無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法
【課題】通信における信頼性を確保することを課題とする。
【解決手段】無線装置は、データの中継先となる無線装置を選択し、データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出する。そして、無線装置は、選択されたデータの中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加し、データ収集装置に対して送出したデータと同一のデータを送出する。また、無線装置は、中継先装置識別情報が付加されたデータを他の無線装置から受信すると、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、データ収集装置に対して、受信されたデータを送出する。
【解決手段】無線装置は、データの中継先となる無線装置を選択し、データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出する。そして、無線装置は、選択されたデータの中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加し、データ収集装置に対して送出したデータと同一のデータを送出する。また、無線装置は、中継先装置識別情報が付加されたデータを他の無線装置から受信すると、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、データ収集装置に対して、受信されたデータを送出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサに小型の無線モジュールが装着された無線装置を利用して、様々な用途で収集されたデータを上位のネットワークに無線伝送する無線センサネットワークの研究が行なわれている。この無線センサネットワークは、例えば、医療現場、農場或いは街中などの多様な場面で利用することが想定されている。なお、無線装置の例としては、センサによって種々の物や人、或いは環境などの情報を収集するとともに、無線モジュールによってデータを無線伝送するセンサノードがある。
【0003】
ここで、図15を用いて、無線センサネットワークの適用例を説明する。図15は、無線センサネットワークの適用例を説明する図である。なお、図15では、無線センサネットワークを医療現場に適用した場合を説明する。
【0004】
例えば、無線センサネットワークは、図15に示すように、無線モジュールおよびセンサが一体化された複数のセンサノードと、センサノードから送出されるセンシングデータを集約するコーディネータとを有する。なお、センサノードを利用した無線通信技術の例としては、PAN(Personal Area Network)やBAN(Body Area Network)などが挙げられる(以下、「PAN/BAN」と呼ぶ)。
【0005】
このPAN/BANでは、例えば、周囲環境の温度、湿度或いは照度をセンシングする環境センサノードや、人の体温、血圧或いは脈拍などをセンシングするバイタルセンサノードなどがある。なお、センサノードは、医療現場において、人体上に存在するものと、人体の周囲10メートル程度となる通信領域の範囲に存在するものとがある。
【0006】
一方、コーディネータは、通信領域内に存在する複数のセンサノードや、AP(Access Point)などに、各センサノードから集約されたデータを伝送する。また、コーディネータからデータを受信したAPは、上位のネットワークに対してデータを送信する。このとき、APは、各センサノードやコーディネータなどの特定の通信領域に対して集中して電波を飛ばすビームフォーミングを実施し、各センサノード或いはコーディネータと無線通信を行なう。
【0007】
ところで、このようなセンサノードへの電源供給については、屋外で利用することを想定して、ボタン電池などの内蔵バッテリを用いる場合がある。よって、センサノードを屋外で利用する場合には、特に、電池の寿命の点で消費電力を抑制できることが望ましい。このため、例えば、無線センサネットワーク向けのセンサノードでは、消費電力を抑制させて電池を長持ちさせるために、センサノードを使用していないときにスリープ状態に入るプロトコルが採用されていることが多い。
【0008】
一方、APは、例えば、複数のアレーアンテナを有し、信号の送受信時に各アレーアンテナのアレーウェイトとしての振幅や位相などを制御することで、通信対象である任意のセンサノードに対してアンテナのビーム指向性を向ける。また、APは、任意のセンサノードとの通信における干渉源に、低レベルの指向性を向けるヌルステアリングを実施する。これらにより、APは、送受信される信号の伝送品質を高めている。
【0009】
このような無線センサネットワークのシステムでは、各センサノードによる信号送信時に、APのビーム指向性が向けられると、APと各センサノードとの無線通信経路の利得向上効果によって、各センサノードの消費電力を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−191514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来技術では、通信における信頼性を確保することができないという課題がある。
【0012】
具体的に説明すると、PAN/BANなどの近距離無線通信では、10メートル程度の伝送距離が想定されている。また、無線LAN(Local Area Network)などの異なる外部ネットワークへの接続についても、PAN/BANで用いられる通信方式で、且つ10メートルの範囲内で行なわれる。
【0013】
無線装置と外部ネットワークとを接続するAPは、上述したように、アレーアンテナのビーム指向性を用いた通信経路の制御による利得向上により、通信対象となる無線装置との通信品質を向上させる。ところが、通信対象となる無線装置とAPとの間に電波の通信路を遮る障害物が入ってしまう場合には、ビームを狭くしたことによって電波の回り込みが弱くなるとともに、通信状態が劣化することで、通信遮断が発生し得る。
【0014】
通信路を遮る障害物などの要因による通信遮断を回避するためには、例えば、図16に示すように、無線装置(X)から送出する信号の壁などによる反射波に、XとAPとの直接通信から切り替えることが考えられる。このとき、APは、壁などによる反射波にビーム指向性を向ける。なお、図16は、通信路を遮る障害物などの要因による通信遮断を回避する例を示す図である。
【0015】
但し、壁などによる反射波は、無線装置とAPとにおける直接の通信よりも不安定であり、ある程度の劣化が想定される信頼性の低い通信路である。また、屋外における無線通信では、固定されていない無線装置に対して常に適当な反射波を得ることが困難であり、通信遮断を回避する他の通信経路を確保できない場合も有り得る。
【0016】
さらに、医療現場などに無線装置を利用する場合には、パス切り替えのための一瞬の通信遮断でも回避することが望ましい。これらの結果、上述した従来技術では、通信における信頼性を確保することができない。
【0017】
そこで、本願に開示する技術は、上記に鑑みてなされたものであって、通信における信頼性を確保することが可能である無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願に開示する無線装置は、データの中継先となる無線装置を選択する中継先選択部を有する。また、無線装置は、データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出するとともに、中継先選択部によって選択された中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して同一のデータを送出するデータ送出部を有する。また、無線装置は、中継先装置識別情報が付加されたデータを他の無線装置から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、データ収集装置に対して、受信されたデータを送出するデータ中継部を有する。
【発明の効果】
【0019】
本願に開示する無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法の一つの様態によれば、通信における信頼性を確保するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、実施例1に係る無線装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施例2に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施例2に係る無線装置の構成例を示す図である。
【図4】図4は、データ送出部によって中継先となる無線装置に送出されるデータの例を示す図である。
【図5】図5は、データ収集装置の構成例を示す図である。
【図6】図6は、実施例2に係るデータ送出処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】図7は、実施例2に係るデータ中継処理の流れを説明するフローチャートである。
【図8】図8は、実施例2に係る無線通信処理の流れを説明する処理シーケンス図である。
【図9】図9は、実施例3に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。
【図10】図10は、実施例3に係る無線装置の構成例を示す図である。
【図11】図11は、実施例3に係るデータ中継処理の流れを説明するフローチャートである。
【図12】図12は、実施例4に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。
【図13】図13は、実施例4に係る無線装置の構成例を示す図である。
【図14】図14は、実施例4に係るデータ送出処理の流れを説明するフローチャートである。
【図15】図15は、無線センサネットワークの適用例を説明する図である。
【図16】図16は、通信路を遮る障害物などの要因による通信遮断を回避する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本願に開示する無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法の実施例を説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
最初に、図1を用いて、実施例1に係る無線装置の構成例を説明する。図1は、実施例1に係る無線装置の構成例を示す図である。
【0023】
例えば、図1に示すように、無線装置1は、中継先選択部2と、データ送出部3と、データ中継部4とを有する。また、この無線装置1は、例えば、ZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信によって、他の無線装置やAP(Access Point)としてデータを収集するデータ収集装置などとデータの送受信を行なう。
【0024】
複数の装置間で送受信されるデータは、例えば、人、物または環境などから得られるセンシングデータであり、測定装置であるセンサによって無線装置1に入力される。なお、無線装置1による近距離無線通信のネットワークの例としては、PAN(Personal Area Network)やBAN(Body Area Network)などがある。
【0025】
上記構成において、中継先選択部2は、例えば、センサによって取得されたデータを他の無線装置やデータ収集装置に送出する場合に、該データの中継先となる無線装置を選択する。そして、データ送出部3は、例えば、データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出する。
【0026】
また、データ送出部3は、例えば、中継先選択部2によって選択された中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して、データ収集装置に対して送出したデータと同一のデータを送出する。なお、中継先装置識別情報とは、例えば、各無線装置を識別するために予め決定された無線装置ごとに異なる識別情報のうち、無線装置1の中継先となる無線装置に該当する識別情報のことを指す。詳細には、識別情報は、例えば、無線装置などのデバイスに予め割り当てられるアドレスである。
【0027】
一方、データ中継部4は、例えば、中継先装置識別情報が付加されたデータを他の無線装置から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、データ収集装置に対して、受信されたデータを送出する。なお、複数の無線装置によって送出されたデータを受信したデータ収集装置は、電波強度の高い無線装置からのデータの選択や受信したデータの合成処理などを行なって、所定の外部ネットワークにデータを送信する。
【0028】
つまり、無線装置は、データ収集装置に対してデータを送出するとともに、他の無線装置に対しても同一のデータを送出する。また、無線装置は、他の無線装置からデータを受信すると、データ収集装置に対して受信されたデータを送出する。これらの結果、無線装置は、通信品質を落とすことなくデータ収集装置に対して複数系統を介して同一のデータを送出するので、通信経路における障害物を回避する反射波を利用した従来技術と比較して、通信における信頼性を確保することができる。
【実施例2】
【0029】
[実施例2に係るネットワーク構成]
次に、図2を用いて、実施例2に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を説明する。図2は、実施例2に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。なお、無線装置は、例えば、PANやBANなどのネットワーク技術を用いて、医療現場(図15参照)、農場或いは街中などの多様な場面で利用される。
【0030】
例えば、図2に示すように、無線装置を含んだネットワークは、無線装置A1と、無線装置A2と、APとしてのデータ収集装置とを含む。そして、無線装置A1および無線装置A2は、例えば、APと無線通信可能であるとともに、アドホック通信などにより相互に無線通信可能である。一方、APは、例えば、任意の通信領域にアンテナの指向性を向けるビームフォーミングを実施し、無線装置A1および無線装置A2と通信を行なう。なお、以下では、無線装置A1からデータを送出する例を説明する。
【0031】
例えば、無線装置A1は、センサによって取得されたデータを送出する場合に、該データの中継先となる無線装置として無線装置A2を選択する。データの中継先となる無線装置の選択では、例えば、各無線装置によって出力されるビーコン信号などを利用し、近傍で相互に電波強度の高い無線装置を探索することにより選択される。
【0032】
そして、無線装置A1は、APに対してデータを送出するとともに、データの中継先として選択された無線装置A2に対して、APに対して送出されたデータと同一のデータを送出する。また、無線装置A2に対してデータを送出する際に、無線装置A1は、該無線装置A1を識別する自装置識別情報と、無線装置A2を識別する中継先装置識別情報とを付加してデータを送出する。なお、無線装置A1によるデータの送出は、時分割で実施され、例えば、無線装置A1は、あるタイミングで無線装置A2に対してデータを送出し、該無線装置A2にデータを送出したタイミングとは異なるタイミングでAPに対してデータを送出する。
【0033】
一方、無線装置A2は、中継先装置識別情報が付加されたデータを無線装置A1から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、受信されたデータをAPに対して送出(中継)する。その後、無線装置A1および無線装置A2によって送出されたデータを受信したAPは、電波強度の高い無線装置からのデータの選択や受信したデータの合成処理などを行なって、所定の外部ネットワークにデータを送信する。
【0034】
なお、上記では、無線装置A1および無線装置A2の2つの無線装置がAPに対して同一のデータを送出する例を説明したが、無線装置の数は2つに限られるものではなく、さらに多数の無線装置がネットワーク内に存在し、APにおいて複数系統のデータが受信される。
【0035】
[実施例2に係る無線装置の構成]
次に、図3を用いて、実施例2に係る無線装置の構成例を説明する。図3は、実施例2に係る無線装置の構成例を示す図である。
【0036】
例えば、図3に示すように、無線装置100は、受信アンテナ101と、送信アンテナ102と、通信I/F部103と、記憶部110と、制御部120とを有する。
【0037】
受信アンテナ101は、無線装置100に入力される各種情報を受信する。例えば、受信アンテナ101は、無線装置100とは異なる他の無線装置から送出されたデータを受信して、通信I/F部103に入力する。また、送信アンテナ102は、無線装置100から出力される各種情報を送信する。例えば、送信アンテナ102は、無線装置100とは異なる他の無線装置やデータを収集するデータ収集装置などに対してデータを送出する。通信I/F部103は、例えば、受信アンテナ101或いは送信アンテナ102を介して、無線装置100と他の無線装置やデータ収集装置などとの間で送受信される各種情報のデータ転送を制御する。
【0038】
記憶部110は、制御部120による各種処理に要するデータや、制御部120による各種処理結果を記憶し、センサ取得データ記憶部111と、受信データ記憶部112と、中継先情報記憶部113とを有する。また、記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。
【0039】
センサ取得データ記憶部111は、例えば、後述するセンサ取得部121によって格納されるデータを記憶する。センサ取得データ記憶部111に記憶されるデータは、例えば、人、物または環境などから得られるセンシングデータであり、センサによって無線装置100に入力されるデータである。
【0040】
受信データ記憶部112は、例えば、後述する無線通信処理部122によって格納されるデータを記憶する。受信データ記憶部112に記憶されるデータは、例えば、無線装置100とは異なる他の無線装置から送出されたデータ(例えば、他の無線装置でのセンサによるセンシングデータ)である。また、中継先情報記憶部113は、例えば、後述する中継先選択部123によって格納されるデータの中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を記憶する。
【0041】
制御部120は、制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、無線装置100を制御する。また、制御部120は、センサ取得部121と、無線通信処理部122と、中継先選択部123と、データ送出部124と、データ中継部125とを有する。なお、制御部120は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
【0042】
センサ取得部121は、例えば、センサによって測定された各種データを取得し、取得されたデータをセンサ取得データ記憶部111に格納する。また、センサ取得部121は、データを取得すると、データを取得したことを中継先選択部123に通知する。なお、センサによって測定されるデータは、例えば、人、物または環境などから得られるセンシングデータである。
【0043】
無線通信処理部122は、例えば、受信アンテナ101によって受信された他の無線装置から送出されたデータを、受信データ記憶部112に格納するとともに、データ中継部125に対してデータを受信したことを通知する。また、無線通信処理部122は、例えば、データ送出部124から受け付けたデータを通信I/F部103を介して、送信アンテナ102に送出させる制御を行なう。また、無線通信処理部122は、例えば、データ中継部125から受け付けたデータを通信I/F部103を介して、送信アンテナ102に送出させる制御を行なう。
【0044】
中継先選択部123は、例えば、センサ取得部121によってデータが取得されたことを通知された場合や、所定のタイミングなどで、データの中継先となる無線装置を選択する。データの中継先となる無線装置の選択では、例えば、各無線装置によって出力されるビーコン信号などを利用し、無線装置100との電波強度が所定値以上である無線装置を探索することにより選択される。選択される中継先となる無線装置の数は、無線装置100との電波強度が所定値以上であれば、一つだけではなく複数であっても良い。
【0045】
そして、中継先選択部123は、選択された中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を中継先情報記憶部113に格納する。その後、中継先選択部123は、中継先となる無線装置を選択したことをデータ送出部124に通知する。なお、中継先選択部123は、中継先選択部2の一例として挙げられる。
【0046】
データ送出部124は、例えば、センサ取得部121によるデータ取得後に、中継先選択部123によって中継先となる無線装置が選択されたことを通知された場合に、センサ取得データ記憶部111からデータを取得する。そして、データ送出部124は、データ収集装置に対して取得されたデータを送出する。続いて、データ送出部124は、中継先情報記憶部113から中継先装置識別情報を取得する。その後、データ送出部124は、センサ取得データ記憶部111から取得されたデータに、無線装置100を識別する自装置識別情報と、取得された中継先装置識別情報とを付加して、中継先となる無線装置に対してデータを送出する。なお、データ送出部124は、データ送出部3の一例として挙げられる。
【0047】
ここで、データ送出部124によって中継先となる無線装置に送出されるデータについて説明する。図4は、データ送出部124によって中継先となる無線装置に送出されるデータの例を示す図である。
【0048】
データ送出部124によって中継先となる無線装置に送出されるデータは、例えば、図4に示すように、自装置識別情報である「A1」(図4の(1)参照)と、中継先装置識別情報である「A2」(図4の(2)参照)とを有する。加えて、データ送出部124によって中継先となる無線装置へ送出されるデータは、送出するデータのデータ領域(図4の(4)参照)を有する。また、図4の(3)の領域は、識別情報或いはデータ領域の空きスペースとして利用可能である。また、データ送出部124によるデータ収集装置および他の無線装置それぞれに対するデータの送出は、時分割で実施される。なお、上述した受信データ記憶部112は、図4に示したデータと同様のデータを記憶することとなる。
【0049】
図3の説明に戻り、データ中継部125は、例えば、無線通信処理部122によってデータが受信されたことを通知されると、受信データ記憶部112からデータを取得する。そして、データ中継部125は、受信データ記憶部112から取得されたデータに含まれる中継先装置識別情報に無線装置100が該当する場合に、データ収集装置に対して、取得されたデータを送出する。また、データ中継部125は、受信データ記憶部112から取得されたデータに含まれる中継先装置識別情報に無線装置100が該当しない場合に、取得されたデータを送出することなく、受信データ記憶部112から該データを削除する。
【0050】
データ中継部125によるデータ中継処理では、例えば、中継先装置識別情報をA2とすると、「A2」に無線装置100が該当する場合に、データ収集装置に対して、受信データ記憶部112から取得されたデータを送出することとなる。なお、データ中継部125は、データ中継部4の一例として挙げられる。
【0051】
[データ収集装置の構成]
次に、図5を用いて、データ収集装置の構成例を説明する。図5は、データ収集装置の構成例を示す図である。なお、データ収集装置とは、APとしてデータを収集する装置を指す。
【0052】
例えば、図5に示すように、データ収集装置150は、アンテナ151−1〜151−n(nは、自然数)と、サーキュレータ160−1〜160−nと、低雑音増幅回路161−1〜161−nと、受信回路162−1〜162−nとを有する。また、例えば、データ収集装置150は、受信ウェイト回路163と、復調回路164と、受信ダイバーシティ回路165と、データ送信部166とを有する。また、例えば、データ収集装置150は、データ受信部170と、変調回路171と、送信ダイバーシティ回路172と、送信ウェイト回路173と、送信回路174−1〜174−nと、高出力増幅回路175−1〜175−nとを有する。
【0053】
アンテナ151−1〜151−nは、例えば、任意の無線装置とデータを送受信しつつ、該任意の無線装置の方向にビーム指向性を向けるアレーアンテナである。また、サーキュレータ(Circulator)160−1〜160−nは、例えば、複数のポートを有し、アンテナ151−1〜151−nによって受信されたデータを受信系の回路に出力する。また、サーキュレータ160−1〜161−nは、例えば、送信系の回路から入力されたデータをアンテナ151−1〜151−nに対して出力する。
【0054】
そして、サーキュレータ160−1〜160−nによって受信系に出力されたデータは、低雑音増幅回路(LNA:Low Noise Amplifier)161−1〜161−n、および受信回路(RX:Receiver)を介して、受信ウェイト回路163に入力される。受信ウェイト回路163は、例えば、入力される複数の受信信号の位相や振幅などを用いてウェイト制御を行なうことにより、無線装置に対するビーム指向性の方向を制御する。なお、アレーアンテナのウェイト制御については、受信SIR(Signal to Interference power Ratio)の最大化を規範とする最小二乗法(Least Mean Square法など)や、ビーム選択法などの公知の方法があるため詳細な説明を省略する。
【0055】
その後、復調回路(Demodulator)164は、例えば、受信された複数のデータを復調する。そして、受信ダイバーシティ回路165は、たとえば、復調回路164によって復調された複数のデータを同一のデータごとにまとめて所定のメモリに受信データとして格納する。ここで、同一のデータとは、無線装置100によるデータ送出時に付加された識別情報、すなわち送信元となる無線装置の自装置識別情報が同一であるデータのことを指す。
【0056】
続いて、受信ダイバーシティ回路165は、例えば、自装置識別情報を利用し、同一のデータごとにまとめられた受信データについて、電波強度の高い無線装置からのデータを選択したり、データを合成したりして外部に送出するデータのダイバーシティ処理を実施する。このダイバーシティ処理では、例えば、同一のデータにおいて、ビーコン信号のRSS(Received Signal Strength)などに基づいて、電波強度の高い無線装置からのデータのみを優先的に利用する。また、ダイバーシティ処理では、例えば、同一のデータにおいて、電波強度が所定値以上である複数の無線装置からのデータを選択および合成する。その後、データ送信部166は、例えば、受信ダイバーシティ回路165によってダイバーシティ処理が行なわれたデータを外部ネットワークに送信する。
【0057】
データ受信部170は、例えば、外部ネットワークからデータを受信する。そして、変調回路(Modulator)171は、例えば、データ受信部170によって受信されたデータを変調し、送信ダイバーシティ回路172に入力する。送信ダイバーシティ回路172では、例えば、受信ダイバーシティ回路165とは逆に、複数の送信系(アンテナ)に出力する送信データを生成する。続いて、送信ウェイト回路173は、例えば、送信データを用いて送信系におけるウェイト制御を行なうことにより、無線装置に対するビーム指向性の方向を制御する。その後、送信データは、送信回路(TX:Transmitter)174−1〜174−nそれぞれ、高出力増幅回路(HPA:High Power Amplifier)175−1〜175−nおよびサーキュレータ160−1〜160−nを介して、アンテナ151−1〜151−nから送出される。
【0058】
[実施例2に係るデータ送出処理]
次に、図6を用いて、実施例2に係るデータ送出処理の流れを説明する。図6は、実施例2に係るデータ送出処理の流れを説明するフローチャートである。なお、データ送出処理とは、主に、中継先選択部123と、データ送出部124とによる処理を指す。
【0059】
例えば、図6に示すように、中継先選択部123は、センサ取得部121からセンシングデータを取得したことを通知されることによって、送出するデータが有る場合に(ステップS101肯定)、データの中継先となる無線装置を選択する(ステップS102)。なお、中継先選択部123は、送出するデータがない場合に(ステップS101否定)、センサ取得部121による通知待ちの状態となる。
【0060】
そして、データ送出部124は、データを収集するAPとしてのデータ収集装置に対してデータを送出する(ステップS103)。また、データ送出部124は、中継先選択部123によって選択された中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して、データ収集装置に送出されたデータと同一のデータを送出する(ステップS104)。なお、データ収集装置にデータを送出するステップS103と、中継先となる無線装置にデータを送出するステップS104とは、どちらの処理を先に実施しても構わない。
【0061】
[実施例2に係るデータ中継処理]
次に、図7を用いて、実施例2に係るデータ中継処理の流れを説明する。図7は、実施例2に係るデータ中継処理の流れを説明するフローチャートである。なお、データ中継処理とは、主に、データ中継部125による処理を指す。
【0062】
例えば、図7に示すように、データ中継部125は、無線通信処理部122によってデータが受信されたことを通知されると(ステップS201肯定)、受信されたデータに含まれる中継先装置識別情報に無線装置100が該当するか否かを判定する(ステップS202)。なお、データ中継部125は、データを受信していない場合に(ステップS201否定)、データの受信待ちの状態となる。
【0063】
そして、データ中継部125は、中継先装置識別情報に無線装置100が該当する場合に(ステップS202肯定)、データ収集装置に対してデータを送出する(ステップS203)。なお、データ中継部125は、中継先装置識別情報に無線装置100が該当しない場合に(ステップS202否定)、処理を終了する。
【0064】
[実施例2に係る無線通信処理]
次に、図8を用いて、実施例2に係る無線通信処理の流れを説明する。図8は、実施例2に係る無線通信処理の流れを説明する処理シーケンス図である。この無線通信処理とは、主に、無線装置100と、データ収集装置150とによる処理を指す。以下では、複数の無線装置のうち無線装置A1と、無線装置A2とを利用し、無線装置A1においてセンシングデータが送出される例を説明する。
【0065】
例えば、図8に示すように、無線装置A1は、データの中継先となる無線装置として無線装置A2を選択する(ステップS301)。そして、無線装置A1は、APとしてデータを収集するデータ収集装置に対してデータを送出する(ステップS302)。続いて、無線装置A1は、データの中継先となる無線装置A2に対して、データ収集装置に送出されたデータと同一のデータを、該無線装置A2を識別する中継先装置識別情報を付加して送出する(ステップS303)。また、無線装置A1から送出されたデータを受信したデータ収集装置は、受信されたデータを所定のメモリに格納する(ステップS304)。
【0066】
一方、無線装置A1から送出されたデータを受信した無線装置A2は、データに含まれる中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、データ収集装置に対して該データを送出(中継)する(ステップS305)。また、無線装置A2から送出されたデータを受信したデータ収集装置は、受信されたデータを所定のメモリに格納する(ステップS306)。
【0067】
そして、データ収集装置は、無線装置A1および無線装置A2から送出されたデータのダイバーシティ処理を実施して(ステップS307)、ダイバーシティ処理されたデータを外部ネットワークに送信する(ステップS308)。
【0068】
[実施例2による効果]
上述したように、無線装置は、他の無線装置およびデータ収集装置に対して同一のデータを送出し、他の無線装置によってデータ収集装置に対して該データが送出される。この結果、無線装置は、同一のデータに対して2系統以上の通信を確立することにより、通信における信頼性を確保することができる。
【実施例3】
【0069】
ところで、上記実施例1または2では、中継先装置識別情報に自装置が該当する場合にデータ収集装置に対してデータを送出する場合を説明した。以下では、中継先装置識別情報に自装置が該当し、且つ、データ収集装置からみて自装置の電波強度が高い場合に、データ収集装置に対してデータを送出する場合を説明する。
【0070】
[実施例3に係るネットワーク構成]
まず、図9を用いて、実施例3に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を説明する。図9は、実施例3に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。
【0071】
例えば、図9に示すように、無線装置を含んだネットワークは、無線装置B1と、無線装置B2と、無線装置B3と、APとしてのデータ収集装置とを含む。そして、無線装置B1〜B3は、例えば、APと無線通信可能であるとともに、アドホック通信などにより相互に無線通信可能である。
【0072】
一方、APは、例えば、任意の通信領域にアンテナの指向性を向けるビームフォーミングを実施し、無線装置B1〜B3と通信を行なう。また、APは、例えば、ビーコン信号などのRSSに基づいて、該APとの通信状態が最良である無線装置(例えば、「無線装置B3」)をキー局として予め決定し、該無線装置B3にキー局であることを通知する。キー局の決定については、APの通信領域において無線装置との通信状態を適時検知しており、該キー局も入れ替わることとなる。なお、以下では、無線装置B3をキー局として、無線装置B1からデータを送出する例を説明する。
【0073】
例えば、無線装置B1は、センサによって取得されたデータを送出する場合に、該データの中継先となる無線装置として無線装置B2および無線装置B3を選択する。データの中継先となる無線装置の選択では、例えば、各無線装置によって出力されるビーコン信号などを利用し、近傍で相互に電波強度の高い無線装置を探索することにより選択される。
【0074】
そして、無線装置B1は、APに対してデータを送出するとともに、データの中継先として選択された無線装置B2および無線装置B3に対して、APに対して送出されたデータと同一のデータを送出する。また、無線装置B2および無線装置B3に対してデータを送出する際に、無線装置B1は、該無線装置B1を識別する自装置識別情報と、無線装置B2或いは無線装置B3を識別する中継先装置識別情報とをそれぞれに付加してデータを送出する。なお、無線装置B1によるデータの送出は、時分割で実施される。
【0075】
一方、無線装置B3は、中継先装置識別情報が付加されたデータを無線装置B1から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合、且つ、自装置がキー局である場合に、受信されたデータをAPに対して送出(中継)する。このとき、無線装置B2は、自装置がキー局ではないことから、無線装置B1から受信されたデータをAPに対して送出しない。その後、無線装置B1および無線装置B3によって送出されたデータを受信したAPは、受信したデータのダイバーシティ処理を行なって、所定の外部ネットワークにデータを送信する。
【0076】
[実施例3に係る無線装置の構成]
次に、図10を用いて、実施例3に係る無線装置の構成例を説明する。図10は、実施例3に係る無線装置の構成例を示す図である。なお、図10では、実施例2に係る無線装置100と同様の構成要素については同一の符号を付している。以下では、実施例2に係る無線装置100と同様の処理についてはその説明を省略する。
【0077】
例えば、図10に示すように、無線装置200は、受信アンテナ101と、送信アンテナ102と、通信I/F部103と、記憶部210と、制御部220とを有する。
【0078】
記憶部210は、制御部220による各種処理に要するデータや、制御部220による各種処理結果を記憶し、センサ取得データ記憶部111と、受信データ記憶部112と、中継先情報記憶部113と、キー局情報記憶部214とを有する。また、記憶部210は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。なお、センサ取得データ記憶部111と、受信データ記憶部112と、中継先情報記憶部113とは、上述した実施例2と同様の機能を有する。
【0079】
キー局情報記憶部214は、例えば、無線通信処理部222によって格納されるデータを記憶する。キー局情報記憶部214に記憶されるデータは、例えば、APとしてのデータ収集装置から送出されたキー局であることを示す情報である。なお、無線通信処理部222による他の処理は、実施例2と同様であるためその説明を省略する。
【0080】
制御部220は、制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、無線装置200を制御する。また、制御部220は、センサ取得部121と、無線通信処理部222と、中継先選択部123と、データ送出部124と、データ中継部225とを有する。なお、制御部220は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。なお、センサ取得部121と、中継先選択部123と、データ送出部124とは、上述した実施例2と同様の機能を有する。
【0081】
データ中継部225は、例えば、無線通信処理部222によってデータが受信されたことを通知されると、受信データ記憶部112からデータを取得する。そして、データ中継部225は、受信データ記憶部112から取得されたデータに含まれる中継先装置識別情報に無線装置200が該当する場合に、キー局情報記憶部214からデータを取得する。
【0082】
続いて、データ中継部225は、キー局情報記憶部214から取得されたデータに含まれるキー局情報に基づいて、無線装置200がキー局である場合に、データ収集装置に対して、取得されたデータを送出する。なお、データ中継部225は、中継先装置識別情報に無線装置200が該当しない場合、または、無線装置200がキー局でない場合に、データを中継することなく処理を終了する。また、データ中継部225による中継先装置識別情報の判定およびキー局の判定は、どちらの処理を先に実施しても良い。
【0083】
[実施例3に係るデータ中継処理]
次に、図11を用いて、実施例3に係るデータ中継処理の流れを説明する。図11は、実施例3に係るデータ中継処理の流れを説明するフローチャートである。なお、データ中継処理とは、主に、データ中継部225による処理を指す。
【0084】
例えば、図11に示すように、データ中継部225は、無線通信処理部222によってデータが受信されたことを通知されると(ステップS401肯定)、受信されたデータに含まれる中継先装置識別情報に無線装置200が該当するか否かを判定する(ステップS402)。なお、データ中継部225は、データを受信していない場合に(ステップS401否定)、データの受信待ちの状態となる。
【0085】
そして、データ中継部225は、中継先装置識別情報に無線装置200が該当する場合に(ステップS402肯定)、無線装置200がキー局であるか否かを判定する(ステップS403)。続いて、データ中継部225は、無線装置200がキー局である場合に(ステップS403肯定)、データ収集装置に対してデータを送出する(ステップS404)。なお、データ中継部225は、中継先装置識別情報に無線装置200が該当しない場合(ステップS402否定)、または、無線装置200がキー局ではないと判定された場合に(ステップS403否定)、データ収集装置にデータを送出することなく処理を終了する。また、識別情報が自装置に該当するか否かを判定するステップS402と、自装置がキー局であるか否かを判定するステップS403とは、どちらの処理を先に実施しても構わない。
【0086】
[実施例3による効果]
上述したように、無線装置は、データ収集装置にとって通信状態の良好なデータを送出するので、通信における信頼性を確保することができるとともに、無線装置を含むネットワーク内における電波干渉や無線装置それぞれの電力などを抑制することができる。
【実施例4】
【0087】
ところで、上記実施例2および3では、無線装置がデータ収集装置と直接の通信が可能である場合を説明したが、無線装置がデータ収集装置と直接の通信が不可能である場合でも複数系統でデータを送出することができる。そこで、以下では、無線装置がデータ収集装置と直接の通信が不可能である場合を説明する。
【0088】
[実施例4に係るネットワーク構成]
まず、図12を用いて、実施例4に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を説明する。図12は、実施例4に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。
【0089】
例えば、図12に示すように、無線装置を含んだネットワークは、無線装置C1と、無線装置C2と、無線装置C3と、無線装置C4と、APとしてのデータ収集装置とを含む。そして、無線装置C2、無線装置C3および無線装置C4は、例えば、APと無線通信可能であるとともに、アドホック通信などにより相互に無線通信可能である。
【0090】
また、無線装置C1は、例えば、APと無線通信が不可能であるとともに、無線装置C2および無線装置C3と相互に無線通信可能である。無線装置C1がAPとの無線通信が不可能であることは、無線装置から発信されるビーコン信号などにより予め認識している。一方、APは、例えば、任意の通信領域にアンテナの指向性を向けるビームフォーミングを実施し、無線装置C2〜C4と通信を行なう。なお、以下では、無線装置C1からデータを送出する例を説明する。
【0091】
例えば、無線装置C1は、センサによって取得されたデータを送出する場合に、該データの中継先となる無線装置として無線装置C2および無線装置C3の複数の無線装置を選択する。データの中継先となる無線装置の選択では、例えば、各無線装置によって出力されるビーコン信号などを利用し、近傍で相互に電波強度の高い無線装置を探索することにより選択される。
【0092】
そして、無線装置C1は、データの中継先として選択された無線装置C2および無線装置C3に対して、それぞれ同一のデータを送出する。また、無線装置C2に対してデータを送出する際に、無線装置C1は、該無線装置C1を識別する自装置識別情報と、無線装置C2を識別する中継先装置識別情報とを付加してデータを送出する。同様に、無線装置C3に対してデータを送出する際に、無線装置C1は、該無線装置C1を識別する自装置識別情報と、無線装置C3を識別する中継先装置識別情報とを付加してデータを送出する。なお、無線装置C1によるデータの送出は、時分割で実施される。
【0093】
一方、無線装置C2は、中継先装置識別情報が付加されたデータを無線装置C1から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、受信されたデータをAPに対して送出(中継)する。また、無線装置C3は、中継先装置識別情報が付加されたデータを無線装置C1から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、受信されたデータをAPに対して送出(中継)する。さらに、無線装置C3は、無線装置C4に対しても、該無線装置C4を中継先とする中継先装置識別情報を付加して同一のデータを送出する。
【0094】
そして、無線装置C4は、中継先装置識別情報が付加されたデータを無線装置C3から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、受信されたデータをAPに対して送出(中継)する。その後、無線装置C2、無線装置C3および無線装置C4によって送出されたデータを受信したAPは、電波強度の高い無線装置からのデータの選択や受信したデータの合成処理などを行なって、所定の外部ネットワークにデータを送信する。
【0095】
[実施例4に係る無線装置の構成]
次に、図13を用いて、実施例4に係る無線装置の構成例を説明する。図13は、実施例4に係る無線装置の構成例を示す図である。なお、図13では、実施例2に係る無線装置100と同様の構成要素については同一の符号を付している。以下では、実施例2に係る無線装置100と同様の処理についてはその説明を省略する。
【0096】
例えば、図13に示すように、無線装置300は、受信アンテナ101と、送信アンテナ102と、通信I/F部103と、記憶部310と、制御部320とを有する。
【0097】
記憶部310は、制御部320による各種処理に要するデータや、制御部320による各種処理結果を記憶し、センサ取得データ記憶部111と、受信データ記憶部112と、中継先情報記憶部113と、通信可否情報記憶部315とを有する。また、記憶部310は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。なお、センサ取得データ記憶部111と、受信データ記憶部112と、中継先情報記憶部113とは、上述した実施例2と同様の機能を有する。
【0098】
通信可否情報記憶部315は、例えば、後述する中継先選択部323によって格納されるデータを記憶する。通信可否情報記憶部315に記憶されるデータは、例えば、中継先選択部323によって発信されるビーコン信号などから得られるデータ収集装置との通信状態であり、無線装置300と該データ収集装置とが通信可能であるか否かの情報である。
【0099】
制御部320は、制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、無線装置300を制御する。また、制御部320は、センサ取得部121と、無線通信処理部122と、中継先選択部323と、データ送出部324と、データ中継部125とを有する。なお、制御部320は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。なお、センサ取得部121と、無線通信処理部122と、データ中継部125とは、上述した実施例2と同様の機能を有する。
【0100】
中継先選択部323は、例えば、ビーコン信号などを発信し、無線装置300とデータ収集装置との通信可否の情報を通信可否情報記憶部315に格納する。また、中継先選択部323は、例えば、センサ取得部121によってデータが取得されたことを通知され、無線装置300とデータ収集装置との通信が可能である場合に、データの中継先となる無線装置を少なくとも一つ選択する。一方、中継先選択部323は、例えば、センサ取得部121によってデータが取得されたことを通知され、無線装置300とデータ収集装置との通信が不可能である場合に、データの中継先となる無線装置を複数選択する。
【0101】
データの中継先となる無線装置の選択では、例えば、各無線装置によって出力されるビーコン信号などを利用し、無線装置300との電波強度が所定値以上である無線装置を探索することにより選択される。もちろん、選択される中継先となる無線装置の数は、無線装置300との電波強度が所定値以上であれば複数であっても良い。そして、中継先選択部323は、選択された中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を中継先情報記憶部113に格納する。その後、中継先選択部323は、中継先となる無線装置を選択したことをデータ送出部324に通知する。
【0102】
データ送出部324は、例えば、中継先選択部323によって中継先となる無線装置が選択されたことを通知された場合に、通信可否情報記憶部315から無線装置300とデータ収集装置との通信可否情報を取得する。そして、データ送出部324は、無線装置300とデータ収集装置との通信が可能である場合に、センサ取得データ記憶部111からデータを取得し、データ収集装置に対して取得されたデータを送出する。続いて、データ送出部324は、中継先情報記憶部113から中継先装置識別情報を取得し、センサ取得データ記憶部111から取得されたデータに、無線装置300を識別する自装置識別情報と、取得された中継先装置識別情報とを付加して、中継先となる無線装置に対してデータを送出する。
【0103】
また、データ送出部324は、無線装置300とデータ収集装置との通信が不可能である場合に、中継先情報記憶部113から複数の中継先装置識別情報を取得する。そして、データ送出部324は、センサ取得データ記憶部111から取得されたデータに、無線装置300を識別する自装置識別情報と、取得された中継先装置識別情報とを付加して、中継先となる無線装置それぞれに対して同一のデータを送出する。なお、データ送出部324は、無線装置300とデータ収集装置との通信が不可能である場合に、データ収集装置に対してデータを送出しない。
【0104】
[実施例4に係るデータ送出処理]
次に、図14を用いて、実施例4に係るデータ送出処理の流れを説明する。図14は、実施例4に係るデータ送出処理の流れを説明するフローチャートである。なお、データ送出処理とは、主に、中継先選択部323と、データ送出部324とによる処理を指す。
【0105】
例えば、図14に示すように、中継先選択部323は、センサ取得部121からセンシングデータを取得したことを通知されることによって、送出するデータが有る場合に(ステップS501肯定)、ビーコン信号などを利用し、無線装置300とデータ収集装置(AP)との通信可否を判定する(ステップS502)。なお、中継先選択部323は、送出するデータがない場合に(ステップS501否定)、センサ取得部121による通知待ちの状態となる。
【0106】
そして、中継先選択部323は、無線装置300とデータ収集装置との通信が不可能である場合に(ステップS502否定)、データの中継先となる無線装置を複数選択する(ステップS503)。続いて、データ送出部324は、中継先選択部323によって選択された中継先となる無線装置それぞれに対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加した同一のデータを送出する(ステップS504)。
【0107】
また、中継先選択部323は、無線装置300とデータ収集装置との通信が可能である場合に(ステップS502肯定)、データの中継先となる無線装置を少なくとも一つ選択する(ステップS505)。そして、データ送出部324は、データを収集するAPとしてのデータ収集装置に対してデータを送出する(ステップS506)。加えて、データ送出部324は、中継先選択部323によって選択された中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して、データ収集装置に送出されたデータと同一のデータを送出する(ステップS507)。なお、データ収集装置にデータを送出するステップS506と、中継先となる無線装置にデータを送出するステップS507とは、どちらの処理を先に実施しても構わない。
【0108】
[実施例4による効果]
上述したように、無線装置は、データ収集装置と直接の通信が不可能である場合でも、同一のデータに対して複数系統の通信を確立することにより、通信における信頼性を確保することができる。
【実施例5】
【0109】
さて、これまで本願に開示する無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法の実施例について説明したが、上述した実施例以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、(1)データ中継時、(2)各装置の構成、において異なる実施例を説明する。
【0110】
(1)データ中継時
上記実施例では、送信元となる無線装置によって自装置識別情報と中継先装置識別情報とが付加されたデータが送出され、データを中継する無線装置によって該データがデータ収集装置に送出される場合を説明した。このようなデータを中継する無線装置においては、データを中継したことを示す情報をさらに付加することとしても良い。
【0111】
例えば、データを中継する無線装置は、他の無線装置からデータを受信すると、自装置が該データを中継したことを示す情報を付加してデータ収集装置またはさらに他の無線装置に対してデータを送出する。この結果、無線装置は、データ中継時に、何らかの要因でデータを中継できなかった場合に、データを中継したことを示す情報を用いて、再度送出するデータを指定し、指定されたデータを送出する。
【0112】
(2)各装置の構成
また、上記文書中や図面中などで示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメタなどを含む情報(例えば、送出されるデータのフォーマットや、受信ウェイト回路163および送信ウェイト回路173などの具体的名称)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0113】
また、図示した無線装置およびデータ収集装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負担や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合することができる。例えば、データ送出部124と、データ中継部125とを、データ収集装置および他の無線装置に対してデータを送出するとともに、受信されたデータをデータ収集装置に対して中継する「データ処理部」として統合しても良い。また、受信アンテナ101と送信アンテナ102とを別アンテナとして図示したが、送受信共用アンテナに統合しても良い。但し、送受信共用アンテナに統合する場合には、通信I/F部に送受信周波数を分離する分波器(FDMA(Frequency Division Multiple Access)の場合)や、送受信の時間に対応した時分割スイッチ(TDMA(Time Division Multiple Access)の場合)などを要する。
【符号の説明】
【0114】
1 無線装置
2 中継先選択部
3 データ送出部
4 データ中継部
100、200、300 無線装置
101 受信アンテナ
102 送信アンテナ
103 通信I/F部
110、210、310 記憶部
111 センサ取得データ記憶部
112 受信データ記憶部
113 中継先情報記憶部
214 キー局情報記憶部
315 通信可否情報記憶部
120、220、320 制御部
121 センサ取得部
122、222 無線通信処理部
123、323 中継先選択部
124、324 データ送出部
125、225 データ中継部
150 データ収集装置
151−1〜151−n アンテナ
160−1〜160−n サーキュレータ
161−1〜161−n 低雑音増幅回路
162−1〜162−n 受信回路
163 受信ウェイト回路
164 復調回路
165 受信ダイバーシティ回路
166 データ送信部
170 データ受信部
171 変調回路
172 送信ダイバーシティ回路
173 送信ウェイト回路
174−1〜174−n 送信回路
175−1〜175−n 高出力増幅回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサに小型の無線モジュールが装着された無線装置を利用して、様々な用途で収集されたデータを上位のネットワークに無線伝送する無線センサネットワークの研究が行なわれている。この無線センサネットワークは、例えば、医療現場、農場或いは街中などの多様な場面で利用することが想定されている。なお、無線装置の例としては、センサによって種々の物や人、或いは環境などの情報を収集するとともに、無線モジュールによってデータを無線伝送するセンサノードがある。
【0003】
ここで、図15を用いて、無線センサネットワークの適用例を説明する。図15は、無線センサネットワークの適用例を説明する図である。なお、図15では、無線センサネットワークを医療現場に適用した場合を説明する。
【0004】
例えば、無線センサネットワークは、図15に示すように、無線モジュールおよびセンサが一体化された複数のセンサノードと、センサノードから送出されるセンシングデータを集約するコーディネータとを有する。なお、センサノードを利用した無線通信技術の例としては、PAN(Personal Area Network)やBAN(Body Area Network)などが挙げられる(以下、「PAN/BAN」と呼ぶ)。
【0005】
このPAN/BANでは、例えば、周囲環境の温度、湿度或いは照度をセンシングする環境センサノードや、人の体温、血圧或いは脈拍などをセンシングするバイタルセンサノードなどがある。なお、センサノードは、医療現場において、人体上に存在するものと、人体の周囲10メートル程度となる通信領域の範囲に存在するものとがある。
【0006】
一方、コーディネータは、通信領域内に存在する複数のセンサノードや、AP(Access Point)などに、各センサノードから集約されたデータを伝送する。また、コーディネータからデータを受信したAPは、上位のネットワークに対してデータを送信する。このとき、APは、各センサノードやコーディネータなどの特定の通信領域に対して集中して電波を飛ばすビームフォーミングを実施し、各センサノード或いはコーディネータと無線通信を行なう。
【0007】
ところで、このようなセンサノードへの電源供給については、屋外で利用することを想定して、ボタン電池などの内蔵バッテリを用いる場合がある。よって、センサノードを屋外で利用する場合には、特に、電池の寿命の点で消費電力を抑制できることが望ましい。このため、例えば、無線センサネットワーク向けのセンサノードでは、消費電力を抑制させて電池を長持ちさせるために、センサノードを使用していないときにスリープ状態に入るプロトコルが採用されていることが多い。
【0008】
一方、APは、例えば、複数のアレーアンテナを有し、信号の送受信時に各アレーアンテナのアレーウェイトとしての振幅や位相などを制御することで、通信対象である任意のセンサノードに対してアンテナのビーム指向性を向ける。また、APは、任意のセンサノードとの通信における干渉源に、低レベルの指向性を向けるヌルステアリングを実施する。これらにより、APは、送受信される信号の伝送品質を高めている。
【0009】
このような無線センサネットワークのシステムでは、各センサノードによる信号送信時に、APのビーム指向性が向けられると、APと各センサノードとの無線通信経路の利得向上効果によって、各センサノードの消費電力を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−191514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来技術では、通信における信頼性を確保することができないという課題がある。
【0012】
具体的に説明すると、PAN/BANなどの近距離無線通信では、10メートル程度の伝送距離が想定されている。また、無線LAN(Local Area Network)などの異なる外部ネットワークへの接続についても、PAN/BANで用いられる通信方式で、且つ10メートルの範囲内で行なわれる。
【0013】
無線装置と外部ネットワークとを接続するAPは、上述したように、アレーアンテナのビーム指向性を用いた通信経路の制御による利得向上により、通信対象となる無線装置との通信品質を向上させる。ところが、通信対象となる無線装置とAPとの間に電波の通信路を遮る障害物が入ってしまう場合には、ビームを狭くしたことによって電波の回り込みが弱くなるとともに、通信状態が劣化することで、通信遮断が発生し得る。
【0014】
通信路を遮る障害物などの要因による通信遮断を回避するためには、例えば、図16に示すように、無線装置(X)から送出する信号の壁などによる反射波に、XとAPとの直接通信から切り替えることが考えられる。このとき、APは、壁などによる反射波にビーム指向性を向ける。なお、図16は、通信路を遮る障害物などの要因による通信遮断を回避する例を示す図である。
【0015】
但し、壁などによる反射波は、無線装置とAPとにおける直接の通信よりも不安定であり、ある程度の劣化が想定される信頼性の低い通信路である。また、屋外における無線通信では、固定されていない無線装置に対して常に適当な反射波を得ることが困難であり、通信遮断を回避する他の通信経路を確保できない場合も有り得る。
【0016】
さらに、医療現場などに無線装置を利用する場合には、パス切り替えのための一瞬の通信遮断でも回避することが望ましい。これらの結果、上述した従来技術では、通信における信頼性を確保することができない。
【0017】
そこで、本願に開示する技術は、上記に鑑みてなされたものであって、通信における信頼性を確保することが可能である無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願に開示する無線装置は、データの中継先となる無線装置を選択する中継先選択部を有する。また、無線装置は、データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出するとともに、中継先選択部によって選択された中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して同一のデータを送出するデータ送出部を有する。また、無線装置は、中継先装置識別情報が付加されたデータを他の無線装置から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、データ収集装置に対して、受信されたデータを送出するデータ中継部を有する。
【発明の効果】
【0019】
本願に開示する無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法の一つの様態によれば、通信における信頼性を確保するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、実施例1に係る無線装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施例2に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施例2に係る無線装置の構成例を示す図である。
【図4】図4は、データ送出部によって中継先となる無線装置に送出されるデータの例を示す図である。
【図5】図5は、データ収集装置の構成例を示す図である。
【図6】図6は、実施例2に係るデータ送出処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】図7は、実施例2に係るデータ中継処理の流れを説明するフローチャートである。
【図8】図8は、実施例2に係る無線通信処理の流れを説明する処理シーケンス図である。
【図9】図9は、実施例3に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。
【図10】図10は、実施例3に係る無線装置の構成例を示す図である。
【図11】図11は、実施例3に係るデータ中継処理の流れを説明するフローチャートである。
【図12】図12は、実施例4に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。
【図13】図13は、実施例4に係る無線装置の構成例を示す図である。
【図14】図14は、実施例4に係るデータ送出処理の流れを説明するフローチャートである。
【図15】図15は、無線センサネットワークの適用例を説明する図である。
【図16】図16は、通信路を遮る障害物などの要因による通信遮断を回避する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本願に開示する無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法の実施例を説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
最初に、図1を用いて、実施例1に係る無線装置の構成例を説明する。図1は、実施例1に係る無線装置の構成例を示す図である。
【0023】
例えば、図1に示すように、無線装置1は、中継先選択部2と、データ送出部3と、データ中継部4とを有する。また、この無線装置1は、例えば、ZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信によって、他の無線装置やAP(Access Point)としてデータを収集するデータ収集装置などとデータの送受信を行なう。
【0024】
複数の装置間で送受信されるデータは、例えば、人、物または環境などから得られるセンシングデータであり、測定装置であるセンサによって無線装置1に入力される。なお、無線装置1による近距離無線通信のネットワークの例としては、PAN(Personal Area Network)やBAN(Body Area Network)などがある。
【0025】
上記構成において、中継先選択部2は、例えば、センサによって取得されたデータを他の無線装置やデータ収集装置に送出する場合に、該データの中継先となる無線装置を選択する。そして、データ送出部3は、例えば、データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出する。
【0026】
また、データ送出部3は、例えば、中継先選択部2によって選択された中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して、データ収集装置に対して送出したデータと同一のデータを送出する。なお、中継先装置識別情報とは、例えば、各無線装置を識別するために予め決定された無線装置ごとに異なる識別情報のうち、無線装置1の中継先となる無線装置に該当する識別情報のことを指す。詳細には、識別情報は、例えば、無線装置などのデバイスに予め割り当てられるアドレスである。
【0027】
一方、データ中継部4は、例えば、中継先装置識別情報が付加されたデータを他の無線装置から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、データ収集装置に対して、受信されたデータを送出する。なお、複数の無線装置によって送出されたデータを受信したデータ収集装置は、電波強度の高い無線装置からのデータの選択や受信したデータの合成処理などを行なって、所定の外部ネットワークにデータを送信する。
【0028】
つまり、無線装置は、データ収集装置に対してデータを送出するとともに、他の無線装置に対しても同一のデータを送出する。また、無線装置は、他の無線装置からデータを受信すると、データ収集装置に対して受信されたデータを送出する。これらの結果、無線装置は、通信品質を落とすことなくデータ収集装置に対して複数系統を介して同一のデータを送出するので、通信経路における障害物を回避する反射波を利用した従来技術と比較して、通信における信頼性を確保することができる。
【実施例2】
【0029】
[実施例2に係るネットワーク構成]
次に、図2を用いて、実施例2に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を説明する。図2は、実施例2に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。なお、無線装置は、例えば、PANやBANなどのネットワーク技術を用いて、医療現場(図15参照)、農場或いは街中などの多様な場面で利用される。
【0030】
例えば、図2に示すように、無線装置を含んだネットワークは、無線装置A1と、無線装置A2と、APとしてのデータ収集装置とを含む。そして、無線装置A1および無線装置A2は、例えば、APと無線通信可能であるとともに、アドホック通信などにより相互に無線通信可能である。一方、APは、例えば、任意の通信領域にアンテナの指向性を向けるビームフォーミングを実施し、無線装置A1および無線装置A2と通信を行なう。なお、以下では、無線装置A1からデータを送出する例を説明する。
【0031】
例えば、無線装置A1は、センサによって取得されたデータを送出する場合に、該データの中継先となる無線装置として無線装置A2を選択する。データの中継先となる無線装置の選択では、例えば、各無線装置によって出力されるビーコン信号などを利用し、近傍で相互に電波強度の高い無線装置を探索することにより選択される。
【0032】
そして、無線装置A1は、APに対してデータを送出するとともに、データの中継先として選択された無線装置A2に対して、APに対して送出されたデータと同一のデータを送出する。また、無線装置A2に対してデータを送出する際に、無線装置A1は、該無線装置A1を識別する自装置識別情報と、無線装置A2を識別する中継先装置識別情報とを付加してデータを送出する。なお、無線装置A1によるデータの送出は、時分割で実施され、例えば、無線装置A1は、あるタイミングで無線装置A2に対してデータを送出し、該無線装置A2にデータを送出したタイミングとは異なるタイミングでAPに対してデータを送出する。
【0033】
一方、無線装置A2は、中継先装置識別情報が付加されたデータを無線装置A1から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、受信されたデータをAPに対して送出(中継)する。その後、無線装置A1および無線装置A2によって送出されたデータを受信したAPは、電波強度の高い無線装置からのデータの選択や受信したデータの合成処理などを行なって、所定の外部ネットワークにデータを送信する。
【0034】
なお、上記では、無線装置A1および無線装置A2の2つの無線装置がAPに対して同一のデータを送出する例を説明したが、無線装置の数は2つに限られるものではなく、さらに多数の無線装置がネットワーク内に存在し、APにおいて複数系統のデータが受信される。
【0035】
[実施例2に係る無線装置の構成]
次に、図3を用いて、実施例2に係る無線装置の構成例を説明する。図3は、実施例2に係る無線装置の構成例を示す図である。
【0036】
例えば、図3に示すように、無線装置100は、受信アンテナ101と、送信アンテナ102と、通信I/F部103と、記憶部110と、制御部120とを有する。
【0037】
受信アンテナ101は、無線装置100に入力される各種情報を受信する。例えば、受信アンテナ101は、無線装置100とは異なる他の無線装置から送出されたデータを受信して、通信I/F部103に入力する。また、送信アンテナ102は、無線装置100から出力される各種情報を送信する。例えば、送信アンテナ102は、無線装置100とは異なる他の無線装置やデータを収集するデータ収集装置などに対してデータを送出する。通信I/F部103は、例えば、受信アンテナ101或いは送信アンテナ102を介して、無線装置100と他の無線装置やデータ収集装置などとの間で送受信される各種情報のデータ転送を制御する。
【0038】
記憶部110は、制御部120による各種処理に要するデータや、制御部120による各種処理結果を記憶し、センサ取得データ記憶部111と、受信データ記憶部112と、中継先情報記憶部113とを有する。また、記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。
【0039】
センサ取得データ記憶部111は、例えば、後述するセンサ取得部121によって格納されるデータを記憶する。センサ取得データ記憶部111に記憶されるデータは、例えば、人、物または環境などから得られるセンシングデータであり、センサによって無線装置100に入力されるデータである。
【0040】
受信データ記憶部112は、例えば、後述する無線通信処理部122によって格納されるデータを記憶する。受信データ記憶部112に記憶されるデータは、例えば、無線装置100とは異なる他の無線装置から送出されたデータ(例えば、他の無線装置でのセンサによるセンシングデータ)である。また、中継先情報記憶部113は、例えば、後述する中継先選択部123によって格納されるデータの中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を記憶する。
【0041】
制御部120は、制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、無線装置100を制御する。また、制御部120は、センサ取得部121と、無線通信処理部122と、中継先選択部123と、データ送出部124と、データ中継部125とを有する。なお、制御部120は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
【0042】
センサ取得部121は、例えば、センサによって測定された各種データを取得し、取得されたデータをセンサ取得データ記憶部111に格納する。また、センサ取得部121は、データを取得すると、データを取得したことを中継先選択部123に通知する。なお、センサによって測定されるデータは、例えば、人、物または環境などから得られるセンシングデータである。
【0043】
無線通信処理部122は、例えば、受信アンテナ101によって受信された他の無線装置から送出されたデータを、受信データ記憶部112に格納するとともに、データ中継部125に対してデータを受信したことを通知する。また、無線通信処理部122は、例えば、データ送出部124から受け付けたデータを通信I/F部103を介して、送信アンテナ102に送出させる制御を行なう。また、無線通信処理部122は、例えば、データ中継部125から受け付けたデータを通信I/F部103を介して、送信アンテナ102に送出させる制御を行なう。
【0044】
中継先選択部123は、例えば、センサ取得部121によってデータが取得されたことを通知された場合や、所定のタイミングなどで、データの中継先となる無線装置を選択する。データの中継先となる無線装置の選択では、例えば、各無線装置によって出力されるビーコン信号などを利用し、無線装置100との電波強度が所定値以上である無線装置を探索することにより選択される。選択される中継先となる無線装置の数は、無線装置100との電波強度が所定値以上であれば、一つだけではなく複数であっても良い。
【0045】
そして、中継先選択部123は、選択された中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を中継先情報記憶部113に格納する。その後、中継先選択部123は、中継先となる無線装置を選択したことをデータ送出部124に通知する。なお、中継先選択部123は、中継先選択部2の一例として挙げられる。
【0046】
データ送出部124は、例えば、センサ取得部121によるデータ取得後に、中継先選択部123によって中継先となる無線装置が選択されたことを通知された場合に、センサ取得データ記憶部111からデータを取得する。そして、データ送出部124は、データ収集装置に対して取得されたデータを送出する。続いて、データ送出部124は、中継先情報記憶部113から中継先装置識別情報を取得する。その後、データ送出部124は、センサ取得データ記憶部111から取得されたデータに、無線装置100を識別する自装置識別情報と、取得された中継先装置識別情報とを付加して、中継先となる無線装置に対してデータを送出する。なお、データ送出部124は、データ送出部3の一例として挙げられる。
【0047】
ここで、データ送出部124によって中継先となる無線装置に送出されるデータについて説明する。図4は、データ送出部124によって中継先となる無線装置に送出されるデータの例を示す図である。
【0048】
データ送出部124によって中継先となる無線装置に送出されるデータは、例えば、図4に示すように、自装置識別情報である「A1」(図4の(1)参照)と、中継先装置識別情報である「A2」(図4の(2)参照)とを有する。加えて、データ送出部124によって中継先となる無線装置へ送出されるデータは、送出するデータのデータ領域(図4の(4)参照)を有する。また、図4の(3)の領域は、識別情報或いはデータ領域の空きスペースとして利用可能である。また、データ送出部124によるデータ収集装置および他の無線装置それぞれに対するデータの送出は、時分割で実施される。なお、上述した受信データ記憶部112は、図4に示したデータと同様のデータを記憶することとなる。
【0049】
図3の説明に戻り、データ中継部125は、例えば、無線通信処理部122によってデータが受信されたことを通知されると、受信データ記憶部112からデータを取得する。そして、データ中継部125は、受信データ記憶部112から取得されたデータに含まれる中継先装置識別情報に無線装置100が該当する場合に、データ収集装置に対して、取得されたデータを送出する。また、データ中継部125は、受信データ記憶部112から取得されたデータに含まれる中継先装置識別情報に無線装置100が該当しない場合に、取得されたデータを送出することなく、受信データ記憶部112から該データを削除する。
【0050】
データ中継部125によるデータ中継処理では、例えば、中継先装置識別情報をA2とすると、「A2」に無線装置100が該当する場合に、データ収集装置に対して、受信データ記憶部112から取得されたデータを送出することとなる。なお、データ中継部125は、データ中継部4の一例として挙げられる。
【0051】
[データ収集装置の構成]
次に、図5を用いて、データ収集装置の構成例を説明する。図5は、データ収集装置の構成例を示す図である。なお、データ収集装置とは、APとしてデータを収集する装置を指す。
【0052】
例えば、図5に示すように、データ収集装置150は、アンテナ151−1〜151−n(nは、自然数)と、サーキュレータ160−1〜160−nと、低雑音増幅回路161−1〜161−nと、受信回路162−1〜162−nとを有する。また、例えば、データ収集装置150は、受信ウェイト回路163と、復調回路164と、受信ダイバーシティ回路165と、データ送信部166とを有する。また、例えば、データ収集装置150は、データ受信部170と、変調回路171と、送信ダイバーシティ回路172と、送信ウェイト回路173と、送信回路174−1〜174−nと、高出力増幅回路175−1〜175−nとを有する。
【0053】
アンテナ151−1〜151−nは、例えば、任意の無線装置とデータを送受信しつつ、該任意の無線装置の方向にビーム指向性を向けるアレーアンテナである。また、サーキュレータ(Circulator)160−1〜160−nは、例えば、複数のポートを有し、アンテナ151−1〜151−nによって受信されたデータを受信系の回路に出力する。また、サーキュレータ160−1〜161−nは、例えば、送信系の回路から入力されたデータをアンテナ151−1〜151−nに対して出力する。
【0054】
そして、サーキュレータ160−1〜160−nによって受信系に出力されたデータは、低雑音増幅回路(LNA:Low Noise Amplifier)161−1〜161−n、および受信回路(RX:Receiver)を介して、受信ウェイト回路163に入力される。受信ウェイト回路163は、例えば、入力される複数の受信信号の位相や振幅などを用いてウェイト制御を行なうことにより、無線装置に対するビーム指向性の方向を制御する。なお、アレーアンテナのウェイト制御については、受信SIR(Signal to Interference power Ratio)の最大化を規範とする最小二乗法(Least Mean Square法など)や、ビーム選択法などの公知の方法があるため詳細な説明を省略する。
【0055】
その後、復調回路(Demodulator)164は、例えば、受信された複数のデータを復調する。そして、受信ダイバーシティ回路165は、たとえば、復調回路164によって復調された複数のデータを同一のデータごとにまとめて所定のメモリに受信データとして格納する。ここで、同一のデータとは、無線装置100によるデータ送出時に付加された識別情報、すなわち送信元となる無線装置の自装置識別情報が同一であるデータのことを指す。
【0056】
続いて、受信ダイバーシティ回路165は、例えば、自装置識別情報を利用し、同一のデータごとにまとめられた受信データについて、電波強度の高い無線装置からのデータを選択したり、データを合成したりして外部に送出するデータのダイバーシティ処理を実施する。このダイバーシティ処理では、例えば、同一のデータにおいて、ビーコン信号のRSS(Received Signal Strength)などに基づいて、電波強度の高い無線装置からのデータのみを優先的に利用する。また、ダイバーシティ処理では、例えば、同一のデータにおいて、電波強度が所定値以上である複数の無線装置からのデータを選択および合成する。その後、データ送信部166は、例えば、受信ダイバーシティ回路165によってダイバーシティ処理が行なわれたデータを外部ネットワークに送信する。
【0057】
データ受信部170は、例えば、外部ネットワークからデータを受信する。そして、変調回路(Modulator)171は、例えば、データ受信部170によって受信されたデータを変調し、送信ダイバーシティ回路172に入力する。送信ダイバーシティ回路172では、例えば、受信ダイバーシティ回路165とは逆に、複数の送信系(アンテナ)に出力する送信データを生成する。続いて、送信ウェイト回路173は、例えば、送信データを用いて送信系におけるウェイト制御を行なうことにより、無線装置に対するビーム指向性の方向を制御する。その後、送信データは、送信回路(TX:Transmitter)174−1〜174−nそれぞれ、高出力増幅回路(HPA:High Power Amplifier)175−1〜175−nおよびサーキュレータ160−1〜160−nを介して、アンテナ151−1〜151−nから送出される。
【0058】
[実施例2に係るデータ送出処理]
次に、図6を用いて、実施例2に係るデータ送出処理の流れを説明する。図6は、実施例2に係るデータ送出処理の流れを説明するフローチャートである。なお、データ送出処理とは、主に、中継先選択部123と、データ送出部124とによる処理を指す。
【0059】
例えば、図6に示すように、中継先選択部123は、センサ取得部121からセンシングデータを取得したことを通知されることによって、送出するデータが有る場合に(ステップS101肯定)、データの中継先となる無線装置を選択する(ステップS102)。なお、中継先選択部123は、送出するデータがない場合に(ステップS101否定)、センサ取得部121による通知待ちの状態となる。
【0060】
そして、データ送出部124は、データを収集するAPとしてのデータ収集装置に対してデータを送出する(ステップS103)。また、データ送出部124は、中継先選択部123によって選択された中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して、データ収集装置に送出されたデータと同一のデータを送出する(ステップS104)。なお、データ収集装置にデータを送出するステップS103と、中継先となる無線装置にデータを送出するステップS104とは、どちらの処理を先に実施しても構わない。
【0061】
[実施例2に係るデータ中継処理]
次に、図7を用いて、実施例2に係るデータ中継処理の流れを説明する。図7は、実施例2に係るデータ中継処理の流れを説明するフローチャートである。なお、データ中継処理とは、主に、データ中継部125による処理を指す。
【0062】
例えば、図7に示すように、データ中継部125は、無線通信処理部122によってデータが受信されたことを通知されると(ステップS201肯定)、受信されたデータに含まれる中継先装置識別情報に無線装置100が該当するか否かを判定する(ステップS202)。なお、データ中継部125は、データを受信していない場合に(ステップS201否定)、データの受信待ちの状態となる。
【0063】
そして、データ中継部125は、中継先装置識別情報に無線装置100が該当する場合に(ステップS202肯定)、データ収集装置に対してデータを送出する(ステップS203)。なお、データ中継部125は、中継先装置識別情報に無線装置100が該当しない場合に(ステップS202否定)、処理を終了する。
【0064】
[実施例2に係る無線通信処理]
次に、図8を用いて、実施例2に係る無線通信処理の流れを説明する。図8は、実施例2に係る無線通信処理の流れを説明する処理シーケンス図である。この無線通信処理とは、主に、無線装置100と、データ収集装置150とによる処理を指す。以下では、複数の無線装置のうち無線装置A1と、無線装置A2とを利用し、無線装置A1においてセンシングデータが送出される例を説明する。
【0065】
例えば、図8に示すように、無線装置A1は、データの中継先となる無線装置として無線装置A2を選択する(ステップS301)。そして、無線装置A1は、APとしてデータを収集するデータ収集装置に対してデータを送出する(ステップS302)。続いて、無線装置A1は、データの中継先となる無線装置A2に対して、データ収集装置に送出されたデータと同一のデータを、該無線装置A2を識別する中継先装置識別情報を付加して送出する(ステップS303)。また、無線装置A1から送出されたデータを受信したデータ収集装置は、受信されたデータを所定のメモリに格納する(ステップS304)。
【0066】
一方、無線装置A1から送出されたデータを受信した無線装置A2は、データに含まれる中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、データ収集装置に対して該データを送出(中継)する(ステップS305)。また、無線装置A2から送出されたデータを受信したデータ収集装置は、受信されたデータを所定のメモリに格納する(ステップS306)。
【0067】
そして、データ収集装置は、無線装置A1および無線装置A2から送出されたデータのダイバーシティ処理を実施して(ステップS307)、ダイバーシティ処理されたデータを外部ネットワークに送信する(ステップS308)。
【0068】
[実施例2による効果]
上述したように、無線装置は、他の無線装置およびデータ収集装置に対して同一のデータを送出し、他の無線装置によってデータ収集装置に対して該データが送出される。この結果、無線装置は、同一のデータに対して2系統以上の通信を確立することにより、通信における信頼性を確保することができる。
【実施例3】
【0069】
ところで、上記実施例1または2では、中継先装置識別情報に自装置が該当する場合にデータ収集装置に対してデータを送出する場合を説明した。以下では、中継先装置識別情報に自装置が該当し、且つ、データ収集装置からみて自装置の電波強度が高い場合に、データ収集装置に対してデータを送出する場合を説明する。
【0070】
[実施例3に係るネットワーク構成]
まず、図9を用いて、実施例3に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を説明する。図9は、実施例3に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。
【0071】
例えば、図9に示すように、無線装置を含んだネットワークは、無線装置B1と、無線装置B2と、無線装置B3と、APとしてのデータ収集装置とを含む。そして、無線装置B1〜B3は、例えば、APと無線通信可能であるとともに、アドホック通信などにより相互に無線通信可能である。
【0072】
一方、APは、例えば、任意の通信領域にアンテナの指向性を向けるビームフォーミングを実施し、無線装置B1〜B3と通信を行なう。また、APは、例えば、ビーコン信号などのRSSに基づいて、該APとの通信状態が最良である無線装置(例えば、「無線装置B3」)をキー局として予め決定し、該無線装置B3にキー局であることを通知する。キー局の決定については、APの通信領域において無線装置との通信状態を適時検知しており、該キー局も入れ替わることとなる。なお、以下では、無線装置B3をキー局として、無線装置B1からデータを送出する例を説明する。
【0073】
例えば、無線装置B1は、センサによって取得されたデータを送出する場合に、該データの中継先となる無線装置として無線装置B2および無線装置B3を選択する。データの中継先となる無線装置の選択では、例えば、各無線装置によって出力されるビーコン信号などを利用し、近傍で相互に電波強度の高い無線装置を探索することにより選択される。
【0074】
そして、無線装置B1は、APに対してデータを送出するとともに、データの中継先として選択された無線装置B2および無線装置B3に対して、APに対して送出されたデータと同一のデータを送出する。また、無線装置B2および無線装置B3に対してデータを送出する際に、無線装置B1は、該無線装置B1を識別する自装置識別情報と、無線装置B2或いは無線装置B3を識別する中継先装置識別情報とをそれぞれに付加してデータを送出する。なお、無線装置B1によるデータの送出は、時分割で実施される。
【0075】
一方、無線装置B3は、中継先装置識別情報が付加されたデータを無線装置B1から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合、且つ、自装置がキー局である場合に、受信されたデータをAPに対して送出(中継)する。このとき、無線装置B2は、自装置がキー局ではないことから、無線装置B1から受信されたデータをAPに対して送出しない。その後、無線装置B1および無線装置B3によって送出されたデータを受信したAPは、受信したデータのダイバーシティ処理を行なって、所定の外部ネットワークにデータを送信する。
【0076】
[実施例3に係る無線装置の構成]
次に、図10を用いて、実施例3に係る無線装置の構成例を説明する。図10は、実施例3に係る無線装置の構成例を示す図である。なお、図10では、実施例2に係る無線装置100と同様の構成要素については同一の符号を付している。以下では、実施例2に係る無線装置100と同様の処理についてはその説明を省略する。
【0077】
例えば、図10に示すように、無線装置200は、受信アンテナ101と、送信アンテナ102と、通信I/F部103と、記憶部210と、制御部220とを有する。
【0078】
記憶部210は、制御部220による各種処理に要するデータや、制御部220による各種処理結果を記憶し、センサ取得データ記憶部111と、受信データ記憶部112と、中継先情報記憶部113と、キー局情報記憶部214とを有する。また、記憶部210は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。なお、センサ取得データ記憶部111と、受信データ記憶部112と、中継先情報記憶部113とは、上述した実施例2と同様の機能を有する。
【0079】
キー局情報記憶部214は、例えば、無線通信処理部222によって格納されるデータを記憶する。キー局情報記憶部214に記憶されるデータは、例えば、APとしてのデータ収集装置から送出されたキー局であることを示す情報である。なお、無線通信処理部222による他の処理は、実施例2と同様であるためその説明を省略する。
【0080】
制御部220は、制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、無線装置200を制御する。また、制御部220は、センサ取得部121と、無線通信処理部222と、中継先選択部123と、データ送出部124と、データ中継部225とを有する。なお、制御部220は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。なお、センサ取得部121と、中継先選択部123と、データ送出部124とは、上述した実施例2と同様の機能を有する。
【0081】
データ中継部225は、例えば、無線通信処理部222によってデータが受信されたことを通知されると、受信データ記憶部112からデータを取得する。そして、データ中継部225は、受信データ記憶部112から取得されたデータに含まれる中継先装置識別情報に無線装置200が該当する場合に、キー局情報記憶部214からデータを取得する。
【0082】
続いて、データ中継部225は、キー局情報記憶部214から取得されたデータに含まれるキー局情報に基づいて、無線装置200がキー局である場合に、データ収集装置に対して、取得されたデータを送出する。なお、データ中継部225は、中継先装置識別情報に無線装置200が該当しない場合、または、無線装置200がキー局でない場合に、データを中継することなく処理を終了する。また、データ中継部225による中継先装置識別情報の判定およびキー局の判定は、どちらの処理を先に実施しても良い。
【0083】
[実施例3に係るデータ中継処理]
次に、図11を用いて、実施例3に係るデータ中継処理の流れを説明する。図11は、実施例3に係るデータ中継処理の流れを説明するフローチャートである。なお、データ中継処理とは、主に、データ中継部225による処理を指す。
【0084】
例えば、図11に示すように、データ中継部225は、無線通信処理部222によってデータが受信されたことを通知されると(ステップS401肯定)、受信されたデータに含まれる中継先装置識別情報に無線装置200が該当するか否かを判定する(ステップS402)。なお、データ中継部225は、データを受信していない場合に(ステップS401否定)、データの受信待ちの状態となる。
【0085】
そして、データ中継部225は、中継先装置識別情報に無線装置200が該当する場合に(ステップS402肯定)、無線装置200がキー局であるか否かを判定する(ステップS403)。続いて、データ中継部225は、無線装置200がキー局である場合に(ステップS403肯定)、データ収集装置に対してデータを送出する(ステップS404)。なお、データ中継部225は、中継先装置識別情報に無線装置200が該当しない場合(ステップS402否定)、または、無線装置200がキー局ではないと判定された場合に(ステップS403否定)、データ収集装置にデータを送出することなく処理を終了する。また、識別情報が自装置に該当するか否かを判定するステップS402と、自装置がキー局であるか否かを判定するステップS403とは、どちらの処理を先に実施しても構わない。
【0086】
[実施例3による効果]
上述したように、無線装置は、データ収集装置にとって通信状態の良好なデータを送出するので、通信における信頼性を確保することができるとともに、無線装置を含むネットワーク内における電波干渉や無線装置それぞれの電力などを抑制することができる。
【実施例4】
【0087】
ところで、上記実施例2および3では、無線装置がデータ収集装置と直接の通信が可能である場合を説明したが、無線装置がデータ収集装置と直接の通信が不可能である場合でも複数系統でデータを送出することができる。そこで、以下では、無線装置がデータ収集装置と直接の通信が不可能である場合を説明する。
【0088】
[実施例4に係るネットワーク構成]
まず、図12を用いて、実施例4に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を説明する。図12は、実施例4に係る無線装置を含んだネットワーク構成例を示す図である。
【0089】
例えば、図12に示すように、無線装置を含んだネットワークは、無線装置C1と、無線装置C2と、無線装置C3と、無線装置C4と、APとしてのデータ収集装置とを含む。そして、無線装置C2、無線装置C3および無線装置C4は、例えば、APと無線通信可能であるとともに、アドホック通信などにより相互に無線通信可能である。
【0090】
また、無線装置C1は、例えば、APと無線通信が不可能であるとともに、無線装置C2および無線装置C3と相互に無線通信可能である。無線装置C1がAPとの無線通信が不可能であることは、無線装置から発信されるビーコン信号などにより予め認識している。一方、APは、例えば、任意の通信領域にアンテナの指向性を向けるビームフォーミングを実施し、無線装置C2〜C4と通信を行なう。なお、以下では、無線装置C1からデータを送出する例を説明する。
【0091】
例えば、無線装置C1は、センサによって取得されたデータを送出する場合に、該データの中継先となる無線装置として無線装置C2および無線装置C3の複数の無線装置を選択する。データの中継先となる無線装置の選択では、例えば、各無線装置によって出力されるビーコン信号などを利用し、近傍で相互に電波強度の高い無線装置を探索することにより選択される。
【0092】
そして、無線装置C1は、データの中継先として選択された無線装置C2および無線装置C3に対して、それぞれ同一のデータを送出する。また、無線装置C2に対してデータを送出する際に、無線装置C1は、該無線装置C1を識別する自装置識別情報と、無線装置C2を識別する中継先装置識別情報とを付加してデータを送出する。同様に、無線装置C3に対してデータを送出する際に、無線装置C1は、該無線装置C1を識別する自装置識別情報と、無線装置C3を識別する中継先装置識別情報とを付加してデータを送出する。なお、無線装置C1によるデータの送出は、時分割で実施される。
【0093】
一方、無線装置C2は、中継先装置識別情報が付加されたデータを無線装置C1から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、受信されたデータをAPに対して送出(中継)する。また、無線装置C3は、中継先装置識別情報が付加されたデータを無線装置C1から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、受信されたデータをAPに対して送出(中継)する。さらに、無線装置C3は、無線装置C4に対しても、該無線装置C4を中継先とする中継先装置識別情報を付加して同一のデータを送出する。
【0094】
そして、無線装置C4は、中継先装置識別情報が付加されたデータを無線装置C3から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、受信されたデータをAPに対して送出(中継)する。その後、無線装置C2、無線装置C3および無線装置C4によって送出されたデータを受信したAPは、電波強度の高い無線装置からのデータの選択や受信したデータの合成処理などを行なって、所定の外部ネットワークにデータを送信する。
【0095】
[実施例4に係る無線装置の構成]
次に、図13を用いて、実施例4に係る無線装置の構成例を説明する。図13は、実施例4に係る無線装置の構成例を示す図である。なお、図13では、実施例2に係る無線装置100と同様の構成要素については同一の符号を付している。以下では、実施例2に係る無線装置100と同様の処理についてはその説明を省略する。
【0096】
例えば、図13に示すように、無線装置300は、受信アンテナ101と、送信アンテナ102と、通信I/F部103と、記憶部310と、制御部320とを有する。
【0097】
記憶部310は、制御部320による各種処理に要するデータや、制御部320による各種処理結果を記憶し、センサ取得データ記憶部111と、受信データ記憶部112と、中継先情報記憶部113と、通信可否情報記憶部315とを有する。また、記憶部310は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。なお、センサ取得データ記憶部111と、受信データ記憶部112と、中継先情報記憶部113とは、上述した実施例2と同様の機能を有する。
【0098】
通信可否情報記憶部315は、例えば、後述する中継先選択部323によって格納されるデータを記憶する。通信可否情報記憶部315に記憶されるデータは、例えば、中継先選択部323によって発信されるビーコン信号などから得られるデータ収集装置との通信状態であり、無線装置300と該データ収集装置とが通信可能であるか否かの情報である。
【0099】
制御部320は、制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、無線装置300を制御する。また、制御部320は、センサ取得部121と、無線通信処理部122と、中継先選択部323と、データ送出部324と、データ中継部125とを有する。なお、制御部320は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。なお、センサ取得部121と、無線通信処理部122と、データ中継部125とは、上述した実施例2と同様の機能を有する。
【0100】
中継先選択部323は、例えば、ビーコン信号などを発信し、無線装置300とデータ収集装置との通信可否の情報を通信可否情報記憶部315に格納する。また、中継先選択部323は、例えば、センサ取得部121によってデータが取得されたことを通知され、無線装置300とデータ収集装置との通信が可能である場合に、データの中継先となる無線装置を少なくとも一つ選択する。一方、中継先選択部323は、例えば、センサ取得部121によってデータが取得されたことを通知され、無線装置300とデータ収集装置との通信が不可能である場合に、データの中継先となる無線装置を複数選択する。
【0101】
データの中継先となる無線装置の選択では、例えば、各無線装置によって出力されるビーコン信号などを利用し、無線装置300との電波強度が所定値以上である無線装置を探索することにより選択される。もちろん、選択される中継先となる無線装置の数は、無線装置300との電波強度が所定値以上であれば複数であっても良い。そして、中継先選択部323は、選択された中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を中継先情報記憶部113に格納する。その後、中継先選択部323は、中継先となる無線装置を選択したことをデータ送出部324に通知する。
【0102】
データ送出部324は、例えば、中継先選択部323によって中継先となる無線装置が選択されたことを通知された場合に、通信可否情報記憶部315から無線装置300とデータ収集装置との通信可否情報を取得する。そして、データ送出部324は、無線装置300とデータ収集装置との通信が可能である場合に、センサ取得データ記憶部111からデータを取得し、データ収集装置に対して取得されたデータを送出する。続いて、データ送出部324は、中継先情報記憶部113から中継先装置識別情報を取得し、センサ取得データ記憶部111から取得されたデータに、無線装置300を識別する自装置識別情報と、取得された中継先装置識別情報とを付加して、中継先となる無線装置に対してデータを送出する。
【0103】
また、データ送出部324は、無線装置300とデータ収集装置との通信が不可能である場合に、中継先情報記憶部113から複数の中継先装置識別情報を取得する。そして、データ送出部324は、センサ取得データ記憶部111から取得されたデータに、無線装置300を識別する自装置識別情報と、取得された中継先装置識別情報とを付加して、中継先となる無線装置それぞれに対して同一のデータを送出する。なお、データ送出部324は、無線装置300とデータ収集装置との通信が不可能である場合に、データ収集装置に対してデータを送出しない。
【0104】
[実施例4に係るデータ送出処理]
次に、図14を用いて、実施例4に係るデータ送出処理の流れを説明する。図14は、実施例4に係るデータ送出処理の流れを説明するフローチャートである。なお、データ送出処理とは、主に、中継先選択部323と、データ送出部324とによる処理を指す。
【0105】
例えば、図14に示すように、中継先選択部323は、センサ取得部121からセンシングデータを取得したことを通知されることによって、送出するデータが有る場合に(ステップS501肯定)、ビーコン信号などを利用し、無線装置300とデータ収集装置(AP)との通信可否を判定する(ステップS502)。なお、中継先選択部323は、送出するデータがない場合に(ステップS501否定)、センサ取得部121による通知待ちの状態となる。
【0106】
そして、中継先選択部323は、無線装置300とデータ収集装置との通信が不可能である場合に(ステップS502否定)、データの中継先となる無線装置を複数選択する(ステップS503)。続いて、データ送出部324は、中継先選択部323によって選択された中継先となる無線装置それぞれに対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加した同一のデータを送出する(ステップS504)。
【0107】
また、中継先選択部323は、無線装置300とデータ収集装置との通信が可能である場合に(ステップS502肯定)、データの中継先となる無線装置を少なくとも一つ選択する(ステップS505)。そして、データ送出部324は、データを収集するAPとしてのデータ収集装置に対してデータを送出する(ステップS506)。加えて、データ送出部324は、中継先選択部323によって選択された中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して、データ収集装置に送出されたデータと同一のデータを送出する(ステップS507)。なお、データ収集装置にデータを送出するステップS506と、中継先となる無線装置にデータを送出するステップS507とは、どちらの処理を先に実施しても構わない。
【0108】
[実施例4による効果]
上述したように、無線装置は、データ収集装置と直接の通信が不可能である場合でも、同一のデータに対して複数系統の通信を確立することにより、通信における信頼性を確保することができる。
【実施例5】
【0109】
さて、これまで本願に開示する無線装置、無線通信システムおよび無線通信方法の実施例について説明したが、上述した実施例以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、(1)データ中継時、(2)各装置の構成、において異なる実施例を説明する。
【0110】
(1)データ中継時
上記実施例では、送信元となる無線装置によって自装置識別情報と中継先装置識別情報とが付加されたデータが送出され、データを中継する無線装置によって該データがデータ収集装置に送出される場合を説明した。このようなデータを中継する無線装置においては、データを中継したことを示す情報をさらに付加することとしても良い。
【0111】
例えば、データを中継する無線装置は、他の無線装置からデータを受信すると、自装置が該データを中継したことを示す情報を付加してデータ収集装置またはさらに他の無線装置に対してデータを送出する。この結果、無線装置は、データ中継時に、何らかの要因でデータを中継できなかった場合に、データを中継したことを示す情報を用いて、再度送出するデータを指定し、指定されたデータを送出する。
【0112】
(2)各装置の構成
また、上記文書中や図面中などで示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメタなどを含む情報(例えば、送出されるデータのフォーマットや、受信ウェイト回路163および送信ウェイト回路173などの具体的名称)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0113】
また、図示した無線装置およびデータ収集装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負担や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合することができる。例えば、データ送出部124と、データ中継部125とを、データ収集装置および他の無線装置に対してデータを送出するとともに、受信されたデータをデータ収集装置に対して中継する「データ処理部」として統合しても良い。また、受信アンテナ101と送信アンテナ102とを別アンテナとして図示したが、送受信共用アンテナに統合しても良い。但し、送受信共用アンテナに統合する場合には、通信I/F部に送受信周波数を分離する分波器(FDMA(Frequency Division Multiple Access)の場合)や、送受信の時間に対応した時分割スイッチ(TDMA(Time Division Multiple Access)の場合)などを要する。
【符号の説明】
【0114】
1 無線装置
2 中継先選択部
3 データ送出部
4 データ中継部
100、200、300 無線装置
101 受信アンテナ
102 送信アンテナ
103 通信I/F部
110、210、310 記憶部
111 センサ取得データ記憶部
112 受信データ記憶部
113 中継先情報記憶部
214 キー局情報記憶部
315 通信可否情報記憶部
120、220、320 制御部
121 センサ取得部
122、222 無線通信処理部
123、323 中継先選択部
124、324 データ送出部
125、225 データ中継部
150 データ収集装置
151−1〜151−n アンテナ
160−1〜160−n サーキュレータ
161−1〜161−n 低雑音増幅回路
162−1〜162−n 受信回路
163 受信ウェイト回路
164 復調回路
165 受信ダイバーシティ回路
166 データ送信部
170 データ受信部
171 変調回路
172 送信ダイバーシティ回路
173 送信ウェイト回路
174−1〜174−n 送信回路
175−1〜175−n 高出力増幅回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの中継先となる無線装置を選択する中継先選択部と、
データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出するとともに、前記中継先選択部によって選択された中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して同一のデータを送出するデータ送出部と、
前記中継先装置識別情報が付加されたデータを他の無線装置から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、前記データ収集装置に対して、受信されたデータを送出するデータ中継部と
を有することを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記中継先選択部は、複数の他の無線装置の中から自装置との電波強度が所定値以上である無線装置をデータの中継先となる無線装置として選択することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記データ中継部は、他の無線装置を含む複数の無線装置の中で自装置と前記データ収集装置との通信状態が最良である場合に、前記データ収集装置に対して、受信されたデータを送出することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項4】
前記中継先選択部は、データの中継先となる無線装置を複数選択し、
前記データ送出部は、前記中継先選択部によって選択された中継先となる無線装置それぞれに対して、該中継先となる無線装置それぞれを識別する中継先装置識別情報を付加してデータを送出することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項5】
第一の無線装置が、
データの中継先となる第二の無線装置を選択する中継先選択部と、
データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出するとともに、前記中継先選択部によって選択された第二の無線装置に対して、該第二の無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して同一のデータを送出するデータ送出部とを有し、
前記第二の無線装置が、
前記中継先装置識別情報が付加されたデータを前記第一の無線装置から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、前記データ収集装置に対して、受信されたデータを送出するデータ中継部を有し、
前記データ収集装置が、
前記第一の無線装置および前記第二の無線装置から送出された同一のデータを受信するデータ受信部を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
第一の無線装置が、
データの中継先となる第二の無線装置を選択する中継先選択ステップと、
データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出するとともに、前記中継先選択ステップによって選択された第二の無線装置に対して、該第二の無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して同一のデータを送出するデータ送出ステップとを含み、
前記第二の無線装置が、
前記中継先装置識別情報が付加されたデータを前記第一の無線装置から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、前記データ収集装置に対して、受信されたデータを送出するデータ中継ステップを含み、
前記データ収集装置が、
前記第一の無線装置および前記第二の無線装置から送出された同一のデータを受信するデータ受信ステップを含んだことを特徴とする無線通信方法。
【請求項1】
データの中継先となる無線装置を選択する中継先選択部と、
データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出するとともに、前記中継先選択部によって選択された中継先となる無線装置に対して、該中継先となる無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して同一のデータを送出するデータ送出部と、
前記中継先装置識別情報が付加されたデータを他の無線装置から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、前記データ収集装置に対して、受信されたデータを送出するデータ中継部と
を有することを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記中継先選択部は、複数の他の無線装置の中から自装置との電波強度が所定値以上である無線装置をデータの中継先となる無線装置として選択することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記データ中継部は、他の無線装置を含む複数の無線装置の中で自装置と前記データ収集装置との通信状態が最良である場合に、前記データ収集装置に対して、受信されたデータを送出することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項4】
前記中継先選択部は、データの中継先となる無線装置を複数選択し、
前記データ送出部は、前記中継先選択部によって選択された中継先となる無線装置それぞれに対して、該中継先となる無線装置それぞれを識別する中継先装置識別情報を付加してデータを送出することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項5】
第一の無線装置が、
データの中継先となる第二の無線装置を選択する中継先選択部と、
データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出するとともに、前記中継先選択部によって選択された第二の無線装置に対して、該第二の無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して同一のデータを送出するデータ送出部とを有し、
前記第二の無線装置が、
前記中継先装置識別情報が付加されたデータを前記第一の無線装置から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、前記データ収集装置に対して、受信されたデータを送出するデータ中継部を有し、
前記データ収集装置が、
前記第一の無線装置および前記第二の無線装置から送出された同一のデータを受信するデータ受信部を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
第一の無線装置が、
データの中継先となる第二の無線装置を選択する中継先選択ステップと、
データを収集するデータ収集装置に対してデータを送出するとともに、前記中継先選択ステップによって選択された第二の無線装置に対して、該第二の無線装置を識別する中継先装置識別情報を付加して同一のデータを送出するデータ送出ステップとを含み、
前記第二の無線装置が、
前記中継先装置識別情報が付加されたデータを前記第一の無線装置から受信し、該中継先装置識別情報に自装置が該当する場合に、前記データ収集装置に対して、受信されたデータを送出するデータ中継ステップを含み、
前記データ収集装置が、
前記第一の無線装置および前記第二の無線装置から送出された同一のデータを受信するデータ受信ステップを含んだことを特徴とする無線通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−55374(P2011−55374A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204078(P2009−204078)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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