説明

無線送信器、無線受信器ならびに無線送信器および無線受信器を有するシステムおよび方法

本発明は、無線送信器(1,4)に関するものであり、この無線送信器には、少なくとも、連続信号(sFMTx(t))を形成する信号発生器(SGEN1)と、送信信号(sTx(t))を送出するアンテナ(ANT1)とが含まれている。上記の信号発生器(SGEN1)の少なくとも1つの出力側と、アンテナ(ANT1)の少なくとも1つの入力側とが接続されている。上記の送信信号発生器(SGEN1)とアンテナ(ANT1)とは、これらの間に接続された遮断ユニット(SW1)を介して接続されており、この遮断ユニットにより、上記の送信信号発生器(SGEN1)とアンテナ(ANT1)との間の信号接続が選択的に遮断または保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線送信器、無線受信器、これらの組み合わせならびにこれらの装置を作動する有利な方法、例えば、UWB("Ultra Wide Band";超広帯域)信号を用いて同期化および/または距離測定を行うための方法に関する。
【0002】
今日の無線位置測定および無線識別システムにおいて、極めて広帯域なUWB信号の使用が増えている。UWBという概念は、米国連邦通信委員会(US Federal Communications Commission FCC)の定義によれば、ふつう信号帯域幅が、この信号の中間周波数の少なくとも20%でありかつ500MHz以上である場合に使用される。
【0003】
UWBシステムにおける問題の1つは、UWB信号の形成および検出である。UWB信号を形成する際には、厳しい法的規制を遵守しまた信号スペクトルが厳格に定められた周波数マスク内になければならない。FCCまたは欧州通信委員会ECC(Europian Electronic Commmunications Committee)から公にされている刊行物には、例えば、上記のスペクトルマスクについての要求が開示されている。ふつうのUWBシステムでは信号として、極めて短いパルス(パルス持続時間はふつう100ps〜1nsの範囲である)および比較的低いパルス繰り返し周波数(1〜100MHz)を使用する。形成した上記の信号が、法的な規則によって要求される極めて小さな平均出力を有するようにするためは、ふつう1:100であるパルス−休止比を選択する必要がある。
【0004】
しかしながら極めて短いパルス持続時間によって、またパルス休止が長いことによってさらに、2つのUWB無線局の信号を同期化させるのにはコストがかかる。この同期化はふつう、専用のハードウェア相関器を用いて行われる。このハードウェア相関器は必須である。それは、UWB信号が極めて広帯域であることに起因して、信号をアナログ−デジタル変換器でデジタル化し、相関ないしは同期化をソフトウェアによって純粋に計算で行うことはこれまでコスト的に見てできなかったからである。ハードウェア相関器による信号比較において不利であるのは、種々異なるシフト時点に対する相関を順次にしか求めることができず、またこれによって1つには時間がかかり(すなわち同期化は段階的ないしは緩慢にしか行われず)またはこの他には不要な出力を消費することである。それは、同期化の最適値(すなわち最大相関)を順次に求めるためには上記の同期化過程に対して多数の信号を送出しなければならないからである。
【0005】
ソフトウェア相関であれば格段に有利になる。それは、ここでは完全の相関を計算して最大相関を決定するために1つのUWB信号だけを送信して受信すればよいことになるからである。しかしながらこの選択肢は、いまのところコスト的に有利に実行することはできない。それは、信号帯域幅が広い場合には、必要なハードウェア的な前提条件が欠けているかないしは極端にコスト高になってしまうからである。
【0006】
すでに説明したように、実際のUWBシステムは、パルス信号によって、またパルス位置変調または振幅変調などの極めて簡単な変調方式によって動作すること多い。基礎となる原理は、例えば、Terence W.Barrettの"History of UltraWideBand (UWB) Radar&Communications: Pioneers and Innovators; http://www.ntia.doc.gov/osmhome/uwbtestplan/barret_history_(piersw-figs).pdf"に記載されている。固有のUWB位置測定システムが扱われている最初の刊行物のうちの1つはUS 5,748,891である。UWB位置測定システムの別の説明は、例えば、US 6,054,950,US 6,300,903およびUS 6,483,461に記載されている。
【0007】
簡単なパルスシステムにおいて共通であるのは、形成するパルスのスペクトルを所期のように形成するのが極めて困難なことである。通例または殊に立案されている欧州許可規定(Europaeische Zulassungsbestimmungen)において必要とされるのは、上記のパルスが極めて定まった包絡線、例えばガウス形状またはcos2形状の包絡線を有しており、これによって上記のパルスが、許認可当局によって要求されるスペクトルマスク内に止まりかつ測波帯に対して極めてわずかな出力しか形成しないようにすることである。しかしながら上記のように短いパルス時間内でこのように振幅を所期のように変更することは、技術的に見れば、極めて困難である。
【0008】
上記のような理由から比較的新しいUWBシステムはますます、択一的に一層複雑な変調方式、例えばOFDM変調も使用するようになって来ている。それは、ベースバンド信号は大抵の場合にD/A変換器によって形成されるが、これまでは信号を比較的狭い帯域幅に制限するかないしは信号を種々異なる複数のサブバンドになお分ける必要であったからである。なぜならば、現在のD/A変換器は、例えば数GHzの帯域幅を有する信号を直接、効率的に形成できないからである。すでに述べたアプローチ、例えばいわゆるUWB−MB−OFDMは、例えば、"Ultra-wideband Communications: an idea whose time has come" Liuqing Yang; Giannakis, G.B., Signal Processing Magazine, IEEE Volume 21, Issue 6, Nov. 2004"第26〜54頁に記載されている。ここでは、得られるスペクトルが複数の帯域に分けられ、各帯域において情報がOFDM変調によって伝送される。
【0009】
DE 101 57 931 C2からは、連続波を送受信して、FMCWシステムに対する無線局を同期化できることが公知になっている。ここでは1つのスイッチがデュプレクサとして、すなわち送信動作と受信動作との間の切換器として使用されるこのデュプレクサは、信号形成ではなく、送信と受信との切り換えだけに使用されるのである。
【0010】
またUS 2,379,395 Aにも、デュプレクサとして送信−受信切換装置を構成するスイッチが示されている。ここにはアナログの周波数変調による、すなわち古典的な無線技術によるデータ/通信システム用の周波数安定化方法が記載されている。この方法はもっぱら純粋な通信システムの周波数安定化に使用され、種々異なるシステムのクロックを同期化することは記載されていない。
【0011】
WO 2005/098465 A2からは、FMCWシステムに基づき、連続波を送受信してクロック装置を同期化する方法が公知である。
【0012】
WO 199 46 161 A1からは、FMCWシステムに基づき、連続波を送受信して距離を測定する方法が公知である。
【0013】
したがって本発明の課題は、例えばUWB無線位置測定システムに対するUWB無線局を簡単かつコスト的に有利に同期化できるようにすることである。
【0014】
この課題は、請求項1に記載した無線送信器、請求項8または16に記載した無線受信器、請求項10に記載した無線送信/受信システム、請求項12に記載した装置ならびに請求項18,20または21に記載した方法によって解決される。有利な実施形態は、例えば、従属請求項に個々にまたはその組み合わせで記載されている。
【0015】
本発明による無線送信器には、連続信号を形成する少なくとも1つの信号発生器と、送信信号を送出するアンテナとが含まれており、上記の信号発生器の少なくとも1つの出力側と、アンテナの少なくとも1つの入力側とが接続されている。さらに上記の送信信号発生器は、中間に接続された遮断ユニットを介してアンテナに接続されており、ここではこの遮断ユニットにより、この送信信号発生器とアンテナとの間の信号接続が選択的に遮断および保持される。パルス周期の持続時間は、送信信号発生器によって形成される連続信号の周波数変調の持続時間よりも短い。
【0016】
上記の無線送信器は、そこで形成された連続信号、例えば周波数変調された連続信号をパルス信号に変換する。連続信号の形成は広く知られており、またコスト的に有利に変換できるため、上記の無線送信器も、わずかな追加コストだけで実現可能である。例えば、周波数変調されたパルス状の信号を使用する際には、周波数変調された連続信号に有効であることが示された方法を、本発明の教示の下で、また本発明による相応の適合化の下で使用して、UWB信号における同期化および距離測定を行うことができる。
【0017】
上記の遮断ユニットによる信号接続の選択的な遮断および保持は、有利にはこの遮断ユニットに外部から加えられる切換信号を用いて行われる。
【0018】
上記の遮断ユニットによる信号接続の選択的な遮断および保持は有利には、少なくとも区分的に規則的な間隔で行われる。
【0019】
この際に殊に有利であるのは、上記の遮断ユニットによる信号接続の選択的な遮断および保持が、固定のパルス周期で行われることである。
【0020】
上記の送信信号発生器によって形成される連続信号が、少なくとも区分的に線形の周波数変調信号である場合も有利である。
【0021】
上記のパルス周期の持続時間が、上記の信号発生器によって形成される連続信号の周波数変調の持続時間よりも短いと、殊に少なくとも10倍小さいと有利である。
【0022】
上記の信号発生器によって形成される連続信号の周波数変調の持続時間が100μs〜100msである場合も有利である。
【0023】
殊に有利であるのは、連続信号を形成する送信信号発生器および信号接続を選択的に遮断および保持する遮断ユニットがそれぞれのクロック信号から駆動制御される無線送信器であり、ここでこれらのクロック信号は、既知の互いに確定した関係を有する。
【0024】
殊に有利であるのは、送信信号発生器および遮断ユニットが駆動制御のためにデジタル電子装置に接続される場合であり、ここでこのデジタル電子装置により、共通のクロックベースに基づいてそれぞれのクロック信号が形成される。
【0025】
ここで殊に有利であるのは、形成したクロック信号をデジタル電子装置に送出するクロック発生器を有する無線送信器である。このデジタル電子装置により、上記の送信信号発生器に入力するための導出された第1のクロック信号と、上記の遮断ユニットに入力するための導出された第2のクロック信号とが形成される。上記の送信信号発生器は、導出された第1のクロック信号に基づいて連続信号を形成し、この信号が遮断ユニットに入力される。上記の遮断ユニットは、導出された第2のクロック信号に基づいて、送信信号発生器とアンテナとの間の信号接続を選択的に遮断および保持する。
【0026】
この無線送信器において殊に有利であるのは、上記の遮断ユニットが、外部から駆動制御可能なスイッチ、例えばPINダイオード、ミキサ、トランジスタまたはマイクロメカニカル素子を含む場合である。
【0027】
上記の課題はまた、周波数変調されたパルス状の無線信号を受信する無線受信器によって解決され、ここではこの無線受信器を構成して、周波数変調されたパルス状の受信無線信号から、対応するスペクトル線の少なくとも1つの対が抽出されるようにする。例えば、対応するスペクトル線の対から本発明によって量が計算され、ここでこの量は、周波数変調された連続信号に対する公知の方法を使用できるようにする量である。
【0028】
この際に殊に有利であるのは、対応するスペクトル線対のスペクトル線が、同じ次数および既知の対称位置を有する場合である。
【0029】
上記の無線受信器は有利には、対応するスペクトル線対から周波数のずれおよび/または時間のずれが決定されるように構成されている。
【0030】
さらに上記の無線受信器は有利にはつぎのように構成される。すなわち、計算した周波数のずれおよび/または時間のずれに基づいて、周波数変調されたパルス状の無線信号を送出した無線送信器のクロックに同期化されるように構成されるのである。
【0031】
有利には対応するスペクトル線対のスペクトル線は、同じ次数および既知の対称位置を有する。
【0032】
上記の無線受信器は有利には、対応するスペクトル線対から周波数のずれおよび/または時間のずれが決定されるように構成されている。
【0033】
この場合に上記の無線受信器は有利にはつぎのように構成される。すなわち、計算した周波数のずれおよび/または時間のずれに基づいて、周波数変調されたパルス状の無線信号を送出した無線送信器のクロックに同期化されるように構成されるのである。
【0034】
上記の課題はまた、上で説明した少なくとも1つの無線送信器と、これに合わせて構成した無線受信器、例えば上で説明した少なくとも1つの無線受信器からなる無線送信/受信システムによって解決される。
【0035】
殊につぎのようなシステム、すなわち無線送信器と無線受信器とが共通のクロックベースを供給する同じクロック源を有するシステムは有利である。
【0036】
上記の課題はまた、無線送信/受信システムを同期化するおよび/または応答装置との距離を測定する少なくとも1つの無線送信/受信システムを有する装置によって解決される。
【0037】
上記の応答装置は有利には、さらに先でも説明するように、第2の無線送信/受信システムを含むトランスポンダとして実施される。
【0038】
択一的には上記の応答装置は有利には、さらに先で説明するように、後方散乱トランスポンダとして実施することが可能である。
【0039】
本発明はまた、無線受信器、例えば無線送信/受信システムに使用される無線受信器によっても解決され、ここでこの無線受信器は、少なくとも1つのミキサを有しており、このミキサは、受信信号と混合信号とを混合し、これによって同期化または距離測定のために測定信号を形成する。ここでこの混合信号は、上記の送信信号発生器の信号と類似の変調または同じ変調を有する。
【0040】
ここで「類似」とは、例えば、上記の変調が、送信信号発生器の信号を基準にして時間のずれΔtおよび/または周波数のずれΔfを有することである。搬送周波数における周波数のずれにより、ふつうまた殊にすべてのクロックが共通の1つのクロックから導出される場合、上記の変調速度、すなわち変調が行われる速度は異なる。
【0041】
本発明はまた、無線受信器の測定信号を形成および評価する方法によって解決され、ここでは上記の信号発生器とアンテナとの間の信号接続の遮断および保持を実行して、測定信号におけるこの信号接続が、実際のサンプラによる時間離散化になるようにし、また上記の信号接続の遮断および保持を遮断ユニットによって時間的に行って、上記の測定信号に対してサンプリング定理が満たされるようにする。
【0042】
このために殊に有利であるのは、上記のサンプリング周波数を少なくとも測定信号の帯域幅の2倍に選択し、また上記の信号接続を保持する持続時間を、上記測定信号に発生する最大周波数の逆数よりもはるかに短く、例えばファクタ10よりも短くすることである。
【0043】
これにより、上記のように時間的に離散化された測定信号の情報をフィルタリングまたはスペクトル解析によって完全に再現して抽出することができる。すなわち、基本的には測定信号が、あたかも上記の遮断ユニットが存在しないかのように形成されるのである。
【0044】
上記の課題はまた、相応する無線送信器と無線受信器とを組み合わせることによって解決される。
【0045】
さらに本発明は少なくとも1つの無線送信器と、少なくとも1つの無線受信とを同期化する方法によって解決され、ここで無線送信器のうちの少なくとも1つは、連続信号を形成するための少なくとも1つの信号発生器と、送信信号を送出するためのアンテナとを有する。上記の無線送信器は、連続信号から、アンテナに至る信号接続を選択的に遮断および保持することにより、アンテナを介してパルス状の無線信号を放射する。上記の無線受信器は、受信したパルス状の無線信号から、対応するスペクトル線の少なくとも1対を抽出してここから周波数のずれおよび/または時間のずれを決定し、これに基づいて無線受信器は無線送信器のクロックに同期化されるのである。
【0046】
本発明はまたトランスポンダの距離測定および/または位置決定方法によって解決され、無線送信器には、連続信号を形成するための少なくとも1つの送信信号発生器と、送信信号を送出するためのアンテナとが含まれている。この無線送信器は、上記の連続信号から、アンテナへ至る信号接続を選択的に遮断および保持することにより、アンテナを介してパルス形状の無線送信信号をトランスポンダの方向に放射する。このトランスポンダは、この信号を変調して無線受信器の方に反射する。この無線受信器は、受信したパルス状の無線信号から少なくとも1つのスペクトル線を抽出して、ここからトランスポンダの距離および/または位置を決定する。
【0047】
以下では制限的でなくまた単に概略的に、実施例に基づいて本発明をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】UWB無線送信器の略図である。
【図2】UWB無線受信器の第1実施形態を略示する図である。
【図3】UWB無線受信器の第1実施形態を略示する図である。
【図4】UWB無線受信器の第1実施形態を略示する図である。
【図5】周波数スペクトルおよびスペクトル線をプロットした線図である。
【図6】受信した信号およびローカルで形成した信号の周波数を時間についてプロットした線図である。
【0049】
図1には、使用する無線送信信号を形成する装置(無線送信器1)の基本原理が示されている。無線送信器1の信号発生器SGEN1により、有利には線形の周波数変調信号SFMTx(t)が形成される。この信号は、スイッチSW1を用いてスイッチ信号ssw(t)によってクロック制御されて遮断されるため、パルス状に変調されまた付加的に周波数変調されたUWB送信信号STx(t)が形成される。ふつう上記のスイッチ信号により、スイッチは、例えば約100ps〜10nsの間、閉じられ、また約10〜1000倍の長さで開かれる。このようなスイッチがさまざまな手法で、例えばPINダイオードによって、ミキサによって、トランジスタによって、または場合によってマイクロメカニカルな構成素子によって実現できることは当業者には公知である。周波数変調(すなわち例えば線形の周波数変調では周波数ランプの持続時間)は、パルス周期の数オーダである持続時間を有するべきである。有利な値は、例えば、100マイクロ秒〜100ミリ秒の範囲とすることができる。有利には上記の回路の中心的な素子は、共通のクロックベース(例えば水晶発振器CLK1)からすべてのクロック信号を導出するデジタル電子装置DIGE1であるため、この回路におけるすべての信号のすべてのクロック周期ないしは周波数は、互いに既知の確定的な関係にある。そうでない場合、周波数のずれから、測定および同期化中に発生する時間のずれを推定できないことが多い。経過した時間の1ppmおよび30msだけ周波数が異なる場合、30nsの付加的な時間のずれが得られる。無線信号による距離測定ではこの時間のずれは、数メートルの距離測定誤差に相当する。
【0050】
図2には、図1の装置によって形成した無線信号を受信する装置(無線受信器2)の基本原理が示されている。本発明では図1および2の装置は組み合わされて本発明の第1の装置になり、この装置により、2つの無線局は互いに同期化することができる。本発明の第2の装置は、2つの無線局がそれぞれ2つの装置(すなわちそれぞれ図1および図2の装置)を含み、これによって無線信号が往復送信できる場合に得られる。この本発明の第2の装置は、殊に2つの無線局間の距離を決定するのに有利である。
【0051】
図2の装置においても、図1の装置の場合と同様に有利には(上記を参照されたい)すべてのクロックないしは信号は共通のクロックベース(CLK2, DIGE2)から導き出される。
【0052】
信号発生器SGEN2は、(図1で説明したのと同様に)周波数変調信号SFMRx(t)を形成する。
この信号は有利には同じ形成ルールにしたがって組み立てるべきであり、すなわち、信号SFMTx(t)とできる限り同じ変調を有するべきである。この信号は、ミキサMIXにおいて、受信UWB信号sRx(t)と混合されて、信号Smix(t)が得られる。単純化して歪みのない理想的なチャネルを前提とすると、受信信号sRx(t)は、送信信号sTx(t)に相当するが、これは信号伝搬時間τによって遅延され、伝送によって係数αだけ減衰される。
【0053】
上記の混合された信号は、ミキサから、フィルタFLTおよびアナログデジタル変換器ADCを介して、信号評価ユニットSAEに供給される。この評価ユニットにおいて信号が評価されて別の量を計算することができる。これらの量を用いて引き続き、上記の信号発生器のクロックパラメタおよび周波数パラメタを変更することができる。
【0054】
例えば入力電力を増大するため、また場合によってはミキサMIXにより、外部に抜ける高周波信号成分を一層良好に絶縁するため、アンテナANT2とミキサMIXとの間に、受信信号を増幅するLNA(low noise amplifierρノイズアンプ)を使用することができる。択一的には方向性結合器を使用することも可能である。
【0055】
システマティックで理論的な考察を行うためにつぎを前提とする。すなわち、上記のスイッチ信号ssw(t)により、上記の周波数変調された信号SFMTx(t)が、パルス状のアパーチャ関数p(t)によって周期的に重み付けられるとする。すなわち、
【数1】

とする。
【0056】
簡単なアパーチャ関数は、例えば、矩形関数とすることができ、すなわち、幅T0を有しかつ周期Tで繰り返されるパルスとすることが可能である。この場合に、
【数2】

となる。
【0057】
上記のミキサは、マルチプライヤのように動作するため、受信ミキサMIXの後段には
【数3】

の形の信号が発生する。
【0058】
簡単のため、ここではすべての振幅係数および減衰係数を省略した。それはこれが、いずれにせよ結果を線形にスケーリングするだけだからである。
【0059】
上記の式からわかるのは、混合信号smix(t)は、パルス変調されていない2つの信号の混合積、すなわちsmixc(t)として得られ、これらの連続信号のこの混合積がパルス列だけで重み付けられることである。有限のアパーチャ時間を有する実際のサンプラに対するサンプリング定理から知られているのは、上記のアパーチャ関数を用いた周期的なサンプリングにより、つぎのような作用が得られることである。すなわち、
a) 周期Tを有する周期的なパルス列によるsmixc(t)のサンプリングにより、smix(t)のスペクトルにおいて、周期1/Tを有するsmixc(t)のスペクトルの周期的な繰り返しが得られる。
【0060】
b) 広く知られたサンプル条件が満たされる場合、信号smixc(t)は、サンプリングされた信号smix(t)から完全に再現することができる。
【0061】
c) 時間領域におけるアパーチャ関数p(t)との周期的な乗算によってスペクトルにおいてつぎが得られる。すなわち、smixc(t)のスペクトルは、周期的に繰り返されるだけでなく、さらにアパーチャ関数のフーリエ変換と重み付けされることになる。
【0062】
上記のことによって結論されるのは、パルス化された信号を本発明にしたがって処理することによって、計算される出力量を、有利にもまた驚いたことにも、クロック装置の同期化およびFMCW無線信号による無線局間の距離測定ないしは伝搬時間測定のためのすべての方法に使用できることである。ここでこれが可能になるのは、サンプリングの際ないしはパルス列を形成する際に所定のルールが守られ、また信号を評価する際にサンプリングの作用が考慮される場合である。
【0063】
パルス化された信号と、パルス化されていない信号との間の上で述べた関係の結果として、UWB無線局を同期化する方法および装置を説明する際にまず連続的な場合を考察する。すなわち、これらの考察により、例えばまずsmixc(t)が得られるが、この場合には上記にならって簡単にパルス化されたケースに転用することができる。
【0064】
測定の開始時(t=0)に、同期化過程ないしは距離測定過程に関与する2つの局のうちの1つ(局1)により、線形の周波数変調信号が送出される。この信号は、伝搬時間τの後、第2の局に達する。帯域幅Bs,ランプ持続時間Tsおよび開始周波数fsによって特徴付けられかつ局によって受信される2つの受信信号の周波数経過は、図6に示されている。
【0065】
第2の局の信号発生器により、上記の受信信号に類似の信号が形成される。このローカルに形成される信号sFMRx(t)と、受信信号とは、2つの局が異なる時点に起動されたために、時間のずれΔtだけ異なっており、また周波数のずれΔfだけ異なっている。ここでこの周波数のずれは、2つの局の信号形成に利用されるクロック源が異なることによって発生するものである。上記のローカルに形成された信号の周波数経過も図6に示されている。
【0066】
第1の局によって距離測定を可能とするためには、第2局はまずそのローカルに形成される信号と、受信信号とを同期化しなければならない。時間および周波数のずれを補正した後、最終的にこのローカルで形成した信号を既知の遅延時間で第1の局に返送する。これによって第1の局は、第2の局に対するその距離を標準FMCWレーダ原理にしたがって求めることができる。
【0067】
上記の受信信号とローカルで形成した信号との間の時間および周波数のずれを決定するため、2つの信号を違いに混合/乗算して混合信号をローパスフィルタリングする。ローパスフィルタを通した混合信号smd,flt(t)は、
smd,flt(t)
= C1cos(2πΔf(t-Δt)+πBs(-2tΔt+Δt2)/Ts+C2) ∀t∈(τ+Δt,τ+Ts) (4)
と表される。ここでC1は、受信した信号またローカルで形成した信号の振幅によって決定される定数である。定数C2は、開始周波数fsおよび2つの正弦波信号の開始フェーズに依存する。
【0068】
ローパスフィルタでフィルタリングした混合信号の周波数
fsmd,flt = Δf-BsΔt/Ts ∀t∈(τ+Δt,τ+Ts) (5)
は、時間のずれΔtおよび周波数のずれΔfだけに依存する。BsおよびTは、一定のシステムパラメタである。ローパスフィルタでフィルタリングした混合信号の周波数が、上昇ランプ(f1)および下降ランプ(f2)中にFFTアルゴリズムによって決定される場合、
f1 = Δf-BsΔt/Ts ∀t∈(τ+Δt,τ+Ts) (6)
f2 = Δf+BsΔt/Ts ∀t∈(τ+Δt,τ+Ts) (7)
により、線形の連立方程式が得られる。解として時間および周波数のずれ、
【数4】

が得られる。
【0069】
式(8)および(9)にしたがって時間および周波数のずれを計算した後、上記のローカルで形成される信号を受信信号に合わせることができる。
【0070】
図1にしたがって形成したUWB信号を使用する際の決定的な違いは、f1およびf2における周波数の線が(ないしはIQミキサを使用せず、ひいては実数値の測定信号だけが得られる場合には-f1および-f2における周波数の線も)周期的に繰り返され、しかも
f1n+=n・1/T+f1 und f1n-=n・1/T-f1 (10)
f2n+=n・1/T+f2 und f2n-=n・1/T-f2
にしたがって繰り返される。
【0071】
サンプルパルスは比較的短いパルスでなければならず、また測定信号のスペクトルは、線形の変調において1次の線スペクトルであるため、上記のb)で示したスペクトル的な重み付けの作用はすべて無視することができる。
【0072】
したがって上記のa)で示したスペクトルの周期的な繰り返しの作用を考慮しなければならない。測定したスペクトルにおいて、有利には同じ既知の次数kの、また既知の対称位置(+または−)の2つのスペクトル線f1kおよびf2kを抽出して、ここからf1およびf2を導き出して上記の式に代入しなければならない。
【0073】
上記のスペクトル線の次数および対称位置を一義的に検出するためにはさまざまな選択肢がある。
【0074】
1) 狭帯域FMによる事前同期化
同期化に対してBs < 0.5/Tの帯域幅を使用する場合、UWBサンプリングによる周期的な継続に起因するミラー周波数(図5を参照されたい)は、評価すべきスペクトル領域にない。したがってスペクトル線の次数に対してn=0であり、対称位置は一義的である。
【0075】
2) 付加的な周波数のずれΔfz
2つの局のうちの1局を付加的な周波数のずれΔfzだけずれさせて、周波数f1およびf2が、式(6)および(7)
f1 = Δf+Δfz-BsΔt/Ts f2 = Δf+Δfz-BsΔt/Ts (11)
より、つねに正であるようにする。これによって対称位置は一義的に決定される。
【0076】
3) Δfが小さいと仮定する。この場合、補正は妥当な周波数対の組み合わせから得ることができる。
【0077】
4) スィープパラメタの変更:同期化に対して比較的高い帯域幅Bs < 0:5/Tを使用する場合、UWBサンプリングによるスペクトルの周期的な継続に起因して、評価すべきスペクトル領域に複数のミラー周波数が生じる。スイープ帯域幅Bsまたはスイープ持続時間Tsなどのスイープパラメタを変更する場合、上記のミラー周波数の位置がシフトする。このシフトから次数および対称位置を推定することができる。
【0078】
5) 事前同期化は、通常の無線通信を介して得ることができる。このために例えば2つの局に既知の複数のバイナリ列を伝送し、これらの相関を介してクロックの大まかな同期化を行うことができる。
【0079】
例1
上記のFMCW変調信号は、矩形にサンプリングされる。これに使用されるスイッチ信号は9nsオン、991nsオフである。スイープの開始周波数は6.8GHz、終了周波数は7.7GHzであり、これによって帯域幅はBs=900MHzである。スイープ持続時間はTs=10msであり、ピーク出力は-3dBmである。
【0080】
通常の無線通信によって事前同期化が5μsで精確に得られる場合、調べようとするスペクトル線に対して約0.45MHzの最大周波数偏差が発生する。UWBサンプリングによるスペクトルの周期は1MHzであるため、スペクトル線を直接対応付けることが可能である(n=0)。
【0081】
例2
FMCW変調信号に対して例1と同じ周波数領域を使用し、スイッチ時間も等しくする。しかしながらスイープ持続時間はわずかに2msとする。通常の無線通信により、精確に100μsの事前同期化が達成される。
【0082】
ここでは第1の同期化ステップにおいてスイープ帯域幅は10MHzに低減される。これによって約0.5MHzの最大周波数変化が得られるため、ここでもスペクトル線を直接対応付けることができる。狭い帯域幅によって事前同期化は1μsになるため、第2同期化ステップにおいて、全帯域幅による同期化を行うことができる。
【0083】
事前同期化は、時間的にわずかにずらしたN個のスイープを使用して測定信号(ないしはそのスペクトル線)の振幅経過を評価することによって行うことも可能である。振幅が大きくなればなるほど上記の同期化が良好になるか、ないしは周波数対の次数が低くなる。
【0084】
第1の事前同期化の後、例えば図3に示した無線受信器3の第2実施形態の例のようにS&Hモードに切り換えることが有利なこともある。ここでは受信器3に「サンプルアンドホールド(S&H)」素子が設けられ、この素子はつねに、まさに実際に反射したパルスが生じた場合に、受信したパルス列をサンプリングして値を得るのである。しかしながらこのために必要であるのは、サンプリンクパルス列と、受信したパルス列とを同期化することである。上記の事前同期化は、上記の方法により、S&Hを用いずに行うことができるかまたは相関によって適応的に行うこともでき、ここでこれは2つのパルス列をゆっくり互いにずらして、相関の最大値を決定することによって行われる。
【0085】
S&Hを行わない変形実施形態に対する同期的なサンプリングを有するこの変形実施形態の利点は、受信分岐路において格段に小さな増幅しか必要でないことであり、また格段に良好なSN比を期待できることである。それは、信号がなくノイズだけがある長い区間にわたって平均を求める必要がないからである。
【0086】
同期的なサンプリングの際に所要の事前同期化によって付加的なコストが発生したとしても、この付加的なコストは、ふつうの相関的なパルスシステムによりも小さい。すなわちパルス持続時間は、格段に長くすることができ、また同期化はあまり精確である必要はない(原理的にはパルス列がどことなくかなり重なっていても十分である)。それは、精度の高い相関が、従来と同じくFM変調ベースで計算によって行われ、広い帯域幅がFM変調によって形成され、必ずしもパルスによって行われないからである。これによって同期化ないしはハードウェア相関は、ふつうのパルスUWBシステムの場合よりも格段に簡単かつ格段に高速になる。また上記の測定を一層高速かつ良好なエネルギー効率で行うことできる。それは各測定の際に、パルスシステムの場合よりも10〜100倍大きな伝搬時間領域をカバーできるからである。
【0087】
一般的には事前同期化をつぎのように行うことができる。すなわち、第1のスペクトル線対をサンプリングしつぎに第1のサンプリングした後、スイッチクロックに同期化して、SN比を改善することによって行うことが可能である。
【0088】
上記のUWB−FMCWレーダの基本的なアイデアは、類似の形態で、いわゆる後方散乱モジュレータないしは後方散乱トランスポンダを有する位置測定システムにも転用可能である。これについては図4を参照されたい。このためには上記の送信器および受信器を共通の送信/受信ユニット4に配置して、後方散乱する信号の伝搬時間を決定する。
【0089】
後方散乱モジュレータないしは後方散乱トランスポンダ5への距離を測定するため、図2の素子を有する図1の装置を図4に拡張する。ここからわかるように上記の送信信号を周期的なアパーチャ関数によってサンプリングして、法的な規則に相応してUWB信号が形成できるようにする。後方散乱モジュレータ5では上記の送信信号が変調されて反射される。ふつうは変調関数により、アンテナANTBの後方で、複素数の反射係数の値および/または位相が、変調可能な整合ネットワークMANで変調される。受信ミキサMIXの後段の混合信号は、
【数5】

となる。
【0090】
上記の式から分かるのは、混合信号smix(t)が、パルス変調されていない2つの信号の混合積、すなわちsmixc(t)として得られ、これらの連続信号のこの混合積がサンプリング列だけで重み付けられることである。
【0091】
すなわちm(t)の変調周波数を十分に低く選択するかないしはサンプリングの周期Tを十分に小さくしかつアパーチャ時間を十分に短くすると、信号smix(t)における情報は精確に、連続的に送信する変形実施形態(すなわちSW1がつねに閉じられているかのように)によって得られる情報に相当する。
【0092】
有利には最高周波数m(t)を選択して、0.5/Tよりも小さいサンプリング周波数の半分よりも小さくなるようにする。有利にはさらに最低周波数m(t)を選択して、スイープ持続時間の逆数よりもはるかに大きくなるようにする。有利にはUWBパルスの持続時間を選択して、この持続時間が、信号m(t)に発生する最高周波数の逆数よりもはるかに短くなるようにする。
【0093】
図4にしたがってシステムを設計するための、またFMCW変調信号をパルス状にサンプリングすることによってUWBパルスを形成するための有利なパラメタは、例えば、パルス持続時間9ns; パルス休止時間991nm; FMCWスイープの最低周波数:fMinSweep 6.8GHz; FMCWスイープの最高周波数:fMaxSweep 7.7GHz; FMCWスイープの持続時間 100ms; 最高周波数m(t)約400kHzである。
【0094】
m(t)が、周期持続時間Tm=1/fmおよび帯域幅<<0:5/Tを有しかつ帯域が制限された周期的な信号である場合、図5に示した形態の時間信号smix(t)のスペクトルSmix(f)が得られる。
【0095】
変調周波数の中心として対称になっているスペクトル線の間隔Δf(左側のスペクトル線はそれぞれ縦軸における負の周波数成分の鏡像である)は、距離に比例する。変調周波数を中心として対称になっている2つのスペクトル線の位相を、距離測定および速度測定に使用することも可能である。
【0096】
説明した上記の後方散乱システムは主に、到達距離が短く、電力を節約しまたコスト的に有利な位置測定システムに殊に有利に使用可能であり、例えば、(家、車両および計算機に対する)エントリシステム、(展示会場で、博物館において、機械の製作および保守において、ならびに障害者または高齢者のサポートのため)コンテキスト依存の情報伝送システム、RFIDシステム、ロジスティック、ならびに自動化技術また医療におけるツールおよびロボット/ロボットアームの高精度の位置測定に使用可能である。
【0097】
上記の実施例は、本発明またはその適用を如何なる意味でも制限しようとしたものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送信器(1,4)において、
当該無線送信器は、少なくとも
− 連続信号(sFMTx(t))を形成する信号発生器(SGEN1)と、
− 送信信号(sTx(t))を送出するアンテナ(ANT1)とを有しており、
− 前記の送信信号発生器(SGEN1)の少なくとも1つの出力側は、前記のアンテナ(ANT1)の少なくとも1つの入力側に接続されている形式の無線送信器において、
− 前記の送信信号発生器(SGEN1)とアンテナ(ANT1)とは、これらの間に接続された遮断ユニット(SW1)を介して接続されており、ここで該遮断ユニットにより、送信信号発生器(SGEN1)とアンテナ(ANT1)との間の信号接続が選択的に遮断または保持され、
− 当該の信号接続の選択的な遮断および保持は、前記の遮断ユニット(SW1)により、当該遮断ユニット(SW1)に外部から加えられる切換信号(ssw(t))を用いて行われ、
− 前記の信号接続の選択的な遮断および保持は、遮断ユニット(SW1)により、少なくとも区分的に規則的な間隔で行われ、パルス周期の持続時間は、前記の送信信号発生器(SGEN1)によって形成される連続信号の変調周波数の持続時間よりも短いことを特徴とする
無線送信器。
【請求項2】
前記の送信信号発生器(SGEN1)によって形成される連続信号は、少なくとも区分的に線形に周波数変調された信号(sFMTx(t))である、
請求項1に記載の無線送信器(1,4)。
【請求項3】
例えば固定のパルス周期を有する前記のパルス周期の持続時間は、前記の送信信号発生器(SGEN1)によって形成される連続信号の周波数変調の持続時間よりも、例えば少なくとも10倍短い、
請求項2に記載の無線送信器(1,4)。
【請求項4】
前記の連続信号(sFMTx(t))を形成する信号発生器(SGEN1)および前記の信号接続を選択的に遮断および保持する遮断ユニット(SW1)は、それぞれクロック信号(ssw(t))によって駆動制御され、
当該の複数のクロック信号は、互いに既知の確定した関係を有しており、
前記の送信信号発生器(SGEN1)および遮断ユニット(SW1)は、前記の駆動制御ためにデジタル電子装置(DIGE1)に接続されており、
該デジタル電子装置は、共通のクロックベースに基づいて前記の各クロック信号(ssw(t))を形成する、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の無線送信器(1,4)。
【請求項5】
− 前記無線送信器(1,4)は、クロック発生器(CLK1)を有しており、該クロック発生器は、形成したクロック信号を前記のデジタル電子装置(DIGE1)に送出し、
− 当該のデジタル電子装置(DIGE1)により、前記の送信信号発生器(SGEN1)に入力するための導出された第1クロック信号と、前記の遮断ユニット(SW1)に入力するための導出された第2クロック信号(ssw(t))とが形成され、
− 前記の送信信号発生器(SGEN1)により、前記の導出された第1のクロック信号に基づいて、前記の連続信号(sFMTx(t))が形成されて、当該連続信号が遮断ユニット(SW1)に入力され、
− 当該の遮断ユニット(SW1)により、前記の導出された第2のクロック信号(ssw(t))に基づいて、前記の送信信号発生器(SGEN1)とアンテナ(ANT1)との間の信号接続が選択的に遮断および保持される、
請求項4に記載の送信器(1,4)。
【請求項6】
無線受信器(2,3,4)において、
該無線受信器を構成して、パルス状の周波数変調された受信無線信号(sRx(t))から、対応する少なくとも1つのスペクトル線の対(f1k, f2k)が抽出され、例えば同じ次数(k)および既知の対称位置のスペクトル線(f1k, f2k)が抽出されるようにしたことを特徴とする、
例えば請求項1から5までのいずれか1項に記載の無線送信器のパルス状の周波数変調された無線信号(sRx(t))を受信する無線受信器(2,3,4)。
【請求項7】
前記の無線受信器を構成して、対応するスペクトル線対(f1k, f2,)から周波数のずれおよび/または時間のずれが決定され、例えば当該の計算した周波数のずれおよび/または時間のずれに基づいて、前記の周波数変調されたパルス状の無線信号(sRx(t))を送信した無線送信器(1,4)のクロックに同期化されるようにした、
請求項6に記載の無線受信器(2,3,4)。
【請求項8】
無線送信/受信システムにおいて、
該無線送信/受信システムは、請求項1から5までのいずれか1項に記載の少なくとも1つの無線送信器(1,4)と、当該の無線送信器(1,4)から送出された信号を受信する少なくとも1つの無線受信器(2,3,4)、例えば請求項6または7に記載の無線受信器(2,3,4)とを有することを特徴とする、
無線送信/受信システム。
【請求項9】
前記の無線送信器(1,4)および無線受信器(2,3,4)は、共通のクロックベースを供給する同じクロック源(CLK1)を有する、
請求項8に記載の無線送信/受信システム(4)。
【請求項10】
少なくとも1つの無線送信/受信システム(4)を有する装置において、
当該の無線送信/受信システム(4)を同期化するために請求項8または9に記載の無線送信/受信システム(4)を有することを特徴とする装置。
【請求項11】
少なくとも1つの無線送信/受信システムを有する装置において、
応答装置との距離測定のために請求項9または10に記載の無線送信/受信システムを有することを特徴とする装置。
【請求項12】
前記の応答装置は、請求項16または17に記載の第2の無線送信/受信システム(4)を含むトランスポンダとして実施されている、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
応答装置は、後方散乱トランスポンダ(5)として実施されている、
請求項8から11までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
無線受信器(2,3,4)において、
該無線受信器は、少なくとも1つのミキサ(MIX)を有しており、
ここで当該のミキサは、受信信号と、混合信号(sFMTx(t), sFMTx(t))とを混合して同期化または距離測定のために測定信号(smd(t))を形成し、
前記の混合信号は、送信信号発生器(SGEN1)の信号と類似または同じ変調を有する、
請求項8から13までのいずれか1項に記載の装置に使用される無線受信器(2,3,4)。
【請求項15】
前記の類似の変調は、送信信号発生器(SGEN1)の信号を基準にして時間のずれおよび/または周波数のずれを有する、
請求項14に記載の無線受信器(2,3,4)。
【請求項16】
請求項14または15に記載された無線受信器(2,3,4)の測定信号(smd(t))を形成および評価する方法において、
前記の信号発生器(SGEN1)とアンテナ(ANT1)との間の信号接続の遮断および保持を実行して、測定信号(smd(t))における当該の信号接続が、実際のサンプラによる時間離散化になるようにし、
前記の信号接続の遮断および保持を前記の遮断ユニット(SW1)によって時間的に行って、前記の測定信号(smd(t))に対してサンプリング定理が満たされるようにしたことを特徴とする、
無線受信器(2,3,4)の測定信号(smd(t))を形成および評価する方法。
【請求項17】
前記のサンプリング周波数を少なくとも前記の測定信号の帯域幅の2倍に選択し、
前記の信号接続を保持する持続時間を、前記の測定信号に発生する最大周波数の逆数よりもはるかに短く、例えばファクタ4よりも短くする、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの無線送信器(1,4)、例えば請求項1から5までのいずれか1項に記載の無線送信器(1,4)と、少なくとも1つの無線受信器、例えば請求項6,7,14または15のいずれか1項に記載の無線受信器とを同期化する方法であって、
前記の無線送信器のうちの少なくとも1つには、連続信号(sFMTx(t))を形成する少なくとも1つの信号発生器と、送信信号(sTx(t))を送出するアンテナ(ANT1)とが含まれている形式の同期化方法において、
− 前記の無線送信器(1,4)により、連続信号(sFMTx(t))から、アンテナ(ANT1)に至る信号接続を選択的に遮断および保持することにより、当該のアンテナ(ANT1)を介してパルス状の無線信号(sTx(t))を放射し、
ここでパルス周期の持続時間は、送信信号発生器(SGEN1)によって形成される連続信号の周波数変調の持続時間よりも短く、
− 前記の無線受信器(2,3,4)により、受信したパルス状の無線信号(sRx(t))から、対応するスペクトル線の少なくとも1つの対(f1k, f2k)を抽出し、ここから周波数のずれおよび/または時間のずれを決定し、これに基づいて前記の無線受信器(2,3,4)が、前記の無線送信器(1,4)のクロックに同期化されることを特徴とする
同期化方法。
【請求項19】
トランスポンダの距離測定および/または位置決定方法であって、
無線送信器(1,4)には、連続信号(sFMTx(t))を形成する少なくとも1つの信号発生器(SGEN1)と、送信信号(sTx(t))を送出するためのアンテナ(ANT1)とが含まれている形式の方法において、
− 前記の無線送信器(1,4)により、連続信号(sFMTx(t))から、アンテナ(ANT1)に至る信号接続を選択的に遮断および保持することによって、アンテナ(ANT1)を介してパルス状の無線信号(sTx(t))を前記のトランスポンダの方向に放射し、ここでパルス周期の持続時間は、送信信号発生器(SGEN1)によって形成される連続信号の周波数変調の持続時間よりも短く、
− 前記のトランスポンダ(5)により、当該の信号を変調して無線受信器(4)に向かって反射し、前記の無線受信器(4)により、受信したパルス状の無線信号(sRx(t))から、少なくとも1つのスペクトル線(f1k, f2k)を抽出し、ここからトランスポンダ(5)の距離および/または位置を決定し、これに基づいて前記の無線受信器が、前記の無線送信器(1,4)のクロックに同期化されることを特徴とする、
トランスポンダの距離測定および/または位置決定方法。
【請求項20】
前記のトランスポンダは、後方散乱トランスポンダ(5)として実施されている、
請求項18または19に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−539282(P2009−539282A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512411(P2009−512411)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/DE2007/000982
【国際公開番号】WO2007/137573
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(507014287)ジメオ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】Symeo GmbH
【住所又は居所原語表記】Prof.Messerschmitt−Str.3,D−85579 Neubiberg,Germany
【Fターム(参考)】