説明

無線装置

【課題】筐体に占めるタッチパネルの面積比が比較的大きい無線装置のアンテナ特性を損
なわないように、当該無線装置を構成する。
【解決手段】無線装置は、筐体と、前記筐体の第1の面の側に設けられた表示手段と、前記表示手段に対して前記第1の面の側に設けられたタッチセンサと、前記表示手段に対して前記第1の面の側の反対側に設けられた回路基板と、前記筐体に内蔵されると共に前記回路基板に接続され、かつ、前記第1の面に垂直な向きから見て前記タッチセンサの範囲内に位置する第1の部分と、前記第1の面に垂直な向きから見て前記タッチセンサの範囲外に位置する第2の部分を有するように設けられたアンテナ素子とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線装置に係り、特に表示デバイスとタッチセンサからなるタッチパネルを備えた無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶パネルのような表示デバイスとタッチセンサを組み合わせて構成されたタッチパネルが、各種の電子機器(例えば携帯電話機、携帯情報端末、コピー機、携帯ゲーム機、電子辞書、カーナビゲーション装置、家電機器、自動券売機、現金自動支払機、その他)の操作入力手段として用いられている。
【0003】
このようなタッチパネルは、表示デバイスの画面上に表示される操作キーをソフトウェア制御によって多様かつ自在に設定することができるから、機械的な操作キーを用いる場合に比べてはるかに自由度の高い操作入力を可能にするものである。
【0004】
しかし、タッチパネルを携帯電話機のような小型の無線装置に用いるに当っては、注意すべき点がある。最近の携帯電話機のように多種多様な機能を備えてしかも見やすい表示を得るためには、表示デバイスの画面サイズをできるだけ大きくすることが要請される。表示画面の背後には回路基板や電池が収容されることがあるので、無線装置として必須の構成であるアンテナを筐体に内蔵するには、表示画面の枠外に位置する筐体の周辺部分の限られたスペースを用いなければならない。
【0005】
しかるに筐体の周辺部分は、表示画面を覆うように設けられたタッチセンサの周囲に相当し、検知された位置の情報を伝える電気信号用の配線が近傍に設けられる部分である。このような配線がアンテナに近接すると、アンテナの特性に好ましくない影響(例えばインピーダンスの低下、電磁気的干渉等)をもたらすおそれがある。
【0006】
この種の問題に対して、従来、タッチパネルを備えた表示装置にアンテナを内蔵する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。上記の特許文献1に開示された表示装置のタッチパネルは、タッチ操作が有効な領域である操作部と、その周囲に形成される額縁部を有し、当該額縁部の一部にアンテナ部を設ける形に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−48166号公報(第5、8ページ、図2、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に開示された表示装置のアンテナ部はタッチパネルの額縁部に設けられているが、これは特許文献1の図8に示されているように、表示画面に垂直な向きから見たときタッチパネルの支持基板に重なって見える位置である。アンテナの全部をこのように基板と重なる位置に設けることは、上述したアンテナの特性の見地から好ましくない問題を生じる可能性がある。
【0009】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、タッチパネルを備えた無線装置のアンテナ特性を損なわないように当該無線装置を構成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の無線装置は、筐体と、前記筐体の第1の面の側に設けられた表示手段と、前記表示手段に対して前記第1の面の側に設けられたタッチセンサと、前記表示手段に対して前記第1の面の側の反対側に設けられた回路基板と、前記筐体に内蔵されると共に前記回路基板に接続され、かつ、前記第1の面に垂直な向きから見て前記タッチセンサの範囲内に位置する第1の部分と、前記第1の面に垂直な向きから見て前記タッチセンサの範囲外に位置する第2の部分を有するように設けられたアンテナ素子とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アンテナ素子のうちでも給電されたとき相対的に振幅の大きい電圧分布が得られる箇所が、表示画面に垂直な向きから見たときにタッチパネルに隠されない位置にあるようにアンテナ素子を配設することにより、タッチパネルと並存するアンテナの特性低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係る無線装置の外観を表す斜視図。
【図2】本発明の実施例1に係る無線装置の構成を表す正面図。
【図3】本発明の実施例1に係る無線装置の構成を表す側面図。
【図4】本発明の実施例1に係る無線装置の構成を表す背面図。
【図5】図3と同じ図を拡大して第2給電点22、第2アンテナ素子32、第3給電点23及び第3アンテナ素子33を描き加えた図。
【図6】図5に表した第2基板18を延伸した無線装置1の変形例の構成を表す側面図。
【図7】本発明の実施例2に係る無線装置の構成を表す正面図。
【図8】実施例2に係る無線装置を、図7に表したのと同じ向きで左手に持った状態を表す図。
【図9】実施例2に係る無線装置を、図7に表した状態から反時計回りに90度回転させて両手に持った状態を表す図。
【図10】本発明の実施例2に係る無線装置の変形例の構成を表す正面図。
【図11】実施例2に係る無線装置の変形例を、図10に表したのと同じ向きで左手に持った状態を表す図。
【図12】実施例2に係る無線装置の変形例を、図10に表した状態から反時計回りに90度回転させて両手に持った状態を表す図。
【図13】実施例2に係る無線装置の変形例におけるアンテナ素子の構成を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお以下の各図を参照しながら上下左右又は水平、垂直(鉛直)をいうときは、特に断らない限り、図が表された紙面における上下左右又は水平、垂直(鉛直)を意味するものとする。また、各図の間で同一の符号は、同一の構成を表すものとする。
【実施例1】
【0014】
以下、図1ないし図6を参照して、本発明の実施例1を説明する。図1は、本発明の実施例1に係る無線装置1の外観を表す斜視図である。無線装置1は、長方形(図示するように角部にRを持たせた長方形に近い形状を含む。)に厚みを持たせた形状をなす筐体10の正面(使用時に使用者の側を向く面)の側に、タッチパネル11を備えて構成されている。タッチパネル11は、後述するように、例えば液晶等の表示デバイスに透明な材料からなるタッチセンサを重畳させて構成されたものである。タッチパネル11は、表示デバイスの画面上にソフトウェア制御された操作キーを表示して操作入力手段として用いられると共に、各種のテキストや画像を表示することができる表示手段としても用いられる。
【0015】
図2は、無線装置1の主な構成を正面側から(筐体10の正面に垂直な向きから)見て表す正面図である。図3は、無線装置1の主な構成を図2における右側から見て表す側面図である。図3においては、左側が筐体10の正面側、右側が筐体10の正面の反対側に当る背面側にそれぞれ相当する。図4は、無線装置1の主な構成を筐体10の背面側から見て表す背面図である。
【0016】
図2に示すように、筐体10の正面側から視認されるように例えば液晶デバイスからなる表示部12が設けられている。図3を参照すると、表示部12に対して筐体10の正面の側に、タッチセンサ13が設けられている。図2においては、タッチセンサ13を破線の長方形で表している。タッチセンサ13は透明な材料からなり、図2及び図3に示すように筐体10の正面の一部をなすようにして設けられている。図1を参照して説明したタッチパネル11は、表示部12とタッチセンサ13を組み合わせて構成される。
【0017】
図3に示すように、表示部12の背面側には表示部12の機械的強度を補うための補助部材14が設けられている。補助部材14のさらに背面側には、図3における上から順に、第1基板15、電池16、スピーカ17及び第2基板18が設けられている。図4を参照すると、第1基板15、電池16及び第2基板18が、筐体10の背面側の主要な部分を占めることがわかる。第2基板18には、スピーカ17及びマナーモードにおける着信報知等に使用されるバイブレータ19が設けられている。
【0018】
図4に示すように、第1基板15の上辺の中央付近に、第1給電点21及び第2給電点22が設けられている。第1給電点21及び第2給電点22は、第1基板15に搭載された図示しない高周波回路にそれぞれ接続されている。図4に示すように、第2基板18の下辺の左端付近に、第3給電点23が設けられている。第3給電点23は、第1基板15と第2基板18を接続する図示しない接続線(例えば同軸ケーブル)を介して、第1基板15に搭載された図示しない高周波回路に接続されている。なお、第3給電点23は第2基板18に搭載された図示しない高周波回路に接続されるとしてもよい。
【0019】
図4に示すように、第1給電点21、第2給電点22及び第3給電点23には、それぞれ、第1アンテナ素子31、第2アンテナ素子32及び第3アンテナ素子33が接続されている。第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32は、図4における筐体10の上部の実装スペースを利用して筐体10に内蔵されている。第3アンテナ素子33は、図4における筐体10の下部の実装スペースを利用して筐体10に内蔵されている。
【0020】
なお、図3の側面図においては図の煩雑を避けるため上記の各アンテナ素子の図示を省略したが、筐体10の側面から見た場合の実施例1に係る各アンテナ素子の特徴については、後で図5を参照して説明する。図4に示すように、筐体10の上部の実装スペースにおいて、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32に挟まれた箇所にカメラ20が設けられている。
【0021】
図4に示すように、第3アンテナ素子33は先端開放線路から構成され、第3給電点23を介して給電されたときの線路に沿った電圧分布においては、相対的に振幅の大きい電圧が開放端に分布する(先端開放モノポール型アンテナ)。また、相対的に振幅の大きい電流が給電端に分布する。図4においては、図2と同様にタッチセンサ13を破線の長方形で表している。
【0022】
図4に示すように、筐体10を背面図において見たとき(つまり、筐体10の正面に垂直な向きから見たとき。正面図において見る場合も同様。)、第3アンテナ素子33の給電端及び開放端は、それぞれタッチセンサ13の占める範囲の内及び外に位置するように設けられている。
【0023】
前述したように、タッチセンサ13の周辺部分には検知された位置の情報を伝える電気信号用の配線が設けられ、アンテナの特性に好ましくない影響をもたらすおそれがある。特に、アンテナが給電されたとき相対的に振幅の大きい電圧が分布する部分がタッチセンサ13の陰に隠れるようなレイアウトにおいては、そのような影響が大きい。実施例1では、図4に示したように第3アンテナ素子33の開放端がタッチセンサ13の占める範囲の外に位置する(タッチセンサ13に隠されない)配置を選ぶことによって、上記の好ましくない影響を軽減することができる。
【0024】
なお、図4に示すように、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32も、筐体10の正面に垂直な向きから見たとき開放端がタッチセンサ13に隠されないように配置されている。したがって、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32についても、タッチセンサ13の周辺部分の電気信号用の配線がもたらす影響を軽減してアンテナ特性の低下を抑制することができる。
【0025】
上記の筐体10におけるタッチセンサ13の占める範囲の外に位置する部分は、図2又は図4を参照すれば、筐体10を正面に垂直な向きから見たときの筐体10の周辺部分に相当する。これは、図2又は図4において筐体10の正面又は背面の面積に対するタッチセンサ13の占める面積比が比較的大きいことによる。他方、タッチセンサ13の占める面積比がそれほど大きくなければ、タッチセンサ13の占める範囲の外に見える部分は筐体10の周辺部分とは限らない。
【0026】
図5は、図3と同じ無線装置1の側面図を拡大して、第2給電点22、第2アンテナ素子32、第3給電点23及び第3アンテナ素子33を描き加えた図である。図3と同じく、左側が筐体10の正面側、右側が筐体10の背面側にそれぞれ相当する。図中に符号を付して示した構成は、それぞれ図3又は図4に同じ符号を付して示した構成と同じであるから、説明を省略する。
【0027】
図5に示すように、第2アンテナ素子32の第2給電点22に接続された箇所を含む一部は、筐体10の背面側に向かうように形成されている。また、第3アンテナ素子33の第3給電点23に接続された箇所を含む一部は、筐体10の背面側に向かうように形成されている。このように、限られた実装スペースの中でアンテナ素子をできるだけタッチセンサ13から遠ざけるように配置することにより、タッチセンサ13の周辺の電気信号用の配線がアンテナ素子にもたらす影響を軽減することができる。
【0028】
図6は、図5に表した第2基板18の下端の位置が図中の垂直方向においてタッチセンサ13の下端の位置と一致するように、第2基板18を延伸した無線装置1の変形例の構成を表す側面図である。図3又は図5と同じく、左側が筐体10の正面側、右側が筐体10の背面側にそれぞれ相当する。図中に符号を付して示した構成は、それぞれ図5に同じ符号を付して示した構成と同じであるから、説明を省略する。
【0029】
図6は、タッチセンサ13の下端から右横に向かう破線を示している。第3アンテナ素子33のうち上記の破線より上に位置する部分は、図6に記入したように筐体10の正面から見てタッチセンサ13に隠される部分である。図6に示すように第2基板18を下方に延伸したことにより、第3アンテナ素子33の当該タッチセンサ13に隠される部分とタッチセンサ13の間に、第2基板18が配設された形になる。第2基板18に導電性部材(例えば導体パターン)を設けておくことにより、第3アンテナ素子33の当該タッチセンサ13に隠される部分とタッチセンサ13の間に導電性部材が配設される。
【0030】
上記の導電性部材に接地電位を与えれば、第3アンテナ素子33とタッチセンサ13の間のアイソレーション効果を高めることができる。特に、第3給電点23の付近の高周波電流の値が比較的大きい場合にはアイソレーションの改善効果が大である。
【0031】
第1アンテナ素子31、第2アンテナ素子32又は第3アンテナ素子33は、先端開放モノポール型アンテナ以外にも、例えば折り返しモノポール型又は逆F型アンテナを構成するものとしてもよい。また、これら以外の種類のアンテナを構成するものとしてもよい。
【0032】
第1アンテナ素子31、第2アンテナ素子32及び第3アンテナ素子33は、それぞれ、筐体10がなす長方形の一方の短辺の近傍に設けられている。表示部12の占める面積が大きい場合、長方形の長辺の近傍は筐体の強度確保の要請からアンテナ実装スペースを設けることが難しいためである。
【0033】
実施例1のように、複数のアンテナ素子(例えば第1アンテナ素子31と第2アンテナ素子32)を長方形の一方の短辺近傍に設けることができ、また、複数のアンテナ素子(例えば第1アンテナ素子31と第3アンテナ素子33)の一方を上側の短辺、他方を下側の短辺の近傍にそれぞれ設けることができる。
【0034】
実施例1の無線装置1においては、図4に示すように、第1給電点21と第2給電点22が筐体10の上側の短辺の中央付近に設けられている。このような構成により、使用者が無線装置1を横長の状態(図2において左向きに90度回転させた状態)にして両手に持って表示部12の画面を見る場合に、第1給電点21と第2給電点22の位置が片方の手(この場合には左手)の位置に重なってアンテナ性能を損なう可能性を低くすることができる。また、筐体10を組み立てるための嵌合用リブを第1給電点21と第2給電点22から遠ざけることができるので、これらの給電点における破損や接触不良の可能性を低くすることができる。
【0035】
図4に示すように、第1給電点21と第2給電点22の間にカメラ20のような機能部品を設けることができる。アンテナの給電点側は機能部品に含まれる金属近接の影響が高電界箇所(アンテナ素子の先端等)よりも小さくて済むので、2つの給電点の間のスペースを効率的に活用することができる。
【0036】
無線装置1が例えば地上波デジタルテレビジョン放送(DTTB)の受信機能を有する場合、第2アンテナ素子32をDTTB受信用アンテナに利用することができる。使用者が無線装置1を横長の状態にして両手に持って表示部12の画面を見る場合に、第2アンテナ素子32を使用者から見て左上に位置させることにより、第2アンテナ素子32が左手に隠されて受信性能を損なう可能性を下げることができる。
【0037】
以上に説明した本発明の実施例1によれば、筐体に占めるタッチパネルの面積比が比較的大きい無線装置において、アンテナ素子がタッチセンサに隠されることによるアンテナ性能の低下を抑制することができる。
【実施例2】
【0038】
以下、図7ないし図12を参照して、本発明の実施例2を説明する。本発明の実施例2に係る無線装置5は、図1ないし図5に表した実施例1に係る無線装置1と同様の形状及び外観を有しているので、無線装置1との相違について説明する。
【0039】
図7は、無線装置5の主な構成を図2と同様に正面側から見て表す正面図である。無線装置5は、筐体50の正面側に表示部52を備えている。無線装置5は、筐体50の図7における上方に第1給電点61及び第2給電点62を設けると共に、上記の各給電点にそれぞれ接続された第1アンテナ素子71及び第2アンテナ素子72を筐体50に内蔵している。
【0040】
図7に示すように、第1給電点61と第2給電点62が筐体50の上側の短辺の中央付近に設けられている。第1アンテナ素子71の開放された先端は第1給電点61に近づく向きに折り返され、筺体50の上方の短辺の中央付近に位置している。第2アンテナ素子72の開放された先端は第2給電点62に近づく向きに折り返され、筺体50の上方の短辺の中央付近に位置している。
【0041】
図8は、無線装置5を図7に表したのと同じ向きで左手に持った状態を表す図である。各構成の符号の図示は省略する。図8に示すように、上述した第1給電点61、第2給電点62の配置と第1アンテナ素子71、第2アンテナ素子72の形状により、各アンテナ素子の給電点及び相対的に振幅の大きい電圧が分布する先端部分が左手に覆われる可能性を低くすることができる。
【0042】
図9は、無線装置5を図7に表した状態から反時計回りに90度回転させて両手に持った状態を表す図である。各構成の符号の図示は省略する。図9に示すように、上述した第1給電点61、第2給電点62の配置と第1アンテナ素子71、第2アンテナ素子72の形状により、各アンテナ素子の給電点及び相対的に振幅の大きい電圧が分布する先端部分が左手に覆われる可能性を低くすることができる。
【0043】
図10は、無線装置5の変形例である無線装置5Mの主な構成を図7と同様に正面側から見て表す正面図である。無線装置5Mは、無線装置5に第3給電点63、第3アンテナ素子73及び第4アンテナ素子74を付加したものである。第3給電点63は、筐体50の図10における右下方に設けられている。第3アンテナ素子73及び第4アンテナ素子74は、第3給電点63に接続されると共に筐体50に内蔵されている。その他の符号を付して示した構成は、それぞれ図7に同じ符号を付して示した構成と同じであるから、説明を省略する。
【0044】
図10に示すように、第3アンテナ素子73の開放された先端は、第3給電点63に近づく向きに折り返されて筺体50の下方の短辺の中央付近に位置している。第4アンテナ素子74の開放された先端は、筺体50の下方の短辺の中央付近に位置している。
【0045】
図11は、無線装置5Mを図10に表したのと同じ向きで左手に持った状態を表す図である。各構成の符号の図示は省略する。図11に示すように、上述した第1給電点61、第2給電点62及び第3給電点63の配置と、第1アンテナ素子71、第2アンテナ素子72、第3アンテナ素子73及び第4アンテナ素子74の形状により、各アンテナ素子の給電点及び相対的に振幅の大きい電圧が分布する先端部分が左手に覆われる可能性を低くすることができる。
【0046】
図12は、無線装置5Mを図10に表した状態から反時計回りに90度回転させて両手に持った状態を表す図である。各構成の符号の図示は省略する。図12に示すように、上述した第1給電点61、第2給電点62及び第3給電点63の配置と、第1アンテナ素子71、第2アンテナ素子72、第3アンテナ素子73及び第4アンテナ素子74の形状により、各アンテナ素子の給電点及び相対的に振幅の大きい電圧が分布する先端部分が左手又は右手に覆われる可能性を低くすることができる。
【0047】
図13は、図10に表した第3アンテナ素子73及び第4アンテナ素子74の構成を例示する図である。図13に示した例では、樹脂製のアンテナ部材70の表面に板金をインサート成形することにより、第3アンテナ素子73及び第4アンテナ素子74を構成している(アンテナ素子の成形法は上記に限るものではない。)。第3アンテナ素子73は折り返しモノポール型に構成され、第3給電点63と反対側の一端が接地されている。第4アンテナ素子74は、比較的幅広の形状を持つ先端開放モノポール型に構成されている。
【0048】
第3アンテナ素子73の給電端と接地端は、図13に示すようにリアクタンス素子等から構成される整合回路77、78を介して給電または接地されるものとしてもよい。第3アンテナ素子73を構成する往復線路の往路と復路の間に短絡箇所79を適宜設けることにより、第3給電点63から見たインピーダンスを調整することができる。
【0049】
本発明の実施例2によれば、アンテナ素子の配置と形状を選ぶことによって、筐体に占める表示部の面積比が比較的大きい無線装置を手持ちした場合の手によるアンテナ特性への影響を抑制することができる。
【0050】
以上の各実施例の説明において、無線装置、タッチパネル及びアンテナの構成、形状、接続、成形方法、その他の部材の形状、配置等は例示であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまな変形が可能である。例えば、無線装置の筐体は単一に限るものではなく、2以上の筐体を相互に可動にして連結した構成の無線装置に対しても本発明を適用することができる。
【0051】
以下に、本願原出願の特許査定時の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0052】
[1]筐体と、前記筐体の第1の面の側から視認されるように設けられた表示手段と、透明な材料からなり、かつ、前記表示手段に対して前記第1の面の側に前記第1の面の一部をなすようにして設けられたタッチセンサと、前記表示手段に対して前記第1の面の反対側に設けられた回路基板と、前記筐体に内蔵されると共に前記回路基板に含まれる給電点に接続され、かつ、前記第1の面に垂直な向きから見て前記タッチセンサが占める範囲内に位置する第1の部分と、前記第1の面に垂直な向きから見て前記タッチセンサが占める範囲外に位置する第2の部分を有するように設けられたアンテナ素子とを備えたことを特徴とする無線装置。
【0053】
[2]前記アンテナ素子の第1の部分と前記タッチセンサとの間に配置され、接地電位が与えられる導電性部材、をさらに備えたことを特徴とする前記[1]に記載の無線装置。
【0054】
[3]前記アンテナ素子の第1の部分には給電されたとき相対的に振幅の大きい電流が分布し、前記アンテナ素子の第2の部分には給電されたとき相対的に振幅の大きい電圧が分布することを特徴とする前記[1]に記載の無線装置。
【0055】
[4]前記アンテナ素子は、前記給電点に接続された部分を含む一部が、前記筐体の前記第1の面の反対側の面に向かうように形成されたことを特徴とする前記[1]に記載の無線装置。
【0056】
[5]前記アンテナ素子は、先端開放モノポール型、折り返しモノポール型又は逆F型アンテナを構成することを特徴とする前記[1]に記載の無線装置。
【0057】
[6]前記筐体の前記第1の面は長方形をなし、前記アンテナ素子は前記長方形の一方の短辺の近傍に設けられたことを特徴とする前記[1]に記載の無線装置。
【0058】
[7]前記アンテナ素子と別のアンテナ素子が、前記長方形の一方の短辺の近傍にさらに設けられたことを特徴とする前記[6]に記載の無線装置。
【0059】
[8]前記アンテナ素子と別のアンテナ素子が、前記長方形の他方の短辺の近傍にさらに設けられたことを特徴とする前記[6]に記載の無線装置。
【符号の説明】
【0060】
1、5、5M 無線装置
10、50 筐体
11 タッチパネル
12、52 表示部
13 タッチセンサ
14 補助部材
15 第1基板
16 電池
17 スピーカ
18 第2基板
19 バイブレータ
20 カメラ
21、61 第1給電点
22、62 第2給電点
23、63 第3給電点
70
31、71 第1アンテナ素子
32、72 第2アンテナ素子
33、73 第3アンテナ素子
74 第4アンテナ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の第1の面の側に設けられた表示手段と、
前記表示手段に対して前記第1の面の側に設けられたタッチセンサと、
前記表示手段に対して前記第1の面の側の反対側に設けられた回路基板と、
前記筐体に内蔵されると共に前記回路基板に接続され、かつ、前記第1の面に垂直な向きから見て前記タッチセンサの範囲内に位置する第1の部分と、前記第1の面に垂直な向きから見て前記タッチセンサの範囲外に位置する第2の部分を有するように設けられたアンテナ素子と
を備えた無線装置。
【請求項2】
前記アンテナ素子の第1の部分と前記タッチセンサとの間に配置され、接地電位が与えられる導電性部材、
をさらに備えた請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記アンテナ素子の第1の部分には給電されたとき相対的に振幅の大きい電流が分布し、前記アンテナ素子の第2の部分には給電されたとき相対的に振幅の大きい電圧が分布する請求項1に記載の無線装置。
【請求項4】
前記アンテナ素子は、前記筐体の前記第1の面の側の反対側の面に向かうように形成された請求項1に記載の無線装置。
【請求項5】
前記アンテナ素子は、先端開放モノポール型、折り返しモノポール型又は逆F型アンテナを構成する請求項1に記載の無線装置。
【請求項6】
前記筐体の前記第1の面は長方形をなし、前記アンテナ素子は前記長方形の一方の短辺の近傍に設けられた請求項1に記載の無線装置。
【請求項7】
前記アンテナ素子と別のアンテナ素子が、前記長方形の一方の短辺の近傍にさらに設けられた請求項6に記載の無線装置。
【請求項8】
前記アンテナ素子と別のアンテナ素子が、前記長方形の他方の短辺の近傍にさらに設けられた請求項6に記載の無線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−80547(P2012−80547A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232627(P2011−232627)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【分割の表示】特願2009−82341(P2009−82341)の分割
【原出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【特許番号】特許第4902016号(P4902016)
【特許公報発行日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】