説明

無線基地局および無線通信方法

【課題】同一タイミングで送信される制御信号の干渉を低減する。
【解決手段】TDMA/TDD方式を採用し、複数のアンテナにアンテナウェイトを適用するアダプティブアレイ方式の無線基地局は、他の無線基地局との間で、無線信号の送受信タイミングに関する同期を行い、他の無線基地局から受信した制御信号の送信タイミングと、受信レベルとに基づいて、自身が制御信号を送信する制御チャネルをタイムスロットに割り当て、制御信号を送信する際、制御部は、送信部に他の無線基地局と同一タイミングで制御信号を送信部に送信させる場合、当該他の無線基地局が送信する制御信号に基づくアンテナウェイトを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TDMA/TDD(時分割多元接続/時分割復信)方式により無線通信を行う無線基地局および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TDMA/TDD(時分割多元接続/時分割復信)方式を採用する無線通信システムとし、PHS(Personal Handy-phone System)や、XGP(eXtended Global Platform)が知られている。
【0003】
これらの無線通信システムでは、図9に示すように、所定周期(ここでは5ms)のTDMAフレームが上り回線用サブフレーム(2.5ms)と下り回線用サブフレーム(2.5ms)とに区分されている。さらに、各サブフレームは、それぞれ複数のタイムスロット(ここではSlot1〜Slot4)に区分されている。なお、上りとは、無線端末から無線基地局への方向を、一方、下りとは、無線基地局から無線端末への方向を意味する。
【0004】
そして、無線基地局は、20TDMAフレーム(1スーパーフレーム)ごとに(100ms周期で)、予め無線基地局に割り当てられた下り回線用サブフレームに含まれるタイムスロットを使用し、周辺の無線端末に対して制御信号を送信している。
【0005】
ところで、都市部といった、多くの無線端末が利用される地域では、無線端末が同時に無線通信できるよう、多くの基地局が集中して設置されている。そのため、ある無線基地局は、他のいずれかの無線基地局と同じタイミングで送信しなければならず、上述の制御信号の干渉が生じてしまうおそれがある。
【0006】
例えば、PHSでは、周辺の無線基地局同士が制御信号の送信タイミングが重ならない制御チャネルの割り当ては、80タイミング(100ms/5ms×4)と限られている。そのため、周辺に80を超える無線基地局が集中的に設置されてしまうと、制御信号の干渉を回避することができない。
【0007】
また、都市部において、無線基地局は、無線伝搬環境を考慮し、一般的に、ビルの屋上等の高所に設置される。このため、周辺の無線基地局だけでなく、遠方に存在する無線基地局から送信される制御信号によって生じる干渉も回避することができない。
【0008】
そのため、この問題への対策とし、例えば、無線基地局の立ち上げ時に、制御チャネルの送受信に利用する周波数帯の電界強度を一定期間計測し、隣接する他の無線基地局が送信していないタイミング、または、干渉の程度が低いタイミングで制御信号の送信を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−264659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、従来の無線基地局内のエリア内に存在する無線環境が悪い場所を改善するため、フェムトセルといった、当該無線基地局のエリア内に、小型の無線基地局を新たに設置することが検討されている。
【0011】
そのため、特許文献1に記載される技術を利用したとしても、隣接する他の無線基地局が増えることになるため、送信が行われていないタイミングを検出することも、干渉の程度が低いタイミングを検出することも困難となるおそれがある。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、制御チャネルで制御信号を送信する際に生じる干渉をより低減することができる無線基地局および無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、TDMA/TDD方式を採用し、複数のアンテナにアンテナウェイトを適用するアダプティブアレイ方式の無線基地局であって、他の無線基地局との間で、無線信号の送受信タイミングに関する同期を行う同期処理部と、前記他の無線基地局から受信した制御信号の送信タイミングと、受信レベルとに基づいて、自身が制御信号を送信する制御チャネルをタイムスロットに割り当てる制御部と、前記制御信号を送信する送信部と、を備え、前記制御部は、前記送信部に他の無線基地局と同一タイミングで前記制御信号を前記送信部に送信させる場合、当該他の無線基地局が送信する制御信号に基づくアンテナウェイトを算出する、ことを特徴とする。
【0014】
無線基地局は、他の無線基地局との間で送受信タイミングの同期を行った後、制御信号を送信するにあたり、タイムスロットに制御チャネルを割り当てる。このとき、他の無線基地局と同じタイムスロットで制御信号を送信しなければならない場合、当該他の無線基地局からの制御信号に基づく、アンテナウェイトを算出する。これにより、他の基地局との間で干渉が生じないように、制御信号を送信することが可能となる。
【0015】
前記制御部は、前記制御チャネルを割り当てたタイムスロットと同一タイムスロットで送信される他の無線基地局に対し、ヌルが向くように前記アンテナウェイトを算出してもよい。
【0016】
前記制御部は、前記制御チャネルの割り当ての際、前記制御チャネルを割り当て可能な全タイムスロットが前記他の無線基地局に利用されている場合、前記他の無線基地局から送信される制御信号の受信レベルが最も低いタイムスロットを自身が制御信号を送信する制御チャネルに割り当て、かつ、制御チャネルを割り当てたタイムスロットと同一タイムスロットで送信される他の無線基地局からの制御信号に基づいて、前記送信部に制御信号を送信させる際のアンテナウェイトを算出してもよい。
【0017】
前記同期処理部は、予め設定される時間に前記他の無線基地局との間で前記同期を行っており、前記同期処理部は、前記予め設定される時間より前に同期処理が行われた他の無線基地局から送信される制御信号を利用して、前記同期を行ってもよい。
【0018】
GPS情報を取得するGPS受信部と、をさらに備え、前記同期処理部は、予め設定される時間に、前記GPS受信部を介して前記GPS情報を取得して、前記他の無線基地局との間で前記同期を行ってもよい。
【0019】
前記制御部は、前記同期後、前記送信部に無指向性で制御信号を所定期間送信させてもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するための本発明の代表的な構成は、TDMA/TDD方式を採用し、複数のアンテナにアンテナウェイトを適用するアダプティブアレイ方式の無線基地局の無線通信方法であって、他の無線基地局との間で、無線信号の送受信タイミングに関する同期を行う同期処理ステップと、前記他の無線基地局から受信した制御信号の送信タイミングと、受信レベルとに基づいて、自身が制御信号を送信する制御チャネルをタイムスロットに割り当てる制御ステップと、前記制御信号を送信する送信ステップと、を含み、前記制御ステップでは、前記送信部に他の無線基地局と同一タイミングで前記制御信号を前記送信部に送信させる場合、当該他の無線基地局が送信する制御信号に基づくアンテナウェイトを算出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
他の無線基地局と同じタイムスロットで制御信号を送信しなければならない場合、当該他の無線基地局からの制御信号に基づく、アンテナウェイトを算出し、制御信号を指向性制御により送信するので、送信する制御信号の干渉を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図3】本実施形態に係る無線基地局の処理を示すフロー図である。
【図4】本実施形態に係る無線端末の機能ブロック図である。
【図5】本実施形態に係る無線通信システムの無線端末および無線基地局の処理を示す図である。
【図6】本実施形態に係る無線通信システムの無線端末および無線基地局の処理を示す図である。
【図7】本実施形態に係る管理装置の機能ブロック図である。
【図8】本実施形態に係る無線通信システムの無線端末、無線基地局、および、管理装置の処理を示す図である。
【図9】PHSにおける、タイムスロット、TDMAフレームおよびスーパーフレームを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システム10を示す図である。同図に示すように、無線通信システム10は、無線基地局20(20A,20B,20C,20D)と、無線端末30と、管理装置40と、を含んで構成される。
【0025】
そして、無線通信システム10における、無線基地局20と無線端末30は、TDMA/TDD方式を採用する通信方式を利用してデータの送受信を行う。通信方式としては、例えば、TDMA/TDD方式を採用するPHS方式と、TDMA/TDD方式およびODFMA方式を採用するXGPと、がある。
【0026】
図2は、無線通信システム10における、無線基地局20の機能ブロック図である。
【0027】
無線基地局20は、複数のアンテナにアンテナウェイトを適用するアダプティブアレイ方式の無線基地局であり、図2に示すように、制御部210、記憶部220、I/F部230、無線通信部240、変調・復調部250、アダプティブアレイアンテナ260A、アダプティブアレイアンテナ260B、アダプティブアレイアンテナ260C、アダプティブアレイアンテナ260D、を含む。
【0028】
制御部210は、例えばCPUによって構成され、無線基地局20が具備する各種機能を制御する。制御部210は、同期処理部212、判定部214、及び、アンテナウェイト算出部216を含む。
【0029】
記憶部220は、例えばメモリによって構成され、無線基地局20における制御などに用いられる各種情報を記憶する。
【0030】
I/F部230は、ネットワークを介して、管理装置40と通信可能である。
【0031】
無線通信部240は、アダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260Dを介して、無線端末30から送信される上り無線信号及び他の無線基地局20から送信される下り無線信号を受信する。さらに、無線通信部240は、受信した上り無線信号をベースバンド信号に変換(ダウンコンバート)し、変調・復調部250へ出力する。
【0032】
変調・復調部250は、入力されたベースバンド信号の復調及び復号処理を行う。これにより、無線端末30から送信される上り無線信号及び他の無線基地局20から送信される下り無線信号に含まれるデータが得られる。データは制御部210へ出力される。
【0033】
また、変調・復調部250は、制御部210からのデータの符号化及び変調を行い、ベースバンド信号を得る。無線通信部240は、ベースバンド信号を下り無線信号に変換(アップコンバート)する。更に、無線通信部240は、アダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260Dを介して、下り無線信号を送信する。
【0034】
制御部210内の同期処理部212は、他の無線基地局20との間で、TDMAフレーム(無線信号の送受信周期)の境界が所定時間内(たとえな、±10μs内)に収まるよう、無線信号の送受信タイミングの同期を行う(フレーム同期を行う)。なお、送受信タイミングの同期処理は、無線基地局20の構成、設置状況に応じて無線基地局20ごとに予め設定されている時間に、自発的に、または、管理装置20からの通知されることで開始され、その処理は、以下のいずれかで行われる。
【0035】
(第1の処理)
GPS受信機(図示しない)を備える無線基地局20(例えば、図1の無線基地局20A)の場合、同期処理部212は、記憶部130に予め記憶される所定の時間、または、管理装置40から通知される時間に、GPS情報に含まれる時間情報を利用し、無線信号の送受信タイミングの同期処理を行う。同期処理を行い、送受信タイミングを設定した後、制御部210は、無線基地局20に予め制御チャネル用に割り当てられたタイムスロット(制御信号の送信タイミング)で、同期制御用の符号を含めた制御信号を送信する。このとき、無線基地局20は、アダプティブアレイアンテナを利用した指向性制御は行わず、全方向に制御信号を送信する。
【0036】
(第2の処理)
GPS受信機を備えていない無線基地局20(例えば、図1の無線基地局20B)の場合、同期処理部212は、記憶部130に予め記憶される所定の時間、または、管理装置40から通知される時間に、GPS受信機を備える他の無線基地局20から送信されている制御信号を受信する。なお、制御信号を受信する時間は、GPS受信機を備える他の無線基地局20が上記(第1の処理)を行う時間より所定時間経過後、かつ、後述するGPSを備えない他の無線基地局20が(第3の処理)を行う時間より前に設定されている。そして、同期処理部212は、当該制御信号に含まれる同期制御用の符号を利用して、無線信号の送受信タイミングの同期を行う(フレーム同期を行う)。送受信タイミングを設定した後、制御部210は、無線基地局20に制御チャネル用に割り当てられたタイムスロット(制御信号の送信タイミング)で、同期制御用の符号を含めた制御信号を送信する。
【0037】
(第3の処理)
GPS受信機を備えておらず、さらに、GPS受信機を備える他の無線基地局20から送信されている制御信号を受信できない無線基地局20(例えば、図1の無線基地局20C)の場合、同期処理部212は、記憶部130に予め記憶される所定の時間、または、管理装置40から通知される時間に、GPS受信機を備えていない他の無線基地局20から送信されている制御信号を受信する。なお、制御信号を受信する時間は、GPS受信機を備えない他の無線基地局20が上記(第2の処理)を行う時間より所定時間経過後に設定されている。そして、同期処理部212は、当該制御信号に含まれる同期制御用の符号を利用して、無線信号の送受信タイミングの同期を行う(フレーム同期を行う)。送受信タイミングを設定した後、制御部210は、無線基地局20に制御チャネル用に割り当てられたタイムスロット(制御信号の送信タイミング)で、同期制御用の符号を含めた制御信号を送信する。
【0038】
同期処理部212により、他の無線基地局20との間で、無線信号の送受信タイミングの同期(フレーム同期)が行われた後、各無線基地局20における判定部214は、無線基地局20自身が制御チャネルを割り当て可能なタイムスロット(制御信号の送信タイミング)において、他の無線基地局20から送信される制御信号の有無を判定する。判定部214は、他の無線基地局20が利用していない制御チャネルを割り当て可能なタイムスロットがある場合は、いずれかのタイムスロットを自身が制御信号を送信するための制御チャネルに割り当てる。一方、制御チャネルを割り当て可能なタイムスロットが他の無線基地局20に既に利用され、制御信号が送信されている場合には、各制御信号の受信レベルを取得し、最も受信レベルの低い制御信号を送信されているタイムスロットを、自身が制御信号を送信するための制御チャネルに割り当てる。さらに、判定部214は、制御チャネルを割り当てたタイムスロットにおいて、他の無線基地局20も制御信号を送信していること示す情報をアンテナウェイト算出部216に出力する。なお、判定部242の判定は、以下のいずれかの処理で行われる。
【0039】
(第1の処理)
GPS受信機を備える無線基地局20の場合、判定部214は、全方向に制御信号を一定期間送信した後に、制御信号の送信を一旦停止し、制御信号の送信が再開されるまでに、上記判定を行う。
【0040】
(第2の処理)
GPS受信機を備えない無線基地局20の場合、判定部214は、の無線基地局20との間で、無線信号の送受信タイミングの同期(フレーム同期)が行われた後、制御信号の送信が開始されるまでに、上記判定を行う。
【0041】
判定部214による判定の結果、他の無線基地局20も制御信号を送信しているタイムスロットに制御チャネルを割り当てた場合、アンテナウェイト算出部216は、各アダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260Dについて、制御チャネルに割り当てられたタイムスロットを用いた制御信号の送信時のアンテナウェイト(送信ウェイト)を算出する。
【0042】
具体的には、アンテナウェイト算出部216は、制御チャネルが割り当てられたタイムスロットで受信された他の無線基地局20からの制御信号に基づいて、送信ウェイトを算出する。ここで、アンテナウェイト算出部216は、他の無線基地局20からの制御信号ごとに、当該制御信号の受信時において信号対干渉雑音比(SINR)が最小となるアンテナウェイト(受信ウェイト)を算出する。
【0043】
更に、アンテナウェイト算出部216は、他の無線基地局20からの制御信号に対応する受信ウェイトを、送信ウェイトとする。
【0044】
算出された各アダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260D毎の受信ウェイトは、他の無線基地局20からの制御信号の受信時においてSINRが最小となるアンテナウェイトである。従って、当該受信ウェイトが送信ウェイトとして設定されることにより、当該送信ウェイトは、自身の制御信号の送信時にヌルの方向が他の無線基地局20に向くアンテナウェイトとなる。
【0045】
その後、制御部210は、予め制御チャネル用に割り当てられたタイムスロットを用いて、変調・復調部107、無線通信部106及びアダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260Dを介して、制御信号を送信する。なお、判定部214において、自身が制御信号を送信する制御チャネルを割り当てたタイムスロットを、他の無線基地局20が利用していないと判定された場合は、無線基地局20は、アダプティブアレイアンテナを利用した指向性制御は行わず、全方向に制御信号を送信するようにしてもよい。
【0046】
図3は、無線通信システム10における無線基地局20の動作を示すフロー図である。図3に示すように、無線基地局20は、自身に予め設定された処理を行う時間になった場合(ステップS31Yesに相当)、GPS受信機を備える(ステップS32Yesに相当)無線基地局20は、GPS情報に含まれる時間情報を取得して送信タイミングの同期処理を行う(ステップS33)。無線基地局20は、同期処理後、予め制御チャネル用に割り当てられたタイムスロット(制御信号の送信タイミング)で、同期制御用の符号を含めた制御信号を、アダプティブアレイアンテナを利用した指向性制御は行わず、全方向に送信する(ステップS34)。無線基地局20は、制御信号を一定期間送信した後(ステップS35Yes)、制御信号の送信を一旦停止する(ステップS36)。
【0047】
一方、GPS受信機を備えていない(ステップS32Yesに相当)無線基地局20は、他の無線基地局20から送信される制御信号を受信し(ステップS37)、当該制御信号に含まれる同期制御用の符号を利用して、無線信号の送受信タイミングの同期処理を行う(ステップS38)。
【0048】
GPS受信機を備える無線基地局20においてはステップS36の後に、または、GPS受信機を備えない無線基地局20においてはステップS38の後に、制御チャネルを割り当て可能なタイムスロット(制御信号の送信タイミング)において、他の無線基地局20からの制御信号の受信を試みる(ステップS39)。そして、制御チャネルを割り当て可能なタイムスロット(制御信号の送信タイミング)の全てで、他の無線基地局20からの制御信号が受信されるか否か判定する。制御チャネルを割り当て可能なタイムスロット(制御信号の送信タイミング)の全てで、他の無線基地局20からの制御信号が受信された場合(ステップS40Yes)、各制御信号の受信レベルを取得し、最も受信レベルの低い制御信号を送信されているタイムスロットを、自身が制御信号を送信するための制御チャネルに割り当て(ステップS41)、他の無線基地局20の方向にヌルが向くような送信ウェイトを算出する(ステップS42)。無線基地局20は、算出した送信ウェイトを利用し、アダプティブアレイアンテナにより指向性制御された制御信号を送信する(ステップS43)。一方、無線基地局2が制御チャネルを割り当て可能なタイムスロット(制御信号の送信タイミング)において、他の無線基地局20に利用されていないタイムスロットがある場合(ステップS40No)、無線基地局20は、利用されていないタイムスロットのいずれかを、自身が制御信号を送信するための制御チャネルに割り当て(ステップS44)、アダプティブアレイアンテナを利用した指向性制御は行わず、全方向に制御信号を送信する(ステップS45)。
【0049】
以上説明した無線通信システム10によれば、事前に自身が送信する制御信号と、他の無線基地局20から送信される制御信号との間に生じる干渉を考慮した上で制御信号の送信を行うことができる。これにより、制御チャネルで制御信号を送信する際に生じる干渉を低減することができる。
【0050】
なお、GPS受信機を有する無線基地局20に関しては、GPS情報に含まれる時間情報が、同期を行う際の絶対時間となるため、無線通信システム10の円滑な運用を考慮し、当該無線基地局20については、予め制御チャネルを割り当てるタイムスロットを固定し、さらに、上述のように、アダプティブアレイアンテナを利用した指向性制御することなく、全方向に制御信号を送信するようにしてもよい。
【0051】
上記は、無線基地局20自身が他の無線基地局20から送信される制御信号を受信することで、自身が制御信号を送信する制御チャネルの割り当てを行った。しかしながら、無線通信システム10においては、無線基地局20が設置される位置だけでなく、無線端末30が存在する位置でも、複数の無線基地局20が同一タイミングで送信する制御信号が干渉している場合がある。そのため、以下、無線端末30が存在する位置において、複数の無線基地局の間で生じている制御信号の干渉を低減する手法を記載する。
【0052】
図4は、無線通信システム10における、無線端末30の機能ブロック図である。
【0053】
無線端末30は、図4に示すように、制御部310、記憶部320、無線通信部340、変調・復調部350、アンテナ360を含む。
【0054】
制御部310は、例えばCPUによって構成され、無線端末30が具備する各種機能を制御する。制御部310は、干渉判定部312を含む。
【0055】
記憶部320は、例えばメモリによって構成され、無線端末30における制御などに用いられる各種情報を記憶する。
【0056】
無線通信部340は、無線基地局20から送信される下り無線信号を受信する。さらに、無線通信部340は、受信した上り無線信号をベースバンド信号に変換(ダウンコンバート)し、変調・復調部350へ出力する。
【0057】
変調・復調部350は、入力されたベースバンド信号の復調及び復号処理を行う。これにより、無線基地局20から送信される下り無線信号を含まれるデータが得られる。データは制御部310へ出力される。
【0058】
また、変調・復調部350は、制御部310からのデータの符号化及び変調を行い、ベースバンド信号を得る。無線通信部340は、ベースバンド信号を下り無線信号に変換(アップコンバート)する。更に、無線通信部340は、アレイアンテナ360を介して、上り無線信号を送信する。
【0059】
無線端末30は、無線通信を行うために、無線基地局20と同期を確立する。この同期を確立するにあたり、無線端末30は、無線基地局20から送信される制御情報を受信する。このとき、無線端末30が、図1に示すように、無線基地局20Bのセル内に存在するものとする。この場合、無線端末30は、無線基地局20Bから送信される無線信号を受信する。そして、制御部310内の干渉判定部312は、受信した制御信号の受信品質を取得する。干渉判定部312は、受信した制御信号のRSSI(Received Signal Strength Indicator)と、FER(Frame Error Rate)とを取得する。そして、干渉判定部312は、RSSIが予め設定されている閾値(第1の閾値)より大きく、かつ、FERも予め設定される閾値(第2の閾値)よりも大きい場合、無線基地局20Bから送信される制御信号に干渉が生じていると判定する(ここでは、無線基地局20Bと、無線基地局20Dとが同一タイミングで制御信号を送信し、かつ、互いの制御信号に干渉が生じているものとする。)。そして、この状態が所定期間継続する場合に、制御部310は、無線基地局20Bが制御信号を送信する下りタイムスロットに対応する上りタイムスロットで、その旨を示す制御情報を無線基地局20B宛てに送信する。
【0060】
無線基地局20は、無線端末30から、自身が送信した制御信号に干渉が生じていることを制御情報にて通知されると、干渉を低減するための処理を行う。
【0061】
無線基地局20Bは、自身が送信した制御信号に干渉が生じていることを通知される。無線基地局20Bにおける、制御部210の判定部142は、制御チャネルを割り当てたタイムスロットにおいて、他の無線基地局20も制御信号を送信していること示す情報をアンテナウェイト算出部216に出力する。
【0062】
アンテナウェイト算出部216は、各アダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260Dについて、制御チャネルに割り当てられたタイムスロットを用いた制御信号の送信時のアンテナウェイト(送信ウェイト)を算出する。
【0063】
具体的には、アンテナウェイト算出部216は、無線端末30からの制御信号に基づいて、送信ウェイトを算出する。ここで、アンテナウェイト算出部216は、当該制御信号の受信時において信号対干渉雑音比(SINR)が最小となるアンテナウェイト(受信ウェイト)を算出する。更に、アンテナウェイト算出部216は、無線端末30からの制御信号に対応する受信ウェイトを、送信ウェイトとする。
【0064】
算出された各アダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260D毎の受信ウェイトは、無線端末30からの制御信号の受信時においてSINRが最小となるアンテナウェイトである。従って、当該受信ウェイトが送信ウェイトとして設定されることにより、当該送信ウェイトは、自身の制御信号の送信時にヌルの方向が無線端末30に向くアンテナウェイトとなる。
【0065】
その後、制御部210は、予め制御チャネル用に割り当てられたタイムスロットを用いて、変調・復調部107、無線通信部106及びアダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260Dを介して、制御信号を送信する。これにより、無線端末30が存在する位置で、制御信号の干渉を低減することができる。なお、無線端末30は、無線基地局20Bからの制御信号を受信することが困難になるが、無線基地局20Bが送信する制御信号に干渉を生じさせていた無線基地局20Dからの制御信号を干渉なしに受信することができるので、当該無線基地局20Dに無線接続することができる。
【0066】
図5は、無線通信システム10における無線基地局20(20Bおよび20D)および無線端末30の動作を示すフロー図である。図3に示すように、無線端末30は、無線通信を開始するにあたり、無線基地局20Bからの制御信号を受信し(ステップS51)、受信した制御信号に干渉が所定期間、生じているか否かの判定を行う(ステップS52)。無線端末30は、干渉が生じていると判定すると(ステップS53)、制御信号に無線基地局20Bが制御信号を送信する下りタイムスロットに対応する上りタイムスロットで、その旨を示す制御情報を無線基地局20B宛てに送信し、無線基地局20Bは当該制御信号を受信する(ステップS54)。無線端末30から制御信号を受信した無線基地局20Bは、当該制御信号を利用し、無線端末30の方向にヌルが向くような送信ウェイトを算出する(ステップS55)。無線基地局20Bは、算出した送信ウェイトを利用し、アダプティブアレイアンテナにより指向性制御された制御信号を送信する(ステップS56)。無線端末30は、再度、制御信号を受信し(ステップS56)、無線基地局20Dに接続要求を行う(ステップS57)。
【0067】
上記処理では、無線端末30が存在するセルを有する無線基地局20Bに、制御信号を送信する際、当該無線端末30にヌルが向くよう指向性制御を行わせた。しかしながら、無線端末30が送信する制御信号は、無線基地局20Bだけでなく、同一タイミングで制御信号を送信している無線基地局20Dも受信できる場合がある。そのため、上記処理の代わりに以下の処理を無線基地局20が行うようにしてもよい。
【0068】
(その他の処理−その1)
無線基地局20Bは、自身が送信した制御信号に干渉が生じていることを無線端末30からの制御信号により通知されても、干渉を低減する処理を行わない。一方、無線基地局20Dは、無線端末30から送信される、無線基地局20B宛ての制御信号を受信することで、自身が送信した制御信号に干渉が生じていることを通知される。無線基地局20Dにおける、制御部210の判定部142は、制御チャネルを割り当てたタイムスロットにおいて、他の無線基地局20も制御信号を送信していること示す情報をアンテナウェイト算出部216に出力する。
【0069】
アンテナウェイト算出部216は、各アダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260Dについて、制御チャネルに割り当てられたタイムスロットを用いた制御信号の送信時のアンテナウェイト(送信ウェイト)を算出する。
【0070】
具体的には、アンテナウェイト算出部216は、無線端末30からの制御信号に基づいて、送信ウェイトを算出する。ここで、アンテナウェイト算出部216は、当該制御信号の受信時において信号対干渉雑音比(SINR)が最小となるアンテナウェイト(受信ウェイト)を算出する。更に、アンテナウェイト算出部216は、無線端末30からの制御信号に対応する受信ウェイトを、送信ウェイトとする。
【0071】
算出された各アダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260D毎の受信ウェイトは、無線端末30からの制御信号の受信時においてSINRが最小となるアンテナウェイトである。従って、当該受信ウェイトが送信ウェイトとして設定されることにより、当該送信ウェイトは、自身の制御信号の送信時にヌルの方向が無線端末30に向くアンテナウェイトとなる。
【0072】
その後、制御部210は、予め制御チャネル用に割り当てられたタイムスロットを用いて、変調・復調部107、無線通信部106及びアダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260Dを介して、制御信号を送信する。これにより、無線端末30が存在する位置で、制御信号の干渉を低減することができる。なお、無線端末30は、無線基地局20Bが送信する制御信号を、無線基地局20Dからの制御信号を干渉なしに受信することができるので、当該無線基地局20Bに無線接続することができる。
【0073】
図6は、無線通信システム10における無線基地局20(20Bおよび20D)および無線端末30の動作を示すフロー図である。図3に示すように、無線端末30は、無線通信を開始するにあたり、無線基地局20Bからの制御信号を受信し(ステップS61)、受信した制御信号に干渉が所定期間、生じているか否かの判定を行う(ステップS62)。無線端末30は、干渉が生じていると判定すると(ステップS63)、制御信号に無線基地局20Bが制御信号を送信する下りタイムスロットに対応する上りタイムスロットで、その旨を示す制御情報を無線基地局20B宛てに送信し、無線基地局20Bおよび無線基地局20Dは当該制御信号を受信する(ステップS64)。無線端末30から制御信号を受信した無線基地局20Dは、当該制御信号を利用し、無線端末30の方向にヌルが向くような送信ウェイトを算出する(ステップS65)。無線基地局20Dは、算出した送信ウェイトを利用し、アダプティブアレイアンテナにより指向性制御された制御信号を送信する(ステップS66)。無線端末30は、再度、制御信号を受信し(ステップS66)、無線基地局20Bに接続要求を行う(ステップS67)。
【0074】
上記(その他の処理−その1)では、無線端末30が存在するセルを有する無線基地局20Bが送信する制御信号と干渉していた制御信号を送信する無線基地局20Dに、当該無線端末30にヌルが向くよう指向性制御を行わせた。しかしながら、無線基地局20Dが遠方に設置されている場合、無線端末30が送信する制御信号を無線基地局20Dは、受信できない。そのため、上記(その他の処理−その1)の代わりに以下の処理を無線通信システム10が行うようにしてもよい。
【0075】
(その他の処理−その2)
無線端末30が、GPS受信機(位置情報)といった、自身の位置を検出する構成を備えているものとする。無線端末30の制御部310は、無線基地局20Bからの制御信号に干渉が生じていると判定すると、無線基地局20Bが制御信号を送信する下りタイムスロットに対応する上りタイムスロットで、その旨を示す制御情報を無線基地局20B宛てに送信する。なお、制御信号には、無線端末30が、干渉が生じていると判定した時点での位置情報を含むものとする。無線基地局20Bは、自身が送信した制御信号に干渉が生じていることを無線端末30からの制御信号により通知さると、制御信号の送信を一旦停止し、制御部210の判定部214は、自身が制御信号を送信する同一タイミングで制御信号を送信している他の無線基地局20(この場合、無線基地局20Dとする。)を判定し、判定結果とし、無線端末30の位置情報と、無線基地局20Dを示す情報とを、管理装置40に通知する。
【0076】
管理装置40は、無線基地局20Bから、無線端末30の位置情報と、無線基地局20Dを示す情報とを受信すると、無線基地局20Dに対し、無線端末30の位置情報を通知し、無線基地局20Dが制御信号を送信する際、無線端末30にヌルが向くように指向性制御を行わせる。
【0077】
図7は、無線通信システム10における、管理装置40の機能ブロック図である。
【0078】
管理装置40は、図7に示すように、制御部410、記憶部420、通信部440を含む。
【0079】
制御部410は、例えばCPUによって構成され、管理装置40が具備する各種機能を制御する。そして、無線基地局20から、無線端末30の位置情報と、他の無線基地局20を示す情報とを受信すると、制御信号に干渉が生じていると判断し、他の無線基地局20に対し、無線端末30の位置情報を通知し、他の無線基地局20が制御信号を送信する際、無線端末30にヌルが向くように指向性制御を行わせる。
【0080】
記憶部420は、例えばメモリによって構成され、管理装置40における制御などに用いられる各種情報を記憶する。また、通信部440は、無線基地局20とデータを送受信する。
【0081】
一方、無線基地局20Dは、管理装置40から無線端末30の位置情報を通知されると、制御部210の判定部214は、自身が送信した制御信号に干渉が生じていることと判定する。判定部142は、制御チャネルを割り当てたタイムスロットにおいて、他の無線基地局20も制御信号を送信していること示す情報をアンテナウェイト算出部216に出力する。
【0082】
アンテナウェイト算出部216は、各アダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260Dについて、制御チャネルに割り当てられたタイムスロットを用いた制御信号の送信時のアンテナウェイト(送信ウェイト)を通知された位置情報を利用して算出する。
【0083】
算出された各アダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260D毎の受信ウェイトは、無線端末30からの制御信号の受信時においてSINRが最小となるアンテナウェイトである。従って、当該受信ウェイトが送信ウェイトとして設定されることにより、当該送信ウェイトは、自身の制御信号の送信時にヌルの方向が無線端末30に向くアンテナウェイトとなる。
【0084】
その後、制御部210は、予め制御チャネル用に割り当てられたタイムスロットを用いて、変調・復調部107、無線通信部106及びアダプティブアレイアンテナ260A乃至アダプティブアレイアンテナ260Dを介して、制御信号を送信する。これにより、無線端末30が存在する位置で、制御信号の干渉を低減することができる。なお、無線端末30は、無線基地局20Bが送信する制御信号を、無線基地局20Dからの制御信号を干渉なしに受信することができるので、当該無線基地局20Bに無線接続することができる。
【0085】
図8は、無線通信システム10における無線基地局20(20Bおよび20D)、無線端末30、および、管理装置40の動作を示すフロー図である。図8に示すように、無線端末30は、無線通信を開始するにあたり、無線基地局20Bからの制御信号を受信し(ステップS81)、受信した制御信号に干渉が所定期間、生じているか否かの判定を行う(ステップS82)。無線端末30は、干渉が生じていると判定すると(ステップS83)、制御信号に無線基地局20Bが制御信号を送信する下りタイムスロットに対応する上りタイムスロットで、その旨を示す制御情報を位置情報を含めて無線基地局20B宛てに送信し、無線基地局20Bは当該制御信号を受信する(ステップS84)。無線端末30から制御信号を受信した無線基地局20Bは、制御信号の送信を一旦停止し、自身が制御信号を送信する同一タイミングで制御信号を送信している他の無線基地局20(この場合、無線基地局20Dとする。)を判定する(ステップS85)。そして、無線基地局20Bは、制御信号の送信を再開するとともに、判定結果とし、無線端末30の位置情報と、無線基地局20Dを示す情報とを、管理装置40に通知する(ステップS86)。管理装置40は、無線基地局20Bから、無線端末30の位置情報と、無線基地局20Dを示す情報とを受信すると、無線基地局20Dに対し、無線端末30の位置情報を通知する(ステップS87)。無線基地局20Dは、管理装置40から無線端末30の位置情報を受信すると、無線端末30の方向にヌルが向くような送信ウェイトを算出する(ステップS88)。無線基地局20Dは、算出した送信ウェイトを利用し、アダプティブアレイアンテナにより指向性制御された制御信号を送信する(ステップS89)。無線端末30は、再度、制御信号を受信し、無線基地局20Bに接続要求を行う(ステップS8A)。
【0086】
なお、上述の(その他の処理−その2)では、管理装置40を介して、無線基地局20Dが送信する制御信号に干渉が生じていることを通知したが、無線基地局20Bと無線基地局20Dとの間で直接通信可能な場合は、管理装置40を介さずに、無線基地局20Bが無線基地局20Dに無線端末30の位置情報を通知してもよい。
【0087】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることを留意されたい。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 無線通信システム、20 無線基地局、30 無線端末、210,310,410 制御部、212 同期処理部、214 判定部、216 アンテナウェイト算出部、220,330,430 記憶部、230 I/F部、240,340 無線通信部、250,350 変調・復調部、312 干渉判定部、440 通信部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
TDMA/TDD方式を採用し、複数のアンテナにアンテナウェイトを適用するアダプティブアレイ方式の無線基地局であって、
他の無線基地局との間で、無線信号の送受信タイミングに関する同期を行う同期処理部と、
前記他の無線基地局から受信した制御信号の送信タイミングと、受信レベルとに基づいて、自身が制御信号を送信する制御チャネルをタイムスロットに割り当てる制御部と、
前記制御信号を送信する送信部と、を備え、
前記制御部は、前記送信部に他の無線基地局と同一タイミングで前記制御信号を前記送信部に送信させる場合、当該他の無線基地局が送信する制御信号に基づくアンテナウェイトを算出する、
ことを特徴とする無線基地局。
【請求項2】
前記制御部は、前記制御チャネルを割り当てたタイムスロットと同一タイムスロットで送信される他の無線基地局に対し、ヌルが向くように前記アンテナウェイトを算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記制御部は、前記制御チャネルの割り当ての際、前記制御チャネルを割り当て可能な全タイムスロットが前記他の無線基地局に利用されている場合、前記他の無線基地局から送信される制御信号の受信レベルが最も低いタイムスロットを自身が制御信号を送信する制御チャネルに割り当て、かつ、制御チャネルを割り当てたタイムスロットと同一タイムスロットで送信される他の無線基地局からの制御信号に基づいて、前記送信部に制御信号を送信させる際のアンテナウェイトを算出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記同期処理部は、予め設定される時間に前記他の無線基地局との間で前記同期を行っており、
前記同期処理部は、前記予め設定される時間より前に同期処理が行われた他の無線基地局から送信される制御信号を利用して、前記同期を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無線基地局。
【請求項5】
GPS情報を取得するGPS受信部と、をさらに備え、
前記同期処理部は、予め設定される時間に、前記GPS受信部を介して前記GPS情報を取得して、前記他の無線基地局との間で前記同期を行う
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記制御部は、前記同期後、前記送信部に無指向性で制御信号を所定期間送信させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線基地局。
【請求項7】
TDMA/TDD方式を採用し、複数のアンテナにアンテナウェイトを適用するアダプティブアレイ方式の無線基地局の無線通信方法であって、
他の無線基地局との間で、無線信号の送受信タイミングに関する同期を行う同期処理ステップと、
前記他の無線基地局から受信した制御信号の送信タイミングと、受信レベルとに基づいて、自身が制御信号を送信する制御チャネルをタイムスロットに割り当てる制御ステップと、
前記制御信号を送信する送信ステップと、含み、
前記制御ステップでは、前記送信部に他の無線基地局と同一タイミングで前記制御信号を前記送信部に送信させる場合、当該他の無線基地局が送信する制御信号に基づくアンテナウェイトを算出する、
ことを特徴とする無線通信方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−74884(P2012−74884A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217637(P2010−217637)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】