説明

無線通信システムからの情報に含まれるタイミングに基づいてGPS時刻を推定する移動体端末及び方法

移動体端末はGPS時刻の推定を生成する。移動体端末は、セルラ受信機、GPS受信機、及びプロセッサを備える。セルラ受信機は、無線通信システムにおいてセルから通信信号を受信するように構成される。GPS受信機は、GPS信号を受信し、そこからGPS時刻基準を決定する。プロセッサは、受信した通信信号からセル時刻基準を推定し、セル時刻基準とGPS時刻基準との間の時刻オフセットを表すセル−GPS間のタイミングデータを生成する。次に、プロセッサは、受信した通信信号における時刻表示の部分及びセル−GPS間のタイミングデータに基づいてGPS時刻を推定する。推定されたGPS時刻は、GPS信号を受信するためにGPS受信機によって使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全地球測位の分野に関し、より詳細には、GPS時刻の推定を取得する移動体端末及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星を利用した位置決定受信機は、例えば米国の全地球測位システム(GPS)やNAVSTAR衛星のような複数の衛星から同時に送信された信号の相対的な到達時間を計算することにより、受信機の位置を決定する。例えば、GPSの軌道衛星群は28の衛星を備え、28の衛星は12時間の軌道で地球の周りを回る。衛星群は6の軌道面に配置され、それぞれの軌道面は4又はそれ以上の衛星を含む。軌道面は相互に60度の間隔をあけて配置されており、赤道面に対して約55度傾いている。GPS衛星群によれば、衛星を利用した位置決定受信機に対して、約4乃至12の衛星が地球上のどの地点からも見えるように提供されている。これらの衛星群は、メッセージの一部として、いわゆる「エフェメリス」データである衛星を利用した位置決定データと、クロックタイミングデータとの両方を送信する。衛星群はさらに、衛星信号に付随して、週の時刻(TOW)情報を送信する。TOWによって、受信機は、時刻を明確に判断することが可能となる。
【特許文献1】米国特許第5,945,944号明細書
【特許文献2】米国特許第6,603,978号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
GPS信号を検索して捕捉し、多数の衛星に関してエフェメリス及び他のデータを読み出し、読み出したデータから受信機の位置(及び正確な時刻)を計算する処理は、時間のかかるものであり、数分を要することもある。適用分野によっては、非常に長い処理時間のために、許容できない遅延が生じることもある。さらに、携帯機器においては、バッテリーの寿命を短くする場合もある。
【0004】
加えて、多くの状況において、衛星信号が遮られる場合がある。このような場合、GPS衛星群から受信された信号のレベルは極めて低く、衛星のデータ信号を誤り無しに復調して取得することは不可能である。そのような状況は、個人を追跡する場合にも、他の高度な携帯機器の場合にも、発生しうるものである。これらの状況においては、GPS受信機がGPS信号を捕捉して追跡することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のいくつかの実施形態は、GPS時刻の推定値を生成する移動体端末を提供する。移動体端末は、セルラ受信機、GPS受信機、及びプロセッサを備える。セルラ受信機は、無線通信システムにおいてセルから通信信号を受信するように構成される。GPS受信機は、GPS信号を受信し、そこからGPS時刻基準を決定する。プロセッサは、セルからの通信信号からセル時刻基準を推定し、セル時刻基準とGPS時刻基準との間の時刻オフセットを表すセル−GPS間のタイミングデータを生成する。プロセッサは、その後受信したセルからの通信信号における時刻表示の部分及びセル−GPS間のタイミングデータに基づいてGPS時刻を推定する。従って、移動体端末自体がセル−GPS間のタイミングデータとGPS時刻の推定を生成することができる。移動体端末は、GPS時刻を推定する目的又はGPS信号を捕捉する目的ではなく、通信目的でセルから送信された信号を使用してGPS時刻を推定することができる。
【0006】
GPS時刻の推定は、GPS信号を捕捉するためにGPS受信機によって使用されてもよい。そして、GPS時刻の推定は、GPS信号に基づいて位置に関する最初の測位結果を捕捉するのに必要な時間(測位時間(time-to-first-fix))を短縮し、かつ、GPS受信機の感度を改善する。或いは、GPS信号に基づいて位置に関する最初の測位結果を捕捉するのに必要な時間(測位時間(time-to-first-fix))を短縮するか、又は、GPS受信機の感度を改善するかの一方でもよい。
【0007】
セル時刻基準は、移動体端末において、例えばフレームの経過数にフレームごとの所定の時間長を掛けることにより、生成される。しかしながら、基地局の時計の不正確性に起因して、フレーム時間長は変化しうるものであり、フレーム時間長の変化はセル時刻基準における誤差を引き起こす。移動体端末は、セル時刻基準に対する誤差の割合を推定することができる。誤差の割合は、所定の時間長からの基地局に対する、フレーム時間長の偏差でもよいし、他の通信された時刻表示の偏差でもよい。推定された誤差の割合は、セル時刻の推定における誤差を減少させるために使用される。受信した通信信号における時刻表示の部分及びGPS時刻を推定するためのセル−GPS間のタイミングデータに加えて、セル時刻基準に対する誤差の割合を使用することにより、推定されたGPS時刻の正確性が改善される。
【0008】
本発明における他のいくつかの実施形態において、移動体端末は、セルラ受信機、GPS受信機、メモリ、及びプロセッサを備える。受信機は、無線通信システムにおいてセルから通信信号を受信するように構成される。GPS受信機は、GPS信号を受信するように構成される。メモリは、GPS時刻と2又はそれ以上のセルに対するセル時刻との間のタイミングオフセットを表すセル−GPS間のタイミングデータのレポジトリを含む。プロセッサは、受信した通信信号の発信元であるセルを同定するように構成され、かつ、セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリ、発信元であるセルの識別情報、及び受信した信号における時刻表示の部分を使用してGPS時刻を推定するように構成される。従って、移動体端末がセルから通信信号を受信すると、移動体端末はセルを同定し、レポジトリにおいて関連するセル−GPS間のタイミングデータを検索する。
【0009】
セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリは、GPS時刻と第1のセルからの通信信号における時刻表示の部分との間のタイミングオフセットを表してもよいし、また、別のGPS時刻と第2のセルからの通信信号における時刻表示の部分との間のタイミングオフセットを表してもよい。メモリは、移動体端末の電源が切断された後もセル−GPS間のタイミングデータのレポジトリを保持する不揮発性メモリであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明を以下に説明する実施形態に限定されるものとして解釈してはならない。むしろ、これらの実施形態は、開示を十分かつ完全にし、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。全体を通して、同じ符号は同じ要素を意味する。
【0011】
ここで使用されるように、「含んでいる(comprising)」又は「含む(comprise)」という用語は制限的なものではなく、1又は複数の言及されている構成要素、ステップ、及び機能のうち少なくともいずれかを含むが、1又は複数の言及されていない構成要素、ステップ、及び機能のうち少なくともいずれかが含まれる可能性を排除するわけではないということも理解できよう。
【0012】
以下では、ブロック図、及び、本発明の実施形態に従う方法及び移動体端末に関する動作説明図のうち少なくともいずれかを参照して、本発明を説明する。ブロック図及び動作説明図のうち少なくともいずれかに関する各ブロックと、ブロック図及び動作説明図のうち少なくともいずれかにおける複数のブロックの組み合わせは、無線周波数、アナログ及びデジタルのうち少なくともいずれかのハードウェア、及び、コンピュータプログラムの命令のうち少なくともいずれかによって実現可能であることを理解できよう。これらのコンピュータプログラムの命令は、プロセッサに提供される。プロセッサは、汎用コンピュータ、特殊用途のコンピュータ、ASIC、及び、他のプログラム可能なデータ処理装置のうち少なくともいずれかのものである。そして、コンピュータ及び他のプログラム可能なデータ処理装置のうち少なくともいずれかのプロセッサ上で命令は実行され、ブロック図及び動作ブロック(又は複数の動作ブロック)のうち少なくともいずれかによって特定される機能/動作を実現する手段を生成する。いくつかの代替的な実装においては、複数のブロックにおいて示される機能/動作は、動作説明図において示される順序とは異なる順序で配置されてもよい。例えば、関連する機能/動作によっては、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよいし、2つのブロックは逆の順序で実行されてもよい。
【0013】
ここで使用されるように、「移動体端末」は、無線インタフェースを介して通信するように構成された端末を含むが、それに限定されるわけではない。無線インタフェースとは、例えば、セルラインタフェース、無線ローカルエリアネットワークインタフェース(WLAN)、ブルートゥースインタフェース、他のRF通信インタフェース、及び、光インタフェースのうち少なくとも1つのインタフェースである。例としての移動体端末は、以下に列挙するものを含むが、それに限定されるわけではない。1つは、セルラ移動体端末である。1つは、パーソナル通信端末であり、セルラ移動体端末を、データ処理機能、ファクシミリ機能、及び、データ通信機能と組み合わせたものである。1つは、携帯情報端末(PDA)であり、無線送受信機、ポケットベル、インターネット/イントラネットアクセス、ローカルエリアネットワークインタフェース、広域ネットワークインタフェース、ウェブブラウザ、システム手帳、及び、カレンダーのうち少なくともいずれかを含むものである。1つは、無線送受信機を含む移動体又は固定されたコンピュータや他の装置である。移動体端末はセルラ通信接続を介して通信するように構成される。セルラ通信接続は、例えば、ANSI−136、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)、汎用パケット無線システム(GPRS)、EDGE(enhanced data rates for GSM evolution)、符号分割多元接続(CDMA)、ワイドバンドCDMA、CDMA2000、及び、UMTSのようなプロトコルを含む。ここで使用される通信プロトコルは、通信される情報、タイミング、周波数、変調、及び、通信接続を確立すること及び維持することの少なくともいずれかの動作を特定する。
【0014】
図1は、典型的な無線通信システムを示す機能ブロック図である。この無線通信システムは、複数の基地局102及び104を含み、基地局102及び104は、1又は複数の移動通信交換局(MSC)106に接続されている。各々の基地局102及び104は、それぞれセル108及び110と呼ばれる地理的な領域に配置され、その地理的な領域にサービスを提供する。一般に、各々のセルに対して1つの基地局が存在する。各々のセルの中には、複数の移動体端末100が存在する。移動体端末100は、無線接続を介して、従来技術でよく知られている方法で基地局と通信する。基地局102及び104によって、移動体端末100のユーザは、他の移動体端末100や、公衆電話交換網(PSTN)112に接続されているユーザと、通信することができる。MSC106は、基地局102及び104のうち1つを介して、移動体端末100に対する発呼及び着呼の経路を決定する。基地局102及び104のうち1つとは、例えば、移動体端末100に対して最も強い通信接続を提供する。セルの位置及び移動体端末100の活動状態に関する情報は、ホームロケーションレジスタ(不図示)及び在圏ロケーションレジスタ(不図示)に格納される。ホームロケーションレジスタ及び在圏ロケーションレジスタは、MSC106に組み込まれているか、そうでなければMSC106と通信する。図示するために2つのセル108及び110しか示されていないが、典型的なセルラ通信システムは何百ものセルを含み、何千もの移動体端末100にサービスを提供する。
【0015】
移動体端末100は、無線通信チャネル上で1又は複数の通信プロトコルに従って、基地局102及び104と通信する。例えば、図1に示すように、移動体端末100は通信チャネル120上で基地局102と通信する。移動体端末100はまた、GPS信号124から自己の地理的な位置を決定するように構成される。GPS信号124は、軌道を周回している複数のGPS衛星126から受信される。
【0016】
移動体端末100は、GPS受信機130、プロセッサ132、送受信機134、メモリ136、クロック138を含み、さらに、スピーカ140、マイクロフォン142、ディスプレイ144、キーパッド146も含む。GPS受信機130は、アンテナ128を介してGPS信号を受信する。
【0017】
メモリ136は、1又は複数の消去可能でプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュEPROM)、バッテリーが必要なランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気/光/その他のデジタル記憶装置を含む。また、メモリ136は、プロセッサ132から分離しているか、又は、少なくとも一部がプロセッサ132の中にある。クロック138は、例えばカウンタであり、プロセッサ132から分離しているか、又は、少なくとも一部がプロセッサ132の中にある。プロセッサ132は、例えば汎用プロセッサ及びデジタル信号プロセッサのような、複数のプロセッサを含む。複数のプロセッサは、共通のパッケージに包含されていてもよいし、分離して相互に離れていてもよい。送受信機134は、典型的には、送信機148と受信機150を含み、双方向通信を可能とする。しかし、本発明はそのような装置に限定されるものではなく、ここで使用されているように、「送受信機」は送信機150のみを含んでいてもよい。移動体端末100は、無線周波数信号を使用して基地局102及び104と通信する。無線周波数信号は、1又は複数のセルラ通信プロトコルに従って無線チャネル120上でアンテナ152を介して通信される。
【0018】
GPS受信機130は、GPS信号124から自己の地理的な位置を決定するように構成される。GPS信号124は、複数のGPS衛星126から受信される。自己の地理的な位置を決定する際に、GPS受信機130は、受信したGPS信号に基づいてGPS衛星126のGPS時刻を監視する。図1において、GPS受信機130は独立した構成要素として示されているが、プロセッサ132及び送受信機134のうち少なくともいずれかが、他の機能に加えてGPS受信機130の機能の少なくとも一部を提供するように構成されていてもよく、加えて、少なくともいくらかの共通の構成要素パッケージングを共有していてもよい。あるいは、プロセッサ132及び送受信機134のうち少なくともいずれかが、他の機能に加えてGPS受信機130の機能の少なくとも一部を提供するように構成されているか、又は、少なくともいくらかの共通の構成要素パッケージングを共有していているかの一方でもよい。
【0019】
GPS衛星126に関して本発明の実施形態を以下に説明するが、擬似衛星(pseudolite)、又は、衛星126及び擬似衛星の組み合わせを活用する位置決定システムにも同様に本教示を適用可能であることを認識できよう。擬似衛星は、地上の送信機であり、Lバンド搬送信号上で変調されている従来の衛星からのGPS信号に似た信号をブロードキャストし、一般的に、GPS時刻に同期している。擬似衛星は、例えばトンネルや鉱山、建築物、又は他の囲われた領域のような、軌道を周回しているGPS衛星126からのGPS信号が取得できない状況において有用である。「衛星(satellite)」という用語は、ここで使用されるように、擬似衛星又は擬似衛星に等価なものを含むことが意図されている。また、GPS信号という用語は、ここで使用されるように、擬似衛星又は擬似衛星と等価なものからのGPSのような信号を含むように意図されている。また、以下の議論は、アメリカ合衆国の全地球測位システム(GPS)に基づくアプリケーションに関するものであるが、これらの方法は、例えばロシアのGlonassシステムのような同様の衛星を利用した位置決定システムにも、同様に適用可能である。ここで使用される「GPS」という用語は、そのような代替の衛星を利用した位置決定システムを含み、ロシアのGlonassシステムを含む。それゆえ、「GPS信号」という用語は、そのような代替の衛星を利用した位置決定システムからの信号を含む。
【0020】
米国特許第5,945,944号及び米国特許第6,603,978号(これらの開示は全体が本願に引用して援用される)に記載されているように、GPS受信機が位置に関する最初の測位結果を捕捉するのに必要な時間(測位時間(time-to-first-fix))及び信号感度は共に、GPS受信機に現在のGPS時刻に関する正確な推定が与えられると、改善される。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態に従えば、基地局から送られる通信信号における時刻表示の部分とGPS時刻との間のタイミング関係に基づいて、移動体端末100はGPSシステムの現在時刻を推定する。移動体端末100は、セル内の通信チャネルに対するセル時刻基準(reference)を推定する。GPS時刻基準(reference)は、GPS信号124から決定される。次いで、移動体端末100は、セル−GPS間(cell-to-GPS)のタイミングデータを決定する。セル−GPS間のタイミングデータは、セル時刻基準及びGPS時刻基準の間のタイミングオフセットを表す。その後、セルにおける通信信号の時刻表示の部分及びセル−GPS間のタイミングデータを使用して、移動体端末100はGPS時刻を推定することができる。例えば、セル時刻基準及びGPS時刻基準の間のタイミングオフセットが一度分かると、通信信号の時刻表示の部分にオフセットを加えれば、GPS時刻を推定できる。
【0022】
図2は、GPS信号における時刻表示と2つのセルラ通信チャネルにおける時刻表示との間のタイミングオフセットの一例を示す図である。説明のためにのみ、第1及び第2のセルラ通信チャネル(「セル1チャネル(Cell 1 Channel)」及び「セル2チャネル(Cell 2 Channel)」)が、周期的なフレーム境界であるF0乃至F7と共に示されている。これら各々の通信チャネルに対する時刻基準は、これらそれぞれのフレーム境界F0乃至F7におけるタイミングから決定される。通信チャネルは、例えば、制御チャネル及びトラフィックチャネルのうち少なくともいずれかである。制御チャネル及びトラフィックチャネルは、フレーム境界を持つ。フレーム境界は、例えば、GSM又はANSI−136プロトコルに従って形成される。第1の通信チャネルは、第2の通信チャネルとは異なるセルに由来する。それゆえ、図2に示すように、第1及び第2の通信チャネルのフレーム境界は同じ周期性を持つが、揃ってはいない。図2には示されていないが、第1及び第2の通信チャネルは異なるフレーム周期性(すなわち、GSMチャネルとANSI−136チャネルとの関係のように)を持ち、加えて、異なる時刻表示(すなわち、GSMフレーム境界とCDMAタイミングイベントとの関係のように)を持っていてもよい。或いは、異なるフレーム周期性を持つか、又は、異なる時刻表示を持つかのいずれか一方でもよい。移動体端末100内のリアルタイムクロックは、不明瞭性を解消するために使用される。不明瞭性は、経過時間がマルチフレーム時間長よりも長いときに発生しうる。セル時刻基準は、代替的に又は追加的に、例えばトレーニングシーケンスにおける1又は複数のシンボルのような、他の受信した時刻表示に基づいていてもよい。
【0023】
移動体端末100は、通信チャネル(セル1チャネル及びセル2チャネル)における時刻表示を使用して2つのセルの時刻基準を確立するために、クロック138を使用する。例えば、移動体端末100が第1のセル108において動作しているとき、クロック138はセル1チャネルにおけるフレーム境界F0乃至F7に同期しており、第1のセルに対する時刻基準(第1のセル時刻基準)を生成する。移動体端末100はまた、GPS信号における時刻表示を測定することにより、GPS衛星126に対する時刻基準(GPS時刻基準)も生成する。次いで、移動体端末100は、第1のセル108に対するセル−GPS間のタイミングデータを形成するために、第1のセル時刻基準とGPS時刻基準との間のタイミングオフセットを決定する。続いて、移動体端末100は、GPS時刻を推定するために、セル1チャネルにおけるタイミング表示及びセル−GPS間のタイミングデータを使用する。推定されたGPS時刻は、位置に関する最初の測位結果を捕捉するのに必要な時間(測位時間(time-to-first-fix))を短縮し、加えて、信号感度を改善するために、GPS受信機130によって使用される。或いは、推定されたGPS時刻は、位置に関する最初の測位結果を捕捉するのに必要な時間(測位時間(time-to-first-fix))を短縮するか、又は、信号感度を改善するかいずれか一方のために、GPS受信機130によって使用される。
【0024】
ANSI−136セルにおいて、セル時刻基準は、以下の用語で表現される。すなわち、拡張ハイパーフレームカウンタ(EHC)、ハイパーフレームカウンタ(HC)、プライマリ/セカンダリスーパーフレーム(PSS)、スーパーフレームフェーズ(SP)、タイムスロットナンバー(TN)、及びシンボルナンバー(SN)である。GSMセルにおいて、セル時刻は、以下の用語で表現される。すなわち、マルチフレームナンバー、フレームナンバー、スロットナンバー、シンボルナンバー、リアルタイムクロック読み込み、エラーレート、及び、基地局識別情報のうち、少なくともいずれかである。セル時刻はまた、例えば、周波数、チャネル数、及び、基地局識別情報コードのうち、少なくともいすれかに基づいても決定される。それゆえ、移動体端末100は、セルにおいて受信したフレーム構造に基づいてセル時刻基準を確立することができ、かつ、セル−GPS間のタイミングデータを生成するために、そのセル時刻基準をGPS時刻に関連付けることができる。その後になって、移動体端末100は、GPS時刻を推定するために、受信したフレーム構造及びセル−GPS間のタイミングデータを使用することができる。セル時刻基準は、代替的に又は追加的に、例えばCDMA基地局から受信した時刻基準に基づいてもよい。
【0025】
移動体端末100が第1のセル108内を移動すると、セル108にサービスを提供する基地局102と移動体端末100との間の距離が変化し、セル1チャネルのタイミング表示に関連する到達時刻も変化する。従って、第1のセルの時刻基準とGPS時刻基準との間のタイミングオフセットは、移動体端末100が移動すると変化する。その結果、移動体端末100が移動すると、セル−GPS間のタイミングデータに誤差を混入させることになる。基地局102は固定されているため、移動体端末100が基地局102に対するセル−GPS間のタイミングデータを生成して使用することにより、誤差は減少されるか又は除去される。移動体端末100は、第1のセルの時刻基準に対して移動体端末100と基地局102との間の距離を補償することにより、第1のセル108にサービスを提供する基地局102に対する時刻基準を生成することができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態においては、基地局102は、移動体端末と基地局102との間の相対距離に基づいて、第1のセル108における移動体端末からの送信のタイミングを調節する。これにより、移動体端末の信号は、割り当てられたフレームの間に受信される。例えば、移動体端末100が通信のためのアクセスを要求すると、基地局102は、自己と移動体端末100との間の距離を推定し、タイミング前進情報(timing advance information)を移動体端末100に送信する。移動体端末100は、タイミングの前進情報を使用して、自己が送信するタイミングを調節することができる。移動体端末100はまた、セル1チャネルにおけるタイミング表示を使用し、かつ、タイミング前進情報を使用することにより、基地局102に対する時刻基準を推定することもできる。次いで、移動体端末100は、第1のセル108に対するセル−GPS間のタイミングデータを形成するために、基地局102に対する時刻基準とGPS時刻基準との間のタイミングオフセットを決定する。その後、移動体端末100は、GPS時刻を推定するために、セル1チャネルにおけるタイミング表示、第1のセル108からのタイミング前進情報、及びセル−GPS間のタイミングデータを使用することができる。
【0027】
例えばGSMのように、セルラプロトコルによっては、呼設定の一部としてローカル更新の間に、タイミング前進情報が移動体端末に送信される場合もある。移動体端末100は、受信したタイミング前進情報に応答してGPS時刻を推定すること、及び、GPS時刻の推定を生成する必要性に応答して基地局にタイミング前進情報を送信させることのうち、少なくともいずれかを行うことができる。
【0028】
各々のセルは異なる時刻基準を持ちうるため、移動体端末100は、異なるセルからチャネルタイミング情報を受信すると、セル−GPS間のタイミングデータに関するレポジトリを生成する。GPS時刻の推定が必要なとき、移動体端末100は自己がタイミング表示を受信しているセルを同定し、同定されたセルに対して使用可能なセル−GPS間のタイミングデータを検索する。移動体端末はそれゆえ、セルに対して以前に生成されたセル−GPS間のタイミングデータを使用することにより、GPS時刻を推定するたびにセル−GPS間のタイミングデータを生成することを回避することができる。そして、タイミング表示及び同定されたセルに対するセル−GPS間のタイミングデータは、GPS時刻を推定するために使用される。GSMシステムにおいて、セルの同一性又はセルは、ロケーションエリアコード及びルーティングエリア識別情報のうち少なくともいずれかにより判断される。ANSI−136システムにおいて、セルの同一性は、デジタル認証カラーコード及び仮想移動体ロケーションエリアコードのうち少なくともいずれかにより判断される。
【0029】
図3に示すように、セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリは、セル識別情報フィールド及びセル−GPS間のタイミングデータフィールドを含むデータ構造を含む。セル−GPS間のタイミングデータがセルに対して生成されると、関連するセルの識別情報(identity)に加えて生成された情報がレポジトリの関連するフィールドに格納される。セル−GPS間のタイミングデータが、そのようなデータが以前に生成されていないセルに対して生成され、又は、セル−GPS間のタイミングデータが、レポジトリに既に存在する、セルに対する古いデータを置き換える。セル−GPS間のタイミングデータに関するレポジトリは、例えばメモリ136のような不揮発性メモリに格納される。そのため、レポジトリは、移動体端末100の電源が切られた後でも使用可能である。移動体端末100は、個々のセル−GPS間のタイミングデータ又はセル−GPS間のタイミングデータに関するレポジトリを、1又は複数の基地局102及び104に送信する。送信されたセル−GPS間のタイミングデータは、GPS時刻を推定するために、MSC106及びシステムを構成する他の構成要素のうち少なくともいずれかによって使用される。
【0030】
時間が経過すると、例えば基地局の時計の誤差により、基地局の時刻が偏移する。この偏移に関連して、チャネルのタイミング情報にも偏移が生じる。例えば、もし基地局が0.01ppmの時計誤差を持っているとすると、3時間の間に、基地局は、自己のチャネルのタイミング情報に関するタイミングの中に、約100マイクロ秒の誤差を積み重ねることになる。その結果、セル−GPS間のタイミングデータがセルに対して取得された時と、その後、GPS時刻を推定するために現在のチャネルのタイミング情報と共にタイミングデータが使用される時との間でより多くの時間が経過するほど、推定されるGPS時刻はあまり正確ではなくなる。移動体端末100は、長時間に亘って基地局に対する連続した時刻基準を生成し、時刻基準が生成される時に対応するGPS時刻に注目することにより、基地局の時刻偏移を推定することができる。時刻基準及び対応するGPS時刻に関する連続したペアの間の変化は、基地局の時刻偏移を推定するために使用される。次いで、推定された時刻偏移は、セルに対するセル時刻の決定を改善するために、時刻に対して外挿され、セル−GPS間のタイミングデータに対して基地局の時刻偏移を補償する。結果として、セル−GPS間のタイミングデータがセルに対して生成された時と、その後GPS時刻の推定が生成される時との間でより多くの時間が経過するほど、GPS時刻は少ない誤差で推定される。移動体端末100はそれゆえ、比較的長い時間に亘ってセル−GPS間のタイミングデータを使用することにより、GPS時刻を推定する。
【0031】
基地局の時刻偏移に関する情報は、セル−GPS間のタイミングレポジトリに追加される。例えば、時刻偏移率(割合)のデータは、図3に示すように、セル識別情報に関連付けられる。時刻偏移率(割合)のデータは、セル−GPS間のタイミングデータがセルに対して生成された時に関するタイムスタンプと、所定の時間に基地局の時刻がどれくらい偏移するかを表す値とを含む。そして、セル識別情報を使用して利用可能なセル−GPS間のタイミングデータを検索し、データが生成されてから経過した時間とセルに対する時刻偏移率(割合)を使用してセル−GPS間のタイミングデータを補償することにより、移動体端末100は、セルに対して更新されたセル−GPS間のタイミングデータを生成することができる。
【0032】
移動体端末100は、セルに対する時刻偏移率(割合)のデータを、セルにサービスを提供している基地局に送信する。そのため、基地局は、時刻基準の正確性を改善することができる。基地局は、時刻基準の正確性をさらに改善するために、複数の移動体端末100からの時刻偏移情報を組み合わせる。
【0033】
図4は、複数のセルに対してセル−GPS間のタイミングデータに関するレポジトリを生成するために使用される動作を示すフローチャートである。ブロック400において、GPS信号が受信される。GPS信号は、複数のGPS衛星126からの信号を含む。ブロック410において、GPS信号からGPS時刻が決定される。ブロック420において、セル時刻基準が受信され、ブロック430において、セル時刻基準からセル時刻が決定される。セル時刻基準は、通信チャネルのフレーム構造に関連する時刻表示を含み、かつ、知られた時刻基準に関連する時刻値である。或いは、セル時刻基準は、通信チャネルのフレーム構造に関連する時刻表示を含むか、又は、知られた時刻基準に関連する時刻値であるかの一方である。セル時刻基準は、追加的又は代替的に、トラフィック又はデータチャネル上で受信された情報に基づいていてもよい。例えば、タイミング表示は、インターネットサイトからのデータネットワーク上で受信されてもよい。データネットワーク上でタイミング表示を使用するとき、結果として得られるセル時刻基準の正確性を改善するために、ネットワークの遅延が推定される。
【0034】
ブロック440において、タイミング前進データが基地局に対して取得可能であるか否かに関する判断がなされる。もし取得可能であれば、ブロック450において、例えば基地局からの呼設定を要求することにより、タイミング前進データが取得される。ブロック460において、セル時刻を基地局時刻に変換するために、タイミング前進データが使用される。タイミング前進データは、移動体端末と基地局との間の距離を示す。基地局から移動体端末へのセル時刻基準の伝播時間が距離から決定され、セル時刻は伝播時間に基づいて基地局時刻に変換される。
【0035】
ブロック470において、基地局時刻とGPS時刻との間のタイミングオフセットに基づいて、セル−GPS間のタイミングデータが決定される。ブロック480において、セル−GPS間のタイミングデータと、関連するセルの識別情報が、レポジトリの中に保持される。ブロック400乃至480における動作は、セル−GPS間のタイミングデータがまだレポジトリに記録されていない各々のセルに対して繰り返され、かつ、例えば基地局の時計の時刻偏移に起因して、受け入れられないほど古くなったデータを更新するために繰り返される。或いは、ブロック400乃至480における動作は、セル−GPS間のタイミングデータがまだレポジトリに記録されていない各々のセルに対して繰り返されるか、又は、例えば基地局の時計の時刻偏移に起因して、受け入れられないほど古くなったデータを更新するために繰り返されるかの一方でもよい。
【0036】
図5は、GPS時刻を推定するために使用される動作を示すフローチャートである。ブロック500において、セル時刻基準が、通信チャネルを介してセルから受信される。ブロック510において、セルが同定され、ブロック520において、セル−GPS間のタイミングデータが同定されたセルに対してレポジトリの中で知られているか否かの判断がなされる。知られている場合、ブロック530において、同定されたセルに対する時刻偏移率(割合)のデータが知られているか否かに関する判断がなされる。もし時刻偏移率(割合)のデータが知られていれば、ブロック540において、セル−GPS間のタイミングデータがレポジトリから取得され、時刻偏移に起因する誤差を減少させるために補償される。例えば、セル−GPS間のタイミングデータが生成されてから経過した時間に時刻偏移率(割合)の割合を乗じ、セル−GPS間のタイミングデータによって表される時刻オフセットに結果を加えることにより、セル−GPS間のタイミングデータは補償される。ブロック520においてセル−GPS間のタイミングデータが同定されたセルに対して知られていないときは、ブロック560において、例えば図4に示す動作により、データが生成される。
【0037】
ブロック550において、セル−GPS間のタイミングデータ及び通信チャネルを介して基地局から受信した時刻表示を使用して、GPS時刻が推定される。
【0038】
図面及び明細書において、本発明の複数の実施形態を開示してきた。特定の用語が使用されているが、それらは汎用的かつ説明的な意味においてのみ使用され、限定の目的は無い。本発明の範囲は、以下の請求の範囲において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の多様な実施形態に従う無線通信システムを示す図である。
【図2】2つのセルの通信チャネルにおけるフレームイベントとGPS信号の時刻表示部分との間のタイミングオフセットの一例を示す図である。
【図3】本発明の多様な実施形態に従うセル−GPS間のタイミングデータのレポジトリとして使用されるデータ構造を示す図である。
【図4】本発明の多様な実施形態に従う、GPS時刻と複数のセルに対するセル時刻とのタイミングオフセットを表すセル−GPS間のタイミングデータのレポジトリを生成する動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の多様な実施形態に従う、GPS時刻を推定する動作を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて動作する移動体端末においてGPS時刻を推定する方法であって、
GPS時刻と、前記移動体端末が通信する2又はそれ以上のセルに対するセル時刻との間の、タイミングオフセットを表すセル−GPS間のタイミングデータのレポジトリを、前記移動体端末において生成するステップと、
受信した通信信号の発信元であるセルを同定するステップと、
前記セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリ、前記発信元であるセルの識別情報、及び前記受信した通信信号の時刻表示の部分を使用して、GPS時刻を推定するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリを、前記移動体端末において生成するステップは、
第1のセルからの第1の通信信号の時刻表示の部分と、GPS通信信号の時刻表示の部分との間の、第1のタイミングオフセットを決定するステップと、
第2のセルからの第2の通信信号の時刻表示の部分と、GPS通信信号の時刻表示の部分との間の、第2のタイミングオフセットを決定するステップと、
前記第1及び第2のタイミングオフセットと、関連する第1及び第2のセルの識別子とを、前記セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリに保持するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信した通信信号の発信元であるセルを同定するステップは、第3の通信信号の発信元であるセルを同定するステップを備え、
前記GPS時刻を推定するステップは、GPS時刻を推定するために、前記セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリ、前記発信元であるセルの識別情報、及び前記第3の通信信号の時刻表示の部分を使用するステップを備える
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリを、前記移動体端末において生成するステップは、
前記セルらのうち第1のセルからきた前記第1の通信信号のフレーム構造における所定の部分を受信したときと、GPS通信信号の時刻表示の部分を受信したときとの間の時間差を決定するステップと、
前記セルらのうち第2のセルからきた前記第2の通信信号のフレーム構造における所定の部分を受信したときと、GPS通信信号の時刻表示の部分を受信したときとの間の時間差を決定するステップと、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
推定されたGPS時刻を使用してGPS信号を捕捉するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリを、前記移動体端末において生成するステップは、複数のセルに対するセル−GPS間のタイミングデータを前記移動体端末中の不揮発性メモリに保持するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記移動体端末から基地局へ、前記セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリの少なくとも一部を送信するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
移動体端末においてGPS時刻を推定するために使用されるセル−GPS間のタイミングのデータ構造であって、前記データ構造はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されており、前記データ構造は、
複数のセル識別子を含むように構成されるセル識別子フィールドと、
複数のタイミングオフセット値を含むように構成されるセル−GPS間のタイミングオフセットフィールドと、
を備え、
各々の前記タイミングオフセット値は、前記セル識別子フィールドの少なくとも1つに対応し、関連するセルからの通信信号に対する時刻基準とGPS時刻基準との間のタイミングオフセットを表すことを特徴とするデータ構造。
【請求項9】
前記タイミングオフセット値に対するタイミング誤差の割合の推定を提供するデータを含むように構成される時刻偏移フィールドをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載のセル−GPS間のタイミングのデータ構造。
【請求項10】
無線通信システムにおいて動作する移動体端末においてGPS時刻を推定する方法であって、
前記無線通信システム中のセルにおける、セル時刻基準を持つ通信チャネル上で前記移動体端末を動作させるステップと、
前記移動体端末において、GPS時刻基準を持つGPS通信信号を受信するステップと、
前記移動体端末において、前記セル時刻基準と前記GPS時刻基準との間のタイミングオフセットを表すセル−GPS間のタイミングデータを決定するステップと、
前記移動体端末において、前記通信チャネルの時刻表示の部分及び前記セル−GPS間のタイミングデータに基づいて、GPS時刻を推定するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記通信チャネルの前記セル時刻基準に対するタイミング誤差の割合を推定するステップと、
前記移動体端末において、前記通信チャネルの前記時刻表示の部分、前記セル時刻基準に対する前記推定されたタイミング誤差の割合、及び前記セル−GPS間のタイミングデータに基づいて、前記GPS時刻を推定するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記通信チャネルの前記セル時刻基準に対するタイミング誤差の割合を推定するステップは、
セル時刻基準を測定するステップと、
前記測定されたセル時刻基準に時間的に近い対応するGPS時刻を測定するステップと、
前記セル時刻基準を測定するステップ及び前記対応するGPS時刻を測定するステップを少なくとももう一度繰り返すステップと、
セル時刻基準及びGPS時刻の対応するペア間の変化に基づいて、前記セル時刻基準に対する前記タイミング誤差の割合を推定するステップと、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
無線通信システムにおいて動作する移動体端末においてGPS時刻を推定する方法であって、
前記無線通信システム中のセルにおける、時刻基準を持つ通信チャネル上で前記移動体端末を動作させるステップと、
前記通信チャネル上の、前記移動体端末と前記通信チャネルにサービスを提供する基地局との間の距離を示すタイミング前進データを受信するステップと、
前記タイミング前進データ及び前記通信チャネルの前記時刻基準に基づいて、前記基地局に対する時刻基準を決定するステップと、
前記移動体端末において、GPS時刻基準を持つGPS通信信号を受信するステップと、
前記移動体端末において、前記基地局に対する前記時刻基準と前記GPS時刻基準との間のタイミングオフセットを表すセル−GPS間のタイミングデータを生成するステップと、
前記セル−GPS間のタイミングデータ及び前記基地局からの通信信号における時刻表示の部分に基づいて、GPS時刻を推定するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記通信チャネルは、制御チャネル及びトラフィックチャネルを備え、
前記通信チャネル上のタイミング前進データを受信するステップは、前記トラフィックチャネル上で前記タイミング前進データを受信するステップを備え、
前記基地局に対する時刻基準を決定するステップは、前記制御チャネルに対する時刻基準を決定するステップと、前記タイミング前進データに基づいて前記制御チャネルの時刻基準を補償するステップと、を備える
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
移動体端末であって、
無線通信システムにおいてセルから通信信号を受信するように構成される受信機と、
GPS信号を受信するように構成されるGPS受信機と、
GPS時刻と2又はそれ以上のセルに対するセル時刻との間のタイミングオフセットを表すセル−GPS間のタイミングデータのレポジトリを保持するメモリと、
受信した通信信号の発信元であるセルを同定するように構成され、かつ、前記セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリ、前記発信元であるセルの識別情報、及び前記受信した通信信号の時刻表示の部分を使用してGPSを推定するように構成されるプロセッサと、
を備えることを特徴とする移動体端末。
【請求項16】
前記セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリは、第1のGPS時刻と第1のセルからの通信信号における時刻表示の部分との間のタイミングオフセットを表し、かつ、第2のGPS時刻と第2のセルからの通信信号における時刻表示の部分との間のタイミングオフセットを表すことを特徴とする請求項15に記載の移動体端末。
【請求項17】
前記GPS受信機は、前記推定されたGPS時刻を使用してGPS信号を捕捉するように構成されることを特徴とする請求項15に記載の移動体端末。
【請求項18】
前記メモリは、前記移動体端末から電源が切断された後も前記セル−GPS間のタイミングデータのレポジトリを保持する不揮発性メモリであることを特徴とする請求項15に記載の移動体端末。
【請求項19】
前記プロセッサは、基地局に対するセル−GPS間のタイミングデータのレポジトリの少なくとも一部を通信するように構成されることを特徴とする請求項15に記載の移動体端末。
【請求項20】
移動体端末であって、
無線通信システムにおいてセルから通信信号を受信するように構成される受信機と、
GPS信号を受信するように構成され、かつ、前記受信したGPS信号からGPS時刻基準を決定するように構成されるGPS受信機と、
前記受信した通信信号からセル時刻基準を推定するように構成され、かつ、前記セル時刻基準と前記GPS時刻基準との間の時刻オフセットを表すセル−GPS間のタイミングデータを生成するように構成され、かつ、受信した通信信号における時刻表示の部分及び前記セル−GPS間のタイミングデータに基づいてGPS時刻を推定するように構成されるプロセッサと、
を備えることを特徴とする移動体端末。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記セル時刻基準に対するタイミング誤差の割合を推定するように構成され、かつ、前記受信した通信信号における時刻表示の部分、前記セル時刻基準に対する前記推定されたタイミング誤差の割合、及び前記セル−GPS間のタイミングデータに基づいて前記GPS時刻を推定するように構成されることを特徴とする請求項20に記載の移動体端末。
【請求項22】
移動体端末であって、
無線通信システムにおいてセルから通信信号を受信するように構成される受信機と、
GPS信号を受信するように構成され、かつ、前記受信したGPS信号からGPS時刻基準を決定するように構成されるGPS受信機と、
前記受信した通信信号からセル時刻基準を推定するように構成され、かつ、前記セル時刻基準及び基地局からのタイミング前進データに基づいて前記基地局に対する時刻基準を決定するように構成され、かつ、前記基地局に対する前記時刻基準と前記GPS時刻基準との間の時刻オフセットを表すセル−GPS間のタイミングデータを生成するように構成され、かつ、受信した通信信号における時刻表示の部分及び前記セル−GPS間のタイミングデータに基づいてGPS時刻を推定するように構成されるプロセッサと、
を備えることを特徴とする移動体端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−533965(P2007−533965A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527964(P2006−527964)
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/016457
【国際公開番号】WO2005/036200
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】