説明

無線装置、報知方法及びプログラム

【課題】周りに知られることなく、緊急事態を通知するための緊急通信モード動作を的確に使用者に知らしめる。
【解決手段】無線装置1は、制御部11の制御の下、通信モード指示キー22からの指示に基づいて緊急通知信号を通信部16で送受信する際に、緊急通信モード動作であることを無音報知部19により無音報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置、報知方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載可能な無線装置や携帯無線機などには、使用者の操作により他の無線装置に緊急信号を通知する緊急通知機能を有するものがある。特許文献1には、無線で緊急信号を通知する緊急報知装置であって、誤作動の少ない緊急報知装置に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−344675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の無線装置は、操作指示の受け付けや各種動作状態を音などで報知する報知モードと、音などの通知で周りに動作状況を知られないようにその報知を行わないサイレントモードを備えるものがあり、このサイレントモードに設定されている場合、緊急通知機能の動作を確認することが容易ではなかった。
【0004】
また、サイレントモードに設定されている場合において、緊急通知機能の操作指示やその緊急通知機能の動作時に単にサイレントモードを解除して報知したのでは、周りに動作状況を知られないように設定した使用者の意図を反映させることができなかった。
【0005】
本発明の課題は、周りに知られることなく緊急通知機能の作動を的確に使用者に知らしめることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、緊急事態を通知するための緊急通信モード動作を指示するための通信モード指示手段と、前記緊急通信モード動作時に前記緊急通知信号を無線で送信する送信手段と、前記緊急通信モード動作であることを報知する報知手段と、前記通信モード指示手段による指示に基づいて前記送信手段及び報知手段を駆動させる制御手段と、を備え、
前記報知手段は、前記緊急通信モード動作であることを無音で報知する無音報知手段を含む。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記報知手段は前記緊急通信モード動作であることを有音で報知する音声報知手段を含み、
当該無線装置は前記音声報知手段を動作させるか否かを指示するための報知モード指示手段を更に備え、
前記制御手段は、前記報知モード指示手段を介して与えられた指示に基づいて前記無音報知手段又は音声報知手段を動作させる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記制御手段は、前記報知モード指示手段に基づいて音声報知手段を動作させない場合に、前記無音報知手段を動作させる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、無音及び/又は有音で報知する報知手段と、前記有音での報知の有無を指示するための報知モード指示手段と、緊急事態を通知するための緊急通信モード動作の指示に基づいて、当該緊急通信モード動作であることを報知させ、緊急通知信号を無線で送信させる制御手段と、を備える無線装置の報知方法であって、
前記緊急通知信号を無線で送信させる際に、前記有音での報知を行わない無報知モードが指示されている場合に、無音で報知する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、無音及び/又は有音で報知する報知手段と、前記有音での報知の有無を指示するための報知モード指示手段と、緊急事態を通知するための緊急通信モード動作の指示に基づいて、当該緊急通信モード動作であることを報知させ、緊急通知信号を無線で送信させる制御手段と、を備える無線装置のコンピュータを、
前記緊急通知信号を無線で送信させる際に、前記有音での報知を行わない無報知モードが指示されている場合に、無音での報知を行うように制御させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、周りに知られることなく、緊急事態を通知するための緊急通信モード動作を的確に使用者に知らしめることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図1、2を参照して説明するが、この発明は以下の実施の形態に限定しない。また、この発明の実施の形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、発明の用途や用語はこれに限定するものではない。
【0013】
先ず、無線装置の構成について図1を参照して説明する。図1は、無線装置1の機能的構成を模式的に示している。
【0014】
図1に示すように、無線装置1は、制御部11、通話部12、操作部13、表示部14、記憶部15、通信部16、アンテナ17、報知部20を備える構成である。
【0015】
制御部11は、特に図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える回路部である。制御部11では、CPUがROMや後述する記憶部15に格納された各種制御プログラムや設定データなどをRAMの作業領域に展開して順次実行することで、無線装置1における各種動作を統括制御する。
【0016】
具体的には、制御部11は、記憶部15に格納されたプログラムを順次実行することで、後述する緊急通知処理を行う。即ち、制御部11は、制御手段としての機能を提供する機能部である。
【0017】
通話部12は、マイクやスピーカ(イヤホン端子で接続されたマイク付きヘッドホンなどであってもよい)、アンプ、通話スイッチ等(特に図示しない)を備え、他の無線機と送受信する音声信号の再生や取得など、通話に係る機能を提供する機能部である。
【0018】
具体的には、通話部12において、マイクに入力された音声信号は、制御部11の制御の下、通話スイッチを介して通信部16から他の無線機器に送信される。また、通信部16で受信された音声信号は、制御部11の制御の下、アンプで増幅された後にスピーカから再生される。
【0019】
なお、通話部12は、マイクからの音声信号を検知した場合に送信スイッチが入り送信モードに切り替わり、一定の時間音が発せられないと受信モードに切り替わるVOX(Voice Operation Transmission)機能を備えるものであってもよい。
【0020】
操作部13は、電源スイッチ、周波数選択スイッチ、周波数調整つまみ、音量調整つまみ、報知モード指示キー21、通信モード指示キー22などの各種機能キーを備え、使用者から入力された設定や操作指示を操作信号として制御部11へ出力する。報知モード指示キー21は、動作確認に係る報知の有無、即ち、報知を音声報知部18で行うか否かを示す報知モードを指示する(報知モード指示手段)。通信モード指示キー22は、緊急事態を通知するための緊急通信モード動作を指示する(通信モード指示手段)。
【0021】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)、FL(FLuorescent Display)等の表示画面を備え、制御部11から出力される制御信号に基づいて表示画面上に各種情報や操作画面を表示する。
【0022】
記憶部15は、半導体メモリなどの不揮発性メモリ等であり、制御部11が実行する各種制御プログラム、設定データ、音声報知部18が再生するメロディデータなどを格納する。具体的には、記憶部15は、後述する制御部11が実行する緊急通知処理に係るプログラムデータを格納している。
【0023】
通信部16は、電磁波の送受信を行う為のアンテナ17や特に図示しない同調回路、変調回路、増幅回路などを備え、制御部11の制御の下、所定の周波数帯域での送受信を行う機能部である。
【0024】
具体的には、通信部16は、他の無線装置から所定の周波数帯域で送信される搬送波(電磁波)をアンテナ17で受信し、同調回路で同調する周波数帯域を調整して搬送波を検波して増幅回路で増幅を行った後に、通話部12などへ出力する。逆に、通信部16は、通話部12から入力される音声信号の周波数を変調回路で所定の周波数帯域へ変調し、増幅回路での増幅を行った後に、アンテナ17からの送信を行う。
【0025】
また、通信部16は、制御部11の制御の下、通信モード指示キー22の指示に基づいた緊急通信モード動作時において、記憶部15やROMなどに格納された緊急通知信号を所定の周波数帯域で送信する(送信手段)。
【0026】
報知部20は、音声報知部18、無音報知部19を有する。
音声報知部18は、制御部11からの制御信号に基づいて、BEEP音の再生や記憶部15に格納されたメロディデータに基づいた音声再生を当該音声報知部18に設けられた専用スピーカ(特に図示しない)や通話部12のスピーカなどから行う機能部である(音声報知手段)。
【0027】
例えば、音声報知部18は、制御部11の制御の下、操作部13で操作指示を受け付けた際の確認音の再生や各種動作状態に基づいたメロディ音の再生などを行う。より具体的には、音声報知部18では、報知モード指示キー21が動作確認に係る報知を行う報知モードであると制御部11が判断した場合、無線装置1の操作入力や動作状況に基づいた音声再生が行われる。この音声報知部18で発せられる音声により、使用者や無線装置1の周囲にいる者は、無線装置1へ確実に操作入力が行われたことや、無線装置1の動作状態を音声で確認することができる。
【0028】
無音報知部19は、制御部11からの制御信号に基づいて動作するバイブレータ(例えばモータによって重りを偏心回転させることで振動を発生する振動子)やLEDなどであり、バイブレータなどの振動やLEDなどの点滅(光)により無音で報知する無音報知手段としての機能を提供する機能部である。
【0029】
例えば、無音報知部19では、通信モード指示キー22における設定が動作確認に係る報知を行わない無報知モードであると制御部11が判断した場合、無線装置1の操作入力や動作状況に基づいた無音報知が行われる。この無音報知部19の無音報知により、無音報知部19は、使用者など無線装置1の周囲にいる特定の人物へ操作入力が行われたことや、無線装置1の動作状態を報知することができる。
【0030】
具体的には、無音報知部19におけるバイブレータを使用者の身体に近接して配置することで、無線装置1の周囲にいる者には報知することなく、使用者のみに報知することができる。例えば、無線装置1が携帯型の場合は、当該無線装置1を携行する使用者のみに報知することができる。
【0031】
また、無音報知部19におけるLEDを操作部13などに配置することで、無線装置1の外観や操作部13に注視していない周囲の者に報知することなく、操作部13を操作している使用者にのみ報知することができる。
【0032】
なお、無音報知部19は、無線装置1に内蔵される構成であってもよいが、通信ポートや通信ケーブルを介して通信可能に接続され、無線装置1の外部に配置されるものであってもよい。例えば、無線装置1が車載装置である場合は、車のシート座面やフロアマットの下に通信ポートや通信ケーブルを介して接続されたバイブレータを配置することで、使用者のみに報知することができる。
【0033】
また、無音報知部19における無音での通知は、無線装置1の周囲にいる不特定の者に対して行うものであればよく、使用者などの特定の者に対しては音声通知を行うものであってよい。例えば、通話部12のイヤホン端子から音声信号による通知を行うものであってよい。この場合は、イヤホン端子に接続されたヘッドホンなどから使用者にのみ音声通知を行うことができる。同様に、上述した通信ポートに接続された骨伝導スピーカによる使用者への通知であってもよい。
【0034】
次に、制御部11が実行する処理であり、通信モード指示キー22の指示に基づいて開始され、通信部16を介して他の無線装置との間で緊急信号の送受信を行う緊急通知処理について、図2を参照して詳細に説明する。図2は、無線装置1の制御部11が順次実行する緊急通知処理のステップ毎のフローチャートを示している。
【0035】
図2に示すように、緊急通知処理が開始されると、記憶部15に格納された設定データなどに設定された回数分、緊急信号の送受信を行うループ処理が実行される(ステップS11〜S20)。
【0036】
ループ処理が開始されると、報知モード指示キー21が無通知モードであるか否かが判定される(ステップS12)。この判定において、無報知モードでないと判定された場合(NO)、即ち、音声報知部18などによる音声通知を行う通常報知モードである場合は、音声報知部18による通常報知が行われる(ステップS13)。
【0037】
また、ステップS12の判定において、無報知モードであると判定された場合(YES)、無音報知部19に制御信号を出力して駆動させることで、無音報知が行われる(ステップS14)。
【0038】
上述したステップS13、S14に次いで、通信部16から所定の周波数/信号による緊急信号の送信が行われる(ステップS15)。
【0039】
つまり、無線装置1では、上述したステップS12〜S15を行うことで、緊急信号を送信する際に、設定された報知モードに基づいた報知を行うことができる。このため、無線装置1の使用者は、緊急信号の送信時において、予め設定された報知モードが通常報知モードである場合は音声報知部18による音声報知で確認することができるとともに、設定された報知モードが無報知モードである場合は無音報知部19による無音報知で確認することができる。
【0040】
ステップS15に次いで、ステップS12〜S14と同様に、無報知モードであるか否かが判定され(ステップS16)、通常報知モードである場合は音声報知部18による通常報知が行われ(ステップS17)、無報知モードである場合は無音報知部19による無音報知が行われ、通信部16で所定の周波数帯域に同調されて緊急信号など受信が行われる(ステップS19)。
【0041】
つまり、無線装置1では、上述したステップS16〜S19を行うことで、緊急信号を受信する際に、設定された報知モードに基づいた報知を行うことができる。このため、無線装置1の使用者は、緊急信号の受信時において、予め設定された報知モードが通常報知モードである場合は音声報知部18による音声報知で確認することができるとともに、設定された報知モードが無報知モードである場合は無音報知部19による無音報知で確認することができる。
【0042】
以上のように、無線装置1は、制御部11の制御の下、通信モード指示キー22からの指示に基づいて緊急通知信号を通信部16で送受信する際に、緊急通信モード動作であることを無音報知部19により無音報知する構成である。このため、無線装置1は、周りに知られることなく緊急通知機能の作動を的確に使用者に知らしめることができる。
【0043】
また、無線装置1は、制御部11の制御の下、通信モード指示キー22からの指示に基づいて緊急通知信号を通信部16で送受信する際に、報知モード指示キー21で指示された報知モードに基づいて、音声報知部18での報知又は無音報知部19での報知を切り替える構成である。
【0044】
このため、無線装置1は、周りに動作状況を的確に知らしめる有音での報知又は使用者にのみ無音で知らしめる報知を使い分けることができる。
【0045】
また、無線装置1は、制御部11の制御の下、通信モード指示キー22からの指示に基づいて緊急通知信号を通信部16で送受信する際に、報知モード指示キー21で指示された報知モードが動作確認に係る報知を行わない無報知モードである場合に、無音報知部19により周りに知られることなく無音報知を行う構成である。
【0046】
このため、無線装置1は、報知を行わない無報知モードに設定されている場合であっても、周りに知られることなく緊急通知機能の作動を的確に使用者に知らしめることができる。
【0047】
なお、上述した実施の形態における記述は、一例を示すものであり、これに限定するものではない。上述した実施の形態における構成及び動作に関しては、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】無線装置の機能的構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】無線装置が行う緊急通知処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1 無線装置
11 制御部
12 通話部
13 操作部
14 表示部
15 記憶部
16 通信部
17 アンテナ
18 音声報知部
19 無音報知部
20 報知部
21 報知モード指示キー
22 通信モード指示キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急事態を通知するための緊急通信モード動作を指示するための通信モード指示手段と、前記緊急通信モード動作時に前記緊急通知信号を無線で送信する送信手段と、前記緊急通信モード動作であることを報知する報知手段と、前記通信モード指示手段による指示に基づいて前記送信手段及び報知手段を駆動させる制御手段と、を備え、
前記報知手段は、前記緊急通信モード動作であることを無音で報知する無音報知手段を含む無線装置。
【請求項2】
前記報知手段は前記緊急通信モード動作であることを有音で報知する音声報知手段を含み、
当該無線装置は前記音声報知手段を動作させるか否かを指示するための報知モード指示手段を更に備え、
前記制御手段は、前記報知モード指示手段を介して与えられた指示に基づいて前記無音報知手段又は音声報知手段を動作させる請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記報知モード指示手段に基づいて音声報知手段を動作させない場合に、前記無音報知手段を動作させる請求項2に記載の無線装置。
【請求項4】
無音及び/又は有音で報知する報知手段と、前記有音での報知の有無を指示するための報知モード指示手段と、緊急事態を通知するための緊急通信モード動作の指示に基づいて、当該緊急通信モード動作であることを報知させ、緊急通知信号を無線で送信させる制御手段と、を備える無線装置の報知方法であって、
前記緊急通知信号を無線で送信させる際に、前記有音での報知を行わない無報知モードが指示されている場合に、無音で報知する報知方法。
【請求項5】
無音及び/又は有音で報知する報知手段と、前記有音での報知の有無を指示するための報知モード指示手段と、緊急事態を通知するための緊急通信モード動作の指示に基づいて、当該緊急通信モード動作であることを報知させ、緊急通知信号を無線で送信させる制御手段と、を備える無線装置のコンピュータを、
前記緊急通知信号を無線で送信させる際に、前記有音での報知を行わない無報知モードが指示されている場合に、無音での報知を行うように制御させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−242824(P2008−242824A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82482(P2007−82482)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】