無線パケット通信システム
【課題】無線パケット通信基地局の無線インタフェースの死活監視を遠隔で精度よく実現する。
【解決手段】管理サーバと、無線パケット通信基地局と、前記管理サーバと前記無線パケット通信基地局とを接続するネットワークとから構成される無線パケット通信システムであって、前記無線パケット通信基地局は、擬似クライアント手段と、複数の無線インタフェースとを有し、前記擬似クライアント手段は、前記複数の無線インタフェースの中の1つの無線インタフェースを使用して、前記複数の無線インタフェースの中の他の無線インタフェースとの間でテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施する。
【解決手段】管理サーバと、無線パケット通信基地局と、前記管理サーバと前記無線パケット通信基地局とを接続するネットワークとから構成される無線パケット通信システムであって、前記無線パケット通信基地局は、擬似クライアント手段と、複数の無線インタフェースとを有し、前記擬似クライアント手段は、前記複数の無線インタフェースの中の1つの無線インタフェースを使用して、前記複数の無線インタフェースの中の他の無線インタフェースとの間でテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線パケット通信システムに係り、特に、無線パケット通信基地局の死活監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公衆無線LANやオフィスLANのような1台以上の無線パケット通信基地局(以下、単に、基地局という。)がネットワークに接続されている無線パケット通信システムにおいて、管理サーバが基地局に対して、定期的にPing(ポーリングパケット)を送信し、その応答の可否により、基地局の死活を監視する方法が知られている。(下記、非特許文献1参照)
図13は、従来の無線パケット通信システムの基地局の死活監視方法を説明するための図である。
図13に示す無線パケット通信システムでは、管理サーバ10と基地局12とは有線ネットワーク11を介して相互に接続される。また、基地局12は、無線クライアント端末13を無線経由で収容する。ここで、無線クライアント端末13は、例えば、ユーザのパーソナルコンピュータで構成される。
基地局12の死活状態を管理するサーバ10は、基地局12に対して、定期的にPingを送信し、当該Pingに対する応答に基づいて、基地局12の死活状況を判断し、当該死活状況のログを生成する。
また、基地局12は、無線クライアント端末13を収容し、有線ネットワーク11と接続させる。なお、20は有線インタフェース、23は無線インタフェースである。
【0003】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
【非特許文献1】「Ping 監視サービス」、[online]、NTTコミュニケーション、[平成19年11月26日検索]、インターネット、<URL:http://www.sphere.ne.jp/rote/ping.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の非特許文献1の発明では、Pingにより、ネットワーク装置の遠隔監視を行っているが、従来のPingによる遠隔監視では、無線LAN基地局のように、一方の通信インタフェースが無線であり、かつ、常に無線クライアント端末がその無線通信インタフェースに無線接続しているとは限らないような機器に対しては、有線インタフェースの死活状況はPingにより把握できたとしても、無線インタフェースの死活状況は把握できないという課題があった。
このように、従来の無線パケット通信システムの基地局の死活監視方法では、無線インタフェースに故障が発生しても、無線インタフェースの死活監視を行うことができないので、調査員を定期的に派遣することになり、コストが増加するという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、無線パケット通信システムにおいて、無線パケット通信基地局の無線インタフェースの死活監視を遠隔で精度よく実現することが可能となる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)管理サーバと、無線パケット通信基地局と、前記管理サーバと前記無線パケット通信基地局とを接続するネットワークとから構成される無線パケット通信システムであって、前記無線パケット通信基地局は、擬似クライアント手段と、複数の無線インタフェースとを有し、前記擬似クライアント手段は、前記複数の無線インタフェースの中の1つの無線インタフェースを使用して、前記複数の無線インタフェースの中の他の無線インタフェースとの間でテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施する。
(2)(1)において、前記擬似クライアント手段は、前記他の無線インタフェースとの間で、ポーリング試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施する。
(3)(1)において、前記擬似クライアント手段は、前記他の無線インタフェースとの間で、接続試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施する。
(4)(1)において、前記有線ネットワークに接続される認証手段を有し、前記擬似クライアント手段は、前記認証手段を用いて、前記他の無線インタフェースとの間で、認証試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施する。
【0006】
(5)(1)ないし(4)の何れかにおいて、前記擬似クライアント手段は、テストパケットであることを明示する特殊情報を含んだパケットを使用し、前記他の無線インタフェースは、前記テストパケットに対する応答のみ低い送信出力で送信する。
(6)(1)ないし(4)の何れかにおいて、前記無線パケット通信基地局は、複数の仮想基地局を有し、前記複数の仮想基地局の中の1つの仮想基地局は、遠隔での試験専用として動作し、当該1つの仮想基地局の送信出力は低く設定されている。
(7)(1)ないし(4)の何れかにおいて、前記他の無線インタフェースは、テストに先立ってチャネル予約を行い、予約した期間に渡って低い送信出力で送信する。
(8)(1)ないし(4)の何れかにおいて、前記他の無線インタフェースは、テスト開始を検出するとチャネル予約を行い、予約した期間に渡って低い送信出力で送信する。
【発明の効果】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、無線パケット通信システムにおいて、無線パケット通信基地局の無線インタフェースの死活監視を遠隔で精度よく実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の実施例の無線パケット通信システムの概略全体構成を示すブロック図である。
管理サーバ10は、図13に示す従来の管理サーバ10と同様の機能を持ち、さらに、各無線パケット通信基地局(以下、単に、基地局という)12に無線IF相互テスト(A/B/C)を指示する制御パケットを送信する。また、基地局12から無線IF相互テスト(A/B/C)の結果が返ってきた場合には、その結果をログとして記憶/出力する。
認証手段14は、例えば、IEEE802.1xに記載されている機能を有する。
基地局12は、管埋サーバ10から無線IF相互テスト(A/B/C)を指示する制御パケットを受信すると、無線IF相互テスト(A/B/C)を実施し、その結果を管理サーバ10に送信する。
【0009】
図2は、本実施例の基地局12の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、基地局12は、有線インタフェース20と、制御部21と、無線インタフェース1(23−1)、無線インタフェース2(23−2)、無線インタフェース3(23−3)と、アンテナ24とを有する。制御部21は、擬似クライアント手段22を有する。
制御部21は、管理サーバ10から無線IF相互テスト(A/B/C)を指示する制御パケットを受信すると、無線IF相互テスト(A/B/C)を、無線インタフェース1(23−1)〜無線インタフェース3(23−3)に対して順番に実施する。ここで、無線IF相互テスト(A/B/C)は、擬似クライアント手段22が主体となって実施する。また、制御部21は、無線クライアント端末(13−1、13−2)との通信を含めた全般的なソフトウェア制御を実施する。
擬似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)〜無線インタフェース3(23−3)のテストをするために、複数の無線インタフェースの中の1つの無線インタフェースに対して送信出力と周波数の変更を指示し、制御部21に対して、テストの対象となる無線インタフェースに対する送信出力の変更を指示した後、テスト用のパケットの生成/送信処理、およびそれに対する応答パケットの受信処理を実施する。そして、無線IF相互テスト(A/B/C)の結果を有線インタフェース20を介して管埋サーバ10へ送信する。
テストの対象となる無線インタフェースは、送信出力のみ変更する以外は、通常通りの運用を行う。また、テストのために周波数を変更した無線インタフェースは、擬似クライアント手段22の指示に従い無線パケットをアンテナ24へ出力し、テストの対象となる無線インタフェースからの無線パケットを受信すると、それを擬似クライアント手段22へ転送する。さらに、その他、無線クライアント端末13との無線パケット通信を含めた全般的なハードウェア処理を実施する。
アンテナ24は、無線パケットの無線媒体への送受信を実施する。
【0010】
図3は、本実施例の無線パケット通信システムの無線IF相互テストA(ポーリング試験)の処理手順を示すタイミングチャートである。
以下、図2に示す無線インタフェース1(23−1)を使用して無線インタフェース2(23−2)をテストする場合の、無線IF相互テストAの処理手順について説明する。
初めに、管理サーバ10が、基地局12の疑似クライアント手段22に対して、無線IF相互テスト要求を発行する(ステップ100)。疑似クライアント手段22は、管理サーバ10に応答を返答し(ステップ101)。無線IF相互テストAを開始する。
疑似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)に対して、送信出力と周波数変更の依頼を発行する(ステップ102)。無線インタフェース1(23−1)は、送信出力と周波数を変更し(ステップ103)、疑似クライアント手段22に対してACKを返答する(ステップ104)。
次に、疑似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)と無線インタフェース2(23−2)とを介して制御手段21に対して、送信出力変更の依頼を発行する(ステップ105)。制御手段21は、無線インタフェース2(23−2)に対して、送信出力変更の依頼を発行する(ステップ106)。無線インタフェース2(23−2)は、送信出力を変更し(ステップ107)、制御手段21に対してACKを返答する(ステップ108)。制御手段21は、疑似クライアント手段22に対してACKを返答する(ステップ109)。
次に、疑似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)と無線インタフェース2(23−2)とを介して、制御手段21にポーリングパケットを送信する(ステップ110、ステップ111)。制御手段21は、疑似クライアント手段22に対して、応答を返答する(ステップ112、ステップ113)。
無線インタフェース2(23−2)が正常動作していれば、疑似クライアント手段22に対して、ステップ112、ステップ113の応答が返答され、無線インタフェース2(23−2)が故障していれば、疑似クライアント手段22に対して、ステップ112、ステップ113の応答が返答されない。なお、ステップ110〜ステップ113は、必要に応じて所定回数繰り返される。
次に、疑似クライアント手段22は、前述のテスト結果(ポーリング試験結果)を管理サーバ10に送信する。
【0011】
図4は、本実施例の無線パケット通信システムの無線IF相互テストB、C(接続試験/認証試験)の処理手順を示すタイミングチャートである。
以下、図2に示す無線インタフェース1(23−1)を使用して無線インタフェース2(23−2)をテストする場合の、無線IF相互テストB、Cの処理手順について説明する。
前述の無線IF相互テストA(ポーリング試験)を実施した後、疑似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)と無線インタフェース2(23−2)とを介して制御手段21との間で、接続試験を実施する(ステップ120)。ここでの接続試験は、例えば、IEEE802.11規格での無線接続処理を実行する。そして、IEEE802.11規格での無線接続処理が正常に終了しない場合は接続失敗となる。
次に、疑似クライアント手段22は、前述のテスト結果(接続試験結果)を管理サーバ10に送信する(ステップ121)。
前述の無線IF相互テストB(接続試験)を実施した後、疑似クライアント手段22は、認証手段14を用いて、無線インタフェース1(23−1)と無線インタフェース2(23−2)とを介して制御手段21との間で、認証試験を実施する(ステップ122)。ここでの認証試験は、例えば、IEEE802.1x規格での認証処理を実行する。そして、IEEE802.1x規格での認証処理が正常に終了しない場合は認証失敗となる。
次に、基地局12の疑似クライアント手段22は、前述のテスト結果(認証試験結果)を管理サーバ10に送信する(ステップ123)。
その後、疑似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)と無線インタフェース2(23−2)とを介して制御手段21に対して、切断要求を発行し(ステップ124、ステップ125)、制御手段21は、応答を返答する(ステップ126、ステップ127)。
次に、疑似クライアント手段22は、制御手段21に対して、送信出力変更の依頼を発行する(ステップ128)。制御手段21は、無線インタフェース2(23−2)に対して、送信出力変更の依頼を発行する(ステップ129)。無線インタフェース2(23−2)は、送信出力を変更し(ステップ130)、制御手段21に対してACKを返答する(ステップ131)。制御手段21は、疑似クライアント手段22に対してACKを返答する(ステップ132)。
次に、疑似クライアント手段22は、無線インタフェース2(23−2)に送信出力変更の依頼を発行する(ステップ133)。無線インタフェース2(23−2)は、送信出力を変更し(ステップ134)、疑似クライアント手段22に対してACKを返答する(ステップ135)。
【0012】
図5は、本実施例の擬似クライアント手段22の処理手順を示すフローチャートである。
以下、図5を用いて、擬似クライアント手段22の処理手順について説明する。
初めに、疑似クライアント手段22は、管理サーバ10から無線IF相互テスト要求を受信すると、無線インタフェース1(23−1)に対して、送信出力と周波数の変更を要求する(ステップ141)。
また、無線インタフェース2(23−2)に対して、送信出力の変更を要求する(ステップ142)。
次に、ポーリング試験を実施し、その結果を管理サーバ10に送信する(ステップ143)。
次に、接続試験を実施し、その結果を管理サーバ10に送信する(ステップ144)。
次に、認証試験を実施し、その結果を管理サーバ10に送信する(ステップ145)。
次に、無線インタフェース2(23−2)に対して、変更した送信出力を元に戻すことを依頼する(ステップ146)。
最後に、無線インタフェース1(23−1)に対して、変更した送信出力と周波数を元に戻すことを依頼する(ステップ147)。
このように、疑似クライアント手段22は、ポーリング、接続試験、認証試験の3つを順番に行い、それぞれのテストについて、通常の無線クライアント端末と同じ動作を行うことによってテストを実施する。
また、一連のテスト手順を完了すると、他の無線インタフェースについても、同様なテストを行い、全ての無線インタフェースについてテストを終了することにより処理を終了する。なお、認証試験の後に、PingによるL3レベルの試験を行うことも可能である。
【0013】
前述の無線IF相互テスト(A/B/C)を、無線送信出力過大による無線部の損傷を回避するために、送信電力を抑える必要がある。
前述までの説明では、テスト期間中に渡って送信電力を低くすることを前提として説明したが、この場合には、他の無線クライアント端末に対する送信電力も低くなってしまうという問題がある。
そのため、テストに関するパケットだけを低い送信電力とするための送信出力制御方法を、以下に説明する。
[第1の送信出力制御方法]
本実施例の第1の送信出力制御方法では、テストパケットであることをパケット内に明示した特殊フォーマットのテストパケットを使用する。
図6に、本実施例の第1の送信出力制御方法に使用されるテストパケットの一例の内容を示す。図6のヘッダ31、ボディ32は通常のポーリング用パケットに含まれる情報要素であるが、第1の送信出力制御方法では、無線IF相互テストであることを示す特殊フィールド33を追加する。なお、図6において、34は誤り検出符号である。また、図6は、ポーリング用パケット(Probe Request)の場合で、Wi-Fi Allianceの規定にしたがった場合の構成例を示す。
以下、図2に示す無線インタフェース1(23−1)を使用して無線インタフェース2(23−2)をテストする場合の、本実施例の第1の送信出力制御方法を図7を用いて説明する。なお、図7は、本実施例の第1の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
図7の点線枠で示すように、無線インタフェース1(23−1)が、例えば、図6に示す特殊フィールド33を含むテストパケットを無線インタフェース2(23−2)を介して制御部21に送信する。
制御部21は、特殊フィールド33を含むテストパケットを受信すると、無線インタフェース2(23−2)に対して送信電力を変更するよう指示し、応答を返答する。その後、制御部21は、無線インタフェース2(23−2)に対して送信電力を元に戻すよう指示する。そのため、図7に示すように、他の無線クライアント端末13との送信は、通常の送信出力を使用し、テスト時にのみ送信電力を低くすることができる。
【0014】
[第2の送信出力制御方法]
図8に示すように、無線LANでは、VLAN#1〜VLAN#3の有線のVLANと整合をとるために、基地局12内に、仮想基地局#1〜仮想基地局#3(51〜53)の複数の基地局を仮想的に作り出し、それぞれのVLANに対応させる機能が実装されている。
この場合に、仮想基地局#1〜仮想基地局#3(51〜53)は互いに独立した無線ネットワークの基地局として動作する。そして、無線ネットワークには固有のネットワークIDが付けられ、仮想基地局およびVLANの識別子として利用される。さらに、仮想基地局は、無線インタフェースごとに作成することが可能である。なお、図8は、無線LANで使用される仮想基地局を説明するための図である。
本実施例の第2の送信出力制御方法では、図9に示すように、各無線インタフェース内に、遠隔テスト用の仮想基地局54を作成し、当該仮想基地局54に対してテストを実施するものである。
なお、図8、図9において、NW−ID#1、NW−ID#2、NW−ID#3は、仮想基地局#1〜仮想基地局#3(51〜53)を基地局とする無線ネットワークのネットワークIDを示し、図9において、NW−ID遠隔テスト用は、遠隔テスト用の仮想基地局54を基地局とする無線ネットワークのネットワークIDを示している。
ここで、遠隔テスト用の仮想基地局54は、低送信電力に設定し、他のクライアント端末13との接続は行わず、テストのみに使用する。したがって、無線インタフェースは、他の無線クライアント端末13との間での送信出力を低くすることなく、無線IF相互テスト時にのみ送信電力を低くすることができる。なお、図9は、本実施例の第2の送信出力制御方法を説明するための図である。
以下、図2に示す無線インタフェース1(23−1)を使用して無線インタフェース2(23−2)をテストする場合の、本実施例の第2の送信出力制御方法を図10を用いて説明する。なお、図10は、本実施例の第2の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
図10の点線枠で示すように、無線IF相互テスト(A/B/C)は、無線インタフェース2(23−2)内の遠隔テスト用の仮想基地局54に対して行う。前述したように、遠隔テスト用の仮想基地局54の送信電力は、低電力に設定されているので、無線インタフェース2(23−2)は、他の無線クライアント端末13との間では通常の送信出力を使用し、無線IF相互テスト時にのみ送信電力を低くすることができる。
【0015】
[第3の送信出力制御方法]
本実施例の第3の送信出力制御方法では、無線IF相互テスト(A/B/C)に必要な期間だけチャネルを予約し、その間は低い電力で通信するようにしたものである。
図11に示すように、本実施例の第3の送信出力制御方法では、無線IF相互テスト(A/B/C)のテスト対象となる無線インタフェースが、他の無線インタフェースからテストパケットを受信すると、他の無線クライアント端末に対して、無線IF相互テスト(A/B/C)のテスト期間に必要な期間だけチャネルの予約を行い、その期間内の間だけ、送信出力を低くする。なお、図11は、本実施例の第3の送信出力制御方法を説明するための図である。
以下、図2に示す無線インタフェース1(23−1)を使用して無線インタフェース2(23−2)をテストする場合の、本実施例の第3の送信出力制御方法を図12を用いて説明する。なお、図12は、本実施例の第2の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
図12の点線枠で示すように、無線インタフェース1(23−1)が、例えば、図6に示す特殊フィールド33を含むテストパケットを無線インタフェース2(23−2)を介して制御部21に送信する。制御部21は、特殊フィールド33を含むテストパケットを受信すると、無線インタフェース2(23−2)に送信電力の変更を指示し、応答を返答した後、他の無線クライアント端末13に対して、無線IF相互テスト(A/B/C)のテスト期間に必要な期間だけチャネルの予約を行い、その期間内の間だけ、無線インタフェース2(23−2)に送信電力を低くする。
そのため、図12に示すように、他の無線クライアント端末13との送信は、通常の送信出力を使用し、テスト時にのみ送信電力を低くすることができる。
【0016】
なお、無線IF相互テスト(A/B/C)が実行される時期、期間が予め決定されている場合には、制御部21は、当該テストの時期に合わせて、無線インタフェース2(23−2)に送信電力の変更を指示し、無線インタフェース2(23−2)に送信電力を低くするようにしてよい。この場合に、無線インタフェース1(23−1)は、例えば、図6に示す特殊フィールド33を含むテストパケットを無線インタフェース2(23−2)に送信する必要はない。
以上説明したように、本実施例では、無線パケット通信基地局が具備する複数の無線インタフェース(23−1〜23−3)が互いに導通テスト信号を送受信し、その導通結果を管理サーバ10に送信する。
これにより、無線インタフェース(23−1〜23−3)の死活監視を遠隔で行うことが可能となり、調査員による定期的な現場検査を行う手間を省くことが可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例の無線パケット通信システムの概略全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例の無線パケット通信基地局の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例の無線パケット通信システムの無線IF相互テストAの処理手順を示すタイミングチャートである。
【図4】本実施例の無線パケット通信システムの無線IF相互テストB、Cの処理手順を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施例の無線パケット通信基地局の擬似クライアント手段の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第1の送信出力制御方法に使用されるテストパケットの内容を示す図である。
【図7】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第1の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
【図8】無線LANで使用される仮想基地局を説明するための図である。
【図9】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第2の送信出力制御方法を説明するための図である。
【図10】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第2の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
【図11】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第3の送信出力制御方法を説明するための図である。
【図12】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第3の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
【図13】従来の無線パケット通信システムの無線パケット通信基地局の死活監視方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0018】
10 管理サーバ
11 有線ネットワーク
12 無線パケット通信基地局
13 無線クライアント端末
14 認証手段
20 有線インタフェース
21 制御部
22 疑似クライアント手段
23,23−1,23−2,23−3 無線インタフェース
24 アンテナ
31 ヘッダ
32 ボディ
33 特殊フィールド
34 誤り検出符号
VLAN#1〜VLAN#3 有線のVLAN
51〜54 仮想基地局
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線パケット通信システムに係り、特に、無線パケット通信基地局の死活監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公衆無線LANやオフィスLANのような1台以上の無線パケット通信基地局(以下、単に、基地局という。)がネットワークに接続されている無線パケット通信システムにおいて、管理サーバが基地局に対して、定期的にPing(ポーリングパケット)を送信し、その応答の可否により、基地局の死活を監視する方法が知られている。(下記、非特許文献1参照)
図13は、従来の無線パケット通信システムの基地局の死活監視方法を説明するための図である。
図13に示す無線パケット通信システムでは、管理サーバ10と基地局12とは有線ネットワーク11を介して相互に接続される。また、基地局12は、無線クライアント端末13を無線経由で収容する。ここで、無線クライアント端末13は、例えば、ユーザのパーソナルコンピュータで構成される。
基地局12の死活状態を管理するサーバ10は、基地局12に対して、定期的にPingを送信し、当該Pingに対する応答に基づいて、基地局12の死活状況を判断し、当該死活状況のログを生成する。
また、基地局12は、無線クライアント端末13を収容し、有線ネットワーク11と接続させる。なお、20は有線インタフェース、23は無線インタフェースである。
【0003】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
【非特許文献1】「Ping 監視サービス」、[online]、NTTコミュニケーション、[平成19年11月26日検索]、インターネット、<URL:http://www.sphere.ne.jp/rote/ping.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の非特許文献1の発明では、Pingにより、ネットワーク装置の遠隔監視を行っているが、従来のPingによる遠隔監視では、無線LAN基地局のように、一方の通信インタフェースが無線であり、かつ、常に無線クライアント端末がその無線通信インタフェースに無線接続しているとは限らないような機器に対しては、有線インタフェースの死活状況はPingにより把握できたとしても、無線インタフェースの死活状況は把握できないという課題があった。
このように、従来の無線パケット通信システムの基地局の死活監視方法では、無線インタフェースに故障が発生しても、無線インタフェースの死活監視を行うことができないので、調査員を定期的に派遣することになり、コストが増加するという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、無線パケット通信システムにおいて、無線パケット通信基地局の無線インタフェースの死活監視を遠隔で精度よく実現することが可能となる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)管理サーバと、無線パケット通信基地局と、前記管理サーバと前記無線パケット通信基地局とを接続するネットワークとから構成される無線パケット通信システムであって、前記無線パケット通信基地局は、擬似クライアント手段と、複数の無線インタフェースとを有し、前記擬似クライアント手段は、前記複数の無線インタフェースの中の1つの無線インタフェースを使用して、前記複数の無線インタフェースの中の他の無線インタフェースとの間でテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施する。
(2)(1)において、前記擬似クライアント手段は、前記他の無線インタフェースとの間で、ポーリング試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施する。
(3)(1)において、前記擬似クライアント手段は、前記他の無線インタフェースとの間で、接続試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施する。
(4)(1)において、前記有線ネットワークに接続される認証手段を有し、前記擬似クライアント手段は、前記認証手段を用いて、前記他の無線インタフェースとの間で、認証試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施する。
【0006】
(5)(1)ないし(4)の何れかにおいて、前記擬似クライアント手段は、テストパケットであることを明示する特殊情報を含んだパケットを使用し、前記他の無線インタフェースは、前記テストパケットに対する応答のみ低い送信出力で送信する。
(6)(1)ないし(4)の何れかにおいて、前記無線パケット通信基地局は、複数の仮想基地局を有し、前記複数の仮想基地局の中の1つの仮想基地局は、遠隔での試験専用として動作し、当該1つの仮想基地局の送信出力は低く設定されている。
(7)(1)ないし(4)の何れかにおいて、前記他の無線インタフェースは、テストに先立ってチャネル予約を行い、予約した期間に渡って低い送信出力で送信する。
(8)(1)ないし(4)の何れかにおいて、前記他の無線インタフェースは、テスト開始を検出するとチャネル予約を行い、予約した期間に渡って低い送信出力で送信する。
【発明の効果】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、無線パケット通信システムにおいて、無線パケット通信基地局の無線インタフェースの死活監視を遠隔で精度よく実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の実施例の無線パケット通信システムの概略全体構成を示すブロック図である。
管理サーバ10は、図13に示す従来の管理サーバ10と同様の機能を持ち、さらに、各無線パケット通信基地局(以下、単に、基地局という)12に無線IF相互テスト(A/B/C)を指示する制御パケットを送信する。また、基地局12から無線IF相互テスト(A/B/C)の結果が返ってきた場合には、その結果をログとして記憶/出力する。
認証手段14は、例えば、IEEE802.1xに記載されている機能を有する。
基地局12は、管埋サーバ10から無線IF相互テスト(A/B/C)を指示する制御パケットを受信すると、無線IF相互テスト(A/B/C)を実施し、その結果を管理サーバ10に送信する。
【0009】
図2は、本実施例の基地局12の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、基地局12は、有線インタフェース20と、制御部21と、無線インタフェース1(23−1)、無線インタフェース2(23−2)、無線インタフェース3(23−3)と、アンテナ24とを有する。制御部21は、擬似クライアント手段22を有する。
制御部21は、管理サーバ10から無線IF相互テスト(A/B/C)を指示する制御パケットを受信すると、無線IF相互テスト(A/B/C)を、無線インタフェース1(23−1)〜無線インタフェース3(23−3)に対して順番に実施する。ここで、無線IF相互テスト(A/B/C)は、擬似クライアント手段22が主体となって実施する。また、制御部21は、無線クライアント端末(13−1、13−2)との通信を含めた全般的なソフトウェア制御を実施する。
擬似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)〜無線インタフェース3(23−3)のテストをするために、複数の無線インタフェースの中の1つの無線インタフェースに対して送信出力と周波数の変更を指示し、制御部21に対して、テストの対象となる無線インタフェースに対する送信出力の変更を指示した後、テスト用のパケットの生成/送信処理、およびそれに対する応答パケットの受信処理を実施する。そして、無線IF相互テスト(A/B/C)の結果を有線インタフェース20を介して管埋サーバ10へ送信する。
テストの対象となる無線インタフェースは、送信出力のみ変更する以外は、通常通りの運用を行う。また、テストのために周波数を変更した無線インタフェースは、擬似クライアント手段22の指示に従い無線パケットをアンテナ24へ出力し、テストの対象となる無線インタフェースからの無線パケットを受信すると、それを擬似クライアント手段22へ転送する。さらに、その他、無線クライアント端末13との無線パケット通信を含めた全般的なハードウェア処理を実施する。
アンテナ24は、無線パケットの無線媒体への送受信を実施する。
【0010】
図3は、本実施例の無線パケット通信システムの無線IF相互テストA(ポーリング試験)の処理手順を示すタイミングチャートである。
以下、図2に示す無線インタフェース1(23−1)を使用して無線インタフェース2(23−2)をテストする場合の、無線IF相互テストAの処理手順について説明する。
初めに、管理サーバ10が、基地局12の疑似クライアント手段22に対して、無線IF相互テスト要求を発行する(ステップ100)。疑似クライアント手段22は、管理サーバ10に応答を返答し(ステップ101)。無線IF相互テストAを開始する。
疑似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)に対して、送信出力と周波数変更の依頼を発行する(ステップ102)。無線インタフェース1(23−1)は、送信出力と周波数を変更し(ステップ103)、疑似クライアント手段22に対してACKを返答する(ステップ104)。
次に、疑似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)と無線インタフェース2(23−2)とを介して制御手段21に対して、送信出力変更の依頼を発行する(ステップ105)。制御手段21は、無線インタフェース2(23−2)に対して、送信出力変更の依頼を発行する(ステップ106)。無線インタフェース2(23−2)は、送信出力を変更し(ステップ107)、制御手段21に対してACKを返答する(ステップ108)。制御手段21は、疑似クライアント手段22に対してACKを返答する(ステップ109)。
次に、疑似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)と無線インタフェース2(23−2)とを介して、制御手段21にポーリングパケットを送信する(ステップ110、ステップ111)。制御手段21は、疑似クライアント手段22に対して、応答を返答する(ステップ112、ステップ113)。
無線インタフェース2(23−2)が正常動作していれば、疑似クライアント手段22に対して、ステップ112、ステップ113の応答が返答され、無線インタフェース2(23−2)が故障していれば、疑似クライアント手段22に対して、ステップ112、ステップ113の応答が返答されない。なお、ステップ110〜ステップ113は、必要に応じて所定回数繰り返される。
次に、疑似クライアント手段22は、前述のテスト結果(ポーリング試験結果)を管理サーバ10に送信する。
【0011】
図4は、本実施例の無線パケット通信システムの無線IF相互テストB、C(接続試験/認証試験)の処理手順を示すタイミングチャートである。
以下、図2に示す無線インタフェース1(23−1)を使用して無線インタフェース2(23−2)をテストする場合の、無線IF相互テストB、Cの処理手順について説明する。
前述の無線IF相互テストA(ポーリング試験)を実施した後、疑似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)と無線インタフェース2(23−2)とを介して制御手段21との間で、接続試験を実施する(ステップ120)。ここでの接続試験は、例えば、IEEE802.11規格での無線接続処理を実行する。そして、IEEE802.11規格での無線接続処理が正常に終了しない場合は接続失敗となる。
次に、疑似クライアント手段22は、前述のテスト結果(接続試験結果)を管理サーバ10に送信する(ステップ121)。
前述の無線IF相互テストB(接続試験)を実施した後、疑似クライアント手段22は、認証手段14を用いて、無線インタフェース1(23−1)と無線インタフェース2(23−2)とを介して制御手段21との間で、認証試験を実施する(ステップ122)。ここでの認証試験は、例えば、IEEE802.1x規格での認証処理を実行する。そして、IEEE802.1x規格での認証処理が正常に終了しない場合は認証失敗となる。
次に、基地局12の疑似クライアント手段22は、前述のテスト結果(認証試験結果)を管理サーバ10に送信する(ステップ123)。
その後、疑似クライアント手段22は、無線インタフェース1(23−1)と無線インタフェース2(23−2)とを介して制御手段21に対して、切断要求を発行し(ステップ124、ステップ125)、制御手段21は、応答を返答する(ステップ126、ステップ127)。
次に、疑似クライアント手段22は、制御手段21に対して、送信出力変更の依頼を発行する(ステップ128)。制御手段21は、無線インタフェース2(23−2)に対して、送信出力変更の依頼を発行する(ステップ129)。無線インタフェース2(23−2)は、送信出力を変更し(ステップ130)、制御手段21に対してACKを返答する(ステップ131)。制御手段21は、疑似クライアント手段22に対してACKを返答する(ステップ132)。
次に、疑似クライアント手段22は、無線インタフェース2(23−2)に送信出力変更の依頼を発行する(ステップ133)。無線インタフェース2(23−2)は、送信出力を変更し(ステップ134)、疑似クライアント手段22に対してACKを返答する(ステップ135)。
【0012】
図5は、本実施例の擬似クライアント手段22の処理手順を示すフローチャートである。
以下、図5を用いて、擬似クライアント手段22の処理手順について説明する。
初めに、疑似クライアント手段22は、管理サーバ10から無線IF相互テスト要求を受信すると、無線インタフェース1(23−1)に対して、送信出力と周波数の変更を要求する(ステップ141)。
また、無線インタフェース2(23−2)に対して、送信出力の変更を要求する(ステップ142)。
次に、ポーリング試験を実施し、その結果を管理サーバ10に送信する(ステップ143)。
次に、接続試験を実施し、その結果を管理サーバ10に送信する(ステップ144)。
次に、認証試験を実施し、その結果を管理サーバ10に送信する(ステップ145)。
次に、無線インタフェース2(23−2)に対して、変更した送信出力を元に戻すことを依頼する(ステップ146)。
最後に、無線インタフェース1(23−1)に対して、変更した送信出力と周波数を元に戻すことを依頼する(ステップ147)。
このように、疑似クライアント手段22は、ポーリング、接続試験、認証試験の3つを順番に行い、それぞれのテストについて、通常の無線クライアント端末と同じ動作を行うことによってテストを実施する。
また、一連のテスト手順を完了すると、他の無線インタフェースについても、同様なテストを行い、全ての無線インタフェースについてテストを終了することにより処理を終了する。なお、認証試験の後に、PingによるL3レベルの試験を行うことも可能である。
【0013】
前述の無線IF相互テスト(A/B/C)を、無線送信出力過大による無線部の損傷を回避するために、送信電力を抑える必要がある。
前述までの説明では、テスト期間中に渡って送信電力を低くすることを前提として説明したが、この場合には、他の無線クライアント端末に対する送信電力も低くなってしまうという問題がある。
そのため、テストに関するパケットだけを低い送信電力とするための送信出力制御方法を、以下に説明する。
[第1の送信出力制御方法]
本実施例の第1の送信出力制御方法では、テストパケットであることをパケット内に明示した特殊フォーマットのテストパケットを使用する。
図6に、本実施例の第1の送信出力制御方法に使用されるテストパケットの一例の内容を示す。図6のヘッダ31、ボディ32は通常のポーリング用パケットに含まれる情報要素であるが、第1の送信出力制御方法では、無線IF相互テストであることを示す特殊フィールド33を追加する。なお、図6において、34は誤り検出符号である。また、図6は、ポーリング用パケット(Probe Request)の場合で、Wi-Fi Allianceの規定にしたがった場合の構成例を示す。
以下、図2に示す無線インタフェース1(23−1)を使用して無線インタフェース2(23−2)をテストする場合の、本実施例の第1の送信出力制御方法を図7を用いて説明する。なお、図7は、本実施例の第1の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
図7の点線枠で示すように、無線インタフェース1(23−1)が、例えば、図6に示す特殊フィールド33を含むテストパケットを無線インタフェース2(23−2)を介して制御部21に送信する。
制御部21は、特殊フィールド33を含むテストパケットを受信すると、無線インタフェース2(23−2)に対して送信電力を変更するよう指示し、応答を返答する。その後、制御部21は、無線インタフェース2(23−2)に対して送信電力を元に戻すよう指示する。そのため、図7に示すように、他の無線クライアント端末13との送信は、通常の送信出力を使用し、テスト時にのみ送信電力を低くすることができる。
【0014】
[第2の送信出力制御方法]
図8に示すように、無線LANでは、VLAN#1〜VLAN#3の有線のVLANと整合をとるために、基地局12内に、仮想基地局#1〜仮想基地局#3(51〜53)の複数の基地局を仮想的に作り出し、それぞれのVLANに対応させる機能が実装されている。
この場合に、仮想基地局#1〜仮想基地局#3(51〜53)は互いに独立した無線ネットワークの基地局として動作する。そして、無線ネットワークには固有のネットワークIDが付けられ、仮想基地局およびVLANの識別子として利用される。さらに、仮想基地局は、無線インタフェースごとに作成することが可能である。なお、図8は、無線LANで使用される仮想基地局を説明するための図である。
本実施例の第2の送信出力制御方法では、図9に示すように、各無線インタフェース内に、遠隔テスト用の仮想基地局54を作成し、当該仮想基地局54に対してテストを実施するものである。
なお、図8、図9において、NW−ID#1、NW−ID#2、NW−ID#3は、仮想基地局#1〜仮想基地局#3(51〜53)を基地局とする無線ネットワークのネットワークIDを示し、図9において、NW−ID遠隔テスト用は、遠隔テスト用の仮想基地局54を基地局とする無線ネットワークのネットワークIDを示している。
ここで、遠隔テスト用の仮想基地局54は、低送信電力に設定し、他のクライアント端末13との接続は行わず、テストのみに使用する。したがって、無線インタフェースは、他の無線クライアント端末13との間での送信出力を低くすることなく、無線IF相互テスト時にのみ送信電力を低くすることができる。なお、図9は、本実施例の第2の送信出力制御方法を説明するための図である。
以下、図2に示す無線インタフェース1(23−1)を使用して無線インタフェース2(23−2)をテストする場合の、本実施例の第2の送信出力制御方法を図10を用いて説明する。なお、図10は、本実施例の第2の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
図10の点線枠で示すように、無線IF相互テスト(A/B/C)は、無線インタフェース2(23−2)内の遠隔テスト用の仮想基地局54に対して行う。前述したように、遠隔テスト用の仮想基地局54の送信電力は、低電力に設定されているので、無線インタフェース2(23−2)は、他の無線クライアント端末13との間では通常の送信出力を使用し、無線IF相互テスト時にのみ送信電力を低くすることができる。
【0015】
[第3の送信出力制御方法]
本実施例の第3の送信出力制御方法では、無線IF相互テスト(A/B/C)に必要な期間だけチャネルを予約し、その間は低い電力で通信するようにしたものである。
図11に示すように、本実施例の第3の送信出力制御方法では、無線IF相互テスト(A/B/C)のテスト対象となる無線インタフェースが、他の無線インタフェースからテストパケットを受信すると、他の無線クライアント端末に対して、無線IF相互テスト(A/B/C)のテスト期間に必要な期間だけチャネルの予約を行い、その期間内の間だけ、送信出力を低くする。なお、図11は、本実施例の第3の送信出力制御方法を説明するための図である。
以下、図2に示す無線インタフェース1(23−1)を使用して無線インタフェース2(23−2)をテストする場合の、本実施例の第3の送信出力制御方法を図12を用いて説明する。なお、図12は、本実施例の第2の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
図12の点線枠で示すように、無線インタフェース1(23−1)が、例えば、図6に示す特殊フィールド33を含むテストパケットを無線インタフェース2(23−2)を介して制御部21に送信する。制御部21は、特殊フィールド33を含むテストパケットを受信すると、無線インタフェース2(23−2)に送信電力の変更を指示し、応答を返答した後、他の無線クライアント端末13に対して、無線IF相互テスト(A/B/C)のテスト期間に必要な期間だけチャネルの予約を行い、その期間内の間だけ、無線インタフェース2(23−2)に送信電力を低くする。
そのため、図12に示すように、他の無線クライアント端末13との送信は、通常の送信出力を使用し、テスト時にのみ送信電力を低くすることができる。
【0016】
なお、無線IF相互テスト(A/B/C)が実行される時期、期間が予め決定されている場合には、制御部21は、当該テストの時期に合わせて、無線インタフェース2(23−2)に送信電力の変更を指示し、無線インタフェース2(23−2)に送信電力を低くするようにしてよい。この場合に、無線インタフェース1(23−1)は、例えば、図6に示す特殊フィールド33を含むテストパケットを無線インタフェース2(23−2)に送信する必要はない。
以上説明したように、本実施例では、無線パケット通信基地局が具備する複数の無線インタフェース(23−1〜23−3)が互いに導通テスト信号を送受信し、その導通結果を管理サーバ10に送信する。
これにより、無線インタフェース(23−1〜23−3)の死活監視を遠隔で行うことが可能となり、調査員による定期的な現場検査を行う手間を省くことが可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例の無線パケット通信システムの概略全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例の無線パケット通信基地局の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例の無線パケット通信システムの無線IF相互テストAの処理手順を示すタイミングチャートである。
【図4】本実施例の無線パケット通信システムの無線IF相互テストB、Cの処理手順を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施例の無線パケット通信基地局の擬似クライアント手段の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第1の送信出力制御方法に使用されるテストパケットの内容を示す図である。
【図7】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第1の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
【図8】無線LANで使用される仮想基地局を説明するための図である。
【図9】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第2の送信出力制御方法を説明するための図である。
【図10】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第2の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
【図11】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第3の送信出力制御方法を説明するための図である。
【図12】本発明の実施例の無線パケット通信システムの第3の送信出力制御方法の動作イメージを示す図である。
【図13】従来の無線パケット通信システムの無線パケット通信基地局の死活監視方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0018】
10 管理サーバ
11 有線ネットワーク
12 無線パケット通信基地局
13 無線クライアント端末
14 認証手段
20 有線インタフェース
21 制御部
22 疑似クライアント手段
23,23−1,23−2,23−3 無線インタフェース
24 アンテナ
31 ヘッダ
32 ボディ
33 特殊フィールド
34 誤り検出符号
VLAN#1〜VLAN#3 有線のVLAN
51〜54 仮想基地局
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバと、
無線パケット通信基地局と、
前記管理サーバと前記無線パケット通信基地局とを接続するネットワークとから構成される無線パケット通信システムであって、
前記無線パケット通信基地局は、擬似クライアント手段と、
複数の無線インタフェースとを有し、
前記擬似クライアント手段は、前記複数の無線インタフェースの中の1つの無線インタフェースを使用して、前記複数の無線インタフェースの中の他の無線インタフェースとの間でテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施することを特徴とする無線パケット通信システム。
【請求項2】
前記擬似クライアント手段は、前記他の無線インタフェースとの間で、ポーリング試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施することを特徴とする請求項1に記載の無線パケット通信システム。
【請求項3】
前記擬似クライアント手段は、前記他の無線インタフェースとの間で、接続試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施することを特徴とする請求項1に記載の無線パケット通信システム。
【請求項4】
前記有線ネットワークに接続される認証手段を有し、
前記擬似クライアント手段は、前記認証手段を用いて、前記他の無線インタフェースとの間で、認証試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施することを特徴とする請求項1に記載の無線パケット通信システム。
【請求項5】
前記擬似クライアント手段は、テストパケットであることを明示する特殊情報を含んだパケットを使用し、
前記他の無線インタフェースは、前記テストパケットに対する応答のみ低い送信出力で送信することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の無線パケット通信システム。
【請求項6】
前記無線パケット通信基地局は、複数の仮想基地局を有し、
前記複数の仮想基地局の中の1つの仮想基地局は、遠隔での試験専用として動作し、当該1つの仮想基地局の送信出力は低く設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の無線パケット通信システム。
【請求項7】
前記他の無線インタフェースは、テストに先立ってチャネル予約を行い、予約した期間に渡って低い送信出力で送信することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の無線パケット通信システム。
【請求項8】
前記他の無線インタフェースは、テスト開始を検出するとチャネル予約を行い、予約した期間に渡って低い送信出力で送信することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の無線パケット通信システム。
【請求項1】
管理サーバと、
無線パケット通信基地局と、
前記管理サーバと前記無線パケット通信基地局とを接続するネットワークとから構成される無線パケット通信システムであって、
前記無線パケット通信基地局は、擬似クライアント手段と、
複数の無線インタフェースとを有し、
前記擬似クライアント手段は、前記複数の無線インタフェースの中の1つの無線インタフェースを使用して、前記複数の無線インタフェースの中の他の無線インタフェースとの間でテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施することを特徴とする無線パケット通信システム。
【請求項2】
前記擬似クライアント手段は、前記他の無線インタフェースとの間で、ポーリング試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施することを特徴とする請求項1に記載の無線パケット通信システム。
【請求項3】
前記擬似クライアント手段は、前記他の無線インタフェースとの間で、接続試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施することを特徴とする請求項1に記載の無線パケット通信システム。
【請求項4】
前記有線ネットワークに接続される認証手段を有し、
前記擬似クライアント手段は、前記認証手段を用いて、前記他の無線インタフェースとの間で、認証試験を実施するためのテストパケットを送受信し、前記他の無線インタフェースの死活監視を実施することを特徴とする請求項1に記載の無線パケット通信システム。
【請求項5】
前記擬似クライアント手段は、テストパケットであることを明示する特殊情報を含んだパケットを使用し、
前記他の無線インタフェースは、前記テストパケットに対する応答のみ低い送信出力で送信することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の無線パケット通信システム。
【請求項6】
前記無線パケット通信基地局は、複数の仮想基地局を有し、
前記複数の仮想基地局の中の1つの仮想基地局は、遠隔での試験専用として動作し、当該1つの仮想基地局の送信出力は低く設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の無線パケット通信システム。
【請求項7】
前記他の無線インタフェースは、テストに先立ってチャネル予約を行い、予約した期間に渡って低い送信出力で送信することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の無線パケット通信システム。
【請求項8】
前記他の無線インタフェースは、テスト開始を検出するとチャネル予約を行い、予約した期間に渡って低い送信出力で送信することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の無線パケット通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−171083(P2009−171083A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5251(P2008−5251)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]