説明

無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法

【課題】リンク破断によるアドホックネットワークの経路再構築にかかる回数そのものを少なくすることで、特に複数のエラーが同時に発生した場合にデータ収集時間を短くすることを目的とする。
【解決手段】本発明によれば、センシングしたデータを出力するセンサと無線通信機能とから構成されるセンサノード110〜450と、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置された、センサノード群からのデータを受信する無線通信ブロックと、各センサノードからの前記受信したデータと冗長性に基づいて正常かエラーかを判断し、エラーとなった場合は通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集するよう指示するデータ収集手順決定ブロックとから構成される親局100を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低消費無線通信における応答性向上に寄与する無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路や鉄道を敷設するにあたって形成される法面の崩壊の兆候をリアルタイムに検出する法面監視システムは、低コスト化のために、ZigBee(登録商標)に代表されるような、無線アドホックネットワーク技術を用いてシステム構築する試みが行われている。
【0003】
無線アドホックネットワークは、パケットの送信元から宛先に対して、通信経路を構築する機能を有しており、この通信経路構築機能は、通信経路が構築されていない初期状態に通信経路を確立するだけでなく、リンク破断による通信エラーが発生した場合に、その時点で有効な通信経路を再構築してエラー回復する場合に適用される。屋外に設置されるシステムでは、草木や天候の影響によって電波伝搬状態が変動し、リンク破断が発生し得るため、通信経路構築機能は、非常に有用である。
【0004】
一方で、通信経路構築を実施するためには、Route Requestと呼ぶ経路探索用メッセージをネットワーク全体に伝送(フラッディング)するため、非常に大きな時間が必要となる。
【0005】
法面監視システムでは、広いエリアに敷設した複数のセンサデータを収集する必要があるが、電波伝搬状態の変動によるリンク破断による経路再構築には、多くの時間がかかるため、システムが要求する時間内にデータ収集が実現できない問題があった。
この問題を解決する方法として、経路再構築に際して、Route Requestメッセージを伝送する範囲を小さく制限して、経路再構築に要する時間を小さくする方法を開示している(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この方法は、最初に一度Route Requestをフラッディングして経路構築した後は、作成した経路をグループ化して管理し、リンク破断が起きた場合には、グループ境界センサノード間で部分修復をすることで、経路再構築を簡易化する手法が開示されている。この方法によれば、最初の一度は、非常に大きな時間がかかるものの、その後は、比較的小さな時間で経路再構築が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−38511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、部分修復であっても、通常のアクセスの数倍という大きな時間がかかること、および、グループ内で部分修復ができないケースや、グループ境界センサノードの故障やグループ境界センサノードへのリンクが破断した場合においては、部分修復をあきらめた後、初期と同じく、Route Requestをフラッディングする必要があるため、かえってペナルティが大きくなる、すなわち修復にかかる時間が大きくなるという問題がある。
【0009】
この発明は上記のような問題点を解決するためのもので、リンク破断によるアドホックネットワークの経路再構築にかかる回数そのものを少なくすることで、特に複数のエラーが同時に発生した場合であってもシステムが要求するデータ収集時間を短くすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、センシングしたデータを出力するセンサと無線通信機能とから構成されるセンサノードと、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置されたセンサノード群に対してデータの送受信を行う無線通信ブロックと、各センサノードから受信したデータと冗長性に基づいて正常かエラーかを判断し、エラーとなった場合は通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集するよう指示するデータ収集手順決定ブロックとから構成される親局を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、センシングしたデータを出力するセンサと無線通信機能とから構成されるセンサノードと、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置されたセンサノード群に対してデータの送受信を行う無線通信ブロックと、各センサノードから受信したデータと冗長性に基づいて正常かエラーかを判断し、エラーとなった場合は通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集するよう指示するデータ収集手順決定ブロックとから構成される親局を備えたことで、リンク破断によるアドホックネットワークの経路再構築にかかる回数そのものを少なくすることで、特に複数のエラーが同時に発生した場合であってもシステムが要求するデータ収集時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1における無線通信システム全体構成を示す図。
【図2】実施の形態1における無線通信システムの親局100の構成を示す図。
【図3】実施の形態1における無線通信システムのセンサノードの構成を示した図。
【図4】実施の形態1における無線通信システムの親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスを示したフローチャート。
【図5】実施の形態1における無線通信システムにて、個々のデータ収集周期で実施し、データ収集処理手順エラーが発生しなかった場合の、法面状態監視ブロック101に記録されたデータを示した図。
【図6】実施の形態1における無線通信システムにて、個々のデータ収集周期で実施し、センサノード110、センサノード130へのアクセスでエラーが発生した場合について法面状態監視ブロック101に記録されたデータを示した図。
【図7】実施の形態2における無線通信システムの親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスを示したフローチャート。
【図8】実施の形態3における親局100の構成図。
【図9】実施の形態3における無線通信システムの親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスを示したフローチャート。
【図10】実施の形態4における無線通信システムの親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスを示したフローチャート。
【図11】実施の形態4における無線通信システムにて、法面状態監視ブロック101に記録されたデータを示した図。
【図12】実施の形態4における無線通信システムにおける、通信経路の修正によるセンサノードデータの再収集の例を示した図。
【図13】本実施の形態5における複数のエリアの複数のセンサノードの配置に対する図1とは別のエリア分割方法を示す図。
【図14】実施の形態5における無線通信システムの親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスを示したフローチャート。
【図15】実施の形態5における無線通信システムにて、法面状態監視ブロック101に記録されたデータを示した図。
【図16】実施の形態における親局100とセンサノード110〜450のハードウェア資源の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
実施の形態1では、リンク破断によるアドホックネットワークの経路再構築にかかる回数そのものを少なくする無線通信システムについて説明する。
【0014】
図1は、実施の形態1における無線通信システム全体構成を示す図である。
図1において、親局100(無線通信装置)は、エリア1〜エリア4の法面に各々配置されたセンサノード(エリア1は110〜150、エリア2は210〜250、エリア3は310〜350、エリア4は410〜450)と直接または間接的に通信を行うよう配置されている。
【0015】
センサノード110〜450は、法面の状態を監視するためのセンサと無線通信機能を有する装置である。監視対象は、4つのエリアに分割されており、各エリアには5個のセンサノードが設置されている。親局100が通信可能なエリアとセンサノード4つのエリアと各々のエリアに5つという数字には限られないが、実施の形態ではこの場合について説明する。
【0016】
また、本実施の形態においては、エリア1〜4の個々のエリアには1つの冗長なセンサノードが設置されており、少なくとも4つのセンサの値を読み出すことができれば法面の状態判定は、可能であるとする。すなわち、各エリアの必要データ数は4、各エリアのデータ取得のエラー許容度は1である。尚、各エリアの必要データ数と冗長なセンサノードの数については、上記説明したものには限られない。
【0017】
図2は、実施の形態1における無線通信システムの親局100の構成を示す図である。
親局100は、無線アドホックネットワークを介して、センサノード410〜450にアクセスし、センシングデータを読み出し、読み出した結果、法面の状態を判定する。
【0018】
親局100の構成について説明する。
法面状態監視ブロック101は、センサノードからの法面監視データ(センシングデータ)を元に、法面の状態を判定する。判定に際しては、一定周期で、前記したエリアごとに、少なくも4つセンシングデータを評価し、全てのエリアで法面の状態が良好であるかどうかを判定する。
【0019】
データ収集手順決定ブロック102は、法面状態監視ブロック101より、センサノード配置情報、必要なデータ数の指示を受けて、データ収集手順を決定して、無線通信ブロック103にセンサノード110〜450に対して通信トランザクションを指示する。トランザクションの実施結果は、無線通信ブロック103より受け取る。トランザクションの種類は、データ収集トランザクションと、エラー回復トランザクションである。データ収集トランザクションは、指定したセンサノードにデータ収集コマンドを発行し、センシングデータを受信するトランザクションである。エラー回復トランザクションは、指定したセンサノードへの通信経路を再構築し、再構築した経路を使って、エラーになったデータ収集トランザクションを実施するトランザクションである。
【0020】
無線通信ブロック103は、無線フレームの送受信、および、中継処理を実施するブロックであり、データ収集手順決定ブロック102が、指定する通信トランザクションを実施して、結果をデータ収集手順決定ブロック102に通知する。その際、無線通信ブロック103からの結果の中に経由したセンサノードの経路情報も含まれる。この経路情報は、データ収集されるセンサノードにたどり着く全てのセンサノードの経路情報を含んでもよいし、データ収集されるセンサノードの一つ手前のセンサノードのみを含んでもよい。また、トランザクション実施において、受信したセンシングデータは、法面状態監視ブロック101に出力する。
【0021】
図3は、実施の形態1における無線通信システムのセンサノードの構成を示した図である。
センサノード110〜450は、法面の状態を監視するためのセンサ111〜451と、法面状態監視ブロック112〜452と、無線通信機能部分である無線通信ブロック113〜453を有する装置である。
【0022】
法面状態監視ブロック112〜452は、親局100からのデータ収集コマンドを受けて、センサ111〜451にアクセスしてセンシングデータを取得し、親局100にデータとして送信することを、無線通信ブロック113〜453に指示するブロックである。
センサ111〜451は、親局100の法面状態監視ブロック101が、法面の状態を判定するのに、必要なセンシングデータを出力するセンサである。
無線通信ブロック113〜453は、無線フレームの送受信、および、中継処理を実施するブロックであり、データ収集トランザクションを受信した場合は、法面状態監視ブロック112〜452に、データ収集コマンドを出力し、法面状態監視ブロック112〜452からセンシングデータを受け取った場合は、親局100に対して、センシングデータを送信する。また、ネットワーク上で、経路再構築処理が行われている場合は、これに参加する。
【0023】
次に動作について説明する。
実施の形態1における無線通信システムのセンサノードの構成を示した図である。
図4は、実施の形態1における無線通信システムの親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスを示したフローチャートである。各エリアのデータ収集手順は、本手順に従って行われる。
【0024】
まず、ステップS101において、親局100のデータ収集手順決定ブロック102は、アクセスするセンサノード110〜450として、該当エリアに所属するセンサノード110〜450のうち1つを選択する。選択方法は任意であり、例えば、該当エリア1のセンサノード110乃至150の順番に選択する。
【0025】
ステップS102において、データ収集手順決定ブロック102は、選択したセンサノードに対してデータ収集トランザクションを発行して無線通信ブロック103を経由して選択したセンサノードに通知すると共にそのセンサノードからデータの収集をする。
データ収集手順決定ブロック102は、データ収集トランザクションを実施した結果、経路再構築が必要なエラーが発生した場合はステップS103に進み、データ取得に成功した場合はステップS105に進む。
なお、本ステップにおいて、経路再構築を伴わないエラー回復処理を実施しても良い。
【0026】
ステップS103において、データ収集手順決定ブロック102は、エラー許容度を確認する。エラー許容度とは、エリア内のセンサノードについてデータ収集エラーを許容ができるノード数のことである。すなわち、収集データの冗長性のことである。エラー許容度が1以上の場合は、データ収集手順決定ブロック102は、エラーを許容できるため、経路再構築を伴うエラー回復処理を実施せず、ステップS106に進みエラー許容度を−1と再定義してステップS101に戻る。エラー許容度が0の場合は、データ収集手順決定ブロック102は、ステップS104を実施する。
【0027】
ステップS104において、データ収集手順決定ブロック102は、ステップS102でエラーになったセンサノードに対して、経路再構築を伴うエラー回復トランザクションを発行して、再度データ取得を実施する。データ取得に成功した場合は、データ収集手順決定ブロック102は、ステップS105に進む。データ取得に失敗した場合は、さらに再びステップS104を実施する。なお、ステップS104を実施する際に、直前に発生したエラー回復トランザクションに替えて、同じデータ収集周期で発生した別のセンサノードに対するエラー回復トランザクションを実施しても良い。
【0028】
ステップS105では、必要なデータが揃ったかどうか確認する。本実施例では、必要なデータ数は4である。データが揃っていれば、データ収集手順決定ブロック102は、該エリアに対するデータ収集を終了し、そうでなければ、ステップS101に戻って、次のセンサノードを選択する。
【0029】
以下、実施の形態1における無線通信システムの個々のデータ収集周期で実施したデータ収集処理手順のエリア1のデータ収集結果の例を示す。
図5は、実施の形態1における無線通信システムにて、個々のデータ収集周期で実施し、データ収集処理手順エラーが発生しなかった場合の、法面状態監視ブロック101に記録されたデータを示した図である。
【0030】
図5における上段のデータは、データ収集周期ごとのデータ保存領域を示し、中段はある周期におけるエリアごとのデータ領域を示し、下段はある周期、エリア1のセンサノードのデータ領域を示している。
親局100のデータ収集手順決定ブロック102は、エリア1のセンサノード110〜150に順番にアクセスするよう指示し、センサノード110から140にアクセスした時点で、4つのデータを取得したため、センサノード150へのアクセスをキャンセルしてエリア1のデータ収集を終了している。この場合、センサノード150へのデータ収集処理は実施しても良いが、エラーが発生しても、エラー許容度が1であるため、経路再構築を伴うエラー回復処理は実施しない。
【0031】
図6は、実施の形態1における無線通信システムにて、個々のデータ収集周期で実施し、センサノード110、センサノード130へのアクセスでエラーが発生した場合について法面状態監視ブロック101に記録されたデータを示した図である。
図6も図5と同様、上段のデータは、データ収集周期ごとのデータ保存領域を示し、中段はある周期におけるエリアごとのデータ領域を示し、下段はある周期、エリア1のセンサノードのデータ領域を示している。
【0032】
親局100のデータ収集手順決定ブロック102は、センサノード110にアクセスしデータ取得に失敗した場合、本実施例のシステム構成では1のエラー許容度があるため、図4のステップS103に基づいてセンサノード110についてはエラー回復を行わず、後続するセンサノードのデータ収集を継続する。センサノード130でエラーが発生した場合、図4のステップS103においてすでにエラー許容度が0になっているため、図4のステップS104に基づいてデータ収集手順決定ブロック102は、センサノード130に対するエラー回復を実施する。この時、センサノード130に対するエラー回復に替えてセンサノード110へのエラー回復を実施しても良い。図4のステップS104に基づいてエラー回復によりデータ取得できた場合は、後続するセンサノードへのアクセスし、4つのデータを収集できたら、エリア1のデータ収集を終了する。エラー回復に失敗した場合は、エラー回復に失敗したセンサノードと異なるセンサノードに対してエラー回復を実施することで、エラー回復処理の成功率を上げることができる。
【0033】
このように、センサノードへのアクセスでエラーが発生した場合に、エラー許容度を確認して、エラーが許容される場合には、エラー回復を行わないことで、エラー回復処理の数を削減することが可能となり、システム全体のリアルタイム性向上を図ることが可能となる。
すなわち、リンク破断によるアドホックネットワークの経路再構築に時間がかかるために、複数のエラーが同時に発生した場合に、システムが要求するデータ収集時間を満たせない課題を解決するために、センサから収集できるデータを各エリアの最低数よりも増やして冗長化してエラー許容度を持たせたことが本実施例の特徴である。
【0034】
したがって、本実施の形態では、センシングしたデータを出力するセンサ111〜451と無線通信機能とから構成されるセンサノード110〜450と、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置されたセンサノード群に対してデータの送受信を行う無線通信ブロック103と、各センサノードからの前記受信したデータと冗長性に基づいて単一のエリアのセンサデータが正常かエラーかを判断し、エラーとなった場合は通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集するよう指示するデータ収集手順決定ブロック102とから構成される親局100を備えたことで、リンク破断によるアドホックネットワークの経路再構築にかかる回数そのものを少なくすることで、特に複数のエラーが同時に発生した場合であってもシステムが要求するデータ収集時間を短くすることができる。
【0035】
実施の形態2.
実施の形態1ではエラーとなったセンサノードに対し、親局100は再度データ収集をトライするだけなので、データ収集期間Xの間にエラー回復しないセンサノードがある可能性がある。
実施の形態2では、全てのエリアに対するデータ収集が、データ収集期間Xよりも短い時間で完了した場合、残った時間を利用して、個別エリアのデータ収集処理時にはエラーが許容されるためにエラー回復しなかった、センサノードへのエラー回復を他のエリアのデータ収集期間に実施する例を説明する。
【0036】
システムの構成、親局100の構成、センサノード110〜450の構成は実施の形態1と同じである。本実施の形態では、親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスに図4に加えて、図7を追加したものを実施する。本手順を以下に説明する。
次に動作について説明する。
まず、図4のステップ101からステップ106までは、実施の形態2においても実施の形態1と同様の動作を行う。その際、S104においてデータ収集手順決定ブロック102が、エラー回復トランザクションを発行してもエラー回復しない場合、データ収集期間Xがたったとすると、データ収集手順決定ブロック102はエラー回復トランザクションを中止せざるを得ない。しかし、他のエリアに対するデータ収集がデータ収集期間Xよりも短い時間で完了した場合、その残りの時間を用いてそのエリアに対して再度エラー回復トランザクションをするようにすることができる。
図7は、実施の形態2における無線通信システムの親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスを示したフローチャートである。
【0037】
図7のステップS107において、データ収集手順決定ブロック102は、他のエリアにおいて、ステップS102〜S104で、データ収集トランザクションでエラーが発生したが、エラー回復トランザクションを実施していないセンサノードがあるか判定し、ある場合は、ステップS108に進む。無い場合は処理を終了する。
【0038】
なお、ステップS102〜S104で、データ収集トランザクションでエラーが発生したが、エラー回復トランザクションを実施していない処理の有無は、ステップS103でデータ収集手順決定ブロック102が記憶しておくこととする。
【0039】
ステップS108において、データ収集手順決定ブロック102は、エラー回復トランザクションを実施する時間があるかどうかを確認する。エラー回復トランザクションに要する時間は、システムの構成、経路再構築の方法により、その最大値を算出することが可能である。現在実施中のデータ収集周期にエラー回復トランザクションを実施する時間があれば、ステップS109に進み、無い場合は終了する。
【0040】
ステップS109において、データ収集手順決定ブロック102は、エラー回復トランザクションを発行して、エラー回復が成功すれば、ステップS107に戻り、失敗した場合は、リトライを実施するためにステップS108を実施する。なお、リトライには、一般的な回数制限を付けても良い。回数制限に達した場合は、ステップS107に進む。
【0041】
データ収集トランザクションで、エラーが発生したセンサノードは、以降のデータ収集周期でもエラーが発生する可能性が高い。
そのため、本実施の形態に示した手順により、空き時間を利用して、エラーが発生したセンサノードへのエラー回復処理を実施しておくことで、リアルタイム性を損なうことなく、データ収集処理の成功率を高めることができ、リアルタイム性を向上させることが可能となる。
【0042】
したがって、本実施の形態では、センシングしたデータを出力するセンサ111〜451と無線通信機能とから構成されるセンサノード110〜450と、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置されたセンサノード群に対してデータの送受信を行う無線通信ブロック103と、各センサノードからの前記受信したデータと冗長性に基づいて単一のエリアのセンサデータが正常かエラーかを判断し、エラーとなった場合は通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集するよう指示するデータ収集手順決定ブロック102とから構成される親局100を備え、該当エリアのデータ収集期間が経過した後、全てのエリアのデータ収集後のデータ収集期間の空きを該当エリアのデータ収集期間に利用したことで、リンク破断によるアドホックネットワークの経路再構築にかかる回数そのものを少なくすることで、エラーが発生したセンサノードへのエラー回復処理を実施しておくことで、リアルタイム性を損なうことなく、データ収集処理の成功率を高めることができ、リアルタイム性を向上させることが可能となる。
【0043】
実施の形態3.
実施の形態3では、全てのエリアに対するデータ収集、および、実施の形態2に示した全てのセンサノードに対するエラー回復が、データ収集期間Xよりも短い時間で完了した場合、残った時間を利用して、リンク品質が低下したセンサノードへの通信経路の再構築のために利用する方法について説明する。
【0044】
システムの構成、センサノードの構成は実施の形態1または実施の形態2と同じであるので説明を割愛する。
図8は、本実施の形態3における親局100の構成図である。
実施の形態1または2に対して、本実施の形態においては、新たにリンク状態監視ブロック104が親局100内に構成されている。
リンク状態監視ブロック104は、個々のセンサノード間のリンク品質を監視するブロックであり、リンク品質が低下した場合に、データ収集手順決定ブロック102に、リンク品質が低下したリンクに関連するセンサノードが通知される。リンク品質の監視方法については、説明を省く。
なお、データ収集手順決定ブロック102は、リンク品質が低下したリンクに関連するセンサノードが通知されると、無線通信ブロック103に、経路再構築の時間があれば経路再構築トランザクションを発行する。経路再構築トランザクションは、エラー回復トラインザクションのデータ収集処理を省略したトランザクションである。
【0045】
本実施の形態では、実施の形態1における親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスである図4に加えて、少なくとも、以下に説明する図9に記載されたシーケンスを追加したもので説明する。
尚、実施の形態2の親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスである図4と図7に加えて、以下に説明する図9に記載されたシーケンスを追加してもよい。
【0046】
図9は、実施の形態3における無線通信システムの親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスを示したフローチャートである。
ステップS110において、データ収集手順決定ブロック102は、リンク状態監視ブロック104からの出力をチェックし、リンク品質の低下によって通信状態が悪化しているセンサノードの有無を判定し、ある場合は、ステップS111に進む。無い場合は処理を終了する。
【0047】
次に、ステップS111において、データ収集手順決定ブロック102は、経路再構築トランザクションを実施する時間があるかどうかを確認する。経路再構築トランザクションを実施するのに要する時間は、システムの構成、経路再構築の方法により、その最大値を算出することが可能である。現在実施中のデータ収集周期に経路再構築トランザクションを実施する時間があれば、ステップS112に進み、無い場合は終了する。
【0048】
ステップS112において、データ収集手順決定ブロック102は、経路再構築トランザクションを発行して、無線通信ブロック103を経由して各センサノードに送信される。経路再構築が成功した場合は、ステップS110に戻り、失敗した場合は、リトライを実施するためにステップS111に進む。なお、リトライには、一般的に実施されている回数制限を行っても良い。回数制限に達した場合は、ステップ110に進む。
【0049】
屋外に設置されるシステムは、外部環境変化により、個別のリンク品質が低下する可能がある。このように、空き時間を、リンク品質の低下が認められた場合は、エラーが発生していなくても経路再構築を実施することで、以後のデータ収集周期において、エラー発生率を低下させ、リアルタイム性を向上させることが可能となる。
【0050】
したがって、本実施の形態では、センシングしたデータを出力するセンサ111〜451と無線通信機能とから構成されるセンサノード110〜450と、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置されたセンサノード群に対してデータの送受信を行う無線通信ブロック103と、各センサノードからの前記受信したデータと冗長性に基づいて単一のエリアのセンサデータが正常かエラーかを判断し、エラーとなった場合は通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集するよう指示するデータ収集手順決定ブロック102とから構成される親局100を備え、該当エリアのデータ収集期間が経過した後、全てのエリアのデータ収集後のデータ収集期間の空きを該当エリアのデータ収集期間に利用したことで、以後のデータ収集周期において、エラー発生率を低下させ、リアルタイム性を向上させることが可能となる。
【0051】
尚、本実施の形態における特徴部分のひとつである、リンク品質の低下が認められた場合は、空き時間を利用して、エラーが発生していなくても経路再構築を実施することについては、単一のエリアに対してセンサノード群が冗長性を持たない場合であっても、すなわち、システムのエラー許容度が0であっても適用することで、データ収集周期において、エラー発生率を低下させ、リアルタイム性を向上させることが可能となる。
【0052】
実施の形態4.
実施の形態4では、データ収集処理をエリア毎に行わず、全フィールドに対して、一括して実施し、エラー回復処理を効率的に実施する方法について示す。
実施の形態4のシステム構成は、本実施の形態1と同様に図1と同じであり、各エリアには1つの冗長なセンサノードが設置されていることとして、エラー許容度は1、必要なデータ数は4である。
親局100、センサノード110〜450の構成についても、実施の形態1の図2及び3と同じである。
親局100、センサノード110〜450の動作について説明する。
図10は、実施の形態4における無線通信システムの親局100のデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスを示したフローチャートである。
【0053】
ステップS201において、親局100のデータ収集手順決定ブロック102は、データ収集トランザクションを、全てのエリアのセンサノード110〜450に対して一つのセンサノードずつ発行する。具体的には、複数エリアに所属するセンサノードを一つずつ選択する。センサノード選択方法・順序は任意であり、例えば、エリア1のセンサノード110〜150の順、エリア2のセンサノード210〜250の順、エリア3のセンサノード310〜350の順、エリア4のセンサノード410〜450の順、の順に選択する。
そして、全てのセンサノードへのデータ収集トランザクションを発行したか否かを判別し、発行できていない場合は、ステップS202に進み、発行できた場合は、ステップS204に進む。
【0054】
ステップS202において、親局100のデータ収集手順決定ブロック102は、選択した一つのセンサノードに対するデータ収集トランザクションを、無線通信ブロック103を経由して発行後、そのセンサノードに対するデータの収集を実施する。
そのセンサノードのデータが収集できた場合はステップS201に戻り、親局100のデータ収集手順決定ブロック102は、別のセンサノードを選択しデータ収集トランザクションを発行する。
そのセンサノードのデータ収集でエラーが発生した場合は、ステップS203に進む。 なお、無線通信ブロック103では、エラーが発生した場合に、経路再構築を伴わない、すなわち、短時間で実施可能なエラー回復を実施しても良い。
ステップS203において、そのセンサノードのデータ収集でエラーが発生した場合にデータ収集手順決定ブロック102は、発生したエラーを記憶する。記憶する内容は、エラーが発生したセンサノードの識別子である。エラーを記憶後、ステップS201に戻る。
【0055】
次に、データ収集手順決定ブロック102が全てのセンサノードへのデータ収集トランザクションを発行後、ステップS204において、データ収集手順決定ブロック102は、エラー回復トランザクションを発行するセンサノードを選択する。エラー回復トランザクションを発行するセンサノードの選択は、ステップS203で記憶したエラー発生センサノードの中から選択する。選択方法は、任意であるが、例えば、エラー回復が成功する可能性の高いものから順番に選択すれば、エラー回復処理数を減らすことができ、全体の処理時間を短縮し、リアルタイム性を向上させることができる。エラー回復成功率が低いセンサノードの条件として、たとえば、複数回に渡って連続してエラーを発生しているセンサノードや、過去にエラー発生頻度が高いセンサノード等が該当する。したがって、エラー回復が成功する可能性の高いものを選択するには、エラー回復成功率が低いセンサノードの条件を満たさないものから選択すればよい。
【0056】
ステップS205において、データ収集手順決定ブロック102は、選択したエラー発生センサノードに対し無線通信ブロック103経由で、経路再構築を伴うエラー回復トランザクションを発行する。エラー回復に成功し、データが取得できれば、ステップS206に進む。データ取得できなければステップS204にもどる。
ステップS206において、データ収集手順決定ブロック102は、ステップS202とステップS205により収集できたデータ数をカウントし、必要なデータ数(本実施の形態では各エリアあたり4つのセンサノードのデータ)が集まったかどうか確認する。必要なデータが揃っていれば、該エリアに対するデータ収集を終了する。必要なデータが揃っていない場合は、ステップS204にもどる。
【0057】
図11は、実施の形態4における無線通信システムにて、法面状態監視ブロック101に記録されたデータを示した図である。
図11における上段のデータは、データ収集周期ごとのデータ保存領域を示し、中段はある周期におけるエリアごとのデータ領域を示し、下段はある周期、エリア1のセンサノードのデータ領域を示している。
図11において、図10のステップS201〜S203にてデータを収集した結果、エリア1においては、図11に示すように下段左側から記憶され、センサノード110、130、150へのデータ収集処理でエラーが発生したとする。その後、全てのエリアのデータ収集が完了後、図10のステップ204〜ステップ206にて再度全エリアに対するデータを収集し、エリア1においては、図11に示すように、下段におけるセンサノード150の右側から再度データが法面状態監視ブロック101に蓄積する。
図11の場合、データ収集手順決定ブロック102は、エラー回復が成功する可能性の高いものから順番に選択し、センサノード130、センサノード150の順でエラー回復を実施したところで、必要なデータ数4を取得したため、エリア1のデータ収集処理を終了している。
【0058】
したがって、本実施の形態では、1エリア内の全てのセンサノードのエラー発生確率を把握し、エリア毎にセンサノードのエラー回復の順序を決定できる点で、エラー回復処理の成功率を上げることが可能であり、回復処理に要する時間も短縮できる点で、リアルタイム性を向上することが可能である。
【0059】
また、上述のようにエリア毎にエラー回復させるセンサノードの優先順位を決定し実施したが、全てのエリアに対するデータ収集を最初に実施した後、全てのエリアを対象にエラー回復させるセンサノードの優先順位を決定し、エラー回復を実施しても良い。このようにすることで、エラー回復の効率化を図ることが可能である。
【0060】
図12は、実施の形態4における無線通信システムにおける、通信経路の修正によるセンサノードデータの再収集の例を示した図である。
たとえば、親局100からセンサノード120のデータを収集する通信経路として、センサノード150、センサノード320、センサノード350を中継局とし、通信経路500を用いていたとする。このような経路を構築していた場合、センサノード320とセンサノード350間のリンク破断が発生した場合、全エリアのデータ収集を実施するとセンサノード320、150、120でエラーが発生する。この場合は、センサノード320−センサノード350の代替経路として、センサノード320−センサノード330−センサノード350となる通信経路501を使って経路を部分修復することで効率よくエラー回復を行うことが可能である。
【0061】
具体的には、図10のステップS204において、データ収集手順決定ブロック102は、無線通信ブロック103からの結果の中に含まれるエラー処理されたセンサノードの経路情報から共通経路を検索する。無線通信ブロック103からの結果に、データ収集されるセンサノードにたどり着く全てのセンサノードの情報を含む場合は、エラーとなったセンサノードのエラー処理された結果から共通経路を検索すればよい。また、無線通信ブロック103からの結果に、データ収集されるセンサノードの一つ手前のセンサノードのみを含んでいる場合は、エラーが発生したセンサノードの結果に含まれる経路情報から一つ前のセンサノードにおいてエラーが発生したが否かを確認することで、共通経路を検索することができる。
データ収集手順決定ブロック102は、検索した共通経路を有するエラー処理された複数のセンサノードに対し、例えば親局100からの経由するセンサノード数の短い順から図10のステップS205に基づくエラー回復トランザクションを発行し、エラー回復処理を実施することで、効率よくエラー回復を行うことが可能である。
このように、複数のエリアに跨るエラー回復手順の決定は、フィールド全体のデータ収集を実施した後、発生したエラーを分析することで可能となる。
【0062】
したがって、本実施の形態では、センシングしたデータを出力するセンサ111〜451と無線通信機能とから構成されるセンサノード110〜450と、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置されたセンサノード群に対してデータの送受信を行う無線通信ブロック103と、各センサノードからの前記受信したデータと冗長性に基づいて単一のエリアのセンサデータが正常かエラーかを判断し、エラーとなった場合は通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集するよう指示するデータ収集手順決定ブロック102とから構成される親局100を備え、1エリア内の全てのセンサノードのエラー発生数を把握し、エリア毎にセンサノードのエラー回復の順序を決定できる点で、エラー回復処理の成功率を上げることが可能となる。
【0063】
また、1エリア内の全てのセンサノードのエラー発生確率を把握し、エリア毎にセンサノードのエラー回復が成功する可能性の高さに基づいて、センサノードのエラー回復の順序を決定できる点で、エラー回復処理の成功率を上げることが可能となる。
【0064】
さらに、全てのエリアにおいてエラー発生したセンサノードの共通経路を検索し、共通経路を有するエラー処理された複数のセンサノードからエラー回復処理を行うことで、エラー回復処理の成功率を上げることが可能となる。
【0065】
実施の形態5.
実施の形態5では、複数のエリアの複数のセンサノードの配置に対し、複数のエリア分割方法を選択的に適用する場合のデータアクセス方法、および、エラー回復方法について開示する。
実施の形態1における図1を、まず実施の形態5における複数のエリアの複数のセンサノードの配置に対するエリア分割方法その1とする。
図13は、本実施の形態5における複数のエリアの複数のセンサノードの配置に対する図1とは別のエリア分割方法を示す図である。
図13に示す図1とは別のエリア分割方法においても、図1と同様、各エリアの状態判定に必要なデータ数は4であり、エラー許容度は1である。
尚、センサノード110〜450や親局100は、実施の形態1乃至4に記載の機能を備えているものとする。
次に、複数のエリア分割方法を選択的に適用する方法について説明する。
図14は、実施の形態5におけるデータ収集手順決定ブロック102の動作シーケンスを示したものである。以下に説明する。
【0066】
ステップ301において、親局100のデータ収集手順決定ブロック102は、データ収集トランザクションを発行する、発行先となるセンサノードとして、全センサノード110〜450のうちから1つのセンサノードを選択する。選択方法は任意である。全エリアのセンサノードに対し、データ収集トランザクションを発行済であればS304に進む。未選択であれば、ステップS302に進む。
ステップ302において、親局100のデータ収集手順決定ブロック102は、選択したセンサノードに対し、データ収集トランザクションを発行し、データ収集を実施する。。データ収集できた場合はステップS301に戻り、データ収集でエラーが発生した場合は、ステップS303においてエラー処理となったことを法面状態監視ブロック101に記憶させた後、ステップS301に戻る。記憶する内容は、エラーが発生したセンサノードの識別子などである。同時にエラー種別などステップS305でエラー回復センサノードを選択するために利用可能な付加情報を記憶しても良い。
【0067】
次に、ステップS304では、親局100のデータ収集手順決定ブロック102は、ステップS301〜S303にて収集したエラー情報、すなわちデータ収集できなかったセンサノードの識別情報に基づいて、エリア分割の方法を選択する。実施の形態5では、図1、および、図13の2通りのエリア分割が予め用意されておりこのうち何れかを選択する。選択の基準は、エラー回復が短時間に実施できるほうの分割方法とする。たとえば、発行すべきエラー回復トランザクションの数が少ないもの、すなわち、各エリアのエラー許容度に応じて、エラーとなったセンサノードが各エリアに一つ含まれるようなエリア分割の方法を選択する。
【0068】
ステップS305において、ステップS304で選択した分割方法に従って、各エリアの状態判定に必要なデータを取得するように、エラー回復トランザクションを発行するセンサノードを選択する。エラー回復トランザクションを発行するセンサノードの選択は、ステップS303で法面状態監視ブロック101に記憶させたエラー発生センサノードの中から選択する。選択方法は、任意である。
ステップS306において、データ収集手順決定ブロック102は、ステップS305で選択したセンサノードに対してエラー回復トランザクションを発行する。エラー回復に成功し、データが取得できれば、ステップS307に進む。データ取得できなければS305に戻る。
【0069】
ステップS307において、データ収集手順決定ブロック102は、ステップS302と本ステップにより収集できたデータ数をカウントし、各エリア毎に状態判定に必要なデータ数、実施の形態5では4が集まったかどうか確認する。全てのエリアにおいて、必要なデータが揃っていれば、該データ収集周期に対するデータ収集を終了する。必要なデータが揃っていない場合は、ステップS305に進む。
【0070】
図15は、実施の形態5における無線通信システムにて、法面状態監視ブロック101に記録されたデータを示した図である。
図15における上段のデータは、データ収集周期ごとのデータ保存領域を示し、下段はある周期におけるセンサノードごとのデータ領域を示している。
【0071】
データ収集周期♯nにおいて、全センサノードに対してステップS301からS303にて、親局100がデータ収集を行い、センサノード110、130、150において、データ取得エラーが発生したとする。
この場合、ステップS304において、データ収集手順決定ブロック102は、図1と図13のエリア分割を比較して、必要なエラー回復処理の回数の少ない図13のエリア分割を選択する。図1の場合は、同じエリア1に3つのデータ取得エラーが発生しているために少なくとも二つのセンサノードに対してセンサ値を取得することが必要なところ、図13の場合は、エリア2’に二つのデータ取得エラーが発生しているためにひとつのセンサノードに対してセンサ値を取得できればよいからである。
次にステップS305において、エラー回復処理として、データ収集手順決定ブロック102は、エリア2’への必要データを取得するために、センサノード130へのエラー回復を実施し、これに成功した場合は、データ収集周期♯nの処理を終了する。
【0072】
したがって、本実施の形態では、センシングしたデータを出力するセンサ111〜451と無線通信機能とから構成されるセンサノード110〜450と、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置されたセンサノード群に対してデータの送受信を行う無線通信ブロック103と、各センサノードからの前記受信したデータと冗長性に基づいて単一のエリアのセンサデータが正常かエラーかを判断し、エラーとなった場合は通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集するよう指示するデータ収集手順決定ブロック102とから構成される親局100を備え、データ収集手順決定ブロック102は、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置可能な複数のエリア分割方法からエラー回復処理が少なくなるエリア分割方法を選択するようにしたことで、エラー回復処理数を少なくすることができる。
【0073】
図16は、実施の形態における親局100とセンサノード110〜450のハードウェア資源の一例を示す図である。
図16において、親局100とセンサノード110〜450(コンピュータの一例)は、CPU901(Central Processing Unit)を備えている。CPU901は、バス902を介してROM903、RAM904、通信ボード905などのハードウェアデバイスと接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
ROM903やRAM904は記憶装置(メモリ)の一例である。通信ボード905は入出力装置の一例である。
【0074】
通信ボード905は、実施の形態1から5にて上述した無線アドホックネットワークに接続している。
【0075】
ROM903またはRAM904には、OS(オペレーティングシステム)、プログラム群、ファイル群が記憶されている。
【0076】
プログラム群には、実施の形態において「〜ブロック」として説明した機能を実行するプログラムが含まれる。プログラム(例えば、無線通信プログラム)は、CPU901により読み出され実行される。すなわち、プログラムは、「〜ブロック」としてコンピュータを機能させるものであり、また「〜ブロック」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0077】
ファイル群には、実施の形態において説明する「〜ブロック」で使用される各種データ(入力、出力、判定結果、計算結果、処理結果など)が含まれる。
【0078】
実施の形態において構成図およびフローチャートに含まれている矢印は主としてデータや信号の入出力を示す。
フローチャートなどに基づいて説明する実施の形態の処理はCPU901、記憶装置、入出力などのハードウェアを用いて実行される。
【0079】
実施の形態において「〜ブロック」として説明するものは「〜部」、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜ブロック」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで実装されても構わない。
【符号の説明】
【0080】
100 親局、101 法面状態監視ブロック、102 データ収集手順決定ブロック、103 無線通信ブロック、104 リンク状態監視ブロック、110〜450 センサノード、111〜451 センサ、112〜452 法面状態監視ブロック、113〜453 無線通信ブロック、500,501 通信経路、901 CPU、902 バス、903 ROM、904 RAM、905 通信ボード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシングしたデータを出力するセンサと無線通信機能とから構成されるセンサノードと、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置されたセンサノード群に対してデータの送受信を行う無線通信ブロックと、
各センサノードから受信したデータと冗長性に基づいて前記単一のエリアのセンサデータが正常かエラーかを判断し、エラーとなった場合は通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集するよう指示するデータ収集手順決定ブロックと、から構成される親局と、
を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
単一のエリアに配置されたセンサノード群について冗長性の確保の有無に係わらず、該当エリアのデータ収集期間が経過した後、前記単一のエリアを含む複数エリアの全てのデータ収集期間の空き時間を用いて、通信品質が低下しているリンクが存在するセンサノードに対しアクセスするための通信経路を再構築することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集する際、該当エリアのデータ収集期間が経過した後、前記単一のエリアを含む複数エリアの全てのデータ収集期間の空き時間を該当エリアのデータ収集期間に利用することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
該当エリアのデータ収集期間が経過した後、前記単一のエリアを含む複数エリアの全てのデータ収集期間の空き時間を経路再構築に利用することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の無線通信システム。
【請求項5】
通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集する際、単一エリア内の全てのセンサノードのエラー発生数を把握し、複数のエリアのうち個々のエリア毎にセンサノードのエラー回復の順序を決定することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の無線通信システム。
【請求項6】
通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集する際、単一エリア内の全てのセンサノードのエラー発生数を把握し、複数のエリアのうち個々のエリア毎にエラー発生数の少ないセンサノードからエラー回復を行うことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の無線通信システム。
【請求項7】
通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集する際、全てのエリアにおいてエラー発生したセンサノードの共通経路を検索し、共通経路を有するエラー発生した複数のセンサノードからエラー回復処理を行うことを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の無線通信システム。
【請求項8】
請求項1に記載のデータ収集手順決定ブロックは、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置可能な複数のエリア分割方法からエラー回復処理が少なくなるエリア分割方法を選択するようにしたことを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の無線通信システム。
【請求項9】
単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置され、センシングしたデータを出力するセンサノード群に対してデータの送受信を行う無線通信ブロックと、
各センサノードからの受信したデータと冗長性に基づいて前記単一のエリアのセンサデータが正常かエラーかを判断し、エラーとなった場合は通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集するよう指示するデータ収集手順決定ブロックと、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項10】
単一のエリアに配置されたセンサノード群について冗長性の確保の有無に係わらず、該当エリアのデータ収集期間が経過した後、前記単一のエリアを含む複数エリアの全てのデータ収集期間の空き時間を用いて、通信品質が低下しているリンクが存在するセンサノードに対しアクセスするための通信経路を再構築することを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項11】
通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集する際、該当エリアのデータ収集期間が経過した後、前記単一のエリアを含む複数エリアの全てのデータ収集期間の空き時間を該当エリアのデータ収集期間に利用することを特徴とする請求項9または10に記載の無線通信装置。
【請求項12】
該当エリアのデータ収集期間が経過した後、前記単一のエリアを含む複数エリアの全てのデータ収集期間の空き時間を経路再構築に利用することを特徴とする請求項9乃至11いずれかに記載の無線通信装置。
【請求項13】
通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集する際、単一エリア内の全てのセンサノードのエラー発生数を把握し、複数のエリアのうち個々のエリア毎にセンサノードのエラー回復の順序を決定することを特徴とする請求項9乃至12いずれかに記載の無線通信装置。
【請求項14】
通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集する際、単一エリア内の全てのセンサノードのエラー発生数を把握し、複数のエリアのうち個々のエリア毎にエラー発生数の少ないセンサノードからエラー回復指示を行うことを特徴とする請求項9乃至13いずれかに記載の無線通信装置。
【請求項15】
通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集する際、全てのエリアにおいてエラー発生したセンサノードの共通経路を検索し、共通経路を有するエラー発生した複数のセンサノードからエラー回復指示を行うことを特徴とする請求項9乃至14いずれかに記載の無線通信装置。
【請求項16】
請求項8に記載のデータ収集手順決定ブロックは、単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置可能な複数のエリア分割方法からエラー回復処理が少なくなるエリア分割方法を選択するようにしたことを特徴とする請求項9乃至15いずれかに記載の無線通信装置。
【請求項17】
単一のエリアについてセンシングしたデータに対し冗長性を持たせるように配置されたセンサノード群に対してデータ収集を行うデータ収集ステップと、
各センサノードからの受信したデータと冗長性に基づいて前記単一のエリアのセンサデータが正常かエラーかを判断する判断ステップと、
冗長性にについてエラーとなった場合は通信エラーとなったセンサノードに対し再度センシングしたデータを収集するよう指示するデータ再収集ステップと
を有する無線通信方法。

【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−81125(P2013−81125A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220880(P2011−220880)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【Fターム(参考)】