説明

無線通信システム、システム制御装置、無線基地局、無線通信端末、通信制御方法、および通信制御プログラム

【課題】無線基地局に帰属している端末の接続状態に基づいて、無線インタフェースの使用用途を動的に切り替えることができ、ユーザによる高度な設定を必要とせずに、限られた無線インタフェースを効率的に活用できるようにする。
【解決手段】まず、判断対象となる無線インタフェースについて、モード変更が必要か否かの判断を行う。例えば、データベース43に保持されている各基地局のトラフィック情報とトポロジ情報を参照し、通信データ量、再送回数、破棄パケット数などから、対象インタフェースが生成するリンクの品質が保たれないとみなされる場合、モード変更が必要と判断し、変更を行う。例えばモード変更が必要と判断された無線インタフェースが、バックホール用インタフェースに設定されていた場合、モード変更処理バックホール用インタフェースへの変更を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有線LAN(Local Area Network)などのバックボーンネットワークに無線通信を用いて接続される無線基地局を含む無線通信システム、システム制御装置、無線基地局、無線通信端末、通信制御方法、および通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信システムでは、無線基地局と無線通信端末とがインフラストラクチャモードで接続し、有線LANなどのバックボーンネットワークに無線基地局が有線で接続する形態が一般的である。
近年、無線基地局間を無線通信により接続し、その無線基地局間の無線通信によりバックボーンネットワークまで接続させるためのバックホール回線を構成することによりデータ中継を行う技術がある。
【0003】
こうした従来の無線通信システムとして、第1の移動通信端末が、無線LANアクセスポイントからの受信電波強度または通信状態の少なくとも一方を検出して、無線LANインタフェースによる通信が可能と判断された際に無線LANインタフェースを用い、第2の移動通信端末が、アクセスポイント機能を有する場合にインフラストラクチャモードで、クライアント機能を有する場合にアドホックモードとするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、動画像データ等の所定量以上のデータ通信を伴う命令が発行された場合にはインフラストラクチャモードに切り替え、所定量以上のデータ通信が行われていない場合にはアドホックモードへの切り替えを行うようにするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−320132号公報
【特許文献2】特開2004−349777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の無線LANシステムでは、以下のような課題がある。
図12を参照して、従来技術の課題を説明する。
【0006】
図12に例示する従来の無線通信システムでは、無線基地局801a,801b,801cが、それぞれ2つの無線インタフェース811,812を具備している。
無線インタフェース812は無線基地局間を中継するためのバックホール無線回線用に、無線インタフェース811は無線通信端末3を収容するためのアクセス用として使用している。
【0007】
アクセス用インタフェースは、ポーリング制御などによって無線通信端末間の競合調停や、無線通信端末の省電力制御を行う機能をもち、バックホール用インタフェースは、バックホール無線リンクをメッシュ構成にするため自律分散的な無線アクセス制御を採用することが多い。
【0008】
無線基地局801は、無線基地局間を中継するバックホール無線回線によるバックホール無線ネットワークを1つの無線インタフェースで構成するため、このバックホール無線ネットワークでは、ネットワーク全体で1つの無線チャネルを共有しながら無線通信が行われる必要がある。
【0009】
図12の例で言えば、外部ネットワーク805と無線基地局801cに収容されている無線通信端末3間の通信を実現するためには、無線基地局1bが中継動作を行う必要があるが、無線基地局1bがバックホール無線ネットワーク用に使用する無線インタフェースは1つであるため、バックホール無線リンクL812とL813は、同じ周波数の無線チャネルを共有する必要がある。
そのため無線のさらし端末問題、隠れ端末の問題などの影響によって、バックホール無線ネットワークの範囲を拡大するスケーラビリティと通信品質の確保を両立することが困難である、といった課題がある。
【0010】
また、1つの無線インタフェースで、無線通信端末を収容するアクセスリンクを構成するため、収容される複数の無線通信端末が1つの無線チャネルを共有しながら通信を行う必要がある。そのため、アクセスリンクの収容端末数に限界があり、特に無線通信端末がある特定箇所に密集するような状況で、干渉、競合アクセスによる遅延などの影響が無視できなくなる、といった課題がある。
【0011】
こうした課題に対して、無線基地局の設置状況などネットワークの状態に応じた基地局設定をユーザが行うことで解決に近づけようとすると、設定に手間がかかってしまっていた。
【0012】
また、これら課題の解決のため、より多くの無線インタフェースを備えた無線基地局によってシステムを構成することが考えられるが、無線LANで使用可能なチャンネル数は限られているため、むやみに無線インタフェースを増やしても改善効果は限定的である。また、やみくもに無線インタフェースを増やすと機器を安価に構成するのが困難といった課題もある。
【0013】
さらに、従来技術のようにバックホール用インタフェースとアクセス用インタフェースを、無線基地局の無線インタフェースに固定で割り当てると、ネットワークのトポロジやトラフィックの状況によっては、ある無線リンクにトラフィックが集中し輻輳によってネットワーク性能が劣化したり、逆に、利用されない無線インタフェースが存在したりするといった課題がある。
特に、移動性の高い無線通信端末で、トラフィックが変動、移動する場合に、これらの課題が顕著となる。
【0014】
また、上述した特許文献1のものは、無線通信端末が無線通信の中継を行う際に、その端末の機能に応じてインフラストラクチャモードとアドホックモードとを使い分けるものであり、無線基地局として自局に帰属している端末に対する接続の制御を行うことや、その接続状態に基づいて、無線インタフェースにおける接続先の設定を無線基地局間の無線通信のためのバックホール無線回線用にしたり、無線通信端末を収容するためのアクセス用にしたりすることについてまで考慮されたものではなかった。
【0015】
また、上述した特許文献2のものは、発行された命令により予想される通信トラフィックに適合するよう、無線インタフェースの接続設定をインフラストラクチャモードにしたりアドホックモードにしたりするものであり、無線基地局として自局に帰属している端末に対する接続の制御を行うことや、その接続状態に基づいて、無線インタフェースにおける接続先の設定を無線基地局間の無線通信のためのバックホール無線回線用にしたり、無線通信端末を収容するためのアクセス用にしたりすることについてまで考慮されたものではなかった。
【0016】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、無線基地局に帰属している端末の接続状態に基づいて、無線インタフェースにおける接続先の設定を動的に切り替えることができ、ユーザによる高度な設定を必要とせずに、限られた無線インタフェースを効率的に活用し、同時接続可能な無線通信端末の数を増やすことと通信品質の向上とを両立させることができる無線通信システム、システム制御装置、無線基地局、無線通信端末、通信制御方法、および通信制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる目的を達成するために、本発明の第1の態様としての無線通信システムは、バックボーンネットワークに無線通信を用いて接続される無線基地局を含み、他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備えた複数の無線基地局が接続された無線通信システムであって、上記無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態を測定する接続状態測定手段と、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて上記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替える接続先切り替え手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
上記無線基地局は、複数の無線接続手段を備え、上記接続先切り替え手段は、該無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態の情報に基づいて、該複数の無線接続手段の少なくとも1つについての接続先を切り替えることが好ましい。
【0019】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末の中で接続不能になる無線通信端末が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0020】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末を収容可能か否かを判断し、収容可能と判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0021】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて無線基地局間の帯域が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0022】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の中で上記バックボーンネットワークに接続不能となる無線基地局が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0023】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末のトラフィック量に対して無線基地局間の帯域が予め定められた範囲内であるか否かを判断し、該範囲内と判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0024】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局により無線通信端末を接続させる帯域の合計が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0025】
上記接続先切り替え手段は、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、上記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることが好ましい。
【0026】
上記接続先切り替え手段は、他の装置と無線通信により接続可能な通信範囲についての設定情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、上記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることが好ましい。
【0027】
上記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0028】
上記無線基地局は、上記無線接続手段による接続先が無線基地局に設定されていても無線通信端末からの接続要求に応答する要求応答手段を備え、上記要求応答手段が無線通信端末からの接続要求を受信した場合、上記接続先切り替え手段による接続先切り替え処理を開始させることが好ましい。
【0029】
無線通信端末は、上記無線基地局の上記無線接続手段の接続先が無線通信端末となっている場合だけでなく無線基地局となっている場合にも接続可能な複数周波数接続手段と、上記複数周波数接続手段の接続対象を、無線通信端末との接続用の無線接続手段または無線基地局間接続用の無線接続手段に切り替える対象切り替え手段とを備えたことが好ましい。
【0030】
また、本発明の第2の態様としてのシステム制御装置は、バックボーンネットワークに無線通信を用いて接続される無線基地局を含み、他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備えた複数の無線基地局に接続されて用いられるシステム制御装置であって、上記無線基地局により測定された当該無線基地局に帰属している無線通信端末との接続状態の情報を受信する基地局情報受信手段と、上記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて上記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替えさせる接続先切り替え手段とを備えたことを特徴とする。
【0031】
上記無線基地局は、複数の無線接続手段を備え、上記接続先切り替え手段は、該無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態の情報に基づいて、該複数の無線接続手段の少なくとも1つについての接続先を切り替えさせることが好ましい。
【0032】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替えさせる際、上記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、上記システム制御装置に接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末の中で接続不能になる無線通信端末が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0033】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替えさせる際、上記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、上記システム制御装置に接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末を収容可能か否かを判断し、収容可能と判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0034】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替えさせる際、上記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて無線基地局間の帯域が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0035】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替えさせる際、上記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、上記システム制御装置に接続されている無線基地局の中で上記バックボーンネットワークに接続不能となる無線基地局が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0036】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替えさせる際、上記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、上記システム制御装置に接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末のトラフィック量に対して無線基地局間の帯域が予め定められた範囲内であるか否かを判断し、該範囲内と判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0037】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替えさせる際、上記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、上記システム制御装置に接続されている無線基地局により無線通信端末を接続させる帯域の合計が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0038】
上記接続先切り替え手段は、上記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、上記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることが好ましい。
【0039】
上記接続先切り替え手段は、上記無線基地局における他の装置と無線通信で接続可能な通信範囲の設定情報に基づいて、該無線基地局における通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、上記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることが好ましい。
【0040】
上記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0041】
また、本発明の第3の態様としての無線基地局は、他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備え、無線基地局の動作を制御するシステム制御装置に接続されて用いられる無線基地局であって、帰属している無線通信端末の接続状態を測定する接続状態測定手段と、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報を上記システム制御装置に送信する接続状態送信手段と、上記接続状態の情報に基づいた上記システム制御装置からの変更指示を受信すると上記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替える接続先切り替え手段と、を備えたことを特徴とする。
【0042】
複数の無線接続手段を備え、上記接続先切り替え手段は、上記システム制御装置からの変更指示により、当該変更指示のあった少なくとも1つの無線接続手段についての接続先を切り替えることが好ましい。
【0043】
上記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0044】
上記無線接続手段による接続先が無線基地局に設定されていても無線通信端末からの接続要求に応答する要求応答手段を備えたことが好ましい。
【0045】
また、本発明の第4の態様としての無線基地局は、他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備え、他の無線基地局と上記無線接続手段により接続されて用いられる無線基地局であって、接続されている各無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態を測定する接続状態測定手段と、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて上記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替える接続先切り替え手段と、を備えたことを特徴とする。
【0046】
複数の無線接続手段を備え、上記接続先切り替え手段は、帰属している無線通信端末の接続状態の情報に基づいて、該複数の無線接続手段の少なくとも1つについての接続先を切り替えることが好ましい。
【0047】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末の中で接続不能になる無線通信端末が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0048】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末を収容可能か否かを判断し、収容可能と判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0049】
上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて無線基地局間の帯域を測定する帯域測定手段を備えたことが好ましい。
【0050】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、接続されている無線基地局の中で上記バックボーンネットワークに接続不能となる無線基地局が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0051】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末のトラフィック量に対して無線基地局間の帯域が予め定められた範囲内であるか否かを判断し、該範囲内と判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0052】
上記接続先切り替え手段は、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、接続されている無線基地局により無線通信端末を接続させる帯域の合計が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0053】
上記接続先切り替え手段は、上記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、上記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることが好ましい。
【0054】
上記接続先切り替え手段は、他の装置と無線通信により接続可能な通信範囲についての設定情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、上記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることが好ましい。
【0055】
上記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0056】
上記無線基地局は、上記無線接続手段による接続先が無線基地局に設定されていても無線通信端末からの接続要求に応答する要求応答手段を備え、上記要求応答手段が無線通信端末からの接続要求を受信した場合、上記接続先切り替え手段による接続先切り替え処理を開始させることが好ましい。
【0057】
また、本発明の第5の態様としての無線通信端末は、他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備えた無線基地局と通信可能な無線通信端末であって、上記無線基地局の上記無線接続手段の接続先が無線通信端末となっている場合だけでなく無線基地局となっている場合にも接続可能な複数周波数接続手段と、上記複数周波数接続手段の接続対象を、無線通信端末との接続用の無線接続手段または無線基地局間接続用の無線接続手段に切り替える対象切り替え手段とを備えたことを特徴とする。
【0058】
また、本発明の第6の態様としての通信制御方法は、バックボーンネットワークに無線通信を用いて接続される無線基地局を含み、他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備えた複数の無線基地局が接続された無線通信システムにおける通信制御方法であって、上記無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態を測定する接続状態測定工程と、上記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて上記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替える接続先切り替え工程と、を備えたことを特徴とする。
【0059】
上記無線基地局は、複数の無線接続手段を備え、上記接続先切り替え工程では、該無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態の情報に基づいて、該複数の無線接続手段の少なくとも1つについての接続先を切り替えることが好ましい。
【0060】
上記接続先切り替え工程では、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末の中で接続不能になる無線通信端末が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0061】
上記接続先切り替え工程では、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末を収容可能か否かを判断し、収容可能と判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0062】
上記接続先切り替え工程では、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて無線基地局間の帯域が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0063】
上記接続先切り替え工程では、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の中で上記バックボーンネットワークに接続不能となる無線基地局が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0064】
上記接続先切り替え工程では、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末のトラフィック量に対して無線基地局間の帯域が予め定められた範囲内であるか否かを判断し、該範囲内と判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0065】
上記接続先切り替え工程では、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局により無線通信端末を接続させる帯域の合計が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0066】
上記接続先切り替え工程は、上記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定された時に開始することが好ましい。
【0067】
上記接続先切り替え工程は、他の装置と無線通信により接続可能な通信範囲についての設定情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定された時に開始することが好ましい。
【0068】
上記無線接続手段による接続先が無線基地局に設定されていても無線通信端末からの接続要求に応答する要求応答工程を備え、上記接続先切り替え工程は、上記要求応答工程で無線通信端末からの接続要求を受信した時に開始することが好ましい。
【0069】
上記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0070】
無線通信端末は、上記無線基地局の上記無線接続手段の接続先が無線通信端末となっている場合だけでなく無線基地局となっている場合にも接続可能な複数周波数接続手段を備え、上記複数周波数接続手段が接続可能な上記無線接続手段を探索する接続先探索工程と、上記接続先探索工程の結果に応じて、上記複数周波数接続手段の接続対象を、無線通信端末との接続用の無線接続手段または無線基地局間接続用の無線接続手段に切り替える対象切り替え工程とを備えたことが好ましい。
【0071】
また、本発明の第7の態様としての通信制御プログラムは、バックボーンネットワークに無線通信を用いて接続される無線基地局を含み、他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備えた複数の無線基地局が接続された無線通信システムにおける通信制御プログラムであって、コンピュータに、上記無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態を測定する接続状態測定処理と、上記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて上記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替える接続先切り替え処理と、を実行させることを特徴とする。
【0072】
上記無線基地局は、複数の無線接続手段を備え、上記接続先切り替え処理では、該無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態の情報に基づいて、該複数の無線接続手段の少なくとも1つについての接続先を切り替えることが好ましい。
【0073】
上記接続先切り替え処理では、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末の中で接続不能になる無線通信端末が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0074】
上記接続先切り替え処理では、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末を収容可能か否かを判断し、収容可能と判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0075】
上記接続先切り替え処理では、上記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、上記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて無線基地局間の帯域が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0076】
上記接続先切り替え処理では、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の中で上記バックボーンネットワークに接続不能となる無線基地局が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0077】
上記接続先切り替え処理では、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末のトラフィック量に対して無線基地局間の帯域が予め定められた範囲内であるか否かを判断し、該範囲内と判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0078】
上記接続先切り替え処理では、上記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、上記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、上記無線通信システムに含まれる無線基地局により無線通信端末を接続させる帯域の合計が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことが好ましい。
【0079】
上記接続先切り替え処理は、上記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定された時に開始することが好ましい。
【0080】
上記接続先切り替え処理は、他の装置と無線通信により接続可能な通信範囲についての設定情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定された時に開始することが好ましい。
【0081】
コンピュータに、上記無線接続手段による接続先が無線基地局に設定されていても無線通信端末からの接続要求に応答する要求応答処理を実行させ、上記接続先切り替え処理は、上記要求応答処理で無線通信端末からの接続要求を受信した時に開始することが好ましい。
【0082】
上記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0083】
無線通信端末は、上記無線基地局の上記無線接続手段の接続先が無線通信端末となっている場合だけでなく無線基地局となっている場合にも接続可能な複数周波数接続手段を備え、コンピュータに、上記複数周波数接続手段が接続可能な上記無線接続手段を探索する接続先探索処理と、上記接続先探索処理の結果に応じて、上記複数周波数接続手段の接続対象を、無線通信端末との接続用の無線接続手段または無線基地局間接続用の無線接続手段に切り替える対象切り替え処理とを実行させることが好ましい。
【発明の効果】
【0084】
以上のように、本発明によれば、無線基地局に帰属している端末の接続状態に基づいて、無線インタフェースにおける接続先の設定を動的かつ自律的に切り替えることができる。
このことにより、ユーザによる高度な設定を必要とすることなく、限られた無線インタフェースを効率的に活用し、同時接続可能な無線通信端末の数を増やすことと通信品質の向上とを両立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0085】
次に、本発明に係る無線通信システム、システム制御装置、無線基地局、無線通信端末、通信制御方法、および通信制御プログラムを、無線LANシステムに適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
まず、各実施形態の概要について説明する。
【0086】
本発明の各実施形態は、複数の無線インタフェースを持つ無線基地局を含む無線LANシステムについて、無線ネットワークのトポロジ、通信可能範囲、トラフィック状況などに応じて、無線基地局(アクセスポイント;AP)の無線インタフェースを、無線基地局間を中継するバックホール用インタフェースか、無線通信端末(ST)を収容するアクセス用インタフェースか、のいずれか適切なモードを判断し、動的にモード変更できるようになっている。
【0087】
このため、本発明の各実施形態は、複数の無線インタフェースを備え、無線基地局間を中継するバックホール無線ネットワークと、無線通信端末を収容するアクセスネットワークを相互接続可能な無線基地局において、ネットワークのトポロジや通信可能範囲、トラフィック状況などに応じて、無線基地局間を中継するバックホール用インタフェースか、無線通信端末を収容するアクセス用インタフェースか、のいずれか適切なモードに無線インタフェースのモード変更を行う。
【0088】
例えば、無線基地局間中継のトラフィックを多く転送する無線基地局は、中継用のバックホール用インタフェースを増やし、端末収容用のアクセス用インタフェースを減らすようにモード変更を行い、バックホール無線リンクの輻輳を回避する。逆に、端末収容数の多い無線基地局は、端末収容用のアクセス用インタフェースを増やし、中継用のバックホール用インタフェースを減らすようにモード変更を行う。
【0089】
基地局制御装置(システム制御装置)は適時、各無線基地局もしくは端末からネットワークのトポロジや通信可能範囲、トラフィック状況を収集する。基地局制御装置のモード判断処理が、収集した情報とユーザによる設定情報からモード変更要否を判断し、基地局装置に変更指示を行い、無線基地局のモード変更を実施する。
【0090】
さらに、このように構成すると、全ての無線インタフェースが中継用インタフェース用途になる基地局も存在可能である。中継専用に構成された基地局に接続可能とするため、本無線LANシステムに新規参加する無線通信端末が、端末収容用のアクセスリンクだけでなく、基地局間中継用のバックホール無線ネットワークへ接続するように構成する。
また、移動する無線通信端末は、端末収容用のアクセスリンク間のハンドオーバだけでなく、端末収容用と基地局間中継用のネットワーク間のハンドオーバや、基地局間中継用と別の基地局間中継用のネットワーク間のハンドオーバを実施可能とする。
【0091】
〔第1の実施形態〕
次に、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
第1の実施形態による構成例を、図1、図2に示す。
上述した従来技術であると、無線インタフェースの使用方法が図1に示されるモード割り当てで固定されてしまうが、本実施形態では、図1から図2に変化させたり、図2から図1に変化させたりと、無線インタフェースの使用用途を定めるモード設定(接続先モードの設定)を変化させることが可能となる。
【0092】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態としての無線LANシステムは、各無線基地局1の動作を制御する基地局制御装置4と、複数の無線インタフェースを具備する無線基地局1(1a,1b,1c・・・)とを備えて構成され、1つの無線インタフェースを具備する無線通信端末3と無線通信可能となっている。
図1の例では、無線基地局1a,1b,1cはそれぞれ2つの無線インタフェース11,12を備えて構成されている。
【0093】
無線基地局1aは、有線ネットワーク(バックボーンネットワーク)6に無線通信を用いることなく接続され、外部ネットワーク5と有線回線のみで通信可能となっている。無線基地局1b、1cは、無線基地局間のバックホール無線ネットワークを経由して有線ネットワーク6に接続される。
【0094】
基地局制御装置4は、有線ネットワーク6によって無線基地局1aと接続されている。基地局制御装置4は、無線基地局の備える無線インタフェース間のバックホール無線リンクL12,L13で形成されるバックホール無線ネットワークによって無線基地局1b,1cと接続されている。
【0095】
図1の例では、無線通信端末3は、無線基地局のアクセスリンク(端末と無線通信可能である領域)C15a,C15cで、無線基地局と接続している。
無線通信端末3(3a,3b,3c,・・・)は、無線インタフェースを1つ具備しているため、各無線通信端末は1つの無線基地局に接続できる。接続した無線基地局1のアクセスリンクと無線基地局間のバックホール無線ネットワークを経由して、各無線通信端末3は外部ネットワーク5との通信も可能となっている。
【0096】
図2の例では、無線基地局1cのアクセスリンクC15cに収容されている無線通信端末3が外部ネットワーク5との通信を実現するために、無線基地局1cが無線インタフェース11で無線通信端末3からの通信データを収容し、無線基地局1a,1b,1cが無線インタフェース12を使って通信データの中継動作を行うようになっている。
【0097】
図3に、無線基地局1の構成図を示す。
無線基地局1は、それぞれにアンテナを備えた複数(図3ではn個)の無線インタフェース11,12,・・・,1nと、各種情報を管理する通信範囲管理部21、トラフィック管理部22、トポロジ管理部23と、経路制御と通信データの転送を行う中継処理部24と、基地局制御装置からの指示に従って無線インタフェースのモード変更指示と管理部へ通知をおこなうモード変更処理部25とを備えて構成される。
また、基地局制御装置4などの他装置と接続するためのインタフェース(不図示)も備える。
【0098】
図4は、基地局制御装置の構成である。
基地局制御装置4は、無線基地局と接続するためのインタフェース41と、無線基地局から通信範囲、トラフィック、トポロジなどの各種情報を収集する基地局情報収集部(基地局情報受信手段)42と、基地局情報収集部42が収集した情報を蓄積するデータベース43と、データベースを参照して無線基地局の無線インタフェースの適切なモードを判断するモード判断処理部44と、判断した結果を、インタフェース41を使って無線基地局のモード変更処理部25に指示する基地局制御部45と、ユーザの設定情報をデータベース43に蓄積するための情報入力手段46とを備えて構成される。
【0099】
次に、本実施形態としての無線LANシステムの各部の動作について説明する。
上述した従来技術であると、無線基地局の無線インタフェースにバックホール用インタフェース12とアクセス用インタフェース11が固定的に割り当てられ、図12のように無線インタフェースにおける接続先の設定が固定された構成となるのが一般的であった。
本実施形態では、図1の状態から図2の状態に、また図2の状態から図1の状態に、自律的に構成を変化させることが可能となっている。以下に、図1の構成から図2の構成への変化として、無線インタフェースにおける接続先の設定をアクセス用インタフェースからバックホール用インタフェースへ変更する動作を、具体例をあげて説明する。
【0100】
無線基地局1の通信範囲管理部21は、周囲の無線基地局のアクセスリンクの通信範囲を求める。この通信範囲とは、無線通信端末などの他装置と無線通信可能な距離範囲のことである。周囲の無線基地局のアクセス用インタフェースに設定された無線インタフェースのビーコンなどを、自局の無線インタフェースの無通信期間をつかって受信し、その受信電界強度をつかって通信範囲を求めることができる。
図1の例では、無線基地局1bの無線インタフェース11は、無線基地局1a,1cの無線インタフェース11から送信されるビーコンをある一定値以上の強度の受信電解強度で受信できるため、無線基地局1a,1cのアクセスリンクC15a,C15cの通信範囲が自局周辺に至っていると判断できる。得られた通信範囲情報は管理情報として通信範囲管理部21で保持される。
【0101】
無線基地局1のトラフィック管理部22は、各無線インタフェースのトラフィック状況を求める。このトラフィック状況は、アクセス用インタフェースに設定された無線インタフェースで生成されるアクセスリンクに接続している無線通信端末の数の情報や、中継処理部24が中継した通信データ量、再送回数、破棄パケット数などから判断できる。また、無線通信端末の通信セッションを監視することでより正確な算出も可能である。
得られたトラフィック情報は、管理情報としてトラフィック管理部22で保持される。
【0102】
無線基地局1のトポロジ管理部23は、バックホール用インタフェースに設定された無線インタフェースで形成されるバックホール無線ネットワークで隣接基地局の発見や、トポロジ情報の交換を行う。隣接基地局の発見や、トポロジ情報の交換は、OSPF(Open Shortest Path First:RFC2328)やOLSR(Optimized Link State Routing:RFC3626)などのルーティングプロトコルやスパニングツリー(IEEE 802.1d)などのブリッジプロトコルなどを使って実施可能である。
【0103】
ここで、トポロジ情報とは経路の情報だけでなく、使用している無線のチャネルや転送レートなどの通信性能に影響する情報も交換する。図1の例では、無線基地局1aと1bがバックホール無線リンクL12によって隣接関係にあり、無線基地局1bと1cがバックホール無線リンクL13によって隣接関係にあり、同じ無線チャネルを使用していると判断できる。
【0104】
さらに、無線基地局のトポロジ管理部23は、アクセス用インタフェースに設定された無線インタフェースで形成されるアクセスリンクで接続可能な無線通信端末の探索を行う。無線通信端末の探索は、周囲の端末の通信を傍受することで実施できるし、周囲の基地局のトラフィック管理部22の情報から接続している無線通信端末を取得し、直接通信を試みることによっても実施できる。図1の例では、無線基地局1aは2つの無線通信端末、無線基地局1b,1cはそれぞれ1つの無線通信端末が接続可能な無線通信端末として探索される。
【0105】
バックホール用インタフェースのトポロジ情報と、アクセス用インタフェースの接続可能な無線通信端末の情報は、管理情報としてトポロジ管理部で保持されるとともに、通信データの経路制御情報としても中継処理部24に使用される。
【0106】
基地局制御装置4の基地局情報収集部42は、各無線基地局1a,1b,1cの、トポロジ管理部23で保持されているトポロジ情報と、通信範囲管理部21で保持されている通信範囲情報と、トラフィック管理部22で保持されているトラフィック情報とを収集し、データベース43に保持する。
【0107】
また、基地局制御装置の情報入力手段46(例えばキーボードなど)から、例えばユーザの手入力によってデータベース43にユーザ設定情報を保持することもできる。ユーザ設定情報には、ユーザの都合によって無線インタフェースのモードを固定、変更したい場合や、あらかじめトラフィック量や収容端末数が予測できる場合に予約する容量の値などを設定値として設定できる。
【0108】
次に、本実施形態としての無線LANシステムによる、無線インタフェースにおける接続先設定の切り替え処理について、図5を参照して説明する。
基地局制御装置4は、モード判断処理部44で、モード判断処理を実行する。図5は、そのモード判断処理のフローチャートである。
【0109】
まず、判断対象となる無線インタフェースについて、モード変更が必要か否かの判断を行う(ステップS2)。例えば、データベース43に保持されている各基地局のトラフィック情報とトポロジ情報を参照し、通信データ量、再送回数、破棄パケット数などから、対象インタフェースが生成するリンクの品質が保たれないとみなされる場合、モード変更が必要と判断する。
この通信リンクの品質が保たれない状態とは、例えば再送回数や破棄パケット数など、通信品質を示す情報が予め定められた閾値より低くなる状態のことである。
【0110】
また、トラフィック情報とトポロジ情報に限らず、通信範囲情報、ユーザ設定情報の組み合わせによってもモード変更の要否が判断できる。例えば、通信データ量がさほど多くない無線インタフェースであっても、通信範囲についてのユーザ設定情報の設定値が、状況によって大きなトラフィック量をもたらすと判定される範囲の値である場合、通信品質を保ちきれないことが予測できるため、モード変更が必要と判断する。
【0111】
次に、上述したステップS2でモード変更が必要と判断された無線インタフェースが、バックホール用インタフェースに設定されていた場合、モード変更処理バックホール用インタフェースへの変更を実行し(ステップS4)、対象インタフェースがアクセス用インタフェースに設定されていた場合、モード変更処理アクセス用インタフェースへの変更を実行する(ステップS5)。
【0112】
データベース43に保持されている各基地局のインタフェースの評価を実施し、モード判断処理が終了する(ステップS6)。
【0113】
次に、モード変更処理としての、バックホール用インタフェースへの変更の処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0114】
まず、自局において、モード変更が必要と判断されたインタフェース以外に、新たにバックホール用に変更可能なインタフェースが存在するかどうかを確認する(ステップS11)。アクセス用もしくは未使用のインタフェースは、バックホール用に変更可能なインタフェースとなり得るが、すでにバックホール用で運用しているインタフェースや、ユーザ設定情報でバックホール用への変更を禁止されているインタフェースは、バックホール用に変更可能なインタフェースの対象とはならない。
【0115】
ステップS11で存在が確認された無線インタフェースをバックホール用に変更した場合、アクセスリンクが消滅する可能性がある。そのような状況においても、全ての無線通信端末がいずれかの無線基地局に接続可能な状態かの確認を行う(ステップS12)。
接続可能な状態かどうかの確認は、データベース43に保持されているトポロジ情報のうち無線基地局に接続可能な無線通信端末情報や、通信範囲情報、ユーザ設定情報などを参照することで判断可能である。また、トラフィック情報も参照することで、より詳細に判断することができる。無線基地局に接続できない無線通信端末が存在する場合は、処理を終了する。
【0116】
上述したステップS11で存在が確認された無線インタフェースをバックホール用に変更した場合、ネットワーク全体のアクセスリンク容量(接続可能な帯域の容量)は減少する。そのような状況においても、本無線LANシステムに含まれる各無線基地局に帰属している全ての無線通信端末のトラフィックがいずれかの無線基地局に収容可能な状態かの確認を行う(ステップS13)。
収容可能かどうかの確認は、データベース43に保持されている、トポロジ情報のうち基地局に接続可能な無線通信端末情報や、通信範囲情報とトラフィック情報、ユーザ設定情報を参照することで判断可能である。無線通信端末のトラフィックを収容するのに十分でないと判断される場合は、処理を終了する。
【0117】
ステップS11で存在が確認された無線インタフェースをバックホール用に変更しても、隣接基地局間のリンクが多数になり無線の空きチャネルの割り当てが困難で、結果として干渉が頻発し、バックホール無線ネットワークの容量の向上が期待できない場合などがある。そのため、バックホール用へのモード変更によって、バックホール無線ネットワークの通信容量(無線基地局間の帯域)が向上するかの判断を行う(ステップS14)。
容量が向上するかの判断は、データベース43に保持されているトポロジ情報や、トラフィック情報、ユーザ設定情報を参照することで判断可能である。容量の向上が見込めない場合は、処理を終了する。
【0118】
上述したステップS11,S12,S13,S14の判断をへて、ステップS11で存在が確認された無線インタフェースをバックホール用へモード変更を行う(ステップS15)。モード変更指示は、基地局制御装置の基地局制御部45から、無線基地局のモード変更処理部25に送信される。
このバックホール用への変更指示には、該当インタフェースがバックホール無線ネットワークを形成するために必要な、無線チャネルや暗号キーの情報などが含まれる。
【0119】
指示を受けた無線基地局のモード変更処理35は、該当無線インタフェースをバックホール用インタフェースに設定するとともに、通信範囲管理部21、トラフィック管理部22、トポロジ管理部23に対して変更を通知する。
【0120】
次に、モード判断処理の後、モード変更処理として、バックホール用インタフェースへの変更を行う処理について、図1,図2の例を用いて具体的に説明する。
【0121】
図1の例では図5ステップS2において、無線基地局1bのインタフェース12が品質を保つのが困難でモード変更が必要と判断される。図1の例では、無線基地局1bのインタフェース12は、自局に接続している無線通信端末3のトラフィックだけでなく、無線基地局1cに接続している無線通信端末3と外部ネットワーク間のトラフィックも転送する必要があり、そのトラフィック量によってはパケット破棄が増大し、L12とL13で同じ無線チャネルを共有しているトポロジで所定の品質を保つのが困難であると判断できる。
【0122】
また、無線基地局1bのインタフェース11のアクセスリンクC15bは、無線基地局1a,1cのアクセスリンクC15a,C15cと通信範囲が重なりあう領域が広いため、使用する無線チャネルによっては干渉による再送が多発し、所定の品質を保つのが困難であると判断できる。以上のことから、モード変更処理が必要と判断する。
【0123】
図6のステップS11で、無線基地局1bのインタフェース11がバックホール用に変更可能であることを確認する。
【0124】
図6のステップS12で無線基地局1bのインタフェース11が形成するアクセスリンクC15bの無線通信端末3は、アクセスリンクC15bが消滅しても、アクセスリンクC15aによって無線基地局1aに接続可能と判断される。
【0125】
図6のステップS13で、アクセスリンクC15aは、2つの無線通信端末3のトラフィックを収容可能であることが確認される。
図6のステップS14では、無線基地局1bのインタフェース11をバックホール用とすることで、無線基地局1cとのバックホール無線リンクを生成することが可能と判断され、図6のステップS15で無線基地局1bと1cに対して変更指示を実施する。
【0126】
変更実施後は、図2に示すような構成となり、バックホール無線リンクL12,L14が生成される。バックホール無線リンクL12とL14は異なる周波数の無線チャネルとすることが可能であるため、図1の構成と比較して、バックホール無線ネットワークでの干渉、競合アクセスを低減し、通信品質を向上することができる。
【0127】
次に、モード変更処理として、アクセス用インタフェースへの変更の処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。
なお、モード変更処理としてのアクセス用インタフェースへの変更の具体例は、第2の実施形態の説明にて行う。
【0128】
まず、自局において、モード変更が必要と判断されたインタフェース以外に、新たにアクセス用に変更可能なインタフェースが存在するか確認する(ステップS21)。バックホール用もしくは未使用のインタフェースは、アクセス用に変更可能なインタフェースとなり得るが、すでにアクセス用で運用しているインタフェースや、ユーザ設定情報でアクセス用への変更を禁止されているインタフェースは、アクセス用に変更可能なインタフェースの対象とはならない。
【0129】
ステップS21で存在が確認された無線インタフェースをアクセス用に変更した場合、バックホール無線リンクが消滅する可能性がある。そのような状況においても、トポロジの分断なく、全ての無線基地局がバックホール無線ネットワークに接続し、そのバックホール無線ネットワークを介して有線ネットワーク6に接続可能な状態かどうかの確認を行う(ステップS22)。
トポロジの分断有無の確認は、データベース43に保持されているトポロジ情報やユーザ設定情報を参照することで判断可能である。トポロジの分断がある場合は、処理を終了する。
【0130】
ステップS21で存在が確認された無線インタフェースをアクセス用に変更した場合、バックホール無線リンクが減少しバックホール無線ネットワークの容量が十分得られなくなる可能性がある。そのためアクセス用へのモード変更によって、バックホール無線ネットワークの通信容量(無線基地局間の帯域)が、本無線LANシステムに含まれる各無線基地局に帰属する無線通信端末のトラフィック状況に対して許容範囲内(予め定められた範囲内)であるか否かの判断を行う(ステップS23)。
容量が許容範囲内であるか否かの判断は、データベース43に保持されている、トポロジ情報や、トラフィック情報、ユーザ設定情報を参照することで判断可能である。容量の許容範囲でない場合は、処理を終了する。
【0131】
ステップS21で存在が確認された無線インタフェースをアクセス用に変更しても、アクセスリンクが多数になり無線の空きチャネルの割り当てが困難で、結果として干渉などが頻発し、アクセスリンクの容量の向上が期待できない場合がある。そのため、アクセス用へのモード変更によって、本無線LANシステムに含まれる各無線基地局により生成されるアクセスリンクの容量合計が向上するかの判断を行う(ステップS24)。
容量が向上するかの判断は、データベース43に保持されている、通信範囲情報や、トラフィック情報、ユーザ設定情報を参照することで判断可能である。容量の向上が見込めない場合は、処理を終了する。
【0132】
上述したステップS21,S22,S23,S24の判断をへて、ステップS21で存在が確認された無線インタフェースをアクセス用へモード変更を行う(ステップS25)。モード変更指示は、基地局制御装置の基地局制御部45から、無線基地局のモード変更処理部25に送信される。このアクセス用への変更指示には、該当インタフェースがアクセスリンクを形成するために必要な、無線チャネルや暗号キーの情報などを含む。
【0133】
指示を受けた無線基地局のモード変更処理35は、該当無線インタフェースをアクセス用インタフェースに設定するとともに、通信範囲管理部21、トラフィック管理部22、トポロジ管理部23に対して変更を通知する。
【0134】
以上説明したモード判断処理およびモード変更処理は、無線基地局の置局設定の際のテスト運用中に実施してもよいし、ネットワークの運用中にトラフィック状況や端末位置に応じて、ダイナミックに実施してもよいし、トラフィックの少ない時間、例えば深夜に、1日の統計情報を元に実施することもできる。
【0135】
以上のように、上述した第1の実施形態によれば、以下の各効果が得られる。
第1の効果は、無線LANシステムの通信品質を向上できることにある。
その理由は、トポロジ、トラフィック、通信範囲、無線通信端末の位置などの接続状態の情報に基づいて、無線基地局が備える複数の無線インタフェースそれぞれの用途を適切に変更することで、競合アクセスや干渉による悪影響を軽減できるためである。
【0136】
第2の効果は、無線通信端末の移動などによってトラフィックが変動する場合でも、通信品質を保てる無線LANシステムを構成できることにある。
その理由は、トポロジ、トラフィック、通信範囲、無線通信端末の位置などの接続状態の情報に基づいて、無線基地局の複数の無線インタフェースにおける接続先のモード設定を適時、動的に変更することで、トラフィック変動に柔軟に対応できるためである。
【0137】
第3の効果は、ユーザによる無線LANシステムの基地局設定を簡素化できることにある。
その理由は、無線基地局間を無線接続し、無線基地局が備える複数の無線インタフェースの用途を自動的に変更できるようにすることによって、ユーザによる設定を簡素化しているためである。
【0138】
第4の効果は、無線基地局の製造コストを低くできることにある。
その理由は、無線基地局間の無線インタフェースを用途によって変更することによって、必要以上多くの無線インタフェースを搭載する必要がないためである。
【0139】
このように、トポロジ、トラフィック、通信範囲、無線通信端末の位置などの接続状態の情報に基づいて、無線インタフェースにおける接続先の設定を動的かつ自律的に切り替えるため、ユーザによる高度な設定を必要とせず、限られた無線インタフェースを効率的に活用でき、同時接続可能な無線通信端末の数を増やすことと通信品質の向上とを両立させることができる。
【0140】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態における無線基地局1bが、無線インタフェースを3つ備える場合の例を示すものである。この第2の実施形態により、上述したモード変更処理としてのアクセス用インタフェースへの変更の具体例の説明を行う。
【0141】
本発明の第2の実施形態の構成について、図面を参照して詳細に説明する。
図8、図9は、本実施形態の構成の一例である。本実施形態により、図8の状態から図9の状態に、また図9の状態から図8の状態に、自律的に構成を変化することが可能となる。以下に、図8の構成から図9の構成に変化するバックホール用インタフェースからアクセス用インタフェースへの変更例を説明する。
【0142】
図8を参照すると、本発明の第2の実施形態は、無線基地局を制御する基地局制御装置4と、複数の無線インタフェースを具備する無線基地局1a,1b,1cと1つの無線インタフェースを具備する無線通信端末から構成されている。図8の例では、無線基地局1a,1cはそれぞれ2つの無線インタフェース11,12で構成されており、無線基地局1bは3つの無線インタフェース11b,12b,13bで構成されている。
【0143】
基地局制御装置4は、有線ネットワーク6によって無線基地局1aと接続されている。基地局制御装置4は、無線基地局の備える無線インタフェース間のバックホール無線リンクL21,L22で形成されるバックホール無線ネットワークによって無線基地局1b,1cと接続されている。
【0144】
次に、モード判断処理の後、モード変更処理として、アクセス用インタフェースへの変更を行う処理について、図8,図9の例を用いて具体的に説明する。
【0145】
図8の例では、図5ステップS2において、トラフィック情報を参照すると、無線基地局1bの無線インタフェース11bが生成するアクセスリンクで収容される無線通信端末数、トラフィック量が多く、干渉、競合アクセスによって無線基地局1bの無線インタフェース11bが品質を保つのが困難でモード変更が必要と判断される。
【0146】
図7のステップS21で無線基地局1bのインタフェース13bがアクセス用に変更可能であることを確認する。
【0147】
図7のステップS22で、無線基地局1bの無線インタフェース13bが形成するバックホール無線リンクL22が消滅しても、無線インタフェース12bが無線基地局1cの無線インタフェース12と新たなバックホール無線リンクを生成することによって、トポロジが分断し無線基地局1cが孤立することがないと判断される。
【0148】
図7のステップS23で、新たに生成されるバックホール無線リンクは、無線基地局1cとの間のトラフィックを中継することが可能であることが確認される。
図7のステップS24では、無線基地局1bのインタフェース13bをアクセス用とすることで、無線基地局1bの端末収容能力が向上することが可能と判断され、図7のステップS25で無線基地局1bと1cに対して変更指示を実施する。
【0149】
変更実施後は、図9に示すような構成となり、バックホール無線リンクL21,L23に変更され、無線インタフェース13bによってアクセスリンクC16bが生成される。無線基地局1bで収容する無線通信端末を、無線インタフェース11bと無線インタフェース13bに分散して収容できるため、無線基地局1bの端末収容数が向上、さらに干渉、競合アクセスを低減し、通信品質を向上することができる。
【0150】
以上のように、上述した第2の実施形態によれば、無線基地局が無線インタフェースを3つ備える場合であっても、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0151】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
この第3の実施形態は、上述した第1の実施形態における無線基地局の中に、全ての無線インタフェースがバックホール用インタフェースとして運用されている無線基地局が存在する場合の例を示すものである。
以下の説明では、特に、新規参加する無線通信端末や、ハンドオーバを行う無線通信端末の、本無線LANネットワークへの接続例について説明する。
【0152】
本発明の第3の実施形態の構成について、図面を参照して詳細に説明する。
図10は、本発明を実施形態の構成の一例である。図10を参照すると、本発明の第3の実施形態としての無線LANシステムは、各無線基地局1の動作を制御する基地局制御装置4と、複数の無線インタフェースを具備する無線基地局1(1a,1b,1c・・・)とを備えて構成され、1つの無線インタフェースを具備する無線通信端末3と無線通信可能となっている。
図10の例では、無線基地局1a,1b,1cはそれぞれ2つの無線インタフェース11,12を備えて構成されている。
【0153】
図10の例では、無線基地局1a,1bの無線インタフェース11,12と無線基地局1cの無線インタフェース12cが、バックホール無線リンクL26,L27,L28を生成している。このため、無線基地局1cの無線インタフェース11cが、図10の構成で唯一のアクセスリンクであるC15cを生成している。
【0154】
図10の例で、無線通信端末3dは無線LANネットワークに新規参加する端末の例を示すものである。
また、無線通信端末3eはアクセスリンクC15cの通信範囲内から矢印100の方向に移動し、アクセスリンクC15cの通信範囲外となった端末の例を示すものである。
【0155】
この構成で無線通信端末3d,3eの無線LANネットワークへ参加は、バックホール用インタフェースに設定された無線基地局1a,1bの無線インタフェース11もしくは12が、無線通信端末3d,3eからの接続要求に応答できる手段と、接続要求に応じてアクセス用インタフェースにモード変更する手段を設けることで可能となる。
図10の例では、無線基地局1aが無線インタフェース11aについて、図7を参照して上述したアクセス用インタフェースへのモード変更処理を行うことで、無線通信端末3d,3eを収容する(接続可能とする)ことができる。
【0156】
また、他の構成として、無線通信端末3d,3eが無線基地局のアクセスリンクへの接続手段だけでなく、バックホール用に設定されたインタフェースを探索し接続する手段と、アクセス用インタフェースとバックホール用インタフェースのモード変更する手段を設けることによっても、無線通信端末3d,3eが無線LANネットワークへ参加可能となる。
【0157】
この場合、無線通信端末3(3d,3e)は、図11に示すように、アクセスリンクへの接続用およびバックホール無線ネットワークへの接続用のそれぞれの周波数に対応して無線通信が可能な無線通信部31と、無線通信部31による接続先インタフェースの探索や無線基地局への接続要求などの通信制御を行う通信制御部32と、無線通信端末3の動作全体を制御する制御部33と、記憶部34とを備えて構成される。
上記の通信制御部32が、無線通信部31が通信接続の対象とする周波数を、アクセスリンクへの接続用またはバックホール無線ネットワークへの接続用に切り替えさせる制御を行う。
【0158】
図10の例では、無線通信端末3dが無線基地局1aの無線インタフェース11aとの間でバックホール無線リンクを生成することによって接続できる。
無線通信端末3eの無線通信部31は、通信制御部32の制御により接続先の探索を行い、無線基地局が生成するアクセスリンクに対する通信範囲外と認識した時点で、新たな接続先としてアクセスリンクの探索に加えて、バックホール無線リンクの探索も行う。ここでバックホール無線リンクの探索に成功した場合、無線通信端末3eの通信制御部32が無線通信部31のモードをバックホール用に変更することで、無線通信端末3eは無線基地局1aの無線インタフェース11aとバックホール無線リンクの周波数で接続することができる。
【0159】
なお、上述した探索動作で、アクセスリンクとバックホール無線リンクとの両方を検出した場合、例えばトラフィック量の少ない方など、予め定められた判断基準に基づいて判定された方のリンクに接続することとしてよい。
【0160】
以上のように、上述した第3の実施形態によれば、無線基地局の無線インタフェースが、無線通信端末からの接続要求に応じてアクセス用インタフェースにモード変更できるようにすることで、無線基地局の中に、全ての無線インタフェースがバックホール用インタフェースとして運用されている無線基地局が存在する場合であっても、無線通信端末を新規に帰属させたり、他の無線基地局からの帰属先変更(ハンドオーバ)を受けたりすることが問題なくできる。
【0161】
このことにより、例えば無線基地局の中に、全ての無線インタフェースがバックホール用インタフェースとして運用されている無線基地局が存在する場合であっても、上述した第1、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0162】
また、無線通信端末が無線基地局のアクセスリンクへの接続手段だけでなく、バックホール用に設定されたインタフェースにもモード変更により接続可能に構成されることで、無線基地局の中に、全ての無線インタフェースがバックホール用インタフェースとして運用されている無線基地局が存在する場合であっても、その無線基地局に新規に帰属したり、他の無線基地局からの帰属の変更先とすることが問題なくできる。
【0163】
このことにより、例えば無線基地局の中に、全ての無線インタフェースがバックホール用インタフェースとして運用されている無線基地局が存在する場合であっても、上述した第1、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0164】
〔各実施形態について〕
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
例えば、上述した各実施形態では、説明を簡単にするため、3つの無線基地局が直線上に等間隔に配置された構成を構成例の図として挙げているが、無線基地局の数や配置位置はこれらのものに限定されず、任意のものであってよい。
【0165】
また、上述した各実施形態では、説明を簡単にするため、3つの無線通信端末が存在する構成を構成例の図として挙げているが、無線通信端末の数や配置位置はこれらのものに限定されず、任意のものであってよい。
【0166】
また、上述した各実施形態で説明した通信範囲情報、トラフィック情報、トポロジ情報の取得方法は一例であり、上述した各取得方法に限定されず、他の方法を用いても良い。
【0167】
また、上述した各実施形態では、基地局制御装置と無線基地局を別の機器とし、各無線基地局の制御を行う基地局制御装置に各無線基地局が有線接続された構成として説明したが、上述した各実施形態としての機能を実現することができればこの構成に限定されず、例えば、基地局制御装置の機能を無線基地局が備え、各無線基地局間が無線により接続された構成であってもよい。
すなわち、無線基地局1が基地局制御装置4による無線基地局の制御機能も備え、接続されている全ての無線基地局についてのトラフィック情報やトポロジ情報に基づいて判断や制御を行う、いわゆる分散制御を行う構成であっても、本発明は同様に実現することができる。
【0168】
また、上述した各実施形態としての無線LANシステムを実現するための処理手順をプログラムとして記録媒体に記録することにより、本発明の各実施形態による上述した各機能を、その記録媒体から供給されるプログラムによって、システムを構成するコンピュータのCPUに処理を行わせて実現させることができる。
この場合、上記の記録媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記録媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
すなわち、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体および該記録媒体から読み出された信号は本発明を構成することになる。
この記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM,EEPROM等を用いてよい。
【0169】
この本発明に係るプログラムによれば、当該プログラムによって制御されるコンピュータに、上述した本発明に係る各実施形態としての無線LANシステムにおける各機能を実現させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明は、広範囲な無線LANネットワークシステムを手軽に設置しようとする各種の用途に適用できる。
また、無線LANを使ったVoIP(Voice over IP)による音声通信のような高い品質と、移動性が要求される無線ネットワークシステムにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】本発明の第1の実施形態としての無線LANシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】該無線LANシステムの他の状態を示すブロック図である。
【図3】無線基地局1の構成例を示すブロック図である。
【図4】基地局制御装置4の構成例を示すブロック図である。
【図5】モード判断処理を示すフローチャートである。
【図6】モード変更処理により、バックホール用インタフェースに変更する場合の動作を示すフローチャートである。
【図7】モード変更処理により、アクセス用インタフェースに変更する場合の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態としての無線LANシステムの構成例を示すブロック図である。
【図9】該無線LANシステムの他の状態を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態としての無線LANシステムの構成例を示すブロック図である。
【図11】第3の実施形態における無線通信端末3の構成例を示すブロック図である。
【図12】従来の無線LANシステムの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0172】
1 無線基地局
11,12,・・・1n 無線インタフェース
21 通信範囲管理部
22 トラフィック管理部
23 トポロジ管理部
24 中継処理部
25 モード変更処理部
3 無線通信端末
4 基地局制御装置(システム制御装置の一例)
42 基地局情報収集部(基地局情報受信手段の一例)
43 データベース
44 モード判断処理部
45 基地局制御部
5 外部ネットワーク
6 有線ネットワーク(バックボーンネットワークの一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックボーンネットワークに無線通信を用いて接続される無線基地局を含み、他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備えた複数の無線基地局が接続された無線通信システムであって、
前記無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態を測定する接続状態測定手段と、
前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて前記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替える接続先切り替え手段と、を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記無線基地局は、複数の無線接続手段を備え、
前記接続先切り替え手段は、該無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態の情報に基づいて、該複数の無線接続手段の少なくとも1つについての接続先を切り替えることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末の中で接続不能になる無線通信端末が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項1または2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末を収容可能か否かを判断し、収容可能と判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて無線基地局間の帯域が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の中で前記バックボーンネットワークに接続不能となる無線基地局が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末のトラフィック量に対して無線基地局間の帯域が予め定められた範囲内であるか否かを判断し、該範囲内と判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局により無線通信端末を接続させる帯域の合計が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記接続先切り替え手段は、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、前記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記接続先切り替え手段は、他の装置と無線通信により接続可能な通信範囲についての設定情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、前記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記無線基地局は、前記無線接続手段による接続先が無線基地局に設定されていても無線通信端末からの接続要求に応答する要求応答手段を備え、
前記要求応答手段が無線通信端末からの接続要求を受信した場合、前記接続先切り替え手段による接続先切り替え処理を開始させることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項13】
無線通信端末は、
前記無線基地局の前記無線接続手段の接続先が無線通信端末となっている場合だけでなく無線基地局となっている場合にも接続可能な複数周波数接続手段と、
前記複数周波数接続手段の接続対象を、無線通信端末との接続用の無線接続手段または無線基地局間接続用の無線接続手段に切り替える対象切り替え手段とを備えたことを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項14】
バックボーンネットワークに無線通信を用いて接続される無線基地局を含み、他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備えた複数の無線基地局に接続されて用いられるシステム制御装置であって、
前記無線基地局により測定された当該無線基地局に帰属している無線通信端末との接続状態の情報を受信する基地局情報受信手段と、
前記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて前記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替えさせる接続先切り替え手段とを備えたことを特徴とするシステム制御装置。
【請求項15】
前記無線基地局は、複数の無線接続手段を備え、
前記接続先切り替え手段は、該無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態の情報に基づいて、該複数の無線接続手段の少なくとも1つについての接続先を切り替えさせることを特徴とする請求項14記載のシステム制御装置。
【請求項16】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替えさせる際、前記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、前記システム制御装置に接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末の中で接続不能になる無線通信端末が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項14または15記載のシステム制御装置。
【請求項17】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替えさせる際、前記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、前記システム制御装置に接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末を収容可能か否かを判断し、収容可能と判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項14から16の何れか1項に記載のシステム制御装置。
【請求項18】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替えさせる際、前記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて無線基地局間の帯域が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項14から17の何れか1項に記載のシステム制御装置。
【請求項19】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替えさせる際、前記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、前記システム制御装置に接続されている無線基地局の中で前記バックボーンネットワークに接続不能となる無線基地局が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項14から18の何れか1項に記載のシステム制御装置。
【請求項20】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替えさせる際、前記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、前記システム制御装置に接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末のトラフィック量に対して無線基地局間の帯域が予め定められた範囲内であるか否かを判断し、該範囲内と判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項14から19の何れか1項に記載のシステム制御装置。
【請求項21】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替えさせる際、前記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、前記システム制御装置に接続されている無線基地局により無線通信端末を接続させる帯域の合計が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項14から20の何れか1項に記載のシステム制御装置。
【請求項22】
前記接続先切り替え手段は、前記基地局情報受信手段により受信された接続状態の情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、前記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることを特徴とする請求項14から21の何れか1項に記載のシステム制御装置。
【請求項23】
前記接続先切り替え手段は、前記無線基地局における他の装置と無線通信で接続可能な通信範囲の設定情報に基づいて、該無線基地局における通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、前記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることを特徴とする請求項14から21の何れか1項に記載のシステム制御装置。
【請求項24】
前記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項11から23の何れか1項に記載のシステム制御装置。
【請求項25】
他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備え、無線基地局の動作を制御するシステム制御装置に接続されて用いられる無線基地局であって、
帰属している無線通信端末の接続状態を測定する接続状態測定手段と、
前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報を前記システム制御装置に送信する接続状態送信手段と、
前記接続状態の情報に基づいた前記システム制御装置からの変更指示を受信すると前記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替える接続先切り替え手段と、を備えたことを特徴とする無線基地局。
【請求項26】
複数の無線接続手段を備え、
前記接続先切り替え手段は、前記システム制御装置からの変更指示により、当該変更指示のあった少なくとも1つの無線接続手段についての接続先を切り替えることを特徴とする請求項25記載の無線基地局。
【請求項27】
前記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項25または26記載の無線基地局。
【請求項28】
前記無線接続手段による接続先が無線基地局に設定されていても無線通信端末からの接続要求に応答する要求応答手段を備えたことを特徴とする請求項25から27の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項29】
他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備え、他の無線基地局と前記無線接続手段により接続されて用いられる無線基地局であって、
接続されている各無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態を測定する接続状態測定手段と、
前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて前記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替える接続先切り替え手段と、を備えたことを特徴とする無線基地局。
【請求項30】
複数の無線接続手段を備え、
前記接続先切り替え手段は、帰属している無線通信端末の接続状態の情報に基づいて、該複数の無線接続手段の少なくとも1つについての接続先を切り替えることを特徴とする請求項29記載の無線基地局。
【請求項31】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末の中で接続不能になる無線通信端末が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項29または30記載の無線基地局。
【請求項32】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末を収容可能か否かを判断し、収容可能と判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項29から31の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項33】
前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて無線基地局間の帯域を測定する帯域測定手段を備えたことを特徴とする請求項29から32の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項34】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、接続されている無線基地局の中で前記バックボーンネットワークに接続不能となる無線基地局が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項29から33の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項35】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、接続されている無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末のトラフィック量に対して無線基地局間の帯域が予め定められた範囲内であるか否かを判断し、該範囲内と判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項29から34の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項36】
前記接続先切り替え手段は、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、接続されている無線基地局により無線通信端末を接続させる帯域の合計が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項29から35の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項37】
前記接続先切り替え手段は、前記接続状態測定手段により測定された接続状態の情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、前記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることを特徴とする請求項29から36の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項38】
前記接続先切り替え手段は、他の装置と無線通信により接続可能な通信範囲についての設定情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定される場合、前記無線接続手段の接続先切り替え処理を開始させることを特徴とする請求項29から36の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項39】
前記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項29から38の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項40】
前記無線基地局は、前記無線接続手段による接続先が無線基地局に設定されていても無線通信端末からの接続要求に応答する要求応答手段を備え、
前記要求応答手段が無線通信端末からの接続要求を受信した場合、前記接続先切り替え手段による接続先切り替え処理を開始させることを特徴とする請求項29から39の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項41】
他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備えた無線基地局と通信可能な無線通信端末であって、
前記無線基地局の前記無線接続手段の接続先が無線通信端末となっている場合だけでなく無線基地局となっている場合にも接続可能な複数周波数接続手段と、
前記複数周波数接続手段の接続対象を、無線通信端末との接続用の無線接続手段または無線基地局間接続用の無線接続手段に切り替える対象切り替え手段とを備えたことを特徴とする無線通信端末。
【請求項42】
バックボーンネットワークに無線通信を用いて接続される無線基地局を含み、他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備えた複数の無線基地局が接続された無線通信システムにおける通信制御方法であって、
前記無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態を測定する接続状態測定工程と、
前記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて前記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替える接続先切り替え工程と、を備えたことを特徴とする通信制御方法。
【請求項43】
前記無線基地局は、複数の無線接続手段を備え、
前記接続先切り替え工程では、該無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態の情報に基づいて、該複数の無線接続手段の少なくとも1つについての接続先を切り替えることを特徴とする請求項42記載の通信制御方法。
【請求項44】
前記接続先切り替え工程では、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末の中で接続不能になる無線通信端末が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項42または43記載の通信制御方法。
【請求項45】
前記接続先切り替え工程では、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末を収容可能か否かを判断し、収容可能と判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項42から44の何れか1項に記載の通信制御方法。
【請求項46】
前記接続先切り替え工程では、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて無線基地局間の帯域が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項42から45の何れか1項に記載の通信制御方法。
【請求項47】
前記接続先切り替え工程では、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の中で前記バックボーンネットワークに接続不能となる無線基地局が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項42から46の何れか1項に記載の通信制御方法。
【請求項48】
前記接続先切り替え工程では、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末のトラフィック量に対して無線基地局間の帯域が予め定められた範囲内であるか否かを判断し、該範囲内と判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項42から47の何れか1項に記載の通信制御方法。
【請求項49】
前記接続先切り替え工程では、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局により無線通信端末を接続させる帯域の合計が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項42から48の何れか1項に記載の通信制御方法。
【請求項50】
前記接続先切り替え工程は、前記接続状態測定工程により測定された接続状態の情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定された時に開始することを特徴とする請求項42から49の何れか1項に記載の通信制御方法。
【請求項51】
前記接続先切り替え工程は、他の装置と無線通信により接続可能な通信範囲についての設定情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定された時に開始することを特徴とする請求項42から49の何れか1項に記載の通信制御方法。
【請求項52】
前記無線接続手段による接続先が無線基地局に設定されていても無線通信端末からの接続要求に応答する要求応答工程を備え、
前記接続先切り替え工程は、前記要求応答工程で無線通信端末からの接続要求を受信した時に開始することを特徴とする請求項42から51の何れか1項に記載の通信制御方法。
【請求項53】
前記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項42から52の何れか1項に記載の通信制御方法。
【請求項54】
無線通信端末は、前記無線基地局の前記無線接続手段の接続先が無線通信端末となっている場合だけでなく無線基地局となっている場合にも接続可能な複数周波数接続手段を備え、
前記複数周波数接続手段が接続可能な前記無線接続手段を探索する接続先探索工程と、
前記接続先探索工程の結果に応じて、前記複数周波数接続手段の接続対象を、無線通信端末との接続用の無線接続手段または無線基地局間接続用の無線接続手段に切り替える対象切り替え工程とを備えたことを特徴とする請求項42から53の何れか1項に記載の通信制御方法。
【請求項55】
バックボーンネットワークに無線通信を用いて接続される無線基地局を含み、他の装置と無線通信により接続するための無線接続手段を備えた複数の無線基地局が接続された無線通信システムにおける通信制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態を測定する接続状態測定処理と、
前記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて前記無線接続手段による接続先を無線基地局または無線通信端末に切り替える接続先切り替え処理と、を実行させることを特徴とする通信制御プログラム。
【請求項56】
前記無線基地局は、複数の無線接続手段を備え、
前記接続先切り替え処理では、該無線基地局に帰属している無線通信端末の接続状態の情報に基づいて、該複数の無線接続手段の少なくとも1つについての接続先を切り替えることを特徴とする請求項55記載の通信制御プログラム。
【請求項57】
前記接続先切り替え処理では、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末の中で接続不能になる無線通信端末が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項55または56記載の通信制御プログラム。
【請求項58】
前記接続先切り替え処理では、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末を収容可能か否かを判断し、収容可能と判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項55から57の何れか1項に記載の通信制御プログラム。
【請求項59】
前記接続先切り替え処理では、前記無線接続手段による接続先を無線通信端末から無線基地局に切り替える際、前記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて無線基地局間の帯域が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項55から58の何れか1項に記載の通信制御プログラム。
【請求項60】
前記接続先切り替え処理では、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の中で前記バックボーンネットワークに接続不能となる無線基地局が発生するか否かを判断し、発生しないと判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項55から59の何れか1項に記載の通信制御プログラム。
【請求項61】
前記接続先切り替え処理では、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局の何れかに帰属している無線通信端末のトラフィック量に対して無線基地局間の帯域が予め定められた範囲内であるか否かを判断し、該範囲内と判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項55から60の何れか1項に記載の通信制御プログラム。
【請求項62】
前記接続先切り替え処理では、前記無線接続手段による接続先を無線基地局から無線通信端末に切り替える際、前記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、前記無線通信システムに含まれる無線基地局により無線通信端末を接続させる帯域の合計が向上するか否かを判断し、向上すると判断された場合に該切り替えを行うことを特徴とする請求項55から61の何れか1項に記載の通信制御プログラム。
【請求項63】
前記接続先切り替え処理は、前記接続状態測定処理により測定された接続状態の情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定された時に開始することを特徴とする請求項55から62の何れか1項に記載の通信制御プログラム。
【請求項64】
前記接続先切り替え処理は、他の装置と無線通信により接続可能な通信範囲についての設定情報に基づいて、通信品質が予め定められた閾値より低くなると判定された時に開始することを特徴とする請求項55から62の何れか1項に記載の通信制御プログラム。
【請求項65】
コンピュータに、
前記無線接続手段による接続先が無線基地局に設定されていても無線通信端末からの接続要求に応答する要求応答処理を実行させ、
前記接続先切り替え処理は、前記要求応答処理で無線通信端末からの接続要求を受信した時に開始することを特徴とする請求項55から64の何れか1項に記載の通信制御プログラム。
【請求項66】
前記接続状態とは、トラフィック情報およびトポロジ情報の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項55から65の何れか1項に記載の通信制御プログラム。
【請求項67】
無線通信端末は、前記無線基地局の前記無線接続手段の接続先が無線通信端末となっている場合だけでなく無線基地局となっている場合にも接続可能な複数周波数接続手段を備え、
コンピュータに、
前記複数周波数接続手段が接続可能な前記無線接続手段を探索する接続先探索処理と、
前記接続先探索処理の結果に応じて、前記複数周波数接続手段の接続対象を、無線通信端末との接続用の無線接続手段または無線基地局間接続用の無線接続手段に切り替える対象切り替え処理とを実行させることを特徴とする請求項55から66の何れか1項に記載の通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−22089(P2008−22089A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189854(P2006−189854)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】