1種または複数の無機塩基を含む組成物(C)
を前記繊維に施用する方法。
【請求項2】
組成物(C)が、1種もしくは複数の酸化染料及び/または1種もしくは複数の直接染料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脂肪が、C6〜C16低級アルカン、動物性、植物性、鉱物性または合成由来の非シリコーン油、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸及び/または脂肪アルコールのエステル、非シリコーンロウ、シリコーンまたはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
脂肪が、C6〜C16低級アルカン、鉱物性または合成由来の非シリコーン油、脂肪アルコール、脂肪酸及び/または脂肪アルコールのエステル、シリコーンまたはこれらの混合物から好ましくは選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
脂肪が、流動パラフィン、ポリデセン、脂肪酸または脂肪アルコールの液体エステルまたはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
脂肪含有量が、組成物(A)の質量に対して、10から99質量%の間、好ましくは20から90質量%の間にあることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
組成物(A)中に存在する界面活性剤が、非イオン性界面活性剤であり、とりわけモノ-またはポリアルコキシル化した、モノ-またはポリグリセロール化した非イオン性界面活性剤から選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
界面活性剤の含有量が、無水組成物(A)の質量に対して、0.1〜50質量%、好ましくは0.5から30質量%を占めることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
無機塩基が、以下の構造:
(Z1X-)m(Z2y+)n
(式中、
Z2は、元素周期表の1から13族、好ましくは1及び2族の金属を意味し、
Z1x-は、CO32-、OH-、HCO32-、SiO32-、HPO42-、PO43-、B4O72-のイオンから選択されるアニオン、好ましくはCO32-、OH-、SiO32-のイオンから選択されるアニオンを意味し、
xは、1、2または3を意味し、
yは、1、2、3または4を意味し、
m及びnは、互いに独立して、1、2、3または4を意味し、n.y=m.x.である)
を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
無機塩基が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウムから選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
無機塩基が、アルカリ金属炭酸塩から選択されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
無機塩基が、組成物(B)の質量に対して、0.01から30質量%、好ましくは0.1から20質量%を占めることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
組成物(A)、(B)及び(C)が、逐次的に、及び中間濯ぎを入れないで施用されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
組成物(A)及び(C)の施用前の混合により得られる組成物、次いで酸化組成物(B)が、逐次的に、及び中間濯ぎを入れないで施用されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
組成物(A)、(B)及び(C)を施用前に用時混合することにより得られる組成物が、施用されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
組成物の量の質量比R1(A)+(C)/(B)及び組成物の量の質量比R2(A)/(C)が、0.1から10、好ましくは0.3から3の間で変動することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
第1の区画が、請求項1及び3から8の一項に記載の無水組成物(A)を含有し、第2の区画が、1種または複数の酸化剤を含む組成物(B)を含有し、第3の区画が、1種または複数の無機塩基を含む、請求項1及び9から12の一項に記載の組成物(C)を含有する、いくつかの区画を含むキット。
【請求項18】
組成物(C)が、1種もしくは複数の酸化染料及び/または1種もしくは複数の直接染料を含むことを特徴とする、請求項17に記載のキット。

【公開番号】特開2010−143915(P2010−143915A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−288204(P2009−288204)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】